眠気覚ましや疲労回復、鎮痛、ダイエットなどに効果があるといわれるカフェイン。
コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンク、チョコレートなどの身近な食品に含まれています(※1)。
摂取する機会の多いカフェインですが、摂取後、夜眠れなくなったり、おなかが痛くなったりした経験がある方もいるのではないでしょうか?
こちらの記事では、カフェインに弱い人の特徴や症状・対処法をご紹介します。
(※1)出典:健達ネット「カフェインとは?多く含む食品や摂取目安量まで徹底解説!」
栄養士免許を取得後、福祉施設、病院、高齢者施設など、様々な場所で栄養管理や献立作成を行ってきました。途中で管理栄養士を取得し、栄養の知識をさらに深めました。現在は、フリーランスの管理栄養士として活動しており、ダイエットサポートなどを主にさせていただいております。皆様の健康管理やダイエットの目標達成のお役に立てれば幸いです。( ^ᵕ^)
カフェインに弱い人の特徴6つ
カフェインアレルギーをもっている
カフェインアレルギーとは、カフェインを含む飲み物を飲んだ際に起こる、消化器症状アレルギー反応のようなものを指します。
実際にカフェインアレルギーというものはなく、カフェインに対する不耐症と考えられています。
いわゆる「カフェインアレルギー」を予防する薬はなく、カフェインを摂取しないようにするしかないようです。
また、これが一生続くかどうかを前もって知る方法もありません。
しかし、ある期間、摂取しないでおくと、その間に体の反応が変化して、また摂取できるようになる場合もよく見られるそうです(※2)。
(※2)出典:用賀アレルギークリニック「15.食物不耐症」
カフェインを摂取すると下痢をする
カフェインは交感神経を刺激したり、胃酸の分泌を活性化させたりします。
そのため、過剰に摂取すると、自律神経のバランスが崩れ、胃腸が過剰に働き、下痢の症状が出てしまうことがあります。
また、もともとおなかが弱い方や、胃腸が弱っている方は下痢をしやすいため、注意が必要です(※3)。
(※3)出典:ウォーターサーバー比較Plus「コーヒーを飲んだらお腹が下痢気味に…原因と対処法を詳しく解説!」
適量のカフェインでも動機が激しくなる
カフェインの摂取で動悸(どうき)が激しくなる場合、カフェイン中毒の可能性があります。
心臓の拍動の不快感や違和感だけでなく、冷や汗、興奮状態になるなどの症状も動悸に含まれます。
カフェインには交感神経を刺激する作用があるため、拍動・血圧などを上昇させて、身体を興奮させてしまいます。
また、カフェインで身体が興奮することで、眠気を感じにくくなり、集中力が高まるという効果もありますが、中毒状態になると動悸などの症状が出てしまいます(※4)。
農林水産省もカフェインについて、「エナジードリンクの多用により中毒死した例もあり、過剰摂取による健康への悪影響が知られています。
このように、食品や飲料に含まれる特定の成分の過剰摂取には注意が必要です(※5)」と警鐘を鳴らしています。
過剰摂取には、十分に気をつけましょう。
(※4)出典:健達ネット「カフェインの中毒症状とは?摂取量や中毒への対処法も紹介」
(※5)引用:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
少量のカフェインでも吐き気がする
カフェインの摂取で、吐き気を催してしまう原因の一つは、胃液の過剰分泌です。
適度な摂取であれば、胃の消化をスムーズにする効果が期待できますが、中毒症状になると、胃液が過剰に分泌されてしまいます。
胃液が過度に分泌されると、胃壁を溶かし、吐き気や嘔吐(おうと)などの症状を引き起こします。
特に、空腹時のカフェイン摂取は消化器官へのダメージが大きいため、注意が必要です(※4)。
眠れなくなる・寝付きが悪くなってしまう
カフェインを摂取したあと、眠れなくなったり、寝つきが悪くなったりする原因として、「興奮作用を引き起こすカフェイン」と「睡眠物質であるアデノシン」の関係が大きく影響していると考えられます。
アデノシンは覚醒物質であるヒスタミンを抑制して、睡眠欲求を高めるものです。
しかし、アデノシン受容体をカフェインが阻害するため、ヒスタミンが放出されやすくなり、脳が覚醒してしまいます(※6)。
このように、カフェインには脳を覚醒させる力があるため、眠気を覚ましたり、集中力を高めたりするために適量を摂取すれば、良い効果をもたらします。
そのため、適量の摂取で、カフェインの効果をうまく使う必要があります。
(※6)出典:BRAIN SLEEP「睡眠とカフェインはどう関係する?カフェイン摂取の上限とは?」
HSPの人はカフェインに弱いともいわれている
「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の概念を提唱した、心理学者のエレイン・ N・アーロン博士によると、カフェインの刺激はHSPには強すぎるそうです。
カフェインには、ストレス対抗ホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させる働きもあります。
HSPの人はもともとコルチゾールの分泌が多いといわれているため、カフェインは過剰な刺激となります。
さらに、コルチゾールの分泌により副腎が疲弊して、朝起きられなくなったり、日中の倦怠感(けんたいかん)などを引き起こしたり、睡眠の質が低下したりする恐れもあります(※7)。
カフェインの摂取量を少しずつ調整し、カフェインレスの生活を目指すこともおすすめです。
(※7)出典:からだにいいこと「“繊細さん”といわれる「HSP」とは?セルフチェックと自分でできる対処法」
カフェインに弱い人診断! 敏感な人の症状とは?
カフェインの過剰摂取によって引き起こされる症状の一例を紹介します。
あなたはいくつ当てはまりますか?
