「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!
いつも記事を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。
今回の記事では、「出生前の日食と月食」を解説させていただきます。
以前、日食と月食について解説させていただきましたが、
実はネイタルチャートを深堀する上で、もう1つ、人生の重要な指標となる日食と月食があります。
それは、出生前の日食と月食です。
ネイタルチャートは出生図ですから、「母胎から完全に切り離された=人生スタート」です。
そのため、正確なネイタルチャートには、生年月日だけでなく、出生時間も必要となります。
ですが、私たちがこの世に生まれる前に、私たちは母胎の中で成長していましたので、
出産以前から宇宙・自然のバイオリズムの影響を受けているはずです。
出産の状況やタイミングは人それぞれですが、
人間が母胎で育ち、この世に出るまでは「十月十日」を経る、と言います。
実際には、約9か月ほどが一般的な妊娠期間と言われていますが、
現代の科学・医療では、出産時期を早めたりする場合もあるそうですし、
逆に、自宅出産を望まれる家庭もありますし、
人の人生は、生まれて来る前から、
生まれて来る側が決めることができないことも多々あります。
そのため、「受胎占星術」という考え方・手法もあるようです。
「胎教」という言葉があるくらいですから、
私たちが母胎で育っている間、
私たちは母親の肉体やエネルギー場を通じて、
外界からの影響を受ける、と考えるのが自然です。
すべての人は、例外なく母親から生まれます。
占星術では、月は母親を象徴し、
女性・母親は、月と共鳴する受容性を授かっています。
受容性の器(母胎)の中で、
私たちの魂は、生まれるべきタイミングを見計らって肉体に受胎し、
その過程で、月の満ち欠けに影響を受ける、と考えられます。
今回解説させていただく出生前の日食と月食は、
出生から最も近い日食と月食についての記事です。
出生前の半年以内には必ず日食と月食は起こっているはずですので、
出生前の日食と月食が示す「生まれる前から影響しているテーマと課題」を知ることで、
より人生を俯瞰して捉えることができるのではないかと思います。
今回は、前提知識と出生前の日食と月食をホロスコープで表示させる方法について解説させていただきます。
それでは、今回の記事も是非、最後までお付き合いくださいね!
出生前の日食と月食とは?
出生前の日食と月食は、出生前の半年以内に起こった、直近の日食・月食です。
出生日から最も近い日食と月食は、
人生に強く影響を与えるテーマ性と課題と考えられています。
- 出生前の日食・先行日食・プレネイタル・ソーラー・イクリプス
:人生を懸けて追求するテーマ - 出生前の月食・先行月食・プレネイタル・ルナー・イクリプス
:人生における克服すべき課題
日食と月食は、毎年2回ずつ以上起こりますので、
出生日は、どちらか1回の日食と月食のペアの影響を受けます。
また、出生のタイミングによって、
日食と月食がドラゴンヘッド(昇交点)とドラゴンテイルのどちらかで起こるかは、
ネイタルチャート(誕生のタイミング)に依ります。
- ドラゴンヘッド側で起こる日食は、
人生の発展のための意識の刷新(生まれ変わり)を促す - ドラゴンテイル側で起こる日食は、
人生の発展のための内的浄化を促す - ドラゴンヘッド側で起こる月食は、
過去の記憶や感情の解放を促す - ドラゴンテイル側で起こる月食は、
過去の記憶や感情のために内省を促す
ドラゴンヘッド側で起こる日食と月食は、
太陽と月が生まれ変わるプロセスを経て、
現実に投影される内面性・意識を自覚・客観視することで、
新しい流れを迎える準備を促されるターニングポイント(通過点)です。
また、ドラゴンテイル側で起こる日食と月食は、
太陽と月が生まれ変わるプロセスをキッカケとして、
過去に補完されている記憶や感情、エネルギーと向き合い、
調整や浄化を進めることで、
