カウンセリング、それはカウンセラーとの対話を重ねながら、自己の内面に気づき、生きづらさを少しずつやわらげ、様々なメンタルの問題を解決していくもの。でも、カウンセリングって本当に誰にとっても効果があるものなのでしょうか?そもそも、どんな時に受けたら良いものなのでしょうか?馴染みがなく、どんなものなのかイメージできない人も多いと思います。
そこで今回は、カウンセリングを受けた方が良い人と受けてもあまり意味がない人に分けて、カウンセリングを受ける時の注意点もまとめていきます。
【心理カウンセリング】と【医療的治療】の違い
カウンセリングというものが一体なんであるのかを説明するためには、医療行為と比較してみると分かりやすいかもしれません。
まず、精神的に病んでしまった時、治療方法として真っ先に思いつくのは精神科や心療内科で行われている医療的な治療でしょう。医者に診察してもらい、どのような状態かを診断を受けて、治療方針が決まり、必要なケアを受けます。ケアの具体例としては、入院、薬物療法があります。脳の機能的な部分を評価したり、脳に働きかける薬を処方することができるのは、医療ならではのケアです。
一方、カウンセラーによるカウンセリングは、医療的行為ではありません。心理学に基づいた心理療法を使って、精神的な問題を解決していく試みであり、薬は使いません。心の状態の見立ては行いますが、病名を決める診断は医者ではないので行えません。具体的には、カウンセラーとの対話や、心理療法のワークや、時には絵を描いて自己表現したりしながら、自分の心と向き合い、ものの考え方に気づき、自己の変化、成長を目指します。
要するに、この2つは全く異なる行為であり、どちらか一方でもいいのですが、両方をうまく併用する方で、ケアはより充実した手厚いものになっていきます。
カウンセリングを受けるメリット
カウンセリングが医療行為ではないと分かったところで、続いてはカウンセリングのメリットとデメリットを見てみましょう。まずはメリットからです。
【カウンセリングのメリット】
メリット1:心理療法のバリエーションが豊かで、自分に合った方法を選べる
カウンセリングには、実に様々なバリエーションがあります。それはカウンセラーが使用している心理療法によって、やり方が大きく異なるからです。ざっくりですが、下記のようなバリエーションに分かれます。
- カウンセラーと相談者が自由に会話をすることでケアを進めていく方法
- ある程度決まったプログラムがあり、それに沿ってケアを進めていく方法
- 芸術的なツールを使い、相談者が自己の内面を表現することでケアを進めていく方法
メリット2:時間をかけて寄り添い、しっかり完治するところまで見守ってくれる
カウンセリングは対処療法としてではなく、根本的な問題解決のために選ばれることが多いです。精神的な問題は目には見えないメンタルを扱うため、体の病気のように完治した、というゴールが分かりにくいです。でも、そのゴールを明確化して、カウンセラーと二人三脚で問題を解決していこうとじっくり取り組めるのがカウンセリングの良い点です。
メリット3:病気のケアだけでなく、再発予防や、その後の自分の成長にまでつながる可能性が高い
カウンセリングは「治す」だけではありません。その後も相談者が生きやすくなるように、心に染みついた考え方のクセを和らげることができます。そのため、再発予防や自己成長、自己啓発という面でも効果があります。
カウンセリングを受けるデメリット
カウンセリングのデメリットも確認しておきましょう。
【カウンセリングのデメリット】
デメリット1:費用や時間の面で労力が必要とされる
カウンセリングは薬のように即効性があるわけではありません。時間もかかりますし、自費診療ではありませんので、お金もかかります。根気よく継続する労力が必要です。
デメリット2:自発的な気持ちがないと効果が半減する
カウンセリングでは相談者とカウンセラーが共通の目標をもって取り組んでいきますが、「自分を変えたい」「自分の問題と向き合いたい」という意識が低いと、自己を内省できず、カウンセリングも深まりにくいです。
また、カウンセラーが出すアドバイスをただやればいい、自分ではなく周りや相手が変わってくれればいい、といった他人任せな気持ちが強いと、うまく効果が得られない場合があります。
デメリット3:自分と向き合う苦しさに直面する場合がある
カウンセリングでは様々な感情を経験します。それは、過去あえて蓋をしてきた傷つきや怒りの感情に触れることでもあり、それに耐えられない人もいます。
