あなたは、愛犬の「安楽死」を考えたことがありますか?
安楽死についての印象は、人によっても異なりますよね。
死のタイミングを決めてしまう印象のある「安楽死」ですが、場合によっては安楽死は苦しむ犬の一筋の光となることも…。
そこで今回は、安楽死のメリットとデメリット、安楽死についての考え方など安楽死の全てに焦点を当てていきたいと思います。
今まさに老犬介護で苦しむ愛犬を前にしている飼い主はぜひ参考にしてみてください。
もしも、老犬が苦しんでいる場合、安楽死を検討する時期かもしれません。
老犬になり、持病の悪化や体の衰えが進み終末期に近づくと苦しみが増すことがあります。
痛みや呼吸困難などの身体的な苦痛に加え、不安感や痴呆などの精神的な苦痛など、犬にとってもとても辛い状況になることでしょう。
そんな時、「安楽死」について、考えたことがあるでしょうか?
安楽死は、薬物によって安らかに死に導く医療行為です。もし、愛犬が苦しんで苦しんでどうすることもできないときは、安楽死を選ぶ時期に来ているのかもしれません。
しかし、安楽死にもメリットやデメリット、倫理観の問題などさまざまな壁があります。
ここからは、そんな安楽死について深掘りしていきたいと思います。
安楽死がもたらすメリット
安楽死がもたらすメリットは以下の4つです。
- 犬を苦しみから解放してあげられる
- 安らかな死を迎えられる
- 看取ることができる
- 飼い主の精神的苦痛も軽減する
安楽死を選ぶことで犬の尊厳を守ることができます。安楽死は、生きることを諦める消極的な死ではなく、むしろ犬生の最後を安らかに迎えるための積極的な死と考えると良いかもしれませんね。
それでは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
1.犬を苦しみから解放してあげられる
安楽死を選択するメリットはなんといっても愛犬を苦しみから解放してあげられることです。
医師から安楽死の選択を提案される状況というは、基本的には治る見込みがなく苦しみが強くなることが予想されるからです。
犬は人間と違い、苦しみの状況が理解できるわけではありません。
例えば、人間は【苦しみ=病気や老いと闘っている】と理解し立ち向かうことができますが、犬はそうはいきませんよね。
自分の身体がなぜこんなにも痛くて苦しいのか、その理由までは理解はできないのです。
そう思うと、想像を絶するような苦しみだと言うことに気がつくのではないでしょうか?
そんな苦しみや痛みから解放してあげられることが、安楽死を選択する上で1番のメリットになっているでしょう。
2.安らかな死を迎えられる
安楽死を選択することで、穏やかで安らかな死を迎えることができます。
苦しみ続けて死を待つだけの場合、その死はいつ訪れるかわかりません。
特に、老犬の中でも肺疾患や心臓疾患などを患っている場合安らかな死というよりも呼吸困難で苦しみながら窒息死していく…という残酷な最期になることも…。
麻酔で意識を低下させ、薬物で心停止をさせる安楽死は意識の低下が先にあることから、安らかな死を迎えることができるのではないでしょうか?
