近年、飼っているペットをサロンにてケアをする飼い主は増えています。「自宅で自分でシャンプーするなんて無理…」と、プロに任せたくなる気持ちもわからなくはありません。
しかし、トリミング中・トリミング後に猫が死亡してしまうということが起こる可能性があることはご存知ですか?ネット上では猫のトリミングに対しての注意喚起の声が多数あがっているほどです。
猫は、基本的にトリミングやシャンプーが苦手でじっとしていられないことも多く、事故も起こりやすいといえるでしょう。
そこで今回は、猫がトリミング中・トリミング後に死亡してしまう理由や対策について解説していきます。また、事故との関係についても触れていきますのでぜひ参考にしてくださいね。
猫がトリミング中・トリミング後に死亡してしまう理由とは?
猫がトリミング中・トリミング後に死亡してしまう理由で考えられるのは以下の5つです。
- ストレスによるショック死
- 持病の悪化
- 麻酔の影響
- トリミング台からの落下等
- 悪質トリマーによる乱暴
「トリミングするだけでなんで死んでしまうの?」と、にわかには信じがたい話ではありますが、猫の突然死は残念ながらとても多いのです。それでは、ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
1.ストレスによるショック死
猫がトリミング中・トリミング後に死亡する理由として、最も起こり得るのが「ストレスによるショック死」です。
猫は、環境の変化をとても嫌う動物。環境の変化によるストレスに大変弱く、大きなストレスがかかると体調を崩してしまうケースは珍しくないのです。
実際にトリミングサロンでなくても、「自宅でシャンプーをした後に猫がぐったりしてしまう…」ということはよく聞く話。
このように、自宅であっても体調にダイレクトに影響するのですから、慣れていないトリミングサロンという環境で、猫にとっては苦痛が大きいトリミングをされれば、精神的にも体力的にもどのような結果になるのかは想像ができますよね。
ストレスは万病の元です。たかが…と思っていると手遅れになることも…。ストレスによる嘔吐や下痢など、深刻な体調悪化により命が尽きてしまう危険性があるのです。
2.持病の悪化
猫の突然死は、「心臓発作」が原因のことも多いようです。ストレスにより血圧が上昇したり、パニックになることで心拍数が異常に早くなったり…心臓に負担がかかる危険があります。
健康な猫であればまだしも、もともと心臓に持病を抱えている場合、ストレスが原因で発作が起きてしまうことも…。
特に、猫に多い心臓病として知られているのは「肥大型心筋症」です。
肥大型心筋症は、治癒させることか現代医学では不可能であり、対処療法や進行を抑える治療がメインとなる病気であり、時に突然死を引き起こしてしまう恐れがある病気なのです。
3.麻酔の影響
猫のトリミングは、大変な作業です。というのも、猫はトリミングの際にストレスがかかることでパニックに陥ることも珍しくなく、暴れてしまうケースは多いです。
トリミングやシャンプー中に暴れてしまうと、思わぬ怪我やトラブルに繋がる恐れがあることから、場合によっては麻酔や鎮静剤を使用することもあるんだとか…。
麻酔や鎮静剤は、あくまで猫の負担を最小限にするための、所謂「猫のため」に使うことが多いのですが、その麻酔や鎮静剤が猫に悪いように作用してしまうことも…。
麻酔や鎮静剤を使用する場合には獣医師の免許が必要になるので、一般的なトリミングサロンで使用されることはありません。
あくまで、麻酔や鎮静剤を使用することがあるのは、獣医師のいる動物病院でのトリミングを受けているケースです。
もちろん、獣医師により安全に使用されるものですが、麻酔や鎮静剤にもリスクはあります。
- 麻酔や鎮静剤から覚醒しない
- 持病がある場合麻酔が悪影響になることがある
- 麻酔アレルギー
- 麻酔の過剰投与
などのリスクがあり、最悪死に至ることも…。
特に、病気を抱えていることを知らずに麻酔をかけてしまうと、その麻酔によって悪化を招くこともあるようです。
4.トリミング台からの落下等
猫がトリミング中に暴れたりパニックになった場合に、トリマーがコントロールできずにそのままトリミング台から落下してしまうケースもあります。
落下をしても大事に至らず済むこともありますが、一方で体に大きな衝撃が加わることによって体内で異常が起きてしまうことも…。
落下時に死亡してしまうことがあるだけではなく、落下時には平気でも後から体調に異変が起きることもあります。
特に、体内で出血などをしてしまっている場合は大変危険です。自宅に連れて帰ったあとに体調が悪くなった状況から、飼い主は突然死した!と思うでしょうが、実は死の原因はもっと前にあった…なんてこともあり得るでしょう。
5.悪質トリマーによる乱暴
信じたくない話ではありますが、トリマーの中には悪質なトリマーも存在します。
もちろん、ほとんどは素晴らしいトリマーですが、一部心ないトリマーがいるのも事実。暴れたりパニックになった猫を、押さえつけたり乱暴に対処するケースもあるようです。
また、「猫を壁に投げつけた」という、信じられない事件が実際に過去にあったんだとか。
このような乱暴によって、トリミング中に死に至ったり、後から具合が悪くなって結果的に死んでしまうことがあるということです。
猫のトリミング中に虐待が発生した事例!
