愛する大切な犬ともいつかはお別れするときが来ます。病気や老衰など生命の終え方はその犬によって違いはありますが、息を引き取る瞬間は見ていてわかるのか気になりますよね。また、犬がこの世を旅立つときに私達飼い主は何ができるのでしょうか?
そこで本記事では、犬が息を引き取る瞬間の兆候と最期に飼い主ができることを解説します。
犬が息を引き取る瞬間はわかる?
そもそも、犬が息を引き取る瞬間はわかるのでしょうか?
答えは、どちらとも言えない…です。曖昧な表現にはなってしまいますが、亡くなる寸前に見られる兆候だと言われていても、実際はそこから2〜3日生きた…なんてことも珍しくありません。
一方で、死の兆候が見られてすぐに亡くなったケースも多く存在するため、死の兆候としてどのような症状が現れるのかを事前に知っておくことは、飼い主の心構えの面ではとても大切だと言えるでしょう。
また、その兆候がどのようにして起こることなのか、その過程を知ることでパニックにならずに冷静に対処できる可能性もあります。
犬が息を引き取る瞬間の兆候
犬が息を引き取る瞬間に見られる兆候は以下の6つです。
- 吠えたり鳴く
- 口をパクパクする
- 便や尿が出る
- 痙攣する
- 体温が下がる
- 苦しそうにする
どのような兆候が現れるかは、病気や犬の状態によって違いがありますが、おおよそ上記のような兆候が見られたら旅立ちの合図かもしれません。それでは、詳しく解説します。
①吠えたり鳴く
それまでボーっとしていたり意識が朦朧としているような様子だった犬が、突然吠えたり鳴いたりすることがあります。不安感や痛みが原因となっていたり、もしくは最期の気持ちを飼い主に伝えようとしているのかもしれません。
その鳴き方は状況によってさまざまですが、クゥーンと何かを訴えるような鳴き方、キャンと痛みなどを訴えるような鳴き方、苦しいあまり声にならない鳴き方などさまざまです。
②口をパクパクする
犬が旅立つときに、口を大きく開けてパクパク動かすことがあります。
私の愛犬もパクパクと口を動かした瞬間に息を引き取ったのですが、私は勝手にきっと愛犬が「ありがとう」って伝えようとしているんだ!と思うようにしていました。スピリチュアル的に考えると「感謝」や「挨拶」を伝えようとしていたんだ!と思うのが一番幸せですよね。
ただ、ほかには死ぬ間際にパクパク口を動かすのは「下顎呼吸」をしているとも言われているようです。下顎呼吸とは、犬だけではなく人間の死の直前にも起こる現象で、死の数時間前から直前までに現れることは珍しくありません。
下顎呼吸はその名の通り、顎を上げながら呼吸をすることですが、見ていて苦しそうに見えることから、飼い主はパニックになってしまいがち。しかし、下顎呼吸の時には既に意識はなく苦しみは感じていないなんて言われることもあるため、それほど心配はいらないでしょう。
ただ、呼吸することすらも辛いほどの全身状態には変わりはありませんので、死がいつ訪れてもおかしくないと覚悟したほうが良いと言えます。
③便や尿が出る
死ぬ瞬間、黒い便や血便が出ることがありますが、これは「宿便」といいます。死ぬ瞬間はそれまで緊張状態だった筋肉が一気に緩むため、便や尿が留まることができずに体の外に漏れ出してしまうのです。
自分で最後に体の中をきれいにしてからちゃんと天国に逝くなんて、本当に動物の体はすごいですよね。
④痙攣する
死ぬ直前になると、それまでおとなしかった犬が急に痙攣を起こすことがあります。痙攣には主に、バタバタと体や足が動く痙攣と体が固まる硬直痙攣の2つがあるでしょう。
特に、脳神経系の持病を持っている犬の場合には、発作という形で最後に痙攣が起こることも。
いずれにしても、痙攣が起こったら無理に止めようとはせず、犬が怪我をしないように周囲の安全を確保しましょう。痙攣はとても体力を使う現象と言われていますが、亡くなる直前の痙攣は、既に意識がないとも言われています。そのため、必要以上にパニックにならないよう、冷静に見守りましょう。
⑤体温が下がる
犬の死が迫ってくると、だんだんと体温が下がってきます。これは心肺機能が低下することで体内に血液を送ることができなくなるためです。
