離婚は人生にとって大きな出来事で、準備や手続きなどで精神的にも疲れることが多いといわれています。
離婚をスムーズに進めるためには感情的にならず、さまざまなことを冷静に判断することが大切です。また、離婚する前に絶対にやってはいけないこともあるため、注意して過ごす必要もあります。
こちらの記事では、離婚方法の種類や離婚する前に絶対やってはいけないこと、その他に気をつけるべきこと、やっておくべきことについて解説します。
離婚方法の種類
まずは、離婚方法の種類から見ていきましょう。一般的に離婚には4つの種類があります。
- 協議離婚:夫婦双方に離婚の意思がある場合、離婚届を市役所などに提出することで成立する。本人同士で話し合うことによって離婚が成立する、日本で最も一般的な方法。
- 調停離婚:裁判所で調停委員が間に入った状況で話し合いをする方法。裁判所で行うが、裁判をするわけではない。
- 審判離婚:ささいなことが原因で朝廷が不成立となりそうな場合、調停内容や資料、さまざまな事情を考慮し、家庭裁判所の裁判官が離婚の成否や条件などについて決定を下す方法。
- 裁判離婚:協議・調停を経ても、離婚することについて夫婦間で対立している場合に、裁判所に離婚訴訟を提起し、最終的には裁判所が判決を下す方法。離婚の最終的な手段として知られる。
離婚する前に絶対やってはいけないこと 5つ
どの方法で離婚をするにしても、準備や手続きを着実に進めることが大切です。
ここからは、離婚する前に絶対やってはいけないことを5つご紹介します。スムーズに離婚を進めるためにも、離婚する前の言動には十分に気をつけましょう。
1. 無断で家を出る
離婚をすると決断した後や、ハラスメントを受けている場合、一刻も早く家を出ていきたいと思うこともあると思います。しかし、無断で家を出るのはおすすめできません。無断で家を出て、連絡なども取らずに過ごしていると夫婦の義務を放棄したとして、離婚する過程で不利な立場に置かれてしまう恐れがあるためです。
また、子どもがいる場合、子どもを置いて家を出ると親権を取得するのが難しくなる可能性があります。逆に子どもを連れて一緒に家を出ることも連れ去りとして訴えられたり、トラブルに発展したりする可能性があるため、衝動的に家を出るのは避けた方が良いです。
もし、DVや虐待などがある場合は、弁護士に相談しましょう。やむを得ない別居と判断される可能性もあるため、法的な措置が取れるようアドバイスをしてもらうのが良いといえます。
2. 家にあるものを勝手に処分・売却したり、財産を隠したりする
家にあるものを勝手に処分・売却したり、資産や預金を隠したりしてはいけません。結婚前から所有していた資産や預金は問題ありませんが、結婚後のものであれば夫婦のものとされ、離婚時の財産分与の対象になります。
万が一、資産や預金を隠していることが判明したら、調停や裁判において裁判所からの印象が悪くなってしまう可能性があります。
離婚後の生活費など、金銭面で不安な面はあると思いますが、家にあるものを勝手に処分・売却したり、資産や預金を隠したりするのはやめておきましょう。
3. 不貞行為
夫婦関係がうまくいかなかったり、セックスレスになったりしている場合、他の異性に心を奪われてしまうこともあるでしょう。
しかし、他の異性と一線を越えてしまうと不貞行為と判断され、民法上、離婚理由の1つとして定められています。
不貞行為をした人は離婚の原因を作ったとして、有責配偶者と呼ばれます。有責配偶者は慰謝料を請求されるリスクを負ったり、自ら離婚裁判を起こすことができなくなったりします。離婚が成立するまでは浮気や不倫は避け、夫婦としての責任を果たしましょう。
4. モラルハラスメント
離婚することを決めている場合、配偶者に対して愛情が薄れていたり、不満を抱えていたりするケースが多いでしょう。
しかし、一方的に暴言を吐いたり、冷たい態度をとったりすることはモラルハラスメント(モラハラ)だと思われる可能性があります。例えば、モラハラの証拠として暴言を録音された場合、加害者となる恐れもあります。
どれだけ不満がたまっていて愛情が薄れていたとしても、感情的にならず、攻撃的な態度は控えましょう。
5. 弁護士以外に法律相談をする
離婚に関する法律相談を受けられるのは弁護士のみとされています。もし、弁護士以外の士業が法律相談に対応した場合、非弁行為に当たる恐れがあります。
離婚に関する悩みは誰にでも相談できますが、法律相談をする相手には注意しましょう。
その他に気をつけた方がいいこと
離婚する前に絶対やってはいけないことを5つご紹介しました。上述した以外にも、離婚する前に気をつけるべきことはあります。
不利になるような言動
離婚する前に、子どもを置いて別居したいと考えている場合、慎重に行動した方が良いでしょう。
別居期間が長期にわたる場合、離婚後に親権を取得するのが難しくなる可能性があるためです。衝動的な言動が思わぬところで不利に働く場合があります。