実際に、猫のトリミング中に虐待が発生することがあるのは事実です。
アメリカのサウスカロライナ州では、2019年5月にトリマーの男性による猫への虐待が発生しています。
男性は、他のトリマーがトリミングをしていた猫の体を固定する手伝いをしていたところ、猫が手に噛み付いてきたことに激怒し、壁に猫を叩きつけたのだとか…。
こちらのサロンは、オーナーが全くお店の運営に関わっていなく、従業員に任せっきりになっていたことで管理が行き届いていなかったようです。
虐待が行われていたことも、お店の防犯カメラがネット上に拡散されていることで知ったのだというから、驚きです。
噛みつかれた痛みや驚きでパニックになるのは人間であれば仕方ないのかもしれませんが、だからといって壁に投げつけるというのは信じがたい行為ですよね。
動物に関わるプロとしても、人としても信じられません。
猫がトリミング中・トリミング後に死んでしまったら?
猫がトリミング中・トリミング後に死んでしまったら、以下の2点のことは忘れずに行うようにしましょう。
- 動物病院に診てもらう
- トリミングサロンに事情を聞く
愛猫がなぜ死に至ってしまったのか、その原因を突き止められるかもしれません。
トリミングが原因なのか、そうでないのかは最低でも飼い主として知りたいところですよね。原因がわかることでその後また猫を飼うときにその経験が生きる可能性があります。それでは、具体的に見ていきましょう。
1.動物病院に診てもらう
愛猫がトリミング中・トリミング後に死んでしまったら、猫に何が起きたのか原因を追求しましょう。
嘔吐や下痢がある場合には、袋にいれて持っていくとより原因究明に役に立つことがあります。
また、これまでの既往歴や生活上の猫の様子などを具体的に伝えるのも忘れないでください。原因を究明したところで愛猫の命はかえってはきませんが、死の原因がわかれば今後の対策に役に立つのではないでしょうか?
2.トリミングサロンに事情を聞く
トリミング中はもちろんですが、トリミング後に猫が死んだ場合であっても、トリミングサロンに事情を聞くことを忘れないでください。
トリミング中になにかトラブルが起きていた可能性はあります。正直に起こったことを伝えてくれるサロンであれば良いですが、中には隠蔽する悪質なサロンもあるかもしれません。
トリミング中の猫の様子、トリマーのトリミング方法など、具体的な聞き取りを行うと原因がわかるかも。
その際、動物病院に先に行っておくようにすると猫の状態も明確に伝えることができるので、より具体的なことがわかるのではないでしょうか?
いずれにしても、事故や事件の可能性があるうちは泣き寝入りすることのないよう調査しましょう。場合によっては、弁護士などに頼むことを考えるのも良いかもしれませんね。
猫がトリミング中・トリミング後に死亡しないために飼い主ができることとは?
