「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!
いつも記事を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。
今回の記事では、「出生前の日食と月食が起こるサインで示される人生の運命」について解説させていただきます。
前回は、出生前の日食と月食が起こるハウスについて、徹底的に解説させていただきました。
私たちが肉体を持って生まれるのは、母胎から出た瞬間からではなく、
母胎の中に私たちの器が形成され、その器に魂が入り込む瞬間です。
その瞬間から、私たちの人生が始まっている、と考えると、
私たちは「宿命」や「運命」というものを受容的に受け取っていると言えるでしょう。
人生に大きな影響を与える要素は、目に見える事象よりも、目に見えない潜在的な要素の方が強いです。
そのため、出生前の日食と月食とハウス・サインの組み合わせと象徴を知ることで、
ネイタルチャートをより深く分析・究明することができます。
今回は、出生前の日食と月食とサインの組み合わせについての解説をさせていただきます。
前回の記事と同様に、サインについての前提知識も盛り込んでいますので、
振り返りや復習に活用していただければと思います。
それでは、今回も最後までお付き合いくださいね!
伝統占星術(古典占星術)と現代占星術のサインの扱いの違い
伝統占星術(古典占星術)では、ハウスを重視し、
現代占星術では、サインを重視するような印象が見受けられます。
古代では、生死に関わるような選択や決断が必要不可欠でした。
対して現代は、比較的平和に過ごせるようになり、
より世代的・時代的な流れに隷属するような時代ではなくなることで、
共通認識が影響を及ぼす規模や程度が変わった、という違いが、
占星術の活用の仕方や向き合い方に反映されているのではないかと思われます。
とはいえ、時代の流れとともに、占星術の活用の仕方が変わったキッカケは確かにあります。
科学文明が発展していくにつれて、
占星術に与えられていた権威性が失われていった歴史的な経緯と、
現代における占星術の立場のシフトです。
本来的には、占星術は「摂理」や「流れ」を知るためにあり、
読み解くものは「事実」であって、
「個人に都合のいい知らせ」ではありません。
これは意外なことかもしれませんが、
古代から魔術や錬金術の研究が盛んであったものの、
純粋な占星術には、オカルティズムや霊能力は含まれていませんでした。
とはいえ、占星術には、霊魂やカルマなどに対する概念や観念、宗教的な要素が含まれていますし、
活用する人によっては、霊能や霊媒、天啓を降ろすためのツールとして応用される側面がありますので、
占星術が一切、霊的・非物質的な要素を持っていない、とは言えません。
ただ、時代の移り変わりとともに、
占星術に頼るべき物事が、現実や事象そのものよりも、
現実や出来事に対する解釈や対策といった関心に移っていることは確かです。
量子力学がより細かい世界の様相を解明してくれるという期待とともに、
現代人は、より世界と現実、人生に対して、
昔に比べて、より現実的、且つ、抽象的な概念を持っているといえます。
伝統占星術(古典占星術)は、事実や客観性を強調し、
現代占星術は、事象や出来事を明らかにしながらも、
加えて、個人の主観や観念、心理構造を汲み取ることを促します。
伝統占星術(古典占星術)では、「ハウスがメイン・サインはスパイス」という風に捉える理由は、
意識やエネルギー自体にはそれほどの影響力を持たず、
宿命や運命に紐づいた行動や意思決定の方が影響力を持つ、と考えられていたからです。
ただ、現代占星術の立場からすれば、
天体がサインを移動したり、サインを介してアスペクトを持つ際には、
明らかな変化が体感されますし、
個人のネイタルチャートの天体の配置によって、受け取る体感が異なるのも確かです。
本講座では、どちらの立場・概念が正しいか、もしくは、優れているか、という判断は下しません。
順序として、占星術は伝統・古典の流れがあったからこそ、現代の概念・観念が生まれました。
サインをどのように捉えるかは、人それぞれですが、
原理を押さえることを外さなければ、
より発展的・革新的な解釈は、現代占星術の発展に貢献し、
個人の意志や意識がより創造性を発揮しやすくなった現代に、
イキイキとしたエネルギーが集合意識と集合的無意識に変化をもたらすはずです。
本講座では、天体が最も影響力を持ち、天体の性質や働きは、天空と地上に、
現実性(ハウス)と観念性(サイン)に分けられている、と明確に定義します。
ハウスとサインのどちらにも、天体の象意と意図が宿っているものの、
サインの方が内的に掴みやすいものの、
そのサインのエネルギーや意識に影響されやすい、という特徴はあります。
対して、ハウスは天体の象意と意図が根付いている「場所」や「分野」を意味しますので、
私たちの都合で、状況を変えることは敵いません。
そのため、伝統占星術(古典占星術)が謳っているように、
現実を見る際にはハウスを見る必要がありますし、
現代占星術が内的真実を探求することを促しているように、
自らの主観や観念、心理体系を知るには、サインを深く知ることが重要と思われます。
結論といたしましては、
ハウスとサインはどちらも重要ではあるものの、
事実と観念を区別する必要がある、ということです。
ですから、サインを軽視すべきではありませんが、
より深くサインの性質や成り立ち、傾向、天体との関わりを知って、
他の天体や感受点、ハウスとの組み合わせを熟知することが、
ホロスコープ・リーディングの極意といえます。
12サイン:天体の性質が天空に分配されたもの
ハウスが現実性・客観性だとすれば、サインは精神性・内面性を表します。
そもそも、ホロスコープに描かれるハウスとサインは、
天体の性質が、地上と天空に分かれて投影されています。
サインは、天体が持つ性質の「意識」や「エネルギー」が12つに分散・分配されています。
本講座では、サインを「天体の分霊」のように捉えています。
なぜ、天体の性質が分けられる必要があったのかは、推測の域を出ませんが、
「役割分担」や「順序」によって、私たちが成長・変化・発展する転機がもたらされるからです。
二元性の原理が働く物質世界では、
「分離」と「融合」を繰り返しながら、人生は進んでいきます。
天体の性質が宿っているサインの意識・エネルギーは、単体で性質するわけではなく、
他のサインと繋がりを持ち、常に影響を与え合っています。
12つのサインは、天文学的な星座とは異なり、概念的・象徴的な存在ですが、
私たちの内面に備わっている12つの「野性性」や「精神性」を司っています。
野性性は、本能という言い方もできますし、
精神性は、自我意識の形成とともに経験し、
強化していく信念体系という表現で表すこともできます。
どちらが素晴らしく、どちらが劣っている、ということではなく、
どちらも必要ですし、強弱があるからこそ、
多様な個性が生まれ、人と人との間に対立と補完の関係性が生まれます。
ただ、「未熟」と「成熟」という意味では、野性性と精神性は、
12サインの性質をどのように自覚し、活用するか、ということが重要です。
伝統占星術(古典占星術)では、扱う天体は7天体ですが、
現代占星術では、トランスサタニアンを含め、10天体が主要天体として扱われています。
以下の表は、12サインの性質をまとめたものです。
後述しますサインの性質やグループ、意識・エネルギーの区分を理解する際に参考にしてください。
12サインと天体の関係性
12サインが、天体の分霊である、という表現をしました。
そもそも、天体はどのように成り立っているのかを解説します。
占星術の基礎となる概念は、この世を成り立たせているミクロな要素として、4つの元素があると考えられていました。
それが、火・土(地)・風・水の4大エレメント(元素)です。
西洋では4大元素はの他に、5大元素に加え、更に細分化した8大も存在します。
本講座では、西洋占星術に特化した解説を行っていますので、
今回はその他の元素や働きについての言及は控えさせていただきます。
また、エレメント(元素)は、さらに細分化することができます。
- 熱:Hot
- 寒:Cold
- 渇:Dry
- 湿:Moist
「エレメント」という言葉を見聞きしますと、すぐさまサインが連想されますが、
エレメントを細分化した要素を理解しますと、
天体の性質がサインに影響を与えていることが分かります。
トランスサタニアンの要素の区分は、
伝統占星術(古典占星術)の概念にそのまま適用できるのかは不明ではありますが、
以下に、7天体の性質の成り立ちとエレメントの関係をまとめました。
天体とサインの性質は、力学として、上昇か下降かに二分されます。
熱と渇が上昇、寒と湿が下降の流れを生じさせます。
そのため、上記の表のように、天体の働きは、2つの性質の組み合わせによって決まります。
以下の2つの画像は、性質の動きを視覚化したものです。
本講座で、繰り返し「地平線」を強調している理由は、
地平線を境に、昼と夜の世界を二分する「セクト」の概念が、
天体とハウス、そして、サインに反映されているからです。
軽いものは浮かぶ・昇る、重いものは沈む・降りる、というのは、自然の摂理です。
これは科学的な側面だけでなく、非物質的・精神的な側面にも適用されます。
12サインは、それぞれルーラー(ロード)を持ち、その天体の性質が反映されています。
例えば、牡羊座であれば、火星の火のエレメント(熱&渇)によって、上昇する意志を司ります。
また、牡羊座は男性星座であり、活動宮のサインですから、外向的で、活発な性質を持つことが分かります。
サインの2区分(男性星座・女性星座)は、前後で否定・反発し合う関係性を持っています。
また、サインの3区分は(活動宮・不動宮・柔軟宮)は、
①始まり、②維持、③応用といったように、
それぞれの性質がどのような言動や振る舞いを決定するか、という性質を意味します。
サインを二等分・三等分・四等分・八等分する
12サインは、ハウスのように区分分けされたり、グループ分けがされます。
まず最初に、前半と後半に分かれます。
次に、12サインは、4つのエレメントを3回繰り返し、
後半のサインにいくにつれ、意識の規模が広がります。
12サインは、人間の頭(牡羊座)から足先(魚座)までの身体部位に対応しています。
これは物質的・身体的な側面ですが、
サインは同時に、精神的・内面的な側面として、意識が焦点を当てる範囲や環境を表します。
12サインのうち、8つのサインは、四季と季節の代わり目と対応しています。
上記の画像は、四至のサインと、その中間のサインを視覚化したものです。
月の満ち欠け・8つのフェーズのように、
太陽は特定のサインが位置する時に、四至・四立の季節を生み出します。
東洋思想では、「二十四節気」や「七十二候」という暦の読み方をします。
春分・夏至・秋分・冬至(四至)は、
半月後毎の季節の変化を表す二十四節気の言葉のうちの4つです。
更に、四至の中間地点は、次の季節の始まりの到来を表す、立夏・立秋・立冬・立春が位置します。
- 春分:牡羊座0度 – 黄経0度
- 立夏:牡牛座15度 – 黄経45度
- 夏至:蟹 座0度 – 黄経90度
- 立秋:獅子座15度 – 黄経135度
- 秋分:乙女座0度 – 黄経180度
- 立冬:蠍 座15度 – 黄経225度
- 冬至:山羊座0度 – 黄経270度
- 立春:水瓶座15度 – 黄経315度
七十二候は、約5日おきの環境の変化を表すとされていますが、
今回の解説では省略させていただきます。
以上のように、サインは季節と季節の変わり目、
そして、次の季節への移り変わりに対応していますので季節の節目はすべて、
太陽が位置するサインの度数(黄経)に対応しています。
それぞれのエレメントには、3つのサインが割り振られていますが、
第1段階・第2段階・第3段階のサインの区別は、
天体の働きと性質の反映であって、優劣や序列ではありません。
また、12サインは、成長物語として例えられますし、
7天体(もしくは、10天体)は、私たちの魂の分霊・分化した意識であり、
12つのハウスは、人生に起こり得る出来事と体験の環境を表します。
一般的な12星座占い(太陽星座占い)や、月星座占いなどは、
太陽と月という重要な天体に特化したものですが、
全体像から注意を逸らしている側面があります。
そのため、サインをより深く理解するためには、
まず先に天体の性質を知ることが重要です。
以上が、簡潔にサインの基礎的な知識をまとめたものです。
ネイタルチャートに出生前の日食と月食を加え、
より深い洞察でホロスコープ・リーディングをする際は、
基礎知識や原理をしっかりと掴むことが重要です。
それでは、前置きが長くなりましたが、
出生前の日食と月食とサインの組み合わせを解説させていただきます。
12サインが持つ象徴とテーマ
12サインは、単体で扱った際は、独立したエネルギー・意識を表しますが、
すべてのサインの要素・性質が自分の中にある、
もしくは、他者や世界には、すべてのサインのエネルギー・意識が宿っている、
と考えることが重要です。
太陽星座や月星座をはじめ、
自分のネイタルの天体が位置するサイン以外は馴染みがないかもしれません。
その点、自分が馴染みの無いサインを知り、
ホロスコープの全体像や他者が持つエネルギー・意識を知ることが、
間接的に、自分自身を知ることに繋がります。
サインが重なるハウス:どのような意識を体験するのか
- 牡羊座:新しい体験を始める
- 牡牛座:物質的な安心・安定を求める
- 双子座:好奇心を満たす
- 蟹 座:他者と感情を共有する
- 獅子座:自己表現をする
- 乙女座:他者貢献をする
- 天秤座:中立的な立場を体験する
- 蠍 座:隠れた物事に携わる
- 射手座:思想や哲学を深め、広める
- 山羊座:現実的・物質的・社会的な成果を収める
- 水瓶座:固定概念・社会通念から脱却し、個性を尊重する
- 魚 座:自分自身と他者(世界)を受容する
サイン単体では、上記のような象徴・テーマが挙げられますが、
天体や感受点、ハウスと重なることで、様々な解釈や価値観が加わっていきます。
では、今回は、出生前の日食と月食とサインの組み合わせによるテーマと課題について解説させていただきます。
サイン別・出生前の日食のテーマ
出生前の日食が位置するサインは、
人生をかけて成し遂げるべき宿命的なテーマに関する、芽生える、
もしくは、育てていくことになる意識やエネルギーを表します。
日食は、太陽・月・地球の順番で一直線にならび、
地球側から見て、月が太陽を隠す新月であり、
ドラゴンヘッド or ドラゴンテイル付近で起こります。
日食は強力な新月であり、
太陽が生まれ変わることを意味するため、
太陽が象徴する「意志」に強力に作用します。
そのため、出生前の日食は、人生の根源となるテーマであり、
人生を懸けて取り組むべき・挑戦すべき分野、
そして、時間をかけて成し遂げるべきテーマを表します。
ネイタルチャートは、人生の始まりから終わりまでのすべての時間に関わり、
私たちの魂が母胎に生を宿した瞬間から、世界と同調が始まっています。
出生前の日食が示すテーマを知り、
ネイタルチャートと人生、そして、自己理解の参考にしてください。
出生前の日食 in 牡羊座
牡羊座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「独立精神」です。
テーマとは、「未だ達成できていないこと」ですので、挑戦すべき事柄を表します。
そのため、人生をかけて実現・体験すべき挑戦は、
「自分自身の意志を知り、その意志に従って変化を起こすこと」なのです。
日食が起こる際、ドラゴンヘッド、もしくは、ドラゴンテイル側で新月が起こるわけですから、
「独立精神」は、馴染みのある場所で実現するのか、
それとも、馴染みの無い場所で実現するのか、という違いが生まれます。
ドラゴンヘッド側で牡羊座の出生前の日食が起こる場合、
自分の生まれ育った環境や場所から離れる人生の流れを受け入れることにより、
人生の流れは加速します。
その流れをどのように経験するかは、ハウスが示す分野によって決まります。
対して、ドラゴンテイル側で牡羊座の出生前の日食が起こる場合、
自分の親しみのある環境や場所において、
リーダーシップを発揮するような人生の流れを受け入れることにより、人生に深みが出ます。
牡羊座は、12サインの始まりのサインであり
、「変化」を求める野性的・直感的な性質を持ちます。
また、牡羊座は火星をルーラーとし、
火星は3ハウスと10ハウスのハウスルーラーです。
前回の講座で、出生前の日食・月食とハウスの組み合わせについて解説しましたが、
3ハウスと10ハウスは、主体的に変化を生み出すことを求める場所です。
すなわち、火星は、内面に生まれた意志を世界に打ち出すことを本来的な欲求として持ち、
その欲求を行動にし、形にすることで、変化を生み出していくうちに、
セルフイメージを更新し続けることを人生に与える力・衝動性・意志を司っている天体といえます。
そのため、出生前の日食が牡羊座で起こった場合の人生は、
「自らの欲求に従う」ということをテーマとし、
「自分の世界に変化を生み出す」ということが挑戦であり、人生の醍醐味となります。
牡羊座は、無鉄砲で自己主張が激しく、単独で動く意識を与えるサインです。
直感は、感情や情緒とは違った、非論理的な感覚を意味します。
私たちは、日々、様々な肉体的・本能的欲求を叶えながら生活しています。
すなわち、私たちが何かを実現させようとする時、
私たちを行動に向かわせるものは「飢え(渇望)」が必要となります。
牡羊座の出生前の日食が示す、
人生をかけて実現・体験させようとする渇望や強い衝動性は、
「先天的に宿った意志」や「時間をかけて実現させるべき意志」と言えるでしょう。
これは誰に頼まれたわけでも、押し付けられたわけでもない、魂からの指示です。
人生という長期的な計画・成長プロセスは、
どんなに俯瞰したとしても、全体像を簡単に把握することはできません。
人生を歩むすべての人にとって、人生は未知と開拓の連続です。
この当たり前の真理を直感しているのが、牡羊座の意識であり、
牡羊座が衝動を起こさせようとするエネルギーなのです。
「人生は物質世界を冒険すること」と表現してしまうと、
現実はそんなに簡単なものではない、という思考や気持ちが生まれてしまいますが、
私たちがあらゆる制約・制限を受け入れた上で、
私たちは一体何をして生きているのか、ということを考えた時に、
最後に残るものは、「自分の思う通りに生きるという欲求を満たすこと」です。
美味しいものを食べたいという欲求も、仕事で成果を上げたいという欲求も、
海外で活躍したいという欲求も、シンプルに表現するなら、「自分の力で満たすこと」です。
もちろん、人から指示や教えを受けた通りに学ぶべき期間は一時的にありますが、
牡羊座の出生前の日食を持つ人は、「自分の人生を生きたい!」という意志が生まれる時、
自分自身と世界に対して、独立精神を表明します。
この独立精神は、先天的に宿り、最適なタイミングで芽吹きますが、
芽吹きのためには、外界からの刺激(栄養)が必要となります。
また、他者や世界の立場としても、あなたの独立精神が芽吹くことを求めています。
「自分には実現できない」という思い込みが外れる時は、
必ずショックな体験がトリガーとなります。
はたまた、他者の想いや意志を引き継いだ結果、
自らの内に宿っている精神性が目覚めることもあるでしょう。
牡羊座の出生前の日食を持つ人は、
自分自身を新たな景色に連れ出そうとする勇気の持ち主です。
それゆえに、ルーラーである火星が位置するサインとハウスが重要となりますし、
特に、火星期移行から始まる、自己実現の経験の数々は、挑戦と反省の連続となるでしょう。
出生前の日食を知ることで、自分の意志の何たることか、
人生から求められている情熱とは何か、をご自身と対話してください。
あなたが真に人生について、また、ご自身について向き合う時に、
あなたの内面は少しずつ気づきとヒントを与えてくれます。
以下が、牡羊座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 直感を無視せず、行動に移すことで、変化・展開が起こる
- 行動的・情熱的・単独的な生き方・在り方が自然体
- 短期的・短絡的・日論的な自分自身を肯定することが重要
- リーダーシップは、まず自分自身に対して発揮するもの
- 手本や見本は、感化・刺激されるものであって、真似るものではない
- 自己主張をすることに喜びと抵抗を感じる
- フットワークを軽くし、衝動性に任せることで、運や転機を呼び込む
- 自主自立を実現した後に、他者の自主自立を促すことが社会的役割となる
- 動きながら考えることをし、悩む暇を自分に与えないことが成長の秘訣
- エゴを悪者にせず、かといって、エゴの奴隷にならないことが常に課題
牡羊座は、男性星座・活動宮・火のエレメントの3つの性質によって構成されるサインです。
牡羊座は、変化を生み出す力を持ち、
外向的なエネルギーのベクトルによって、上昇の流れで現実に変化を起こし、
楽しもうとする意識を象徴します。
誰もが牡羊座のエネルギー・意識を持っていますが、
特に、出生前の日食が牡羊座で起こっている場合は、
人生と自分自身において、「挑戦」がいかに「生きている実感」を味合わせてくれるか、
ということを知ることが重要です。
それは小さな成功体験から始まって、
大きな夢や目標のために、場数を踏みながら、
困難も成果もすべて受け入れながらも、過去にしがみつかない勇気が、
太陽を輝かせる原動力となります。
避けることができない場合を除いては
、嫌なことや苦手なことからは手を引いて、
自分自身の意志と情熱を刺激する物事に携わる努力と工夫をしてください。
もちろん、好きなことや得意なことであっても、苦労や忍耐は必要となりますが、
常に「変化の先」を見据えていたのなら、
結果が出るまでのプロセスは、退屈で、苦痛な辛抱すべき状況ではなくなります。
あなたの牡羊座のエネルギー・意識は、
あなたの人生に勇気を引き出そうとする誘発剤であり、人生を拓く鍵です。
人生を開拓する鍵は、あなたの中に既に宿っていることを、
過去を遡って、様々な出来事や転機を振り返って探ってください。
そして、現在あなたの内面に燻ぶり、
不活性化している情熱や熱意に意識という光を当ててください。
時間をかけて実現していく壮大な人生のテーマは、
あなたを必ず喜びと達成感に導いてくれますから。
出生前の日食 in 牡牛座
牡牛座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「資産を築くこと」です。
厳密に言えば、物質的な豊かさを築くことで、自分と周囲に「安心」をもたらすことです。
物質はいずれ形を失います。
日食は新月ですので、牡牛座の出生前の日食が真に体験すべきことは、
「安らぎ」から物事を始め、安らぎを感じられる根を維持することが、
人生の大きなバイオリズムの谷と山、
そして、単調な日々の根底に流れるテーマとなり続けるでしょう。
私たちは、どのような立場や状況にあっても、心底望んでいることは、安らぎです。
その安らぎをもたらすものは、
「意味」や「価値」をもたらす形や器、交換可能な金銭や資産であり、私
たちが与えられている資質や能力、才能を活かすことで、
増やし、蓄え、循環させることができるものです。
どんなに平和や愛を訴えようと、
今、飢え死にしそうな状態であったり、不健康な心身の状態であっては、
変化や創造を生み出す力は湧いてきません。
牡牛座というサインが象徴する「豊かさ」とは、
物質的・身体的に安らぎを感じることができるものすべてを対象とします。
衣食住のあらゆる物事に対して、自分を満たす価値が分かること、
また、その価値に安らぎを感じられるということは、能力や才能といってもいいでしょう。
誰かが作った食事や衣料品、住居を、自分の好みに合わせて選ぶことは、一種の喜びです。
その喜びの行き着く先は、「精神的な満足感」であり、「精神的な安らぎ」なのです。
牡牛座は2番目のサインで、物心がつき、
自我意識が形成される中で、周囲のものに触れ、世界を体験する段階を表します。
そのため、牡牛座の出生前の日食が示すテーマは、
「豊かさを体験する」ということだけでなく、
「豊かさを築くこと」によって、安らぎを自分自身に体験させることといえます。
ドラゴンヘッド側で起こる牡牛座の出生前の日食は、
これまでお伝えしたように、自分自身を満たすことが、人生をかけた挑戦となるでしょう。
言い方を変えますと、自分の安らぎが実現する環境や状況を広げていく、
もしくは、近づけていくために、人生経験を積み重ねる、となるでしょう。
また、ドラゴンテイル側で起こる牡牛座の出生前の日食は、
既に豊かさを築く資質や条件が揃っていることに気づき、
その状況を上手く活用しながら、
不要・邪魔・害悪となる要素をどんどん排出していくことで、新陳代謝を上げることが重要です。
なぜなら、「慣れ親しんだもの」の中には、
気づかないうちに無駄や惰性が生まれるものだからです。
本来の安らぎは、愛着が持てる時間と空間に触れることで生まれるのであって、
単なる過去の焼き回しではないからです。
ですから、自分の体感・感覚に従って、足元を整えていくことは、
意識を整えていくことに繋がり、
結果的に、現実的な豊かさを創造することに繋がります。
「清貧」が美徳とされるのは、貧しさが美しいのではなく、
その時の状況の中で豊かさや有難さを見出す精神性が美しいのです。
それならば、物質的な豊かさを築きながら、不要な浪費を行わず、
他者の自尊心を損なうような振る舞いや生活をしない在り方もまた、清貧と言えるでしょう。
本来の牡牛座のエネルギーは、物に付属・依存し、物質に囚われた重い意識ではなく、
物に愛着を持ち、その物に付帯している記憶や感情を大切にする意識です。
出生前の日食が牡牛座に位置する場合、
人生・時間をかけて、自分自身に体験・体感させたいと思わせる物や環境、状況に、
自分自身を連れていくだけの財力や豊かな意識を培うことが重要となるでしょう。
それは、「物の量や質によって自分自身の価値が決まる」という隷属的な意識ではなく、
「自らの豊かさは自らで創造する」という主体的な意識です。
牡牛座は、自分自身の体内リズムや個人的な価値基準、ペースを大切にします。
それらの要素は、豊かさを築くためのペースメーカーであり、
世界との調和を図るためのメトロノームのようなものです。
自らの感覚に素直になり、外的影響や刺激に飲み込まれずに、
内面に根付いている愛着の欲求に正直になることで、
身の回りが心地良い空間になっていきます。
自分自身に合った空間には、五感を通して、
生きていることの豊かさと安らぎを感じることができる時間が流れ込みます。
時間とは、「内面と外面の間にある差」という風に表現することができますが、
その差に対して、物事の起こりから結実までのプロセスを、一喜一憂せずに、
どっしりと構えて、求める安らぎが未来から流れて来ることを見守る意識が、
牡牛座の成熟した精神性なのです。
以下が、牡牛座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 自分自身に与えられた能力や才能によって財を築く
- 自分ができることとできないことを見極める
- 自分のペースを守り、貫くことを諦めない
- 純粋な愛着から外れ、執着や強欲に走ることを反省する
- 物質的・身体的な安らぎは常に通過点である
- 五感を刺激するものを選ぶ重要性に気づく
- 一貫性・保守性・継続性は、自分を活かし、他者を活かす
- 心地良さと快楽主義は紙一重
- 安定は同じことの再現ではなく、根本的な意志の維持であり、
場合によっては変化を受け入れる勇気が必要 - 穏やかさ・頑固さ・大らかさは、程度を弁える必要がある
- 身体に答えを求める重要性
- 金銭・経済力・財力・資産は、自分自身に対する自愛が反映される
- 「豊かであることが当たり前である」意識が、人生を発展させる
牡牛座は金星をルーラーに持ち、金星は5ハウスと12ハウスのハウスルーラーです。
どちらのハウスも、自分自身への興味関心が強く、
自分自身を満たすことに抵抗を持たないことで、
成長・発展、また、堕落・衰退を経験させます。
金星は、牡牛座と天秤座の2つのサインを支配・守護しますが、
