一人っ子というと、「親に甘やかされている」「我慢を覚えていなくてわがまま」など、ネガティブなイメージを持っている人も少なくありません。
「自分は一人っ子だけど、他人にはどう思われているんだろう?」「うちの子は一人っ子だけど大丈夫かな?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、一人っ子にありがちなデメリットや、逆に一人っ子だからこそのメリットについて詳しく解説していきます!一人っ子にまつわるお悩みを抱えている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
一人っ子は増えている
少子化が叫ばれる昨今、日本における一人っ子の割合は年々増加しています。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「第 16 回出生動向基本調査」によると、子どもを産み終えた夫婦の出生子ども数が「一人」である割合は、1977年の調査では11.0%・2021年の調査では19.7%となっています。
出生過程がほぼ完結した結婚持続期間 15~19 年の夫婦の出生子ども数の分布をみると、2005 年(第 13 回)調査以降、「子ども1人の夫婦」の割合がゆるやかに増加しており、今回調査では19.7%と約2割を占めた。
第 16 回出生動向基本調査
数十年前はあまり多くなかった一人っ子も、今では2割近くを占めるほどに。「うちも一人っ子」「まわりにも一人っ子が多い」という方も多いのではないでしょうか?
子育てにお金が掛かることや晩婚化が影響し、今後も一人っ子の割合はさらに高まると予想されます。
一人っ子のデメリット8つ
さまざまな事情から一人っ子にならざるを得なかった、またはあえて一人っ子を選択したという方もいるかと思います。
どんな兄弟構成でもメリット・デメリットがあるものですが、ここでは一人っ子にありがちなデメリットを詳しくご紹介していきます。
孤独感を感じやすい
複数の兄弟がいる家庭は自然とにぎやかになるものですが、一人っ子の家庭は静かです。家で会話をする相手も両親や祖父母などの大人しかいないので、どうしても寂しさを感じてしまうことが多いでしょう。
また、大人になってからも兄弟がいれば助け合うことができますが、一人っ子は頼りになる家族が両親しかいません。もしも一人っ子が結婚せず独身のままの場合、両親の死後は身寄りがなく非常に孤独になってしまいます。
親の老後の負担が大きい
両親が元気なうちはいいですが、高齢になったりして介護が必要になった場合、一人っ子はそれを一人で背負わなければなりません。兄弟がいれば、両親の世話やお金のやりくりも助け合うことができますが、一人っ子はそれができません。
経済的な問題などで施設を利用できない場合は、家で両親の面倒を見なければならず、一人っ子の生活や仕事などにも影響する可能性があります。
過保護または高い期待
一人っ子は両親の視線や関心が一点に集中してしまうので、どうしても過保護・過干渉になりやすいです。困っている姿を見るとつい手を出してしまったり、ちょっとした欠点が気になって口うるさくなったりして、子どもの自主性や自立心を奪ってしまう可能性があります。
また、一人しかいない子どもをしっかり育てようと気合が入るあまり、しつけ・勉強・スポーツなどで高い期待をかけてしまう親も多いです。子どもの方も、親を悲しませたくないのでイヤとは言えず、本当の気持ちを押し殺して期待に応えようとしてしまいがちです。
わがままだと思われやすい
「一人っ子はわがまま」と言われやすいですが、実際にはわがままではない人も多いですし、兄弟がいてもわがままな人もいます。一人っ子というだけで偏見を持たれてしまうので、ストレスに感じる人も多いでしょう。
また、一人っ子はまわりに流されない芯を持っている人が多く、他人から「マイペース」と思われることが多い傾向があります。そのブレない姿勢が、「わがまま」と誤解されてしまうこともあるかもしれません。
コミュニケーション力が身に付きにくい
年の近い兄弟がいると、ケンカは避けては通れません。おもちゃやゲーム、お菓子などを巡ってのケンカは日常茶飯事で、そういった兄弟だからこそできる衝突を繰り返しながら、コミュニケーション力も自然と身に付きます。
一人っ子も親との会話はしっかりできますが、やはり大人は気を使ってくれるので子ども同士のやりとりとは違います。同年代の子どもとの関わりを意識的に増やさないと、他人との距離感の取り方やトラブルの解決の仕方などが身に付きにくいかもしれません。
遊び相手が少なくなりやすい
