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離婚したいと思ったら終わり?関係を修復するためには

「この人が生涯のパートナ!」結婚とはお互いにそう思うからこそ成立するもの。しかし残念なことに、3組に1組の夫婦は結局離婚を選択している世の中であるのが実情です。
今回は、「離婚したい」と思う時の心理や、最終的に離婚に至る夫婦と関係を修復して離婚回避する夫婦の違いについて、心理学の視点からまとめていきたいと思います。

離婚を考えたことがある人はどのくらいいる?

実際、パートナーに対して「離婚」という文字が頭に浮かんだことがある人はどのくらいいのでしょうか?実態を探るため、離婚問題のスペシャリストともいえる弁護士事務所さんが出している様々なデータを参考に紐解いていきたいと思います。
離婚についてのデータは豊富にありますが、中でも「近年」調査が行われていて、「母数(調査に回答した人数)」が比較的多いデータを中心に探ってみました。
目をつけたのは「ベンナビ離婚」が行ったとある調査です。20〜49歳の既婚女性3,000人を対象に、離婚に関するアンケートを行っています。結果が非常に興味深いので、まずはそのデータを元に離婚の実態を紐解いてみましょう。

出典:ベンナビ離婚
https://ricon-pro.com/columns/647/

アンケート結果によると、離婚を考えたことのある方は約6割!なんと半数越えです!ただ、よくデータを見ると、「一度だけ考えたことがある」という人も含まれているので、その人たちは除外してみます。それでも「時々ある」「何度もある」「常に考えている」など、50%近くの人が離婚についてこれまでに考える機会があったそうです。

この数字を見て、多い、少ない、まぁこんなもんだろうなど、様々な感想を持ったと思います。問題は、ここから実際にどのくらいの人が離婚に至るのか、ということです。

実際に離婚に向けて行動を起こす人はどのくらい?

先ほどの「離婚を考えたことがある」と回答した人たちに対し、実際どのくらい本気で離婚を考えたことがあるのか質問した結果も見てみましょう。

出典:ベンナビ離婚https://ricon-pro.com/columns/647/

すると、「本気では考えていない」が46.8%、「離婚する気は全くない」が17.4%と、離婚について考えたことがあったとしても、即離婚に向け行動しようと思っているわけではない、むしろ本気で離婚する気はない、という結果が見て取れます。
一方、かなり離婚回避が難しい段階だと言えそうな「離婚の意思は固まっているが行動に移せていない」が11.0%、「すでに離婚の話を進めている」が4.9%、全体の約3分の1程度であることが分かります。つまり離婚という言葉が頭に浮かんだことがあるだけで、関係が完全に終わってしまっている方はむしろ少ないようです。覚悟を持って離婚をリアルに考えている、もしくは行動に移しているのは案外少ないのでしょう。これは、離婚の話が出たことはあるけど、何とか回避したいと考えている人にとっては朗報かもしれません。

なぜ離婚したいと思うのか?

離婚を回避するためには、そもそもなぜ「離婚」という言葉がよぎったのか、その理由を理解しなくてはなりません。
そこで、続いては裁判所が公表する令和4年度の「司法統計」を参考にして、離婚調停の申し立て理由のランキング1~10位を見てみたいと思います。男女別にデータがあるので、非常に興味深い情報が得られます。

参照:令和4年司法統計年報家事編 第19表 婚姻関係事件数ー申立ての動機別
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/659/012659.pdf

離婚調停申し立て理由夫(申立人総数15,176)妻(申立人総数41,886)
第1位性格が合わない(9,127)性格が合わない(16,151)
第2位異性関係(1,779)暴力を振るう(7,861)
第3位浪費する(1,773)異性関係(5,655)
第4位性的不協和(1,669)浪費する(3,531)
第5位暴力を振るう(1,353)性的不協和(2,733)
第6位病気(577)酒を飲み過ぎる(2,383)
第7位酒を飲み過ぎる(382)病気(637)
令和4年司法統計年報家事編 第19表 婚姻関係事件数ー申立ての動機別参照

男女ともに、離婚したいと申し立てて理由の第一位は「性格が合わない」という結果です。結婚前には見えなかったけれど、結婚後に明らかになってきたお互いの性格的な部分が衝突することが最も離婚の原因になるようです。
ただ、この性格の不一致という表現は使い勝手が良く、全てを網羅する体のいい言葉でもあります。離婚理由が色々ありすぎて何と表現していいか分からなかった時、一番使いやすいからこの理由を使っている、という人ももしかしたら多く、だから件数が第1位になる側面もありそうです。

第二位からは女性と男性で分かれます。夫は「異性関係」、妻は「暴力を振るう」です。このデータから、夫の離婚理由として異性問題が上位にきていることで、女性もたくさん浮気をするのかと思った人、それはデータをしっかり分析できていない証拠です。一見浮気をする女性が多いかのような誤解を生みそうですが、よく見ると、夫の理由2位の「異性関係」の件数は1,779件、一方妻の3位に入っている「異性関係」の件数は、5,665件です。そもそも妻の方が離婚を申し立てるパターンが夫より2倍以上多い状況です。男女ともに、異性関係は離婚に繋がる重大な理由です。また、妻が挙げている「暴力を振るう」という理由は、結婚生活を続けるのが難しい深刻な理由だと言えます。

