リード文「水晶」と聞いて思い浮かべるイメージは人それぞれです。パワーストーンや鉱物に興味のない人は「占い師が持ってそうなガラスみたいな玉」、興味のある人には「万能の鉱物」「もっとも流通しているパワーストーン」でしょう。「浄化の道具」という人もいるかもしれませんね。今回は、パワーストーンの基本であり入門ともいえる水晶について、解説していきます。
水晶とは
水晶とは、地殻から産出する二酸化珪素でできた結晶のこと。石英と同じ成分で、区別の仕方は実は曖昧です。「六角柱状の単結晶のみを水晶とし、他を石英とする」という区別方法もあれば、「透明なら水晶、他を石英とする」といった方法もあります。ハッキリした定義はありませんが、現代日本では後者の方法によって水晶と石英を判別していることがほとんどです。
日本の国石であり、かつては日本でも採れていましたが現在は採掘されることはありません。
水晶の歴史・名前の由来
水晶は古来より霊石として神聖視され、宗教儀式に用いられるのはもちろん、通貨や装飾品として生活の中で利用されることもありました。古代ギリシャでは水晶を使って光を集めて火を起こしたといい、今より日常的に水晶を使っていたようです。
水晶は世界各国で産出し、各地で記録が残っています。オーストラリアのアボリジニの間では「虹色の蛇が水晶の力を借りて宇宙を作った」という伝説があり、各国のシャーマンの間でもヒーリング能力のある鉱石として愛用されてきました。日本でも弥生時代の水晶でできた勾玉が発見されている他、正倉院には水晶の加工品が収められています。また、玉諸神社のご神体は大きな水晶玉ですし、明治天皇への献上品としても水晶玉が使われています。
各国の交流がなかったはずの時代からそれぞれの土地で神聖視されてきた歴史を見ると、古代の人は水晶によほどパワーを感じたのでしょう。
交流のないはずの時代、水晶について各国で共通していたのはその使われ方だけではありません。名前についても、日本と海外での共通点があるんです。
水晶は英名では「Crystal(クリスタル)」。古代ギリシャの言葉で「氷」を意味する「krystalos(クリスタロス)」が語源となっています。アルプス山脈の氷で閉ざされた箇所で見つけられたことや水晶の見た目が氷の塊のようだったこと、触るとひんやりすることから、水晶は溶けない氷の結晶だと考えられたのです。
日本でも、水晶は「水精(すいしょう・すいせい)」と呼ばれ、水を固めたもの、つまり氷の塊だと考えられていました。古代ギリシャと同じく、水晶が氷を連想させたのです。遠く離れた国なのに1つのものに対して同じような考え方をしているなんて、興味深いですね。
水晶の特徴
水晶の特徴は、透明性です。透明でないものは石英に分類されるからです。クリアな見た目とひんやりした感触は、古代の人が氷を連想したのも頷けますね。
水晶の宝石言葉・石言葉
水晶の宝石言葉・石言葉は「純粋」「無垢」「万物の調和」「生命の育み」などがあります。
水晶の誕生石
水晶は4月の誕生石であり、誕生日別では1月29日と7月3日の誕生石です。
また、月曜日と申年の守護石であり、牡牛座、双子座の守護石でもあります。
水晶と風水
風水の五行思想において、水晶は水の属性を持っています。水は悪い気を流す作用があり、愛情や繁栄を司ります。水晶の持つ懐の深さは、どんな場面でもどんな人でも受け入れ力を貸してくれるでしょう。
また、人間の体はほとんどが水で出来ています。そのため、水の属性である水晶は人間と相性が良いのも必然といえるでしょう。
水晶の基本情報
ここからは、水晶の基本情報を見ていきましょう。
水晶の和名・別名
水晶の和名はそのまま「水晶(すいしょう)」ですが、かつては「水精(すいしょう・すいせい)」と呼ばれていました。水晶が氷の結晶のように見えることから、水の精が固まったものと考えられていたのが由来でしょう。
また、「ロック・クリスタル」「クォーツ・クリスタル」といった別名もあります。水晶と同成分の石英との区別方法は透明であるか否か、もしくは、塊であるか否かの2通りがありますが、水晶の英名である「クリスタル」に「透明な」もしくは「塊」の2つの意味があることが影響しているようです。
水晶の産地
水晶は世界各地で多く産出し、主な産地はブラジル、マダガスカル、アメリカ、カナダ、オーストラリア、スイス、中国などです。
中でも中国のヒマラヤ産水晶はエネルギーがあるとされています。水晶は100年以上の時間をかけて作られるため、世界最高峰の霊山であるヒマラヤ山脈で育まれた水晶は、最高ランクの水晶とされるのです。
水晶と相性の良い方位
