育ってきた環境は人それぞれ異なります。家庭環境が複雑であれば、性格や人間関係に影響を及ぼすこともあります。
こちらの記事では、家庭環境が複雑な人の特徴や性格に影響する理由、家庭環境が複雑な人と付き合う上での注意点について解説します。
家庭環境が複雑な人の特徴
家庭環境が複雑な人に多く見られる特徴をご紹介します。
全員に当てはまるわけではありませんが、傾向として参考になれば幸いです。
自信がない
家庭環境が複雑な人の中には、自信がない人が多いと考えられます。
兄弟との比較や虐待、両親の不仲などにより、親から十分な愛情を受けられなかった場合、自信がなくなってしまう傾向にあります。
また、子どもの頃から自信を失うようなことを言われ続けることで、自信が持てなくなってしまうこともあります。
何かを成し遂げたり、努力をしたりすることでつく自信ではなく、もっと深くにある「愛されているから大丈夫」という自信が持てないのです。
劣等感がある
常に兄弟や周囲の人と比較されて育ってきた場合や、幸せそうな家庭が羨ましいと思っている場合、いつも人と比較してしまい劣等感を覚えるようになるでしょう。
「自分は周りの人と比べて劣っている」「もっと幸せな家庭に生まれたかった」と暗い気持ちになってしまいます。
劣等感から、無理をして頑張ったり、逆に「自分なんて頑張っても無駄だ」と諦めてしまったりすることもあるでしょう。
優しすぎる
複雑な家庭環境で育った場合、優しすぎる人になることもあります。
親の機嫌が悪く、子どもの頃から常に親の顔色をうかがって過ごしてきた場合や、両親が不仲で仲裁役を担っていた場合など、いつも人の気持ちを考えて優先してきた人は、他人に対しても同じように優しくなるのです。
自分の気持ちよりも、他人の気持ちを考えて大切にする傾向があるため、ものすごく優しい人のように思えます。
自己犠牲的
家庭環境が複雑な人の特徴として、自己犠牲的であることも挙げられます。
どんなにつらい環境でも、「自分さえ我慢すれば」と思ってしまうのです。
子どもの頃から、「自分さえ我慢すれば」と思うことが当たり前の環境で過ごすと、家庭以外の場でもそのように思ってしまうようになるでしょう。
怒りっぽい
子どもの頃から何かと我慢することが多い場合、ストレスがたまり、怒りっぽい性格になってしまうこともあります。
また、親がすぐに怒ったり声を荒げたりする人であれば、親の影響を受けてしまっている場合もあるでしょう。
人をいじめる
家庭環境が複雑な人の中には、人をいじめてしまう人もいます。
家庭でのストレスを外で発散してしまうのです。子どもの頃、よく人をいじめていた人は家庭環境に問題があることも多いです。
大人になっても、職場などで人をいじめたり、意地悪なことをして陥れようとしたりするかもしれません。
人にいじめられる
逆に、人にいじめられてしまうケースもあります。
自信がなかったり、他人との距離感がうまくつかめなかったりすることで、いじめの対象になってしまうことがあるのです。
自分を責めてしまう
家庭環境が複雑な人は自分を責めてしまう傾向にあります。
「両親が不仲なのは自分のせいだ。自分がなんとかしなきゃ」「家にお金がないのは自分のせいだ」「自分なんて生まれてこなければ良かった」と、自分のせいではない家庭の問題を自分のせいのように思うのです。
子どもの頃からそのように過ごしていると、成長しても何か悪いことやトラブルが発生したときに、必要以上に自分を責めてしまうようになります。自分が悪くなくても、「自分が悪い」と思ってしまうのです。
人間関係に疲れやすい
家庭環境が複雑な人の中には、人間関係に疲れやすい人も多いでしょう。
子どもの頃から親の顔色をうかがったり、家族の気持ちを考え優先してきたりすることが当たり前だったため、家庭以外の場所でも顔色をうかがうことや、人の気持ちを考える癖がついてしまっています。
家庭でも社会でも、常に人の顔色をうかがい、相手の気持ちを考えていたら当然疲れてしまいます。
特にトラブルがなくても、気を使い続けていることでエネルギーを大きく消費しているのです。
生きづらい
家庭環境が複雑な人は、毎日生きづらさを感じていることが多いです。
周りとうまく馴染めなかったり、人の気持ちを考えすぎて自分の気持ちがわからなくなってしまったり、慢性的に疲れを感じていたり……。さまざまな場面で生きづらさを感じてしまうのです。
大人になって家を出たとしても、その生きづらさが続いてしまうことも多いでしょう。
家族のことを話さない
会話の中で家族の話が出ない場合、家庭環境が複雑であるケースもあるでしょう。
複雑な家庭環境のことを人に話したいとは思えないのです。「そもそも人に知られたくない」「こんな話をして気まずくなるのが嫌」などの気持ちから、家族の話を出さなくなります。また、話すのが本当につらいということもあるでしょう。
家に帰りたがらない
家に帰りたがらないことも、家庭環境が複雑な人の特徴といえるでしょう。
本来、家庭は安らげる場所であることが理想です。しかし、家庭環境が複雑な場合、家にいても気持ちが休まらないのです。休まらないどころか、外にいるときよりも気を使い、疲れてしまう場合もあります。
そのような場所に帰りたいとは思えないため、帰宅時間を遅らせるなどして家にいる時間を減らそうとするのです。
また、大人になって家を出た後も、実家に帰りたがらないということもあるでしょう。
幸せな家庭に憧れる
複雑な家庭環境で育つと、温かく幸せな家庭に憧れを抱くようになります。
ドラマなどで見る温かい家庭や、友達の幸せそうな家庭を羨ましく思います。「自分もそういう家庭で生まれたかった」「温かい家庭に生まれていたら、もっと違う人生だったんじゃないか」と思うのです。
