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苦悩の梨とは?本当に使われていたのか調査!

「苦悩の梨」と聞いて、文学や哲学のイメージを思い浮かべる人がいるかもしれません。しかし、名前とは裏腹に、有名な「鉄の処女」と同じく中世ヨーロッパで使われていた拷問の器具なのです。「苦悩の梨の名前の由来や、使い方」「苦悩の梨は本当に使われていたのか?」 「苦悩の梨が使われたのはどんな人?」そんな疑問について調査しました!

苦悩の梨とは

「苦悩の梨」と聞いてもピンとくる人は少ないかもしれません。「苦悩の梨」とは、16世紀から18世紀の中世ヨーロッパで使用されたといわれている拷問器具の名前です。

拷問器具は罰を与えるときや、自白を強要するために使用されていたといわれています。中世ヨーロッパでは、さまざまな拷問器具が開発されていたのです。

苦悩の梨は、本体の部分は3つから4つに分割されています。ねじを回すと閉じていた本体が(分割している部分)それぞれ少しずつ開いていきます。口、肛門、性器に固定して使用されるため、体の内部から痛みを加える拷問器具です。「苦悩の梨」という名前からは想像もつかない、恐ろしい拷問器具ですね。

大きさは、手のひらサイズのものが多く持ち運びができました。そして精細な装飾が施されたものは芸術品に見える側面もあったようです。

苦悩の梨は本当に使われていたのか?

「苦悩の梨」は、その名前からは想像もできないほど残酷な拷問器具ですが、本当に使われていたのでしょうか?

実は苦悩の梨は「本当は使われていなかったのではないか」といわれています。

その理由は下記になります。

苦悩の梨は本当は使われていなかった?

◼️当時の技術では、器具の頑丈さを保つことに限界があったのでは?と推測されるようです。体の内部が破壊される前に「苦悩の梨」の器具が壊れてしまい、実用性がなかったのでは?といわれています。

◼️「苦悩の梨」が壊れなかった場合は、拷問の対象者を死に至らしめてしまう可能性があります。そのため、恐怖心を煽る脅しのために使われていたのではないかという見解もあるようです。

苦悩の梨の名前の由来

「苦悩の梨」は恐ろしい拷問器具ですが、名前は文学的な印象を受けますね。「苦悩の梨」の名前の由来は、器具の本体の部分が「梨」の形に似ているところからきています。別名で「苦痛の梨」「苦悶の梨」とも呼ばれたようです。

苦悩の梨の歴史

「苦悩の梨」は、16世紀から18世紀に中世ヨーロッパで拷問が盛んにおこなわれていた時期に使用されたといわれています。中世ヨーロッパでは、拷問は普通に行われていたのです。裁判で自白を得ることが非常に重要だったのです。

また、15世紀ころから魔女狩りが行われるようになり、異端審問官であるハインリヒ・クラーマーの著書「魔女に与える鉄槌」は拷問におけるマニュアルになっていました。「魔女の見分け方」や「魔女であるいと証明させる方法」も書かれていたのです。「魔女に与える鉄槌」は魔女狩りの火付け役であり、約6万人の人が犠牲になったといわれています。そのような背景のなか、恐ろし拷問器具の「苦悩の梨」は発明されたのですね。法整備されると刑事訴訟法においても、拷問が必要とされて、「拷問官」と呼ばれる公務員までいたようです。

19世紀にかけて、魔女狩りも減り、拷問行為は衰退していきます。1984年には国連総会が「拷問等禁止条約(ごうもんとうきんしじょうやく)」を採尺して、1987年に発効されました。日本は1999年に加入しています。

現在、「苦悩の梨」はドイツのローテンブルクにある「中世犯罪博物館」に展示されています。「中世犯罪博物館」は12世紀から19世紀のドイツの法や刑罰の歴史における資料が展示されています。そのなかで、数々の拷問に使われた器具も展示されているのです。絵本に出てくるような可愛い街並みに、拷問器具が展示される博物館があるのは不思議な印象を受けますね。

また、「苦悩の梨」のレプリカがインターネットで販売されているようです。使用目的は、もちろん拷問するためではなく、鑑賞や趣味の範囲で楽しむためのようです。

苦悩の梨の利用目的

宗教上の罪を犯した人への罰に使われた?