新しい現実創造に意識を向けるターニングポイント(通過点)です。
ネイタルのノード軸と出生前の日食と月食は重なり合って、
運命の流れを強固なものとし、
私たちの人生の大筋のシナリオとなって現実化します。
そのシナリオに対して、トランジットのノード軸の運行は、
外側からの外圧であり、刺激であり、本質の炙り出しのように働くのです。
結論としましては、日食と月食は、地球に生きる私たちの意識が観測する、
太陽と月の生まれ変わりの現象とその影響力であり、
出生前の日食と月食が表すテーマと課題は、
「一生涯に渡って未来から与えられる導き」と、
その導きに対する「現実的な対処」です。
太陽は、人生をかけて体現していく「自分に相応しい生き方と在り方」と、
その歩みを遂げる過程を形にする生命力の象徴です。
また、月は、舞瞬移ろう感情や、外面の世界を観測することで生まれる情動といった、
内的な心の働きの体験と、生まれる前から内面に備わっている「純粋性」の象徴です。
太陽と月が生まれ変わるタイミングである日食と月食は、
出生前であれば、宿命的なシナリオとして私たちを導いたり、崖から突き落としたりしますし、
ネイタルのノード軸であれば、常に意識の柱として働く運命的・法則的な流れです。
大げさな言い方をするならば、
出生前の日食と月食のテーマと課題を達成するために、
ネイタルのノード軸がもたらす対極性を活用し、
トランジットのノード軸や日食&月食をトリガーとして、人生をより一層発展させる、
という風にも表現することができます。
出生前の日食と月食の出し方
以下の画像は、Astrodienstで出生前の日食と月食を表示する際のオプションを示したものです。
その他のオブジェクトで、「一般的な要素」の項目を下にスクロールしていきますと、
出生前の日食と月食を選択することができます。
出世時間が分からない場合の対処法
正確な出生時間が分からない場合、ハウスを確定することができません。
その場合は、太陽が位置するサインを1ハウスのカスプに固定する
「ソーラー・サイン・ハウス・システム」でホロスコープを作成してください。
(ソーラー・ハウス・システムとも呼ばれます。)
ここで言う1ハウスのカスプとは、
ホールサイン・ハウスシステムでは、「1ハウスのカスプ =東の地平線」、
プラシーダス方式では、「ASC = 1ハウスのカスプ」です。
*別のハウスシステムで、「ソーラー・システム」がありますが、
こちらは、太陽のサインの度数をそのままASCに定めるため、若干の違いがあります。*
今回の記事では、
ソーラー・ハウス・システムでホロスコープを作成できるサイトでホロスコープを作成し、
1ハウスと重なるサインを確認した後、
Astrodienstで出生前の日食と月食を表示する方法をご解説していきます。
今回は、以下の2つのサイトをご紹介します。
ARI:占星学総合研究所
ハウスシステムの欄から「ソーラー・サイン・ハウス・システム」を指定し、ホロスコープを作成します。
*出生時間が不明の場合は、自動的にソーラー・ハウス・サイン・システムでホロスコープが作成されるようです。*
メトロポリタン占星術
出生時間の欄の右側にある「時刻不明」を選択し、ホロスコープを作成します。
Astrodienstで時間調整する
Astrodienstでは、「ソーラー・ハウス・システム」を選択できない仕様になっています。
そのため、少し手間がかかるのですが、
ソーラー・ハウス・システムでホロスコープを作成するのと同様の手順をご紹介します。
- 出生データを入力する際、時間帯を「不明」にしてホロスコープを作成する
- ホロスコープが表示されているページにある「チャート選択」のボタンを押して、
ホロスコープの詳細・オプションを選択できるページに移動する - 「ハウス分割法」で「イコールハウス」を選択した上で、
ページ下部にある「その他のオブジェクト」にある
一般的な要素の欄を下にスクロールし、
出生前の日食と月食を選択してホロスコープを作成する
(*Ctrlキーを押したまま日食と月食の2つの項目を選択する*) - 1ハウスに太陽が位置しているかどうかを確認する
