「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!
いつも記事を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。
今回の記事では、「プログレス(進行)の月」について解説させていただきます。
占星術の素晴らしい技術・特徴の1つに、「未来予測(未来予知)」があります。
これまでの本講座では、主にネイタルチャートの解釈について解説してきました。
出生図(ネイタルチャート)は、人生の縮図ともいえるホロスコープで、
- どのような人生を歩むのか
- どのような能力・才能を与えられているのか
- どのテーマや分野が強調されている人生なのか
- どのような苦手意識が与えられているのか etc
沢山のヒントと気づきが詰まっています。
ただ、ネイタルチャートは、人生の根幹を示してくれますが、
現在や未来のタイムラインにおける天体の配置を見る際には、
トランジットやプログレス、ソーラーアークのホロスコープを活用することになります。
プログレスやソーラーアークのホロスコープを活用しますと、
出生日から時間を早送りするようにして天体の配置を変えて、
現在や未来の状況を占断することができます。
プログレス・チャートやソーラーアーク・チャートについては、
別の記事で詳しく解説させていただきますが、
今回は、月のサイクルをテーマに、プログレスチャートの解説をさせていただきます。
プログレスの月は、人生の中でどのステージを進んでいるのかを教えてくれますので、
是非、ネイタルチャートの理解を深めるためにも、
プログレスチャートの活用する際にお役立てください!
月のサイクルで長期的な人生の流れが掴める!
今回の記事のタイトルに「人生の大枠の流れを知って安心感を得よう!」とつけた理由は、
人生や現実が思い通りにはならないことで、私たちが不安になったり、疑心暗鬼になったりして、
自信を失ったり、何かに挑戦する意欲を失ってしまったりすることが少なくなく、
もし、何かしらの指針が与えられたら、
人生がどんなに未知の出来事の連続でも、
少なからず安心感が湧くからだと考えられるからです。
占星術は、決して「正解」を教えてはくれませんが、
心の支えとなってくれます。
様々な場面で心の支えとなるものはありますが、
私たちが自分自身を信頼できるようになった時、
「自分に頼る」という自己信頼の意識によって、肯定的に人生を歩むことができます。
その肯定的な視点は、私たちが自分自身で育てるしかありません。
ですが、私たちには占星術があります。
本講座において、月は、私たちの「意識の器(心)」と定義しています。
私たちの意識や霊魂といった非物質的な働きが物質次元で活動するためには、
「箱」や「器」、「枠」が必要です。
占星術では、私たちの物質的な存在の中に宿るものを心とし、
その心を司る天体を月としています。
そして、月は、私たちの人生の時間と生死に関わる天体でもあり、
占星術では、人生のサイクルを表す天体でもあるのです。
天体の概要についてはこれまで何度もお伝えしてきましたが、
月は最も重要な天体ですので、プログレス・チャートを理解する前に、
おさらいも兼ねて解説させていただきます。
プログレス・チャートとは?