中世ヨーロッパでは、宗教上の罪を犯した者は死罪にあたるとされ、厳しく拷問、処罰されていました。異端審問にかけられ、自白させられる際に「苦悩の梨」が使われることがあったようです。

自白の強要の際に、脅しとして使われた?

前述したように、「苦悩の梨」は「実際は拷問器具として使われていなかった」という説もあります。対象者に「苦悩の梨」を見せて、恐怖により自白させることに使われたのではないかといわれています。実際に使われていないのなら、少しホッとしますが、見せられただけでも想像を絶する恐怖を感じたでしょうね。

出産の際に医療器具として使われた?

「苦悩の梨」は拷問の器具ではなく、出産の際に医療器具として使われたのでは?という説を唱える人もいます。出産の際に、産道を徐々に拡張するのに使われたのではないかといわれています。実際に、産道を拡張させる医療器具があり、苦悩の梨と原理は似ています。

苦悩の梨の使われ方

「苦悩の梨」は処罰や自白を強要する際に使われると前述しましたが、主に「同性愛」「神を冒涜した人」「魔女」に対して使用されたといわれています。現在では考えられませんが、中世ヨーロッパで法的にも拷問が認められていた時代があります。

苦悩の梨の使われ方①同性愛

キリスト教では、同性愛は異端扱いをされ、宗教上の罪とされていました。そのため、処罰の際に、「苦悩の梨」が使われたといわれています。肛門から入れられた「苦悩の梨」の本体が開かれ、やがて体の内部が破壊されるという方法に、想像しただけでも恐怖を感じますね。

キリスト教で同性愛が宗教上の罪とされる由縁は新約聖書のパウロの書簡にあります。

偶像崇拝や婚前性交渉、魔術や占いをする者と共に『男色する者』は神の国を相続しない

新約聖書 第一コリント6章9-10節

現在はキリスト教のなかでも、「イエスは同性愛について言及していない」として、容認する考えを持つ人たちもいるようです。キリスト教のなかでも保守派とリベラル派に分かれているようです。

苦悩の梨の使われ方②神を冒涜した人

中世ヨーロッパにおいて神を冒涜した人も、重罪とされていました。「二度と神を冒涜できないよう」に「苦悩の梨」を口の中にいれて、器具の本体を限界まで開かれたようです。もちろん言葉を発することができませんが、食事をとることもできないため、餓死してしまうこともあったようです。口が裂ける場合もあったとされ、想像を絶する恐ろしさですね。

苦悩の梨の使われ方③魔女

中世において、キリスト教では「神以外に奇跡をおこすことはない」として、まじないや占いをする魔女を「悪魔の手」として処罰をしていました。16世紀以降、とくに魔女狩りが盛んになり、罪のない女性も多く魔女裁判にかけられました。魔女裁判にかけられると自白に追い込まれて処罰されていたのです。

村で古くから病の治療や出産、相談を受けていた医学の知識を持った女性が対象とされました。しだいに、魔術とほど遠い人であっても、一人暮らしの女性、貧しい人、老婆、不貞をおかした人も対象になっていきました。そのうち、近隣者の恨みをかっただけでも、魔女にされるようになりました。対象の80%は女性だったといわれています。対象者が女性の場合、「苦悩の梨」を性器にいれられ過酷な拷問を強いられたとされています。

苦悩の梨は漫画に登場している!右代悠牙(うしろゆうが)に使用された?

「十字架のろくにん」という漫画に「苦悩の梨」が登場しています。この漫画の主人公、漆間俊(うるましゅん)が小学生のときに同級生5人から壮絶ないじめを受けます。同級生のせいで、漆間俊は家族まで失います。

そして成長した漆間俊は、同級生一人一人、順番に復讐を果たしていきます。このときに「右代悠牙(うしろゆうが)」という人物が、漆間俊により肛門に「苦悩の梨」を入れられるのです!「苦悩の梨」が肛門のなかで、最大まで開かれて、「プチ」という音が鳴り右代は気絶しています。漫画のなかの光景とはいえ、恐怖を感じてしまいますね。

苦悩の梨以外の拷問器具

中世ヨーロッパでは「苦悩の梨」をはじめとする数々の拷問器具が開発されたとされています。想像しただけでも、恐怖を感じさせる有名なものをいくつか紹介します!

