愛するペットとの時間は無限ではなく、どんなに願ってもいつかは終わりが来るもの。誰であっても大切な家族の死は辛く苦しく、心が大きく揺さぶられる出来事です。
今回は、ペットを亡くすことで起こる「ペットロス」について解説していきたいと思います。
はじめに
まずはじめに「ペットロス」とは、心身に影響を来し、日常生活にまで支障が出る状態のことを言います。
愛するペットを亡くすことにより「悲しい」「辛い」という感情は誰にでも起こることであり、珍しくもなんともありません。むしろ正常な心の反応です。
某ペット葬儀会社が男女391名を対象とし行った独自調査によれば、8割の人は「ペットロス」という言葉を認知しており、その中の4割の人は実際に自身が「ペットロス」に陥ったことがあるということがわかりました。
ペットロスは決して珍しいことではないですが、なかにはペットの死から立ち直ることができずに日常生活が送れなくなるほど精神的に落ち込んでしまう人もいるので注意が必要です。
ペットロスの影響とその期間
ペットロスが心身に与える影響は人それぞれ程度の差はあれど、とても大きいものになります。また、ペットロスの期間が長ければ長いほど辛く苦しいものになるでしょう。
ここではペットロスの影響と抜け出すまでの期間について触れていきます。
深刻な喪失感と悲しみ
ペットロスになるとそれはそれは深い悲しみと喪失感に襲われることになります。
私も二頭目の愛犬を亡くした時にはペットロスになりました。突然愛犬を亡くしたことで現実を受け入れられず、何をやっても上の空で辛く苦しかったです。
ペットにもう二度と触れられない悲しさと、突然自分の分身がいなくなってしまったような喪失感でいっぱいになります。その程度は人によって差はありますが、ほとんどの人が立ち直るまでにはある程度の時間を要するのではないでしょうか。
ただ、ペットロスも重度になると日常生活に支障が出てしまうようになることもあります。例えば、「眠れない」「ご飯が食べれない」「倦怠感」「自責の念」など悲しむあまり鬱状態になってしまうこともあるのです。
ペットロスはいつまで続くか?
ペットロスから抜け出すまでの期間は人それぞれで、一概に「何ヶ月」とは言えません。一ヶ月未満で回復する人もいれば、年単位で続く人もいます。また、ペットの亡くなり方や関わりの深さでも変わってくるでしょう。
例えば、老衰で寿命を全うして天に召された場合と病気や事故で突然ペットを亡くしたケースでは後悔も抱える思いにも違いがあるはず。
私はこれまで二頭の愛犬を見送りましたが、一頭は老衰で亡くなリ、一頭は病気で突然余命2ヶ月を言い渡され最期は病院で息を引き取りました。
もちろん愛犬の死という意味ではどちらも悲しかったし辛かったですが、老衰で亡くなった愛犬は覚悟もできていたし、何より最期までお世話ができたことで辛い気持ちよりも「ありがとう」の気持ちのほうが大きく落ち込む期間も短かったです。
一方で病気で突然天国に行ってしまった愛犬に対しては、最期に一緒にいれなかった悔しさがあったり覚悟ができていなかったことから喪失感が凄まじく襲いかかり、立ち直るまでに2年ほど要しましたね。
ペットロス後「もう飼わない」と決意する心理
愛するペットを亡くした後は「ペットはもう飼いたくない」と感じる人も多いのではないでしょうか?私も愛犬を亡くすたびに「もう飼いたくない」という思いがありました。
ここでは、ペットを飼わないと思う心理について詳しく解説します。
ペットロスの悲しみと喪失感
ペットロスになると深い悲しみと喪失感に襲われます。覚悟はしていてもその絶望感は凄まじいものです。ペットとの関わりが深ければ深いほど悲しみは大きくなるでしょう。
「次のペットを飼う気になどならない…」「もうこんな悲しい経験はしたくない」と思うことで、ペットを飼わない決断をする人も少なくはありません。
ペットへの罪悪感: 何かもっとできたはずだという思い
ペットが亡くなると、それまでどれだけペットのために尽くしてきていても「もっと何かできたのではないか?」という思いが湧き上がってくるものです。もっと元気なときにたくさん遊んであげれば良かった…もっと抱きしめてあげれば良かった…と後悔してしまいます。
ペットへの罪悪感から「新たにペットを飼っても幸せにできないかもしれない」という思いが湧き飼わない決心をするのでしょう。
愛するペットとの別れを再び経験する不安
ペットを亡くすことは想像以上に辛いことです。
いつかは別れが来ることがわかっていても、いざその時になると不安や恐怖、絶望感でいっぱいになります。老衰で眠るように…ならまだしも、病気や事故で苦しむ姿はトラウマになり「もうあんな思いはしたくない」という気持ちになるのは珍しくありません。
ペットも自分もこんなに辛い思いをするなら飼わないほうがマシという思いから「ペットを飼わない」決心をするのです。
ペットに対する愛情の大きさとその重荷
ペットへの愛情が大きければ大きいほど責任や重荷を感じやすいものです。命あるものを飼うのは容易いことではありませんし責任が生じることですが、必要以上に重く捉えてしまうとなかなかペットを飼うことは難しくなります。
ペットを飼う責任は最期までお世話をし大切にすることです。いつか来る「死」に関してはペットに限らず人間であってもどう頑張っても避けられるものではありません。
「命あるものいつか終わりが来るもの、その時が来るまで大事に飼えばいい」とどこか割り切りのようなものがないとなかなか踏み出せないでしょう。
再びペットを飼うことへの疑問: それは自分だけのためか?