牡牛座には物質的な体感・感覚に対する興味関心を与えています。
牡牛座は、女性星座・不動(固定)宮・土のエレメントの3つの性質を持つため、
「維持」や「継続」といった働きを司ります。
言い方を変えれば、「同じ形」や「同じ状態」、「同じ型」を求める、ということですが、
意識を変える必要がある際は、形や状態、型を捨てることで、
より豊かさを築くことができます。
ですが、余程のことが無い限り、
自分から安らぎ・安心感を奪うことは、破滅を生み出しますので、
具体的な目的が無い場合は、自らから物質的・身体的・精神的な豊かさを損なうべきではありません。
それは、繋がりを持つ他者にも当てはまります。
ですから、牡牛座の出生前の日食を持つ場合は、
「自分に安らぎを与えるのか否か」という判断基準を、
物や人、情報、場所、あらゆる選択肢に対して適用することが重要です。
安らぎを動機・起点としたあらゆる行動は、
安らぎの意識に向かって未来を創造します(招待します)。
牡牛座が求め、創造する豊かさは、物的な形や器を経由しますが、
形や器も含めて、精神的な安らぎを愛する意識によって、豊かさを循環させようとします。
その意識は、一見わがままに見えますが、
その純真無垢な意識が、周囲に安らぎを与えますし、
まずは自分自身を満たすことでしか、周囲に貢献することができない、
という赤ちゃんのような在り方です。
そのため、赤ちゃんのような、わがままな自分を受け入れ、
その自分の欲求を実現することに対する抵抗感も受け入れながら、豊かさを築くことで、
人生に深い満足感を感じることが美しい生き方・在り方といえます。
誰であっても、自分自身のために生きることから逃げることはできません。
この事実から逃げることは、世界に背を向けることでもあります。
自分自身を健全に満たす方法を探し、試しながら、
人生のあらゆる場面に対して、「絶対に大丈夫になる」という意識を持つことが、
牡牛座の出生前の日食が掲げる人生のテーマであり、
あなたがあなたを愛することの醍醐味の表現方法といえるでしょう。
牡牛座の出生前の日食と合わせて、
ルーラーである金星の位置するサインとハウスを確認し、
どのような状態にあり、どのようなテーマと課題を持っているかを知ることも、
人生の安らぎを実現するためのヒントとなるでしょう。
出生前の日食 in 双子座
双子座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「多角的に体験を積み重ねること」です。
双子座は「好奇心」や「関心」に強い衝動性を持ちます。
双子の名前の如く、多重性を象徴する双子座は、複数の物事に意識を移します。
それは、主体性を複数の物事・関心事に当て、
同時に変化のプロセスを体験することを可能にします。
マルチタスクは、シングルタスクに対して、効率性や理解度は下がりますが、
その反面、興味関心の新鮮度が保たれるとともに、多角的な視点を持つことで、
結果的に相乗効果を生み出す可能性があります。
このことは後付けの解釈である場合が多いのですが、
純粋欲求として、同時進行で複数の物事に携わることを望むのが、双子座の意識です。
そのため、出生前の日食が双子座で起こる場合、
人生において、複数の分野で活躍することや、メインのテーマを進めるために、
サブのテーマに取り組むといった、
柔軟で、ユニークな生き方・動き方を実現することが人生のテーマとなります。
厳密に言えば、「自分自身を飽きさせない」という姿勢が、
人生を豊かにし、風通しの良い人間関係を築き、学びの多い人生を創造するでしょう。
双子座で新月・日食が起こる場合、執着や固執といった重たい周波数を外し、
強制力や固定観念から自由になって、
純粋欲求・純粋な好奇心を打ち出すよう促されます。
双子座が求める欲求とは、
自らの最善の在り方を探るために、多方面から知恵を拝借することです。
シンプルに言えば、ある場面で学んだことを、次の場面で即実践する、というように、
検証による実体験を積み重ねるというような在り方です。
そのため、広く浅い理解度や、移り気、秋っぽさなどが顕著に出る傾向があります。
あらゆる物事には表と裏がありますので、双子座の出生前の日食を持つ人は、
短所を長所に転換する意識を持つことで、
短期的な集中力や応用力、柔軟性を活かして、
マルチに活動することが挑戦となるでしょう。
「好奇心」は、私たちを成長・進化させる根本的な欲求です。
例えば、自然界には無数の食材がありますが、
必ず、誰かが口にし、味だけでなく、
育て方や保存の仕方、調理方法の他、効能などを最初に確かめた人がいたはずですよね。
双子座の意識は、「自分が体験してみなければ分からない」という純粋な好奇心によって、
知的活動を推し進めます。
知性が育まれるのは、必ず、他者の存在が必要となりますので、
双子座のエネルギーは、他者と繋がろうとする性質でもあります。
コミュニケーションは、ただ言葉や単語、文章を垂れ流すだけではなく、
反射神経やユーモア、相手の意図を汲み取る能力など、
即時的で、柔軟な対応を必要とします。
ドラゴンヘッド側で双子座の出生前の日食が起こる場合、
自分の役割をどのように果たすべきかを
多角的に判断しようとする流れを体験します。
表現を変えるならば、真正面から勝負するのではなく、
道具を揃えたり、状況を把握するために情報を仕入れたりすることで、
有利、且つ、安全、そして、楽しめる状況を作り出そうとする意識を育てます。
対して、ドラゴンテイル側で双子座の出生前の日食が起こる場合、
自分に求められる役割を熟知しながらも、窮屈さや退屈さを覚えるため、
意識を外側に向け、足元・身近な環境に刺激や変化を引き入れることがテーマとなるでしょう。
テーマに課題が重なることは、例えるなら、「温故知新」という言葉が相応しく、
双子座の場合は、逃げられない状況を工夫し、
改善することに知性を発揮することが求められるのです。
水星をルーラーに持つ双子座は、
自分自身の欲求を叶えるために、知力・頭脳を使います。
水星は、6ハウスのハウスルーラーであるため
、「役割を全うする」という目的のために働く性質・機能性を象徴します。
水星は、太陽系の中で最も頻繁に逆行をする天体です。
諸説ありますが、太陽の重力に抵抗するためには、
素早いスピードで運行する必要があり、その象徴となる天体が水星なのです。
水星は、双子座と乙女座の2つのサインを支配・守護しますが、
双子座に対して、知性を富む能力を与えています。
知性をどのように使うかは人それぞれですが、
双子座にとって重要な指針となるものは、
「通気性」や「柔軟性」といった解放感と機動性の高さです。
12サインの最初の4つのサインほど、
与えられている衝動性に純粋である傾向が強く、
双子座の場合、自分の立ち位置・立場を自分で決められることが重要となります。
人生をかけたテーマとして、双子座の出生前の日食は、
自分自身の能力や才能を活かすための持ち場や活躍の場、分野を複数持ち、依存先を分散することで、
様々な顔(ペルソナ)を持つことで、自分を飽きさせないことが挑戦であり、
人生の生き甲斐を感じるための秘訣といえるでしょう。
以下が、双子座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 新しい情報や知識に興味関心を持つ
- 興味の対象がコロコロ変わり、短期集中の傾向が高い
- 複数の物事を同時に手を付け、依存先を増やす傾向が高い
- 立場や役割を複数掛け持ちすることで、多角的な視点を持つことが重要となる
- 情報収集能力や情報処理の能力を高めることが重要となる
- コミュニケーションを伸ばす環境や場面に恵まれる反面、多方面からの刺激や影響を受ける場合が多くなる
- 俊敏さや柔軟性を伸ばすことを求められる傾向が高い
- 話す・書く・描く・学ぶ・伝える・教えるといった、知的学習や知性の実践を積極的に受け入れることで、人生が拓く
- 自身の興味や主義主張に固執し、他者の立場や感情に無頓着になることが課題となる
- 効率性や要領を追求することのメリットとデメリットの両側面を理解することが重要となる
双子座は、男性星座・柔軟宮・風のエレメントの3つの性質から構成されるサインです。
そのため、双子座は既にあるものを活用・応用し、発展させることで、創造性を発揮します。
世の中にある知識や情報は、自分のオリジナルの概念や知識体系ではありませんし、
オリジナルであるか否かは、創造性の発揮の重要性を左右するものではありません。
また、個性の表現・実現は、オリジナルと模倣のどちらにも資質があり、
双子座は模倣することから創造性の発揮をし、
後に、自分だけのスタイルを確立する、という順序を踏みます。
単に他者の真似をするのでは、拝借するだけですが、
双子座の意識は、元々ある素材を応用し、自分好みに作り変える柔軟性を発揮します。
この前後の間にある差が、オリジナリティを生み出すわけですが、
そのためには、やはり場数を踏む必要があります。
双子座の出生前の日食は、
自分だけのオリジナルの確立のために、一見遠回りをしているように見えるだけで、
意外と、王道を歩む素直さを発揮し、頓着することに罪悪感を持たないことで、
軽やかに成長することを促す人生の流れを示していると言えます。
私たちの成長を妨げるものの中で、
最も厄介な存在は、常に私たち自身です。
自分自身に対する不信や、正体や具体性の無いものへの後ろめたさや罪悪感は、
誰のためにもなりません。
ですから、生まれた純粋欲求は、その時に叶えることで、
不活性が残らずに済みますし、「賞味期限」ではありませんが、
その時に生じる欲求や興味関心を満たすことは、
自分との関係性を心地良いものにする秘訣と言えるでしょう。
人生をかけたテーマとして、
常に、自分自身を飽きさせず、成長させようとする意識を受け入れ、
世界には限りない学びがあることを喜び、
その時々の学びをこなすのではなく、純粋に楽しむことが、
双子座の出生前の日食が人生を豊かにするための挑戦であり、テーマです。
出生前の日食 in 蟹 座
蟹座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「寛容性」です。
蟹座は、月をルーラーに持ち、
母性や慈しみ、受容性などの意識に携わるサインですが、
月の役割や働きは、未熟な意識や精神性では賄い切れないほどの懐の深さを必要とします。
蟹座は、生物の蟹のように、自らを甲羅で守り、
甲羅の中で変容をすることから、「自他を分ける」意識の象徴とも言われています。
蟹座が身内を大切にする意識は、養育や保護といった意識に広がりますが、
対象や規模は狭く、自分の持ち場や立場の手の届く範囲に限られます。
範囲や規模の大小は、意識の広さや深みとイコールではありません。
重要なことは、自らの心を開き、感情的・情緒的な交流をする対象を選ぶ、ということです。
そのため、出生前の日食が蟹座で起こる場合、
感情的・情緒的な繋がりを重視し、
実際に、心地良さや安心感を築く関係性や環境が、人生をかけた挑戦・テーマとなります。
なぜ、そこまで心の交流や繋がり、絆が重要なのかと言いますと、
私たちの人生体験は、本質的には心の体験だからです。
蟹座が心や感情、情緒、思いやり、交換性、包容力などを象徴するのは、
自分自身と大切な人を守ることで得られる内的な安らぎが、私たちを生かすからです。
月と地球が引き合うように、心は他者の心と引き合います。
そこで反発や拒絶が生まれるのならば、
その繋がりを断たなければ、平穏や安心は確保することができません。
私たちがどんなに情報に踊らされても、無意識下では、
琴線に触れるかどうかで、物事を判断したり、他者の動向を観察しています。
マーケティングの現場で、心理学が活用される理由は、
人の安心感に対する欲求を最大化することで、購買欲を高めるためです。
実際には、安心感の提供とともに、
恐怖や煽動がセットで行われていることに、私たちははじめは気づきません。
ですが、蟹座の意識は、この裏の意識を読み取ることに長けています。
蟹座の出生前の日食を持つ人は、
他者が心に持っている意図が何であるかを嗅ぎ分ける能力・才能を与えられているとともに、
実際に繋がりを持つ相手に、思いやりを差し出す意識を育てることを求められています。
ドラゴンヘッド側で出生前の日食が起こる場合、
未知の相手に対して、どこまで心を開き、
相手との不和に対して寛容になれるか、が挑戦となります。
寛容と許容の違いは、
寛容が存在自体を受け入れるのに対し、許容は、信用や条件を求めます。
対人関係は、常に個性の差や価値観の違いによって、
調和が簡単に崩れてしまいます。
その反面、調和が生まれ、保たれる場合には、格別の安心感が生まれます。
蟹座は、この安心感に依存し、
他者に対して同じ想いを求める人の心理構造や心理パターンを象徴します。
ドラゴンヘッドは、「不慣れ」な状態を表しますので、
相手に対する寛容性は、時に自分の欲求や想いを抑えることにもなります。
それは一時的な痛みや違和感を生み出し、苦手意識や恐怖心、苛立ちに発展しますが、
「こうでなければいけない」という思い込み(信念)は、
自分自身も他者も傷つける恐れがあります。
そのため、他者に対して寛容になれた時、
自分自身も新しい自分を迎える可能性を得ることができる、
という意識を育てることが重要です。
対して、ドラゴンテイル側で出生前の日食が起こる場合、
親しみのある環境に居合わせる人との強固な繋がりに対して、
多少の刺激や発展性を求めることが挑戦となるでしょう。
例えば、毎日同じ食事をしていたら退屈するように、
人との繋がりにおいても、成長や刺激の無い間柄は惰性が生まれてしまうからです。
特に、ドラゴンテイルと蟹座は、「過去の価値観の再現」という点で、
同じエネルギーを生む傾向が強いため、他者の在り方を受け入れながらも、
より善い関係性を望むのであれば、自分自身を変容させる意識を持つことで、
惰性や馴れ合いを回避することが肝要になります。
寛容であることは、すべての要求を受け入れる・飲み込むことではありませんし、
相手の言いなりになることではありません。
間違っていることや嘘偽りを見つけたとしても、
断罪し、極刑に処すような敵意や憎しみではなく、
相手の改心や良心を信頼する、という意識です。
この意識は、蟹座に限らず、すべてのサインの意識において、
自分自身と他者を受け入れる上で、相当の経験や忍耐が必要となるため、
簡単に体得できるものではないのです。
以下が、蟹座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 感情的・情緒的な安心感・穏やかさを求める
- 大衆的な気持ちを察する能力を育てる
- 家庭的・親和的な振る舞い・言動が自然体の印象と長所となる
- 人懐っこさや親しみのある存在感や印象を与える
- 人に利用され、つけ込まれやすさを感じさせやすい
- 受容的・寛容的・包容的なエネルギーを発しやすい
- 養育や保育、人を育て、見守る意識を高めることが重要となる
- 面倒見の良さを活かし、活かされる場面や環境に遭遇しやすい
- 家庭や家族、身近な人との絆や繋がりを大切にすることで、人生が拓く
- 繊細さや共感能力を高めつつ、防衛的・排他的な意識・偏見を緩める必要がある
- 情に弱く、相手の真意を見抜くことが課題となる
蟹座は、女性星座・不動(固定)宮、水のエレメントの3つの性質によって構成されるサインです。
これらの性質の組み合わせは、
牡羊座と正反対の構成(性質の集合)であり、
内にこもる、内向的な意識のベクトルが強いことを表します。
蟹座のルーラーである月は、7ハウスのハウスルーラーですが、
7ハウスは「一対一」の関係性を重んじ信頼関係を構築するために、
信用を積み重ねることを促す場所を示します。
そのような意識を持つ月から、
寛容性という重大な意識を与えられている蟹座は、
敵と味方を分けることで、安心感を確保することに強い関心と衝動性を持ちます。
防衛的・自衛的な意識だけでなく、
「共により善く在りたい」という気持ちの影響から、
不要な争いや痛みを回避しようとするのが、蟹座です。
ですが、どのような関係性においても、どのような場面においても、
成長には痛みが伴いますし、
筋肉が成長する際や成長痛が生じる際は、痛みの後に、必ず発展が待っています。
そのため、自分の都合や気持ちに合わない・沿わない相手や状況を許さない、という姿勢は、
自らの成長の妨げになることは少なくありません。
蟹座の出生前の日食は、現状を維持したり、
相手と共依存関係であることを最適解とするのではなく、
素直な気持ちを通い合わせながらも、
水(心)を常に清浄に保つためには、風通しを良くする努力や工夫が必要であることを示します。
相手をありのままに受け入れるために、
まずは自分自身の不甲斐なさや醜さを受け入れることがすべての始まりです。
自分の不出来は、誰かの上出来を活かし、
相手の能力や才能を発揮させる資質でもあります。
自分を活かし、守ってくれる相手の良いところだけでなく、
不出来さも受け入れることによってこそ、蟹座の本領は発揮されます。
心はいかようにも変容し、幾多の傷を乗り越える強さと逞しさがあります。
ですから、安定に対する執着や恐怖の回避のためではなく、
心の無限の寛容性と受容性を成就することを、人生の大きなテーマとして掲げながら、
心を大切にして日々を過ごしてください。
あなたの慈しみの心は、他者に安らぎと豊かさをもたらすだけでなく、
周囲に喜びへの希望を与えることで、あ
なたにも相応の喜びが返ってくるはずですから。
出生前の日食 in 獅子座
獅子座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「自己信頼」です。
獅子座は太陽をルーラーに持つサインで、
太陽は全方位に光を与える生命力の根源・象徴です。
また、日食は新月であり、太陽と月が並ぶことから、
地球から見て太陽は月に隠され、生命力の再生・生まれ変わりを意味します。
人生スケールでこの再生・生まれ変わりを捉えた時、
冥王星や蠍座が象徴する内的な変容だけでなく、
牡羊座や火星が象徴する外的な印象さえも変えてしまうような、
存在感の刷新・アップデートが、
獅子座の出生前の日食がもたらす変化・変容の全容です。
私たちは日々、寝て起きる度に生まれ変わりを経験していますし、
毎年誕生日を迎え、太陽回帰を経験することで、時間の経過を体験し続けています。
獅子座は、太陽に支配・守護されていることから、
絶大な影響力や求心力を与えられていますが、
その力の扱い方を知らないままでは、自らの生命力を雲で覆い隠してしまう、
という獅子座特有の葛藤があります。
獅子座がもたらすテーマである「自己信頼」は、
月によって太陽の光が受容され、反射されるように、
自分自身の存在を受け入れる自愛の境地を深めることで、創造性が発揮されていきます。
魚座が象徴するような、自分以外の対象を信じるのではなく、
自分自身を頼りにし、自分自身を活かそうとする意志によって、
自己信頼はあなたに力を与えます。
ドラゴンヘッド側で獅子座の出生前の日食が起こる場合、
自己信頼によって、他者に影響力を与える度合いが非常に強まります。
そのため、「リーダーシップ」や「指導者」という表現が相応しいのですが、
人の上に立ち、周囲を巻き込むためには、
「孤独な存在」となる道を進まなければいけません。
牡羊座であれば、孤独を楽しみのうちに抱えて前進しますが、
獅子座の場合は、自信とは裏腹に、自分の存在の代わりがいないことに孤独を覚えます。
ですから、自己信頼とは、孤独をも受け入れることで生まれる、強さと逞しさでもあります。
対して、ドラゴンテイル側で獅子座の出生前の日食が起こる場合、
周囲の期待や意見に応えることだけにエネルギーを投じるのではなく、
「自分が自分に求めるセルフイメージ」を描くことを促されます。
なぜなら、ドラゴンテイルは「過去」を表し、
過去を塗り替えるような太陽の再生は、「過去の再現」ではなく、
過去の経験や叡智を活かして、
「過去ではなく、今求められる自分」を実現することが、出生前の日食のテーマだからです。
太陽が生まれ変わる時、古き自分(過去)は、消されるのではなく、統合されるのです。
太陽は恒星であるが故に、
光を放ち、他の天体を留めておくことで太陽系のシステムを確立しました。
この「求心力」を、獅子座の出生前の日食に当てはめるなら、
自己信頼を経験し、創造性が発揮されることで、
人から注目され、認められる存在感を持つ、ということです。
太陽は、地球に「変化」をもたらす存在であり、
獅子座の意識は、他者を感化し、影響を与える意志を象徴します。
誰もが獅子座の意識・エネルギーを持っていますが、
特に、出生前の日食が獅子座で起こる場合、
「自分の力を掌握すること」が重大なテーマとなります。
これはまるで、古事記の天岩戸の神話のように、
自らの創造性を隠してしまえば、世界が闇に包まれてしまい、
あなた自身も自分自身の光を押し込めてしまう、という比喩だけでなく、
現実に眼を瞑り、自分自身から目を背けることで、人生は停滞してしまいます。
獅子座は本来、「存在としての価値」を訴えるサインです。
私たちが生まれた時点で、私たちは祝福されていますし、
自分自身に体験させたいと思う願望や欲求が生まれる時もまた、
世界は、その願望や欲求が表現されることを心待ちにしています。
なぜなら、例外なく私たちは全員、意識の上では繋がっていて、
私たちが人生で経験するあらゆるエネルギーは、全体性に還元されるからです。
獅子座の意識は、「私が存在していること」に誇りを感じ、
「私が決めること」に誇りを持って実践する意志を表します。
月によって生まれ変わる太陽は、
人生を歩むあなたに、その時々の自分自身を受け入れ、
ご自身の無限の生命力を頼ることを促します。
そして、自分自身を頼ることが、誰を頼るよりも頼もしいことが分かった時、
あなたは優しくなることができます。
真の優しさは、「存在として見守ること」ができる意識です。
太陽や獅子座は「王座」や「権威」といったシンボル・象徴によって、
一見、支配や横暴さの象徴のように捉えられる側面もありますが、
他の天体やサインでは賄うことができない立場と働きを持ちます。
太陽は父親や父性を象徴しますが、
男性は女性のように、子どもと一心同体となって生み育てることはできません。
出産・妊娠は、生命体が行うあらゆる事柄の中で最も偉大な経験です。
男性は、当事者として経験することはできませんが、
観察者として待ち、見守ることができます。
当事者でないということは、自らの非力さを味わう、ということでもあります。
役割や立場の違いは自然なことではありますが、
確実に「違い」を見せつけられることは、一種の心の痛みになり得ます。
このような主体と観察者の視点を、自分自身に取り入れると、
「過去の自分」という尺度や信念が壊れる時、私たちは成長・進化することができ、
獅子座の出生前の日食は、「いかに自分を活かすか」や
「いかに影響力・存在感を放つ自分になるか」という命題を
人生から突きつけられていると言えます。
生命力という無限のエネルギーを自分自身と向き合い続けることは、
自分で作った殻を破り、
周囲から押し付けられた・継承することになった信念を破ることになりますので、
非常に根気が必要です。
本講座では、人が真に大人になるのは、「太陽期を終え、火星期に入った後」としています。
なぜならば、年齢領域の太陽は、自分だけのセルフイメージを温めていたに過ぎず、
火星期以降に、社会や世界に自分の放つ光を打ち出し始めることで、
外界との繋がりや影響を受け入れることによって、
自らの創造性に目覚めていくからです。
自己信頼は、自分自身に与えられた創造性に目覚め、
の力を扱い、影響力を持つことを促します。
以下が、獅子座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 自己理解、自己肯定、自己信頼を追究する
- 自分という役割を楽しんで演じる
- 自信、自尊心、満足感、達成感を追求する
- 人生や日々に散らばる、あらゆる要素を演出と捉える
- 純真さ、子ども心を保ち続ける
- 情熱、意志、存在感、影響力を持つことが重要となる
- 自己満足、自惚れ、自己中心的な態度を改心することで、生まれ変わる
- 自分自身を受け入れることで、求心力を持つことが重要となる
- 自分の存在としての美しさを派手さや華やかさで表現・演出することが自然体の姿となる
- 中心人物や影響力を与える物となることへの覚悟が必要となる
獅子座は、男性星座・不動(固定)宮・火のエレメントの3つの性質から構成されるサインです。
そのため、獅子座の意識とは、他者を引き込み、引き連れ、惹きつける力は、
エネルギーの放出であり、威風堂々とした在り方であり、上昇のエネルギーの流れを持ちます。
太陽は、太陽系の中心に位置し、他の天体を引き連れて、銀河を巡ります。
あらゆる生命体は、生きている限り振動し続けていますので、
中心点とはいえ、太陽は常に揺らいでいます。
この揺らぎは、不安定さを表すのではなく、
変化・変容することによって、創造的な安定を生み出しています。
変化をしないものは、「死」であるとさえ表現されます。
ですから、獅子座の出生前の日食を持つ場合、「自分を生かす」という意識で、
人生に対して真っ向から向き合う覚悟が必要とされます。
誰もが自分自身を生きることに一生懸命であることは変わりませんが、
太陽・獅子座の意識とエネルギーを活用することを約束された人生は、
何度も自分自身の存在と生命力の偉大さに気づかされる場面に遭遇するでしょう。
太陽は「生命」や「生」を象徴します。
あなたの生命力と人生は、あなたがこの世界で創造性を発揮することが確定していることを、
あなた自身に気づいてもらうために、高低差の激しい体験をもたらすでしょう。
それは、一見すれば「辛いこと」や「大変なこと」であり、
出来れば避けたい出来事や体験かもしれません。
ですが、当事者として体験することになった場合、選択肢は1つしかありません。
そう、「受け入れる」という選択のみです。
人生や日々は、選択の連続と言われますが、
言い方を変えるなら、必然の連続です。
必然は、私たちの人生の流れと同調していますので、
自分自身を受け入れ、現実を受け入れる選択をし続けることで、
獅子座の出生前の日食を持つ人の生命力・存在感はアップグレードされていきます。
自己信頼は、「本質の自分から無条件に愛されていることへの恩返し」のようなものかもしれません。
私たちの自我意識は、壮大な人生(魂)の計画を全く知らずに人生を歩み続けます。
ですから、立ち止まる時も、自分の非力さに打ちひしがれる時も、
あなたの生命力は決して立ち消えていないことを、ご自身から教わってください。
あなたにとっての最善の味方と教師は、あなた自身なのですから。
出生前の日食 in 乙女座
乙女座で起こる出生前の日食が表すテーマは、
「正当な義務を全うすること」です。
乙女座は、双子座同様に水星をルーラーに持ち、
頭脳や知性を駆使して、役割を全うしようとする意識を表します。
なぜ「正当な義務」という風に表現したかと言いますと、
乙女座を象徴する際に、「完璧主義」や「オーバーワーク」といった言葉とともに、
「献身」や「自己犠牲」といった言葉が取り上げられることが多いためです。
乙女座の本来の意識は、「調和」と「循環」のための義務の全うであって、
自己満足や誰かの尻ぬぐいのためではありません。
土サインの3つの中で、
乙女座は中間管理職のような立ち位置で、周囲に常に気を配る意識を象徴します。
バグやエラーが発生することは自然ですが、
それらが発生した際には対処する人が存在し、
その役割を宛がわれるのが、献身的な精神性を持つ人であることが多いです。
そのため乙女座は、自分自身と周囲に対して、
厳しさと几帳面さを求め、機械的・義務的な印象を与えながら役割を全うする、
という印象を与えやすい性質を持ちます。
ですが、本来の乙女座は、「やるべき者」が「やるべき事」をする管理意識を象徴し、
自分自身と他者が各々の責任を果たすことを促す存在なのです。
出生前の日食が乙女座で起こる場合、
「健全さ」や「正当性」という言葉がキーワードとなり、
人生を通して、「自分ばっかり」や「あの人ばっかり」といった思考や状況を解消することがテーマとなります。
ドラゴンヘッド側で乙女座の出生前の日食が起こる場合、
自分自身に対して「健全さ」を求める意識が強まります。