そのため、体温が下がってきていたら死が近い証拠になります。特に、末梢まで血液を運ぶ力がなくなっているので、手足が特に冷たくなっていると感じられるでしょう。
⑥苦しそうにする
犬が死ぬ間際に、苦しそうに喘いだり、呼吸が乱れつらそうにすることがあります。また、足をバタバタと動かすこともあり、飼い主から見たら「とても苦しそう」と心が痛むかもしれません。
医学的にはこの段階にはほとんど苦しんでいないという見方もあるようです。ただ、実際に痛みや苦しさにもがいている様子にも見えることから、100%苦しみを感じていないのかは誰にもわかりません。
⑦反応がない
死の直前は殆どの場合、意識が朦朧としているか完全に意識がない状態である場合が多いです。そのため、呼びかけても反応がないことも珍しくありません。
犬はどんなに苦しくても、痛くても、飼い主の声や気配には顔を上げたり目を向けたりする反応を見せます。ただ、反応がないということはもうそれだけの力が残っていない、もしくは意識がもうないということ。それはもう必然的に、身体機能がかなり低下していて危険な状態であることは確かでしょう。反応がなくなったら、旅立ちの瞬間は近く訪れると考えても良さそうです。
犬が息を引き取る瞬間に飼い主にできること
犬が息を引き取る瞬間に、私たち飼い主にできることは以下の8つです。
- そばにいてあげる
- 感謝を伝える
- 体を綺麗にしてあげる
- 好きなおもちゃを置いてあげる
- 写真を撮って思い出に残す
- 撫でたり抱きしめてあげる
- 家族や好きだった人に連絡する
- 獣医師を呼ぶ
愛犬との時間はもう少なくなっています。今まさに旅立とうとしている愛犬に飼い主としてできる限りのことをして愛犬を穏やかな死に導いてあげましょう。愛犬のためでもありますが、自分が後悔しないためにも参考にしてください。
①そばにいてあげる
犬の旅立ちが近づいてきている場合には、できる限りそばにいるようにしましょう。犬が旅立つときには目も見えづらくなり、匂いも感じなくなってきて、不安いっぱいになっているはず。飼い主がそばにいてあげるだけで、自分はひとりじゃないんだと安心できるのではないでしょうか。犬は飼い主のことが大好きです。そばにいてくれるだけで幸せな気持ちに包まれるでしょう。
②感謝を伝える
これまでの感謝を伝えてあげるのもいいでしょう。生き物は聴覚の機能だけは最後まで残っていると考えられています。そのため、例え目が見えなくても意識がなくても、飼い主の声は届くはずです。飼い主の声掛けに反応はないかもしれませんが、聞き慣れた声にきっと安心するのではないでしょうか。
また、飼い主も犬からたくさんの愛情をもらっていたはず。最期のときを逃してしまえば、直接感謝を伝えることはできなくなります。なんであのとき「ありがとう」って言えなかったのか、後悔してしまうかもしれません。愛する犬が旅立とうとするときは、犬と離れたくない気持ちが強くなり、つい「頑張って!」や「逝かないで!」なんて声をかけてしまうこともありますが、愛犬はもう十分頑張ってきました。つらい気持ちに嘘をつく必要はありませんが、できれば「ありがとう」や「大好きだよ」といったポジティブな声がけしてあげるのがおすすめです。その時はわからなくても、あとになると穏やかな気持ちで愛犬を見送ってあげられて良かったと思えるようになります。
③体を綺麗にしてあげる
犬が旅立つときには、すでに何日、何週間も前から寝たきりになっていることが多いでしょう。そのため、オムツかぶれや床ずれなどが原因となり体が不衛生な状態になっていることも珍しくありません。特に、いくらオムツをしていても尿や便が漏れてしまい体が汚れて匂いがきつくなってしまっている場合も。犬の状態にもよりますが、安定しているようであれば体を拭いて綺麗にしてあげましょう。
犬は本来綺麗好きな動物です。特に、自分の寝床が汚れているのは大きなストレスになることも多いです。そのため、最期のときには清潔な状態にしてあげることで、スッキリした気持ちで旅立てるのではないでしょうか。人間でも汚い状態や場所で旅立つのは嫌ですよね?それは犬も同じです。
