飼っている老犬が夜泣きをするようになると「もしかしたら旅立つ合図なの?」なんて不安になりますよね。夜泣きが続くと、なんとかしてあげたくなるのではないでしょうか。
そこで本記事では、老犬の夜泣きは死期が近い証拠なのか、ほかにも夜泣きの理由と飼い主にできることを解説します。
老犬の夜泣きは死期が近い証拠なのか?
老犬の夜泣きのすべてが死期が近い証拠とは限りません。もちろん、なかには旅立つ直前に夜泣きをすることもあるでしょう。ただ、老犬はただでさえ身体機能が落ちているため、自分でできることが若い頃よりもなくなってきています。
そのため、夜泣きをして自分の意志を伝えようとしたりすることが増えるのは不思議ではありません。夜泣き=死ではないので必要以上に不安になることはないでしょう。
老犬が夜泣きする理由
老犬が夜泣きする理由は以下の7つです。
- 水やご飯が欲しい
- 体制を変えたい
- 体のどこかが痛い
- 認知症
- 眠れない
- 不安になっている
- 淋しい
夜泣きは愛犬からのメッセージであることが多いです。原因がわかれば対処法も自ずと見えてくるはずです。それでは、詳しく見ていきましょう。
1.水やご飯が欲しい
老犬が夜泣きをするのは水やご飯を要求している可能性があります。老犬になると消化機能や嚥下機能が落ちていたり、食が細くなり一度に多くのご飯を食べられなくなることも珍しくありません。そのため、餌の時間以外に空腹になり飼い主に訴えているのかも。
また、水に関しても同じです。足腰が既に悪くなり自分の思う通りに動くことができない場合は、水が入っている器ある場所まで行くことができずに飼い主に要求していることも…。特に、夏場はよりその傾向が強くなる可能性はあるでしょう。
2.体制を変えたい
老犬が夜泣きをする場合は、体制を変えたくて飼い主に助けを求めているのかもしれません。老犬になると活動量が減り寝ていることが多くなります。なかには寝たきりになり動けなくなってしまうことも珍しくありません。
ずっと同じ体勢でいるのは、同じ場所に圧力がかかり続けるので血行障害などによりしびれや痛みが生じることがあります。それらの不快感を取り除きたくなるのは動物も同じです。
飼い主が1日中犬のそばにいられる環境がある場合、日中は手厚く介助することができるがゆえに、就寝時という目の届かない時間帯に夜泣きが酷くなるということも考えられるでしょう。
3.体のどこかが痛い
老犬が夜泣きをする場合には、体のどこかが痛いのかもしれません。
犬は言葉を喋ることができないので泣くことで飼い主に気持ちを伝えているのです。内臓疾患や筋肉や骨が原因で痛みが出ている可能性もありますが、老犬で寝たきりの場合は床ずれが痛みの原因になっていることも考えられます。
いずれにせよ、犬が痛みを訴えるときには相当つらい状況にあることは間違いないでしょう。
4.認知症
犬も人間同様に年をとると認知症を発症することがあります。一般的には10歳前後になると認知症のリスクが高くなるので、夜泣きが突然増えた場合には一つの可能性として考えるべきでしょう。
特に、夜泣き以外にも以下の症状がある場合には注意が必要です。
- 徘徊
- 昼夜逆転
- 食欲が異常
- 今までできていたことができなくなった
- 前には進めるけど後ろに下がれない
認知症は柴犬などの和犬が罹患しやすいと言われています。好発犬種の種類がわかっているだけでも認知症を早期発見できる可能性が高くなるので覚えておきましょう。
5.眠れない
老犬になると、生活のリズムが崩れ昼夜逆転してしまうことは珍しくありません。
体力が衰えている老犬は日中動くことも少なくなってきます。その結果、日中にぐっすり寝てしまうことで、夜に眠れなくなり覚醒してしまうのです。眠れなくて飼い主に構ってほしい気持ちから夜泣きに繋がっているのかもしれません。
ほかにも、老犬になると人間同様に頑固になってきます。そのため、わがままで夜泣きをしている可能性も考えられるでしょう。認知症などの病気や、体の痛みによる夜泣きは時間や場所関係なく起こることがありますが、わがままの場合には決まった時間やご飯のあとなど、特定の時間帯に夜泣きが起こることが多いです。
6.不安になっている
老犬が夜泣きをする場合、不安になっている可能性も考えられます。年をとると犬も視力や聴力、認識力などが衰えてきます。そのことによりものごとや状況の判断ができなくなり、警戒心や恐怖心から不安な気持ちが大きくなるのでしょう。特に、夜間は周囲が見えづらくなるため余計に不安感が大きくなるのかもしれません。