私たちは、「経験してみないと分からない生き物」です。
知識や概念では分かっていても、身体や心が経験していなければ、
当然、想定される状況や場面に出くわしても、咄嗟に対応することはできません。
最初から完璧な役割を全うしようとしていた自分を省みて、
自分のキャパシティを知って、健全な役割・義務を全うしようと、
活動の幅や量、質を調整していくことが重要です。
対して、ドラゴンテイル側で乙女座の出生前の日食が起こる場合、
更に、拘束的・強制的な立場に対して、開き直る必要があります。
開き直るとは、「訴えかける」ということでもありますが、
別の表現をするならば、「諦める」や「降参する」となるでしょうか。
なぜかと言いますと、「過度の負担」や「不当な扱い」といったものは、
主張・意見を出さない限り、相手の行いを許可している、
もしくは、助長することになるからです。
自分が当たり前・常識としている、繊細さや誠実さといった価値観や信念は、
他者には関係がありません。
そのため、全うな扱いを受けたい、という感情を表明するのではなく、
現実的に正当性を訴えかける必要があります。
法律や条例といった大きな規模でなくても、
「胸の内を吐露する」という体験は、恐怖心や不安が付きまといます。
だからこそ、勇気が必要ですし、「過去のパターン」からの脱却に繋がります。
乙女座の出生前の日食は、ドラゴンヘッド・ドラゴンテイルともに
、自分自身に対する価値観や信念が、
周囲の自分自身に対する印象を決定していることを受け入れることで、
意識を少しずつ変えながら、
健全な心身の状態で現実創造をする喜びを噛み締めることを促します。
土のエレメントは、寒(Cold)と渇(Dry)の結合によって生まれる元素です。
冷やすことで物体は湿り気を帯び、乾くことで物体は分離します。
乙女座の特徴として、細部まで丹念に意識を張り巡らせることや、
分析や集中といった、現実的な意識が強く、
冷静さと繊細さによって物事を捉えて対処する性質があります。
こういった地に足の着いた意識や働きは、
太陽にとっての水星のように、非常に「役に立つ存在」であり、
「都合がいい存在」になりやすいのです。
そのため、乙女座の出生前の日食が示すテーマは、
他者に大いに貢献できる働きができるようになり、
他者に誠実さと献身的な意識を見せながらも、
自分自身と他者に無理強いをしない、健全な生き方と在り方を学ぶことになります。
乙女座は、タロットの「力」のカードのような、
慈しみの心で獅子を手懐ける精神性の高さに例えられます。
私たちが他者に指示・命令される時、
反発心を抱いてしまうことは自然なことですが、
指示・命令を出す者が立派に役割を全うしている姿を見てしまえば、
素直に聞き入れることができます。
乙女座の出生前の日食は
、「生き様を見せること」を大切にすることを促している、
と表現してしまうと滑稽かもしれませんが、真の実力者や功労者は、
他者を責めるという選択ではなく、
正当な在り方を「見せる」ことを選び、「改心」を促します。
お釈迦様の言葉に、
「自分のしたことと、自分のしなかったことだけを見よ」というものがあります。
獅子座の意識によって、
「自分に与えられた能力・才能を表現する」という欲求を体験した後に、
乙女座は自分が役割を果たすことによって、
次の役割が始まるように配慮する、という意識が続きます。
「あなたがしなかったこと」は、誰かにしわ寄せが行くことになり、
「誰かのしなかったこと」が、
あなたにしわ寄せとして訪れている、ということは日常茶飯事です。
これを「カルマ」という風に解釈することができますが、
重要なことは、「自分の人生は自分が創造している」けれど、
「他者の人生に影響を与えている」という側面を受け入れることです。
そうしますと、「あなたがしたこと」によって、
誰かが励まされたり、または、自分の過ちに気づくかもしれません。
出生前の日食とは、「意識の生まれ変わり」を表しますので、
乙女座が「やって見せる」という意識で、相手を責めることをせず、
淡々と「成すべきことを全うする姿」は、
毅然としたエネルギーで周囲を包み、他者の意識にわずかに揺らします。
簡単なことではありませんが、私たちは非常に他人の視線や意識を気にし、
自意識過剰になることで、自分自身を傷つけたり、誤った選択をしたり、後悔をしたりします。
ですから、乙女座の出生前の日食は、
「成すべきこと」という「正当な義務を果たす」という自分を実現することが、
人生をかけて挑戦すべきテーマといえるのです。
以下が、乙女座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 人に役に立とうとする意識
- 奉仕・献身の精神が自然と湧きやすい
- 几帳面さが神経質になる傾向が高い
- 清潔さや調和の取れた状態を維持しようとする意識が高い
- 義務感・正義感が強く、自他を平等に捉える
- 批判を恐れない精神性が形成されやすい
- 現実主義・完璧主義・機能主義が強くなりやすい
- 健全な状態を超えて、ルールや信念を優先しやすい
- 善意を利用されやすく、そのことに気づいているものの、現実的な対処を講じない傾向が高い
- 健全に自分と他者の義務や責任を全うする意識を育てることが重要となる
- 繊細な精神性を表に出さず、苦労や心労を溜めやすい
- 他者・周囲に助けを求めることが課題となる
乙女座は、女性星座・柔軟宮・土のエレメントの3つの性質で構成されるサインです。
そのため、受容的、且つ、柔軟に物事に取り組む意識を象徴します。
乙女座は、双子座をルーラーに持ち、水星は6ハウスのハウスルーラーです。
現代占星術では、6ハウスと乙女座を紐づけ、
伝統占星術(古典占星術)では、6ハウスはアヴァージョンの場所であり、
受難や困難、拘束を体験する場所としています。
どちらの立場においても、水星・乙女座は、
太陽にとっての秘書的な立ち位置ですので、
常に知性を働かせなければならない状態は、
「思考の奴隷」や「不自由な奴隷」という風に例えることができます。
ですが、「目的」や「希望」でさえも、私たちを縛る要素になり得ます。
乙女座の意識として、「献身性」や「義務の全う」がありますが、
先天的・潜在的に「報ろうとする欲求」を行動に移し、現実的に成果を上げるのであれば、
労働や献身といった功労は、決して、不運や受難などの経験だけで片づけられるものではないはずです。
とはいえ、「思考」や「概念」は、意思決定や取捨選択に強い影響をもたらします。
あなたの「当たり前」や「価値観」は、
残念ながら、あなたのオリジナルの概念や観念ではありません。
私たちの自我意識は、周囲からの影響や刺激の集積・結晶ですので、
私たちは経験をキッカケとして、
自分の意志で、後天的に価値観や信念を修正していきます。
乙女座の出生前の日食は、「健全な状態で貢献できる自分」になることを促し、
実利だけでなく、他者に対してのロールモデルとして、
「頼もしさ」と「繊細さ」で他者貢献をしていくことを促しているのです。
出生前の日食 in 天秤座
天秤座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「信用関係を築くこと」です。
天秤座は、12サインの後半の始まりのサインであり、
前半の始まりのサインである牡羊座と対極軸を築き、「他者への意識」を象徴します。
他者への意識といっても、他者の脳内や心の内を推し測ることはできません。
本講座では、真の客観性は得られない代わりに、
「自己主観」と「自己客観」という表現を仕様しています。
自己主観が強まるサインが牡羊座、
自己客観が強まるサインが天秤座、という風にすると分かりやすいと思います。
天秤座は、12サインの中で7番目のサインです。
7という数字や性質は、
「孤立」や「孤独」の他、「秘密」や「不可思議」などを表します。
そのため、天秤座は「中立性」や「客観性」という立場や役割を担います。
出生前の日食が天秤座で起こる場合、
中立的な意見を提言したり、助言を与えるような立場や役回りを受け入れることがテーマとなり得ます。
なぜなら、「天秤」とは、二元的な関係性の仲介・調停を担うため、
個人的な思い入れや主観を排し、状況に応じた判断を下す必要があることを示すからです。
天秤座は金星をルーラーに持ちますが、
出生前の日食に照らし合わせますと、
金星よりも木星や土星の働きに通じるテーマであるように思われます。
ですが、金星が象徴する「喜び」は、
必ずしも物質的な形や行いを必要としない、体験的な価値や感動を指します。
また、宇宙の法則は、常に、「自分で放った意図」が返ってきます。
そのため、天秤座は「平衡感覚」という意味で、秩序をもたらすサイン・働きとされています。
天秤に乗せるべきものは、常に対称的な物事です。
善と悪や正義と悪、良心と邪心、自分と他者など、
相対する要素は、常に対立するとともに、互いを存在させる要素です。
天秤座の意識は、同じ視点で物事を判断するのではなく、
第3の視点から解決案や打開策を提示しようとする高次的な精神性です。
高次的な精神性は、私心や私情の一切を排除する必要があるため、
天秤座は客観的な立場を優先することで、
意志や自己主張が抑制される傾向があります。
天秤座の出生前の日食は、孤独な立場を受け入れ、
その立場だからこそ、与えられる影響力に対して誇りを持つことが人生のテーマであり、挑戦です。
私たちには、「嫌われたくない」という本能がセットされています。
ですが、経験を重ねていくと、
人はそれほど自分のことを意識していない、ということを学びます。
職業や肩書き、社会的立場が伴う時、
私たちは「我欲」や「私情」をある程度抑制することができます。
その代わりに、自我意識は内面で大人しくしている時と、
奔放に活性化する時のギャップが激しくなったり、自我意識や心が鈍くなり、
不感症的な状態に陥る時があったりと、
「自分本意」の状態を感じることが必要となります。
客観性に近づくためには、「自我意識を排する」という側面がついて回ります。
また、「自分がいない」という感覚が美化され、
「バランス」や「調和」という言葉で誤魔化されることもありますので、
自分の気持ちと、自分が与える印象・他者からの評価のギャップに対する葛藤を乗り越えることが、
自分との信用を築き、他者との信用を築くことに繋がります。
ドラゴンヘッド側で天秤座の出生前の日食が起こる場合、
自我意識と自己客観を同化させず、
TPOに合わせて、アイデンティティ・ペルソナを切り替えることがテーマとなります。
なぜなら、自我意識が培ってきた知識や教養は、
自分のために脚色される場合がありますので、
他者にとって必要ではない場合があるからです。
また、他者にとっての有益な意見や助言は、
自分自身には適用できない場合もあります。
対して、ドラゴンテイル側で天秤座の出生前の日食が起こる場合、
周囲から影響を受けて形成される自己客観が、
他者に提示すべきものなのか、という葛藤を経験させます。
自己主観と自己客観を合わせて自我意識となり、
「善と悪」や「天使と悪魔」のように、
自分の中で対立的な思想や信念が聳(そび)え立ち、
どのように主観を諫めるべきかに悩むのです。
そうした場合の指針は、
「求められる自分像」と「自然体の自分像」を完全に分離させるのではなく、
共存させ、どちらか一方を悪役とせずに、どちらも肯定する、ということになります。
人は確かに情動で動きますが、衝動的な感情や振る舞いではなく、
前後の文脈や状況を踏まえて、全体像を知ってこそ、
事情という「物語」を把握します。
対立構造や対立的な関係性において、
一方には理解されない、受け入れてもらえないという葛藤をそのままに、
自分の役割を全うすることが、信用創造に繋がります。
「信用」は、条件を伴った関係性をもたらしますので、
天秤座の意識は、感情的・情緒的な繋がりを優先せずに、
状況を収めることを優先します。
少し残酷・冷たく聞こえてしまいますが、
実際に、社会的な契約や信用などに、私情や私心は考慮されない、という現実があります。
自己客観は、内面よりも、外面世界に寄っていますので、
やはり、自己客観を優先する必要がある時と、
自分自身の気持ちを大切にする時間を分けることが重要です。
以下が、天秤座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 対人関係における葛藤を乗り越えること
- 他者の要望を掬い上げる能力・才能が高く評価される傾向が高い
- 自己客観を優先し、必要な判断を下す適性がある
- 人と人とを繋ぐ立場が巡ってきやすい
- 契約や裁判などに限らず、中立的な立場からの意見を求められやすい
- 品格や品位といった、大衆・社会から求められる感性が育ちやすい
- 秩序・調和・循環を俯瞰する視座・意識を育てることが重要となる
- 仲裁や仲介に必要な交渉力に秀でている
- 自己主観を抑制しつつ、求められる自分像を形成する
- 自分の意見をしっかりと持った上で、
自己主張をすべき場面を逃さないことが重要となる
天秤座は、男性星座・活動宮・風のエレメントの3つの性質によって構成されるサインです。
そのため、動機や衝動を表に打ち出す上で、
論理的、且つ、活発に表現しようとする意識を持ちます。
天秤座は金星をルーラーに持ち、
金星が支配・守護する牡牛座とは異なり、物質性よりも精神性が強まるサインです。
付け加えますと、物の量や質だけでなく、
全体のバランスを考え、自己主観だけでなく、
自己客観で物を選ぶ感性は、精神性から生まれます。
金星は、5ハウスと12ハウスのハウスルーラーで、個人主義の体験を司ります。
そうなりますと、他者への意識・自己客観の体験が強調されることは、
個人主義から距離を取ることになりますので、少し妙な感じがします。
では、「他者」さえも、自分と同じ個人と考え、第3の視点でフラット
に自分自身と他者を捉える、という風に表現すると、天秤座の意識が分かります。
12サインは、後半にいくにつれ、自我意識の及ぶ範囲が広がっていきます。
天秤座は7番目のサインであり、自我意識を抑制・排除するような意識の段階です。
そのため、天秤座の出生前の日食は、「我慢」や「辛抱」ではなく、
「客観的な立場による忍耐」をテーマ・挑戦とします。
我慢や辛抱は、強制される物事に対して、
自我意識の反発が起こっている境地を意味し、
忍耐とは、目的や状況を理解した上で、役割を全うする姿勢です。
後述します、「天秤座15度~蠍座15度」の間の意識・エネルギーは、
強烈な葛藤を体験すると言われる度数と言われています。
なぜなら、天秤座と蠍座の2つのサインの意識・エネルギーは、
社会性や全体性を自らに取り込む中で、自我が融解・変容するからです。
天秤座は社会的な繋がりや信用を獲得しながらも、
自己主観と自己客観の分離によって、自己不信に陥ってしまわないように、
周囲や社会に求められる通念的な意志ではなく、
牡羊座が象徴するような、純真な気持ちや欲求を温め続けることもまた大切になります。
孤独は人を強くしますが、同時に、人を無力にしてしまう側面があります。
ですが、私たちは誰もが、1日1日、死に向かっています。
生まれてきた時と同じように、
個人という孤独な存在としての意識は、寿命を迎える時まで続きます。
誰もが孤独であることは、
時間を生きる人間として、平等に与えられている資源です。
ですから、孤独に対する解釈を、常に平穏に保ち、
ご自分から自我意識を完全に取り払わないように、
日々ご自身を労うことを忘れないでください。
出生前の日食 in 蠍 座
蠍座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「信頼」です。
天秤座の項で、「信用」と「信頼」について触れましたが、
蠍座は、内的・精神的・エネルギー的・霊的な繋がりを重視するサインです。
蠍座のルーラーは、火星とともに、
トランスサタニアンである冥王星をもルーラーに持ちます。
火星は、変化を起こすための行動力を、
冥王星は、根本的な意識の刷新を司り、
蠍座は内に膨大なエネルギーを溜め込み、必要な場面で発揮するサインです。
蠍座のキーワードとして、「変容」や「極端性」が挙げられます。
また、蠍座は牡牛座と対極性を結び、
精神的(非物質的)な充実感と物質的(肉体的)な安らぎをそれぞれ強調します。
私たちは月(心)を体験の器とし、人生の旅路の感情体験を積みます。
とはいえ、心(月)は肉体という器の中に宿ることで、現実的な体験をすることができます。
蠍座は、物事の変化に伴って生じる内的な変化に敏感となり、
強い目的意識を持ち、集中力・洞察力を発揮し、
忍耐強く物事の変遷を見届ける性質を持ちます。
そのため、蠍座で起こる出生前の日食は、
「精神の成熟」に焦点が当てられ、精神の成熟は、
特定の他者との密接な関係性の上での体験によって成就します。
なぜ、蠍座の出生前の日食のテーマが「信頼」なのかと言いますと、
前のサインである天秤座では、表面的・社会的な繋がりや関係性を体験し、
次の段階として、深層的・精神的な繋がりや関係性を重視するからです。
信頼は、信用が前提として築かれる場合もありますし、
信用が後から付いてくる場合もあります。
重要なことは、自分と他者の間で、心の交流が行われ、
互いが真剣に他者の心に触れるかどうか、ということです。
ドラゴンヘッド側で蠍座の出生前の日食が起こる場合、
自ら変容に立ち向かう覚悟が求められます。
内的な変容は、時間や寿命のように、
然るべきタイミングの時に経験するように設定された、通過儀礼のようなものです。
そのため、いくら逃げようとしても、逃げることはできません。
それは、私たちが人間として生まれ、食べたり寝たりしなければ生きていけない、
ということと同じようなものです。
自らの闇や内的世界に向き合う覚悟は、
それまでの自我意識が確立し、
確信してきた信念体系が崩れることを許可する、ということでもあります。
そのため、強烈な恐怖心や不安が生まれますが、
一度、変容の波に飲み込まれたなら、変容体験が完了するまで、
自分の生命力を信じ続けることが求められます。
これは、ドラゴンテイル側の蠍座の出生前の日食も同じですが、
大きな違いは、望もうと拒もうと、向こうから変容の機会や転機、
または、変容を共にする特定の他者が近づいてくるため、
変容に対する覚悟を持つ準備や時間を持つことができない、という点にあります。
なぜなら、ドラゴンテイルは、「過去」や「足元」を表し、
変容体験が遠い場所で行われるわけではなく、
身近で、馴染みのある場所から突然始まるからです。
蠍座は、同じ水サインである蟹座と同様、内にこもり、
内省的になる傾向が強いのですが、蟹座と違い、
一対一の関係性の場合と、一体多数の関係性の場合とでは、
見せる顔(ペルソナ)が異なります。
また、後半のサインのうち、
天秤座・蠍座・射手座は、「個人の学び」に対して意識を向けます。
天秤座は、社会的な立場を前提とした他者との関係性を、
蠍座は、公私を共にする他者との関係性を、射手座は、
自分対世界(社会)との関係性を築き、
それぞれのサインの意識が向く規模や範囲が異なるのです。
蠍座の出生前の日食は、内省的・変容的な体験に遭遇するだけでなく、
自分自身と他者の精神の成熟に対し、果敢に対立と補完の体験に挑み、
忍耐力を培う運命の流れが待ち受けていることを示します。
このように書くと、おどろおどろしいのですが、
実際に、蠍座は「隠れたもの」や「秘密」、「生と死」、「性エネルギー」など、
表では語られない物事に通じるサインです。
表では見えない事柄は、当然、隠れた場所や環境にて、
内的体験や変容体験が進行します。
そのため、蠍座の出生前の日食は、
一見平然を装って暮らす私たちが、内に強烈な衝動や葛藤を抱え、
感情の昇華や意識の抜本的な刷新を行うことで、
「自我意識の喪失」と「自我意識の再生」を経験することを受け入れるよう促すのです。
以下が、蠍座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 感情の激しさ、衝動性の激しさを抱えながら、解決・解消を探る人生を送る
- 深い洞察力・集中力を発揮し、審美眼・真贋を培うことが重要となる
- ポジティヴ・ネガティヴ問わず、感情を味わうことが重要となる
- 強い目的意識・強い探求意識を活かし、自己理解と他者理解を進める
- 視野を狭くし、対象を限定し、精神の成熟を図る
- 秘密主義を貫き、信頼を勝ち取ることが重要となる
- 物事の裏や奥にあるもの、真髄を見抜く感性が高い
- 生と性の働きに強烈な関心を持ち、自己探求の命題とする
- 底知れぬ忍耐力と再生力によって、葛藤や困難を乗り切る潜在能力を発揮することが重要となる
- 1つの物事に対して徹底的に取り組むことが、本来のあるべき姿
- 強引さや一方的な態度を見せるとともに、淡泊さや冷静さを見せるなど、相手によって態度を変える
- 人間心理を深く理解しようと努める
- 精神の成熟を最も重要なテーマとする
蠍座は、女性星座・不動(固定)宮・水のエレメントの3つの性質で構成されるサインです。
そのため、受容的、固定的、そして、情緒的な働きをし、
強い集中力と忍耐力を発揮しようとする意識を表します。
蠍座は、火星と冥王星をルーラーに持ちます。
伝統占星術(古典占星術)では、火星のみがルーラーとされ、
現代占星術では、冥王星がルーラー、火星はサブルーラーと見なされています。
本講座では、どちらの天体もルーラーとし、
火星は現実的な側面、冥王星は非現実的な側面で影響を与える、と定義しています。
火星は3ハウスと10ハウスのハウスルーラーで、
どちらのハウスも、外界と接点を持ち、主体性を発揮しながら、
自分の欲求や意志を実現することを促す場所です。
蠍座は、決して表立った活動を一切行わない、ということではなく、
社会活動や社会貢献をする際に、核となる部分は、
表からは見えない事柄に携わります。
ハウスルーラーとしての冥王星は、現在のところ取り上げられていませんが、
冥王星は場所や状況を問わず、時代や世代の意識を変えるため、ハウスに囚われません。
蠍座が「執着」や「支配欲」という言葉で語られる理由は、
忍耐力や集中力、強烈・極端な感情や衝動性の影響ですが、
根本の意識は、「思い通りにしたい」という欲求ではなく、
「同じ感情を共に味わいたい」という目的意識です。
そのため、蠍座の出生前の日食は、「信頼」という掴みどころのない、
だけれど、確実に精神の成熟が成し遂げられることを命題とし、
内的葛藤や紛争を鎮め、乗り越えることをテーマとします。
そのようなことが、何の役に立つのか?と言いますと、
1人の人間の無意識が変わる際に、他者の無意識とともに変容を遂げた場合、
互いが属する集合的無意識に作用し、全体性の意識に影響を与えるからです。
これは「バタフライ・エフェクト」という、
微細な振動が世界の裏側の出来事にも影響を与える、
という表現・概念に通じるものがあります。
蠍座は、物質性は、非物質性の投影であることを見抜いているからこそ、
人の心や精神に関心を持ち、自己主観や自己客観だけでは
、非物質的な働きを真に観察することができないため、
自分と同様の立場の相手の自己主観と自己客観を欲します。
その場合に、精神的な繋がりや絆が必要となり、
特定の条件や関係性が生まれ、互いに葛藤する姿を見せ合い、
無様な姿や愚かな姿とともに、精神の美しさや逞しさ、
そして、生命の尊さを体験することに、底知れない魅力を感じるのです。
蠍座は、影や闇、裏や奥といった、生や光を成り立たせ、
また、支えている働きや世界観を大切にします。
このような意識は、大衆が密かに求めてはいるものの、
実際に勇気を出し、当事者となろうとする母数は少ないからこそ、
専門家やマニアックな人生を送る人の蠍座の意識が重宝されます。
ですから、秘された物事に携わり、他者に強い影響力を持つご自身の能力と才能、
そして、生命エネルギーを信頼し、あなたの人生が、
他者の人生だけでなく、この世界を成り立たせる要員となり得ることに、
誇りと畏怖の念を抱きながら、人生に立ち向かうとともに、
人生から祝福されているということを模索し続けてください。
出生前の日食 in 射手座
射手で起こる出生前の日食が表すテーマは、「抽象度の高い事柄を追究すること」です。
追究は、「極める」という意味を持ちますので、
射手座の出生前の日食のテーマは、
人生をかけて自己探求や真理探究を追求することとなります。
射手座は木星をルーラーに持ち、「拡大」や「発展」という遠心力と、
楽天性や楽観性という気構え、そして、道徳心と倫理観を重んじ、
精神性や哲学、思想を富むことを求めるサインです。
射手座は火のサインの3段階目のサインであるため、
個人の意志を追い求めるだけでなく、世界との繋がりを重んじます。
木星は、12年をかけてホロスコープを一巡しますので、
ネイタルチャートと出生前のホロスコープの木星の位置と、
射手座とハウスの組み合わせ、また、射手座に位置する天体は、
12年周期のリズムに強い影響力を持ちます。
射手座は、双子座と対極軸を結び、
知性や機動性、視野の広さ、そして、行動範囲の違いを示します。
射手座は「遠方」を象徴するサインでもありますので、
足元よりも遠い場所や海外で得られる体験を求めます。
そのため、射手座の出生前の日食は、
抽象度の高い物事に関心を示し、専門分野を持つことや、
海外の分化に感化されたり、外国語を習得することで、
海外での暮らしを有意義なものにしたりと、
変化に富んだ人生を送ることを暗示します。
射手座のルーラーである木星は、
最大の吉星(ベネフィック)と呼ばれ、物事の発展と恩恵に遭遇する機会を与える天体です。
機会や幸運は、身近な場所に潜んでいますが、
風景に溶け込んでいたり、新鮮味がないことで、発展性が損なわれている反面、
置かれている状況にある恩恵に気づくことによって、人生が発展します
対して、遠方の場所は、異文化や真新しい発見に溢れているため、
刺激と冒険に満ちていて、好奇心が常に刺激される反面、
終わりのない探求は収集が付かない側面があるため、帰郷のタイミングを逃したり、
故郷や家族との繋がりが希薄になる場合があります。
そのため、射手座の出生前の日食は、「遠方」との縁や機会、チャンスによって、
生まれ育った環境と疎遠になってまで、
自己探求や真理探究に身を投じる覚悟を求めます。
射手座と双子座は、最初からゴールや最終目的を定めることなく、
様々な体験をすることで、「通過点」を更新し続けながら、
自分にとっての最大の目的を見つける意識を持ちます。
ドラゴンヘッド側の射手座の出生前の日食は、
最初は具体的な目標や目的が無い中で、
慣れ親しんでいる環境から離れる体験をしたり、
抽象度の高い学問や、研究、教育、法律、宗教、異文化に触れたいという躍動的な衝動に引きずられるように、
また、導かれるように人生が展開していくことを示します。
ドラゴンテイル側の射手座の出生前の日食は、
逆に、身近な環境や人の影響から、自分の「狩野場所」を見つける旅に出るような、
焚きつけられ、追い立てられるような情熱を与えられる体験をすることを暗示します。
どちらの場合であっても、主体性は常に自分であり、
世界は自分を楽しませる演出を繰り出してくるものである、
という意識で人生を楽しむことが重要です。
射手座の意識は、未熟な場合であれば「能天気」の意識状態で留まりますが、
成熟するに従って、人生のあらゆる物事を肯定的に捉える「楽観性」を獲得します。
外面の世界に身を投じ、自分の肉体と心だけで世界を見て回り、
具体性や明確性が希薄な分野を突き詰めることは、尊敬される場合もあれば、
実用性や普遍性とは距離があることで、敷居が高い印象を与える場合もあります。
特に、政治や法律、宗教といった分野や業界は、
暗黙のルールや目に見えない力が働く場合がありますし、
哲学や思想といった精神に関わる学問もまた、
「形」や「証拠」という科学的な見地と対立・反発する分野であるため、
広く認知されるにくい、という現実があります。
蠍座の項で、「秘されているからこそ影響力を持つ」といった表現をしましたが、
射手座もまた、個人の学びを追求しながら、世界(社会)との局所的な繋がりを持ち、
専門分野で活躍することで、自己実現と社会貢献を両立させる意識を持ちます。
人生が山あり谷ありであり、絶えず変化を要求するように、
私たちは誰もが、自分にとっての適材適所が、
世界から求められる役割として与えられていると言えます。
