シングルマザーにくらべて、圧倒的に少ない「シングルファザー」。シングルファザーと聞くと、「ちゃんと子育てしてるのかな…?」「お父さんが母親代わりなんてかわいそう…」など、勝手に悪いイメージを持ってしまう人も少なくありません。
中には、「シングルファザーなんて気持ち悪い…」という根拠のない偏見を持ってしまう人も!
この記事では、シングルファザーがネガティブに捉えられやすい理由や、日々頑張っているシングルファザーが抱えている現実的な問題、シングルファザーだからこそのメリットなどについて詳しく解説していきます。
シングルファザーへの偏見に悩んでいるというパパや、シングルファザーを正しく理解したいという方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
シングルファザーが気持ち悪いと思われる理由
インターネット上では、時折「シングルファザーは気持ち悪い」という情報が見つかります。シングルファザーとして日々奮闘しているパパにとっては、「そんな風に思われているのか?!」と驚き、ショックを受けてしまいますよね。
結論から言うと、シングルファザーは気持ち悪くありません。
「シングルファザーは気持ち悪い」と悪く言う人の場合、何か根拠があるというよりはイメージで悪口を言っているだけです。
例えば、「パパが娘の下着を洗うなんて気持ち悪い」とか、「妻に捨てられた男なんて気持ち悪い」といったイメージです。
また、清潔感がないなどの理由で「気持ち悪い」と感じるシングルファザーがいるかもしれませんが、それはどの男性にもあり得ることで、シングルファザーに限った話ではありませんよ。
多くのシングルファザーは、母親がいない分しっかりと子どもを育てようと頑張っているものです。
一括りに「シングルファザーは気持ち悪い」と言われるような根拠はないのです。
シングルファザーの現実
シングルマザーの家庭にくらべて、より実態が見えにくいのがシングルファザーの家庭。ひとりで子どもを育てる苦労に加えて、「男性だから」という偏見もあり厳しい状況に置かれているのが現実です。
ここでは、シングルファザーの生活の実態や抱えやすい悩みについて解説します。
子どもに対して罪悪感を持ちやすい
シングルファザーに限らずシングルマザーにも言えることですが、「寂しい思いをさせてしまっている…」「苦労をかけてしまっている…」など、子どもに対して常に罪悪感を抱えてしまうことが多いです。
本当なら、両親揃った温かい家庭の中で子どもを育ててあげたいと願うものですよね。とくに、育児において母親の担う役割は大きいですから、シングルファザーは自分の離婚によって母親がいなくなってしまったことを申し訳なく思っているのです。
その罪悪感が、「子どもをしっかりと育てよう!」という決意の原動力になっている場合も多いでしょう。
子どもが周囲から偏見を持たれやすい
両親が離婚しているというだけで、子どもが友達から悪く言われることは多いです。子どもは遠慮がないですから、「〇〇君の家離婚したんでしょ?」といった言葉も平気で言ってきます。
とくにシングルファザーの家庭は少数派なので、周囲の子どもたちにとっては「変」と思われてしまうこともあるかもしれません。「お父さんだけなんてありえない」など、傷つくような言葉を言ってくる友達もいるかもしれませんね。
何か言われても開き直れるような性格の子どもでも、平気そう見えて意外と心は傷ついていたりしますので、パパも気苦労が絶えないでしょう。
子どもに不自由な思いをさせないよう、仕事も家事も奮闘
シングルファザーは、妻がいないので仕事も家事も自分一人でこなさなければなりません。近くに両親などの親族がいて頼れる場合は別ですが、そうでなければ気力と体力が極限まで追い込まれるような生活が長年続きます。
それでも、「子どもにできる限り不憫な思いをさせたくない」という気持ちで、収入が減らないよう仕事を一生懸命頑張るシングルファザーがたくさんいます。
また、慣れない料理や洗濯も一生懸命こなし、子どもとふれあう時間も何とかして確保しようとするパパが多いでしょう。