なお、3位以降を見てみると、「浪費する」という金銭感覚の不一致や、「性的不協和」という夜の営みでのすれ違い、「酒を飲みすぎる」という飲酒問題が夫婦ともに離婚理由の上位に挙げられています。

原因から読み解く離婚回避の方法

ここまでのデータをざっくり総括すると、下記のような思考の流れが見て取れます。
①離婚したいと思う原因が起こる
②離婚という言葉が頭をよぎる
③でも、そこまで本気で考えていない人も、本気で行動に移そうと考えている人もいる

この③に至るか至らないかの差は何でしょうか?この差を生み出す要因は大きく3つあると思います

■1:問題に改善の余地があるか
先ほど見た離婚理由として「性格問題」「暴力問題」「異性問題」「金銭問題」「性的問題」と5つの理由がありましたが、これらの問題についてしっかり話し合えているか、お互いに改善しようと行動を起こしているか、ここが非常に大事なポイントです。ただ問題を放置している状況では、段々夫婦ともに無気力になり、離婚回避が難しくなるのだと思います。

■2:これまでに同じ問題を何回繰り返しているか
たとえ話し合いが行われ、問題を解決しようとお互いが歩み寄っていたとしても、同じ問題が何度も何度も繰り返されていれば、愛想は尽きていきます。期待した分、裏切られたときの絶望感は増します。長期化して問題が繰り返されることは、恨みや悲しみが募り、離婚への意思は強固なものになっていくでしょう。

■3:問題をカバーするだけの十分なメリットが結婚生活にあるか
これは若干イレギュラーなパターンですが、性的不一致や異性問題があったとしても、経済的に非常に安定しているから離婚という選択肢は考えない方も中にはいます。裏を返せば、経済的に問題がなければ今すぐ離婚したいという女性が多いというデータもあちこちで目にします。また、子どもの存在も、離婚するかしないかを左右する大きな要因になるでしょう。
結婚生活は浮き沈みが必ずあります。沈んだ時に即そのまま離婚に至らないよう、日頃から一緒に過ごしていくメリットもたくさんある状況を作っておかなければならないでしょう。経済面だけでなく、日頃からお互いに感謝を伝え合っている、家事や育児をサポートし合っているなど、そういった精神的安定も非常に大切です。

離婚を回避できた理由

離婚を回避するために向き合わなければならない問題として「性格の不一致」があります。これは男女ともに離婚に至る理由の1位ですから、無視はできません。
そもそも、性格の不一致とは何なのか、もう少し噛み砕いてみると、それは「価値観の違い」だと思います。世の中には自分と全く同じ価値観を持つ人というのは存在しません。価値観は、家庭環境、育った環境、受けた教育、出会った人々たちの影響を受け、思春期くらいには固まってくるものです。そう考えれば、誰一人として同じ人はいないわけで、違ったところで仕方がないのですが、一緒に暮らしていく「パートナー」となると、どうしてもそこに「期待」が生まれます。自分と同じであって欲しい、自分の理想通りであって欲しい。この「期待」が相手への「要求」となり、相手を苦しめ、自分も苦しめているのです。

離婚を回避したという方のエピソードに共通するのは、「相手を変えることを諦め違いを受けいれる」「相手への期待・要求を手放す」「自分が変えられる事に集中する」このようなキーワードです。まずは自分と向き合い、自分の行動を見直すことから始めてみましょう。もし相手に明らかな問題行動があるのであれば、その問題行動をどこまで許せるのか許せないのか吟味し、許せないのであればそこで初めて「離婚」という選択肢も視野に入れて先の未来を考えていくことになるでしょう。

ちなみに、絶対に離婚を回避したいという方は、法律的な部分もおさえておく必要があるようです。簡単に別居はしない、相手を責めるようなモラルハラスメントとなる言動は絶対に行わない等、いくつかポイントがありますので、そこは弁護士の先生に相談してみることをお勧めします。

最終的に夫婦の関係修復に欠かせないこと

夫婦関係を修復するために絶対的に欠かせない事、それは「相手への思いやり」です。結婚生活を長く続けたければ、「私を幸せにして」「俺を喜ばせて欲しい」と自分が相手に求めるよりも先に、「あなたを幸せにしたい」「あなたに喜んでもらいたい」という気持ちが先にくることが大事だと思います。自然にそう思えたら最高ですが、もし今離婚というワードが夫婦間に浮かび上がっているのであれば、まず「自分より相手を思いやる気持ち」をお互いが大事にしてみてください。最初はぎこちなくても、二人がそうやって相手を思いやれれば、生活に歩み寄りが生まれ、関係は必ず修復されていきます。「私が私が」「俺が俺が」を捨てられるかどうか、それが最も大事なポイントであること、肝に銘じて

臨床心理士/公認心理師/メンタルヘルスセミナー講師/小学校スクールカウンセラー/ONE PIECE好き/男兄弟の母親/サカママ/夜な夜な息子のサッカー動画を見るのが生きがい/Unlace アンレース -オンラインカウンセリング- にて不定期で相談受付中

離婚問題(10)
Lani

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