また、環境の変化によっても不安感が増すことは考えられます。
- 留守番が多くなった
- 入退院を繰り返している
上記のような環境の変化についていけずに情緒が不安定になっている可能性も。
一般的には犬は適応能力が高い動物なので生活環境の変化にもいずれ慣れていくものですが、老犬の場合はそうともいえません。老犬になると若い頃よりも適応能力は落ちてきますので、ちょっとした変化でもストレスになることは覚えておきましょう。
7.居心地が悪い
老犬が夜泣きをする場合、寝床や生活環境の居心地が良くなくてストレスを感じている可能性が考えられます。
老犬になると足腰が弱くなりトイレが間に合わずに寝床が汚れてしまうことがあり、それに伴う不快感を訴えているのかもしれません。
特に綺麗好きと言われている柴犬を始めとする日本犬の場合、ほかの犬種よりも寝床が不潔になることへの抵抗感は強くなることが予想できます。
また、犬は体温調節が苦手な動物のため室内の気温が適切でない場合も夜泣きに繋がる可能性が考えられます。
ほかにも、寝床の敷物が合わない、部屋が明るすぎる又は暗すぎる、外の音がうるさくて怖いといったようなことが原因で不安になっているのかもしれません。
また、あまりにも夜泣きが酷い場合には分離不安を起こしている可能性も。分離不安とは、飼い主と離れることに異常な不安感を抱きパニックになってしまう症状です。分離不安は、夜泣き以外にも粗相をしたり破壊行動をすることがあります。
夜泣きする老犬にできること
夜泣きをする老犬に、飼い主ができることは以下の5つです。
- そばにいてあげる
- 生活リズムを整える
- 居心地を良くする
- 家族に協力してもらう
- 獣医師に相談する
老犬の夜泣きは対策次第で改善するケースもたくさんあります。放置していると酷くなることもあるので早めに原因を突き止めて対処してあげましょう。
1.そばにいてあげる
夜泣きが不安や淋しいといった気持ちによるものだとしたら、できる限りそばにいてあげると安心して夜泣きがなくなる、もしくは現状より減るかもしれません。
ただ、分離不安が原因の場合には「飼い主と離れていても安心、安全である」ことを犬が理解する必要があります。とはいえ、分離不安を治すのは簡単なことではありません。可能であればドッグトレーナーなどの専門家に相談しアドバイスをもらうことをおすすめします。
2.生活リズムを整える
認知症や生活リズムの乱れによる夜泣きであれば、日中に体を動かして無駄に長い時間寝かさないようにすることが効果的。運動のし過ぎは、逆に興奮し眠れなくなることがあるので、年齢や身体の状態に合わせた適度な運動をするようにしてください。
散歩時間が短いのなら無理のない範囲で長くしてみるのも良いでしょう。時間だけではなく、散歩コースを変えてみるのも脳への刺激になって良いかもしれません。
散歩の時間以外でも、ロープの引っ張り合いやトレーニングを介してのコミュニケーションなど、自宅でできることをするのも夜泣き対策には効果が期待できます。
ご飯やお水をあげる
ご飯や水をあげると夜泣きがなくなるようであれば、ご飯の与え方や時間、水を飲む方法が合わずに不満に繋がっているのかもしれません。
老犬は消化機能や嚥下機能が衰えていたり、寝ていることが多くなることから一回の食事で食べられる量が減ったりすることはよくあること。そのため、一度に多くのご飯を与えるのではなく一回の量を少なくし食事の回数を増やしてあげると負担なくお腹を満たせるでしょう。
水に関しては、できるだけ寝床の近くに置いてあげると良いかもしれません。老犬になると足腰が弱くなり思うような動きができなくなることも珍しくなく、水が飲みたくても遠い場所にあると移動自体が難しくなることも。
特に、夏場は脱水になる危険性もあるのでより注意しましょう。
また、自分で問題なく移動ができる場合でも、餌や水のお皿の位置が低いと満足に摂取できていないことも考えられるので、台などで位置を高くして摂取しやすいようにしてあげるのもおすすめです。
3.居心地を良くする
寝床や生活環境の居心地が悪いことが夜泣きの原因になっているのであれば、できる限り原因を取り除くことが大切です。室内の気温が高すぎたり低すぎるのであれば、23℃〜26℃を目安にして調整しましょう。
