多くの飼い主が経験しているであろう犬の甘噛み。
かわいい行動でもありますが、意外と痛みを伴うものですので困っている飼い主もいるでしょう。
今回は、犬の甘噛みの理由と甘噛みをされやすい人されにくい人の特徴、そして甘噛みの危険性について徹底的に解説します。
犬が甘噛みする理由
まず、犬が甘噛みをする理由はひとつではありません。
甘噛みの理由として1番多いものとしては「歯の生え変わり」による口内の不快感を軽減させるためです。
犬は生後4ヶ月から5ヶ月頃に歯が乳歯から永久歯に生え変わりますが、人間の赤ちゃん同様犬もその時期には歯茎の痒みや口内の不快感を覚えやすい
そのため、甘噛みをして口内の不快感を紛らわそうとしているのでしょう。
ただ、この場合の甘噛みは歯の生え変わりが終われば自然と収まる傾向がありますが、一部の犬は甘噛みがそのまま残ることも…。
犬によっては成犬になっても甘噛みが直らない子もいます。
甘噛みをする理由は、口内の不快感を軽減させるためだけではありません。自分の感情表現や飼い主への愛情表現など、さまざまな理由があると考えられています。
犬が甘噛みする人の特徴
犬が甘噛みする人には以下の4つの特徴があります。
- 怒らない
- 遊んでくれる
- 感触が好き
- 信頼されている
甘噛みされることは、犬から好かれていることは間違いありません。
それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
1:怒らない
犬が甘噛みをする人は、何をしても怒らない人です。あなたは、犬のやることなすことを全て受け入れてしまっていませんか?
- 可愛いから怒れない
- 怒り方がわからない
- 嫌われたくない
犬を怒らない•怒れない人は上記のような感情を抱いていることも多いのではないでしょうか?
ただ、単純に怒らないから好かれていると考えるのは少々危険です。
【怒らない人=犬から舐められている】可能性もあります。
2:遊んでくれる
あなたがいつも遊んであげているのであれば、「もっと遊んで!」という意思表示のため甘噛みをしていると考えられます。
あなたの気を引けばあなたが遊んでくれると思い甘噛みをしているのでしょう。
あなたは犬にとって【楽しい存在•充実した時間をくれる存在】なのではないでしょうか?
また、自らの手を使って遊ぶようなことをしている場合には【手=遊び道具】として認識している可能性もあります。
3:感触が好き
あなたの腕の感触が好きで甘噛みをしているのかもしれません。弾力や肌質などが犬にとって心地が良いのではないでしょうか?
また、犬は子犬の頃に兄弟とのじゃれあいの中で噛む加減を学んでいきます。
兄弟犬の皮膚を噛む感触と人の皮膚の感触が似ていることから人の皮膚の感触を本能で好んでいる…なんて一説もあるようですよ。
4:信頼されている
犬から信頼されている場合も、甘噛みをされる可能性があります。
この場合の甘噛みは【愛情表現】のことも多いです。
あなたのことが大好きだから、甘噛みによって【好き!遊んで!構って!】という気持ちを伝えてきているのでしょう。
また、嬉しい気持ちが高まると甘噛みという行動に出る犬もいます。
犬が甘噛みしない人の特徴
犬が甘噛みしない人には以下の3つの特徴があります。
- 信用されていない
- 甘噛みに対して叱ることができる
- 興味を持たれていない
甘噛みは本来であればしないに越したことはありませんが、愛情表現として甘噛みをしていることもあるのです。
甘噛みを全くされたことがない人は犬からの評価は低いのかもしれません。
それでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
1:信用されていない
犬から信用されていない人は犬から甘噛みをされることはほぼないでしょう。信用できない人は犬にとっては【恐怖】や【不安】を抱く対象です。
人間でも、自分に害があるかもしれない人に無闇に近づく人はいませんよね?