一人っ子の場合、家に帰ると遊び相手は親しかいません。親を独り占めすることはできますが、兄弟同士でキャーキャーと騒ぐような子どもらしい遊びは中々難しいでしょう。
また、親の方も、ずっと子どもの遊び相手をするのは大変なので、自然とひとりでゲームをしたり本を読んだりといった時間が増えてしまいがちです。
競争心が育ちにくい
兄弟がいる場合、「親が兄弟同士を比較する」ということがしばしば起こります。比較しすぎると子ども側は大きな不満や劣等感を持ってしまいますが、競争心が刺激されて「負けないぞ!」と頑張ることにもつながります。
一人っ子は、兄弟と比較されることがないので、他人と張り合ったりしない穏やかな性格に育ちやすいです。一方で、競争心が育ちにくく、粘り強さや行動力に欠ける場合があるため実力主義の社会でギャップに悩まされる可能性もあるでしょう。
我慢を覚える機会が少ない
兄弟がいる家庭では、ひとりの要望だけを尊重しているとほかの兄弟からブーイングが発生するので、譲り合ったり分け合ったりする必要があります。当然子どもは不満そうにしますが、そんな経験を繰り返して我慢を身に付けていきます。
一人っ子の場合、家庭の中では自分の要望が通りやすいです。大人はすぐに「いいよ」と譲ってくれますし、兄弟で順番待ちをする必要もありません。ストレスは少ない環境ですが、我慢への耐性が身に付かず自己中心的な性格になってしまう可能性もあります。
一人っ子のメリット
ここまで、一人っ子のデメリットをご紹介してきましたが、実際は「一人っ子は最高!」「一人っ子が羨ましい…!」とポジティブに感じている人も多いんです。
ここでは、一人っ子のメリットを詳しくご紹介していきます。
親に愛情をかけてもらいやすい
兄弟が多くても愛情たっぷりの家庭はありますが、どうしても親の関心は分散しやすくなります。親が意図する・しないに関わらず、兄弟間の扱いに差が生まれて、不満を持つ子どもも少なくありません。一方、一人っ子は親の関心や愛情を一身に受けることができ、兄弟間の格差に悩むこともありませんよ。
また、一人っ子は親がきちんと話を聞いてくれたり、一緒に遊んでくれたりと、しっかりと向き合ってくれることも多いので素直で穏やかな性格に育ちやすいのも特徴です。
教育や娯楽にお金をかけてもらいやすい
子どもを一人育てるためには多額のお金が掛かると言われており、兄弟の数が多いほど両親の経済力が必要になります。一人っ子の方が、学費や習い事の費用などを十分にかけてもらいやすいでしょう。
また、遊園地などの入場料や旅行での宿泊費、移動の交通費なども、兄弟が多いとどんどん膨れ上がってしまいます。一人っ子ならその分の費用で遠くに旅行に行けたり、高級なホテルに泊まれたりする場合もあるでしょう。
兄弟と比較されない
兄弟のいる人の多くは、「兄弟差別」に不満を感じています。「お兄ちゃんはできたのに」「妹に負けてどうするの」「弟の方が可愛い」など、兄弟と比較をされて劣等感が高まり、自己肯定感が低くなってしまう人も多いです。
一人っ子の場合はそういった比較をされないので、自信を失うことなく成長できる可能性も高いですよ。
穏やかな性格になりやすい
一人っ子は、兄弟にペースを乱されることなく落ち着いた生活ができるので、自然と穏やかな性格になるでしょう。兄弟がいると、常に競争を強いられるため、ガツガツした負けず嫌いな性格になることもありますが、一人っ子はまわりに振り回されない性格の人が多いですよ。
他人とあえて張り合ったり、争いごとに首を突っ込むこともしない平和主義者なので、周囲にも慕われやすいです。
スケジュールに余裕を持てる
兄弟が多いと、その分用事も増えて親は大忙し。どこかに出掛けたくても、小さな兄弟がいると遠出が難しかったり、習い事をしたいけれど兄弟の予定とバッティングしてしまうということもあります。
一人っ子の場合は、親の時間を一人だけに使えるので、余裕を持ったスケジュールを組むことができますよ。
一人っ子によくある性格の特徴
「わがまま」や「甘えん坊」などと言われやすい一人っ子ですが、実際にはどんな性格の特徴があるのか気になりますよね。
ここでは、一人っ子によく見られる性格の特徴についてご紹介します。必ずしもすべてが当てはまるわけではありませんが、一人っ子の傾向として参考にしてみてくださいね。
マイペース
一人っ子は、兄弟ゲンカや競争に巻き込まれることがないうえに、親の愛情を一身に受けて育つ人が多いので、基本的に穏やかでマイペースな性格になりやすいでしょう。
家では、兄弟に邪魔されることなく自分の時間を充実させることができるため、自分の能力を大いに伸ばすことができます。一方で、他人のペースに合わせるのはあまり得意ではありません。
こだわりが強い
