「犬を蹴ったら動かなくなった……」
「どうしたらいいかわからない……」
犬を蹴る行為は、断じて許されるものではありません。
しかし、今ここにたどり着いた飼い主の中には、犬のしつけがうまくいかなかったり一時の感情から犬を蹴ってしまったり、今まさに犬が動かない状況に陥っていてパニックになっているのかもしれません。
もしくは、知り合いや家族が犬を蹴るしつけをしていて、蹴ったことによって犬が動かなくなったらどうしたらいいのだろう?と悩んでいるのかもしれません。
そこで今回は、犬を蹴ったら動かなくなった……そんな事態に陥ってしまった時にはどうすればいいのか?飼い主がするべきことと、犬を蹴ることで起こることについて解説します。
犬を蹴らないでください
そもそも、犬を蹴る行為はしつけでもなんでもありません。
どんな事情があるにせよ蹴ることは許されることではありません。
例えば、あなたやあなたの家族、知り合いが蹴ってしまうことがあったとして、今まだ犬が無事なのであれば、まず蹴ることはもう二度としないようにしましょう。
知り合いや家族に注意喚起をしても一向にやめない……
もしくは信用できない……という場合には、次の手段を取る方法もあります。
- まさに目の前で蹴る行為が行われている→警察に通報
- やめてくれたが心配は残る→動物愛護センターもしくは自治体
上記の手段により、暴行から犬を守りましょう。
一方、万が一蹴ったことにより犬が動かない……なんて事態になってしまった場合には、速やかに飼い主としてするべきことがあります。
次の項目でくわしく解説します。
犬を蹴ったら動かなくなったらまずすべきこと5つ
犬を蹴ることは許されることではありませんが、万が一蹴ったことによって犬が動かなくなってしまった場合には、
- 意識があるかの確認
- 呼吸や心臓が動いているか
- 主治医に電話(夜間病院など)
- 速やかに動物病院へ
上記のことを、速やかにするようにしましょう。
それでは詳しく見ていきます。
①意識があるかの確認
犬を蹴ったら動かなくなったのであれば、まず意識があるのかないのかの確認をする必要があります。
動かなくなった場合には、無闇に動かさずに犬に優しく手を当て声をかけましょう。
この場合に意識があったとしても油断は大敵。
意識があってもぐったりしている様子であれば、体内に異変が起きている可能性は極めて高いでしょう。
②呼吸はあるか?心臓が動いているか?を確認
意識がない場合、呼吸があるか?心臓が動いているのか?を確認しましょう。
呼吸があるかどうかの確認は鼻のあたりに手をかざし息が当たるかどうかを確認。
また、お腹あたりを見て肺の動きによって呼吸があるかどうかも確認できます。
心臓が動いているかどうかは、犬の胸のあたりに手を当ててみて鼓動があるかをチェックします。
③歯茎の色を見る
犬の歯茎を確認することも重要です。
蹴ったことにより体内のダメージがとても大きく、特に体内で出血などをしている場合には、貧血により歯茎が白く見えることがあります。
もちろん、出血の量にもよりますのであくまで目安として確認してみてください。
歯茎の色が正常であっても、体内で何もダメージがないとは限りません。
一方、歯茎が真っ白の場合には、体内で出血をしている可能性は極めて高くなるため、一刻を争う事態にいると思ってよいでしょう。
④かかりつけの主治医に電話(夜なら夜間病院など)
例え、上記であげた項目が全てクリアしていたとしても、犬がパッタリと動かなくなるのはやはり体内へのダメージがあることを想定していた方が無難です。
そのため、兎にも角にも一度かかりつけの主治医に電話をし状況を説明したのちに医師の指示に従い行動しましょう。
この時、犬の様子・呼吸の有無・呼吸の頻度・心臓が動いているかどうか・外部にダメージが見られるか?などを伝えるとスムーズです。
万が一、夜の時間帯でかかりつけの病院がやっていない場合には、夜間病院に電話をしましょう。
⑤速やかに動物病院へ行く
おそらく、蹴ったら動かなくなった場合には、犬の様子にもよりますが一度動物病院に来てくれと言われることになると思います。
速やかに、指示に従い動物病院に向かいましょう。
この時、犬が動けないのであれば極力そのまま寝たままの体制で刺激を最小限にし運んでください。
動物病院に着いたら、必ず正直に蹴ってしまったことを申告しましょう。
もちろん、病院によっては通告される可能性もあります。