プログレス・チャートとは、「1日1年法」とも呼ばれるホロスコープです。
特定の年(年齢)のホロスコープを作成したい時に、出生年を0年として、作成したい年月分を足します。
出生年のホロスコープの1日後は、1歳の時のホロスコープになる、という考え方です。
プログレス(progress)は、「前進する」や「前に進む」という意味です。
時間を進ませることで、出生図の天体を進ませるから、
プログレスのホロスコープというわけですね。
占星術に携わる中で、
「人生に起きる出来事はすべて決められている」
という決定論・宿命論をベースにした価値観を持つ人もいれば、
「人生の大まかな道筋は決まっているものの、選択によって遭遇する出来事は変化する」
という相対的運命論を採用する人もいます。
占星術の観点では、どちらかと言えば、
「正しい占断をすれば、人生の明確な道筋が分かる」という立場が自然といえるかもしれません。
問題は、占断をする私たち側の解釈が間違っていたり、歪曲していたり、といった点です。
そのため、伝統占星術(古典占星術)であっても、現代占星術であっても、
「未来を覗き見する」というような、確定的な判断は極めて困難と言えるでしょう。
とはいえ、先人の努力や研究によって、未来予測の技法が継承されてきました。
一般的に知られている未来予測の技法は、3つあります。
そのうち2つの技法は、
ネイタルチャートを軸にするため、2大チャート進行法とも呼ばれます。
- プログレス・チャート(進行図):1日1年法①
- ソーラーアーク・チャート(太陽弧進行):1日1年法②
- トランジット(経過):現行(リアルタイム)の天体の動き
プログレス・チャートは、1日を1年に換算し、
天体がホロスコープ上を進む速度をそのまま適用させます。
そのため、運行速度が遅い木星以降の天体は、プログレス・チャートではあまり動きません。
なぜ、1日を1年に換算するのかと言いますと、
自然の摂理(リズム)では、太陽が1日約1度サインを進み、
ホロスコープ上でも1日につき1度進むからです。
そこで、ソーラーアーク・チャートでは、太陽だけでなく、
すべての天体の速度を1日(1年)で1度進ませます。
そして、トランジット法は、
リアルタイムの天体の運行スピードをホロスコープに反映する方法です。
プログレスとソーラーアークのホロスコープは、
ネイタルチャート天体の動きを進ませるわけですので、
出生図の持ち主の人生に限定した影響が示されるわけなので、
「バイオリズム」や「体内時計」といった表現がされます。
プログレスとソーラーアークをネイタルチャートと重ねて、
二重円・三重円にすることで、より深いリーディングを行うことができます。
特徴としては、
ネイタルの天体とプログレスとソーラーアークの天体のアスペクトのオーヴは、
1~2度以内という極めて狭い範囲で採用する、という点が挙げられます。
また、ソーラーアークは、すべての天体を1日1年進めるという前提は、
「天体の逆行を除外する」という点を憂慮する必要があります。
対して、トランジット法は、
リアルタイムの天体の運行状況を反映しますので、外的な影響を示します。
トランジットの天体がネイタルの天体とアスペクトを形成する際は、
ネイタルチャートのように、いくらか広くオーヴを取るところが特徴です。
*今回はプログレスの月の解釈をテーマにしていますので、
プログレス・ソーラーアーク・トランジットについて詳細は、
別の記事で詳しく解説させていただきます。*
さて、月はプログレス・チャートでは、約2~2年半でハウス・サインを1つ移動するのに対して、
ソーラーアーク・チャートでは、30日(30年)でハウス・サインを1つ移動します。
これは大きな違いですね。
先ほどお伝えした通り、
月も太陽と同じ運行速度でホロスコープを移動するソーラーアークは、
地球にとっての衛星という立場ではなくなってしまいます。
そのため、人によっては、
個人天体である月・水星・金星・太陽・火星はプログレスを使い、
木星以降の天体はソーラーアークを使う、という風に、使い分けがされる場合があります。
従って、本講座、また、本記事では、「人生の流れ(リズム)」という観点では、
ソーラーアークの月ではなく、月の満ち欠け(29.5日)に準じたプログレスの月を採用します。
プログレスの月のサイクル
月のリズムは、2つあります。
1つ目は、月の満ち欠けの29.5日周期です。
これは、プログレス・チャートにも適用されるリズムです。
2つ目は、ホロスコープ上を進む約2~2日半の運行スピードです。
太陽系の中で、月は最も運行速度が速い天体で、
地球を中心としたジオ・セントリックのホロスコープでは、
トランジットの月は1つのサインを約2~2日半で移動します。
月がホロスコープを一周するスピードは、
約27日弱で、プログレスのホロスコープを一周します。
この月のサイクルを1日1年法(プログレス)に置き換えます。
サイン・ハウスは30度の度数(幅)があり、
プログレスの月は1ヶ月に約1度ずつ進みます。
そのため、プログレスの月は約2~2年半でハウス・サインを移動し、
ホロスコープを一巡するのに、約27~29.5年かかります。
今回のテーマである「人生の大枠の流れ」は前者の29.5年周期です。
約29年と言えば、土星回帰(サターン・リターン)が思い出されますね。
月と土星は「時間」を司りますので、
人生の大枠の流れを見る際は、月と土星の両方を見ることが重要です。
*プログレスの月のサイクルを約27年や約28年とする場合もあるようですが、
本講座では29.5年周期を採用しています。*
プログレスの月で令和の日本の流れを垣間見てみよう!