鉄の処女

「鉄の処女」は中世ヨーロッパの拷問器具としては、大変有名です。聖母マリア像をかたどったような女性の像で、木製の像が多く2mほどの高さがあります。なかには鉄製の鉄の処女もあるようです。この像は、前面が扉のような左右に観音開きとなっています。像の内部は本体中心部に向かって、所狭しと大きな釘が打ってあります。拷問の対象者が中に入り、扉を閉めると全身に釘が刺さり苦痛を与えられるという仕組みです。「苦悩の梨」に負けないくらい、恐ろしい拷問器具ですね。

現在、「鉄の処女」も「中世犯罪博物館」に展示されています。ただ、「鉄の処女」は実在しなかったのでは?という説もあります。「鉄の処女」が拷問器具としてでてくるのは、小説や伝説が多く、公的な記録がないようです。想像の産物だとしても、恐ろしいことにかわりはないですね。

ユダの揺篭(ゆだのゆりかご)

「苦悩の梨」と同じく中世ヨーロッパで使われていたとされる拷問器具です。対象者は裸で後ろ手に紐で結ばれます。胸の前で紐を交差させて、そのまま後ろに回した手に結びつけ拘束します。上半身と、足も天井から吊るします。拷問の対象者の真下に置かれた、三角錐の尖った先端が肛門に突き刺さり苦しむことになります。ユダの揺籠は、拷問だけでなく処刑方法としても使用されていました。処刑される場合は、拷問される対象者の真下に針が置かれていたようです。股が裂けるような苦しみを伴うこの方法は「魔女の楔(まじょのくさび)」と呼ばれ、女性が対象になることが多かったようです。

ファラリスの雄牛

古代ギリシャ、シチリア島の君主ファラリスが、ペリロスに作らせた、雄牛の形をした拷問器具です。真鍮でできた雄牛のなかは空洞で、拷問や処刑の対象者が中に入ると扉が閉められ、下から火であぶられます。真鍮の牡牛が黄金になるまで熱せられたといわれています。雄牛が高温になり、拷問されている人が叫び声をあげると、外からはまるで雄牛の鳴き声のように聞こえる仕組みとなっていました。ファラリスは、ペリロスに牡牛の中に入り、試しに声を出すように指示します。しかし、これは恐ろしい罠であり、ペリロスが雄牛に入ると扉が閉められ火で炙り殺されてしまいます。人間とは思えない残酷さですね。最終的にファラリス自身も、反乱により、自分が作らせたファラリスの雄牛によって処刑される運命を辿ったようです。

苦悩の梨の楽曲がある!

ボーカロイドPのイチさんが「苦悩の梨」の楽曲を制作されています。独特の世界観をもったイチさんの楽曲に魅了されている人が多いようです。イチさんは、「苦悩の梨」以外にも「ユダの揺篭」「フォラオの牛」の楽曲も制作されています。

まとめ

「苦悩の梨」は名前からは想像できないほど、恐ろしい拷問器具です。16世紀から18世紀にかけて中世ヨーロッパで数々の拷問器具が開発され、「苦悩の梨」もその一つとされています。器具の本体が洋梨に似ていることから「苦悩の梨」とよばれています。「苦難の梨」を口、肛門、性器に入れて、ネジを回すと4つに分割された本体が、ひっくり返した傘のように徐々に開きます。体の中から苦痛をあたえるというもので、想像を絶する恐怖を感じますね。

「苦悩の梨」は主に「同性愛者」「神を冒涜する者」「魔女」のように宗教上の罪を犯した人達に使われたといわれています。

しかし、「苦悩の梨は本当に使われたのか?」といわれることもあります。当時の技術では頑丈に作ることが難しく、拷問される対象者の体が破壊される前に器具が壊れるのではないかという見解です。そのことから、実際は「苦悩の梨」を見せることで恐怖を与え、自白を強要するのに使ったという説があります。

「苦悩の梨」は、本当に使われていなかったとしても、恐怖を感じてしまいますね。

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