別居以外にも、上述したような資産を隠す行為や攻撃的な態度をとることなど、調停や裁判で不利になるような言動には気をつけましょう。
また、DVやハラスメント、虐待などの問題がある場合は、まずは弁護士に相談しましょう。慎重に行動することが大切です。
いろいろな人に相談してみる
法律相談は弁護士にしかできませんが、離婚に関する悩みを相談する相手は自由です。友人や両親、カウンセラーなど、信頼できる人に相談してみて、さまざまな意見を聞いてみることも方法の1つです。
離婚経験がある人や夫婦の親密度が高い人など、人によって考え方は異なると思いますが、納得のいく答えを出すためのヒントが得られるかもしれません。
とはいえ、多くの人に相談すると配偶者の耳に入る可能性もあるので、相談相手を選ぶ際には注意が必要です。信頼のできる口が堅い人に相談しましょう。
離婚前にやっておくべきこと
最後に、離婚前にやっておくべきことをご紹介します。
今後のことを考え、慎重に行動しましょう。
離婚に関する知識をつけておく
離婚に関する法律相談は弁護士に任せるという方は多いと思います。しかし、弁護士に任せっきりで何も知らない状態では、配偶者に言われたことを鵜呑みにするなど、自分で正しい判断をするのが難しい場面も出てくるでしょう。
離婚前にやっておくべきことや、やってはいけないこと、離婚のメリット・デメリットなど、調べられることは調べておき、知識をつけておくと安心でしょう。
生活費や収入源の確保
配偶者の収入に頼って生活していた場合、離婚後は収入源の確保が必要です。仕事をしていない場合は仕事を始めたり、資格取得の勉強をしたりして収入源を確保しておきましょう。
また、離婚後に必要な生活費も計算しておくことで金銭面の不安が軽減できます。一人暮らしをする場合と子どもと一緒に暮らす場合では、必要な生活費がかなり異なります。
また、引っ越し費用や家具・家電などの購入にかかる費用など、さまざまな初期費用がかかってきます。養育費や手当なども調べ、離婚後の生活を始めるための準備をしておきましょう。
子どものことを考える
離婚すると夫婦だけでなく、子どもの生活も変えることになります。どちらかの親と引き離されることや、なかなか会えなくなること、場合によっては引っ越しや転校をしなければならないことなど、生活や環境の変化は子どもの心や人生に大きな影響を与えるでしょう。
離婚前後はやるべきことも多く、肉体的にも精神的にも疲れているかもしれませんが、子どもの様子にも細心の注意を払いましょう。
養育費のことを考える
子どもをどちらが引き取るかが決まったら、養育費についても考えましょう。
基本的に養育費は引き取った側の収入に関係なく、もう1人の親から支払われることになります。養育費の算定表を参考に決めるのが一般的ですが、養育費を支払うのが難しい場合は調整することが求められるでしょう。
子どもとの面会交流について考える
養育費だけでなく、親権を持たない親と子どもが面会交流をする頻度や方法についても、離婚前に考えておきましょう。
財産調査
財産分与に関する話し合いは、そう簡単に終わるものではありません。そのため、共有財産の計算や話し合いは離婚前から始めておくのが良いでしょう。
結婚後に作った資産や夫婦での購入品は、名義にかかわらず財産分与の対象になります。例えば、家を出る人が何を持っていきたいかなどのリストを作るなど、半々に分けられるように決めておくのが良いといえます。
離婚の原因を明確化し、証拠をそろえておく
離婚の原因が相手にある場合、慰謝料の請求ができます。慰謝料を請求したい場合は弁護士に相談し、慰謝料が発生するような理由であるかどうかを判断してもらいます。その際に、必要な証拠をそろえておくことが大切です。
また、離婚の原因を明確化することは、配偶者との話し合いに備えるという意味でも大切なことです。原因を明確にし、夫婦関係が破綻している証拠をそろえておきましょう。
証拠をそろえておくことで、話し合いや調停、裁判がスムーズに進む可能性があります。弁護士と相談しながら、着実に準備を進めましょう。
配偶者の知人と連絡が取れるようにする
離婚後に元配偶者と連絡が取れなくなってしまうケースも多いようです。
そのため、離婚する前に配偶者の友人・知人の連絡先を聞いておきましょう。会社での所属や関係者なども可能な限り調べておくことが大切です。
離婚後は、配偶者の友人・知人の連絡先を知ることがさらに難しくなってしまいます。そのため、話しやすく信頼できる友人・知人に、連絡先を聞いておくのが良いといえます。
おわりに
離婚方法の種類や離婚する前に絶対やってはいけないこと、その他に気をつけるべきこと、やっておくべきことについて解説しました。
離婚後の言動によっては調停や裁判の際に不利な立場になることが分かりました。スムーズに、そして、できる限り円満に離婚の準備や手続きを進められるよう、離婚前の言動には十分に注意しましょう。
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