射手座は広範囲に渡って興味関心を向け、活躍の場を探しながら、
特定の分野に没頭し、成長し続ける意志を示しますので、
出生前の日食が射手座で起こる場合は、
運命の流れに従いながら、自分の直感を磨き続けることが重要となるでしょう。
以下が、射手座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 高等教育・大学・研究に携わる
- 純粋な夢を持ち、その夢のために人生を歩み、プロセスを楽しむ
- 思想・哲学・教養に富んだ人生を望む・送る
- 異文化・海外生活など、遠方との縁を持ちやすい
- 学問に携わるだけでなく、教育者となる素質を持つ
- 頭脳を使うだけでなく、スポーツや競争を好み、文武両道を実現しようとする
- 見通しの甘さや楽観主義によって、責任感の欠如を指摘されやすい
- 自分の興味関心を広めたい、という欲求がある
- 人を感化する情熱と才能を持つ
- 存在感から純粋さと真剣さを感じられる人物像が形成される
- 特定の分野における討論・議論を好む稽古うが強い
- 年齢を問わず、荒々しさや躍動感、行動力の高さが特徴
- 抽象度の高い物事を追究し、普遍的な真理を追い求めることが重要となる
射手座は、男性星座・柔軟宮・火のエレメントの3つの性質で構成されるサインです。
そのため、意志に沿って、視野を広範囲に広げ、活発に経験値を高めようとする意識を表します。
射手座のルーラーは木星で、
木星は2ハウスと9ハウスのハウスルーラーです。
2ハウスは、自分自身を資産・財産とし、
そこから豊かさを生み出すことを体験させます。
また、9ハウスは、世界に無数に点在する真理を繋ぎ合わせ、
途方もない時間をかけながら、人生で味わうことができる豊かさを発見しようとする意志を体験させます。
木星が象徴する「豊穣」や「発展・拡大」は、「全体性の循環」のためにあります。
全体性とは、太陽系だけでなく、
全銀河・全宇宙を1つの生命体とした時に、
無数の銀河が生み出す回転・旋回運動により、
全体が大きなうねりを起こし、創造活動が成り立っている、
という壮大な規模の意識を意味します。
私たちが生きる地球は、
全体性の中において、限りなく些細な存在かもしれませんが、
確かな影響力を持つ天体です。
地球のような恵まれた、
ある種、特別に用意された天体は、未だ発見されていません。
無秩序と秩序は、混沌と調和のように、
全体性という創造意志を成り立たせる要素です。
そのため、宇宙空間では絶えず変化が起こり続け、
その影響は地上にも降り注ぎます。
私たちは、無意識的にこのような働きに影響・感化され、
特に、感受性が高い人や好奇心が強い人が、
原理的な働きを解明・追究しようと志すのでしょう。
射手座の出生前の日食は、単なる「不思議」で物事を片付けるのではなく、
かといって、何でも再現性や証明を求めるだけではなく、
自分の知性を働かせるとともに、自分の体感を信頼し、
フィールドワークを通して、体験的・実地的な経験を元に、
思想や哲学、意識の進歩を追求する意識を生みます。
このような意識は、決して道楽ではなく、
次世代・後世の人々に、人生や世界に備わっている不可思議さと面白さ、
そして、荘厳さを伝える重要な役割を果たします。
なぜなら人は、形や名前、肩書きそのものではなく、
物事の時代背景や歴史、その時々の人類の集合意識と集合的無意識が、
どのような文化や価値観を持ち、次の時代を作り上げたのか、
という歴然とした現実を知ることに、強い興味を示すからです。
私たちが好奇心を喪失し、
情報や知識だけで満足するようになってしまったら、ロボットになってしまいます。
ロボットやAIは、器や構造を作り上げることによって生まれますが、
「魂」や「心」といった、オリジナルで、
且つ、非物質的な要素が自然に宿ることは無いかもしれません。
そのため、「神という働き」と「神という概念」を分けて考える必要があるでしょう。
科学が「意識とは何か?」を追求し続ける結果、
宗教やオカルティズムと合流し、統合する地点を迎える可能性がありますが、
どのような発見や時代を迎えても、
私たちは常に心と精神性が重心となり続けることは変わらないでしょう。
射手座の出生前の日食は、
このような抽象的な概念や学問、思想に対し、
「答え」そのものを追い求めるだけでなく、
探求・追究を続ける中で、自分自身の意識をアップグレードしていくことで、
人生が発展していく可能性を示しています。
出生前の日食 in 山羊座
山羊座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「実現力を発揮すること」です。
何かを成し遂げるまでに、始まりから終わりまでの過程で、
時間や計画、人との縁、体調管理、運、支援など、様々な要素や影響が影響します。
同じ土サインである乙女座が「責務」を象徴するなら、
山羊座は「統率」を象徴し、物事の結実を見届けるために忍耐力を必要とします。
牡羊座や獅子座の意識においても、リーダーシップや求心力は強調されますが、
山羊座ほど全体を見通しながら、統率力を発揮しようとするサインは他にはありません。
なぜなら、個性や個人の意志の発展の先には、
全体・構造を取りまとめる実現力が必要だからです。
山羊座と土星は、「物質性の完成」とともに、「精神性の継承」を重視し、
ルールや境界線を明確に定め、物事の発展だけに留まらず、循環と秩序を重んじます。
山羊座は蟹座と対極軸を結び、
山羊座は外面の世界、蟹座は内面の世界に対応しています。
外面の世界にて、物事を成し遂げる実現力を発揮することで、
内面の世界に充実感をもたらそうとするのが山羊座の意識です。
そのため、出生前の日食が山羊座で起こる場合、
人生で「自分が何し遂げるべきこと」を明確にし、
時間(人生)をかけて実現することがテーマ・挑戦となります。
先ほど「精神性の継承」という表現をしましたが、
山羊座は、過去から引き継いでいる、物や型、形を伴った文化や価値観を大切にしようとします。
これらは、先代の人々の実現力の賜物であり、
成果や結果を出し、社会に認められることで後世に影響力を与えています。
そのため、山羊座の出生前の日食は、
自分の人生において、世の中に何らかの「証」を残す意識を強烈に生み出します。
物事の結実は、動機を明確にすることから始まり、
1つの物事に誠実に向き合い、手本や見本に倣って、
継続的な経験を積み重ねることで成就します。
山羊座のエネルギーが強い人の人生は、
自制心や規律心が強く、成果が出るまで忍耐力を発揮する器量を持ちます。
ドラゴンヘッド側の山羊座の出生前の日食は、
自尊心と規律心を高める意識が強く、
成長の度に次の壁・ハードル・課題が送り込まれて来るような、ストイックな生き方をもたらします。
なぜなら、怠けている間に、機会損失が生まれるとともに、
自分に求められている役割を全うしなければ、
自分に対する信頼が損なわれることで、実現力は停滞するからです。
私たちが描く目標や夢には、それほど大きな差はありません。
なぜなら、私たちが真に求めているものは「精神的な安らぎ」であり、
物質的な豊かさを表す物の量ではないからです。
その点、必要なものと不要なものを明確に分ける意識は、
日食(新月)がドラゴンヘッド側で起こることで、より明確になります。
また、ドラゴンテイル側の山羊座の出生前の日食は、
「継承」や「保全」がテーマに加わり、
有形・無形の価値や文化を継承しながら、自分の役割を全うしつつ、
事業や家業、ビジネスを発展していく資質を与えます。
ドラゴンテイルは「過去」を象徴し、
先祖や家庭が築いてきた価値や資産を、自分の代・立場でどのように活かすことができるかを考えることが、
自然と自己実現の道に介入する可能性もあります。
その際、物質的な資産やビジネスだけでなく、
家系に流れる価値観と家系に定着している集団的無意識、
そして、肉体に継承されている遺伝的な能力・才能を活かすことが、最も重要なテーマです。
物には寿命がありますが、寿命という有限な時間があるからこそ、
役割を全うできる間は、十分に活用することが重要であり、
物も活かされることを望んでいます。
土星が山羊座に与えている働きは、
単に成果主義となり、金銭や物質的豊かさを追求し、支配的な立場を獲得することではなく、
自らの在り方や振る舞い、言動に責任を持ち、
信用と信頼の両側面を勝ち取ることを重視します。
山羊座の出生前の日食は、
人生で物事を成し遂げる実現力を発揮することを第一に、
人生設計を徐々に明確にしながら、
その時々の経験を活かす能力を伸ばすことを促すのです。
以下が、山羊座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 生まれた環境や家庭のルールや風習、価値観に縛られる経験を持つ
- 幼少期から忍耐を強いられる経験を持つ反面、実力者や指導者からの教えを受ける機会に恵まれる
- 自分の弱みを出すことが苦手になるような、自我意識の形成が行われる家庭環境や周囲の環境を持つ傾向がある
- 自尊心が高いだけでなく、虚栄心も高まり、弱みを見せることが苦手
- 動機や過程よりも、結果・成果・実績を求められることで、自分自身も成果主義になる意識が育つ
- 自己客観よりも自己主観が優位となり、自分の意見を押し通そうとする傾向が強い
- 建設的に物事を考え、最悪の事態を想定し、着実に物事が進めようとする堅実さと慎重さによって、物質的な豊かさを築く
- 結果や成果に拘り過ぎることで、自分自身や周囲の健康や感情に無頓着・無神経になる傾向がある
- 目的と手段が入れ替わり、ルールや慣習に拘ることで、先行きが不透明になり、迷いが生まれやすい
- 身体を休めること、感情を味わうこと、他者との心の交流を楽しむことを軽視する傾向がある
- 社会的・対外的なプレッシャーを一身に受け止め、多くの人に慕われることで、リーダーシップを発揮することが人生のテーマとなる
山羊座は、女性星座・活動宮・土のエレメントの3つの性質で構成されるサインです。
そのため、保守的でありながら、活発に物事の循環のために働きかける意識を表します。
山羊座のルーラーは土星であり、土星は8ハウスと12ハウスのルーラーです。
自らの行いや振る舞いは、「新たな縁起」や「カルマ」に関わると考えることで、
自己実現の延長線上には、他者貢献や社会貢献がある、
とするのは自然なことかもしれません。
土星が私たちに求めるものは、「自分の行いに責任を持つこと」が土台にありますが、
それに加えて、「自分の人生から求められている役割を全うすること」という命題に対しても、
真摯に向き合うよう促します。
8ハウスと12ハウスは、内面的・精神的な成熟や変容、統合をテーマとする場所です。
また、アヴァージョンのハウス(日の当たらない場所)であることで、
表面には出せない葛藤や受難を体験する場所でもあります。
そういった場所のハウスルーラーである土星は、結果や成果を出すことを求めますが、
それ以上に、物事の結実・成就のプロセスにおいて、
常に自分自身に誠実であることを求めます。
土星は、人間の身体部位では「皮膚(肌)」に対応し、
物質的・非物質的な観点では「境界線」を象徴し、
そして、「有限的な時間」を司る天体です。
ローマ皇帝であったマルクス・アウレウスは、
「あたかも1万年生きるように行動するな」という言葉を残していますが、
この言葉はまさに、権力を持った人物で、
自分自身を律しようとする者の言葉といえます。
ただ、この言葉は、自分自身に対して言うべきであって、
他者や周囲に対しては、言葉だけでなく、振る舞いや行動、
そして、結果を見せることで証明する必要があります。
山羊座の出生前の日食は、
単に成果・結果を上げる者として、自分の欲望や依存心のために計画・行動をするのではなく、
何らかの形で、周囲に貢献し、感化する側面を見せる意志の力を高めていく学びを促します。
このような生き方・在り方は、決して楽ではありませんし、
逃げ場が無いことで、堕落や快楽主義に逃げ、楽な選択や道を選びたくなります。
そのような気持ちを打ち消すのではなく、そう思うことは自然であり、
そういった気持ちは永遠には続かないこと、
また、何度もそのような気持ちが襲ってくることも受け入れることで、
人生を一喜一憂せずに生き切ろうとする忍耐力が、
山羊座の出生前の日食がもたらす尊い意識と言えるでしょう。
「木を見て森を見ず」という諺がありますが、
それとともに、「森を見て木を見ず」という反転的な考え方を採用することが大切です。
言い方を変えるなら、目に見える部分だけでなく、
表面に上がってこない感情や情動、意識に頓着し、「精神的な安らぎ」となる達成感のために、
より善い関係性を築くことです。
関係性は、「違い」を存在させ、その違いによって、
私たちは可能性や発展を望むことができます。
誰の人生にも人生のテーマは与えられていることを、
私たちは無意識的に知っています。
そのテーマは、ゴールや成果、結果だけが大切なのではなく、
道程・過程において、生きている実感や手応えを感じながら、
微細な変化や成長を体験している事実を忘れずに、
地道な一歩、単調で平凡な1日の積み重ねが、
自信となり、価値となり、影響力となり、人生を誇ることができる価値となるのですから。
出生前の日食 in 水瓶座
水瓶座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「開拓精神」です。
その他、「理想」や「平等」、「自由」などのキーワードも挙げられますが、
サインのシンボルとして「I Know」を端的に表現する言葉は、
自らの意志と行動によって、新たな経験を得るために必要な「実践知」は、
開拓精神によって成し遂げられます。
ただ状況や情勢を憂い、何も行動しなければ、単なる戯言に終わってしまいますが、
自らの行いによって「変化」を生み出し、
個人の理想や夢に少しでも近づこうとする時、
私たちは「違い」を生み出す必要があります。
前後の違いは、結局のところ、「過去の自分」であり、
「過去の自分を取り巻く環境」と、「これからの自分」にあり、
他者の思惑や都合、夢や理想は関係ありません。
常に、「自分がどのように現実を認識しているか」ということと、
自分の選択・行動によって、
「自分がどれくらい自己改革ができているのか」という問題意識が重要です。
水瓶座は、山羊座までの意識で完成された全体像を俯瞰し、部分的に修正、
または、取り替える、はたまた、一新させる、
というような抜本的な意識の見直しを促す意識を持ちます。
これは、ただ単に、山羊座の意識やエネルギーに反発し、
ちゃぶ台をひっくり返し、解放感や満足感を得たい、ということではなく、
「未完成な完全性」という構造や循環には、
必ずしわ寄せを受けている立場や場所を解消しようとし、
そのために、風穴を開け、風通しのいい状況を求めるからです。
そのため、水瓶座は「自由」や「反骨精神」といった言葉で表現されることが多いのかもしれません。
出生前の日食が水瓶座で起こる場合、
「社会通念やルールに飼い慣らされる」という生き方を拒絶し、
自分の個性を発揮できる環境を求める意識が強くなります。
私たちは誰もが「分離体験」をしていますので、
一人ひとりが異なった個性を持ち、違いを知り、味わうことで、
「類は友を呼ぶ」という体験をしながら、
分離の意識が強くなった自我意識を、
全体性に再接合しようとする欲求を実現していきます。
この再接合しようとする欲求を強く持つ水瓶座は、
不要な概念や観念を極力排除し、同調圧力から自由になることで、
個性が発揮されやすいことを「知っています」。
水瓶座のこの意識は、「直知」という表現もできるのですが、
教えられずとも、自然に身に付いている意識であるため、
表面的な付き合いではなかなか理解されることがありません。
ですが、水瓶座は「天才性」や「変態性」という言葉で表現され、
強烈なインパクトや常識はずれな表現力でもてはやされることから、
「自分や他者、社会に対して遠慮している気持ち」を外すことで、
伸び伸びと自分の個性を表現することができ、
評価される傾向があると言えるでしょう。
ただ、天才性や変態性というものは、
「多様な在り方」や「表現力」の1つの形であって、
奇抜さや奇をてらった計画といった思惑を指すわけではありません。
「実験的な試み」や「発展途上の一時的な表現」というように、
その時々に表現されるべき方法や方を表・外に出した結果が、
一般的には親しみが無い、というだけです。
また、「自由の奴隷」という言葉があるように、
何かに反発・反抗する欲求は、目の前の壁や枠を払い除けたとしても、
人間社会は続いていきますので、
物質社会や自然の法則から完全に逃れることはできません。
そのため、水瓶座の出生前の日食が提示する人生のテーマは、
終わりなき開拓を続け、人生を発展させながら、
その時々の充実感を味わいながら、物質文明がもたらす恩恵を大切にし、
未来に対して可能性を持ち続け、人生に退屈しないことが重要です。
ドラゴンヘッド側で起こる水瓶座の出生前の日食は、
自分の個性・天才性を明確にし、
自分の能力・才能を活かせる場所や環境を強く求める意識をもたらします。
水瓶座で起こる新月・日食は、太陽が開拓精神を強め、
現実的に新たなサイクルが始まることを意味するため、
現状と目標の差を直視し、
その時々にできる努力と工夫、学びを楽しみながら、
成長を遂げようと試みることが何よりも大切です。
そのため、自分の自尊心や個性、主観を優先し、
その他を排除しようと、批判的になればなるほど、
応援してくれる人からのサポートは得られません。
そういう意味では、開拓精神には、
他者を尊重する気持ちを育てることがセットと言えます。
また、ドラゴンテイル側で起こる水瓶座の出生前の日食は、
自分の過去の行いに対し、罪悪感や後悔を払拭するように、
発展的・肯定的な生き方をすることを促します。
過去も現在も、そして、未来の自分も、その時の最善の選択をしている、
という風に自分を捉えた時、自分に対しても、他者に対しても、
断罪し、屈服させようとする意識は不毛であることを確信することができます。
建設的に人生を生きるためには、
過去は過去、今は今、未来は未来、という風に、
「今」という瞬間に意識を合わせ続け、
今の選択・判断に、過去の価値基準を反映している自分に気づき、習慣や惰性ではなく、
今下す選択に納得し続けるのであれば、
どのような結果や気持ちを得ることになろうと問題は無い、
と考えることが重要と言えます。
水瓶座は流動的、且つ、建設的に生きようとする自分を誇りに思い、
その気持ちに共振・共鳴する人との関係性を大切にするものの、依存心を持ちません。
適度な愛着は、情緒的な繋がりをもたらしますが、
過度な期待や自分勝手な思い込み、都合で、他者を支配しようとする欲求は、
身を滅ぼすことを知っているからです。
水瓶座の開拓精神は、物質的な在り方だけでなく、
人と人との精神的な繋がり方にも反映されるのですね。
以下が、水瓶座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 自由・平等・博愛・開拓・変革を強く求める意識が育ちやすい
- 覇権・権威・多数決・中央集権・馴れ合い・同調圧力を嫌う傾向が強い
- 不要な概念・観念、常識、慣習、文化を嫌う傾向が強い
- 風通しのいい関係性や場所、環境を好む
- 理性的・論理的であるとともに、批判的になりやすい
- 意志を曲げず、未来志向で人生を歩む
- 興味関心がある物事には熱中し、他者と協調関係を結ぶ反面、興味関心が無い場合、冷静さを超えて、冷淡さや薄情さが滲み出やすい
- 次世代的・発展的な思想や技術に興味関心を持ち、また、順応性も高い
- 平等主義・博愛主義で、立場や肩書きというレッテルではなく、実績や功績、人柄や意志を尊重する
- 中立的な立場を貫こうとする反面、強い衝動性や自己主張を打ち出す場合もあり、不規則的な言動が目立ちやすい
- 知人や友人ではなく、親友や友愛に憧れ、本音を打ち明け合える関係性や環境を求める
- 理想や未来は、自らの意志と行いによって実現することを確信し、意志を示さない人には関心を示さない
- 自分の個性を当たり前のように受け入れるように、他者の個性を受け入れるだけでなく、他者が背負っている感情や受難、背景までに配慮する手間と配慮を学ぶ必要がある
- 束縛と配慮の違いや、人それぞれに持つ事情や都合を踏まえて、自らの言動に幅を持たせて、相手の受け取りやすいように自己主張をすることが大きな課題となる
水瓶座は、男性星座・不動(固定)宮・風のエレメントの3つの性質で構成されるサインです。
そのため、自分の主張・思想に自信や拘りを持ち、
自分の在り方を貫こうとする意識を表します。
水瓶座は、土星と天王星をルーラーに持ち、頑固な一面がある反面、
突如として、意外な行動を取る側面もあり、
神出鬼没で、掴みどころのない性質という印象を与えます。
本講座では、土星が物質的な在り方を、
天王星が精神的な在り方にそれぞれ影響を与えている、という風に表現していますが、
物質性と精神性に完全に二分化されている、という意味ではありません。
トランスサタニアンの天体は、
常識や定着している価値観の外からの働きを司るため、
現実的な振る舞いや印象に反映されることもあれば、
意志や無意識の根本に強い影響力をもたらす場合があります。
土星は、山羊座と水瓶座の相反するサインに跨って影響力(支配力)を持ちますが、
それは、私たちの生命活動が肉体を器とし、
意識が概念を作り出すとともに、時代の流れとともに、
人生が発展する余地がある、ということを意味しています。
水瓶座が持つ開拓精神は、「現状のままでは報われない」という悲観的な意識ではなく、
「今よりも更に喜ばしい現実を創造することができる」という希望的な意識によって生まれます。
私たちは生まれ育った環境が異なるからと言って、理解し合えない、
または、理解し合おうとすることができない、ということはありません。
逆に、同じような価値観だからこそ、反発し合う関係性も存在します。
そのため、水瓶座の出生前の日食は、
「常に可能性を求める精神」を現実に落とし込み、
他者や社会に微細な影響を与えながら、
その時々の生きている実感を味わうことを促し、
その経験を積み重ねながら、
自分の居場所や自分に相応しい生き方・在り方を築いていくことをテーマとしているのです。
出生前の日食 in 魚 座
魚座で起こる出生前の日食が表すテーマは、「受容性」です。
言い換えるなら、「慈しみの心」となるでしょうか。
蟹座の出生前の日食が「寛容性」であるなら、
魚座は更に意識を深めた受容性をテーマとします。
本講座では、「受容=肯定」としていますが、
もっと分かりやすく表現しますと、「全受容=全肯定」、もしくは、「絶対受容=絶対肯定」です。
私たちは常に取捨選択をしながら生活をしていますが、
それは、判断基準や価値基準の下に、一方を切り捨てる、ということをしています。
ここに善悪や優劣といった価値の差は生じず、
単に、必要であるか、もしくは、相応しいか、という事実関係があります。
魚座の意識に照らし合わせるならば、
どちらか一方が善で、もう一方が悪である、という見方さえも許し、
自分の判断や選択さえも許し、すべての選択が許される、となります。
魚座は「癒し」や「共感」、「曖昧さ」、「境界線の無い感覚」などの言葉で形容されます。
これは、個人が持っている思考や感情という強いエネルギーを受け入れることで、
エネルギー的な交流を行う資質が魚座に与えられているからです。
そのため、出生前の日食が魚座で起こる場合、
どのような出来事や現象、関わる人の思いや無意識の働きに対して、
受容的な在り方を貫くことがテーマとなります。
単に便利な人であり続ける、ということではなく、
目の前の状況や人物をありのまま受け入れた後に、成すべきことをする、
という順序を踏む、ということです。
先入観や偏見で物事を決め、選択をする時、場合によっては、
選択ミス・判断ミスを超えて、反発や反論が返ってくることがあります。
「話し上手は聴き上手」という言葉がありますが、
魚座の意識は、私たちが本来的に無意識で繋がっているため、
より善い関係性を築く際に、無用・不要な境界線を設けず、
ありのままを受け入れる受容性によって、
人を労い、癒し、励ますのです。
ドラゴンヘッド側で魚座の出生前の日食が起こる場合、
自分の無意識の在り方を自覚し、
他者の感情や無意識に敏感である資質を肯定することが重要となります。
先ほど「受容=肯定」という風に表現しましたように、
自らの感受性の高さを肯定することが、
受容性を発揮することに繋がります。
共感能力や心の繋がりを結ぶ素質が高いことで、
心身ともに影響を受けやすいことにもなりますが、
他者の心に寄り添い、無意識の領域であるわだかまりに理解を示すこともできます。
理解とは、表現を変えるなら、「許し」であり、
人は他者からの承認や評価よりも、
等身大の自分自身を受け入れてもらうことを求めていますので、
自らの素質を肯定し、受容性を発揮することで、
人生が発展していく、という意識が重要なのです。
また、ドラゴンテイル側で魚座の出生前の日食が起こる場合、
周囲や環境からの無言の要求に従いやすく、
また、そのような状況を当たり前のように捉えている自分を自覚することが重要です。
なぜなら、あらゆる場所や状況には、
居合わせる人によって局所的な集合的無意識が形成され、
自分の無意識が侵食されすく、
「許し」や「受容」という深い意識ではなく、
表面的な「都合」や「支配」の繋がり方が助長される時、
人は極度の共依存関係が生まれます。
共依存関係は、他者が介入する場所では自然に起こり得ますし、
互いを必要とする場合には、必要な繋がりですが、
一方的に要求をする、または、要求に応えるというパワーバランスは健全ではありません。
共依存と相互関係は、対等であるかどうか、
役割や立場に不健全なパワーバランスが生じているか、で判断することができます。
*ここでは、精神定な繋がりを者同士が、
与えることと受け取ることを互いに行う関係性を持ち、
同じテーマに取り組んでいる状況を指していますので、
共依存よりも、相互関係の方が相応しい表現と言えるかもしれません。*
そのため、ドラゴンテイル側で起こる魚座の出生前の日食は、
周囲からの影響や介入に対し、無頓着・不感症でいる自分を俯瞰して捉え、
ケースバイケースで、自分の役割や立場から応えるべきなのか、を判断することが重要です。
「受容」や「慈しみ」は、
目先の優しさではなく、相手の働きかけを妨害しない、
もしくは、相手の積極性を引き出し、活躍の機会を奪わない、
という意識・視点でもあります。
魚座というサイン・意識は、
どこまでも際限なく広がっていき、溶け合っていくような不可思議で、
捉えどころない感性を表しますので、
逆説的にはなりますが、適度な境界線を設けることがテーマ・挑戦であり、
自分自身に施す自愛であり、他者に対する他愛、
そして、世界に対して慈愛なのです。
以下が、魚座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 高い感受性を持ち、存在として他者を受け入れる器量を持つ
- 受容性は、自己肯定によって発揮される
- 寛容性や受容性は、無頓着・無神経さに転じる危うさがある
- 自律心を欠き、惰性や流れ、他者の無意識やその場の集合的無意識に左右されやすい
- 自分自身の人生や存在、生き方や在り方を受け入れることで、他者を受け入れることができる
- 癒しの力は、執着や思い込みを外し、最善の働きが起こることを信頼することで起こることを知っている
- 存在するだけで、その場のエネルギーを浄化・調整する資質を持つ
- 目に見えない働きに興味関心を持ち、その分野で活躍する才能や能力を与えられている反面、現実的な決まりごとに無頓着になりやすい傾向がある
- 論理や計画よりも、直観や閃きを大切にし、芸術や創作といった表現の自由に適性がある
- 人の都合に合わせようとする性質から、詐欺や洗脳といった、意識を操られやすい状況に対して免疫が高くないことを自覚し、対策や対処のための知識を持つことが重要となる
- 許すことや諦めること、流れに委ねることを啓蒙する生き様を見せ、精神的な救済を与える人物像や印象を与える素質を持つ
魚座は、女性星座・柔軟宮・水のエレメントの3つの性質から構成されるサインです。
そのため、流動的で、感情や精神で繋がりを持つことで、
滞りを解消し、癒しや許しを通して、受容・肯定をもたらす意識を表します。