人によってはペットを亡くした後に、また新たにペットを飼うことに疑念を抱くこともあります。
例えば、ペットを亡くしてすぐ新しい命を迎えることに対して「自分が寂しいから飼うのか?」「すぐに違うペットを飼うのは酷い気がする」というような、複雑な感情を抱いてしまうことはよくあることです。
また、他のペットを迎えることを「亡くなったペットに申し訳ない」と感じてしまうことで、再びペットを飼うことを躊躇してしまうケースもあります。
ペットのいない生活への慣れ
ペットのいない生活に段々と慣れてくると、ペット自体飼いたいという気持ちも薄れてきます。亡くして間もない頃はペットにかけていた時間にポッカリと穴が空いたような気持ちになりますが、時間が経つにつれてその時間も上手に使えるようになってきます。
特にペットロスが長期間続くとペットがいない期間も長くなるため自然と慣れていきます。
もう飼わない決意からの葛藤とその後の変化
ペットを亡くした後、多くの人が「もうペットは飼いたくない」と一度は思うことでしょう。しかし、実際にはその後に再びペットを迎える人は少なくありません。
ここでは、「もう飼わない」という思いから「また飼おう」と思うまでの心境の変化について見ていきたいと思います。
「もう飼わない」という決断の後の日々: 時間とともに変化する心情
辛く苦しい気持ちは永遠に続くわけではありません。
もちろん、愛するペットを亡くすことは想像を絶するような苦しみですが、多くの場合は時間が解決してくれます。とはいっても、これは決してペットのことを忘れるということではなく、思い出し方やペットに対する気持ちが変化するということ。
最初はペットを思い出すだけで「悲しい、苦しい、申し訳ない」といったネガティブな感情になることが多いですが、段々と時間が経つにつれ「感謝」といった暖かい気持ちで思い出す時間が増えていきます。
再びペットを飼うことを考え始めるトリガー
ペットをまた飼おうと思うのにはいくつかのきっかけがあると考えられます。そのきっかけとは主に以下の5つです。
- ペットロスが辛すぎてペットがいない生活に耐えられない
- 運命的な出会いがあった
- ペットと生活する素晴らしさに気づいた
- 不幸なペットを減らしたいという責任感
- 周囲からのすすめやプレゼント
上記のようなことがきっかけとなり、再びペットと暮らすことを前向きに考えるようになります。
トリガーとなる出来事は人それぞれ。自分が思ってもみないタイミングで起こることもあります。
「もう一度、ペットを迎える」決断の瞬間
トリガーとなる出来事が起こり再びペットを飼うことを前向きに考えられるようになったら、実際に飼ったあとのイメージを膨らませるでしょう。
- どの犬種を迎えるか
- どこから迎えるのか
- 金銭的な余裕はあるか
- 時間的余裕はあるか
- 家族の了承が得られるか
- 最期まで面倒を見られるか
- 自分に何かあった時にペットを任せられる場所や人はいるか
周囲の状況と自分の気持ちが整ったときに初めて「よし!また新たに迎えよう」と気持ちが定まってきます。
決断後の感情: 不安と期待
ペットを再び飼うことを決断すると、新しく増える家族の存在にワクワクし始めます。楽しくて充実した暮らしを想像して幸せな気分になると同時に不安が高まるのも珍しくありません。
「ペットを幸せにできるのか?」「きちんとお世話が最後までできるか?」という気持ちの他に「また亡くなるのが怖い」という気持ちになったりします。
生き物を迎えるということはそこには責任が発生するので、楽しみな反面、不安や恐怖心を抱いても不思議ではないでしょう。
「もう一度ペットを迎えたワケ」: 実体験談
5年前、私は愛犬のモモを亡くしました。
モモは私にとって家族であり、最高の友人でした。
彼女の突然の死は私を深い悲しみに落としました。
その痛みと喪失感はあまりにも厳しく、私は心に決めました。
「もう、二度とペットは飼わない」と。
しかし、時間が経つにつれ、私の心情は少しずつ変化しました。
モモと過ごした日々の思い出は、悲しみだけでなく、幸せな時間をも思い出させてくれました。
彼女が私の人生に与えてくれた愛と楽しみ、そして教訓は、私がひとりで生きていく力をくれました。
その後、私は地元の動物保護団体のボランティア活動に参加するようになりました。
そこで、私は再び動物たちと接することの喜びを再認識しました。