- 上記のサイトでソーラー・ハウス・サイン・システムで作成したホロスコープを見て、
1ハウスと重なるサインを確認する - 太陽が位置しているサインが1ハウスに巡ってくるまで、時間を調整する
*2時間おきに出生時間を早めるなど、
太陽が1ハウスに位置するまでトライ&エラーを繰り返す必要があります。*
①出生データを入力する際、時間帯を「不明」にしてホロスコープを作成する
②「チャート選択」のボタンを押して、
ホロスコープの詳細・オプションを選択できるページに移動する
③「ハウス分割法」で「イコールハウス」を選択しする
③ページ下部にある「その他のオブジェクト」にある
「一般的な要素」の欄を下にスクロールし、
出生前の日食と月食を選択してホロスコープを作成する
(*Ctrlキーを押したまま日食と月食を選択する*)
上記のホロスコープは、
2024年04月09日の牡羊座新月・皆既日食のホロスコープを
「出生時間不明」で作成したホロスコープですが、
偶然にも1ハウスに太陽が位置しています。
Astrodienstでは、出生時間不明でホロスコープを作成した場合、
ハウスの分割・区分がされずにホロスコープが作成されるようです。
ソーラー・ハウス・サイン・システムでホロスコープを作成した場合、
太陽は必ず1ハウスに位置するため、正確なホロスコープ・リーディングができません。
出生時間が不明でも、より正確なホロスコープを作成したい場合は、以下の2通りの選択肢があります。
- ①時間不明でホロスコープを作成し、
容姿.や外見、性格から、ASCのサインを決め、
時間を変更してホロスコープを作成し直す - ②レクティフィケーション(レクティファイ)を専門とする鑑定師に出生時間の割り出しを依頼する
(過去の出来事や経緯を説明した上で、出生時間の割り出しを行う)
3つの運命の流れの捉え方
本記事では、「運命の流れ」を決めるのは、
①ネイタルチャートのノード軸(ドラゴンヘッド・ドラゴンテイル)、
②トランジットのノード軸(約1年半でサインを移動する)に加え、
③出生前の日食と月食(新月 / 満月 + ノード軸)
の3つのノード軸と定義させていただきます。
①のネイタルチャートに示されるノード軸は、
人生の方向性や挑戦(ドラゴンヘッド)と、
過去の価値観や経験、親しみのある環境(ドラゴンテイル)で対極軸が結ばれます。
この対極軸は、人生のバイオリズムの核となる運命の流れです。
②のトランジットのノード軸は、約1年半でサインを変え、
ネイタルのノード軸に干渉・影響しますが、
これは外的・社会的なものですので、一過性のものです。
イメージとしては、一過性の運命の流れに飲まれる、
または、合流することで、
①のノード軸の核となる運命の流れの歩みが進む、と考えるとしっくりくるでしょう。
そして、普段見ているネイタルチャートに、
オプションで出生前の日食と月食を選択することによって、
出生前から影響を与えている運命の流れがあることが分かります。
出生前の半年内に起こった日食と月食は、
出生後の運命の流れの源泉・大元と考えますと、
出生前の日食と月食は意外と重要なのではないか、と考えられます。
以下の画像は、運命の流れの観念的な循環・発展を視覚化したものです。
仮に、ASCとDSC(地平線)にノード軸と出生前の日食と月食を重ねて置いたとします。
どちらがドラゴンヘッドでも、ドラゴンテイルでも問題ありません。
出生前の日食と月食は、出生の半年以内に必ず起こっていますので、
大抵はハウスとサインが同じになる場合が多いのですが、異なる場合もあります。
今回は、地平線上のノード軸と出生前の日食と月食が重なっていると仮定します。
トランジットのノード軸のハウス・サインの移動は、画像にある矢印で表してあります。
*ノード軸はホロスコープ上を時計回り(右回り)に回ります。*
私たちは成長する度に、経験値を獲得しますが、
新鮮な体験と過去の経験の再現のどちらの割合が多いかは人それぞれではあるものの、
一般的には、過去の経験が基となって行動することが圧倒的に多いはずです。