魚座は、木星と海王星をルーラーに持ち、
拡大・発展とともに、際限なく広がる意識を司っています。
海王星は、木星のハイ・オクターヴの天体と見なされているため、
木星と海王星は親和性が高い天体同士と言えます。
木星は、2ハウスと9ハウスのハウスルーラーであり、
自分自身に受け継がれた能力や才能、身体的性質や体質(2ハウス)と、
自己探求や真理探究といった、世界に意識を合わせ、広げていき、
豊かさと喜びを体験しようとする意識に象意を持ちます。
海王星に関しては、ハウスルーラーの概念は無く、無意識の領域を司っていますので、
物質的な価値よりも、精神的な価値が優先されますが、
角度を変えますと、どのような現実的な経験にも、
精神的な価値を見出すことができますので、
あらゆる場合に無意識の働きが関与する、という見方ができます。
木星と海王星の2つの天体から支配・守護を受ける魚座は、
自意識という「自我」や「小我」という個の要素が相対的であり、
絶対的ではない、ということを示しています。
魚座は親和性や透明性、浸透性といった働きによって、
感情的・観念的・エネルギー的な繋がりを持ち、
また、融合・融解させる働きがあるため、情緒的な支配というよりも、
摂理的な支配という絶大な力を持ちます。
ですから、魚座の出生前の日食は、
宇宙や自然に見られる、壮大な全体性の循環や在り方が投影された、
「すべてを飲み込む」ような、受容性を象徴するのです。
魚座は、人間の身体部位の足先に対応しています。
牡羊座が頭に対応することから始まり、
最後のサインである魚座が足先に対応することで、
前身に12サインすべての意識が内包されているのです。
魚座の意識を具現化するためには、何らかの触媒や器が必要となりますが、
感性で受け取ったインスピレーションを形にすることで、
他者の無意識にある変容の意識を呼び起こすことにもなるでしょう。
魚座の出生前の日食は、自分自身の在り方を受容(肯定)し、
自分を通して表現されたがっている流れに形を与えることで、
この世に小さな渦(スパイラル)を起こし、他者を感化する力が宿っていることを表します。
ですから、誰もが自分として生まれたことに誇りを持ち、
人生を懸けて、自分自身を受容し続けながら、
間接的に、他者が自分自身を受容できるように、
自分を愛し続けることが重要なのです。
サイン別・出生前の月食の課題
出生前の月食が位置するサインは、
宿命的なテーマを成し遂げるための課題に関する、抑制すべき、
もしくは、断ち切ることとになる意識やエネルギーを表します。
月食は、太陽と月が地球を挟んで一直線に並び、
ドラゴンヘッド or ドラゴンテイル付近で起こる満月です。
また、月食は、太陽の光を地球が受けることで、地球の影が月を覆い隠す現象です。
そのため、月が象徴する心は、
太陽(未来)が照らす現実(地球)を受けて、苦手意識や課題が明確になる、というのが、
出生前の月食が意味する「人生の課題」です。
そして、満月は、未来への意識(太陽)と過去からの意識(月)が引っ張り合い、
心に緊張が生まれるとともに、執着のピークを象徴し、
月食は満月のエネルギーが強化されたものとして考えられます。
出生前の月食は、人生を懸けて取り組むべき課題や、
払拭するべき意識、持久力をつけるための足かせのように捉え、
出生前の日食とセットで考えるべきものです。
サインの意識や働きをより深く知っていただくためにも、
是非、出生前の日食のテーマと合わせて読んでいただくことをお勧めします。
出生前の月食 in 牡羊座
牡羊座で起こる出生前の月食が表す課題は、「自制心を持つこと」です。
言葉を変えるなら、「衝動を抑え、自己客観を鍛える」となります。
なぜ、このような表現になるかと言いますと、
牡羊座は天秤座と対極軸を結び、月食は太陽と月が綱引きをしている状態で、
対立・補完の表裏の関係性にあるためです。
更に説明を加えるなら、
月が牡羊座に位置し、太陽が天秤座に位置していることで、
月は天秤座の意識を受け取るため、月は太陽の意志を受け入れることで、
出生前の月食の課題を理解することができる、ということです。
牡羊座は火星をルーラーに持ち、行動力と衝動性を司ります。
行動や衝動は、私たちの日常だけでなく、
人生全般において、現実創造をする上で、
「過去との違い」を生み出す強い意志によって生まれます。
満月は、強い感情や衝動を引き出すタイミングであるとともに、
課題や苦手意識を強調します。
牡羊座の出生前の月食は、
「自律心」や「独立精神」を衝動に任せず、
客観的な視点を持つことによって、
現実に沿った選択・判断をすべきである、と伝えています。
ドラゴンヘッド側で牡羊座の出生前の月食が起こる場合、
月と太陽が引き合う関係性において、より未来志向が強くなり、
自制や抑制、規律、客観視などに反発したくなります。
そのため、見切り発車で行動したり、思い込みや早とちり、判断ミスなどから、
動機や情熱を持っていても、立ち行かなくなる場合があるため、
見通しを立てたり、周囲からの助言を受け入れる必要があります。
また、ドラゴテイル側で牡羊座の出生前の月食が起こる場合、
月と太陽が引き合う関係性において、
より過去の経験則に頼り、自分の判断や価値観に拘りやすくなります。
そうすると、同じパターンや結果を選び、思ったような結果が得られない、という現実創造をし、
内面で不満が生まれたり、自己不信が肥大する恐れがあります。
ドラゴンヘッド・ドラゴンテイルのどちらで月食が起こるとしても、
月食は心が肥大している状態を意味しますので、
太陽によって、対向のサインの意識を受け取る際に反発心が出ることは自然です。
ですから、時間(人生)を懸けて、人生に充実感を持ち、
自分自身に自信を持つためには、場数を踏む必要があります。
牡羊座の月は、天秤座の太陽に照らされることで、
純粋な気持ちや情熱、意志がこの世で発揮されることを期待されている、と考えることができます。
表現を変えるならば、課題や苦手意識と向き合い、受け入れることで、
人生が発展する気づきが得られる、ということです。
以下が、牡羊座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 独立精神が強いことで、協調性に懸けることを受け入れることが重要となる
- 純粋な想いや童心を忘れず、イキイキとした印象を与える
- 自己主張に迷いが無い反面、どのように受け取られるかを考えない
- 単独で動き、長続きしない、瞬発力の高さは諸刃の剣となる
- 他者の意見や気持ち、助け舟を受け入れる器量を持つことが課題となる
- 自制心・規律心を培うために、痛みや学びを積み重ねることが重要となる
- 他者に強い影響を与えるほどの意志や情熱、行動力を見せる
- 短絡な言動や振る舞いは、状況打破に貢献し、時に、破滅的な状況に追いやる恐れがある
- 直感に冴え、考えながら行動することで、時間・機会のロスが無い反面、直感が望ましいものであるかの判断や振り返りが重要となる
- 挑戦・開拓を好み、着眼点や反射神経は評価されやすいものの、途中経過や着地点を踏まえた、中期的・長期的な計画を苦手とする傾向がある
- 自己主観を抑え、自己客観を働かせることを意識し、実際に、他者に意見を求め、受け入れてもらう機会や批評を素直に聞切れる勇気を持つことが重要な課題となる
牡羊座については、日食の項で深く解説しましたが、
月食の場合は満月であるため、日食と異なった視点を取り入れる必要がありますので、
補足的に解説を述べさせていただきます。
牡羊座のルーラーは火星、対向のサインである天秤座のルーラーは金星です。
火星と金星は、外向性と受容性という違い(対極性)を持つ天体同士でもあります。
火星が天秤座に位置する時と、金星が牡羊座に位置する時は、
どちらも品格 / 品位が損なわれます(デトリメント)。
これが何を意味するかと言いますと、
火星と金星は、太陽と月のように、互いに必要なエネルギーや意識を外界から気づかされることで、
外向性と受容性の度合いを変え、TPOに合わせて、
行動や振る舞いを変えることができる意識である、ということです。
牡羊座の出生前の月食は、天秤座の太陽により、
自分一人で突っ走り、主観だけでは物事を思い通りに進めることはできない、という忠告を受けています。
少し表現を変えますと、「自我」や「主観」という強い自意識を過剰に押し出すほどに、
望む現実は遠ざかっていく、ということになります。
月食はあくまで、人生のテーマに取り組むため「錨」です。
太陽の意志を実現するために、過去という経験済みの重しを活用しながらも、
その重みにしがみつかないことが重要であり、
牡羊座の月は、天秤座の太陽の光に向かっていくことで、
人生が発展・好転するため、「課題」を受け入れ、糧として捉えることが重要なのです。
牡羊座の出生前の月食は、人生を通して、
「自分の思い通りに人生を展開させたい」という欲求がありながらも、
その欲求が押しのけられる経験を経て、
自意識過剰である自分を俯瞰することを重大な学びとしています。
人生は常に可能性と転機に満ちていますが、
私たちが主観や自意識に固執するほどに、
それらは迂回して、私たちから遠ざかってしまいます。
始まりのサインである牡羊座は、純粋な意識を象徴するからこそ、
対向の天秤座の意識を受け入れることで、
「自力以外の力・働き」を味方にし、急速に成長する可能性を秘めていますので、
人生が繰り出してくる課題を無視したり、軽視したりしないことが重要です。
出生前の月食 in 牡牛座
牡牛座で起こる出生前の月食が表す課題は、「物質的な価値観を緩めること」です。
月食・満月は、「完了」や「手放し」などを意味すると言われていますね。
自然の摂理としては、新月~新月のサイクルにおいて、
月が太陽から受ける光量が最大となることで、
ピーク(最高到達点)を意味し、成果や収穫のタイミングと考えられています。
更に言葉を付け加えるならば、ピークを越えた後には、
必ず次のサイクルの準備に入る必要があるため、
ピークの時と同じ気持ちや勢いが失われる、
という現実を受け入れる必要がある、という観点が重要です。
牡牛座は、蠍座と対極軸を結び、
物質性と精神性という目に見える形と、目に見えない繋がりを象徴するサインです。
牡牛座と蠍座は、共に女性星座であり、内向性を象徴するサインですが、
牡牛座は物質性に意識を向ける一方で、蠍座は精神性に意識を向けます。
どちらの意識も、表裏一体・陰陽の関係性にあるのですが、
どちらか一方に執着することで、バランスが崩れます。
そのため、牡牛座の出生前の月食は、「我欲」や「執着」を自主的に抑え、
「精神的な満足感」を得るために、分かち合うことが重要である、と伝えています。
月は、牡牛座でイグザルテーション(高揚)の品格 / 品位を獲得し、
月(心)は心地良い状態をより一層求めます。
牡牛座の月食は、牡牛座の月に対して、
対向の蠍座に位置する太陽が、精神性や内省の意識を強調しますので、
身体的欲求を満たす欲望や物質的な豊かさに対する、
利己的な意識に水を差します。
牡牛座の月と蠍座の太陽は、
地球を挟んで綱引きをしている状態の満月・月食を形成しますが、
地球は板挟みの状態にあるかと言いますと、実はそうではありません。
むしろ、地球は太陽の光を一身に受けていますので、太陽の意志に沿っています。
そのため、牡牛座の出生前の月食は、
自らの保身や我欲、利己的な満足感にある程度の見切りをつけることを促しています。
ドラゴンヘッド側で起こる牡牛座の出生前の月食は、
「物質的な安定を守る」という大義に胡坐をかいている状況を見直し、
惰性や不摂生を解消し、享受している豊かさに有難さを感じることを促しています。
牡牛座にドラゴンヘッドが位置しているということは、
物質的な豊かさを追求する余地があるということであり、
対向の蠍座の太陽が「足元をよく見る」ということを促しているからです。
牡牛座は、金銭や収入以外に、
肉体を通して継承している能力や才能なども表しますので、
自分を活かした分野で活躍しようとする意志と、
頑固さやマイペースさによって生じる不調和を自覚し、発
展の余地があることを受け入れることが重要です。
また、ドラゴンテイル側で起こる牡牛座の出生前の月食は、
「精神的な安らぎ」に対する抵抗や反発を内に秘めています。
なぜなら、対向の蠍座の太陽に対して、
牡牛座の月は物質的な欲求に執着・固執し、自分のスタンスを崩すことを嫌がるからです。
蠍座は、肉体的・精神的な距離を縮め、
同じ意識に焦点を合わせることで「変容体験」を引き起こします。
ドラゴンヘッド側に蠍座の太陽があるわけですから、
精神的な変容に対して、抵抗や恐怖心が生じるのです。
そのため、自分の心の器を広げるためには、
外部からの働きかけを許容することが、牡牛座の意識を広げることに繋がります。
月食は、ドラゴンヘッド・ドラゴンテイル付近で起こる満月であり、
太陽の意識を受け取ることです。
牡牛座と蠍座は、共に女性星座・不動(固定)宮ですが、
土と水という親和性の高いエレメントの関係性にあります。
ですから、ひとたび「意識を変える許可」を自分自身に出し、
実際に外部刺激を迎え入れることで、
想定外の発展や気づきを得られるのです。
以下が、牡牛座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 過去の価値観や体感を再現し、変化を拒んでいる自分を客観的に捉えることが重要となる
- 自分のペースを守り、変化を拒むことで、機会損失が生まれる可能性を受け入れることが重要となる
- 真に豊かさと安らぎを求めるならば、表面的・主観的な満足感を疑う必要がある
- 自分に与えられた能力や才能を過小評価せず、自分だからこそ大切に磨くことができる特長を伸ばす意識が、苦手意識や挑戦のハードルを下げる
- 頑固さや保守的な生き方や捉え方が、窮屈さを生じるさせる側面を持つことを学ぶことが必要となる
- 金銭や物質に対する貧困意識や不足感を払拭することが重要な課題となる
- 主観的な満足に留まらず、分かち合うことで得られる満足感と安らぎを経験することが重要となる
- 分かち合いとは、明け渡すことではなく、心を開き、能力・才能を発揮し、自分の感覚や体験を材料に、他者に挑戦の機会を与えることで成し遂げられる
- 美しさや穏やかさ、心地良さを追求する上で、自分の感性や価値観、経験則を過大評価も過小評価もせず、素直に感じられることを表現し、固執しないことが重要となる
牡牛座のルーラーは金星であり、蠍座のルーラーは火星と冥王星です。
牡羊座の出生前の月食の項で、火星と金星の品格 / 品位について触れましたが、
牡牛座の場合は、更に解説が必要となります。
古典的には、蠍座のルーラーは火星ですから、
牡牛座と蠍座は、牡羊座と天秤座のように、
主観と客観の対立と補完の関係性という対比と似た、
自分の所有と他者の所有という対比になるのですが、
蠍座に冥王星の支配・守護が加わったらどうでしょうか?
冥王星は、太陽とトーラスの関係性にあり、
月と太陽が陰と陽の関係性であるならば、
太陽と冥王星は表と裏の関係性にあると言えます。
蠍座は、火星の衝動だけでなく、
冥王星の根本的な価値の変容の働きを与えられています。
そのため、牡牛座と蠍座の関係性・対極性は、
物質的な安らぎと精神的な安らぎの関係である以上に、
「物質の有限性と精神の無限性」という対比関係で考える必要があります。
牡牛座の月は、この対比関係において、
物質的・状況的な安心感を求めようとしますが、
月食の場合は、蠍座の太陽がその意識に光を差し込み、
真の豊かさについて問いかけます。
月は、表層の心と深層の心、
そして、無意識というように、異なる層の領域を司ります。
月が太陽とオポジションを形成し、
満月・月食となる時、牡牛座の月は、
本来の心が求めている安らぎが、保身や現状維持ではなく、
刺激や影響を受け入れながら、他者や外界と精神的な繋がりを持つことで、
より一層安らぎが深まることを悟ります。
牡牛座も蠍座も、「執着」という言葉で表現されることが多く、
牡牛座は感性や価値観による愛着行動が、
蠍座は情動や精神性による愛着行動によって、愛着の度合いを変え、
個人的な志向や嗜好において、心理状態と行動パターンに特徴が生まれます。
月食は、月がドラゴンヘッド・ドラゴンテイル付近に位置する時の満月ですから、
牡牛座の月の執着を解放し、
表層的な満足感では満たされていない心に気づくことを促されているのです。
ですから、牡牛座の出生前の月食は、
更なる豊かさや恩恵を享受できる自分となるために、
当たり前に握りしめてきた物質的な価値観を緩めることを促しています。
出生前の月食 in 双子座
双子座で起こる出生前の月食が表す課題は、「選択と行動の結果を省みること」です。
言い方を変えるならば、
「何を目的としているのか?」や「何を得られたのか?という視点を持つことです。
双子座は、その名の通り、
多重性を持つサインで、複数の事柄に関心を持つだけでなく、
実際にマルチタスクをこなすことができる器用の性質を表します。
双子座で起こる月食は、
対向の射手座の太陽から光を受けて、足元が照らされている双子座の月です。
そのため、自分の選択と行動を振り返ることを促されています。
これは「改心」や「反省」を促されているわけではなく、
「本当は何を得たいのか?」という動機を明確にするための働きかけです。
太陽の光が一旦地球に吸収され、そ
れによって生まれる影が月に覆い被さることで生じる月食は、
「現実に見合う行動」を引き出します。
双子座は水星をルーラーに持ち、
想定内と想定外のどちらの展開・結果も受け入れる器量さを表しますが、
それらが脳内・概念だけで展開され、現実と乖離する時、
私たちは「当てが外れた」という気持ちになったり、「面食らう」という状況に陥ります。
そのため、出生前の月食が双子座で起こる場合、
瞬発力だけでなく、成り行きを身ながら、軌道修正をする正直さが求められます。
なぜなら、双子座の月は、射手座の太陽により、
「深読みをすること」を促されるからです。
ドラゴンヘッド側で双子座の出生前の月食が起こる場合、
特にこの働きかけは強調されます。
ドラゴンヘッドは、ドラゴンテイルと対を成し、
水面下で経験値が循環する仕組みがありますので、
人生の方向性や行先を示すドラゴンヘッドで月食が起こる時、
「未知への探求」に対して、好奇心だけでは攻略が難しくなります。
双子座はその場に合わせた行動を取ることは得意ですが、
飽きっぽさや表層的な印象だけで見切りをつける性質を持ちますので、
時間をかけて物事を判断し、
取りこぼしが無いように状況判断をすることが求められます。
対して、ドラゴンテイル側で双子座の出生前の月食が起こる時、
「先読み」や「早とちり」に注意し、瞬発力が仇にならないように、
慌ただしく動き回ることなく、落ち着きを持つことが求められます。
ドラゴンヘッド側に射手座の太陽が位置していることで、
興味を惹かれる物事に感化され、すぐに行動したくなる衝動に駆られた時点で、
タイミングを計り、明確な動機や意図を持ち、
準備態勢が整った時に行動をことが重要です。
双子座の月は、月が位置するサインの中で、最も移り気が強い配置と言えます。
思考と感情、理性と情動は、常に対立しているわけではなく、
別々の領域で、私たちの主観に刺激を与えています。
思考と感情の二分性は、双子座の性質と一見似ていますが、
外部環境・外部刺激を受けて生まれる好奇心は、
感情・情動を置いてきぼりにすることがありますので、
同一の物が二分されているわけではありません。
次の項で蟹座の出生前の月食について解説しますが、
思考が双子座を表すなら、感情は蟹座を表します。
双子座の月によって生まれる好奇心は、
外的な刺激や事象に惹きつけられることで生まれ、
射手座の太陽によって方向性を指し示されるのです。
双子座の出生前の月食は、
自分が自分に与える体験について、瞬発力だけでなく、
洞察力を持って取り組む意識を持つことを課題とします。
以下が、双子座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 外的刺激・外的環境・外部情報に関心を持ち、行動的になりやすい
- 会話・対話のスピード・テンポが早く、楽しさを感じようとする働きが強い
- 退屈さや窮屈さを嫌い、落ち着きが無いからこそ、腰を据えて物事に取り組むことが課題となる
- 思考実験を好み、想定内と想定外のどちらのプロセス・結果も楽しみ、臨機応変に対応する能力・才能が高い
- 言語・言葉を駆使して、世界に溢れる学びを探求しようとする知的好奇心が強い
- 複数の目的・依存先を持つことで、変化への期待と安心感のバランスを保とうとする
- 要領の良さや器用さによって、スピーディーに物事をこなす反面、「作業をこなす」意識が強く、人の感情や反応を取りこぼす傾向がある
- 好奇心や衝動性を「賞味期限」のように捉え、体験を「生もの」と認識するため、機動性・行動力が高い
- 情報収集や情報処理に長けている反面、深く掘り下げて考えることを怠る傾向があるため、早とちりや判断ミスが生まれやすい
- 知的好奇心を擽られる人や物事に関心を持ち、人との繋がりを持つことが得意とする反面、長く関係性を保つことを苦手とする
- 自分自身に関心を持ち、自己理解を深めるために、外界での学びを応用することが人生の課題となる
双子座は、12サインの流れで言えば、最初の風サインです。
出生前の月食は、人生を懸けて取り組むテーマに対して、ついて回る課題を表します。
そのため、「思考」や「好奇心」というものが、
内面世界と外面世界の間に繋がりがあることによって生まれることを知り、
どちらか一方に意識を向け、調和が損なわれていないか、
ということを意識することが重要となります。
双子座は、水星をルーラーに持ち、
対向の射手座は、木星をルーラーに持ちます。
影響力で言えば、水星は木星には敵いません。
ですが、水星は太陽系で最も運行スピードが早く、
日常生活に根差した働きを司っています。
これは、「軌道修正をする機会が多く訪れる」ということを意味しています。
その証拠に、水星は1年に平気3回は逆行をし、
物事の見直しや振り返りを促す天体です。
双子座の出生前の月食は、
水星の働きを月が受け止め、対向の射手座と木星の働きに向かって、
足元を固めることを軽視せずに、好奇心に翻弄されることなく、
動機を明確にして、その時々の行動や結果を振り返ることを促します。
出生前の月食が表す課題とは、
「習慣づけ」や「苦手意識の克服」という見方ができますが、
角度を変えれば、「宝探し」のような見方ができます。
「なぜ、自分は〇〇が苦手なのか?」という問いを自分自身に問いかけるとともに、
「なぜ、自分は〇〇に興味を持つのか?」という問いを明らかにするために、
外界から得られる刺激や情報を活用することができる、という視点が重要です。
これは、射手座の太陽が示す「真理探究の醍醐味」でもあります。
私たちは誰もが内面に、すべての天体とサインの働きと性質を内包しています。
外界から受ける刺激や要請は、必ず自分自身の中に答えが潜んでいます。
この宝探しは、当事者意識を持つことでしか始まらないばかりか、
自分にとっての喜びを常に外面の世界にあると思い込んでいる限り、
私たちは自分の思考という煩悩や欲望に支配されてしまいます。
そのため、双子座の出生前の月食は、
自分自身の行動の原理や好奇心が求める方向性を明確にするために、
冷静さと洞察力を持つことを促しているのです。
出生前の月食 in 蟹 座
蟹座で起こる出生前の月食が表す課題は、「自律心を持つこと」です。
自律という言葉は、「厳しさ」や「ルール」が連想されますが、
ここでは、「自分を守ること」や「健全さ」を前提としています。
蟹座の出生前の日食のテーマを「寛容性」と解説しましたが、
自分自身と他者に寛容であるためには、自分自身を観察する俯瞰した意識が必要です。
蟹座は月をルーラーとし、蟹座で起こる新月・満月は、
月がドミサイルの品格 / 品位を獲得するため、情動性が強くなります。
月の力が強いこと自体に善悪はありませんが、
働きとして、情動を優先し、現実を無視する傾向が強くなります。
月は「夜の女王」であり、心と無意識の管理者です。
また、月は太陽の光を受け取る器としての役割もあるため、
太陽という意志を無視し、内的な世界だけを優先することは、
成長や可能性を阻む、ということになる場合があります。
そのため、「課題」という面では、
蟹座の月は「自己保身」や「自己防衛」のために排他的になる傾向を自覚し、
自分の気持ちや気分、意向に沿わない事実・現実・他者の心をシャットアウトする傾向を
抑制・修正する必要があるのです。
これは単に「現実を見る」ということではなく、
「柔軟性に制御をかける」という意味では、
山羊座の意識を取り込むことになります。
月にとって蟹座はホームであり、
幼少期に形成され、止まった世界観を象徴するとともに、
日常的な感情の反射神経・心理パターンを司ります。
そのため、出生前の月食が蟹座で起こることで、
「願望」や「願い」といった感情を実現させるためには、
現実的な働きを受け入れる必要があることが強調されます。
ドラゴンヘッド側で蟹座の月食が起こる場合、
自分自身に安らぎをもたらそうとする無意識の働きを自覚し、
恐怖心や不安を肯定・受容し、感情を発散させ、現実と接点を持つことを促します。
ドラゴンヘッドは人生の方向性を示しますので、
蟹座で月食が起こるということは、
「心」や「心理パターン」の刷新(生まれ変わり)を受け入れることが重要なのです。
また、ドラゴンテイル側で蟹座の月食が起こる場合、
ドラゴンヘッド以上に、過去の心理パターンやトラウマなどに飲まれることなく、
人生を肯定的に捉えることが重要となります。
私たちは心を「観察の窓」として、
人生経験を積み、本能的に現状維持を望みます。
慣れ親しんだ状態であれば、脅威を感じることなく、
痛みや変化に対する恐怖を感じる必要はありませんから。
現状を望むということは変化を嫌い、拒むということですので、
親しみのある環境や過去からの出来事にしがみつきやすくなり、
外面の世界に投影される内面の様相が同じであれば、発展は見込めません。
そのため、蟹座の月食がドラゴンテイル側で起こる場合、
人生を懸けて、自分自身の内面を整える上で、
過去や居場所、家庭、家系との関わりを健全に保つことを受け入れ,
変化に対して必要以上の恐怖心を抱く心の方を塗り替えるように、
思い込み(信念)を置き換えるような気づきをもたらす出来事に巡り合います。
私たちは人生のいかなる時も、月によって生かされていますので、
月(心)を否定することは、自分を否定し、世界を否定することになります。
蟹座の出生前の月食は、
自分や人生、現実をありのままに受け入れるために、
健全な捉え方をと持ち、自律心を持つことを促すのです。
以下が、蟹座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 情動で動くことは諸刃の剣であることを自覚することが重要となる
- 感情を受け入れることは、翻弄されることではないことを学ぶ
- 思いやりや優しさで自分を傷つけることは、驕(おご)りや怠惰となる場合があることを知る必要がある
- 防衛心や虚栄心、恐怖心などが否定的に作用することを許している自分に気が付くことが重要となる
- 排他的な振る舞いを戒めることもまた、自律心を促し、肯定的に生きることを可能にする
- 内面性を大切にすることは、現実性を否定・拒否することではないと知り、清濁併せ呑む意識が重要となる
- 自分の感情に責任を持つことが、人生の自由を獲得することに繋がる
- 被害妄想や神経質さの根源は、自分の価値基準や信念に起因することを知り、物事に過剰に反応しない自分を育てることが重要となる
- 自分の居場所を守るために、自己犠牲を正義とせず、健全な判断をすることが重要となる
蟹座は月をルーラーとし、
山羊座の太陽と形成するオポジションは、強い葛藤を生み出します。
山羊座のルーラーは土星であり、月と土星はともに「時間」を司ります。
月は「時間が止まった世界観」を象徴し、
土星は「有限性の時間と現実」を象徴するとともに、
月は母性、土星は父性を象徴します。
そのため、山羊座の太陽は、月にとって「厳しい父性(強制力)」であり、
月にとっては「眼をそむけたくなる現実」という風な感情が生まれやすい影響として映ります。
山羊座・土星は、「責任」や「義務」を課しますので、