しかし、犬の命を最優先にするためには、蹴った場所や強さ、どんな感じの様子だったのかをしっかり伝えることは必要不可欠です。
保身に走りたくなる気持ちもわからなくはないですが、ここは飼い主としてしっかり対応しましょう。
愛犬が散歩中に蹴飛ばされて即死した事件があった
2020年の12月に、とある県で実際に散歩中のパピヨンが、知らない男に突然蹴り飛ばされる事件がありました。
パピヨンは、即病院に搬送されましたが、残念ながら即死状態だったようです。
事件の詳細はこちらです。
近所に住む70代の男性が小型犬パピヨン(12歳メス)を散歩させていたところ、ランニングをしていた47歳の男が、突然パピヨンを蹴りあげた。
その後、男はそのまま現場から立ち去っていた。
飼い主の男性はパピヨンをすぐに病院に連れて行ったが、首の骨は骨折し、耳から血を流す状態で即死だった。
「許せない」愛犬が散歩中に蹴飛ばされ即死…飼い主が語った当時の状況と立ち去った47歳の男|FNNプライムオンライン
これは飼い主が蹴った事案ではなく、他人が飼い犬を蹴り飛ばしてきた事件ですが、このパピヨンと飼い主の気持ちを想像しただけでも胸が苦しくなります。
ただ、このパピヨンですが実は散歩中にリードしていなかったようで、犯人は「突然近づいてきたから蹴った…」なんて言っていたそう。
この事件以外にも、犬のノーリードが原因でトラブルになっているケースは多くあるようです。
友人が公園でノーリードの犬に子供が噛まれたので、とっさに蹴り飛ばしたそうです。
友人が公園でノーリードの犬に子供が噛まれたので、とっさに蹴り飛ばしたそ… – Yahoo!知恵袋
犬は無事だったそうですが、蹴り殺してしまった場合どうなるのですか?
ノーリードの犬が突然近づいてきた場合に、危険を回避するための防衛行為である場合には罪に問われることはないようです。
飼い主による犬のノーリードのマナー違反については擁護できるものではありませんね。
とはいえ、このような危険がないにも関わらず犬を蹴ることはNG!
犬を蹴ることは犬を即死に至らしめるほどの脅威になることを、自覚しましょう。
死んでしまってからでは取り返しがつきません。
飼い犬のことは叩いたり蹴らずにしつけてあげてください
せっかく縁があって迎え入れた子です。
しつけのつもりでも、叩いたり蹴ったりすることはやめてください。
暴力で解決することはひとつもありません。
例え、暴力でしつけをしたとしても、暴力が招く末路は以下のいずれかです。
- 犬が凶暴になる
- 言うことを聞くようになってもあなたのことは全く信頼していない
せっかく、家族に迎え入れた子と、このような悲しい関係性になるなんて…、飼い主として悲しくはありませんか?
犬は叩いたり蹴ったりしなくても、しつけは可能です。
むしろ叩くことやら蹴るしつけは、関係性やトレーニングの進みかたが悪くなることはあっても良くなることはほぼないでしょう。
飼い犬を叩いたり蹴ったりすることで起こること
犬を叩いたり蹴ったりすることは、最初は加減をしていても段々とエスカレートしてしまうことも珍しくありません。
繰り返し行うことで、最初は平気でもいつか大変な事態に陥ることがあります。
犬を叩いたり蹴ったりすることで、起こり得ることについてくわしく解説します。
①犬を怪我させてしまう
犬を叩いたり蹴ったりすることは、当然ながら外部から力を加えることです。
そのため、骨が折れてしまったり腫れてしまったり、時に内臓にまでダメージが達してしまうことも…。
このように、犬を叩いたり蹴ることで大怪我をさせてしまう危険性があります。
②犬を死なせてしまう
犬を叩いたり蹴ったりしてしまうと、時に内臓破裂などの深刻なダメージを与えることも。
このような場合には、命の危険にさえ晒してしまい、最悪死に至るケースもあります。
とくに、小型犬は人間がそれほど強い力を加えていなくても、死んでしまうこともあるんですよ。
たとえ 犬が一命を取り留めたとしても、重大な後遺症を残してしまう可能性もあるでしょう。
③犬の攻撃性を高める危険性
犬を叩いたり蹴ったりしていると、犬の攻撃性が高まり、あなたのことをこれまでとは違って攻撃対象として見る可能性があります。
例えば、最初は叩かれたり蹴られたりして萎縮したり怯えたりしていても、身を守るためある時を境に攻撃に転じることも。
これは、野生の自己の身を守る本能としては、当然の行動でしょう。