過去の経験や価値観は、出生時の環境や養育者(親や近親者)、教育の影響によって、
自我意識の形成とともに育まれ、
また、同じ環境に居続けることで固定化・強化されます。
上記の画像では、地平線上で対極軸を結ぶノード軸は、
「行ったり来たり」という意味を込めて、両方向の矢印で結んでいます。
過去の経験則が功を奏する場合もあれば、無難な選択が無難な結果に結び付くこともあり、
逆に、退屈さや単調さをもたらすこともあります。
そして、私たちが狼狽えたり、躊躇したり、及び腰になってしまう時は、
過去の経験則が通用しない場面や、
遭遇したことのない場面や環境、
ゼロからスタートしなければならない場面です。
そういった場合には、
ドラゴンヘッド側であっても、ドラゴンテイル側であっても、
日食と月食はパワフルに作用します。
過去の経験や価値観は、あくまで慣れ親しんだ指標であって、
絶対的な物差しではありませんが、私たちの意識と無意識の中で絶大な主導権を持ちます。
そのため、私たちはドラゴンテイルが示すハウス・サインの影響を受け入れやすく、
逆に、ドラゴンヘッドが示すハウス・サインには抵抗感を感じやすく、
前進するためには勇気や動機が必要となるのです。
出生前の日食と月食は、ネイタルのノード軸の運命の流れの源泉であるため、
ネイタルのノード軸以上に、強い引力と抵抗力を持ちます。
出生前の日食と月食と、ネイタルのノード軸の場所がほとんど変わらないなら、
ネイタルのノード軸を見るだけでいいのではないか?と思われるかもしれませんが、
本当にそうなのか、ということ解説していきたいと思います。
出生前の日食と月食とネイタルのノード軸の微妙な違い
出生日が新月・満月の場合や、日食・月食と重なる場合もあります。
その場合は、出生前の日食と月食とネイタルのノード軸の意味や象徴は同じになります。
今回は、ネイタルのノード軸と出生前の日食・月食のサインの度数が離れている場合の、
微妙な違いについて言及させていただきます。
- ハウスの違い
- サインの度数の違い
- サビアンシンボルの象徴・メッセージ
- サインルーラーの影響力・状態 etc
ノード軸(ドラゴンヘッドとドラゴンテイル)は、順行と逆行を頻繁に繰り返すため、
その時々によって運行スピード(サインを進む速度)は変わります。
また、ノード軸はホロスコープ上を時計回り(右回り)に回りますので、
特に、サインの度数は終盤の度数から序盤の度数に向かって移動します。
ネイタルのノード軸が、ハウス・サインのカスプ付近にある場合、
出生前の日食と月食のハウス・サインと異なる場合があります。
似たようなハウス・サインに位置することで、微妙な違いしか出ませんが、
この些細な違いが大きな違いを生み出します。
サビアンシンボルから気づきやヒントを得ることができますし、
心の支えとなることもあるでしょう。
出生前の日食&月食と、ネイタルのノード軸が位置するサインのルーラーは、
人生の流れに大きく関わる天体かもしれません。
その天体の状態をネイタルチャートから知り、
プログレスやソーラーアークのホロスコープから発展のヒント得ることもできるでしょう。
出生前の日食&月食とネイタルのノード軸のハウスが異なる場合
ハウスが異なる場合は、出生前の日食と月食は、
潜在的な運命の流れとしての影響を持ち、
ネイタルのノード軸は、意識・自覚できる影響として現象化します。
実のところ、どちらが強く作用するのか、といった対比はできません。
出生前の日食と月食が、人生で成し遂げるテーマとその課題であるのに対して、
ネイタルのノード軸は、自我意識・顕在意識の芯となる、二元性の意識だからです。
繰り返しになりますが、
出生前の日食と月食は、「一生を懸けて望むテーマとその課題」ですので、
私たちの人生で強調されるハウスのテーマや分野において、
宿命的な流れが流れ込む、という解釈ができます。
宿命的な流れは、対称的なハウスのどちらからも学びを得るように働きます。
出生前の日食は、太陽が生まれ変わるような、衝撃的な体験や、