蟹座の出生前の月食は、心にとっては厳しい働きかけであるからこそ、
成長と発展が見込めるという対極性を強調しています。
蟹座の月に関わらず、自分の感情や情動、衝動を絶対視し、
現実を否定したくなる瞬間は長続きしないことを知り、
葛藤や辛い気持ちが生じた際は、その感情と同化・強化しないことが重要です。
月は確かに「観察の窓」ではありますが、心や感情は形を伴いません。
そのため、運動や入浴、マッサージなど、身体的なリラクゼーションによって、
身体から精神にアプローチをして、
気分を変える手段・方法を日常生活に取り入れ、
「自分の機嫌を自分で取ることができる自分になる」という意識の切り替えが重要となります。
また、蟹座は「寛容性」や「受容性」を象徴しますが、
主体的に他者を受け入れるばかりでなく、
他者に受け入れてもらう経験を増やすことが重要です。
その際には、過度の期待や依存心を持たないようにするための「自律心」が必要となります。
「人という字は人と人が支え合っている」という言葉が有名ですが、
本来的には、「人は孤独な存在で、自律して立っている」という意味があるそうです。
自律した者同士が、心を通わせる時、
不毛な争いや不要な執着が生まれず、風通しのいい交流が喜びと安らぎの環を広げていきます。
蟹座の月は、満月・月食に限らず、
「慈しみ」という「全受容の境地」を象徴する月の在り方を示します。
ですから、自分自身を受け入れ、他者や現実(世界)を受け入れるために、
自我が繰り出してくる感情に支配されることなく、
まるで水が川を流れ、海に還り、雨となった大地を潤わせるように、
内面を清浄に保つ意識を持つことが重要です。
蟹座は水サインですので、感情の滞留によって、
心身のアンバランスを引き起こしやすく、他者の心や無意識に敏感ですから、
心という器を絶えず綺麗にしようとする心がけが、あなたの人生を豊かにします。
出生前の月食 in 獅子座
獅子座で起こる出生前の月食が表す課題は、「利他信頼」です。
ここで言う利他信頼には、単に他者を信じるということではなく、
「他者を信頼する自分を尊ぶ」という意味を持たせたいと思います。
なぜなら、獅子座は「求心力」や「肯定力」を象徴し、
自分で引き寄せ、惹きつける物事を肯定し、
周囲の人や物事、人生の流れを信頼する意志の力が強いからです。
自分は信頼されて当然だけれど、
自分は他者や周囲を信頼しないという態度は、関係性を希薄なものにします。
確かに、獅子座は太陽に支配・守護されていることで、
「孤高の存在」になりやすい場面が多いかもしれません。
ただ、人生を生きる上で、「してもらえなかったこと」の悲しさよりも、
「やらなかったこと」の後悔の方が、私たちの記憶に残ります。
責任の所在は、常に自分自身の言動や振る舞いにありますので、
「他者を信頼する」ということが苦手であるからこそ、
獅子座の出生前の月食は、
自分対他者(世界)の関係性を健全なものにする上で、「与える意識」を学ばせます。
「与えるもの」は、金銭や物の他に、
日頃の接し方でもあったり、笑顔であったり、何も言わずに見守ったり、時に助言をしたりと、
いくらでも方法・手段はあります。
太陽は「生命力」や「意志」、「未来性」を象徴し、
獅子座には、「人を感化させる影響力」を与えています。
獅子座の性質が自惚れや堕落に傾倒し、
自分自身を見失う時、他者からの信頼は失われます。
逆に、獅子座の性質が団結力やリーダーシップに発揮され、
自分自身を活かそうとする時、他者に絶大な影響力を与える代わりに、信頼が返ってくるものです。
太陽はエコヒイキをすることなく、あまねく光を全方位に届ける存在です。
獅子座で起こる月食は、
獅子座の月が水瓶座の太陽によって照らされる状態を意味します。
そのため、獅子座の月は、水瓶座の太陽によって、
「自己中心性」に他者を含め、光を独り占めするのではなく、
分け合うことを促している、という観点が重要となります。
獅子座と水瓶座はともに、男性星座・不動(固定)宮ですが、
火と風のエレメントで違いがあります。
火も風も、上昇するエネルギーを象徴しますが、
火は限定的な範囲を、風は広範囲に渡って影響を与えますが、
火は強い影響力を表し、風は流動性を表します。
どちらの性質・役割にも、得手不得手があるだけなのですが、
獅子座と水瓶座は、「強い意志」によって同じ性質の人を惹きつける特徴では、合致しています。
では、何が違うのかと言いますと、
獅子座は自らを中心点とする意識を表し、
水瓶座は複数の中心点を持つ柔軟性を表すという点で異なります。
そのため、獅子座の月は、
「満たされること」や「認められること」を強く願い、
水瓶座の太陽は「客観視」や「交流」を促します。
出生前の月食が獅子座で起こる場合、
「絶対視」を抑制する意識を受け入れることが課題となり、
自分本位であることで被ることになる不利益や不遜な結果を認めることを促します。
獅子座に月が位置する時、自尊心や肯定的な意識が強化されますが、
一方で、自分本位な在り方を省みない奔放さが目立つ傾向があります。
例えば、ASCが獅子座に位置している時、他者や世界からの印象は、
堂々とした印象や威勢のいい存在感となりますが、一方で、
偉ぶっている印象や傍若無人な雰囲気という風な捉え方もされる場合があります。
これは、獅子座が内面を意識という光で明るくし、
外面の世界にその様相が投影されるからです。
ドラゴンヘッド側で獅子座の出生前の月食が起こる場合、
自分が認められることを望むように、他者も認められることを望んでいることを知り、
「お互い様の精神」を持ち、他者の心に歩み寄ることが重要となります。
獅子座のルーラーである太陽と、ドラゴンヘッドは、「未来性」を象徴する反面、
未だ実現されていない要素、且つ、取り込む必要がある要素を象徴します。
そのため、獅子座の月は、
水瓶座の太陽に照らされることで、他者を認め、信頼することを促されます。
他者を認めることによって、自分が傷つけられることはないということが、
獅子座の月が他者の心に寄り添うための気づきとなります。
また、ドラゴンテイル側で起こる出生前の獅子座の月は、
過去に体験した出来事に関わる人の印象や言動を引きずり、
自己不信に陥っている自分自身を受け入れ、
他者に対する偏見による不信を払拭することを促しています。
私たちの心(月)は、自分を守るために「虚像」を作ります。
虚像を別の言い方をするならば、「言い分」や「言い訳」となりますが、
つまるところ、自分の都合に合う心理です。
ドラゴンテイルと月は、過去や現状維持を表すため、
過去の体験や過去に関わった人からの影響を保持し、
現在と将来に影響を与える力を持っています。
ですが、私たちは、常に「今」という瞬間を生きていますし、
過去とは異なる選択と行動をすることができます。
ですから、獅子座の月は、「傷ついた経験」を無かったことにするわけでも、
その時に無力であった自分を擁護するわけでもなく、
ただ起こった事実として受け止めることは、
自分の存在や価値を傷つけることにはならないと悟り、
他者を受け入れることに対する抵抗や恐怖心を解き放つことが重要となります。
獅子座の月にとって、水瓶座の太陽は、
視点を変える機会を与える対象として映ります。
ですが、眩しい光を凝視し続けることはできませんし、目が眩んでしまいますので、
照らされることで明確になる闇と対峙することが重要となります。
月は闇そのものではありませんが、月は闇をも内包し、隠す力を持っています。
そのため、自分自身の能力や才能、影響力を隠している正体は、自分自身であることに気づき、
弱い自分や虚栄心を受け入れることで、
私たちは太陽の方向へと進むことができます。
以下が、獅子座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 自己肯定は、自己受容から始まることを知ることが重要となる
- 信頼は、一方的に与える・受け取るだけではアンバランスであることを受け入れることが重要となる
- 自己信頼は、利他信頼によって成熟する
- 求心力・影響力を自分自身のために使う時、信頼を失う
- 虚栄心は、恐怖心や不安を覆い隠し、自分を大きく見せることで、信頼を得ようとする欲求により生まれる
- 真のリーダーシップは、利己主義を満たした上で、利他を受け入れることで発揮される意志の力である
- 「求められる自分」を演じることは手段であって、目的でないことを自覚することが重要となる
- 「本来の自分」と「華やかな自分」との間で生まれる葛藤を乗り越え、その時々に求められる役割を受け入れることが重要となる
- 自分自身を客観視することで、中心人物・リーダーとしての役割を楽しむことで、人生が発展していく
獅子座のルーラーは太陽であり、太陽は育てていく(成熟させていく)天体です。
月が過去や不変性、太陽が未来や不変性という風に対極的に表しますと、
水と油のように、決して混ざらない、という印象が強いと思います。
ですが、月は太陽に内包されていると同時に、太陽は月によって内包されています。
陰陽太極図のように、光は闇に、闇は光に抱かれています。
光と闇は等価値であり、
月と太陽はそれぞれの役割を果たすことで、全体性を成り立たせています。
獅子座の月は、太陽の意識を浴びることで、心に意識の光が差し込み、
自己信頼と利他信頼に対して人一倍葛藤するかもしれません。
なぜなら、光あるところに影は生まれ、光の強さと影の深さは比例し、
自分自身を受け入れることの難しさを痛感しなければ、
他者を受け入れることは叶うことはないからです。
獅子座の出生前の月食が提示する課題とは、
「他者を信頼する自分になること」であり、
信頼されることをただ求めるのではなく、
自分から他者に対して信頼する姿勢を見せることを促します。
獅子座は、影響力や存在感を醸し出し、周囲を感化させる能力と才能を表します。
人によって、目に見える形で能力や才能を活かすことができる場合もありますし、
人の見えないところで、自分の能力や才能を疑わず、
承認欲求に振り回されることなく、自分の役割を全うする人もいます。
どのような場合でも、与えられた生命を生きる時、
私たちは他者によって生かされている事実を受け入れることが重要です。
そして、他者との関係性は、この世に変化をもたらし、
その変化がもたらす影響は、
私たちの意図や動機次第で、大いに変わる可能性を秘めています。
何か行動を起こし、変化が生まれるのであれば、
喜ばしい意識や意志、意図、動機によって、
物事を起こす方が喜ばしい結果を成就させようとする意志が、
人生を豊かにし、他者に愛される秘訣です。
「与えたものが返ってくる」という言葉は、
宇宙の法則やカルマの法則と形容されるように、
私たちが常に意識・観察すべきことは、「自分自身の行い」です。
私たちは誰もが、自分を体験するために生きていますので、
月(心)の性能を適切に活かして、人生を謳歌することで、私たちの魂は喜ぶはずです。
獅子座の月は、自分自身を信頼することと同様に、
他者を信頼する学びを必要とし、その学びを太陽から与えられています。
出生前の月食 in 乙女座
乙女座で起こる出生前の月食が表す課題は、「健全な自己鎮静」です。
自己鎮静という言葉は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。
例えば、新生児が身体を丸めたり、
自分の顔や身体を触ることで安心感を得ようとすることを「自己鎮静行動」と呼びます。
乙女座の出生前の日食では、人生のテーマを「正当な義務を全うすること」と表現しました。
では、月食の場合はどうかと言いますと、
「義務や責任を全うするための状態を整えること」が課題となります。
なぜなら、課題は、結果や成果に至るまでのプロセスの全容に渡って影響を与えますので、
その課題を成し遂げるだけの心身の状態を保つことが必要だからです。
特に、乙女座には「対応」や「適応」といった言葉で表現されることが多く、
義務や責任感を表すサインでもあります。
乙女座は、人間の身体部位のうち、腰や腰回りに対応しています。
人が直立歩行を可能にしているのは、腰が上半身と下半身を繋いでいるからです。
また、乙女座の意識は、全体・構造の中で自分の役回りを全うすることを重んじます。
この意識は、自分と他者を含めた、全体に意識を張り巡らせている視点です。
乙女座は、12サインのうち6番目のサインで、
前半のサインの最後のサインであるとともに、
後半のサインに移る際に、社会性を取り込む意識を象徴します。
乙女座で起こる月食は、
乙女座の月が魚座の太陽によって照らされることで起こります。
魚座の太陽は、「物事の本質は内面性である」ということを表すとともに、
「無意識領域に隔たりは存在しない」ということを意味しています。
更に言えば、魚座の太陽は、物質世界での体験が、心に経験値が蓄えられ、
その経験値は非物質的な世界へと還元されることを伝えています。
逆に、乙女座の月は、
物質世界で起こる現象や事象に頓着する心の在り方を示しています。
魚座の太陽によって照らされる乙女座の月は、
責任や義務、正義感によって緊張状態になっている自分自身を労るよう促します。
乙女座と魚座は、物質性と精神性の対極軸を結び、
現実に対して強く反応する心(月)に対して、
精神を保つ意志(太陽)は、現状に対して健全な意識でいられるように、
自分自身を落ち着かせようと働きかけるのです。
ドラゴンヘッド側の乙女座の出生前の月食は、
自分自身の内面を整えることで、外面の世界が整うことを強く示すとともに、
緊張状態や神経質さ、拘り、ルールによって苦しめている自分を自覚し、
小さな工夫や習慣、意識の切り替えによって、
健全な状態を維持することを課題としています。
乙女座は、魚座とともに「調整」や「浄化」といった働きを持つとされています。
乙女座は現実的なアプローチによって、
魚座は精神的なアプローチによって、
穏やかさや大らかさを取り戻し、本来の状態や機能を思い出すような働きがあります。
そのため、乙女座の出生前の月食は、
現実の奴隷となり、周囲からの影響や要請に従うことで、
疲弊する心身を健全な状態に戻すだけでなく、
自分自身の役割を全うし続けることを求めるのです。
また、ドラゴンテイル側の乙女座の出生前の月食は、
意識的・無意識的に根付き、習慣化した悪習慣を断ち、
自分自身を楽な状態や穏やかな状態に保つことを課題とします。
乙女座を表す際に、「過労」や「神経症」、「繊細さ」といった言葉が並びます。
全体を見通す広い視野がある反面、
身を粉にする自己犠牲の精神で動き、
気力と体力で乗り切ることで成果を上げようとする姿勢や癖が、
乙女座の性質とされているのです。
ですが、人生は持久戦ですので、身体と心が健全であることが常に重要です。
どんなに時間やお金に余裕があったところで、
健康状態が芳しくなければ、素晴らしい体験をすることはできません。
時間はお金で買うことはできませんが、
健康もまた、お金では買うことはできません。
何より、「私(あなた)」という存在に代わる人など、この世にはいないのです。
ですから、乙女座の月は、
魚座の太陽により、自分自身を労わる意識の重要性を示され、
実際に苦しい状況だからこそ、現実の奴隷でいることを止め、
過去からの習慣に流されることなく、
自分自身の意志で、より善い現実を創造することを重要な課題とします。
以下が、乙女座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 人の役に立つ自分であろうとする意識が強い
- 自己犠牲の精神が強くなる傾向がある
- 自分自身の役割に責任感を持ち、他者にも同じように責任感を持つことを求める
- 不健全な状態を改める努力と工夫、意識改革が重要な課題となる
- 献身・奉仕への無意識的な憧れを持ち、実際的に人の役に立つ事柄に興味関心を抱く
- 言葉ではなく、行動と結果で責任を全うしようとする誠実さと堅実さを持つ
- 高い分析力と集中力を発揮し、時間を忘れて物事に従事する傾向が強い
- 効率性を重視することで、過労や神経質を引き起こす恐れがある
- 自分に対してルールや責任を課し、肩の力を抜くことが苦手である場合が多い
- 冷静に状況を把握し、的確な判断を下すことに優れている反面、物事を完璧にこなそうとすることで、自分で自分の首を締めやすい
- 自分の立場や責任を深刻に捉える癖や価値観を緩め、大らかさと余裕を持つことが重要となる
乙女座は双子座と同様に、水星をルーラーとしますが、
双子座とは違い、自分に関係する物事に強い責任感を持つサインです。
同じ土サインである牡牛座と山羊座の中間に位置する乙女座は、
自分自身と自分以外(全体)のどちらにも意識を張り巡らせているため、
常に自分を働かせようとする「頑張り屋さん」の意識と言えます。
ですが、「頑張る」とは、「我を張る」という意味であり、
角度を変えてみると、求められる以上の成果を上げようとしたり、
自分の価値観やルール、信念を貫こうと「意地を張る」性質という風にも表現することができます。
先ほど、「人生は持久戦である」と表現しましたように、
常に100%の力を出し続けることはできません。
オンとオフ、適度な緊張と柔和さを持って、
自分自身の強みも弱みも、状況によって切り替え、
押し出したり、引っ込めることで、息の長い活動が可能になります。
双子座と乙女座のルーラーである水星は、知性を象徴しますが、
知性の使いどころを間違えてしまうと、
「思い込み(信念)」で空回りしてしまいます。
乙女座は、女性星座であることで受容性を発揮し、
柔軟宮の性質、そして、物事を固め、維持しようとする土のエレメントによって、
常に「関係性」の中で動く意識を表します。
そのため、「息の長い活動」を可能にするためには、
確実に「健全な状態を保つ」という意識が重要となります。
乙女座の出生前の月食は、
自分で蒔いた種を回収する際、周囲に貢献することと、
自分の信念(思い込み)を成就させることにばかり意識が向いている自分自身を省みて、
目的と手段が入れ替わっていないだろうか、という問題意識を以って、
現状を明らかに見ることを促しています。
魚座の太陽は、だらけることや人任せにすることを推奨しているのではなく、
「凝り固まった信念体系」を解し、
過度の緊張や行き過ぎた責任感を手放すことで、
より善い状態で役割を全うすることができる可能性を示しているのです。
ですから、「自分の思い込みを鎮静する」という意識を採用し、
適度な緊張感で現実に向き合い、自分自身をいたぶり、虐めるような意識を自覚し、手放していくことで、
人生を軽やかに生きていくことができることを認めてください。
私たちは誰もが、自分の見たいように現実を見ています。
そうであるのであれば、
もっと楽に、人生を楽しむことができる意識を採用することもできます。
自分に対する労りの気持ちを持ち、
実際に心身の状態を常に良好にしている方が、説得力がありますし、
健全・健康なあなたを維持することで、
役割だけでなく、存在としての影響力を認められるはずですから。
出生前の月食 in 天秤座
天秤座で起こる出生前の月食が表す課題は、
「本音を表現すること」です。
天秤座は後半のサインの始まりのサインであり、
集団意識と社会意識を強調するとともに、「中立性」と「客観性」を重んじるサインです。
そのため、自我意識が他者意識や集団意識の中に取り込まれ、
自分の本音を抑制する傾向があります。
牡羊座の意識が、「叩き上げる精神」であるならば、
天秤座の意識は、「磨き上げる精神」です。
天秤座は牡羊座と対極軸を結び、
自己主観と自己客観のバランスを保つことで、
他者や社会に求められ、認められるよう自分自身を鼓舞するサインです。
人の価値観は、生まれ育った環境に強く影響されます。
天秤座のルーラーである金星の主な意識は、
「快の意識」を引き寄せることです。
快楽や快感は、至福の感覚や感情をもたらします。
金星が司る嗜好や好き好みは、
その人が人生で体験したい事柄に紐づいていますが、
その人の生まれ育った環境や背景により、
内面世界で形成された価値観によって、
快の体験を実現する手段や方法、感じ方が左右されます。
家庭は、生まれて初めて属するコミュニティであり、
社会性を与えられる場と言えます。
そうなりますと、金星に支配・守護される天秤座は、
社会や集団の中に馴染み、求められる自分自身を好む感性を引き寄せる、という解釈になります。
ただ、天秤座は常に外面の社会との接点を持ち、
他者との交流を持つ中で、「オリジナリティ」という意味では、
自分の本音や衝動性を表現することを躊躇する性質を持ちます。
そのため、牡羊座の太陽に照らされる天秤座の月は、
自らの欲求や欲望、意志を追求する意志を持つことを促されます。
出生前の月食が天秤座で起こる場合、
「自分を外界の価値観でジャッジする」ということを止め、
自分の本音(内面)と向き合い、
周囲に合わせた行動や振る舞いを手放すことを課題とします。
なぜならば、私たちが日常生活・人生において重要視することは、
「自分が自分にとって心地良い姿」であることだからです。
社会通念や常識、流行、大衆意識といったものは、移ろいやすく、
実体が無いものに価値を置いている限り、
私たちは自分自身を満たすことは叶いません。
「本音と建て前」という言葉があるように、
私たちは「自分の本音を出してはいけない」という強迫観念に従い、慣れてしまうことで、
私たちはプライベートな自分のペースや在り方を軽視し、
自分の本願や本音というものを自覚する機会を手放してしまいます。
先ほど、牡羊座が「叩き上げの精神」を象徴し、
オリジナリティを追い求めるサインである、と表現しました。
牡羊座の対極性として、天秤座の「磨き上げの精神」の象徴があり、
世間を広く知ることで、自らの本音に辿り着くという意識の扱い方は、
「向下の道」と言えるかもしれません。
向上の道は、生まれた欲求や衝動をきっかけとして、
叶えやすい目標を設定し、体験によって成果を得ようとするものです。
対して、向下の道は、
知識や概を知った後に、準備を整え、体験に望もうとする姿勢です。
どちらの歩み方も素晴らしい経験の積み重ねの仕方であり
、サインの意識が投影された結果の選択・判断の順序ですので、
それぞれのサインの意識・エネルギーが扱いやすい方法や手段、環境を選び、
無理のない選択と行動を取ることが重要です。
ドラゴンヘッド側で天秤座の出生前の月食が起こる場合、
社会経験や周囲からの影響により、精神的な葛藤を経て、
自分自身の欲求に正直に生きることを課題とします。
人生に起こることの大半は、「自分が望んだことではない」という思いを抱きがちですが、
私たちのそれぞれの無意識の在り方が集合的無意識に影響し、
個々の選択に応じた反応(現実)が返ってきます。
そのため、局所的には、
自分の意志や意図、動機が結果を引き寄せているようには思えなくても、
俯瞰して人生を捉えた場合、個人は集合的無意識の流れに呼応しているため、
困難な状況であれ、幸運な状況であれ、
私たちが抱く思考と感情に責任を持つ必要があります。
天秤座の出生前の月食は、
自分の内面と現実が相似形であることに気づき、
現実という内面へのフィードバックを受け入れ、
自分自身の欲求を実現する喜びを学ばせるのです。
また、ドラゴンテイル側の天秤座の出生前の月食は、
諦めていた想いや温めてきた夢を実現しようとする
生命の働きを受け入れることを学びとします。
人生を歩む上で、近道をしようと意図しても、遠回りを経験することもありますし、
逆に、明確な意志を持つことができないことで、
人生を遠回りするからこそ、後に手にすることとなる明確な目標を達成するための経験をし、
加速的に成長を遂げる場合もあります。
「過去」に補完されているあらゆる記憶や感情は、
私たちを守ろうとする現状維持の方向性と、
変化と成長を妨げる重荷の両側面の作用を持ちます。
そのため、ドラゴンテイル側で起こる天秤座の月食は、
「過去」という事実と「過去の自分」と密着・同化する中で、
自分の内面に「純粋欲求」が宿っていることに気づき、
自分のためにその欲求を形にすることを促します。
天秤座の月は、牡羊座の太陽によって、
「見せかけの価値」や「適応力」、「社会性」を
自分自身の純粋欲求を炙り出すために使うよう促します。
どのような人生にも、どのような出来事にも、
どのような価値観にも、可能性と発展の機会が潜んでいます。
天秤座の意識は、広い視野を持つからこそ、
足元や内面に意識を向けることで、「自分だけの欲求」に頓着することが重要となります。
以下が、天秤座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 社交性・交渉力が高く、繋がりを持つことを得意とする
- 社会的な評価や流行に敏感であるとともに、社会に溶け込もうとする意識が高い
- 他者への意識が強く、自分本位になることに抵抗を感じるがゆえに、人の目や視線、評価を気にする
- 「思い込み(信念)」や「価値観」によって、生活スタイルや振る舞いが変わりやすく、手本や見本、ロールモデルを持つことで、人生の在り方を大きく変える柔軟性を持つ
- 自分の本願・本音を傷つけられることを恐れる傾向が強く、その恐怖心が、自己主張や自己表現を抑制する
- 自分自身に正直に生きることが重要な課題となる
- 人生において、「誰のために生きるのか?」という命題を突きつけられ、「自分のために生きること」を選択する時、変容のための現象を引き寄せる
- 人と人とを繋ぐ役割や立場を全うし、関係性の中で生まれる変化を楽しむ意識を持つ
- 中立性や客観性を更に深みを持たせるために、新しい挑戦と自分の望みを実現しようとする意志が重要となる
天秤座のルーラーは金星であるため、
「自分がいいと思うこと」を強い動機と判断基準とするのが、天秤座の意識です。
他者の評価や価値観は、
自分の内面にある評価基準や価値基準と同様に、
その人が持って生まれた性質とともに、
生まれ育った環境に大きく影響されます。
特に、牡羊座と対極軸を結ぶ天秤座は、
自分の価値観を絶対視し、正当性を揺るぎないものにしようとする意識を持ちます。
牡羊座と天秤座の共通の学びは、「意識の扱い方」であり、
自我意識(エゴ)を活用し、どのような価値観や思い込み(信念)を使って、現実を観察し、
どのように自分自身に望む体験をさせられるか、ということに神経を使います。
天秤座で起こる月食は、
牡羊座に位置する太陽が、イグザルテーション(高揚)の品格 / 品位を獲得し、
天秤座の月に対して、自分自身の内面に宿り、眠っている意志を呼び起こす働きかけをします。
そのため、天秤座の出生前の月食は、
「自分のために人生を生きる」という意志に目覚めるために、
他者と繋がり、社会性を積み、評価に応える自分像を作り上げる中で、
自分が真に満たされる状態は、
「自分が自分に求められることである」という気づきを得た時から始まることを伝えています。
八方美人になったり、他者の不平不満を聞き流したり、常識や世間体を気にしたりと、
色々な体験はすべて、「自分とは何者か?」という自問に活かすことができます。
天秤座の月は、自分の内面を外から眺める癖を自覚し、
自分にとっての聖域である心の中に意識を収め、
自分の人生において、自らの喜びを追求することに比重を置くことを望む反面、
無意識的にブレーキを踏んでいる自分自身が存在していることを気づかせます。
「第1のエゴ」は、現実や出来事、他者や自分自身に対して、
反射的に思考や感情、衝動を生み出し、
「第2のエゴ」は、その自分の言動や振る舞いに対してジャッジを下します。
第3のエゴ、第4のエゴと、永遠にエゴは増殖し続けますが、
私たちは、大抵、脳内で2つの対立するエゴを戦わせています。
この対立構造を、「天使と悪魔」という風にも表現できますが、
天秤座の意識は、第2のエゴのジャッジが強い、という風に捉えることができます。
社会的な対話力や交渉力が高い天秤座の意識は、
自分と自分の関係性を整えるために、
「自分の望みは何か?」という自問をし続けることが重要です。
他者や社会の評価や承認が気になる時、
私たちは「自分の望み」や「心の声」、「魂の計画」から意識を逸らしてしまっています。
そのため、天秤座の出生前の月食は、
「自分の内面に意識を取り戻す」という重要な課題に対して、真摯に向き合い、
外面の世界から受ける刺激にばかり構うのではなく、
自分の中にある純粋欲求を掘り下げることが重要なのです。
出生前の月食 in 蠍 座