プログレスやソーラーアークのホロスコープは、ネイタルチャートの天体を進ませます。
「心」と「時間」を象徴する月がハウスとサインを移動する時、
明らかな変化を実感することができる、とするのが未来予測です。
例として、令和元年(2019年05月01日)のホロスコープと2024年04月09日のプログレスの二重円を挙げてみます。
令和元年のホロスコープでは、月は3ハウス@魚座03度に位置しています。
このホロスコープの詳しいリーディングはまた別の機会にさせていただきますが、
2019年から約5年が経ったプログレスの月の位置を確認してみましょう。
プログレスの月は外円の緑色で示されています。
3ハウス@魚座から、5ハウス@牡牛座に移っていることが分かります。
また、度数を度外視しますと、
太陽と月はコンジャンクションとなっていて、
プログレスの新月から時間が経て現在に至る、ということが分かりますね。
画像には出していませんが、
3ハウス@魚座から4ハウス@牡羊座に移ったのは、
2020年03月末頃で、丁度コロナが本格化した頃です。
3ハウスは近隣を表しますので、行動の自由があったものの、
海王星の影響で、翌年には月が4ハウスに移り、
ここから2年半ほどは身動きが取れない状況で、
牡羊座が象徴する情熱が抑え込まれていたのが、日本の状況であった、
という風に見ることができます。
そして、2024年04月09日(牡羊座新月)の頃には、
プログレスの月は、5ハウス@牡牛座に移動しています。
月は牡牛座でイグザルテーションとなり、
5ハウスは創造性や喜びを象徴する場所ですので、
自国の豊かさを盛り立てる動きが水面下で進んでいる、という見方ができます。
国内情勢はどう見ても厳しい状況が続いていますが、
未来から振り返った時、
「伏線が回収された」や「諸外国の影響を支配ではなく、栄養とした」
というようなシナリオになったらどんなに喜ばしいでしょうか。
プログレスの太陽は、令和元年のMCと1度違いのオポジションを形成していますので、
令和の時代が本格的に始まるのは、ここ数年が正念場となる、という見方もできます。
ホロスコープは、地平線を境に、昼の世界と夜の世界に分かれます。
これをセクトと呼びますが、木星以外の天体はすべて北半球に位置しています。
木星と火星はアヴァージョンの6・12ハウスに位置していますので、
令和時代の日本は、「輝かしいリーダーシップ」を発揮するような立場ではなく、
他国からの影響を受け止めるような立場を貫いていくのかもしれません。
続いて、2024年11月20日に冥王星が水瓶座を本格的に運行する時のプログレスの月を見てみます。
奇しくも、プログレスの月はアヴァージョンの6ハウス@双子座に移動しています。
今年の11月からプログレスの月はプログレスの火星に接近していくことになります。
次の7ハウス@蟹座に移る前に、12ハウス@射手座とはオポジションを形成します。
2027年は、天王星が牡牛座から双子座に移り、
土星と海王星が魚座から牡羊座に移っています。
出生図・進行図・経過図をすべて組み合わせると、以下のような画像になります。
月は国民を表し、太陽は主権を表します。
2027年のプログレスの月は、蟹座でドミサイルの品格 / 品位を得て、
地平線から登っていきますので、国民の力が増すことを示す、という見方ができます。
プログレスの月は、人生の流れ・サイクルを示し、
ハウスとサインを移動する際は、内面だけでなく、環境も変わります。
令和元年を出生図として、現在や数年後の未来の天体の配置を見ることで、
令和の日本の今後を見ることができることをお見せしました。
では、月がハウス・サインを移動する時、
どのような出来事が起こるのか、という具体的な解説をさせていただきます。
プログレスの月のハウス移動
ハウスは、実際の出来事や状況を表します。
まずは、ホロスコープの全体像をおさらいしたいと思います。
ホロスコープは、地平線を境に南半球(上部)と北半球(下部)に分かれます(セクト)。
天体が南半球から北半球に移る際、その天体は「下降」の流れにあり、