殻を被らなければならない場面、なんとなく予感がしていたことが目の前に表れ、
実際に勇気を出して取り組むような状況を与えるでしょう。
出生前の月食は、月が生まれ変わるような、
心の在り方を整え、感情やエネルギーを濾過・純化して、必
要なテーマに対する自省や内省を味わうことを繰り返し、
内面に蓄積されてきた精神的な葛藤やコンプレックス、
固定化された価値観から自由になるような体験を与えるでしょう。
また、ネイタルのノード軸が位置するハウスは、
常に「恐怖や不安」や「情熱や活力が湧き上がる感覚」(ドラゴンヘッド)を感じさせる場所・分野であり、
「変わりたくない心情」や「安心感や懐古」(ドラゴンテイル)を感じさせる場所・分野です。
上記の画像は、対極のハウスに、
陰と陽の働き・側面が内包されていることを表したイメージ図です。
ノード軸は、どちらか一方が正義で、もう一方が害悪、ということではなく、
どちらにも、快をもたらす側面と、不快をもたらす側面を内包しています。
出生前の日食&月食と、ネイタルのノード軸は同じハウスに位置する場合が多いですが、
ハウスが違う場合であっても、どちらとも「最善な要素」であることに変わりはありません。
サインの度数の違い
出生前の日食&月食と、ネイタルのノード軸のサインの度数が1度違うだけで、
人生における運命の流れの核が変わるわけですので、
私たちはそれぞれ固有の運命を生きている、という解釈ができます。
出生前の日食&月食のサインの度数は、
「宿命的なテーマとその課題」という風に解釈すれば、
人生の根源的な流れを見出すことができるわけです。
また、ネイタルのノード軸のサインの度数は、
現実創造における対極性・二元性を表します。
ドラゴンヘッドであれば、
「望む体験」や「実現したい意志」、「挑戦し、体得すべき意識」、
ドラゴンテイルであれば、
「安らぎ」や「懐古」、「執着の根源を知り、反動として扱うべき意識・習慣」となります。
サインの度数の違いは、デーカン/デークやドデカテモリーというサインの度数を分割し、
それぞれの度数に対応するサインと天体を割り当てる解釈に結び付けることができます。
今回の記事では、これらの技法の解説は省略させていただきますが、
簡単に説明するならば、デーカン/デークは、サインの30度を3分割、
ドデカテモリーは、サインの30度を12分割する技法です。
解釈は様々ありますが、単純に、サインの度数が前半と後半に分かれるか、
ピーク(15度)に感受点が位置するかによって、
サインの意識・エネルギーが変わる、と解釈していただければ問題ありません。
サビアンシンボルの象徴・メッセージ
現代占星術では、「12サイン ✖ 30度(度数) = 360通りのサビアンシンボル」を参考にできると言われています。
チャネリングによって降ろされたサビアンシンボルは、
すべてのサインの度数に象徴となるメッセージが与えられています。
地球上に何十億人も生きているも生きていて、
たった360通りのシンボル・メッセージしかないのか?という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、
シンボル・象徴は、あくまで「感覚」や「感性」を刺激するものであって、
文字通りの現象を約束するものではありません。
サインは季節や雰囲気、感情、特性といった非言語的な側面を持ちますので、
感覚や感性を言語化するにしても、
受け取りやすい人とそうでない人に分かれてしまうのは仕方のないことです。
ただ、出生前の日食と月食は、明確なテーマと克服すべき課題を、
ネイタルのノード軸は、目指すべき方向性や未来性と、
その方向性を成り立たせるための親しみのある環境や過去性を表し、
それらの象徴やメッセージを判断材料にすることで、私たちは独自の解釈を生むことができます。
サビアンシンボルについては、今後、講座内で取り上げる予定ですので、楽しみにしていてください。
サインルーラーの影響力・状態
出生前の日食&月食と、ネイタルのノード軸のサインのルーラーは、
「宿命」や「運命」に影響を与える天体として捉えることができます。
