みなさんこんにちは!
仕事や家事、育児、親戚付き合いなどなど。
意識していないかもしれませんが、みんな毎日を一生懸命過ごしています。
その中で、感情的になって怒ることもあるのではないでしょうか?
このページを見ている人はきっと「今のままじゃだめだ」という思いを持っているかもしれませんね。
今回は、「怒り」という感情とうまく付き合い、自分も周りも大切に生活ができる手がかりをご紹介します。
アンガーマネジメントとは?
「怒りの感情をできる限りコントロールし、必要なときに相手に気持ちを伝えられるようにする方法」がアンガーマネジメントといわれます。
よく「怒りを無くす方法」として紹介されることがありますが、これは正しい説明ではありません。
なぜなら、怒りという感情自体、私たちが生きていくうえで非常に役に立つ感情だからです。理由をご説明しましょう。
「怒り」が必要な理由
怒りの感情は、主に「自分の身を守るため」に役立ってきました。
みなさんは動物園で猿の喧嘩を見たことはありますか?その時、猿はどんな表情をし、どのような行動をしているでしょうか?試しに思い出してみましょう。
猿たちは、皆険しい表情をしながら、攻撃したり逃げたりしていることがわかります。
更に詳しく見ていきましょう。
猿たちの喧嘩は突然始まっているように見えますが、実は「ほかの猿からボスの地位を守ろうとしている」「子猿を守るためにほかの猿を追い払っている」等の理由があります。
このように、猿たちは「怒り」の感情を駆使しながら、自分を守ったり、自分にとって都合の良い場面を増やそうと行動しています。これは、社会的な動物である私たち人間も同じです。
しかし、怒りをありのまま表現したら有利になるとは限らないのが、人間社会の難しいところです。
「怒り」の正体は・・・
先ほどの節で、「怒り」の感情を利用して、人間は行動を起こしてきたとお話ししました。
「怒り」は第2次感情と呼ばれており、「怒り」は単体では存在せず、ほかの理由(感情)によって成り立っているといわれています。
先ほどのボス猿の喧嘩を思い浮かべてみましょう。
猿は上下関係の厳しい生き物で、下の地位の猿は行動が制限されています。ボス猿にとって、ボスの地位を追われてしまうと、食べ物に不自由するなどの不利が生じます。地位を脅かされると、最悪の場合命に関わるわけです。
さて、みなさんがボス猿だった場合、どのような気持ちになりますか?おそらく、不安な気持ちが湧き上がってくるのではないでしょうか?
ここまで考えると、「地位を追われる不安」から、「怒り」という形で喧嘩をしていることがわかります。
このように、「怒り」の陰には、不安や悲しみといったほかの感情が隠れているのです。
「怒り」=「いけないこと」になる場合とその理由
ここまでご説明したように、「怒り」は必要な感情です。
問題となるのは、「怒り」がコントロールでされず、伝え方が相手や状況に合っていない場合です。
「怒る」と「叱る」の違い
「怒る」は、怒りをそのまま相手にぶつけることを言います。
一方、「叱る」は、怒りをコントロールしながら、相手の成長や今後を考えたうえで、必要なことを伝える行動です。
(例)仕事のミスについて、上司のAさん・Bさんがそれぞれ部下を呼びました。
上司Aさんは部下に対して、「こんなことして、仕事ができない奴だな」と大声で言いながら、資料を机に叩きつけています。
上司Bさんは部下に対して、「このミスは〇〇の影響があるから困るんだ」と淡々と言っています。
この場合、上司Bさんのほうが部下に言いたいことが伝わりやすいでしょう。
アンガーマネジメントが必要な人
アンガーマネジメントはすべての人に必要です。
特に、以下の3つの行動は刑事罰といった社会的なリスクがあるため、身に覚えのある方は専門家の力を借りながら取り組まれることをおすすめします。
①物を壊すといった破壊行動をする
②人を叩く、嫌がられるちょっかいを出すなどの他害行動をする
③SNSでカチンとくる投稿を見つけると、表現や事実の検証などを考えずに、批判や反論を書き込む
アンガーマネジメントの効果
アンガーマネジメントを練習し、身につけることには様々なメリットがあります。
ストレスが減る
「怒り」という感情は、ぶつける側もぶつけられる側もすっきりしない場合がほとんどです。
「あの時は思わず怒鳴っちゃったけど、さすがにまずかったよね」等、後悔する人も多いと思います。
アンガーマネジメントを実践すると、怒りに任せた行動を減らすことができます。
感情的な行動を減らすことは、結果的に自分のストレスを減らすことにも繋がります。
コミュニケーションが上手になる
「怒り」は別の感情が募った結果生じる感情です。
アンガーマネジメントでは、「怒り」の正体を自己分析する方法もあります。
「怒り」に隠れた本当の気持ちを知ることだけでも、コミュニケーションの手掛かりになります。
自分の素直な気持ちを、相手に伝わりやすい方法で伝える手段を考えることができるため、コミュニケーションスキルを高める効果も期待できます。
自分にも相手にも無理のないコミュニケーションの形ができると、自分にとって楽な人間関係を作ることができるでしょう。
自己肯定感が育つ
アンガーマネジメントを通して自己分析を行うことで、「自分がどんな人と楽しく過ごせるのか」「どんな時に、どんな気持ちになりやすいのか」など、自分を知ることができます。
自分を知ることはすなわち、自分の取扱説明書を作ることといえます。自分の扱い方や困ったときの対処法を知っておくと、あらかじめ対策を練ることができます。
このような自分を知る作業を通して、自分自身への信頼感や安心感といった、自分を認める力(自己肯定感)が育つのです。
アンガーマネジメントは子育てにも使える!