蠍座で起こる出生前の月食が表す課題は、「流れを信頼すること」です。
蠍座の出生前の日食のテーマは「信頼」である、と解説しましたが、
その信頼の対象は「他者」に向けられているのに対して、
蠍座の出生前の月食の課題は、「自分と他者を含んだ全体の流れ」を対象としています。
なぜならば、蠍座の意識は、「自我意識の喪失と再生」を命題とし、
その変容のプロセスは、全体の流れと呼応し、
その流れを受け入れ、その流れに委ねることで成就するからです。
蠍座の月食は、蠍座の月が、牡牛座の太陽に照らされることで起こります。
蠍座と牡牛座は、精神性と物質性への強い興味関心を超えた執着と欲求を表します。
月は牡牛座でイグザルテーション(高揚)の品格 / 品位を獲得しますが、
逆に、蠍座ではフォールの状態になります。
これが何を意味するかと言いますと、
月は「不変性」を象徴し、変化を嫌うため、
蠍座の変容の意識は苦手であるからこそ、
変化を受け入れ、変容を遂げた際には、
心は純化され、成熟する、ということです。
後述しますが、天秤座15度~蠍座15度は「ヴァイア・コンバスタ(焼失の道)」という領域であるとされています。
月がサインを移行し、成長・変化を遂げる際、
天秤座と蠍座のピークの度数の間の領域において、
心の器は、外界や他者との繋がりによって変容のきっかけを受け取ることになります。
快く受け取る、というよりも、
強制的に変容への切符を押し付けられる、という表現の方が相応しいかもしれません。
そのため、蠍座の出生前の月食は、
牡牛座が象徴する「現実性」や「身体性」を受け入れることを余儀なくされる月が、
単に葛藤に苛まれるだけでなく、
本来求めていた精神的な安らぎを得ることができる、
という展望を自分に与えることを課題とします。
蠍座は、火星と冥王星をルーラーに持ち、
現実面では、自我意識の欲求に従って、現実創造をするよう火星から促され、
冥王星からは、目標や関心事に対して徹底的に取り組むよう、
精神的な忍耐力を持つことを促されます。
蠍座が持つ性質として、「是か非か」や「0か100か」という極端性が挙げられますが、
この性質は、「自分の思い込み(信念)」を絶対視していることから生まれます。
だからこそ、自分の都合や願望、欲求を脇に置いて、
人生の流れや運命を信頼し、その流れに乗ることの方によって、
外面の世界から恩恵が巡ってくる余地・スペースを設けることが重要になります。
ドラゴンヘッド側で起こる蠍座の出生前の月食は、
内的葛藤や紛争を、自力で乗り越えようとする自力を和らげ、
緊張状態を出来るだけ緩和し、自己都合ではなく、
人生のバイオリズムを受け入れることを課題とします。
蠍座は、集中力や変性意識のスイッチが入ることで、
視野が狭くなる性質を持ちます。
それだけ、目的意識が強く、物事を成し遂げようとする意識があるということですが、
私たちは一人で生きているわけではなく、
現実面でも、集合的無意識の面でも、
常に他者と世界との繋がりの上で生きています。
そのため、「流れを信頼する」という学びは、
自分の意志や信念を崩すことになりますが、
自我意識は常に変化・変容しますので、
流れを拒む選択をすることの方が、茨の道を歩むことになります。
ですから、自分の価値観や思い込み(信念)に対する執着を和らげることによって、
心にしなやかさを持たせることが、人生の発展と繁栄のための課題となるのです。
また、ドラゴンテイル側で起こる蠍座の出生前の月食は、
「現実に起こってくる流れに乗ること」を課題とします。
人生の流れは、現実性と内面性の双方に影響を持ちます。
ドラゴンテイルは、過去や固定化された信念(思い込み)、
価値観に囚われる意識を表します。
そのため、外面の世界から与えられる挑戦の機会を受け入れ、
勇気を出して、現実の流れに乗ることが重要です。
牡牛座の太陽は、自然の摂理の流れを楽しみ、
また、その流れの中で巡ってくる恩恵を味わう主体性を表します。
その麗らかで、大らかな意識に照らされる蠍座の月は、
内面に籠り、心という観察の窓から世界を眺めていることに窮屈さを覚え、
遂には、自我意識が要請する「過去の再現」から手を引くことで、
想定外の出来事や他者との繋がりから、精神的な充足感を得ることができます。
蠍座と牡牛座は、共に不動(固定)宮の性質を持ち、
忍耐力と頑固さを持ち、維持と固定のための作用が強いサインです。
時代も時間も、心も移ろうように、
私たちの在り方も変幻自在に変えることができますし、
人生の流れを信頼し、心を風通しのいい状態にしようとする意識が、
懐を深くし、自分にも他者にも寛容的に接することを可能にします。
以下が、蠍座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 深い洞察力と集中力により、物事を理解することを助ける反面、疑いを強くし、緊張を高める側面を持つことを自覚することが重要となる
- 感情の激しさと強い衝動性をコントロールすることが課題となる
- 葛藤や苦悩を表立っては語らない反面、他者の葛藤や苦悩を受け止める器量を持つ
- 持久力と忍耐力を持ち、長期的に物事に取り組み、高い目的意識を持つ
- 他者の心の動きに敏感であるとともに、精神的な交流を積極的に求める傾向がある
- 極端性が、物事の発展や自由度を狭めることを自覚することが重要
- 恐怖心や未知の体験を不安視するだけに留まらず、積極的に経験に還元しようとする度胸を持つ
- 内向的である一方、外向的に振る舞うこともあるため、掴みどころがない印象を与える
- 物事を深刻に捉える傾向が強いがゆえに、「寝かせること」や「流れに委ねること」を苦手とする
- 衝動性の強さを抑制し、自分自身と他者だけでなく、人生の流れに信頼を示すことが重要な課題となる
蠍座のルーラーは、火星と冥王星であり、
冥王星は火星のハイ・オクターヴの天体と考えられています。
火星は火のエレメント、冥王星は水のエレメントですので、
蠍座というサインの意識は、
対極的なエレメントの作用が拮抗することで成り立っている、と言えます。
「火」と「水」の融合は、錬金術的な創造性の誕生を意味します。
また、「内面に答えがある」という表現は、
私たちが、内面世界(心)を外面の世界に投影することによって、
自らの意志が実現していることを観察しているのだから、
現実がどのように創造されているのかを知りたいのであれば、
内面に意識を向ける必要がある、ということを指しています。
月は、蠍座のエネルギーにより、変容を促され、
「自分が自分だと思っていた意識」を一旦手放し、
再生し、新たな自己認識を手に入れます。
どのような人でも、程度の差はあれ、
新しい体験や未知の体験、自分の都合や状況、意思に沿わない物事には、
抵抗や反発を覚えるものです。
蠍座の月食は、弱った心の状態というよりも、
本来の状態ではない、もしくは、馴染みのある自分の精神状態ではないからこそ、
変容のチャンスを掴むことができ、
過去や信念(思い込み)を手放すことと引き換えに、
精神的な安らぎや充実感を得られることを表します。
蠍座は、意志と情動という、上昇するエネルギーと下降するエネルギーを融合し、
内的な変容を抱えながら、自分自身と現実を受け入れようとする意識です。
ですから、心に生じる痛みや焦り、不安などは、
「成長痛」や「伸びしろ」という風に肯定的に捉えることで、
自然の摂理や人生の流れに呼応することが重要となります。
そして、私たちが常に覚えておくべきことは、
思考や感情、衝動や価値観、信念(思い込み)、正義感といったものは、
私たちそのものではない、ということです。
蠍座の変容の意識によって、
他者と共に、自我意識との同化を解除し、
新しい意識を取り込むことで、変容は進んでいきます。、
現実に起こってくる出来事に対して、
絶対的な力を振るえるのであれば、私たちは自分自身を最も尊ぶことができます。
ですが、私たちは自分自身以外の存在を、一切コントロールすることはできません。
蠍座の出生前の月食は、
自我意識にとって最も苦痛かもしれない気づきとして、
「コントロールしたい」という欲求を手放し、
人生の流れを受け入れ、その流れを信頼することを促すのです。
これは、自我意識の要求を鎮める選択であり、
新しい自我意識に生まれ変わるための意志の発露と言えます。
出生前の月食 in 射手座
射手座で起こる出生前の月食が表す課題は、
「身近な環境に意識を向けること」です。
射手座で起こる月食は、
射手座の月と双子座の太陽がオポジションを形成し、
意識の範囲を調整することの重要性を表します。
射手座は「遠い場所」に意識を向け、
双子座は「近い場所」に意識を向けるという違いがあり、
2つのサインは、興味関心を向ける範囲の差に対極性を持ちます。
射手座に月が位置する時、内面世界(心)では、探求心が芽生え、
「ここではないどこかへ生きたい」という衝動が生まれます。
射手座を表すキーワードは、「獲得」や「冒険」、「探求」などが挙げられますが、
それらは、「主体的に世界を体験したい」という欲求や、
「世界の仕組みを解明したい」という欲求です。
牡羊座~水瓶座の意識は、
物質世界を土台とし、内には行ったり、外に出たりを繰り返したり、
自我意識を優位となったり、他者意識を受け入れたり、集団意識に溶け込んだりと、
意識が内外を行き来しながら、活動の範囲を広げることで、拡大していきます。
意識の拡大の目的は、
外面の世界と接点を持ち、現象を通して、
「自分という存在を体験する」ためにあります。
射手座の意識は、自分よりも外面の世界に興味を持ち、
世界の仕組みがどのように自分に影響を与えるのか、という探求心に満ちています。
そのため、出生前の月食が射手座で起こる場合、
「灯台下暗し」という言葉のように、
内面が求める充実感や満足感、達成感を得ようとする時、
必ずしも遠方や未知の領域を美化する必要がなく、
本来求めていたものが近場に見つかる、という気づきを促します。
これはまるで「青い鳥」の童話の物語のようですね。
とはいえ、遠方や外国でなければ体験できない体験はありますし、
自分の生まれ育った環境や自国とは異なる文化や地域だからこそ、見つかるものがあります。
表層的に射手座の意識を捉えた時、
「冒険心」や「探求心」、「研究」といった姿勢や感性に留まってしまいがちですが、
本質的な射手座の意識は、「知識を知恵に換えること」にあります。
好奇心によって起こす行動や得られる体験は、
優れた知性や学歴などは関係なく、
ただ言葉や文章、記号の羅列、出来事の表層的な印象を受け取るだけでなく、
その知識を生活や人生に活かすという点で、大きな差が生まれます。
射手座と双子座は、「伝えること」や「教えること」という欲求も秘めています。
知的好奇心に紐づいた伝導的な欲求は、
承認欲求を掻き立てる側面もありますが、
誰かの役に立ちたいという本能的な欲求でもあります。
射手座の月は、
「ここには無い喜び」が違う場所に隠されているのではないか、
という気持ちになりやすく、
その欲求を証明するために、現状の外へ出ようとする意識を持ちます。
そのため、出生前の月食が射手座で起こる時、
現状や過去、身近な環境を否定する気持ちが生まれ、
解放感と達成感を求めて、責任や役割を放棄してまで、
自分の所在を遠い場所に根差そうとしたり、
場所を転々とする生き方を選びたい欲求が生まれますが、
その気持ちが自分にとって真実であるのかを問うことが、重大な関心事・課題となります。
重要な観点は、どこで何をするのか、という行動と活動の場所ではなく、
自分のルーツへの理解と自分の人生の関係性を軽視していないか、ということです。
射手座がASCにある場合、
海外志向になったり、探求心が旺盛な性質を先天的な要素として持ちますし、
ネイタルの太陽が射手座に位置していれば、
海外や哲学、教育、研究などに強い関心を持つでしょう。
ただ、月は「移ろいやすい心」を象徴し、
実際に体験していないからこそ抱く願望や幻想を表します。
そのため、出生前の月食が射手座で起こる際、
内面世界に生まれる願望や幻想の根底には、
自分の出生の環境に対する否定的な気持ちが生まれやすい、
ということに意識を向ける必要があります。
射手座の性質や意識に限らず、
あらゆる行動には結果が待っていますし、
旅に出たなら、いつか家に戻るタイミングが訪れます。
射手座の出生前の月食は、
片道切符で人生を謳歌しようとする意識だけでは、
「根無し草」のようになってしまうため、
突発的・衝動的な欲求が生まれた際には、
何を持ち帰り、どのように今後の生活・人生に活かすことができるか?
という視点が重要であることを示します。
トランジットの月は、毎月射手座に巡ってきますので、
その度に、知識を智恵に換えなければいけない!
という意識を持たなければいけないわけではありません。
ですが、出生前の月食は、人生というスケールにおいて、
「主体性を欠いた」成り行き任せや行き当たりばったりな生き方では、
ただの遠足になってしまうということを警告しているのです。
ドラゴンヘッド側で起こる射手座の出生前の月食は、
どのようなことが根本原因として、
自分を遠い場所へと意識を向けさせるのかを明確にすることを促しています。
射手座の月は、双子座の太陽によって照らされています。
この場合、照らされる場所は、足元であり、
自分の居場所や慣れ親しんでいる環境、
そして、その場所で受け取っている影響です。
射手座の象意として「研究」や「探求」があるからこそ、
自分自身とルーツについて深い理解を示しながら、
遠い場所で経験を積むことを踏まえる必要があります。
また、ドラゴンテイル側で起こる射手座の出生前の月食は、
自分だけでなく、両親や先祖を通して引き継いでいる、
「成し遂げたい分野」や「未知の体験への憧れ」といったものに意識を向けることを促しています。
私たちの肉体と精神は、私たち個人のオリジナルのものではなく、
両親をはじめ、先祖や家系に流れる
「血統」と「霊統」の物質性と精神性の両面の性質の集合体・結晶体です。
射手座は、火のサインであり、私たちに宿る意志や情熱には、
いくらか、血統と霊統の影響を受け、
自分の人生・世代で成し遂げようとする意識を表します。
そのため、人生に起こる出来事のあらゆる側面に、
「自分のためだけではない要素」に意識を配ることで、
自分の意志や情熱が遠方へと向かおうとする意識の方向性に対し、
助け舟や導きが訪れる余地を設けることが重要です。
私たちがより無意識に理解を示すほどに、
無意識の領域からの働きかけを受け取る機会が増えていくものですから。
以下が、射手座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 冒険心・探求心・知的好奇心が人生を発展させる
- 教養・道徳心の高さを得ることで、人生の繁栄が得られる
- 遠い場所への憧れと強い好奇心を持つ
- 思想や哲学、宗教、政治、法律など、幅広い分野で知性を活かそうとする
- 人生の師を持ち、また、誰かの師となる素養・運命を持つ
- 情熱的でありながら、冷静さを兼ね備える
- 知的活動とともに、フィールドワークを好み、忙しく動き回る
- 楽観主義が度を過ぎると、責任能力が疑われる場合がある
- 専門分野に精通する一方、興味の無い分野には理解も関心も示さず、世間知らずになる
- 見通しが甘く、行き当たりばったりで、大風呂敷を広げたまま収拾がつかなくなると、人生が行き詰まる
- 純粋な信仰心や真理への憧れ、大いなる力に対する畏怖の念を持つ
- 自分のルーツや自国の文化について無頓着になり、後になって理解と尊敬を示す
- 抽象度の高い事柄に興味を持ち、日常生活にダイレクトに活用できないことに後ろめたさを抱えやすいものの、そのことが幻想であることに気づくことが重要となる
射手座は木星をルーラーに持ち、
木星から常時、意識を広げようとする欲求を供給されるサインです。
木星は、ポジティヴな側面もネガティヴな側面も同じように拡大・肥大させます。
太陽が1年で12サインを一巡し、
木星は12年で12サインを一巡しますので、
木星の1つのサイクルは、太陽の12回分の経験・成長と対応しています。
そのため、射手座の意識は、場所や場面を変えながら、
自分の精神性を高めるために旅をする性質を持つと言えます。
太陽の場合は、1年経ったら家に帰って来ますが、
木星の場合は、一度旅に出ると長らく帰ってきません。
そのため、射手座の月は、双子座の太陽により、
「自分の居場所」を点々とすることで見失ってしまう、
「普遍的な真理」を思い出すことを促されます。
どのような場所に居たとしても、人間の本能や構造は変わりませんが、
その場所のエネルギーや文化、価値観、信仰心などによって、
物質化・実現化される物事は変わります。
射手座の意識は、自然界と人間界(人間社会)の間に、
人間の多様な在り方を見出そうとします。
自然の摂理は、私たちにとって、生きるための恩恵を与えてくれるとともに、
生きることの儚さを教えてくれる、諸行無常の働きです。
その働きの中で生きる人間が、知性を使って、
時に科学的に、時に神秘的に物事を解明しようとします。
どんな時代においても、学びには限りがありません。
射手座の意識には、「帰る場所」や「ルーツ」といった、
帰省本能だけではない、
自分の意識の生まれ故郷との繋がりを大切にすることが重要です。
自分が獲得した知識は、誰かのために活用することで智恵となり、
他者がその智恵を一旦知識として受け取ることで、
その後智恵として活用することができます。
私たちは常に学び続け、先代からの意志を引継ぎ、
そして、次世代へと意志を引き継いでいきます。
この生命の循環に理解を示し、
当事者意識を持って、自分と世界との関係性を健全に築こうとする意識が、
普遍的な真理に立ち返らせ、「青い鳥」の結末のように、
自分を生んだあらゆる存在と自分自身、
そして、自分の人生に尊敬と感謝の念を持って、
充実した気持ちで世界を観測することを可能にするのです。
出生前の月食 in 山羊座
山羊座で起こる出生前の月食が表す課題は、
「心の充足感を確保すること」です。
言葉を変えるなら、「安らぎを確保すること」であり、
月本来の性質に立ち戻ることが重要となります。
月が山羊座に位置する場合、
イグザルテーションとは正反対のデトリメントの品格 / 品位の状態となります。
山羊座の月は、幼少期から厳しい躾や教育を受けたり、
父親や身内の男性に対する恐怖心を抱いたり、
社会活動が私生活に割り込んだりと、
プライベートな状況に苦難を持ちやすい環境・状況を持つ傾向が高く、
忍耐強い反面、常に安らぎを求めています。
それもそのはず、月と太陽は陰陽の関係ですが、
月と山羊座のルーラーである土星は、
上司と部下のように、逆らうことができない関係性を表します。
蟹座と対向のサインである山羊座は、
責任や義務を全うすることを当然とし、
心や無意識というプライベートな象意を表す月にとって、
居心地が悪いサインであり、エネルギーを持ちます。
そのため、出生前の月食が山羊座で起こる場合、
蟹座の太陽は、月に安らぎを確保するよう強く警告します。
月と土星は、
非物質性と物質性、内面性と現実性、不変の時間と有限の時間など、対極的な象意を持ちます。
土星は太陽に対し、太陽を主としながらも、
社長に対して強く意見することが出来る会長のような存在です。
太陽と月を夫婦・ペアとした際も、
土星は後見人のような立場や教師・恩人のような立場であるため、
太陽も月も、土星の強い影響力には敵いません。
かと言って、土星は月と太陽を打ち負かそうとしているわけでも、
平伏すよう力を振るっているわけでもありません。
月は幼少期に形成され、
保持された純粋性と幼少性の価値観を象徴し、
一方、太陽は人生を懸けて実現・体現していく生命力です。
これら2つの不完全・発展途上のエネルギーや意識に対して、
土星は厳しさを前面に出しながらも、
遠くから見守る慈しみの意識を内に秘めています、。
その慈しみを感じられるのは、
自分自身が年を重ねて、
物事の分別や順序はもちろんのこと、
人生の大波小波を経て、
貫禄を得るようになってからかもしれません。
それくらいに、土星の意識を推し量ることは難しいのです。
土星は長期的な視点で物事を捉え、状況を判断し、
自分自身を正当に評価することを促す厳しい天体であることは間違いありません。
現に、土星は凶星(マレフィック)の天体として恐れられ、
苦悩と受難、トラブルや厳しさをもたらす働きがあります。
ネイタルの土星の位置にトランジットの土星が戻ってくる土星回帰は、
約29年に1度巡ってきます。
土星回帰は、人生では最大3度しか経験できないことから、
土星は物質次元の学びや成長において、
必ず人生経験を積むことを求め、
その度に、葛藤や苦悩を乗り越えなければならない状況をもたらします。
そのため、土星は「タイムリミット」と「責任」を迫る天体とも言えますので、
「安らぎ」を常に求める月にとって、
土星と山羊座の意識は脅威となります。
出生前の月食が山羊座で起こる場合、
心では不快な出来事を鮮明に記憶し、
その当時の感情をトラウマやコンプレックスとして保持しているため、
出来る限り心を労り、安らぎを自分自身に与えることを促します。
山羊座の出生前の月食は特に、
ある程度保守的になることで、自己防衛となり、
心身のバランスを保つためには必要です。
ドラゴンヘッド側で山羊座の出生前の月食が起こる場合、
率先して自分自身を優先し、
安らぎを得られる方法や場所、信頼できる人との関係性を確保することが重要となります。
ドラゴンヘッド付近に位置する山羊座の月は、
社会性を成り立たせるために、私生活を充実させ、
仕事や社会的な立場に人生を支配されないように、
自発的に安らぎを確保することを促されます。
ネイタルチャートでの他の天体との関係性も重要ですが、
何より、ネイタルチャートの月は、あらゆる活動の土台となりますので、
心を潤すことができなければ、私たちの生活と人生は破綻してしまいます。
また、ドラゴンテイル側で山羊座の出生前の月食が起こる場合、
「心を癒すことを許可すること」が重要です。
山羊座は、社会的な評価や世間体のように、
「他者にどのように見られているか」ということを強く意識させるサインであるため、
自分だけの時間と空間においては、
自分を労うとともに、自分を癒す手段や方法を確保する必要があります。
月が象徴する心と無意識の世界は、
他者に傷つけられることで歪んでしまいます。
幼少期の純粋な自我意識は、ただ保護者や養育者からの愛を求めますが、
大人になってからの自我意識は、恐怖心や痛みに非常に敏感で、
敵や加害者となり得る他者は、排除しなければならない、
と反射的に考えてしまうものです。
特に、山羊座の月は、内面世界に刻印されているかの如く、
恐怖心や不安を植え付けた誰かのエネルギーを明確に記憶していますし、
そのような状況に強い嫌悪感を抱きますし、
ストレスやプレシャーを極限まで抱えてしまうと、
ある時、忍耐力の限界を超えた末に、
自暴自棄になったり、無気力状態になってしまいます。
そのような状況になった場合、心を回復させるためには相当な時間を要します。
ですから、単なるストレス発散やガス抜きではなく、
心の健康の保全のために、「安らぎを得られる方法」を持つことを
甘えや恥ずかしいなどと思わずに、
積極的に自分の心を守ることを優先すべきなのです。
以下が、山羊座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 社会的なセルフイメージを強く意識する
- 社会的な立場や成果、評価を強く意識する
- 自己実現に対する並々ならぬ意欲と責任感を持つ
- 私生活を犠牲にしてまでも、社会活動や仕事、他者貢献に尽くす傾向がある
- 心の安寧を軽視、または、自分の忍耐力を過信し、その在り方に応じた扱いを受けることになる
- 胸の内を吐露することができる身内や家族、専門家に頼る勇気が必要となる
- 息の長い活躍をするためには、心のメンテナンス・ケアが必要不可欠であることを認めることが重要となる
- 立場を守る、家族を守る、他者を守ると同様に、自分の心を守ることが重要となる
- 集団意識や大衆心理が「安らぎ」を求めていることを認め、厳しさを表現する際には、慈しみの心も一緒に表現することで、対人関係をはじめ、社会活動と私生活が充実することを認めることが重要となる
- 不要な辛抱や我慢は美徳ではないことを腑に落とし、自分自身にも周囲にも、辛抱・我慢と忍耐の違いを認識するよう働きかけることが重要
- 責任は安らぎがあってこそ果たされることを受け入れ、感情を表に出すことを怖がらないことが重要となる
山羊座のルーラーは土星であり、
土星は人生のあらゆる場面において、
制約・制限やルール、足かせを与える側面を持ちます。
別の側面としては、
「人生の手応えを獲得する」ために、実現力を鍛えるために、
苦手意識の克服や自分の未熟さを受け入れ
自分自身の可能性を信頼するよう促す、包容的な立場と働きがあります。
土星が目の前に現れ、賢者の如く、人生訓を語るようなことはありませんが、
私たちの内面にも土星が存在し、内なる土星が外面の世界(現実)に働きかける、
という風に受け取っていただければ幸いです。
山羊座の月は、土星の働きに過剰に反応し、
私生活や精神的な安らぎを犠牲にする傾向が強くなるとともに、
他者に対する猜疑心も強くなる傾向がありますので、
主体的に心を潤す意識が必要となります。
山羊座の月は、蟹座の太陽に照らされることで、
本来の月の性能である、慈しみの心をまず自分自身に与えることが、人生における重要な課題となるのです。
本来必要としていることを我慢・遠慮している、というのは、
「やせ我慢」であって、美徳ではありません。
また、自分自身に施すことができることは、
他者にも施すことができます。
それも、実体験を伴うため、説得力があります。
山羊座や土星は、外面的な振る舞いや所作に、厳しさや真面目さが前面に出る反面、
強く影響を与える他者に対しては、どこか隷属的にその影響を受け取ってしまい、
心を疲弊させる働きを持ちます。
このような働きや作用は、凶意として捉えてしまうのは自然なことです。
ですが、長期的な視点で人生を捉える時、苦悩や受難を不意にしたくない、
かといって、心を無下に扱わいたくない、という気持ちを肯定する時、
社会活動と私生活を両立させるメンタルを確立することが、
より善い現実創造に繋がることに、いち早く気付く必要があります。
山羊座の月は、確かに、
厳しい体験により、不信や緊張を抱え込みやすい配置ではありますが、
太陽が蟹座で輝くように、
誰もが安らぎを心の底から望んでいることを認め、
現実的に自分自身の心を守り、癒し、労う意識を
自分のために高めていくことが何より重要です。
自己実現や社会的な成果・成果を成し遂げるためには、
何より、心が潤い、
あらゆる状況や変化に対応することができる状態を維持できることが、
人として、また、自分の人生の主人公としての責任と言えます。
出生前の月食 in 水瓶座
水瓶座で起こる出生前の月食が表す課題は、「自己肯定」です。
本講座では、「受容=肯定」という公式のような解釈をお伝えしています。
月は受容性を象徴し、太陽は肯定性を象徴します。
また、月は過去や不変性、純粋性を象徴し、
太陽は未来や変化性、本質性を象徴しますので、
水瓶座の月は、太陽の意志が反映された受容性、
つまり、肯定性を表します。
内的な自己肯定は、自己受容であり、
外的に印象付ける存在感や自信となって受け捉えられる意識の光となります。
水瓶座の月食は、水瓶座の月が獅子座の太陽によって照らされ、
自分自身の内面を意識の光で明るく照らす、意志の強さを生み出します。
水瓶座と獅子座は、
共に男性星座・不動(固定)宮のサインですが、風と火のエレメントとの違いがあります。
エレメントを細分化した時、風と火は、上昇のエネルギーの流れを表しますが、
風は「熱・湿(Hot&Moist)」であり、
火は「熱・渇(Hot&Dry)」の要素の組み合わせです。
火は、熱により水が蒸発し、姿形を失いながら、生命力を拡散する働きを象徴し、
風は、熱によって結合する働きを象徴します。
同じ上昇のエネルギーであっても、
火は単独的で、風は連帯的な作用を持ちます。
このことから、水瓶座の月は、
連帯性や連続性を伴った意識を表し、
反発や反骨精神、批判の衝動を内面に抱く理由には、
「欠乏意識」や「不足感」が挙げられます。
では、何に対して欠乏や不足を感じるのか、と言いますと、