感受点が位置するサインのルーラーは、
太陽と月、チャートルーラーや上昇星(ライジング・スター)、カルミネートの天体、
コンジャンクションやグランド・コンジャンクションしている天体、
はたまた、年齢領域に対応した天体などとは、少し異なる角度で捉えるべきかもしれません。
なぜなら、天体と感受点には、「実在性」と「仮想性」という明確な違いがあるからです。
そのため、出生前の日食&月食とネイタルのノード軸が位置するサインのルーラーは、
直接的な影響力を持つ、とは考えにくいものです。
ネイタルチャートとプログレス&ソーラーアークのホロスコープでは、
その天体が位置するハウスが与える体験や経験値に関して、
先天的に与えられた能力や才能を開花させる素質を表わすような、
トリガーとしての働きを担う可能性を考慮します。
そうなりますと、人生に用意されたテーマや課題を発掘する必要がありますので、
その天体が持ち得る「宿命に関する役割」に対しては、
長期的なスパンで、洞察力を持って導き出す意識が必要となるでしょう。
特定の時期や重要な時期、高低差の激しい時期などは、
逆境に遭ってこそ、能力や才能が引き出される確率が跳ね上がります。
これは、外的な刺激によって、自発的な能力を自力で生み出すことを表します。
逆に、困難や受難とは無縁の、穏やかさやスムーズな流れにある時や、
他者からの手ほどきや施しを得て、潜在的に備わっている能力や才能が引き出される場合もあります。
これは、他者の介入・干渉によって、無自覚であった領域へ踏み出すことを促されるため、
受容的に能力や才能に気づくことを表します。
どちらか一方が楽で、もう一方が忍耐が必要、ということはあるかもしれませんが、
どちらの選択をするのかさえも、私たちが生まれる前から織り込み済みのシナリオだと考えると、
私たちに出来ることと言えば、「起こってくる出来事を受け入れる」のみです。
それが運命力という選択の行使によって、
宿命という人生のあるがままの流れを受け入れる覚悟といえます。
ノード軸は経験値を循環させる
ドラゴンヘッドとドラゴンテイルは常に対を成し、
「上から下への流れ」と「下から上への流れ」の両方向にエネルギーが循環されます。
言い換えるならば、
「未来から現在に向かってくる運命の流れ」と「現在に向かって過去が近づいてくる流れ」
という風に表現することもできます。
ただ、重要なことは、「私たちが常に今にしか存在し得ない」ということです。
人生のシナリオがあり、そのシナリオが宿命だとすれば、
人生における出来事は、個人の規模と集団の規模の違いはあれど、
起こるべきタイミングで起こります。
それは、「ネイタルチャートが人生の縮図」であり、
「過去・現在・未来すべてを内包している」という解釈にもなります。
ですが、私たちは時間と空間に支配されながら生きています。
そのため、私たちの肉体が根付いている3次元に意識が集中せざるを得なくなり
、「下から上への流れ」しかない、という解釈を確信してしまいます。
占星術は
、「上から下への流れ」と「下から上への流れ」の両方に意識が拡大・拡張するように促してくれますので、
過去を肯定的に解釈することも、現在を客観的に捉えることも、
出生前に定められた宿命を見出すことも、未来予測をすることで、
未来志向で現状を捉えることも助けてくれます。
それでも、私たちは「実感」や「体験」が伴わない限り、
事実として納得することができません。
2次元のRPGゲームをイメージすると分かりやすいのですが、
私たちが通常見ている現実は、主人公(プレイヤー)が動かず、周囲が動く、天動説的な概念であり、
ジオ・セントリック占星術のホロスコープの世界観です。
これは、自我意識・顕在意識の視点です。
自我意識・顕在意識に対して、
精神や魂、無意識の視点は、地上から離れ、360度の方位に意識を拡大させることができ、
時間と物理的・空間的な制約・制限を受けることがないため、地動説的な概念であり、
ヘリオ・セントリック占星術のホロスコープの世界観に例えることができます。
