「旦那としか性行為をしていないのに感染した」「感染する原因が思い当たらない」
クラミジアをはじめとする性感染症に感染した方の中には、原因に心当たりがない方も多いようです。一体なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか?
こちらの記事では、旦那としかしてないのにクラミジアになる原因や症状、治療方法、予防法などについて解説します。
クラミジアとは
性器に感染するクラミジアを「性器クラミジア感染症」といいます。性器クラミジア感染症は性感染症で、細菌の一種「クラミジア」に感染することによって引き起こされます。
クラミジアは、日本での感染者数が最も多い性病だといわれています。また、日本だけでなく世界でも発症が見られています。
日本では、10年ほど前から感染者が急増しています。国内の感染者数は100万人以上といわれており、10代後半から20代の感染者が特に多いようです。20代前半の性交経験のある女性においては5〜10人に1人は感染していると予測されています。また、一般的に、男女とも健常成人のクラミジア保有率は3~5%といわれています1。
病原体は「クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)」です。クラミジア・トラコマチスに感染する原因としては、主に性交や性交類似行為によるものです。感染部位の粘膜や分泌物との接触によって感染します。また、分娩時に産道感染をする恐れもあります2。
クラミジアの症状
クラミジアは自覚症状がなく、感染していても気づかないケースも多くあるようです。
潜伏期間は1〜3週間といわれており、男性と女性で症状は異なります。
男性の場合は、排尿痛や尿道の不快感、性器のかゆみなどが現れます。また、サラサラとした尿道分泌液が出ることもあります。
放置すると、このような症状だけでなく男性不妊につながる可能性もあるといわれていますが、症状に気づかない人もいます。
女性の場合、進行すると子宮頸管炎や子宮内膜症、卵管炎、骨盤腹膜炎、肝周囲炎などを発症します。また、不妊や早産、流産、子宮外妊娠などの恐れもあります。軽度のかゆみや痛み、不正出血、おりものの変化などが見られる場合もありますが、初めは症状があまりなく、感染に気づかない人がかなり多いといわれています。
性交類似行為によって咽頭に感染した場合は咽頭炎で首のリンパ節が腫れることがあります。また、肛門性交によって肛門に感染するケースもあります34。
クラミジアの種類
クラミジアの主な種類はこちらです。感染する場所や性別によって種類が異なります5。
クラミジア性尿道炎
クラミジア性尿道炎は、尿道にクラミジア感染が起こっている状態のことです。
排尿時に痛みや違和感を覚えたり、膿や分泌物が出たりするケースもあります。また、性器にもかゆみや違和感を覚えることがあります。
クラミジア性精巣上体炎
男性の場合、尿道からの感染が進行し、精巣上体にまで達するとクラミジア性精巣上体炎になることがあります。睾丸の腫れ、腹部の圧迫感などの症状が見られます。
クラミジア性子宮頸管炎
女性の場合は、尿道ではなく膣や子宮頸管に感染します。多くの場合、自覚症状はありませんが、おりものの異常や不正出血、かゆみ、下腹部痛などの症状が現れることがあります。感染に気づかず放置してしまうと、子宮頸管や卵管にまで進行し、不妊の原因となります。
咽頭クラミジア
喉の粘膜に感染した場合、咽頭クラミジアを発症します。多くの場合で症状が分かりにくいといわれていますが、喉の痛みや腫れ、発熱など、咽頭炎に近い症状が現れます。
クラミジアだと気づかないことも多いため、パートナーに感染を広げてしまうケースも多いようです。
クラミジア性結膜炎
目の結膜に感染すると、クラミジア性結膜炎になります。充血や瞼の腫れ、目やになどの初期症状が見られますが、一般的な結膜炎の症状と類似しているため、クラミジアだと気づかないまま放置してしまうケースもあるようです。
症状が進行すると、結膜にブツブツ生じ、次第に大きくなっていきます。
淋病との違い
クラミジアに似ている性病として、淋病があります。
この2つは感染経路や症状、自覚症状がない点など、似ているところが多くあります。また、クラミジアと淋病を併発するケースもあるといわれています。
淋病は、男性の場合、クラミジアよりも強く症状が現れることがあります。症状としては排尿時の痛みや、尿道から黄白色の膿性の分泌物が現れることなどが挙げられます。また、自覚症状がない場合もあるようです。
女性は、おりものの異常などが生じることもありますが、自覚症状がないケースも多いです。男性・女性ともに、喉に感染した場合、9割の方は自覚症状がないそうです。
症状の重さには個人差があるため、自分で判断するのは難しいといえます。どちらに感染しているのかを明らかにするには、検査を受けましょう。
また、クラミジアと淋病は20〜30%の確率で合併していることがあるといわれています67。
旦那としかしてないのにクラミジアになる原因
特定の人、つまり旦那としかしてないのにクラミジアになるのは、なぜなのでしょうか?