生まれた家庭は選べませんが、「結婚したら幸せな家庭にするんだ」と強く思っている人もいるでしょう。
結婚願望がない
複雑な家庭で育つと、結婚や子どもを産むことにいいイメージを持てないこともあります。
そのため、結婚願望がなかったり、子どもを産むことに不安や恐れを抱いていたりすることがあります。
両親が不仲であると、「結婚しても幸せになれるとは限らない。むしろ不幸になるのでは?」と思ったり、「無意識のうちに自分の子どもにも両親と同じことをしてしまいそう」と悪い想像をしてしまったりするため、結婚や出産に希望が持てなくなるのです。
恋愛がうまくいかない
家庭環境が複雑で、親からの愛を十分に感じられないまま育った場合、恋愛がうまくいかなくなることがあります。
「自分は愛されていない」というセルフイメージが根底にあるため、振り向いてくれない相手にしがみついたり、尽くしすぎてしまい相手が離れたりするなど、恋愛に支障が出てしまうことが多くなります。
また、ギャンブルなどでお金にだらしない親や不倫をする親のもとで育つと、親のことを嫌いだったとしても親と同じような異性にひかれていることもあるのです。
そして、恋愛自体に依存してしまうケースもあるでしょう。自分が空っぽのように感じられたり、自分と向き合うのが怖かったりするため、逃避するように恋愛に依存してしまうのです。
家庭環境が性格に影響する理由
次に、家庭環境が性格に影響する理由を見ていきましょう。
親の影響
子どもは親の影響を大きく受けます。幼い頃からそれが当たり前だったのであれば、家庭以外の場面でも親と同じように振る舞ったり、家庭内での役割を担ったりするようになります。
愛情不足
親からの愛情が不足していると、自信が持てなくなったり、人間関係がうまくいかなかったりします。
「自分は愛されている」「ありのままの自分で生きていいんだ」と思えることは、やりたいことを実現したり、良好な人間関係を築いたりする上で必要なことなのです。
虐待・ネグレクト
虐待やネグレクトがある場合、子どもの成長や発達に悪い影響を及ぼす可能性が高いです。社会で生きていくための力や、人との信頼関係を築く力などをつけるのが難しくなり、問題を抱えてしまうことにつながることがあります。
また、トラウマに苦しむケースもあります。
心の健康
家にいるときも、ずっと気を使っていたり、親の顔色をうかがっていたりすると緊張や不安にさらされ続けていることになるため、心の健康に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
成長しても、安心感が得られず毎日不安を抱えて過ごすことになったり、人を信じることができず人間関係でつまずいてしまったりするようになります。
経済的な問題
貧困や家計の状況が不安定な場合、成長や発達に悪影響を及ぼすことがあるでしょう。
常に不安にさらされているため、安心感や安定感を得られなくなってしまうことがあります。
教育の機会
教育の機会が制限されると、十分に勉強したり、必要な知識・スキルを身につけたりすることが難しくなってしまいます。
勉強ができることが全てというわけではありませんが、将来の選択肢が狭まってしまうなどの問題が起こる可能性があります。
家庭環境が複雑な人と付き合う上での注意点
最後に、家庭環境が複雑な人と付き合う上での注意点をご紹介します。
信頼関係を築く
お互いに安心して関わり合えるよう、信頼関係を構築することが大切です。
育った環境が違いすぎると、理解できない部分も出てくると思います。しかし、相手を否定するのではなく、尊重することが大切です。
コミュニケーションを大切にする
家庭環境が複雑な人の中には、人との信頼関係を築くことが難しいと感じている人も多いです。
信頼関係を築く上で大切なことの1つが、コミュニケーションをしっかりとるということです。コミュニケーションを積み重ねることで、時間をかけて信頼関係を構築していきましょう。
境界線を引く
家庭環境が複雑な人のことを考えすぎたり、何か力になりたいと思ったりすることもあるかもしれません。
しかし、相手との境界線をしっかりと引くことは大切です。
境界線が曖昧になると、依存的な関係になり、うまくいかなくなることが多いでしょう。
深入りしすぎず、適切な距離感で関わるよう心がけましょう。
配慮をする
家庭環境が複雑な人は、自分の家庭のことや過去のことを話したがらないことも多いです。
相手を理解したいからといって、無理に話させようとするのは避けましょう。
トラウマを抱えている場合もあるため、まずは信頼関係を築き、配慮をしながら適切な距離感を保ちましょう。
適切なサポートをする
家庭環境が複雑な人は平気なふりをしていても、実は助けを求めているということもあります。
もし、相談されたり助けを求められたりした際は、自分にできることの範囲内であればサポートしましょう。しかし、自分には手に負えないことであれば、専門家に相談することも大切です。適切なサポートをしましょう。
おわりに
家庭環境が複雑な人の特徴や性格に影響する理由、家庭環境が複雑な人と付き合う上での注意点について解説しました。
家庭によって状況は異なりますが、家庭環境が複雑な人の特徴には「自信がない」「人との信頼関係を築くのが難しい」などの傾向があるといえます。
相手との境界線をしっかりと引き信頼関係を築いていけるよう、コミュニケーションを大切にしましょう。
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