逆に、天体が北半球から南半球に移る際、その天体は「上昇」の流れにある、という風に考えます。
ASC/アセンダントとDSC/ディセンダントは、
プライマリー・モーションの時計回り(右回り)の上昇の方向を示しますが、
天体の運行が北半球から南半球へと昇る流れ、
セカンダリー・モーションの反時計回り(左回り)とは異なりますが、
「日の目を見る」という点では共通しています。
そのため、あらゆるホロスコープで、天体が地平線の上か下に位置しているかで、
その天体の働きが個人的で、水面下で働くのか、社会的で、日の目を見るのか、
という大別がされます。
特に、プログレスの月が南半球へ向かってハウス・サインを移動する際は、
社会的・対外的な変化を体験する、という見方をします。
逆に、プロgレスの月が北半球へ向かってハウス・サインを移動する際は、
私生活や休養、準備期間などに入ることを示します。
次に、天頂と天底を結んだ時、「主体」と「客体」という対極軸が引かれます。
それは、敵と味方という区別ではなく、
「私」と「あなた」や、「自我意識」と「他者意識」という風に、
存在・個体の違いとその世界観、意識の違いに大別されます。
10~3ハウスの東半球は、自分の意識や裁量の範囲・領域を示すのに対して、
4~9ハウスの西半球は、他者の意識や集団性の意識が影響することを示しています。
そうして縦軸と横軸を引くことで、ホロスコープは4つのブロックに分けられます。
ホロスコープを四分割することを「クワドラント」と呼びますが、人間の成長過程を四季に例える場合もあります。
プログレスの月が第1・2クワドラント(北半球)を運行中は、約14年間とされ、
この時期は能力開発や成長過程として、下積み時代を経験することになり、
DSCを昇って、第3・4クワドラント(南半球)を進行する毎に、
日の目を見る体験や成果を得る体験をした後に、
次のサイクルの準備の準備に入っていく、という流れがあります。
ただ、ハウスの原理としては、下の画像が忠実な区分けとなります。
1・4・7・10ハウスは、アンギュラー・ハウスと呼ばれ、ホロスコープを四分割します。
ですが、「アングル」とは「頂点」を表しますので、
アンギュラー・ハウスの左右の2つのハウスと合わせて1セットと考える必要があります。
例えば、1ハウスと2ハウスは地続きのように考えられますが、
3ハウスは自分自身の環境だけではなく、兄弟姉妹や近所、小旅行なども表しますので、範囲が異なります。
そのため、無意識・魂の世界である12ハウスから、
物質世界に昇ってくる形で1ハウスが頂点となり、
2ハウスの物質的な成長や価値、豊かさ、執着、所有などに発展する、と考えると自然です。
なぜ、ハウスの原理を持ちだしたのかと言いますと、
単に天体がハウスを移動する、というだけでなく、アングルを頂点とした時に、
どのハウスに天体が移動することで影響力を持つのか、ということが重要だからです。
アングルに昇ろうとする場所である12・3・6・9ハウスは、
最も影響力が弱い場所(カデント/ケーデント・ハウス)です。
ただ、伝統占星術(古典占星術)では、
アヴァージョンの2・6・8・12ハウスに位置する天体は働きが封じ込められる、としています。
これら2つの観点で、6・12ハウスが被っていることが分かります。
6・12ハウスは、最も日(光)が当たらない場所である以上に、
自分の力(自我意識)が無力化・無効化される場所です。
そのため、プログレスの天体が6・12ハウスに移動する際は、
その天体の働きが鈍くなることを覚えておく必要があります。
逆に、6・12ハウスから7・1ハウスへと天体が移動する際は、
その天体の働きが活性化する、
もしくは、他者との繋がりによって息を吹き返す、という働きをする、ということでもあります。
天頂はホロスコープの最上部を意味し、MCを意味するわけではありませんので、
ホロスコープを単純にアングルのハウスカスプで十字に切って、四分割する、という見方は、
絶対的な指標とはなりません。
地平線によって二分化され、天頂と天底によって二分化されることと、
ハウスの原理がイコールとならない、というのは何とも苦々しく、スッキリしませんが、
