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お地蔵さんに手を合わせてはいけない?

お地蔵さんに手を合わせてはいけない?

お寺や神社・道路脇など、さまざまなところに置かれているお地蔵さんは、仏教の守護神といわれており、最上位の力で子どもや旅人を見守る存在として広く信仰されています。

お地蔵さんに手を合わせるのは、祈りや感謝の表現であり、敬意の意味を含んでいますので、一般的には問題ないとされています。

ただ、お地蔵さんに手を合わせてはいけないというタブーな噂も世間では流れているため、その理由について知りたいという方も多いのではないでしょうか?

この記事では、お地蔵さんに手を合わせてはいけない理由や、お地蔵さんの拝み方などについて紹介したいと思いますので参考になさってみて下さい。

お地蔵さんに手を合わせてはいけない?タブーの噂の真相

なぜ、お地蔵さんに手を合わせることがタブーとされているのか、噂の真相を考察していきたいと思います。

お地蔵さんに対しての誤解や偏見が生じてしまった

考察の1つめは、お地蔵さんに対しての誤解や偏見が生じてしまったことです。
お地蔵さんに手を合わせてはいけないという噂は、お地蔵さんがインドから日本に伝わる過程において、仏教の教えや信仰などさまざまなことが時代の流れとともに移り変わったことも理由の1つとされています。

江戸時代はもともと生後1年の乳幼児の死亡率がもっとも高く、無事に成人を迎えられる子供たちは5割にも満たなかったのではないかといわれています。
また、旅人も同じように初めて訪れる土地や、その土地の人たちと出会うことで、困難や災難の被害を受ける可能性が高かったとされています。
そのため、お地蔵さんは仏教の菩薩としてだけではなく、子供たちの冥福や幸せに暮らせることを祈ったり、旅人が安全でいられるようにとの願いを込めて建てられ、守り神として崇められるようになったといわれています。

しかし、それと同時に、お地蔵さんに対しての誤解や偏見が生じてしまったという言い伝えもあります。
お地蔵さんは子供たちや旅人だけを見守るだけではなく、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)に生まれ変わるすべての人たちを救うとされていることから、一部では六道の王や支配者と呼ばれており、人々の善行・悪行を裁く存在であると誤解されてしまったとされています。

また、菩薩であるお地蔵さんには、仏を信じて教えに従い、感謝を表すべきだという教えを広めるための役割があります。
そのため、お地蔵さんに手を合わせるのではなく、お地蔵さんを通して仏に感謝を表すべきだという考え方があります。

お地蔵さんがあまりにも多くの人たちに身近な存在として親しまれたことから、仏への尊敬や感謝の気持ちが失われてしまったと伝えられています。
このような誤解や偏見が生じたことがきっかけとなり、お地蔵さんに手を合わせてはいけないという噂が生まれてしまったと考えられています。

閻魔大王は地蔵菩薩の化身だといわれている

考察の2つめは、閻魔大王は地蔵菩薩の化身だといわれていることです。
この考察は、日本の仏教学者・浄土宗僧侶である望月信亨(もちづき しんこう)が整理・加筆などをしてまとめた仏教大辞典の中にある、あの世で地獄行きか極楽行きかの審判についての十王(じゅうおう)の項目に、閻魔大王は地蔵菩薩であると書かれていることから考えられています。

十王は地獄において死者の審判をおこなう10人の王のことをいいます。
人は亡くなった後に、生きていたときの善行・悪行によって6種類の道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)で生まれ変わりを繰り返すといわれています。
このときに次の生を受けるまでに、死者は十王の審判を受けなければならないとされています。

仏教の考え方では、人は亡くなった後四十九日までは、7日ごとに1度審判を受けるといわれています。
命日から35日目にあたる五七日(いつなのか)では、閻魔大王によってどの道に進むのか審判が下されます。

この地獄の王と呼ばれる閻魔大王は、本地仏である地蔵菩薩の化身であるとされています。
この本地仏とは、仏が人々を救済するために、神の姿をかりて現れるという本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)にて基づかれています。

地蔵菩薩は、地獄で苦しむ人たちを救済してくれる存在であるということになります。
残された遺族の供養によっても死者の悪行の罪は軽減され、さらに地蔵菩薩の助けを借りて極楽往生がかなうとされています。

このように閻魔大王は地蔵菩薩の化身であるといわれていることからも、お地蔵さんには手を合わせてはいけないという噂につながった可能性があります。

お地蔵さんに手を合わせてはいけない理由2つ

神社や仏閣、お墓などに祀られているお地蔵さんは、お世話や管理がされていますので、手を合わせても良いといわれています。

ただ、道路の端などに置かれているお地蔵さんは、お世話や管理がされているのかどうか、手を合わせて良いのかどうか判断することが難しい場合があります。
なぜお地蔵さんに手を合わせてはいけないのか、この項目で理由を2つ紹介していきたいと思います。