「男性に育児なんてできるの?」と偏見を持たれがちなシングルファザーですが、そういった外野の声を跳ねのけるように仕事も家事育児もしっかりと頑張っているパパが多いのです。
子どもとの時間を確保するために、仕事に影響が出やすい
シングルマザーにくらべて圧倒的に少ないシングルファザーは、会社などではひとり親の苦労をなかなか理解してもらえません。
とくに、「男性は家庭よりも仕事優先」という考えはまだ根強いもの。勤務先での風当たりは強く、子どもの帰宅に合わせて早めに仕事を切り上げたり、子どもの体調不良で仕事を休んだりすることはなかなか受け入れてもらえません。
その結果、「仕事を取るのか?子どもを取るのか?」という究極の選択を迫られてしまうことも。結局、子どもを放っておくわけにはいかないので、仕事を辞めたり転職することになり、収入が減ったというシングルファザーも多いですよ。
シングルマザーにくらべて支援を得にくい
シングルマザーの貧困などは社会問題にもなっており、十分ではないものの、支援の手が以前にくらべて増えつつあります。しかし、シングルファザーの家庭は数が少ないうえに社会の関心が低く、なかなか周囲の支援を得られません。
「男性なら、収入も十分にあるだろう」という先入観を持っている人が多いのも原因です。しかし、実際は離婚前と同じように仕事をしていると子育てに支障が出てしまうので、仕事をセーブして収入が減ったというシングルファザーも多いのです。
また、シングルファザーということに負い目があり、困っていてもなかなか周囲に悩みを打ち明けられないというパパもいますよ。
娘の子育てに悩みやすい
女の子を育てているシングルファザーの場合、娘が思春期になると関係性に悩むことも少なくありません。とくに中高生女子は、父親と関わることに嫌悪感を感じることも多く、これはシングルファザーの家庭に限ったことではありません。
具体的には、「父親は女心を全然わかってない」とか、「父親が汚く感じる」といった感情で、思春期の女子にとってはごく自然なものです。こんなとき、母親がいればうまく間に入ってくれますが、シングルファザーの場合は娘と直接対峙するしかありませんよね。
また、月経など女性特有の体の変化を理解してあげにくいといった悩みも出てくるでしょう。
シングルファザーへのステレオタイプな偏見
シングルファザーは、「母親がいない分、自分がしっかりと子どもを育てよう」と頑張っている人が多いもの。しかし、シングルファザー自体がマイノリティなので、根拠のない偏見を持たれてしまうこともあります。
ここでは、シングルファザーが持たれがちな偏見について詳しく解説していきます。
父親に子育ては無理
近年は男女の差別を無くそうという社会の流れはありますが、一般的には「育児=母親」というイメージを持っている人も多いですよね。
「父親だけで子育てなんてできるの?」「母親と一緒にいたほうがいいんじゃないの」といった言葉を投げかける人もいて、ただでさえ罪悪感を抱えているシングルファザーはさらに追い詰められてしまいます。
しかし、母親であってもきちんと子育てができない人がいるのも事実。結局、子どもにしっかりと愛情を注いでいれば、父親・母親どちらが子育てしてもよいのです。
子どもがかわいそう
「子どもがかわいそう」という言葉は、シングルマザー・シングルファザーを問わず言われやすい言葉ですが、シングルファザーだとより一層気の毒に思われがちです。
日本では、子どものいる夫婦が離婚した場合、約80%は母親が親権を持っています。そのため、「育児に向いているのは母親」「子どもが一緒に暮らしたいと思うのは母親」というイメージを持っている人も多いでしょう。
しかし、離婚した理由はさまざま。母親が育児に向いていなかったり、子供への愛情が薄いということもあるのです。子どもへの影響をしっかりと考えたうえで、父親が親権を持っているのですから、温かく見守ってあげることが大切ですよ。
妻に捨てられたんだろう
シングルファザーと聞くと、「どうして母親が親権を持たなかったんだろう?」と気になる人が多いもの。「妻が不倫でもして、子どもを置いて出て行ったんだろう」とか、「妻に愛想を尽かされて捨てられたんだろう」など、勝手に悪く言う人もいます。