異なる要素が重なり合ってホロスコープが複雑に構成・成立していることを知っていただければ幸いです。
ハウスの説明が長くなりましたが、
月だけでなく、天体がハウスを移動する際は、
以下のようなテーマ・状況に着目することになります。
プログレスの月は、約2年半でハウスを移動します。
当たり前ではありますが、
すべての人のネイタルの月が1ハウスに位置しているわけではありません。
そのため、ネイタルの月の位置をプログレスの月で動かすことによって、
「初期設定の始まり」としての種は、それぞれのハウスに植えられていることになります。
例えば、ネイタルの月が1ハウス以外のハウスに位置している場合、
プログレスの月がホロスコープを回り、
1ハウスに到達するタイミングで、新たな計画(流れ)が始まる、
という考え方をする必要があります。
ネイタルの月は、あらゆるホロスコープの土台となり、
あらゆる天体からの意図を受け取る受容体の役割を担いますので、
最終的には、プログレスの月がどのハウス・サインを運行しようと、
すべての学びと歩みは、ネイタルの月のハウス・サインにその経験値は還元され、
太陽を輝かせるエッセンスとなることは変わりません。
ですから、ネイタルの月が1ハウスに位置していないことや、
アヴァージョンのハウスに位置していること、
他の天体から離れて、シングルトン(孤立した)天体であっても、何の心配もありません。
プログレスの月のサイン移動
ホールサイン・ハウスシステムは、ハウスとサインの度数(幅)がイコールであるため、
プログレスの月の移動はすぐに分かります。
ですが、プラシーダス方式となりますと、インターセプト・ダブルハウスが生じますので、
プログレスの月のサイン移動は、ハウスとは一致しないことがほとんどです。
本記事では、ホールサイン・ハウスシステムのホロスコープのみを言及していますが、
プラシーダス方式であっても、考慮すべき点はそれほど多くありません。
- サインカスプ:0度に乗った時点から、サインの影響を受ける
- ハウスカスプ:5度前ルールを適用する場合、
ハウスの0~5度は、前のハウスのテーマの影響を引継ぎ、
ハウスの25~30度は、次のハウスのテーマの気配を持つ - プログレスの場合、アスペクトは1~2度をオーヴ(許容範囲)とし、
サインを超える場合は、原則的にアスペクトは成立しない - サインにインターセプトされているハウスは、サインが強調され、
ハウスにダブルハウスとなっているサインは、ハウスが強調される
プログレスの月が次のハウスに移ったとしても、サインが変わらない場合は、
同じエネルギー・意識のまま、次のテーマに取り組む、という見方が一般的です。
以下の表は、12サイン別に、
プログレスの月がサイン移動した際のテーマを表にまとめたものです。
プログレスの月がサインを移動する時、
前のサインのエネルギーと反発する作用はあるはずですが、
未来予測の観点では、その影響はネイタルの月が受けるもので、
プログレスの月自体は、その作用によって影響は受けません。
言い方を変えますと、ネイタルの月が移動するのがプログレスの月なのですから、
プログレスの月のサインが掲げるテーマ性と、サインとの相性は、
ネイタルの月との関係性で考える、ということです。
もちろん、プログレスの月が進行していくことで、
体験することになるテーマ(ハウス)と発揮していく意識(サイン)は変わっていきます。
ですが、根本の月はネイタルが核となっていますので、
異なる環境においても心理構造・心理パターンは変わらないものの、
対応力・適応力がついてくる、という解釈が、
個性の尊重と柔軟性の獲得という成長に相応しい表現といえるでしょう。
ネイタルの月の月相
ネイタルチャートの月の状態を深く知ろうとする時、
出生時の月相と月齢を導き出したくなるものです。
出生のタイミングの月相と月齢は、
自然界のリズムと共振することで生まれる、月の形と心の特性を意味します。
生まれながらにして授かっている心の特性は、
私たちの生涯に絶大なる影響を持ちます。
月相は、地球から見える、