3.看取ることができる
安楽死は基本的に飼い主の立ち会いのもと動物病院で行われます。
自然に死を待つ場合は、いつ愛犬の命が尽きるかは誰にも予想できることではありません。
ちょっと目を離した隙に…、ちょっと外出している間に…といったように、飼い主がそばにいない時にひとりで旅立ってしまうことも珍しくありません。
飼い主であれば、誰もが最後の時にはそばにいてあげたいと思うことでしょう。そんな思いを確実に実現できるのが、安楽死のメリットでもあります。
飼い犬を看取ることができなかった後悔を長年引きずる飼い主も多いですし、私もその一人です。
2頭見送ったうちの一頭は、病院に入院中に亡くなってしまい看取ることができませんでした。
それが愛犬が選んだ死のタイミングだとしても、飼い主としてはずっと後悔が残っています。
安楽死の選択は、そんな飼い主の思いに寄り添う医療行為のひとつでもあるのだと私は思います。
4.飼い主の精神的苦痛も軽減する
安楽死の選択は、飼い主の精神的苦痛を軽減してくれるメリットもあります。
大切な愛犬が、目の前で苦しみもがく姿はそれはそれは想像を絶する辛さです。中には、苦しむ老犬の世話を泣きながらしている飼い主もいます。
決して死んで欲しい訳じゃないけれど、苦しみに悶える愛犬を見るのはもう無理…と追い詰められている人もいるでしょう。
犬の苦痛だけではなく、飼い主の苦痛を取り除く手助けにもなるのが安楽死です。
安楽死がもたらすデメリット
安楽死がもたらすデメリットは以下の4つです。
- 犬の意思がわからない
- 飼い主が後悔する
- 罪悪感に苛まれる
- 世間的な偏見に晒される
安楽死にはメリットがたくさんありますが、一方でデメリットもあります。
物事には、必ずメリットデメリットがありますので、総合的に見る必要があるでしょう。
ただ、デメリットを意識をしすぎてしまうと、非常に苦しい状況に追い込まれることもあるため、注意が必要です。
それでは、それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
1.犬の意思がわからない
言葉を喋ることができない犬は、「ああして欲しい、こうして欲しい」という意思表示をすることができません。
そのため、犬の安楽死は飼い主の決断と獣医師の判断によって行われます。
犬が本当に安楽死を望んでいるのか、望んでいたのかは正直誰にも分かることではありません。
苦しみから解放されるよりも、苦しくても生きたい…。飼い主と一緒にいたい…そんなふうに思っているかもしれないのです。
本当の意味では犬の気持ちに寄り添った選択なのかがわからないのが安楽死のデメリットでしょう。
2.飼い主が後悔する
安楽死を決断した場合、最初こそ苦しみから解放されたことに安堵の気持ちに包まれるかもしれません。
しかし、時間が経つにつれて「自分の選択は本当に正しかったのか?」という後悔が押し寄せることがあります。
命は取り返しがつきません。
老犬との生活や苦しむ愛犬を見るのも辛かったはずなのに、いなくなったことでぽっかり心に穴が空いてしまい辛い気持ちに包まれてしまうのでしょう。
とても辛い日々であったとしても、大切な愛犬に触れることができていた日々がどんなに幸せなことだったのか痛感するのです。
安楽死なんて選択しなければよかった…と後悔することで、結果的に苦しみが余計に大きくなってしまう事態になるケースも…。
3.罪悪感に苛まれる
犬の安楽死は、一種の医療行為であり正当な理由がある場合に行われる処置です。
しかし、物理的に「犬を心停止に導く」ことには変わりはないため、飼い主によっては「自分が愛犬を殺した…」という罪悪感に苛まれることになるケースもあります。
最後まで生き抜きたかったと思っていたかもしれない犬の命の最後を決めてしまったという罪悪感はとても辛いですよね。
4.世間的な偏見に晒される
犬の安楽死は認められている医療行為ではありますが、倫理的にはまだまだ賛否両論が分かれるものです。
いくら苦しんでいるからって自然界の命の終わりを人為的に決めるなんて…と安楽死反対の意見を持っている人も少なくはありません。
犬は人間と違い自分で選択することができないこともあり、余計にそのような反発を持つ人が多いのかもしれませんね。
あなたが安楽死を選択したことを心に留めておくことでこのデメリットは回避することができますが、場合によってはぽろっと打ち明けてしまった…なんてこともあるかもしれません。
そんな時に、批判や偏見の眼差しを向けられることもないとは言えず、余計に辛い思いをしてしまう危険性があるでしょう。
打ち明けた相手がごくごく親しい人、信頼している人であっても、安楽死というセンシティブな話題については人はどんな意見や考えを持っているかはわかりません。
身近な人から批判的な意見を浴びせられることもあり、二重の苦しみを味わう危険性があります。
安楽死と殺処分は全く異なります
安楽死と聞くと、「殺処分」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか?しかし、医療行為としての「安楽死」と、処分することが目的となる「殺処分」とでは、行う目的も方法も全く異なります。