水晶は万物の調和や純真無垢といった意味があり、基本的にはどんな方位にも対応します。中でも特に良いのは、中央と、水晶の持つ水の属性を司る北です。
水晶の色と種類
無色透明でガラス玉のような水晶ですが、実は他のカラーや種類が存在します。代表的なものを見ていきましょう。
アメジスト
アメジストは水晶が紫色に変色したもの。和名は「紫水晶(むらさきすいしょう)」です。
アメジストは、水晶の中に鉄イオンが含まれたことにより紫色に変色したもののことです。美しい紫色であり、紫色は冷静を表す青色と情熱を表す赤色の合成色であることから、「真実の愛」「愛の守護石」といった意味があります。
シトリン
シトリンは、和名を「黄水晶(きずいしょう)」といい、水晶が黄色く変色したものです。
鉄イオンが含まれる水晶を加熱されると黄色くなります。鉄イオンが含まれた水晶は変色しアメジストになるので、アメジストに熱が加わるとシトリンとなるのです。
天然のシトリンは希少なので、現在流通しているシトリンのほとんどがアメジストを熱加工したものといわれています。近年ではシトリンとアメジストが半分ずつになった「アメトリン」というパワーストーンがありますが、アメジストを半分だけ熱加工したものと思ってよいでしょう。
〇〇入り水晶
〇〇入り水晶とは、別のものを内包した水晶のこと。水入り水晶や草入り水晶などが有名でしょう。
水入り水晶は、その名の通り、水晶の中に水が内包されたもの。草入り水晶は、エピドートが水晶の中に内包されたものです。エピドートは緑簾石(りょくれんいし)とも呼ばれ、水晶の中に苔や草が入り込んだように見えます。苔入り水晶とも呼ばれ、天然のアクアリムのような美しさがあります。
水晶はこんな人におすすめ
古来より霊石として崇められ、宗教儀式に用いられてきた水晶。現代においても強力なパワーストーンですが、どんな人にオススメなのでしょうか?
水晶に合う人の特徴・スピリチュアルサイン
水晶は、強力なお守りが欲しい人や叶えたい願望がある人、スピリチュアルな能力を高めたり潜在能力を引き出したい人にオススメです。ヒーラーや占い師など、スピリチュアルなお仕事をしている人にもよいでしょう。
また、自分をしっかり見つめてクリアな状態にし、悪い気を吸い取ってくれる効果もあるので、新たなに何かを始めようとしている人にもオススメです。
ただし、水晶はネガティブな人には効かないと言われています。「持ってても意味がないかも」「気休め程度に」といった考えだと効果が出にくいので、まずは信じ、自分でも努力することが大事です。
水晶の効果・効能・スピリチュアルへの影響
パワーストーンの原点であり大本ともいえる水晶は、どんな効能があるのでしょうか?代表的なものを見ていきましょう。
1.魔除け・浄化
水晶には強い浄化作用があります。
水晶は、すべてをクリアにして本来のバランスを保とうとする性質があります。この性質により、持ち主を本来あるべき姿に戻し、正常な状態にしてくれるでしょう。この作用は人間にだけ働くものでなく、その場や他のパワーストーンに対しても働くため、場の清めやパワーストーンの日々の浄化に水晶が使われる理由の1つとなっています。
あるべき姿に戻し余計なものを排除するという性質は、魔除けにも効果があります。清らかな状態に保つため、入り込もうとする魔や邪といった穢れを跳ねのけてくれるのです。すべてを浄化し清浄な状態にするパワーはピカイチなので、水晶は強力なお守りとして古来より愛されているのです。
また、体内から悪いものを追い出して心身の健康を守るためにも、水晶の浄化能力は重宝されてきました。患部にかざして悪いものを吸い取ってくれる霊石として医療につかわれてきた歴史は、世界各国に存在しています。
2.能力増幅
水晶が古来より祈祷や瞑想の道具として霊能者に愛されてきたのは、その霊的能力の高さに由来します。
水晶は持ち主の洞察力や集中力を高め、高次元とのアクセスを可能にするとされています。水晶玉に願いを込めて祈祷したり水晶を持って瞑想すると、願った結果を得られるでしょう。水晶は、人間誰しもが持つスピリチュアルな能力を増幅させる装置のような存在なのです。
また、パワーストーンとして他の石と組み合わせる際にも、他の石の持つパワーを増幅してくれるでしょう。
3.調和
水晶は「万物の調和」といった意味があり、存在と存在の間の橋渡し的な役割をします。
水晶は無色透明なため染まりやすい存在で、2つの存在の間に入ればどちらの色にも染まります。そのため、持ち主とパワーストーンとの橋渡しをしてくれ、気難しい波動を持つパワーストーンと持ち主をなじませる効果があります。また、パワーストーン同士の仲を取り持ち、それぞれのパワーを減らすことなく調和してくれるでしょう。