月が太陽光を反射して輝いて見える部分の形状を意味します。
また、月齢は、新月からの経過時間を日数で表したものです。
月相と月齢は連動してはいますが、
月の軌道が楕円状になっているため、常に一致するわけではありません。
ネイタルの月が位置するハウスとサインによって、
月の満ち欠けに連動して、身体的な変化を感じる人と、そうでない人に分かれます。
特に、月や金星、海王星といった女性天体・受容性の高い天体の働きが強まるハウスは、
4・8・12ハウスの「終末のハウス」ではありますが、サインとの兼ね合いもありますので、
これら3つのハウスに限定されることはありません。
月は蟹座を支配・守護するため、水のエレメントのサイン(蟹・蠍・魚)に位置している場合に
、感情や情動、同情や共感、無意識の繋がりといった面が特に強調されます。
そして、ネイタルチャートで海王星とのコンジャンクションしている場合は、
受容性・感受性が高まり、霊媒体質やHSPといった、非物質的な性質が助長されることが多いといわれています。
月の満ち欠け・8つのフェーズ
月は、新月~新月を1つのサイクルとします。
以下の表は、月の8つのフェーズを示したもので、月相と占星術上の8つのテーマと対応しています。
月相は本来、28分割の月の満ち欠けを意味しますが、
占星術では、分かりやすい起点である8つの月相が採用されています。
プログレスの月自体は、満ち欠け・月相を示しませんが、
上記に挙げた8つのフェーズは、私たちの人生の流れとマッチします。
それは、「進行の新月」を知ることで納得がいきます。
進行の新月:新月のサイクルの始まり
プログレス(進行)の月のサイクルが29.5年ということはお伝えしましたが、
そのサイクルがいつから始まるのか?ということについては、未だお伝えしていませんでした。
「サイクルの始まり」と言ったら、出生日を0(始まり)とする、と考えがちですが、
ホロスコープを作成し、実際に見たら分かるのですが、
個人の人生は自然の流れの中で始まりますので、
出生日のタイミングは必ずしも新月とはなりません。
むしろ、新月のタイミングとズレた月のフェーズであることの方が多いかもしれませんが、
「自然のサイクルの中で人生が始まる」という表現は、
私たちが大宇宙の構成要員である、という感覚で納得できる節があります。
それでは、本記事で既に取り上げました、令和元年のホロスコープを例に出して説明させていただきます。
Astrodienstでのホロスコープの出し方になりますが、
「チャートタイプ」の項目から「出生図と進行の新月」を選ぶことで、新月が始まる日時が分かります。
以下の画像は、
令和元年のホロスコープに進行の新月(プログレスの月のサイクル)を掛け合わせた
二重円を作成する際のオプションの選択画面です。
チャートタイプで出生図と進行の新月を選択し、
「クリックしてチャートを表示」というボタンをクリックしますと、
以下のホロスコープが作成されます。
令和元年は2019年05月01日から始まりましたが、
令和元年時点での月のフェーズは、新月の前のフェーズである「鎮静月」であり、
元号改正の4年後に新月のフェーズに移ったことが進行の新月のホロスコープから分かります。
令和という元号に込められた意識が本格的に始まるのは、
画像で青い下線を引いてある日付の2023年08月26日から、という解釈ができます。
そして、約29.5年後の2053年02月13日まで、この流れ(新月のサイクル)は続いていきます。
元号が改正された時点では、前の元号から引き継がれた意識やエネルギーの影響があり、
次のサイクルに移行するまでに数年を要した、という解釈ができるわけですね。
別の言い方をするならば、平成の時代から方向転換をするのに、
数年がかかり、助走や充電期間を経て、2023年08月から本格的に令和の時代が始まる、となるでしょうか。
奇しくも、2023年07月18日には、ノード軸が牡牛座 – 蠍座の対極軸から、
牡羊座 – 天秤座に移行しましたので、宇宙の仕組み(リズム)は非常に精妙だと思ってしまいます。
ちなみに、ノード軸(ドラゴンヘッド – ドラゴンテイル)は、