考えられる原因を解説します。
旦那さんの浮気や風俗
旦那さんが浮気をしていたり、風俗に行ったりしている可能性が考えられます。また、過去に風俗に行っていたという場合も同様です。
上述した通り、クラミジアは日本で最も感染者が多い性病です。オーラルセックスでも感染してしまうほど感染力が強いため、不特定多数の人と性行為をしたり、風俗に行ったりする人であれば感染している可能性が高いでしょう8。
実際に、奥さんがクラミジアに感染したことで旦那さんの浮気が発覚するということもあるようです。
すでにどちらかが感染していた
過去の性行為により、すでに奥さんか旦那さんのどちらかがクラミジアに感染していたという可能性も考えられます。
クラミジアは自覚症状がなく、感染していることに気づかない人も多いです。そのため、何年も前から実は感染していたということもあるのです。
オーラルセックスでの感染
性行為の際に、挿入をしていなくても、オーラルセックスで感染することがあります。オーラルセックスの場合、咽頭クラミジアに感染する可能性もあります。
挿入はしていないけど、旦那さんが浮気や風俗などでオーラルセックスをしていた場合は感染の原因となりうるでしょう。
また、奥さんが女性用風俗でオーラルセックスをした場合も同様です。挿入をしていないから大丈夫とはいえません。
性病に感染していたが、旦那さんは別の病気の治療薬で治った
クラミジアをはじめとする性病は、基本的には自然には治りません。治療をする必要があります。
しかし、他の病気で抗生物質を服用した際に、その薬の作用でクラミジアの細菌を退治したという可能性は考えられます。
そのため、「旦那さんがクラミジアに感染していたときに性交渉をし、奥さんに感染。その後、旦那さんが何かしらの病気の治療で抗生物質を服用し、細菌がなくなった」ということはありうるかもしれません。
とはいえ、他の病気で処方してもらった抗生物質は、クラミジアを治療する目的で処方されたものではないため、完治しているのか? どの程度治癒しているのか? といった点は不明です。
奇跡的に完治したと思っていても、体内に細菌が残っていた場合、そのまま放置すると進行してしまう恐れもあります9。
間接的な接触では感染しない
トイレや銭湯、お風呂、プールなどで感染したのでは? と考える方もいるかもしれません。
しかし、そのような間接的な接触で感染することはないといえます。
「クラミジアかも?」と思ったら
「クラミジアかも?」と思ったら、すぐに病院で検査をしましょう。
クラミジアは男女ともに不妊の原因になります。また、女性の場合は早産や流産、子宮外妊娠になるリスクも高くなります。特に、将来子どもがほしいと考えている場合、早急に治療をしなければ大変なことになります。
また、クラミジアに感染しているとHIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)に感染しやすくなるといわれています。
HIVはコンドームなしでの性交での感染確率が1%前後といわれていますが、クラミジアに感染しているとその確率が3〜5倍になります。
他の性病を防ぐためにも、気になったら早めに検査をしましょう10。
クラミジアの治療方法
クラミジアの治療には飲み薬が用いられます。マクロライド系薬、テトラサイクリン系薬、ニューキノロン系薬などの抗生剤が使用されます。
服用期間は薬の種類によって異なるものの、多くのケースにおいて約1週間で終わります11。
基本的に性病が自然治癒することはないため、クラミジアかもしれないと悩んでいる方は早急に検査・治療しましょう。
また、完治するまで性行為は控えてください。
クラミジアの予防方法
クラミジアを予防する方法はあるのでしょうか?
クラミジアに予防接種などはありません。また、一度感染しても免疫ができないため、再度感染してしまう可能性があります。
予防するためには、性行為やオーラルセックスを含む性的接触をする際にコンドームを使用しましょう。100%予防できるわけではありませんが、感染確率を下げることはできます。
また、自覚症状がなく感染しているケースも多いため、浮気や風俗などで不特定多数の人と性行為をする場合は、定期的に検査をし、感染を防ぎましょう。そして、妊娠を希望している場合は産道感染を防ぐためにも早期に発見し、治療しましょう。
また、自分がクラミジアに感染してしまったという場合はパートナーにも検査をしてもらいましょう。
おわりに
旦那としかしてないのにクラミジアになる原因や症状、治療方法、予防法などについて解説しました。
特定の人としか性行為をしていないのにクラミジアになった場合、浮気や風俗での感染や、もともと感染していたことなどが考えられます。
クラミジアは自覚症状がないため気づかないことも多いですが、進行すると不妊や早産などにもつながり、大変なことになります。「クラミジアかもしれない」と思った場合は、早めに病院で検査をしましょう。
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- 東京都感染症情報センター「性器クラミジア感染症 Genital chlamydial infection」
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- 吉祥寺まいにちクリニック「クラミジア」
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