特に大型犬や中型犬が本気で噛み付いてきたら、あなたの骨はおそらく砕けます。
犬の咬合力を舐めてはいけません。
小型犬であっても、本気で噛みつかれたら流血する怪我は免れないでしょう。
このようになってしまうと、あなたが近づいただけで本気で噛みつこうとしたり、そばを通っただけで噛みつかれることも。
また、こういったケースでは威嚇の段階を飛ばして突然噛みついてくることもあるのでとても危険です。
【知り合いのケース】
私の知り合いから聞いた話ですが、ある夫婦がゴールデンレトリバーを飼っていたそうです。
ご主人がゴールデンレトリバーに厳しくしつけをしていたようで、いつからかご主人が近くを通るだけで本気で噛み付くようになったのだとか…。
その結果、何度か病院に行く羽目になってしまった…らしいです。
温厚で優しいとして知られるゴールデンレトリバーでさえ、自分の身を守るための手段として攻撃性を露わにしてくることがあるのです。
人間が叩く蹴るという行為が、どれだけ危険な行為かがわかるはずです。
カッとなって叩いたり蹴りそうになったら
どんなに意識しても、人間ですからそう簡単には変わらないかもしれません。
時にはまた叩きたくなったり蹴ってしまいたくなる衝動に駆られるかも。
そんなときにはそのまま感情に振り回されるのではなく、冷静になりましょう。
ここでは、カッとなって叩いたり蹴りそうになった時の対処法を紹介します。
①その場を離れる
叩いたり蹴ったりしたくなってしまったら、まずはその場から一旦離れましょう。
犬が視界に入っていると、怒りがおさまらない可能性があるので、一回犬が見えないところに逃げてください。
一旦深呼吸をして感情が落ち着くまでゆっくりしましょう。
②怒りのコントロールをする
犬を叩いたり蹴ったりしたくなった場合には、怒りの感情のコントロールをするようにしましょう。
ある一説では、怒りは6秒しか続かないとも言われています。
そのため、ほとんどの怒りの感情は一時的なものであり、長続きはしません。
そう考えると、怒りの感情に振り回されるのは時間の無駄だと思いませんか?
わざわざ6秒のために、我を忘れるなんてもったいないです。
すぐに感情のまま行動するのはやめましょう。
とにかく冷静に行動することです。
③里親に出す
もし、どうしてもたたいたり蹴ったりする衝動が抑えられないのであれば、里親に出すことも検討してください。
里親に出すことは、悪いことではありません。
「自分と生活していてもきっと幸せにできないから、他の家で幸せに暮らしてほしい…」
理由がどうであれ、このように思えることは犬への愛情はたしかにあり幸せを願っているからです。
犬も人間同様に幸せになるために産まれてきています。
人間の都合の良いように扱われていい命ではないのです。
里親募集に力を貸してくれる愛護団体もあります。
動物病院でも相談に乗ってくれるかもしれません。
飼い主として、犬にとっての最善を選択できるようにしましょう。
ただし、ネットで素人が簡単に里親の掲示板などに里親情報を載せてしまうと、なかには、虐待を目的とした怪しい人も連絡をしてくる可能性があります。。
次に行く家で可愛がってもらえるように、見極める必要があります。
飼い犬を叩くこと蹴ることは虐待である認識を!
犬を叩いたり蹴ったりする行為は、虐待にあたります。
とはいえ、ポンっと刺激を与える意味で、適切な加減や場所へ叩くことはトレーニングでもあること。
(軽くタッチするくらいのイメージです)
しかし、悪意を持って感情のまま叩いたり蹴ったりする行為は動物愛護法により明確に禁止されている行為です。
愛護動物をみだりに殺したり傷つけた場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課せられることが定められています。
このように、動物を傷つける行動はれっきとした犯罪であることを自覚してくださいね!
まとめ
今回は、犬を蹴ったら動かなくなったらどうすれば良いのか…、そして叩いたり蹴ったりすることで起こることについて解説しました。
犬を蹴ることは、当然いけないことです。
どんな理由があっても、攻撃を加えるのはやめましょう。
犬を蹴ってしまうことで、犬を死に至らしめてしまうこともあります。
そんな、犬の気持ちになって、自分を見つめ直してください。
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