PR

家族にだけキレるのは大人の病気?(ASD・ADHD)

忙しい日々を過ごしたり、心に余裕がなくなったりすると、ちょっとしたことでイライラしてしまう人もいるでしょう。
職場の人や友人にはいつも通りに接することができても、家族にだけはキレてしまうというケースも多いようです。

こちらの記事では家族にキレる理由や病気、イライラしたときの対処法について解説します。

家族にキレる理由

まず、家族にイライラしてキレてしまう理由の代表例を見てみましょう。

心に余裕がない

仕事や家事、子育て、介護などで毎日忙しい場合、心の余裕を失っている可能性が高いでしょう。自分の時間を作ることが難しく、常にやらなければいけないことに追われているとイライラしやすくなります。

家族は一緒に暮らしているのにもかかわらず、お互いの忙しさや大変さを本当の意味で理解できていないことも多いです。そのため、「なぜ分かってくれないのか?」「少しは手伝ってくれたっていいじゃないか」とイライラしてしまうこともあるでしょう。

アダルトチルドレン

アダルトチルドレン(AC)とは、家族の不仲や虐待などがある機能不全家族で育ったことにより、心に傷を負い、大人になっても生きづらさを抱えている人のことや、それが原因でトラウマを持つようになるという考えのことを指します。

アダルトチルドレンは、学校や職場などでも対人関係で悩みを抱えやすいなど、さまざまな面で生きづらさを感じています。本来、親から受けるはずだった愛情やコミュニケーションが不足していることによって、家庭でも親の顔色を伺ったり、親から愛されるために感情を抑えてしまったりする傾向があります1

幼少期から家族関係がうまくいっていなかった場合、家族にイライラしてしまう可能性も高いでしょう。もし幼少期の家族関係を振り返ってみて、思い当たることがあったとしたら、アダルトチルドレンであることも原因の1つとして考えられるかもしれません。

コミュニケーションがうまく取れていない

家族間でのコミュニケーションがうまく取れていない場合も、イライラする原因になるでしょう。

家事や育児で忙しいのに、パートナーは仕事や趣味を自由に楽しんでいる。真剣に相談に乗ってくれない。話し合いができない……など、コミュニケーションがうまく取れていない場合、ストレスにもなります。

その結果、1人でいろんなことを抱え込み、ささいなことにもイライラしてしまうといったことにつながるでしょう。

過干渉

家族に対して過干渉になり、余計なことを言ったり、何でもかんでも口を出したりしてしまっている場合もあるでしょう。

家族は一緒に過ごす時間が長く、とても身近な存在です。そのため、思い通りにならなかったらイライラしてしまうことがあります。

そんなときには、「自分の基準だけで物事を捉えていないか?」「過干渉になっていないか?」と自分の言動を見直すことも大切です。家族といっても他人です。自分とは違う面もあるということを意識しながら関わるのが、良い関係や距離感を維持するのには重要です。

家族にだけキレるのは大人の病気?

家族にキレてしまうのは、心の余裕のなさや家庭環境、コミュニケーション不足、過干渉などが原因の1つであることが分かりました。

しかし、それだけではなく「大人の病気」が原因であるケースもあります。家族にだけキレてしまうことがある病気の一例をご紹介します。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)は、さまざまな遺伝的な要因が複雑に絡んで起こる、生まれつきの脳機能障害です。

他者との会話や感情の共有が困難である、身ぶりをまねしてしまう、同じ行動を繰り返してしまうなどの特徴から、対人的相互関係を築くことが難しくなってしまいます2

また、決められた予定や手順などに強いこだわりがあり、新しい環境や人間関係などが苦手な傾向があります。そのため、いつもと違う状況や予想外の出来事に不安を感じたり、癇癪(かんしゃく)を起こしたりすることがあるといわれています。

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意と多動・衝動性が主な特徴である発達障害の概念の1つです。

気が散りやすい、物を失くしやすい、じっとしていられないなどの特徴がよく知られていますが、衝動性が高く、カッとしたらすぐ手が出てしまうなどの行動も見られることがあります。

また、素行障害や反抗挑戦性障害を引き起こすこともあり、それにより反抗的な態度をとるようになります。周囲の理解を得られないと、より攻撃的になったり、暴力・非行などに走ったりするケースもあるといわれています34

パーソナリティ障害

パーソナリティ障害とは、物事の考え方や人との関わり方に偏りがあることによって、社会生活に支障をきたしている状態のことを指します。

例えば、境界性パーソナリティ障害の場合、思い通りにならなかったら癇癪を起こしたり、急に機嫌が悪くなったりするなどの特徴があります。また、自己愛性パーソナリティ障害の場合は、自分は特別だと思い込んでいることから周囲の人に傲慢な態度をとります。反社会性パーソナリティ障害においては、不満があるとすぐにカッとなり攻撃的になったり、人間関係を築いてもトラブルが起こりやすく長続きしなかったりする特徴があります。

このようなパーソナリティ障害により、家族との関係もうまくいかず、すぐにキレてしまうというケースもあるでしょう5

うつ病

うつ病は、日常生活に影響を及ぼすほどの意欲の低下や気分の落ち込みなどが続く病気です。

うつ病になると落ち込むだけでなく、ささいなことにもカッとなり手が出てしまったり、口調が強くなったりすることもあります。普段から怒りっぽい場合を除いて、今までより口調や人当たりが強くなった場合は、うつ病の可能性があります。