水晶の浄化方法
水晶はすべての浄化方法が利用できます。
水晶は自浄するパワーストーンなので、他のパワーストーンほど浄化の頻度は必要ありません。しかし、まったく浄化しないとやはり能力が落ちてしまうでしょう。水晶は氷や水に縁があり、五行思想においては水の属性なので、流水や塩水など水を使った浄化方法がオススメです。
水晶との絆を深めパワーをチャージするためにも、月に2回程度で良いので浄化してくださいね。
水晶の好転反応
「万能の石」「調和の石」と呼ばれるだけあって、水晶は好転反応が出づらいパワーストーンです。五行思想において水晶は水の属性があり、人間の体は水で出来ていることも関係しているのでしょう。しかし、中には好転反応が出る人もいます。
もしも原因が分からない頭痛や吐き気、冷えなどの症状が出たら水晶の好転反応かもしれません。そんなときには無理をせず、短時間のみ身に着けるなどし、体を水晶の波動になじませてください。
水晶の相性・組み合わせ
多くのパワーストーンと組み合わされる水晶ですが、どんな効能があるのでしょうか?
水晶は万物と調和する鉱物なので、どんなパワーストーンとも相性が良いです。中でもオススメの組み合わせをご紹介していきます。
水晶×ラピスラズリ
水晶とラピスラズリの組み合わせは、厄除けに効果があります。
水晶が魔除け効果があるのは知られていますが、ラピスラズリにも魔除けの効果があります。組み合わせることで相乗効果が期待できるでしょう。
また、水晶は持ち主を本来の姿に保つパワーストーンです。一方、ラピスラズリは持ち主にとっての「本当の幸せ」を引き寄せるため、持ち主にとってもっとも自然で良い結果を得られます。物でも人でも、悪縁を断ち切り良いご縁を結んでくれるでしょう。
水晶×翡翠
水晶と翡翠の組み合わせは、目標達成に効果があります。
翡翠には「繁栄」「豊穣」といった意味があります。水晶は持ち主の能力を高めるため、組み合わせれば相乗効果でより大きな成功を掴めるでしょう。
チャンスが転がり込んでくるのを待つのではなく、持ち主の実力アップや成長を促す組み合わせです。持ち主が努力しなかったり、無理すぎる願い事はかないません。ゼロには何をかけてもゼロだからです。そのため、持ち主がしっかり努力する必要がある組み合わせです。
水晶×ローズクォーツ
水晶とローズクォーツの組み合わせは、対人アップに効果があります。
ローズクォーツは恋愛運に良いパワーストーンとして知られています。持ち主に優しさや思いやりを持たせ、対人運を上げることで恋愛運にも影響するのです。
一方、水晶は調和の石であり、こちらも人間関係を良くしてくれます。また、水晶は他のパワーストーンの能力を増幅させるため、ローズクォーツの持つ女性らしさアップの能力を上げ、持ち主をさらに思いやりのある素敵な女性へと成長させるでしょう。
結果、対人関係がより良くなり、恋愛のご縁も向こうからやってくることが期待できます。
水晶を身に着けるのにおすすめのアクセサリーと効果
原石やクラスターとして利用されることの多い水晶ですが、身に着けることで、強いお守りや癒しの効果が得られるでしょう。
水晶のエネルギーを受け取り自分を高めたいなら、左手にブレスレットとして着けるのをオススメします。左手はエネルギーを受け取る手だからです。
心身の健康バランスを整えたいならネックレスにして体の中央部分に近づけるとより高い効果が得られるでしょう。
また、水晶は第9チャクラに対応し、高次元のエネルギーを受け取ることができます。頭頂部に近い場所着けるアクセサリーとして、ヘアピンなどヘアアクセにつけるのもよいですね。
水晶と似ているパワーストーン
水晶に似ているパワーストーンとしては、トパーズが挙げられます。
色が薄いトパーズは、見た目は水晶とソックリです。結晶状態なら表面上に入っている線が水晶は横でトパーズは縦です。しかし、結晶状態でも上下が分からないケースもありますよね。また、丸く加工されたものや研磨されたものは分かりづらいでしょう。
「無色透明なら水晶、黄色っぽければトパーズでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、水晶はすべてが無色透明なわけではなく、シトリンと呼ばれる黄色い水晶が存在します。いずれにせよ、黄色っぽければシトリンかトパーズである可能性が高いので、水晶ではないと考えてよいでしょう。
水晶のQ&A
水晶にまつわるよくある疑問・質問についてまとめました。
水晶に危険性はある?
