妊娠中の栄養管理は母体の健康はもちろん、お腹の中で成長する赤ちゃんのためにも非常に重要です。
その中で特に重要な役割を果たすのがビタミンAです。
しかし、一方で、摂取量を誤るとリスクが伴うことも。
今回は、ビタミンAが豊富に含まれるうなぎの妊婦への影響について掘り下げてみます。
特別養護老人ホーム、保育所給食、行政栄養士など幅広く経験し、実際に調理現場にも長く立っていました。専門職の独りよがりにならないように、多職種の方々と一緒に働いた経験をいかして活動してます。不定期ですが、毎日を気持ちよく過ごすための食事の教室も開催しています。
うなぎの栄養素と妊娠中の身体への影響
妊娠中の食事は、母体と胎児の健康を考える上で非常に重要です。その中でも、ビタミンAは必要不可欠な栄養素となりますが、その一方で適度な摂取が求められます。特にビタミンAを多く含むうなぎは、その摂取量に注意を払うことが必要となります。
しかし、「妊娠中にうなぎを食べても大丈夫かな?」と思うママさんも多いはずです。
うなぎにはビタミンAがたっぷり含まれていて、適切な量ならば、ママさんや赤ちゃんの健康に良い影響を与えますよ。
でも、注意点として妊娠中のビタミンAの取り過ぎはNG。
だからこそ、食事計画は慎重に行いたいところ。
この見出しでは、うなぎの栄養素が妊娠中のママさんや赤ちゃんにどう影響するか、具体的に見ていきましょう。
ビタミンAと妊娠:過剰摂取のリスク
それでは、より詳しく厚生労働省により日本で定められている妊娠中の女性のためのビタミンAの推奨摂取量についてお伝えします。
具体的には、妊娠初期と中期の女性は、基本的な推奨量に加えて特別な追加量は必要とされていません。
妊娠後期では、基本的な推奨量に加えて毎日80μgRAEのビタミンAが追加で必要とされています。
これは、妊娠中の女性と胎児の健康を維持するために必要な量です。
ビタミンAは、皮膚や眼の健康を維持するだけでなく、免疫機能の正常な維持にも重要であるため、適切な量を確保することが重要です。
第6次改定日本人の食事摂取基準 (2020年版)2
年齢 | 推定平均必要量 (㎍RAE/日) | 推奨量 (㎍RAE/日) | 目安量 (㎍RAE/日) | 耐容上限量 (㎍RAE/日) |
---|---|---|---|---|
18~29歳 | 450 | 650 | - | 2,700 |
30~49歳 | 500 | 700 | - | 2,700 |
50~64歳 | 500 | 700 | - | 2,700 |
65~74歳 | 500 | 700 | - | 2,700 |
75歳以上 | 450 | 650 | - | 2,700 |
妊娠 (初期) | +0 | +0 | - | - |
妊娠 (中期) | +0 | +0 | - | - |
妊娠 (後期) | +60 | +80 | - | - |
授乳 | +300 | +450 | - | - |
次に、うなぎのビタミンA含有量についてですが、生のうなぎ100gあたり約1500μgのビタミンAが含まれています。3
これは、成人の1日のビタミンAの推奨摂取量を大幅に上回る量となります。
ビタミンAは体内で多くの重要な役割を果たしていますが、摂り過ぎは健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
特に妊婦さんは、ビタミンAの過剰摂取が胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取量には十分注意する必要があります。
したがって、うなぎを食べる際は、その他の食事でのビタミンA摂取量を考慮に入れて、適量を心がけましょう。
これがよく言われる「妊婦にうなぎはダメ」の全貌です!