離婚した理由なんて他人に知られたくないのに、シングルファザーというだけで面白がっていきさつを知りたがる人も多いんです。シングルファザーは、こういった好奇の目で見られることにうんざりしていますよ。
シングルマザーよりお金はある
シングルファザーは、「男性だから収入はしっかりあるだろう」と思われがち。しかし、子供の面倒を見ながら離婚前と同じような収入を得ることはとても難しいです。
夜遅くまで残業することもできませんし、子どもとの時間を確保するために休日出勤もなかなかできません。子どもの病気で会社を早退したり、休んだりしなければならないこともあるでしょう。こういった働き方では、収入は離婚前よりも減ってしまうものです。
さらに、子どもを優先することに理解が得られず、会社を辞めることになったというシングルファザーもいます。シングルファザーは、経済的にもかなり苦しい状況に立たされているのです。
シングルファザーならではのメリット
自分一人で仕事・家事・子育てをこなすシングルファザーは、並大抵の努力では続けられません。「子どもの幸せのために」という強い信念を持って頑張っているパパが多いでしょう。
辛く苦しいことも多いシングルファザーの生活ですが、頑張った先には必ず得るものがあります。ここでは、シングルファザーを一生懸命続けてきたからこそ得られるメリットについて紹介します。
子どもとの絆が深まる
シングルファザーの家庭は、母親がいないぶん、父親との関係が濃密になります。普通の家庭だと、思春期になると父親と距離を取る子どもも多いですが、シングルファザーの場合は子どもが大きくなっても仲良しでいられることがよくあります。
小さな頃は手を焼いた子どもも、成長するにつれて一生懸命頑張るパパを応援してくれるようになり、父子家庭ならではの子どもとの「絆」を実感できるでしょう。
家事能力が上がる
一般的に、家事は男性よりも女性の方が得意な人が多いですよね。男性の中には、妻がいないと家のことが何もできないという人もいたりします。
一方、シングルファザーは毎日の料理や洗濯、掃除などをこなしてきたので、必然的に家事能力が上がります。冷蔵庫の残り物でパパっと料理を作ったり、子どもの服のボタンを付け直したりといったことが難なくできるのは、シングルファザーの経験があったからこそなのです。
子どもに尊敬される
シングルファザーの家庭は、一般的な家庭にくらべて苦労が多いもの。それでも、できる限り子どもに悲しい思いをさせまいと、仕事・家事・子どもとのふれあいのために全力を尽くすパパを子どもはしっかりと見ています。
両親が揃った家庭でも、仕事ばかりで子どもに無関心だったり、家のことを全然しないという父親もいます。そんな中、家族第一で一生懸命頑張るシングルファザーを誇りに思い、パパへの尊敬の気持ちを持つ子どもも多いでしょう。
周りの人が応援してくれる
シングルファザーは社会的な関心が低く支援の手が届きにくいですが、手を差し伸べてくれる心の温かい人も確かに存在します。
普通の家庭の父親にくらべて、シングルファザーは「いつも頑張っているね」「なにか手伝うよ」など、周囲に応援してもらえる機会も多いでしょう。
風当たりのきついシングルファザーにとって、そういった優しい言葉は身に染みるもの。「自分は一人ではない」と実感でき、感謝の気持ちが芽生える瞬間でもあるのです。
おわりに
今回は、シングルファザーが気持ち悪いと言われてしまう原因や、シングルファザーが直面している現実、シングルファザーへの偏見などについて詳しく解説してきました。
シングルファザーが気持ち悪いというのは一部の人が感じている偏見であり、実際は気持ち悪いなんてことはありません。しかし、シングルファザーだというだけで周囲から誤解されやすいのも事実で、つらい思いをしているシングルファザーも多いのです。
シングルファザーへの偏見は捨てて、仕事・家事・育児に奮闘するシングルファザーを温かく応援できるような社会を作っていきたいですね!
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