アンガーマネジメントは、子育てにも応用ができます。
親がアンガーマネジメントを身につけるメリットをご紹介します。
子供にキレにくくなる
子育てはとにかく大変です。
子供を授かり産むだけでも大変なのに、育てるとなると思い通りにならないことの連続でしょう。
キレないほうがむしろ難しいと思います。
世の中のお父さんお母さんには、なによりもまず「子育てはキレたくなるくらい大変で、それに向き合っている自分は偉い」と思っていただきたいところです。
さて、本題です。
子供は大人に比べて、「こうしたらどうなるか」ということを経験的に知りません。
なので、同じことを繰り返し伝え、教える必要があります。
その際、大人がキレて
「もう!片付けなさいとあれほどいったでしょう!」
「ほらみなさい!お父さんお母さんの言うこと聞かないからそうなったんだよ!」
と怒鳴ることもあるかと思います。
このとき、子供はどのような反応をしていましたか?
子供の個性にもよりますが、驚いた表情でフリーズしていたり、怖くて泣きだしたり、癇癪を起こすなど、大人が求めている動きとは違うことをしていないでしょうか?
実はこのとき、「お父さんお母さんが突然大きな音を立てて怖い」等、反省よりも恐怖が勝っている場合がほとんどです。「なんかよくわからないけど怖い!」という状態で、子供なりに混乱しています。
大人もそうですが、混乱していると、周りの言いたいことが本人に伝わりにくくなります。こうなると、親が本当に身につけさせたかったことが子供に伝わらず、悪循環になりやすいです。
親が「怒り」を少しでもコントロールできるようになると、この悪循環を断ち切り、伝えたいことを冷静に、はっきりと、繰り返し子供に伝えやすくなります。
そうすると、子供の反応も少しずつ変わっていきます。
子どもに「怒りの感情をコントロール」教えてあげられる
親がアンガーマネジメントを自分なりに理解し、身に着けていると、それを子供に教えることができます。
(例)ゲームに負けると怒って物を投げてしまう
①「ゲームに負ける」=「悔しい」「頑張ったのに勝てなくて悲しい」といった気持ちが生じています。
子供は、大人に比べると気持ちを言葉にする力が乏しいので、うまく表現できず「なんだか嫌!」という気持ち悪さを感じていることが多いです。
その不快感をどうにかしようとして、「物を投げる」という行動にでていると考えられます。
②「物を投げる」行動は、物が壊れたり、誰かをケガさせてしまうことがあるため、不適切な行動です。
③②の行動の代わりに、気持ちをすっきりさせたり、切り替える手助けになる行動は何があるかを考えます。
④親としてできることをします。
「不適切な行動②を止めて」「考えられる子供の気持ち①を伝えつつ」「どうすればよいか③を一緒に考える。親として案を出す」
ができればベストでしょう。
しかし、上記のようにいくことのほうが稀だと思います。
なので、まずは子供と周囲を守るため、「不適切な行動を止める②」が先決でしょう。
別の部屋に連れていき、落ち着くまで一緒に過ごすなどが有効です。「不適切な行動②」のきっかけになったものから一度離れることが大切です。
子供が落ち着いたころを見計らって、親子で①③の振り返りをしましょう。
このとき、イラストにしながら取り組むと、子供にわかりやすく伝わるかもしれません。
自分の子供に合わせた工夫をしてみてください。
アンガーマネジメントのやり方・トレーニング方法
いよいよ、アンガーマネジメントの具体的な方法をご紹介します。
ご自分1人でも、誰かと取り組んでも構いません。
親子でやってみるのもよいでしょう。
大事なことは「繰り返し、練習する」ことです。
自分の習慣にしてしまうことがベストです。
6秒カウント
「怒りを感じたら、6秒数える」だけです。
諸説ありますが、感情の昂りのピークは6秒といわれています。
どんなに強く怒りを感じても、6秒以上は維持できないのです。
この方法は、その感情の性質を利用しています。
「ムカッときたら、一度数字だけ思い浮かべて(時計を見てもよいでしょう)、ゆっくり6秒数える」