ホロスコープを天体とは逆回りの方向で回ります。
そのため、牡羊座 – 天秤座の対極軸の次は、魚座 – 乙女座のラインへ移行し、
2024年時点のノード軸は、来年2025年01月12日以降は、
魚座 – 乙女座ラインの「調和」や「調整」のために、
「自主性」や「主体性」と、
「受動性」や「大衆性」の対立と融合のエネルギー・意識の流れを汲んでいるといえます。
今回のホロスコープの場合は、4年という比較的短い期間でしたが、場合によっては、
新月のサイクルの中間地点である満月が起点(出生のタイミング)となる場合もあるでしょう。
*再び元号が変わる可能性を排除し、新月のサイクルが29.5年間続く、ということを説明しています。*
ですから、ネイタルチャートを深堀りする際、
出生図と進行の新月の二重円のホロスコープを出し、
出生のタイミングのプログレスの月のサイクルがどのフェーズにあるかを知り、
次に、現在はどのフェーズにプログレスの月が進行しているか、ということを確認することで、
ハウスとサインの表にまとめましたテーマや体験することになる出来事、実現したい欲求や願望が分かります。
是非、進行(プログレス)の月と新月をセットで出して、人生の大枠の流れを知り、現在位置を把握してみましょう!
マラソンを走る際、ゴール地点が分からない、分岐点が分からない、補給所が分からないとなると、
走る道に慣れている場合を除いて、常に不安がつきまとい、
走ることに集中することができなくなります。
プログレス・チャート、並びに、プログレス(進行)の月と新月は、
私たちの人生の大枠の流れを示してくれますし、
ホロスコープに示される要素は、高確率で過去と現状にマッチしていますので、
安心感と納得感が得られます。
プログレスの月はハウスで状況を示す
プログレスの月の移動は、ハウスがメインで占断することが多いです。
なぜなら、サインは「意識」や「エネルギー」という目に見えない感覚的なものなので、
人によっては、プログレスの月のサイン移動が明確に分からないことがあるからです。
また、プラシーダス方式をはじめとした、サインとハウスがズレるホロスコープでは、
尚更サインをそのままに、ハウスを移動する場合がありますので、
サインを先行してプログレスの月を読む、ということは簡単ではない、とも言えます。
ハウスは「現実」や「状況」、「出来事」を象徴しますので、
プログレスの月がハウスを移動する際は、実際的な変化を体験することになります。
「状況」や「流れ」は、言ってしまえば「運命」と表現することができます。
あなたのプログレスの月が、現在南半球にあれば
、「日の目を見る体験」や「外向的な意識で過ごす」といった、セクトの影響を受けるでしょうし、
反対に、現在のプログレスの月が北半球に位置していれば、
準備期間や成長期間にあって、社会よりも個人の成長を促されている、と判断することができます。
そうしますと、私たちの人生は、それぞれのバイオリズムを知ることで、
どのような運命がやって来るのか、ということが分かります。
私たちは日々、無意識的にも意識的にも、数えきれないほどの選択をしていますが、
その選択は、目の前に起こった出来事に対応・対処している側面が強いといえます。
そのため、本講座内では、占星術は人生の流れを運命と表現する場合があります。
運命は時に強制的な状況を示しますが、
同時に、対極的な状況を望むトリガーとして働く場合がありますので、
「現実を変えることはできない」という悲観的な解釈ではありません。
食物を育てるには、まずは土壌を用意して、種と肥料を用意して、
定期的に水やりをしたり、日光が当たるように間引きをしたりと、時間と労力がかかります。
人生の流れという運命も、私たちの個々の人生に与えられたテーマに対して、
養育・成長の期間や、準備期間、収穫の期間、そして、次の種蒔きの期間というフェーズがあり、
占星術では、このサイクルやリズム、フェーズをプログレスやソーラーアークのホロスコープを使うことによって、
全体像を見ることができ、未来予測をすることができるのです。
月は人生の流れと運命を教えてくれる優しき天体!