お地蔵さんに悪霊が寄ってきやすいため

理由の1つめは、お地蔵さんに悪霊が寄ってきやすいためです。

街中や道路の端・崖のある場所・森や山の中・川沿いになどにいるお地蔵さんは、事故や災害などで亡くなられた方たちを供養するために置かれたものが多いといわれています。
他にも、水子を供養するために建てられたお地蔵さんもいます。
このようなお地蔵さんの中には、成仏できずにいる霊が、自分の存在を知らせたり救いを求めたりして寄ってくるものもあるとされています。

また、持ち主がいなかったり、お世話や管理がされていないお地蔵さんも、悪霊が寄ってきやすくなっているといわれています。

お地蔵さんが建てられた経緯や目的というのは、お地蔵さんによって違いがあります。
その経緯や目的がわからない状態で手を合わせるということは、霊が救いを求めてついてきてしまう危険性があることにつながるため、手を合わせてはいけないという噂として広まった可能性があるとされています。

悪霊に取り憑かれてしまう可能性がある

理由の2つめは、悪霊に取り憑かれてしまう可能性があるからです。

お地蔵さんは大地のような広い慈悲の心で私たちを苦しみから救い、災いから守ってくれる存在です。
生きている人、亡くなった人に関わらず全ての人を救うとされていますので、上記で述べたように自分の存在を知らせたり救いを求めたりする霊なども寄ってくるといわれています。

持ち主がいない、わからない、お世話や管理がされていないお地蔵さんには、特に悪霊が寄ってくる場合が多いため、手を合わせてしまうと悪霊に取り憑かれてしまう可能性があるといわれています。

お地蔵さんに手を合わせてはいけないというのは、お地蔵さんに理由があるのではなく、お地蔵さんを取り巻いている経緯や目的に理由があるのです。
縁起の良さそうなものや、碑や像などを見たときに、つい手を合わせてしまうのは、日本の良い風習の1つかと思われます。
ただ、お地蔵さんを取り巻いている経緯や目的が不明のままだったり、なんとなく嫌な気持ちになってしまうという方は、手を合わせるのはやめておいたほうが良いとされています。

お地蔵さんの意味

お地蔵さんはインドから仏教を通して日本に伝わってきた有名な仏様として知られています。
お地蔵さんは正式には地蔵菩薩といい、サンスクリット語のクシテイ(大地)ガルバ(胎内)が語源であるとされています。

人は亡くなった後に、生きていたときの善行・悪行によって6種類の道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)で生まれ変わりを繰り返すといわれています。
六地蔵とは、その道で苦しんでいる人たちを救ってくれる存在であると伝えられています。
お墓参りに行くと墓地の入り口に六体並んで祀られていることが多い場合がありますが、六地蔵はそれぞれ違う役割と使命を持ち、お顔も一体ずつ違うとされています。

他にも、妊婦の安産を守護したり子どもの成長を見守ってくれる子安地蔵、苦しみや災難から身代わりとなって救ってくれる身代わり地蔵、村の境界や峠、道の分岐点などにあって悪霊や疫病を防いでくれる道祖神などがあります。

お地蔵さんは状況によってさまざまなものに姿を変え、それぞれ違う意味や、役割と使命を持つといわれていますが、基本的には、大地のような広い慈悲の心で私たちを苦しみから救い、災いから守ってくれる存在として、平安時代ごろから親しまれてきました。

お地蔵さんは、左手にさまざまな願いを叶え、欲しいものを出してくれる宝珠(ほうじゅ)を持ち、右手に悪霊を退散させる錫杖(しゃくじょう)と呼ばれる長い杖を持っています。
また、お地蔵さんに立ち姿が多いのは、行脚中で各地を徒歩でめぐるためだとされています。

お地蔵さんの拝み方

すべてのお地蔵さんに手を合わせることがタブーというわけではなく、中には手を合わせることでお地蔵さんからご利益をいただけることもあります。

お地蔵さんは他の仏様と比べて愛らしく親しみやすい印象がありますが、古くから多くの人たちの心を支えてきたという事実でもありますので、感謝と敬意の気持ちを持って拝むことが重要となります。
この項目では、お地蔵さんの拝み方を紹介したいと思いますので参考になさってみて下さい。