また、ストレスを抱えきれなくなり、物を壊したり暴力的になったりするケースもあるようです6

適応障害

適応障害とは、社会で生活する中でのストレスに対する反応が強く現れ、その結果、日常生活に支障をきたしている状態を指します。

適応障害には、職場に行けなくなったり、家族や友人と会話をしなくなったりするなどの行動面での症状と、不安や落ち込みが強くなったり、イライラしたりする精神面での症状があります。

そのため、家族との会話が減ったり、家庭内でもささいなことにイライラしやすくなったりしてしまうと考えられます7

依存症

ギャンブルやアルコール、ゲーム、薬物など、ある特定のものに依存し、コントロールできなくなる依存症。依存症になると、日常生活だけでなく、家族や友人などの人間関係にも影響を及ぼすようになり、問題が起こってもなお、依存対象への行動を断ち切ることが困難になります。

依存症になると人間関係だけでなく、心身の健康にも影響が出ます。例えば、ギャンブルやゲームができない状態になったり、その行動をやめようとしたりするとイライラしてしまいます8

家族にイライラしたときの対処法

最後に、家族にイライラしたときの対処法をご紹介します。
家族にイライラしてキレてしまうことがある方は参考にしてみてください。

体を休める

忙しくて疲れていることや睡眠不足が原因でイライラしてしまう場合は、睡眠をしっかりとることや、ストレッチなどで筋肉を緩めることが効果的です。

普段どんなに穏やかな人でも疲れていると、ささいなことでイライラしやすくなるでしょう。まずは、体を休めることが大切です。

ストレスを解消する

毎日忙しく、息抜きをする時間が取れないとストレスがたまっていく一方です。ストレスがたまると、ちょっとしたことでカッとなったり、口調が強くなったりすることがあります。

たまには気分転換に出かけたり、自分の好きなことをする時間を作ったりして、ストレスを解消しましょう。

怒りを分析する

イライラや怒りは感情であるため、目に見えません。そのイライラや怒りについて分析し、可視化することで感情的になりすぎずに済む場合もあるでしょう。

「何に対してイライラしたのか?」「なぜ怒っているのか?」「どのくらいのレベルで怒っているのか?」を紙に書き出して、言語化・数値化してみるのがおすすめです。

紙に書くことで可視化され、客観的に見ることができます。イライラしたときは一度紙に書いて、客観性や冷静さを取り戻しましょう。

環境を変える

もし、目の前にイライラする人物や対象が存在している場合、いったんその場を離れてみるのがおすすめです。

攻撃的になる前に、冷静になれる場所で一度リセットしましょう。トイレに行ったり、部屋を出たりして、気持ちを切り替えるのが効果的だといえます。

深呼吸をする

イライラしているときはリラックスできておらず、呼吸が浅くなっていることがあります。そのため、イライラしたら深呼吸をしてみましょう。

深く呼吸をすると、副交感神経の働きが高まり、心が落ち着きます。時間をかけて深く息を吸い、吐き出しましょう。

アンガーマネジメントを取り入れる

アンガーマネジメントとは、アメリカで開発された心理レーニングです。「怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになること」を目標としており、現在は企業などでも取り入れられています9

アンガーマネジメントを取り入れることで、怒りとうまく向き合えるようになり、人間関係にも良い影響を及ぼすようになるでしょう。

家族以外の人と話す

家族のことを話せる友人やパートナーがいる場合は、話を聞いてもらうなど、家族以外の人と話す時間を作るのも1つの方法です。

「大変だよね」「その気持ち分かるよ」などと共感してもらうことで、気持ちが落ち着くこともあるでしょう。1人で抱え込まず、周囲の人に相談しましょう。

カウンセリングを受ける

さまざまな対処法を実践してみてもイライラが落ち着かない場合や、病気の可能性がある場合はカウンセリングを受けたり、医療機関を受診したりしましょう。

病気の場合、周囲の人のサポートも大切ですが、それだけではどうにもならないこともあります。専門家のサポートを受けながら治療していくのが良いといえます。

また、アダルトチルドレンなど、家族関係に問題がある場合は、1人で抱え込まずに第三者に話を聞いてもらうことも大切です。カウンセリングを受け、これまでの家庭環境やトラウマについて振り返ったり、今後どのように付き合っていくのかを話したりすることで改善される場合もあります。

おわりに

家族にキレる理由や病気、イライラしたときの対処法について解説しました。

自分で感情をコントロールできるのが理想的ですが、病気や自分では対処が難しいと感じた場合には、カウンセリングを受けるなど専門家に相談するのが良いでしょう。

  1. 銀座泰明クリニック「「アダルトチルドレン」「機能不全家族」とは」
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」
  4. J-Stage「破壊的行動障害のマーチと共感性及び虐待・放任との関連について 渕上康幸」
  5. 精神科・心療内科 天神橋こころのクリニック「パーソナリティ障害」
  6. 社会医療法人 博友会「攻撃的なうつ病の人がとる3つの行動・特徴と周囲の方ができることを解説」
  7. 昭和通りメンタルクリニック「適応障害」
  8. 依存症対策全国センター「e-Learningで学ぼう 依存症の基本」
  9. 一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメントとは?」

コメント