水晶に危険な成分はありませんし、暴走するようなパワーストーンではありません。
水晶に危険性があるとすれば、浄化能力によって穢れを溜め込んでしまうことでしょう。
水晶は浄化のパワーストーンなので、穢れをなんでも吸い込んでいきます。水晶には自浄作用があるため他のパワーストーンほど頻繁な浄化は不要ですが、あまりにも劣悪な環境だと、自浄作用が追いつかないこともあるでしょう。持ち主が常に強いストレスに晒されていたり、穢れの元となる存在が近くにいるなどです。
心配なら、月に2、3回で良いので水晶自体の浄化をしてあげましょう。
水晶ブレスレットが切れたときの意味
ゴムや金属の劣化ではない理由で水晶ブレスレットが切れた場合は、穢れを溜め込んでしまったか一気に膨大な穢れを受けてしまった可能性があります。水晶のモース硬度は7で、決して軟らかい鉱石ではありません。ヒビや欠けが生じた場合は、スピリチュアルな理由をもってして壊れる可能性が高いのです。
水晶は無色透明で、無垢な存在。浄化作用が強い反面、周囲からの影響を受けやすい特性を持っています。水晶には自浄作用があるため小さな穢れなら心配いりませんが、大きな穢れを瞬間的に受けたり、自浄が追い付かないほど日頃から穢れがたまっていると危険です。
持ち主を守ろうとして身を挺した可能性があるため、無傷の水晶は浄化して再利用し、無事でない水晶には感謝の気持ちを伝えて自然に還すのがよいでしょう。
水晶の偽物の見分け方
水晶は世界中で産出し、もっとも流通量が多く一般的なパワーストーンといっても過言ではありません。しかし、偽物も多く出回り、プロでも見分けられないほど巧妙化しています。
まず、現在流通している水晶には3種類あります。1つは天然の水晶、つまり本物です。2つ目は、人口水晶。二酸化ケイ素を短期間で結晶化させたものです。3つ目は練り水晶といい、溶けた水晶を再度固めたもののことです。練り水晶はガラスと同じ成分となり、もはや水晶とは言えない偽物です。他にもガラス玉を水晶と偽って販売しているケースもあります。
人口水晶は、天然水晶とはプロでも特別な機械がなければ見分けがつきません。しかし、練り水晶は丸いものに限りますが見分け方があります。
髪の毛や細い紐を白い紙の上に置き、その上で水晶を転がしてみてください。髪の毛や紐が2本に見える角度があれば天然水晶、なければ練り水晶もしくはガラスです。
パワーストーンを購入するにあたって本物にこだわるのは当然の心理です。購入の際には、鑑定書付きのものをオススメします。
水晶の購入におすすめの販売店・通販
romantical A la mode
個人のアクセサリーショップです。手の込んだアクセサリーやサンキャッチャーを手作りしていて、マスクストラップなど変わり種も。
Infonix(インフォニック)
埼玉県に実店舗を構える天然石ショップです。クラスターやチャーム、丸玉などバリエーション豊かな水晶を釣り扱っています。
まとめ
「万能の石」「調和の石」とされる水晶は、パワーストーンの基本といっても過言ではありません。霊力の強いパワーストーンですが持ち主と上手くリンクしてくれることがほとんどなので、初心者にもオススメのパワーストーンといえるでしょう。
水晶にはさまざまな効能がありますが、これといって特化したものがありません。その代わり、すべての物事や人と調和し、他のパワーストーンや持ち主の良いところを伸ばしてくれます。
水晶を単品で持つなら浄化や魔除け効果、ヒーリング効果が期待できます。他のパワーストーンと組み合わせるならその石の効能を増幅するので、その石の効能を理解して組み合わせるようにしましょう。
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