安楽死の方法は、麻酔と薬物投与です。そして安楽死は犬を苦しみから解放させてあげることを目的としています。
一方で殺処分とは飼えなくなり持ち込まれた犬や猫、保護された犬や猫を一定期間収容したのちに、ガス室で死に至らしめるという行為です。目的は、引き取り手のいない犬や猫の処分です。また、動物病院ではなく保健所にて収容されます。
このように目的も方法も全く異なり、殺処分に至っては犬は苦しみながら旅立つと言われています。
決して、老犬の安楽死を目的として保健所に持ち込むようなことはやめてください。
安楽死があなたの愛犬にとって正しい選択かどうか、選択肢について獣医師に相談してください。
安楽死を選択するときには、かかりつけの獣医師とよく相談することをおすすめします。
安楽死はあくまで最後の手段です。
痛みや苦しみをとる方法が本当にないのか、そして愛犬の様子は安楽死を考えるに値する状態なのかをじっくり話し合ってください。
愛犬が亡くなった後は、あなたにとって正しい方法だと思える方法で、時間をかけて悲しみに浸ってください。
愛犬が亡くなった後は、あなたにとって正しい方法だと思える方法で、時間をかけて悲しみに浸ってください。
安楽死を選択してもそうじゃなくても、大切な愛犬を亡くすことはとても辛いことです。
どんなに手を尽くしても、「まだ何かできたのではないか?」と後悔する飼い主は多いです。
また、大切な犬の死後には精神的なダメージを負いやすく、重大なペットロスになることも…。
人によっては日常生活に支障が出るほど重いペットロスになる人がいます自分に合った方法で犬を亡くした悲しみにを乗り越えていきましょう
1.思い切り泣く
愛犬を亡くした後は思いっきり泣くことをおすすめします。
辛いとき苦しいとき、ストレスが溜まっているときに涙を流すことで気持ちが軽くなった…なんて経験をした人もいると思います。
もちろん、犬を亡くした悲しみがそれで癒えるとはいえませんが、泣くことを我慢しているとどんどん心が苦しくなっていきます。
泣きたい時は泣くのが1番。感情を抑え込む必要はありません。
最初は毎日泣くことがあっても、そんなふうに時間が経過するうちに泣く回数が減り笑顔で愛犬を思い出せる時がくるでしょう。
2.家族で共有する
愛犬を亡くした後は、家族で愛犬への想いを共有しましょう。悲しい想いだけでなく、楽しかった思い出、可愛かった思い出を家族で話すのです。
他の人と気持ちを共有することで、悲しい気持ちに囚われすぎるのを防ぐことができます。
たくさん、愛犬の思い出を話してあげましょう。
3.カウンセリングを受ける
どうやっても、おかしくなるほどに辛いのであればカウンセリングを受けることもおすすめです。
プロのカウンセラーの人の力を借りて、辛い状況から抜け出す手助けをしてもらいましよう。
ただ、カウンセリングはカウンセラーとの相性がとても大切です。
カウンセラーだからといって、誰でもいいわけではありません。相性が悪いと、悪化する可能性もあるので注意が必要です。自分に合ったカウンセラーを見つけてくださいね!
4.新しい犬を飼う
大切な愛犬を亡くしたのに、新たに犬を飼うなんてできない…と思う人もいるでしょう。
しかし、新しい犬を飼うことで辛い気持ちが和らぐこともあります。
新しい犬を飼うことは、決して亡くなった愛犬を忘れることではありません。
新しい犬を飼うことに罪悪感に包まれることもあるかもしれませんが、亡くなった愛犬は新しい犬をあなたが迎えたとしても悲しみや辛さはありません。
むしろ、あなたの笑顔が増えることは亡くなった愛犬にとってとても幸せなことなのですよ。
新たな犬と生活をする中で、だんだんと心が立ち直っていき亡くなった愛犬のことを笑顔で思い出せるようになるでしょう。
安楽死を決断したらその選択が正しいものだと自信を持ちましょう。
安楽死を決断した後、後悔や罪悪感に苛まれることがあります。しかし、考え抜いて出した結論ですから、その選択は間違っていなかったと自信を持ちましょう。
愛犬のことはあなたが1番よく知っているはず。そして、世界で1番あなたが愛犬のことを愛しているのです。
そんな愛している愛犬のために出した結論を「間違っていた…」なんて罪悪感で後悔しないようにしてください。
きっと、愛犬は苦しみから解放され自由を手に入れ幸せに旅立っていったでしょう。あなたに感謝しているはずですので、自分を責め続けるのはやめましょうね。
まとめ
今回は、老犬が苦しんでいる時に安楽死を選択するメリットとデメリット、安楽死についての考え方について解説しました。
安楽死はとても難しい選択です。しかし、場合によっては安楽死は安らかな死を迎える手助けになることを知っておきましょう。
安楽死を決断するのに焦る必要はありません。最終手段の選択肢として安楽死があることを知っておくだけでも心が軽くなるのではないでしょうか?
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