ある程度医療の力も借りながら、カウンセリングに取り組めるエネルギーが回復した段階でカウンセリングを行うことが大切なのは、こういった理由があるからです。
カウンセリングの効果が得られにくい人
カウンセリングで効果を得られにくい、カウンセリングの意味がないと感じる時は、下記のような問題が発生していることが考えられます。
問題1:カウンセラーの質の悪さ
カウンセラーが受け止めてくれる感じがしない、信用できない発言があるなどと思う時は、もしかしたらカウンセラーのスキル不足の可能性があります。
問題2:無理やりカウンセリングを受けている
無理に誰かにカウンセリングに連れてこられただけの場合は、本人にモチベーションがなく、カウンセリングの効果も得られにくでしょう。
問題3:問題の整理ができておらずうまく言葉にできない
自分の状況や内面についてある程度言葉にできないと、カウンセラーもくみ取ることが難しくなります。問題を言葉にする力がない時は、カウンセリングを受ける意味がないかもしれません。
問題4:明確な答え、助言が欲しいと思っている
カウンセラーは明確な答えを教えてくれる立場ではなく、あくまで相談者に寄り添い、本人が答えを導き出すのをサポートする存在です。
そのため、カウンセリングを受けても、カウンセラーはただ聞いているだけで物足りない、もっとはっきりアドバイスが欲しいと感じる方もいるようです。
この場合は、カウンセリングというよりも、コーチングなどの別のサポートの方が向いているかもしれません。
自分に合うカウンセラーの選び方
自分に合うカウンセリングを選ぶためのポイントをまとめました。
ポイント1:直感的に信じられるカウンセラーを選ぶ
真摯であり、真剣に向き合ってくれるカウンセラーだと感じられるかどうか、しっかりと確かめましょう。また、きちんと秘密を守ってくれるか、契約がしっかりしているかなども、判断ポイントになります。
ポイント2:技法が自分に合っているかどうか検討する
カウンセリングのバリエーションの部分で解説しましたが、自分にあったカウンセリングの行ってくれるのかどうかを確認しましょう。会話中心なのか、決められたプログラムがあるのか、何かツールがあるのか、確認してみるとよいでしょう。
ポイント3:高度な信頼性の高い資格を所持している
公認心理師、臨床心理士など、社会的に信頼できる心理の資格をもっているかどうかは非常に大切です。簡単に取得できてしまう民間のカウンセラー資格もありますので、どのような資格を持っているのか、事前に確認しておくと安心です。また、無資格の場合は注意した方がよいでしょう。
カウンセリングを受ける時の注意点
今までの話を踏まえて、いざカウンセリングを受ける時にはどんな点に注意したらいいのか整理しました。
注意点1:カウンセラーとの相性は問題ないか
カウンセラーの話し方、聴き方に安心感を持てるか、自分の気持ちに共感的に寄り添ってもらえると感じられるかどうかなど、自分と相性が合うと感じるカウンセラーかどうかを見極めてください。
注意点2:自分の問題や目的を明確に説明できるか
今、具体的に何を悩んでいるのか、どんなことに困っているのか、ある程度言語化できるようになっておくことも大切です。あまりにも漠然としていたり、問題が不明瞭すぎると、カウンセリングで話し合う内容も散らかりやすくなります。
注意点3:継続するモチベーションがあるか
カウンセリングには時間やお金がかかるため、それだけの労力をかけて続けていく気持ちがあることが前提になります。
注意点4:カウンセリングの方針、進め方に納得しているか
カウンセラーがカウンセリングの方針についてしっかり説明してくれて、それが自分にとって納得できる進め方なのか、しっかり確認しておきましょう。カウンセラーが独りよがりで進めないよう、疑問があればその都度確認して大丈夫です。
無理なく続けられるカウンセリングであることが大切
今回はカウンセリングを受ける意味がない人はいるのかどうかや、実際にカウンセリングを受ける際の注意点について、丁寧に解説をしました。
自分にあったカウンセラーや、無理なく続けられるカウンセリングを見つけるのは大変かもしれませんが、効果のあるカウンセリングを受ければ自分自身の理解、成長に必ずつながります。諦めずにリサーチしてみてくださいね。
参考
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