犬も同じで、信用できない相手には甘噛みどころかそもそも近づくことはないと言えるでしょう。
万が一近づいた場合には、警戒心から甘噛みではなく本気噛みをする危険性すらあります。
犬が信頼できない人には
- すぐ怒る人
- 一貫性がない
- 怒鳴る•殴る
などの特徴があります。
また、犬が信頼していない人にする態度としては、
- 唸る
- 噛み付く
- 近づくと固まる
- 撫でられると固まる
- 尻尾が下がる
などの行動をとる場合が多いです。
犬の反応から自分は犬から信頼されているのかどうかを確認してみてください。
2:甘噛みに対して叱ることができる
甘噛みをされたときにしっかりと叱ることができる人は、甘噛みをされにくいでしょう。
「ダメなことはダメ」ときちんと意思表示することはとても大切なことです。
甘噛みくらいで…と思う人もいるでしょうが、甘噛みを許してしまうと後々大きな問題行動に発展してしまう危険性もあるのです。
そのため、甘噛みの段階で「NO」とはっきりルールを教えるようにしましょう。
あなたが毅然とした態度で犬と接することで、結果的に犬から信頼される飼い主になるきっかけにもなるかもしれません。
3:興味を持たれていない
興味がない人であれば、甘噛みどころか近づいてくることも少ないでしょう。
興味がなければ寄っていくこともなければ甘えることもありません。興味がないということは、存在を気にしていないということ。
他人の犬であればまだしも、飼い犬であれば「興味ない」と思われるのは少し問題です。
犬から見下されている可能性もあるため、「噛まれないからよかった!」と手放しで喜んでいる状況ではないでしょう。
犬の甘噛みが注意が必要な愛情表現の理由
犬の甘噛みが注意が必要な愛情表現の理由には以下の6つが考えられます。
- 噛み癖が定着する
- 主従関係の逆転
- 他人に怪我をさせる危険性がある
- 噛んでいいものと噛んではいけないものの区別がつかない
- かゆみの原因に
- 感染症の危険性
甘噛みは、犬からの愛情表現のひとつでもあるため「可愛い!」と許してしまう人も多いのではないでしょうか?
しかし、例え愛情表現だったとしても甘噛みをさせることは後々問題行動などに発展する危険性があります。
それでは、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1:噛み癖が定着する
甘噛みを許していると、噛み癖が定着し成犬になっても噛むようになります。
甘噛みだとしても犬が人に歯を当てるのはNG!
どんな理由があるにせよ、噛む行為は絶対許してはいけないません。甘噛みで済んでいれば良いですが、何かのきっかけで本気噛みに変わることもあります。
成犬になってからでももちろんしつけはできますが、人間同様若い頃の方が柔軟性もあるためトレーニングは入りやすいです。子犬の頃からきちんと教えてあげましょう。
2:主従関係の逆転
甘噛みを許していると、主従関係が逆転する危険性があります。
きちんと叱れず意思を主張しない人は、犬にとってみれば頼れない存在。いつしか犬が上になり、立場が逆転してしまうことも珍しくありません。
立場が逆転することで、わがまま放題になり手がつけられなくなるケースもあります。
「うちの子は賢いから主従関係なんて関係ない…」と思っている人もいるでしょう。
しかし、表面上は問題はないように見えても蓋を開けてみれば犬の言いなりになってしまっていることも多いのでは?
3:他人に怪我をさせる危険性がある
甘噛みを許していると、人を噛んでもいいと間違った学習をしてしまいます。
その結果、家族に対してのみならず他人に対しても甘噛みをするようになり怪我に繋がる危険性が出てきます。
また、世の中は犬が好きな人ばかりではないため犬の甘噛みによって他人に恐怖心を与えてしまう可能性も…。
4:噛んでいいものと噛んではいけないものの区別がつかない
犬の甘噛みを放置していると、噛んでいいものと噛んではいけないものの区別がつかなくなります。
リモコンやメガネなど飼い主にとって噛まれたら困るものまで噛んで壊してしまうことも…。
ひどくなると、家の柱を噛んだりソファーをボロボロに噛みちぎったりしてしまうこともあるようですよ。
5:かゆみの原因に
犬に甘噛みをされることで、噛まれたところに痒みが生じることもあります。
毛やフケのほかに唾液によっても犬アレルギーはあります。
人によっては毛には反応はしませんが甘噛みをされたところはブツブツが出てかゆみが生じたりします。
アレルギーは人によっては重篤な症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。
6:感染症の危険性
犬の甘噛みによって皮膚に傷が生じてしまった場合に、そこから菌が入り病気を発症する危険性があります。
特に【パスツレラ症】は、近年増えている病気です。
パスツレラ菌の宿主になることが多い犬からうつる可能性がある病気で、咬み傷や引っ掻き傷から感染する危険性があります。
場合によっては死に至ることもある恐ろしい感染症ですので、甘噛みの癖は早いうちに直しておきましょう。
特に免疫力や抵抗力の弱い高齢者や乳幼児、持病を持った人は注意が必要です。
犬が甘噛みして舐めるのはどういう意味?