・お地蔵さんがいる神社の場合 二礼二拍手一礼をする
2回お辞儀をし、2度手をたたき祈りましたら、最後にもう一回お辞儀をします。
・お地蔵さんがお寺にいる場合
手を合わせながら1回お辞儀をして願いごとを祈りましたら、もう一回お辞儀をします(手はたたきません)。

基本的には、子育てお地蔵さんや縁結びお地蔵さん(良縁・結婚・夫婦円満・子宝)など、お地蔵さんがいる地域やお寺に合った方法で拝む必要があります。
また道路脇などのお地蔵さんに対しては拝み方の決まりはなく、一回お辞儀をしたり、真言を唱えながら手を合わせるなどさまざまな拝み方がありますがが、敬意や供養の気持ちが伝われば問題はないとされています。

お地蔵さんは仏教においても優しく寛大な心を持った仏様とされていますので、どこにいるお地蔵さんであっても敬意と供養の気持ちを持ち、見守って下さっていることに感謝して拝むことが大切です。

お地蔵さんに唱える真言

お地蔵さんからのご利益をいただきたい場合は、両手を合わせてオン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ(稀有なほど尊いお地蔵さんに出会えたことを喜び感謝いたしますという意味を持つ)という真言を唱えるのが良いとされています。

真言を3回唱えながら拝むようにすると、願いごとが叶いやすくなったり、無病息災・五穀豊穣・交通安全・水子祈願・安産・子宝・子供守護・先祖菩提・戦勝祈願などさまざまなご利益がもたらされるといわれています。

お地蔵さんへのお供え物

お地蔵さんにお供え物をする場合は、お賽銭箱があればお賽銭を納めたり、お線香・お餅などをお供えするのが良いとされています。
また、子どもたちを守ってくれるご利益もありますので、子どもたちが喜ぶようなお菓子・果物・飲み物をお供えするのも良いとされています。
ただ、トゲがあったり香りが強すぎる生花はお供えには向いていないといわれています。

お地蔵さんの写真を撮る場合

親しみやすいお顔と赤いよだれかけが可愛らしいお地蔵さんを拝んだら、そのときに写真に撮っておきたいと思う方もいるかと思われます。

お地蔵さんがいる、もしくは置かれている場所によっても違いがあるとされていますが、写真を撮ることは基本的に良くないことといわれています。
お地蔵さんは、事故や自殺で亡くなった方、亡くなった子どもの供養や、自然災害の後の地域の鎮魂(ちんこん)のために置かれていることも少なくないとされています。

中には、旅の安全を見守ったり、豊作を願うために置かれているお地蔵さんも多く存在していますので、写真を撮る場合は、お地蔵さんがなぜ、どのような経緯でこの場所に置かれているのかという意味を事前に調べておき、手を合わせて拝んだ後に撮ることが重要となります。
また、写真を撮るときは、周囲の方たちへも配慮の気持ちを持つことを忘れないようにして下さい。

まとめ

今回は、お地蔵さんに手を合わせてはいけない理由や、お地蔵さんの拝み方などについて紹介してみましたが、いかがでしょうか?

お地蔵さんに手を合わせてはいけない理由
・お地蔵さんに悪霊が寄ってきやすいため
・悪霊に取り憑かれてしまう可能性がある

お地蔵さんの拝み方
・お地蔵さんがいる神社の場合 二礼二拍手一礼をする
・お地蔵さんがお寺にいる場合 一礼
・敬意と供養の気持ちを持ち、見守って下さっていることに感謝して拝む
・両手を合わせてオン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカという真言を唱える
・お賽銭箱があればお賽銭を納めたり、お線香・お餅などをお供えする
・子どもたちが喜ぶようなお菓子・果物・飲み物をお供えする
・写真を撮ることは基本的に良くない
・お地蔵さんがなぜ、どのような経緯でこの場所に置かれているのかを事前に調べておき、手を合わせて拝んだ後に写真を撮ることはできる場合もある

お地蔵さんは大地のような広い慈悲の心で私たちを苦しみから救い、災いから守ってくれる存在です。
お地蔵さんの穏やかで優しい笑顔を見ていると、私たちも穏やかな気持ちになれます。
お地蔵さんには手を合わせてはいけないという噂や理由もありましたが、お地蔵さんが置かれた敬意や目的、お世話や管理されているかどうかを確認することができれば、手を合わせても大丈夫であることがわかりました。

お地蔵さんには、無病息災・五穀豊穣・交通安全・水子祈願・安産・子宝・子供守護・先祖菩提・戦勝祈願などさまざまなご利益を授けてくれたり、運気を上昇させてくれるものもあります。
お地蔵さんを見かけたときは、手を合わせることはできなくても、一礼してみても良いのではないでしょうか?

この記事が少しでも、皆様のお役にたてれば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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