多くの人が悩む肌トラブル、ニキビ。
ニキビができると肌が汚く見えると思っていませんか?
しかし、実はニキビができる人は肌がきれいな人が多いという説もあります。これは一体どういうことなのでしょうか?
こちらの記事では、ニキビができる人の肌の特徴やメカニズム、ニキビの種類や原因、そしてニキビに効果的なケア方法や予防法について徹底的に調査してみました。
奈良県立医科大学卒業。泌尿器科医として臨床に従事する傍ら、南カリフォルニア大学、国立がん研究センター研究所等でエピジェネティクス、幹細胞の研究に従事。令和4年にはノリス美容クリニックを開設し、幹細胞の知識を生かした肌再生医療に取り込んでいる。
ニキビできる人は肌がきれいって本当?
ニキビができる人は肌がきれいな人が多いというのは本当なのでしょうか?
その説について見ていきましょう。
ニキビに悩んだことがある人の肌は老化が遅い?
ニキビに悩んだことがある人の肌は、そうでない人の肌より老化が遅いといわれています。
英国キングス・カレッジ・ロンドンのシモーヌ・リベロ博士が率いるチームの科学者たちは、これまでにニキビに悩まされたことがある人々は、白血球のテロメア(染色体の末端にある保護用の反復ヌクレオチド)が長く、細胞が老化から保護されやすい可能性があるということを発見しました。
白血球のテロメアは、複製の過程で染色体が劣化するのを防ぐ役割を持ちます。テロメアは、細胞が老化するのにつれて徐々に分解・縮小し、最終的には細胞死につながります。これがいわゆる人間の「老化」です。
それまでの研究では、白血球のテロメアの長さで生物学的老化を予測でき、体内の他の細胞のテロメアの長さと関連していることが示されていました。
2016年に、皮膚科専門誌「Journal of Investigative Dermatology」に掲載されたこの研究では、1,205人の双子の白血球テロメアの長さを測定しました。双子の4分の1が、生涯でニキビを経験したことがあったそうです。
年齢や血縁関係、体重、身長を調整した統計的分析では、ニキビ患者のテロメアの長さが著しく長いことがわかりました。これは、白血球が加齢による劣化から保護されていることを指します。
皮膚科医は長年、ニキビに悩む人の肌は、ニキビで悩んだ経験がない人の肌よりも老化が遅いのではないかと指摘していました。老化の兆候(しわができたり皮膚が薄くなったりすることなど)は、ニキビ患者の方が遅れて現れることが多くあります。これは皮脂分泌の増加によるものであると考えられていますが、他の要因が関係している可能性もあるようです。
研究者たちはさらに、ニキビに関連する可能性のある遺伝子経路を特定するため、双子から採取した既往の皮膚生検(病理検査のために皮膚の一部を切除すること)における遺伝子発現(遺伝子からの情報が細胞における構造および機能に変換されるプロセス)を調べました。その結果、プログラム細胞死(多細胞生物における不要な細胞の計画的な死)を制御する遺伝子経路の1つ(p53経路)が、ニキビ患者の皮膚では発現が少ないことが分かりました。
この研究では、双子が全員女性であったことや因果関係を特定できなかったことなど不十分な点もあったため、さらなる研究が必要だといえます。
しかし、長年、原因が特定できなかった「ニキビに悩む人の肌は、ニキビで悩んだ経験がない人の肌よりも老化が遅いのではないか」という皮膚科医の説を、より強固なものにしたといえるでしょう1。
「美人薄命」という四字熟語もある
上述したテロメアとニキビ遺伝子の因果関係が特定されれば、ニキビができやすい人と老化の遅さ・寿命の長さの関係性も明らかになるでしょう。
「美しい人は、病弱であったり、数奇な運命にもてあそばれたりして短命な者が多い」という意味を持つ四字熟語「美人薄命」。仮に、肌がきれいな人を「美人」とするならば、「美人薄命」を証明する要素の1つになるかもしれません。
美意識の高さゆえによくない成分を摂取することも?
もう1つの考察としては、肌がきれいな人は美意識が高く、化粧品やサプリメントなどを多用している可能性が高いということです。
化粧品やサプリメントの中には、肌に良い効果をもたらす成分だけでなく、添加物や保存料などの成分が含まれている製品もあります。これらの成分は、体内に蓄積されるとデトックスの負担が大きくなったり、アレルギー症状や免疫系に影響を及ぼしたりする可能性があります。
したがって、肌がきれいな人全員に当てはまるわけではありませんが、健康に注意する必要があるかもしれません。
以上が「ニキビができる人は肌がきれいな人が多い」という説についての解説です。
ニキビができる人は肌がきれいな人が多いというのは、肌の老化(しわができたり皮膚が薄くなったりすることなど)が遅い人が多いという意味であることが分かりました。
ニキビができるメカニズム
では、ニキビはどのようにしてできるのでしょうか?
ニキビができるときのメカニズムについて解説します。
ニキビができる主な原因として考えられるのは、毛穴のふさがりや皮脂の過剰分泌、毛穴の中でアクネ菌(ニキビ菌)が増殖することなどです。
ニキビのない健康的な肌においては、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)によって古い角質は剥がれ落ちます。しかし、そのリズムが崩れると、毛穴周辺の角質が厚くなり、毛穴の出口が狭くなってしまいます。そして、毛穴に汚れが詰まりやすくなるのです。
毛穴の中で皮脂や古くなった角質、メイクによる汚れが混ざり合うことで角栓ができます。角栓ができてしまうと、毛穴が詰まった状態になります。
それにより、たくさんの皮脂が毛穴に蓄積されたり、アクネ菌の増殖で炎症を起こしたりするリスクが高まり、ニキビが発生します2。
ニキビの種類と原因
ニキビには種類がたくさんあり、その種類によってできる原因もさまざまです。
上述した「白ニキビ」「赤ニキビ」「膿胞ニキビ」以外の種類についても解説します。
ニキビは進行段階や症状によって種類が分けられます。
大別すると、「炎症のないニキビ」と「炎症のあるニキビ」の2種類になりますが、肌質や年齢によってもニキビのでき方や種類は異なります。ニキビの種類によって症状や特徴も変わってくるため、そのニキビにあった方法でケアをしましょう3。
効果的なケア方法や予防法
ニキビの原因は、食生活や運動、休養などの生活習慣、腸内環境、ホルモンバランス、ストレス、合わない化粧品、間違ったスキンケア、紫外線や花粉の影響など、さまざまです。何か1つが原因というわけでもなく、いくつかの要因が影響し合ってできることが多いのです。
ニキビのない肌を目指すためには、日常生活で何がニキビの原因になっているのかを知り、ニキビの種類にあったケアや予防をしていくことが重要です4。
ニキビは悪化すればするほど、治すのにも時間がかかり難しくなってしまいます。普段から予防やケアをしっかりとし、ニキビができた場合は早めに治療をしましょう。
原因が分からない場合や市販薬を使っても良いのか不安な場合は、医療機関を受診し、自分に合う薬を処方してもらうことをおすすめします。
おわりに
ニキビができる人の肌の特徴やメカニズム、ニキビの種類や原因、そしてニキビに効果的なケア方法や予防法について解説しました。
ニキビは痛みやかゆみなどの症状を伴うものもあります。また、見た目的な意味で悩む人も多い肌トラブルです。
まずは生活習慣やストレスの原因、スキンケアなどを見直してみましょう。それでも良くならない場合は医療機関を受診することをおすすめします。
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