- めまい
- 心拍数の増加
- 興奮
- 不安
- 震え
- 不眠
- 下痢や吐き気、嘔吐
多く当てはまる方は、中毒症状の可能性があります。
摂取量を少しずつ減らすか、ひどい場合は医療機関に相談しましょう。
また、農林水産省によると「長期的な作用としては、人によってはカフェインの摂取によって高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されている(※5)」とのことです。
カフェインの過剰摂取が大きな病気や、胎児の発育を阻害することにつながってしまう可能性もあるため、症状が出た場合はカフェインが含まれている食品の摂取量を見直していきましょう。
カフェインに弱い人と強い人がいるのはなぜ?
同じ量のカフェインを摂取しても、人によって症状が出たり出なかったりします。
その原因といわれるものを3つお伝えします。あくまで一部ですが、参考にしてみてください。
理由1:体重
欧州食品安全機関(EFSA)が2015年に行った、カフェインについてのリスク評価によると、体重と関係があるそうです。
大人では、カフェイン摂取量が3mg/kg体重であれば急性毒性の懸念はないとし、1回当たり200mgのカフェイン摂取(体重70kgの大人で約3mg/kg体重)であれば健康リスクは増加しないとしています。また、習慣的なカフェイン摂取に関しては、妊婦を除く大人では1日当たり400mgまでであれば健康リスクは増加しないとしています。
※引用:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
妊婦及び授乳婦については、習慣的なカフェイン摂取に関し、1日当たり200mgまでであれば、胎児や乳児の健康リスクは増加しないと評価しています。
子供については、長期的・習慣的なカフェイン摂取に関する研究が少なく不確実性が残るものの、大人と同様、3mg/kg体重/日であれば悪影響が見られないと推測されるとしています。
理由2:妊娠や服薬など
米国食品医薬品局(FDA)によると、妊婦、授乳婦、妊娠予定の方や服薬している方はカフェインの影響を受けやすいとのことです。
米国食品医薬品局(FDA)は、健康な大人では、1日当たり400mg(コーヒーでは4〜5カップ程度)までであれば、カフェインによる健康への危険な悪影響はないとしています。
※引用:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
ただし、妊婦、授乳婦、妊娠予定の方や服薬している方は、カフェインの摂取による影響を受けやすくなる場合があるため、かかりつけ医に相談することが推奨されています。
また、FDAでは子どもでのガイダンス値を設定していませんが、米国小児科学会(AAP)は、子供はカフェインを含めた刺激物の摂取を抑制すべきとしています。
理由3:カフェイン感受性
米国コーヒーに関する科学情報研究所からの報告書『カフェインに対する遺伝学、代謝、個別応答』(2018年)によると、コーヒー摂取者はカフェイン感受性に基づいて3つの主要なグループに分けられるとのことです(※8)。
個人のカフェイン感受性は、2つの主要な遺伝因子によって決定されています。
(1)肝臓でのカフェイン代謝が速いか遅いかを決める遺伝子
※引用:LINK de DIET「カフェイン感受性の3つの主要なグループを示す新しいレポート」
(2)彼らの中枢神経系がカフェインの刺激により感受性が高いかどうかを決める遺伝子
上記の遺伝因子に基づいて、J.W.ランガー博士らが設定した「全体的なカフェイン感受性についての3つのレベル」です。
(1)高カフェイン感受性
肝臓での代謝が遅く、中枢神経系での結合能が高い。たとえ少量のカフェインでも、刺激効果を持ち、大量になると睡眠問題を起こす可能性もある。(2)中カフェイン感受性
肝臓におけるカフェイン不活性化と中枢神経系における結合能のバランスによって、1日2〜5杯のコーヒーを摂取しても、特に副作用や睡眠障害を起こさない。通常、夕方以降のカフェイン摂取は推奨されないが、人によってまちまち。(3)低カフェイン感受性
※引用:LINK de DIET「カフェイン感受性の3つの主要なグループを示す新しいレポート」
肝臓での代謝が速く、大量のカフェインを摂取しても問題が起きない(ただし医療専門職は1日5杯を限度にするようにアドバイスするべきである)。睡眠前にコーヒーを飲んでも特に睡眠に問題を起こさない。
(※8)※引用:LINK de DIET「カフェイン感受性の3つの主要なグループを示す新しいレポート」
カフェインに弱い・合わないと思ったら? 対処法
緑茶でカフェインを摂るとテアニンで軽減される!
緑茶にもカフェインが含まれていますが、茶特有のうまみ成分である「テアニン」も含有しています。
テアニンは、カフェインの興奮作用を抑制するといわれています。
2014年、伊藤園の中央研究所は、愛媛県立医療技術大学の岡村法宜助教との共同研究で、カフェイン摂取による中枢神経興奮に対するテアニンの効果を、ヒトを対象とした試験で確認しました(※9)。
ヒト中枢神経系においてテアニンはカフェインの中枢神経興奮作用を抑制する可能性が明らかとなりました。さらに、テアニン摂取により、カフェインによる睡眠障害の抑制の軽減が期待できると思われます。
※引用:伊藤園 ニュースリリース「テアニン摂取による中枢神経興奮作用緩和を確認-カフェインの作用を緩和-」
(※9)出典:伊藤園 ニュースリリース「テアニン摂取による中枢神経興奮作用緩和を確認-カフェインの作用を緩和-」
体重や健康状態でカフェインの感じ方が変わる!
上述した通り、体重や、妊娠、服薬の有無などの健康状態により、カフェインの感じ方は変わってきます。
個人差があるため、ご自身の体調や健康状態に応じて、カフェインの摂取量を調整しましょう。
まとめ
カフェインに弱い人の特徴や症状・対処法などについてご紹介しました。
カフェインの摂取後、少しでも体調が悪くなった場合は摂取量を見直し、カフェインとうまく付き合っていきましょう。
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