寝床で粗相をしてしまう場合
就寝前にトイレに促すことでお漏らしが減らせるかもしれません。
認知症など、状況によってはオムツを使用するのもひとつの手段です。人によってはオムツに抵抗感を抱くかもしれませんが、犬にもプライドがありトイレの失敗が続くことで自信喪失し精神的にも弱ってしまう可能性があります。
思い切ってオムツを使用し失敗体験がなくなることで、犬の心身が安定し夜泣きが減るかもしれません。また、掃除や洗濯といった飼い主の体力的負担や精神的負担も減り、穏やかに過ごせるようになるのではないでしょうか。
寝床の敷物が合わない
寝床の敷物はある程度硬さのある低反発のものがおすすめです。
ふかふかのお布団で寝かせたくなるかもしれませんが、身動きの取りづらい老犬の場合、敷物がふかふかすぎると体が沈んでしまい余計に動きづらくなります。
また、一番体重がかかる場所が深く沈み込み圧力がかかることで血行不良を起こして床ずれができてしまう危険性も…。低反発の敷物は体全体に均等に力が加わり安全に使用できるでしょう。
音がうるさい
外の音が原因で夜泣きに繋がっている場合は、窓から離れた場所に寝床を移動し安心できるスペースを確保してあげましょう。飼い主のそばに移動させるのもおすすめです。
また、飼い主の生活音がうるさくて落ち着かないことも考えられます。その場合には、就寝時間を犬に合わせてみるほか、寝床と飼い主との生活スペースを分けて静かな環境を作ってあげるのも良いかもしれません。
4.家族や第三者に協力してもらう
自分以外に同居している家族がいる場合、自分一人で抱え込もうとせず協力を仰いでください。
夜泣きは対策をしても完全になくすことは難しいかもしれません。ひとりですべて対応しようとすると心身に影響が出てしまう恐れがあります。
いくら大切な愛犬のお世話だとしても、夜泣きが続けば相当なストレスになるでしょう。いつ終わるかわからない不安や寝不足が原因となり、イライラしたり愛犬を可愛く思えなくなってしまったりする可能性もあるので、無理をせず周りに頼るようにしてください。
家族以外にも、ペットホテルや老犬ホームなどの第三者機関を頼るのもおすすめです。一時的な預かりで愛犬を見てもらっている間に、体を休めたり好きなことをして気分転換をしたりしてはいかがでしょうか。人によっては、愛犬を預けることに罪悪感を抱くこともあるかもしれませんが、悲観的になる必要はありません。
愛犬は飼い主の笑顔が大好きです。預けることによって、愛犬との残された生活を穏やかに過ごせるのであれば、預ける選択も愛情があってこそだと言えます。
5.獣医師に相談する
夜泣きが酷い場合、病気が潜んでいる可能性もあるため獣医師に相談するのもひとつの手です。老犬になると、病気になるリスクもあがるので、特に夜泣き以外にも気になる症状があるようなら早めに受診してみてください。
また、夜泣き対策に睡眠薬を使用することもあります。犬に睡眠薬なんて…と思う人もいるかもしれませんが、お医者さんが安全に処方してくれるのでそれほど心配することはないでしょう。
愛犬への睡眠薬の使用経験がある飼い主の中には「こんなに穏やかな夜が過ごせるなら早く使用すれば良かった」と感じる人もいるようですよ。
睡眠薬を使用することは飼い主だけではなく、犬にとってもメリットはあります。夜に眠れないというのは本犬もストレスになるもの。ぐっすり眠れるようになることで疲労回復や心身の安定に繋がり、日中をより健康な状態で過ごすことができるようになるでしょう。
ただ、安全性が高いといっても薬は薬。メリットもあればデメリットもあります。持病を抱えていたり、体力が低下していることが考えられる老犬への使用の際には、体への負担や副作用などを獣医師にきちんと確認し、納得したうえで使用するようにしてくださいね。
まとめ
今回は、夜泣きは死期が近い証拠なのか、そして夜泣きの原因や対策について解説しました。
多くの夜泣きは死期が近いから起こることではなく、老化によるものだと言えます。「夜泣き=死の直前」とは限らないので不安になりすぎないようにしましょう。夜泣きの原因がわかれば対処することは可能なので、じっくりと愛犬を観察してみてくださいね。
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