そのため、妊娠中の女性がうなぎを安全に楽しむためには、一度に大量に食べるのではなく、小さな量を適度に摂取することをおすすめします。
具体的には、10g程度のうなぎならば、ビタミンAの摂取量は約150μgとなり、妊婦さんの1日の推奨摂取量の範囲内に収まります。
妊婦さんがうなぎを食べるなら一切れ、二切れなどがおすすめ。およそ30g程度と言えそうです。
万が一、妊娠中にうなぎを食べすぎた場合どうなるのか
「うなぎは美味しいし栄養もたっぷりだから、多めに食べても大丈夫だろう」と思われがちですが、適切な摂取量を超えてしまうと意外な健康リスクがあります。
特に、妊娠中の女性にとっては注意が必要です。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一つで、適切な量であれば体の細胞を保護したり、視覚や免疫機能の維持に役立ったりします。
しかし、摂取量が過剰になると体内に蓄積され、毒性を示すことがあります。
これをビタミンA過剰症と言います。症状としては、皮膚の乾燥やひび割れ、頭痛、吐き気、筋肉や関節の痛み、視覚障害などがあります。
妊娠中の女性が大量のビタミンAを摂取すると、胎児に対するリスクもあります。
胎児への影響としては、頭蓋骨の閉鎖の遅れ、顔面の変形、心臓の異常、精神発達の遅れなどが報告されています。4
うなぎはその豊富なビタミンA含有量から、適度な摂取が勧められます。
1食あたりの摂取量は、妊娠初期・中期の場合は毎日約650μgRAE、妊娠後期では毎日約750μgRAEが目安となります。
以上のことから、妊娠中の女性はうなぎを摂取する際には、適切な量を心がけることが重要となります。
食事のメニューを計画する際には、栄養素のバランスを考えるだけでなく、各栄養素の適切な摂取量についても理解しておきましょうね!
妊婦がうなぎを楽しむためのレシピ
うなぎはビタミンAを非常に多く含んでいるため、妊娠中は適切な量を確認しながら摂取することが重要ということがおわかりいただけたとおもいます。
妊婦が1日に安全に摂取できるうなぎの量は、約30g程度と言えそうです。
そこで、一口大のうなぎの蒲焼をご飯と一緒に食べるのも良いですが、うなぎが大好きという方は、うなぎを使った料理で楽しんでみませんか?
うなぎを楽しむためには、摂取量をコントロールしつつ、味わいを最大限に引き出す工夫が大切です。
ここでは、妊婦さんでも楽しめるレシピの一例を提案します。
うなぎと野菜の炒め物
材料(2人分)
- うなぎ:30g
- パプリカ(赤、黄):各1個
- ブロッコリー:適量
- しょうが:適量
- 醤油:適量
- 塩、こしょう:少々
作り方
- うなぎは一口大に切り、パプリカとブロッコリーも食べやすい大きさに切ります。
- フライパンに少量の油を熱し、しょうがを炒め香りを出します。
- パプリカとブロッコリーを加え、色鮮やかになるまで炒めます。
- うなぎを加えて全体が混ざるように炒め、最後に醤油、塩、こしょうで味を調えます。
このレシピでは、うなぎの量を減らし、ビタミンAを含まない野菜をたっぷりと使っています。
妊娠中の方は、ビタミンAの摂取量に十分注意しながら、うなぎの美味しさを堪能してください。
おわりに
妊娠中の栄養管理は、ママ自身の健康だけでなく、赤ちゃんの成長にも大きく影響します。その中でもビタミンAは、適度な摂取量を守ることで妊娠中のママと赤ちゃんの健康をサポートします。
しかし、その一方でうなぎのようにビタミンAが豊富な食品を摂り過ぎると、ビタミンA過剰症や胎児へのリスクもあります。このリスクを避けるためには、ビタミンAの適切な摂取量を理解し、食事のメニューを計画する際にその量を意識することが重要です。
この記事で提供した情報が、妊娠中のママたちの食事計画に役立つことを願っています。妊娠期間中は特に、適切な栄養摂取とバランスの良い食事を心掛けましょう。そして、何か疑問や不安があるときは、専門家に相談することも大切です。
健康的な妊娠期間を過ごし、素晴らしいマタニティライフをエンジョイしてください。この特別な期間が、ママと赤ちゃんにとって幸せで満ちたものになることを祈っています。
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