今回は、プログレス(進行)の月について解説させていただきました!
令和元年のホロスコープを題材にして、
出生時のサイクルから時を進めた未来のタイミングのホロスコープを見ることで、
日本国が水面下で成長している可能性が予感できる内容をお届けできたのではないかと思います。
月は多重構造・複合的な要素を持つ天体で、且つ、非常に重要な天体ですので、
いろんな角度から月の働きと魅力をお伝えできればと考えています。
今回の記事のまとめです。
- 未来予測は、プログレス・ソーラーアーク・トランジットの3つの技法で占断する
- プログレスとソーラーアークは、「1日1年法」と呼ばれ、
太陽が1日で約1度進むことを起点とし、
太陽以外のプログレスの天体は固有の運行スピードでホロスコープを回り、
ソーラーアークの天体は、太陽と同じ1日で1度でホロスコープを進む - 人生の流れを読む際は、プログレスの月を採用する
- プログレスの月は、1ヶ月に約1度ずつハウス・サインを進み、
約2年半でハウスとサインを移動する - プログレスの月は、約29.5年でホロスコープを一巡し、
進行(プログレス)の新月から新たなサイクルが始まる - プログレスの月のサイクルを、8つのフェーズに大別され、
その時々のプログレスの月のハウスの位置から、
人生の流れの現在地を知ることや未来予測を行うことができる - プログレスの月が地平線より上のハウス(6ハウス以降)に移動する時は、
社会的な体験が多くなり、
逆に、プログレスの月が地平線より下のハウス(北半球)を運行する期間は、
成長や集団性への関わり方を学ぶ体験が多くなる - プログレスの月のサイクルは、土星回帰(サターンリターン)と同期し、
人生の大枠の流れと成長の度合いを計る目安となり得る - プログレスの月のサイクルを活用することで、
現状に安心感をもたらし、未来を悲観視することが軽減される
プログレス・ソーラーアーク・トランジットのホロスコープについては、
別に記事で詳しく解説させていただきますが、
月については、本記事のように、特別枠を設けて、あ
らゆる角度からホロスコープ・リーディングの理解のための解説をさせていただきます。
ネイタルチャートやトランジットを睨めっこしていても、人生の流れを掴むことはできません。
予言めいた視点ではなく、
「自然の流れ・サイクルを知る」という意識でホロスコープを活用する時、
プログレス・チャートとソーラーアーク・チャートは、
現実に即した気づきを与えてくれますので、
あなたも是非、「未来から現状を捉える(眺める)」という感覚で、
プログレスの月を活用してくださいね!
ご質問や不明な点がありましたら、コメントを書き込んでいただければ、
筆者がお答えさせていただいたり、読者様のご質問の回答回の記事を作成することができますので、
気軽にコメントをお寄せくださると嬉しいです。
今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!
それでは、次の「出生前の日食・月食」の記事でお会いしましょう!
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