自分自身に対する満足感や充実感です。
少し遠回りな表現になりますが、
私たちが最も認められたいと願う対象は、
親や家族、パートナーや親友ではなく、
実は、自分自身なのです。
山羊座の出生前の月食の項でも触れましたが、
私たちが日々の生活や人生において、心の底から望んでいるものは、
金銭や物質ではなく、体験から得られる「安らぎ」です。
この安らぎは、
場所や手段、目的によって獲得できるまでの時間に差が生まれるとともに、
それまでに、いかに自分自身と心地良い関係性を持ち続けられるか、
ということが重要となります。
水瓶座の月に対して、
太陽は獅子座でドミサイルの品格 / 品位を獲得するため、
意志と肯定の力が強く、内面の在り方を肯定するよう強く働きかけるのです。
そのため、出生前の月食が水瓶座で起こる場合、
論理性や開拓精神の前に、自己肯定が大きな課題となります。
ドラゴンヘッド側で水瓶座の出生前の月食が起こる場合、
特に、主体性を持つことや創造性を発揮し、
自分自身に対して心地良さを感じ、
「自分が自分として存在することに自信を持つこと」が重大な課題です。
また、ドラゴンテイル側で水瓶座の出生前の月食が起こる場合、
過去の出来事や選択、決断、行動を否定したり、批判したりする衝動が生まれやすいため、
批判や意味付けを行うことなく、
また、正当化や美化することで、
反省や改心の機会を失う傾向が高くなります。
水瓶座の出生前の月食が、
ドラゴンヘッド側で起きるか、ドラゴンテイル側で起きるかに関わらず、
水瓶座の月は、純粋に回顧する気持ちになれず、
今の感覚や境地を基準に、過去や未来に対して悲観視する傾向があります。
この意識は、水瓶座の出生前の日食とは正反対の意識・エネルギーです。
なぜなら、水瓶座というサインは、物質に執着する最後のサインであり、
理想と現実のギャップを抱えながら、
それでも、理想に向かおうとする意識を表すからです。
水瓶座は、規制や常識などと上手く付き合いながらも、
個性を尊重し、自由を獲得しようとする意識でもあります。
新しく何かを生み出す時、既に生まれ、活用されているものを手本とし、
流用したとすれば、その手本を塗り替えるような結果を生み出します。
シンプルに言えば、何かを選ぶ時、何かを捨てる、
もしくは、一方を決める時、もう一方を辞める、
という構造が自然と生まれます。
私たちは日常的に選択を繰り返していますので、
取捨選択に対立構造が織り込まれているなど、
些細なことに気を配ったりはしません。
ただ、水瓶座の月は、自分の選択や決断に対して、
自信と余裕を持つことを渇望しながらも、
自分自身でさえ、批判的に観察してしまう心の在り方を表します。
そのため、「許し」に近い境地としての「自己肯定」を自分自身に与え、
過剰な攻撃性や冷淡さを和らげることが重要となります。
月は心や無意識の他、純粋性や大衆性を表しますが、
水瓶座は「変革」や「個性の尊重」を重んじるため、
水瓶座に位置する月は、
「ありのままの自分で在ろうとすること」をどこか禁じなければいけない、という焦りを持ちます。
明言しますが、この焦りは幻想(妄想)ですし、長くは続きません。
自分自身に対して、自己肯定・自己受容を施すことができる時、
人は自分自身にも他者にも、そして、世界にも素直になることができます。
つまるところ、力が入った状態や緊張状態、臨戦態勢では、
真の実力は発揮されませんし、
排他的な意識では、心に安らぎは生まれない、ということです。
以下が、水瓶座で起こる出生前の日食の代表的な要素のまとめです。
- 合理性と非合理性の双方に関心を持つからからこそ、内面に葛藤を抱える
- 論理的・冷静に物事や状況を観察・判断する
- 自由を求め、集団性や組織性を受け入れ、自分が加担することに難色を示す
- 平等や博愛の精神を持ち、差別に対して強い嫌悪感を持つ
- 常に新しい時代を心待ちにする純真さを持つ
- 場所や時間に囚われない、風通しのいい状態を望む
- 束縛を嫌うとともに、他者に対しても束縛をしない
- 冷淡さや薄情さが関係性を希薄・単調なものにする傾向がある
- 浅い関係性を「都合のいい関係性」と解釈する傾向が強い
- 独自的・個性的な主張や表現により、他者を惹きつける
- 現実への反発ではなく、自分の可能性を信頼する意識によって、人生を拓く
- 自分自身と他者を平等に扱うからこそ、自己信頼と自己肯定の度合いによって、影響力と信頼の高さが決まることを認めることが重要となる
水瓶座のルーラーは、土星と天王星です。
古典的には、トランスサタニアンは採用されませんが、
実際に、天王星の発見から、時代は大きく変わっていますので、
天王星の影響を軽視することは、逆に難しいと言えます。
水瓶座の象意には、占星術や宇宙開発などがあり、
魚座の意識に向けて、物質的価値からの脱却が表れています。
そのため、水瓶座で起こる出生前の月食は、
現実に対する反発心や不満が、
「尽きることのない争い」や「肉体に閉じ込められている実感」などから生まれ、
それらを完全に解消することは不可能であることを受け入れることを促します。
これは、魚座に対しても言えますが、
現実や事実を否定したところで、現状に自由や満足感、平穏が訪れることはありません。
そして、物事は変化・発展の途上にある時に、
不満や憤りは軽減されることを体験的に知ることで、
私たちが制約・制限の中で生きる定めにあり、
その枠や拘束的な働きによって、
意志や理想、意志、意図を持ち、
選択と行動を自ら決めることが可能であることを腑に落とすことが重要です。
そうなりますと、水瓶座は、
土星と天王星の両方からの働きかけを受け取っている、と言えます。
これは、蠍座が、火星と冥王星の双方の影響を受けている場合とは、少し異なります。
なぜなら、火星と冥王星は、火と水のエレメントの組み合わせであり、
化学反応的・錬金術的な創造をもたらしますが、
土星と天王星は、土と風のエレメントの組み合わせであるため、親和性が低いだからです。
土のエレメントは、「寒・渇(Cold&Dry)」の組み合わせによって生じ、
冷えて分離させる働きを持ち、地に足を付ける作用を表します。
対して、風のエレメントは、「熱・湿(Hot&Moist)」の組み合わせによって生じ、
熱によって結合させる作用を表します。
風がどんなに強く大地に吹き付けても、
水や火のように、大きな変化をもたらすことはできませんし、
土は宙を舞う風を閉じ込めておくことはできません。
そのため、水瓶座のエネルギーは、
物質性(肉体性)の喜びと苦難を抱えながら、
未だ実現していない理想に向かっていく意志の力を表します。
そのような意志を心に宿した水瓶座の月は、
論理性と情緒のバランスを保つことを苦手とし、
感情・情緒を軽視する傾向があります。
感情や情緒を軽視するのは、
理想と現実のギャップがなかなか埋まらないことを見て見ぬふりをして、
傷つかないようにするためです。
感情や情緒は、魚座によって再び掬い上げられますが、
水瓶座の意識は、山羊座で完成された物質性の後に訪れるため、
理想や目標が宙ぶらりんとなりやすいのです。
これは満月の後に、感情が冷めていくことと似ています。
水瓶座の出生前の月食は、
人生において、明確な理想や目標を持つことだけが誇らしいのではなく、
その都度巡ってくる出来事に対して、
その時々の自分ができる最大限の選択と、
最善の解釈をしようとする自分を認め続けることが、
心に安らぎをもたらし、
過剰な衝動や攻撃性を鎮める特効薬となる、ということを伝えています。
「人生は、長期的に見れば喜劇だが、短期的に見れば悲劇である」とチャップリンが言った通り、
私たちは情動に任せて生きていると、一喜一憂し、
高低差の激しいエネルギーの使い方をして、自信を喪失しやすいものです。
ですから、水瓶座の出生前の月食は、
自分さえも平等に批判し、攻撃する自我意識を制し、
自分にとっての理想の自分になるために、
過去と現状の自分を肯定することを課題とするのです。
出生前の月食 in 魚 座
魚座で起こる出生前の月食が表す課題は、
「現実を肯定すること」です。
魚座は非物質性の働きを象徴し、
無意識の領域にあらゆる情報が保持されていることを表すサインです。
また、魚座は「境界線」や「明確性」の無さを表すサインでもあります。
そのため、魚座の月は、
条件付きの繋りや損得勘定、駆け引きなどへの免疫や耐性が低く、
集団意識から漏れやすく、表層意識を信頼することを苦手とします。
魚座の月食は、
魚座の月が、乙女座の太陽によって照らされることで起こります。
正確には、
乙女座の太陽の光や熱を地球が受け止めることで生じる(地球の)影が、
月を覆い隠す現象です。
乙女座は現実に則した、地に足の付いた意識や自我意識を表しますので、
精神世界や無意識の領域からすると、
乙女座の太陽は、「降り立つべき地点を照らす灯台」のような存在(光)です。
そうなりますと、
魚座の月は、「現実がどういったものであるか」を感情的・抽象的に捉えるのではなく、
実際に体験を通して掴む必要があります。
知識や概念、言葉は、概要や表面を教えてはくれますが、
体験の中身を与えてはくれません。
ですから、魚座の月は、乙女座の意識の光に沿って、
大地を歩き、体感を得ることを課題とします。
魚座は12サインの最後でありながら、
最も非物質的な意識を司っています。
そのため、出生前の月食が魚座で起こる場合、
「人生を主体的に生きる」ということを、
身を持って知ることが最大関心事となります。
ドラゴンヘッド側で魚座の出生前の月食が起こる場合、
自分の都合や感性に合うか否か、快か不快か、という基準ではなく、
「経験が自分を成長させる」という意識を以って、
勇気を出して現実と向き合うことを促します。
言うなれば、「人生に起こってくる出来事を受け止めること」が課題となるのです。
その際、主観が生む思考や、心が反射的に生む感情は、
成長の機会を阻む側面があることを受け入れることも必要となります。
私たちが脳内で抱えている思考や妄想の8割は、非現実的であると言われます。
それは、私たちが、危険からの回避や逃避という古い本能を保持しているからです。
更に言えば、
人類の集合的無意識が、古い時代のままアップデートされていない、
または、物質世界の構造が、恐怖や不足感がベースとなっているのです。
言うなれば、「野生の本能のアーキタイプ(原型)」ですね。
そういった世界の在り様は、
私たちの意志や希望でどうにかなるものではありませんが、
自分の人生や生活において、
「大丈夫である」という確信に似た境地を保ち続けることで、
集合的無意識に変化を与えることができます。
これは、希望的観測ではなく、主体的な意志を掲げ、
人生に責任を持つ姿勢であり、
当事者意識を外面世界に投影する、という選択です。
また、ドラゴンテイル側で起こる魚座の出生前の月食は、
過去の出来事に対する記憶や感情を封じ込めたり、忘却するのではなく、
何が原因であったのかを知り、
反省すべきことを受け入れ、
その体験から得た学びに敬意を持つことを促します。
物事には、常に裏と表があり、
どちらに意識を当てるかは、私たちの選択次第です。
魚座は「忘却」や「融解」という象意を持ち、
現実を生きる上での、精神を安定させる働きがありますが、
人生を懸けて取り組むべき課題を踏まえますと、
苦手なことや勇気が必要なことは、
逆に、受け入れることにより、
成長と発展が訪れることを認めることが必要です。
魚座は、木星と海王星をルーラーに持ち、
現代では、海王星の働きの方が強いと見なされています。
木星の象意として、「一緒くたにする遠心力」や「選好みをしない」という意識がありますし、
それ以上に、木星は崇高な精神性を象徴し、
海王星は木星のハイ・オクターヴの天体と見なされていますので、
魚座の意識である「慈しみ」や「許し」の境地を
木星と海王星が共に表しています。
木星は社会天体ですので、
主体的な選択として、人生の流れを受け入れることで、
意識はより多くの選択肢や気づきを拾い上げることを促します。
トランスサタニアンである海王星は、
無意識の領域で働く天体ですので、
内観や内省により、微細な感覚や直感に対して心を開き、
導きや気づきを得ることを促します。
魚座と乙女座は、
非現実性と現実性の対極性を表すサイン同士であるとともに、
心身の調整と浄化を司るサインでもあります。
月食は満月ですので、
乙女座・魚座の満月・月食の際は、自分の内面を清浄にする作用が高まります。
更に言えば、固執していた思考や感情を手放すことで、
自分を解放し、楽にすることで、人
生の流れと同調しようとする作用であるとも言えます。
そのため、魚座の出生前の月食は、
人生や現実に対する抵抗感や恐怖感を払拭することを命題とし、
生かされている事実や現状を認めることで、
調和のとれた受容性を発揮することを促すと言えるでしょう。
以下が、魚座で起こる出生前の月食の代表的な要素のまとめです。
- 現実を認めることが、精神的な安らぎを生むことを認めることが課題となる
- 感受性・受容性が高いことで、何を指針とすべきかを迷う傾向がある
- 制約・制限による拘束的・強制的な状況や状態を回避しようとする傾向がある
- 身の回りの状況や環境に対して、我関せずというような印象を与える
- 地に足がついていない自分自身を受け入れた上で、何によって現実性や社会性を取り入れることができるかを考え、工夫することが重要となる
- 信頼できる人とそうでない人を見極めることが課題となる
- 妄信的・被支配的になりやすい傾向がある
- 自律心と自立心を持つために、現実的な経験を積み重ねることが重要となる
- 生きている限り、物質的な価値を受け入れ、活用する賢明さを培うことで人生が開き、創造性が発揮される
- 許す力と器量を持ち、慈しみの心によって他者の心に癒しと安らぎをもたらす能力と才能を持つ
- 身の回りを整え、身体を健全にすることが、心地良い環境と暮らしを実現することを認めることが重要となる
魚座は、人間の身体部位で言えば、足先と対応しています。
人は頭脳・知性を持っているからこそ、分別をつけることができ、
二元性の原理に従いながら、
酸いも甘いも噛み分け、清濁併せ呑むことで、
人生を豊かにできることを経験的に体感します。
また、「人が感情や情緒によって物事を決定する」という本能的な働きを肯定することで、
精神性や無意識の領域を整える事の重要性を受け入れることも必要です。
魚座のルーラーである木星と海王星は、
魚座に対して、痛みと癒しの力、裏切りと許す力、
行動と動機がもたらす結果について、
体験的に理解を持つよう促します。
だからこそ、魚座の月は、乙女座の現実主義の意識を受け入れることが重要なのです。
魚座は、同じ水サインである蟹座や蠍座と比べ、
「条件付きの愛」を敬遠します。
条件付きの愛は、心に濁りを生じさせてしまいます。
だからこそ、魚座は「夢」や「幻想」を大切にするのです。
夢や幻想を現実に落とし込む時、
それらは「理想」となります。
私たちは、「与えたものが返ってくる」という法則を、
期待や損得勘定によって曲解してしまう節があります。
この執着や重たいエネルギーが、不足感や欠乏意識を生み、
現実に反映されることで、失望や裏切りを味わいます。
魚座の月食は、現実を受け入れるうちに、
他者比較をすることを覚えてしまうことは自然なことではありますが、
自己卑下や自己憐憫、被害者意識を味わう自分自身の心を労り、
それらを洗い流すことの重要性を訴えるのです。
なぜなら、元々必要の無かった概念や観念を取り込むことで、
私たちの心は穢れ、重たいエネルギーで場所や他者を汚してしまうからです。
等身大の、本来の自分の在り方を受け入れると同時に、
現実世界の仕組みを認め、「死ぬまでは死なない」という境地で、
人生に起こってくる出来事や現象はもちろんのこと、
自分の内面に生まれて来る、
または、外部から入ってくる刺激や影響を受け流すことが重要となります。
このような意識や境地を
他者との繋がりや人生経験で培うことで、
魚座の月は自己救済を成し遂げることができます。
私たちが重要だと判断し、意識するものにエネルギーは宿ります。
そうであるならば、私たちは自分の意志の下、
自分自身と現実の双方を清らかに、健全に捉える意識が、
より善い人生を創造すると言えます。
魚座で起こる出生前の月食は、
現実に降り立った半霊半物質の存在である私たちが、
現実を受け入れることから逃げず、
だけれど、非物質的な心や精神性、閃き、直観、霊感、感性を軽んじることなく、
その時々の「今この瞬間」を受容するということが、
生命の力が持つ無限の力であり、包容力であることを伝えています。
ですから、現実を過剰に恐れず、自分自身を軽んじることはせず、
目に見える眼前の世界を優しい眼差しで眺めてください。
時は常に流れ、心も常に移り変わり、思考も感情も、私たち自身ではなく、
刹那的に生まれては力を開け放っていくものであり、
私たちは人生の流れに沿って、
淡々と、だけれど、真摯に生命の働きを感じようとする時に、
内面を整える意識を讃えるかのように、
太陽は眩い光で温め、照らしてくれるのですから。
ヴァイア・コンバスタ(Via Combusta):天秤座15度~蠍座15度
12サインには、特異な領域があるとされます。
伝統占星術(古典占星術)では、ヴァイア・コンバンスタといって、
月が天秤座15度~蠍座15度の位置にある時、
精神的に危うい状態に陥る、という解釈を提示しています。
ヴァイア・コンバスタは、「焼失の道」と呼ばれます。
物は熱を吸収することで柔らかくなり、また、膨らむという物理法則があります。
これを概念的・精神的な変容に置き換えますと、
月が特定の領域において、宇宙から変容の光を浴びる、
という風に解釈することができます。
「熱」は、太陽からの直接的な光かもしれませんし、
他の天体が吸収・反射した光かもしれません。
天秤座では、自我意識よりも他者への意識が強くなり、
再度自分自身を取り戻すために、他者と精神的な繋がりを得ることで、
自我意識の生まれ変わりを経験することになります。
そのため、天秤座のピークの15度~蠍座のピークの15度では、
「自我意識の喪失」が経験されることから、月(心)にとっては脅威となるのです。
蠍座は、冥王星により「変容」の意識を与えられています。
天秤座によって培われた社会性に触発され、意識を広げるために、
脱皮(変容)が必要となるのは、自然の摂理と言えるでしょう。
身体部位で言えば、天秤座は腰回り、蠍座は生殖器に対応し、
ヴァイア・コンバスタの影響を受ける月は、
「血を流すこと」や「感情的になること」にまつわるトラブルや不運を引き受ける、
という見方をされる場合があります。
そのためトランジットの月がヴァイア・コンバスタの領域にある場合には、
想定外の影響を受ける恐れがある、という風に解釈される場合があるのです。
月以外の天体は、この領域に位置していても何ら影響は無いため、
いかに月(心)が重要であるかが分かります。
太陽は、天秤座でフォールの品格 / 品位となり、月は蠍座でフォールとなるため、
ルミナリーズ / ライツである月と太陽は、
天秤座と蠍座の意識・エネルギーにおいて、本来の力を発揮できないのかもしれない、という説もあります。
ネイタルチャートの月の位置も重要ですが、
プログレスチャートとソーラーアークチャート、
そして、トランジットチャートの月が
天秤座15度~蠍座15度を運行するタイミングを知ることで、
不可避の影響を受けやすいタイミングを想定することができます。
特に、プログレスの月のサイクルで、
天秤座15度~蠍座15度の領域に位置する時期は、
自我意識の喪失、いわゆる、アイデンティティ・クライシスを経験する場合があるかもしれません。
月が位置するサインで、特徴的な要素ですので、補足として解説させていただきました。
涙の度数 / 運命の度数:サインの29度
12サインは、それぞれ30度の度数を持ちます。
サインは、15度をピークとし、度数を前半と後半を二分したり、
0~10度、10~20度、20~30度とサインを三分割(デーク)にしたりと、
色々な見方や分析をすることができます。
天体がサインを運行する際、
どんなに運行スピードが遅い天体であっても、常に動き続けているわけですから、
同じ度数にピッタリ滞在し続ける、ということはありません。
そのため、ホロスコープで表示されるサインの度数は、
「〇〇’〇〇”」というように、分と秒が表示されます。
これは、新月と満月、日食と月食のタイミングも同様で、
太陽と月の度数がピッタリ重なる瞬間は一瞬限りで、
次の瞬間には、月は太陽を追い越してしまう、という時間の流れを掴むことが重要です。
何が言いたいのかと言いますと、
天体が位置する度数と、そのサインのエネルギー意識は、変わり続け、
天体がサインから影響を受ける期間は限られる、ということです。
そして、天体が次のサインへと移動しようとする際、
特に29度において、意識・エネルギーの切り替わりのための準備が始まります。
そのため、サインの29度を日本では「涙の度数」、
海外では「運命の度数」と呼ぶことがあるようです。
本講座で繰り返しお伝えしていることですが、
12サインは、男性星座と女性星座の並びが繰り返されていますので、
前後のサイン同士は対照的、対向のサイン同士は対象的な位置関係を持ち、
サインの意識を切り替えたり、保ったり、助長したりします。
これは、ホロスコープにおいて、天体が主役である、という理解が前提です。
涙の度数は、特に、蠍座29度で顕著に見られる影響とする解釈もあれば、
すべてのサインにおいて、29度は感情的な揺れを感じやすい、とする説もあります。
重要なことは、
天体がサインの意識を脱ぎ去ろうとする時、
自我意識も引きずられて、心に恐怖心や抵抗感が生まれる、ということです。
月に焦点を当てますと、外的な刺激や、無意識的に不安を覚える時は、
物質性と精神性の違いでいえば、受容性・感受性が高まりやすいのは、水サインです。
蟹座・蠍座・魚座の3つのサインは、
特に、自分の感情と、他者・世界との繋がりを重視し、
関係性の中で生まれる働きに影響されやすい性質を表します。
特に、トランジットの月とプログレスの月が、
水サインの29度を通過しようとするタイミングと時期に、
どのような体感・予感・感情・衝動を覚えるかを、過去を振り返って分析し、
今後の月が受け止めることになる影響を想定することは、
天体の挙動と自分自身の心の相似性を俯瞰して捉える練習となります。
ですので、ホロスコープ・リーディングをする際は、
記録を取ることが重要です。
ヴァイア・コンバスタと同様に、
月が天体やサイン、ハウスからあらゆる影響を受け取る器であることを
涙の度数(サインの29度)の観点から解説させていただきました。
サビアン・シンボルからテーマと課題を知る
サビアンシンボルについては、未だ解説記事を設けることができていませんが、
ここでは、簡単な解説を付き加えたいと思います。
サビアンシンボルは、
牡羊座0度~魚座360度のすべての度数に与えられた、360つの象徴・メッセージです。
すべての象徴・メッセージは、
チャネリングによって降ろされ、言語化されたもので、
解釈は受け手に委ねられますが、
サインの原理を踏まえて読むことで、解釈が大幅に変わることはありません。
出生前の日食と月食が起こるサインの度数が、
どのようなサビアンシンボルと対応し、
どのような象徴・メッセージが、人生のテーマと課題を表しているのかを知ることは、
1つの判断材料になります。
あくまで、一人の人が降ろし、表現したものですが、
その解釈を大勢の人が認識し、受け取っているため、
人類の集合的無意識に刻まれている、という見方ができます。
サビアン・シンボルは、現代占星術でのみ採用され、
すべての人に当てはらない可能性もありますし、
オカルティズムを持ち込みたくない場合は、
サビアン・シンボルを採用したくない、という気持ちも自然なことだと思います。
ただ、実際に世界中で採用され、活用されているという事実を否定することはできませんので、
判断材料やイマジネーションを働かせるトリガーとして活用することは、
非常に有益ではないかと思います。
出生前の日食と月食は、
出生する前から影響を与えている月と太陽のメッセージですので、
サビアン・シンボルの感覚や象徴から、
自分だけの抽象的な感覚を言語化することをお勧めします。
サビアンシンボルは、
天体が位置するサインの度数を繰り上げた度数を採用するのが一般的です。
先ほど、新月や満月のタイミングが一瞬であることをお伝えしたように、
あらゆるホロスコープに示される天体のサインの位置は、
動き続けている中の瞬間を切り取った位置(座標)です。
そのため、天体が位置するサインの度数をそのまま採用する場合と、
1つ繰り上げた度数を採用する場合では、
天体の意図や、天体とサインの関係性の他、
サビアンシンボルによる象徴・メッセージが異なります。
本講座では、天体が位置するサインの度数のサビアンシンボルと、
度数を1度繰り上げた度数のサビアンシンボルの両方を採用することをお勧めします。
なぜなら、「時間」によって生じる「変化」は、
前後の関係性を読み取ることによって、必要な気づきを与えるからです。
また、どちらのシンボルが状況に合っているか、
もしくは、時間を経ることで、
マッチするシンボルが変わる(次のシンボルに移行する)という判断や感覚が得られる場合も許容・想定した方が、
リーディングにゆとりが生まれます。
特に、ネイタルチャートの天体は、
サインの度数から、1度先のサインの度数のシンボルの象徴やメッセージに向かっている、
という風に捉えると、
天体の意図と私たちの意識の変化を言語化しやすくなります。
繰り返しになりますが、
サビアンシンボルは、あくまで1つの判断材料ですので、
採用するもしないも、その時の気分や判断で決めていいものだと思いますし、
腑に落ちない場合は、自分の感覚を優先することも大事です。
ネイタルのドラゴンヘッドとドラゴンテイルの理解を深めるために、
出生前の日食と月食に対応するサビアンシンボルを採用してみてはいかがでしょうか?
今後、時間はかかりますが、
サビアンシンボルの解説記事を執筆していく予定ですので、楽しみにしていてくださいね!
出生前の日食・月食は、運命をどのように捉えるかを決定する
今回は、前回の講座以上のボリュームで、サインの基本知識とともに、
出生前の日食と月食について、サイン別で徹底解説をさせていただきました。
出生前の日食と月食は、
ネイタルのドラゴンヘッドとドラゴンテイルとそれほど変わらない位置にあるため見過ごされがちですが、
人によっては、大きな気づきが得られる場合があります。
特に、ドラゴンヘッドが位置しているサインで、ドラゴンテイル側で日食や月食が起きている場合や、
逆に、ドラゴンテイルが位置しているサインで、ドラゴンヘッド側で日食や月食が起きている場合など、
様々なケースが考えられるため、総合的なリーディングが必要だと思い、
今回のような濃密な解説をさせていただきました。
出生前の日食は、太陽と月の関係性により、
地球に降り立った私たちの自我意識と心に対して、人生スケールで影響を与えます。
そのため、ネイタルチャートのリーディングの精度を高めようと際に、記憶は無いけれど、
母胎の中で、人生の方向性を決定づける日食と月食の影響を受けていたことを知ることで、
より俯瞰して人生を捉え、先天的な心の構造や心の扱い方、
そして、人生がもたらすテーマと課題を知ることができます。
本講座では、ネイタルチャートのリーディングは、一生を懸けて取り組むべきであり、
知識を増やし、感覚や感受性を高めるほどに、
ネイタルチャートから引き出せる情報や気づきは多くなる、とお伝えしています。
出生前の日食と月食は、私たちの人生に通っている運命の流れとともに、
自分自身のありのままを受け入れる受容性、
そして、創造的に生きていくための指針となります。
是非、ご自身のネイタルチャートのリーディングはもちろんのこと、
お知り合いの方のリーディングにも出生前の日食と月食を盛り込み、
精度の高いリーディングを追求していってくださいね!
大変長い記事になりましたが、
今回も、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!
次の「ルナリターン・月回帰」の記事でお会いしましょう!
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