を癖づけてみましょう。
その場を離れる
怒りの原因から一度離れることで、自分を取り戻しやすくなります。
職場でムカッときたら「すいません、トイレに行ってきますね」。
家庭でムカッときたら「ちょっと頭冷やしたいから、顔を洗ってくるね」。
状況に合わせた表現や行動のテンプレートをいくつか持っておくと、怒りを強く感じても行動に移しやすくなります。
周囲にも「あの人は今なにかを感じたのかもしれない。でも、感情任せに行動しないように工夫していて尊敬できる」等、ポジティブな評価につながるといった副産物にも期待ができます。
自分の「ご機嫌リスト」を作る
怒りに関わらず、不快な感情から自分を助けることは大切です。
それをお手伝いしてくれる道具として、「ご機嫌リスト」の作成はおすすめです。
やり方は「自分が好きなもの、心地よくなるモノや行動をリストアップする」だけです。
お気に入りのお菓子を食べる、空を見る、毛布にくるまるなど、自分もほかの人も安全であればなんでもありです。
怒りがなかなか収まってくれない時などにこのリストを確認するだけで、「私にはこれがあるから大丈夫」という気持ちを支えてくれます。
できそうであれば、実行に移してみるとよいでしょう。
アンガーログ(怒りの記録)をつける
アンガーログとは、「怒りを捉えなおし、自己分析するための記録」です。
①いつ・どこで③なにがあった④どう感じた⑤どう反応した(行動した)
の5項目を記録します。
この項目があれば、手帳の空いたスペースにメモをするだけでも十分です。
余裕があれば、⑥行動した結果(どうなった)を追加で記録すると、尚良いでしょう。
自分の怒りを記録することで、怒りそのものを客観視できるようになり、似たような出来事に遭遇した際に感情的になりにくくなります。
記録をしていくと、「うまく怒りをコントロールできた」成功体験が見つかりやすくなります。成功体験は、その人の自信を育ててくれます。
また、記録をするなかで、自分の信念(べき思考)に気づくことがあります。
(例)「男女平等にするべきだ」→上司の「男だから~」発言にイラっとしやすい
「トイレットペーパーは使い切った人が取りかえるべきだ」→前の人が空のままにしているとムカッとしやすい
自分の信念に気が付くと、あらかじめ衝突を予防できます。
また、自分の考えとほかの人の考えの違いに気づきやすくもなるため、周囲との違いを認めたコミュニケーションがとりやすくなる効果も期待できます。
アンガーマネジメントおすすめ情報
アンガーマネジメントに関する本はたくさん出ているので、手に取って読んでみることをお勧めします。
「はじめての『アンガーマネジメント』実践ブック」安藤俊介・著
「子育てのイライラスッキリ!ママのアンガーマネジメント8つのマジック」一般財団法人 日本アンガーマネジメント協会・監修
また、ネット上のアンガーマネジメント診断もお勧めです。(メールアドレスの登録が必要)
アンガーマネジメントは効果なし?危険な考え方?
「自分の感情をコントロールするなんて、自然なものではない」等、疑問や批判の声が時々聞かれます。その理由も様々です。
大事なのは、アンガーマネジメントは「自分が気持ちよく生活しやすくなるための1つの方法」ということです。
気持ちよく生活することの基準は人によって違い、合う合わないも当たり前のようにあります。
自分に合っているかどうかは、試行錯誤を繰り返さなければ判断が難しいです。
ですので、「まずは1か月くらい試してみて、自分に合っていたら採用し続ける」という、ゆるい姿勢で取り組んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
お疲れさまでした!
ここまで読みきったあなたは、きっと以前よりも自分の「怒り」と上手に付き合えるようになっています。
あとは練習あるのみです!
みなさんのことを、陰ながら応援しています。
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