犬が甘噛みをした後に噛んだ場所を舐めてくることがあります。
この行為に、ほとんどの飼い主は「反省しているんだ!」と思っていると思いますが、実は恐ろしい意味が含まれていることも…。
もちろん、理由のひとつには「やってしまった!」という気持ちから舐めていることもありますが、他にも意味があります。
それは、自分の優位性を示すためです。
甘噛みをした後で「もう逆らうなよ!」と警告しているのです。
「可愛い!」と思って放置していると、どんどん立場が逆転していく危険性があるので注意してください。
気づいたら完全に犬の方が上になっていて、手がつけられなくなることもあります。
成犬が甘噛みする心理
成犬が甘噛みする心理は以下の3つです。
- 遊びの一貫
- 甘えている
- 興奮している
甘噛みはほとんどは子犬の頃に見られる行動ですが、犬によっては成犬になっても甘噛みをすることがあります。
甘噛みは口内の不快感以外の理由でもすることがあるのでチェックしておきましょう。
1:遊びの一貫
成犬の甘噛みは遊びの一貫としてしている可能性があります。
例えば、あなたが普段から自分の手を使って遊んでいる場合「手=遊び道具」というような認識をしていることも…。
あなたの手を甘噛みして遊びに誘っているのでしょう。
2:甘えている
成犬の甘噛みは、飼い主への愛情表現のこともあります。甘噛みをすることで「大好きだよ!」の気持ちを示しているのです。
また、嬉しくなると甘噛みをする犬もいます。例えば、飼い主が帰宅した時など嬉しい気持ちが高まると甘噛みをしてくる…なんてことも…。
甘噛みによって「会いたかったよ」という気持ちを最大限表しているのです。
3:興奮している
興奮が高まると甘噛みする犬もいます。普段は甘噛みをしない犬でも興奮状態になると感情のコントロールが出来なくなり甘噛みや吠えがひどくなることはあります。
この場合には大きな声を出したり過度な反応をしたりすると余計興奮させてしまいエスカレートする可能性があるので、冷静になることが大切です。
子犬の甘噛みはどこまでゆるす?
子犬の頃には甘噛みはほとんどの犬がする行動ですが、どこまで許していいのだろう?と悩んでいる飼い主もいるでしょう。
ちょっとくらいなら…と許してしまっている人もいるのでは?
しかし、甘噛みは基本的に許してはいけません。甘噛みを許していると将来噛む犬になることもあるため毅然とした態度で甘噛みを阻止するようにしましょう。
歯の生え変わりの不快感によって甘噛みをしている場合には、代わりに噛んでいいものを与えてあげるようにしましょう。
愛情表現や甘え、遊びの一貫での甘噛みに対しては毅然とした態度でダメなことと教えるようにします。
女性の甲高い声は余計に興奮をさせてしまうことがあるので、低い声で「イケナイ」と意思表示するようにしましょう。
過度な反応を示すことは逆効果になるのでシンプルに伝え続けてください。
まとめ
今回は、犬の甘噛みの理由と犬が甘噛みをする人としない人の特徴、甘噛みを放置していると生じる危険性について解説しました。
犬の甘噛みは「可愛い仕草」のひとつでもありますが、一方で将来問題行動に繋がる危険があったり健康被害を生じる可能性のある行為でもあります。
甘噛みを癖にしないためにも子犬の頃からしっかりしつけるようにしましょう。
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