そして、そこで出会った一匹の野良猫、チビに心を奪われました。
チビはか弱く、人懐っこく、彼の中には、モモの影を何度も見ました。
彼を見るたび、私はモモを思い出し、そして自分がもう一度愛を与えることができるかもしれないと感じました。
私は恐怖と不安を感じましたが、同時に、チビと一緒に新しい人生を始めることへの希望も抱きました。
それから、決断しました。
もう一度、ペットを家族に迎えることを。
私が再びペットを飼う決意をした理由は、恐怖を乗り越えて再び愛を与えられるという希望、そして、新しい家族との幸せな思い出をつくりたいという願望でした。
今、私はチビと一緒に暮らし、彼が私の生活にもたらす喜びと愛を感じています。
モモを忘れることはありませんが、チビとの新しい生活は私に前進する勇気を与えてくれます。
そして、私は今、自信をもって言えます。
「もう一度、ペットを飼うことは、再び愛することを選ぶことだ」と。
ペットロスの対処法
ペットロスの乗り越え方は人によって千差万別です。ここではペットロスの対処法について簡単に解説します。
思い切り泣く
ペットロスになったらひたすら思い切り泣くことがおすすめ。涙を流すことで「ストレスホルモン」を体外に出せると言われています。
自然と涙が出てくるうちは「悲しい」「辛い」という気持ちを我慢しないでたくさん泣きましょう。
時間が経つにつれ涙を流す事が少なくなり、段々と優しい気持ちでペットを思い出すことができるようになります。
信頼できる人に話す
ペットロスになったら、ペットとの思い出や悲しい気持ちを信頼できる人に話してみましょう。人と話すことで頭の中が整理できスッキリするかもしれません。
ただ、中には「ペットが亡くなったくらいで…」といった考えをしている人もいるので、話す相手は見極めてくださいね。
新たにペットを飼う
ペットロスになったら新たにペットを迎えるのも一つの手です。
ペットのお世話に追われるうちに段々とペットロスから立ち直っていることも珍しくありません。
中には「こんなに早く次のペットを迎えて良いのか?」となかなか踏み出せない人もいるかもしれませんが、決して亡きペットのことを忘れるということではありませんので罪悪感を持つ必要はありません。
ペットとの思い出を大事に、過去の経験を活かし次のペットとの生活に役立てていきましょう。
他のことに目を向ける
ペットロスになると、常にペットの事を考えて辛い気持ちになってしまいます。そんな時には、他のことに意識的に目を向けるのもおすすめです。
例えば、趣味をしたり仕事に没頭したり友達と遊ぶ頻度を高くしたり…。ただ、無理をすると返って心身が疲れてしまう危険性があるため注意が必要です。
ペットの事を思い出して悲しむ時間は悪いことではありませんし、無理に蓋をしようとすると余計ペットロスが長引く可能性があるので適度に他のことに目を向けるようにしてください。
カウンセリングを受ける
日常生活に支障が出て辛い時には、カウンセリングを受けるのも良いでしょう。
專門家と話をするだけでも心がスッキリしたりいい方向へと向くきっかけになります。場合によっては然るべき機関への紹介もしてくれることもあるため心強く安心できるのではないでしょうか。
ただ、カウンセラーにも相性があるので「合わないな」と感じたら迷うことなく違うカウンセラーを探してくださいね。
ペットロス経験者の話を見たり聞いたりする
人は自分と同じ経験をした人の話を聞くと安心したり「自分だけじゃないんだ」と思えることで心が安定することがあります。
どのようにして乗り越えたのか、どう向き合ったのかなど、経験者だからこそわかることを教えてもらえるかもしれません。
悲しさや辛さを共有し共感してくれることで、現実を受け入れるきっかけになり段々と気持ちも整理できるのではないでしょうか。
おわりに:「ペットは飼わない方がいい」か?
今回は、ペットロスについて解説しました。ペットとの生活は永遠ではなくいつか別れが来ることは避けられません。
「また亡くなったら…」という不安や恐怖があるのであれば無理に飼うことはしなくてもいいでしょう。
しかし、ペットとの生活はとても素晴らしいものでもあります。少しでも「ペットと暮らしたい」といった気持ちがあるのであれば、一歩踏み出す勇気を出してみてはいかがでしょうか?
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