一人っ子は、兄弟がいないぶん家庭内で自分の意見が通りやすいので、「絶対こうしたい!」と思ったら引かない頑固な面もあります。こだわりが強く、自分の思い通りにならないと不機嫌になってしまうこともあるでしょう。
平和主義
一人っ子は、兄弟間の競争に巻き込まれることもなくマイペースに過ごしてきたので、争いごとは好まない平和主義者が多いです。部活や会社などで成績を競い合ったりするのも、肌に合わないと感じることがあるでしょう。
気分が変わりやすい
一人っ子は家庭内で自由に過ごしてきたので、イレギュラーに対応する力が低くなりがち。周囲の人が自分の考えやペースに合わせてくれないと、気分が不安定になってしまうこともあります。
一人っ子の人がすべてそうではありませんが、こういった傾向はみられるため「一人っ子はわがまま」というイメージが付きやすいのかもしれません。
親に依存しがち
一人っ子の場合、必然的に親と子の繋がりが強くなるため、親の影響力も大きくなりがち。親のことを全面的に信頼していて、親の意見には文句も言わずに素直に従うという一人っ子も少なくありません。
ですから、大人になっても事あるごとに親に相談したり、悩んだときは親に決めてもらったりと依存気味の人もちらほら見られます。一人っ子と結婚するときに、親とのつながりの強さに驚かされたというパートナーも多いようです。
努力家
一人っ子は親からの期待も高まりやすいので、親に認められたいがために頑張り屋さんになる人も多いですよ。また、親がしっかりと勉強などを見てくれたり、習い事にお金をかけてくれたりするので、能力が大きく伸びる可能性も高まります。
一人っ子を育てるときに大切なことは?
一人っ子にはメリットもデメリットもありますが、育てる上では社会性を身に付けさせて自立させることが大切です。
ここでは、一人っ子を育てるうえでとくに意識したいポイントについて解説します。
過保護・過干渉に気を付ける
一人っ子にありがちな問題として、親の過保護・過干渉が挙げられます。兄弟がいないので、親の関心が一人に集中しすぎてしまい、手出し口出しをしてしまったり、親の思い通りに育てようとしたりしてしまうのです。
親が子どものことで頭がいっぱいになると良くないので、仕事をしたり、趣味を持ったりして、自分の時間を充実させることも大切ですよ。
同年代の子どもとの交流を持たせる
一人っ子は親や祖父母などの大人との関わりが多く、同年代の子どもと過ごす時間が少なくなりがち。子ども同士の関係は、大人のように常識や気遣いをわきまえていないぶんトラブルが起こりがちですが、その中で適度に揉まれることが社会性やコミュニケーション力の発達につながります。
保育園・幼稚園や学校だけでなく、プライベートでお友達と遊ぶ機会を設けたり、習い事をさせたりして、同年代の子どもとの関わりを意識的に増やすとよいでしょう。
親離れ・子離れを意識する
子どもが親元を離れて自立することは子育てのゴールとも言えますが、喜ばしい反面寂しくも感じますよね。一人っ子の場合、親と子どもの絆がとくに強い場合が多いので、自立しようとする子どもを引き留めようとしてしまう親もいます。
「私たちを見捨てるの?」と言って親離れしようとする子どもに罪悪感を与えたり、「あなたは一人では何もできない」と言って子どもの自立心を踏みにじることは、慎まなければなりません。子どもが大きくなったら、心配でも距離を保って見守るようにしたり、子どもの意思を尊重するようにしましょう。
子どもを困らせないように資産を形成する
一人っ子の場合、親が介護状態になったり病気になったりしたときは一人で面倒を見なければなりません。介護のために仕事もままならない状態になる子どもも多く、かといって親を見捨てるわけにもいかず、自分の夢や結婚、充実したプライベートを諦めるしかないという人もいます。
そんなとき、親の資産がきちんとあれば施設に入所することも可能ですが、お金がなければ自宅で介護をするしかありません。子どもの幸せな将来を願うなら、いざというときのためにできる限りの資産を形成しておくことが必要ですよ。
おわりに
今回は、一人っ子によくあるデメリットや、一人っ子ならではのメリットなどについて詳しく解説してきました。一人っ子は寂しい・コミュニケーション力が身に付きにくいなどのデメリットも確かにありますが、親の愛情やお金をしっかりとかけてもらって穏やかな子に育つというメリットもありますよ。
「一人っ子がコンプレックス…」「うちは一人っ子だけど大丈夫かな…」などのお悩みを抱えている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。
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