ただ、触ると痛みがあったり犬が不快感を示す様子がある場合には、無理にするのはやめましょう。最期のときに、犬のストレスが大きくなってしまい可哀想な思いをさせてしまう可能性があるので、犬の様子を見極めながら拭いてあげるようにしてくださいね。
⑤好きなおもちゃを置いてあげる
犬が好きだったおもちゃをそばに置いてあげると良いでしょう。例え触ったり咥えたりしてあそぶことができなくても、大好きな物に囲まれるのは犬にとっても嬉しいものです。懐かしい匂いや聞き慣れた音のなるおもちゃを感じることができれば、体が動かなくても楽しい気持ちになるかもしれません。楽しかった思い出に包まれ幸せな気分で旅立てるのではないでしょうか。
⑥写真を撮って思い出に残す
愛犬の頑張っている姿を写真に残すのも良いでしょう。愛犬の苦しむ姿を見るのは辛いと現実から背を背けたくなりますが、まさに今命の終わりを告げようとしているのです。死は、決して悲しくて辛いだけのネガティブなことではなく、現世からの卒業と考えることもできます。そう考えれば、頑張って生き抜いた犬が、極楽の世界へと向かう素晴らしい段階に来たんだと思えるはず。そんな姿を写真に収めておくことは、決して不謹慎でもひどい飼い主でもなく、愛しているからこそです。一緒に飼い主も写真を撮って思い出に残しておきましょう。
⑦撫でたり抱きしめてあげる
意識が朦朧とし、目も見えづらく鼻も効きづらくなってくると自分がどんな状態に置かれているのかがわからず不安になります。そんなとき、大好きな飼い主に抱きしめてもらえたら、愛犬はとっても安心するでしょう。
また、手当てとはよく言うもので、人の手のぬくもりは体温が伝わり安心するもの。自然と痛みが和らいだり、気持ちが穏やかになり呼吸が落ち着いたり…といった効果を実感できることもあります。
飼い主にとっても、暖かい愛犬に触れるのは最後です。もちろん、亡くなっても魂はそばにいると言われていますが、物理的に愛犬に触れるのは火葬されるまでと限られています。愛犬の体温を感じることができれば、飼い主も暖かい気持ちになるのでは?旅立ってしまう不安な気持ちが、少しは穏やかになるかも。抱っこ嫌いでなかなか抱っこできなかった…というケースでは、犬が嫌がらないのであれば最後に抱っこをしてあげても良いかもしれませんね。
⑧家族や好きだった人に連絡する
犬が好きだった知り合いや犬仲間、家族がいる場合には早い段階で連絡をとっておきましょう。犬にとって大好きだった人や犬友達に会えるのはとても嬉しいこと。聞き慣れた賑やかな声を聞けば、きっと自分も輪の中に入っているかのように楽しい気分になるはずです。
また、呼ぶのが間に合わなった場合、どんなに仕方のないケースであっても「会わせてあげたかった」と後悔してしまう可能性とあるため、具合が悪くなり旅立つのも時間の問題といった状況になったら、早めの段階で連絡をとって会わせてあげてもいいかもしれませんね。
⑨獣医師を呼ぶ
訪問診療をしているケースでは、具合が悪そう、まさに今逝きそうというときには連絡をすればすぐに駆けつけてくれることがほとんどです。結果的な死は避けられなくても、専門の先生がいてくれるだけで飼い主も安心できるのではないでしょうか。
犬の命がまさに消えようとしている瞬間、冷静でいられる飼い主ばかりではありません。パニックになってしまったことで、後で「穏やかに見送ることができなかった」ということに悔しい気持ちを引きずることも珍しくはないでしょう。そのために、犬の事をよく知っている獣医師がそばにいてくれたらより心強いですよね。獣医師はプロですから、苦しまないよう処置を施してくれることもあるでしょう。
まとめ
本記事では、犬が息を引き取る瞬間の兆候と飼い主ができることを紹介しました。
大切な愛犬が旅立つのはとても悲しいですが、決して後悔しないためにも、兆候を見逃さないよう観察しておきましょう。自分ができることをして愛犬を穏やかな気持ちで見送ってあげてくださいね。
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