自我意識・顕在意識の視点は、常に目の前の現実に注目せざるを得ません。
ですが、私たちの意識は、過去の出来事に関する記憶と感情を保持しているため、
物質次元に錨を下しながらも、既に過ぎ去ってしまい、
「現在の今」ではなくなってしまった「過去の自分自身」とも紐づいています。
ネイタルのノード軸と出生前の日食と月食がもたらす運命の流れは、
精神や魂、無意識の視点と対応し、トランジットのノード軸は、
自我意識や顕在意識と紐づいています。
そのため、私たちが自己分析や自己理解、自己肯定を深めようとする場合、
概念や観念、記憶や感情、エネルギーや周波数といった、
目に見えない領域に意識を合わせる必要があります。
過去に実際に起こった出来事や、その時々に味わった感情、その場面で選択した思考などは、
曖昧な状態だけれども、確実に私たちの意識の中に息づいています。
出生前の日食と月食は、
いわば、「宿命のシナリオ」として、「テーマと課題」として人生に影響を与えます。
影響を与えるというよりも、
もはや、「導かれるように、背中をグイグイ押されるように体験するように促す強制力」
という風にも表現することができます。
また、ネイタルのノード軸は、
過去の体験や経験則から、比較的テーマや課題、動機や苦手意識として自覚・認識できるものであるものの、
まるでジグソーパズルを仕上げるように、一生涯を通して「体験を完成させる」側面を持ちます。
そのため、私たちは常に、
ネイタルのノード軸が示す対極性を軸に日々の生活と人生の歩みを続けていきます。
そして、トランジットのノード軸は、
約18~19年かけてホロスコープを一巡し、1つのサインを約1年半かけて運行します。
外的な運命の流れは、
言わば、「人類の集合意識と集合的無意識の融合と混沌を促す波」です。
私たちは、外的な運命の流れに刺激され、また、感化されることで、
各々の宿命の流れと運命の流れの道筋を歩む歩幅を早くしたり、遅くしたり、
はたまた、一旦は立ち止まる、といった変化を体験します。
出生前日食と月食は「宿命的な人生の流れ」を示す!
今回は、出生前の日食と月食について、基本的な知識と原理を解説させていただきました。
出生前の日食と月食は、私たちがこの世に生まれようと、
母胎の中ですくすくと成長している間に起こる日食と月食です。
そのため、ネイタルチャートのノード軸(ドラゴンヘッドとドラゴンテイル)以上に、
出生前の日食と月食は、人生のシナリオに組み込まれている潜在的な影響を持っているといえます。
月の満ち欠けは、女性特有のサイクルではなく、
すべての人の生命活動の根底に流れています。
私たちの身体は、両親や先祖からの遺伝子や特質によって構成されていますから、
私たちのDNAの中には、遥か昔の先祖の記憶や感情、エネルギーが畳み込まれている、
と解釈するのは不自然ではありません。
また、私たちが自分自身を知る上で重要なことは、
身体的・家系的なルーツを知るとともに、
目に見えない真理の働きから授かっている運命を、何らかの方法でわずかでも掴み、
日々の生活と人生に活かすことです。
占星術は、後者の方法の1つであり、
私たちがいかに月に影響を受けているかがわかります。
太陽・月・地球は、太陽系のみならず、
数え切れないほど存在する銀河宇宙の星々の中で、特別な関係性を持っています。
月の満ち欠けとともに、出生前の日食と月食を知ることは、
私たちの人生の始まりの前の根源的なルーツを教えてくれます。
今回は前提知識や出生前の日食と月食をホロスコープに表示させる方法と、
ノード軸について解説させていただきました。
今回も、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!
次回の記事では、
出生前の日食と月食が位置するハウス&サインの象徴や意味について解説させていただきます。
それでは、次の「出生前の日食と月食その2:ハウスで知るあなたの運命とは?!」の解説記事でお会いしましょう!
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