猫がトリミング中・トリミング後に死亡しないために、飼い主ができることは以下の4つです。
- トリミングサロンを慎重に選ぶ
- 動物病院併設のサロンを選ぶ
- 自宅でケアする
- 体調の管理をしっかりする
上記のことをしたからといって確実に死亡しないとは言い切れませんが、猫が死亡してしまうリスクは下げることができるのではないでしょうか?それでは、詳しく見ていきましょう。
1.トリミングサロンを慎重に選ぶ
猫のトリミングをお願いするトリミングサロンは慎重に選ぶようにしましょう。口コミや知人からの情報を集められるのであればチェックしておくことをおすすめします。
口コミは、サロンのHPに寄せられる口コミだけでなく、GoogleレビューなどHP以外に掲載されている口コミも参考にしてください。
口コミには、HP上からではわからないトリマーの人柄やトリミングの腕などの情報も記載されていることがあるので、とても参考になります。
そして、意外とそのお店の雰囲気がわかるのが電話受付の対応です。これはどの業種でもそうですが、お客様とのやりとりの窓口になる受付の対応が良いか悪いかを見ると、失敗は少なくなります。
言葉遣いや対応能力、また自分との相性など総合的に判断するようにしましょう。
2.動物病院併設のサロンを選ぶ
動物病院併設のサロンを選ぶと、トリミング中にトラブルが起きてもすぐに対処することができます。
また、動物病院併設のサロンであればトリミング前に必ず獣医師による健康チェックを行なっていることも多く、より安心してトリミングを受けることができるでしょう。
もし、万が一最悪のケースが発生してしまったとしても獣医師とトリマーとの間の情報共有が速やかにできるメリットがあります。
3.自宅でケアする
トリミング中・トリミング後に猫を死亡させないためには、そもそもサロンにお願いするのではなく自分で自宅ケアをするのも手です。
自宅でケアをする最大のメリットは、普段の環境とガラッと変わることでのストレスがないことです。また、信頼している飼い主が近くにいることは、安心材料にもなるのではないでしょうか?
ただ、自宅でのシャンプー後にぐったりしてしまう猫も多いです。
今日の猫お風呂のあとぐったりしちゃって心配してたけどめちゃくちゃ食欲あった😌禿げて寒そう……17歳でお薬飲めないので週2のシャンプーです pic.twitter.com/evEkakgYey
— ねこさん・にゃーおん❤️🔥 (@neko3_nya_on) December 1, 2021
猫はシャンプーは嫌がりますよ。
— ジェームスよしお (@RoZ82UdoQNM0woh) May 7, 2021
できるだけしないほうがいいです。
なぜって?
結構ぐったりとなるからです。
だから私は消毒、ブラッシング程度にしております。
ちなみに私のところも足が長いです。
医者に見せたらアメショが混じってますね。って言われた。 pic.twitter.com/TuehKmRMEr
シャンプーは体力を使うので、高齢猫さんには避けた方がいいかもしれません…。うちの子も高齢の時にシャンプーして、お風呂好きな子でしたが数日ぐったりしてて心配しました。
— ガネ (@ganekoganegane) May 6, 2022
特に、高齢猫や持病持ちの猫に関しては、洗い流さないシャンプーなどでふく程度にとどめておいたほうが良さそう。
ちなみに、猫はシャンプーに激しく抵抗する子が多いため、無理やりするのはやめましょう。自宅でのケアでもストレスで体調を崩すことがあるので注意が必要です。
4.体調の管理をしっかりする
トリミング中やトリミング後に猫を死亡させないためには、日頃から猫の体調をしっかり把握しておくことが大切です。
健康診断を受けたり、普段の猫の様子をチェックしましょう。毎日、体調チェックをすることを習慣化しておくと、少しの異変にもいち早く気付くことができます。
また、猫に多い「肥大型心筋症」は、飼い主が気づいていないことも多く、知らず知らずのうちに病が進行していることも珍しくはないようです。
肥大型心筋症は心臓発作などの重大な症状を引き起こすこともある危険な病気ですので、見落としのないよう定期的に獣医師に健康チェックをしてもらうようにしましょう。
まとめ
今回は、トリミング中・トリミング後に猫が死亡してしまう理由について解説しました。
トリミング中の事故ばかりではありませんが、中にはトリミングが適切に行われていなかったのが原因のこともあります。
愛猫を綺麗にするためのトリミングで、命を落としてしまうなんて飼い主としてもやりきれません。
愛する猫をトリミングで亡くさないためにも、飼い主としてできる対策はしておきましょう。ぜひ参考にしてくださいね。
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