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健康に良い飲み物は何か

健康に良い飲み物は何か

人が生きていく上で、水を飲むことは不可欠ですが、水には、ミネラル以外の栄養素がないし、味もありません。そこで、人類は、より多くの栄養素を摂取するため、より多様な味覚を楽しむため、様々な飲み物を作り出しました。その中には、健康に与える影響が肯定的なものもあれば、否定的あるいは中立的なものもあります。この記事では、代表的な飲み物が健康に与える影響を明らかにした上で、カロリー制限模倣効果ゆえに健康に良い飲み物を紹介します。

1. 飲み物が健康に与える影響

健康に良い飲み物は何かという本題に入る前に、まずは、健康に悪い飲み物は何かを考えましょう。人気があるけれども推奨できない代表的な飲み物は、砂糖入り清涼飲料水とアルコール飲料です。どちらも、大量に飲むと脂肪肝をはじめとする生活習慣病の原因になるため、寿命を縮めます。他方で牛乳や乳飲料が健康に与える影響は中立的です。

1.1. 砂糖入り清涼飲料水が健康に与える影響

まずは、砂糖入り清涼飲料水、すなわち、スクロースや異性化糖(特に果糖ブドウ糖液糖)を含む飲み物が健康に与える影響を見ましょう。現在、自動販売機やコンビニで売っている飲料の大半は、砂糖入り清涼飲料水です。大人から子供まで幅広い年齢の人が飲んでいるだけに、その影響は無視できないところです。

お馴染みのブランドの砂糖入り清涼飲料水。

3万人強の米国人男性を28年間、8万人強の米国人女性を34年間追跡した2019年の研究[1]によると、男女ともに、砂糖入り清涼飲料水は、摂取頻度の上昇とともに用量依存的に全原因死亡率を有意に(P Trend < 0.0001)上昇させます。

砂糖入り清涼飲料水の消費頻度と死亡率(年齢、喫煙、アルコール摂取、閉経後ホルモン使用、身体活動、糖尿病の家族歴、心筋梗塞の家族歴、がんの家族歴、多ビタミン使用、民族、アスピリン使用、高血圧および高コレステロール血症の病歴、全粒穀物、果物、野菜、赤肉、加工肉の摂取量、総エネルギー、肥満度指数で調整済)。Data from Malik et al[1].

このグラフを見てもわかるとおり、1杯/月未満と比べた2杯/日以上の全原因死亡率は、1.21(95%信用区間:1.13~1.28)で、約二割増しです。原因別では、心疾患死亡率が用量依存的に高く(P Trend < 0.0001)、1杯/月未満と比べた2杯/日以上の心疾患死亡率は、1.31(95%信用区間:1.15~1.50)で、約三割増しです。がん死亡率はそれほどではなく(P Trend = 0.0004)、1杯/月未満と比べた2杯/日以上のがん死亡率は、1.16(95%信用区間:1.04~1.29)にすぎませんが、それでも有意に1を超えています。

前回の「健康に良い甘味料は何か」で既に述べたように、スクロースであれ、異性化糖であれ、フルクトースの入った飲み物は、食べ物以上に肝臓に負担をかけ、内臓脂肪を増やし、生活習慣病を惹き起こすので、なるべく飲まない方が賢明です。フルーツ・ジュースや野菜ジュースも、果物と野菜を十分食べている限り、飲む必要はありません。果物や野菜は、ジュースにして飲むよりも、そのまま食べた方が、健康という観点からすれば好ましいからです。

1.2. アルコール飲料が健康に与える影響

次に、アルコール飲料、つまり酒が健康に与える影響を見ましょう。アルコール飲料には、ワイン、ビール、日本酒などの醸造酒、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒、果実酒などの混成酒といろいろありますが、ここでは、アルコール成分を1%以上含む飲み物をアルコール飲料あるいは酒と呼ぶことにします。

酒にはいろいろな種類があり、ウィスキーだけでもいろいろなブランドがあります。

酒の飲みすぎが健康に有害であることは、昔からよく知られています。しかし、少量の飲酒なら、むしろ低い死亡率と相関することが、これまでの疫学調査からわかっています。以下のグラフは、33万人以上の米国人成人のアルコール摂取頻度と死亡率を8.2年間(中央値)追跡した2017年の調査結果を示しています。

米国人成人におけるアルコール摂取頻度(横軸)と全原因死亡率ハザード比の対数値(縦軸)。青色の点線は95%信用区間。Source: Xi, Bo, Sreenivas P. Veeranki, Min Zhao, Chuanwei Ma, Yinkun Yan, and Jie Mi. “Relationship of Alcohol Consumption to All-Cause, Cardiovascular, and Cancer-Related Mortality in U.S. Adults.” Journal of the American College of Cardiology 70, no. 8 (August 22, 2017): 913–22.

これ以外にも、様々な調査が実施されていますが、横軸をアルコール摂取頻度、縦軸を死亡率とすると、J字型カーブになる傾向があります。そのため、アルコール飲料は、全然飲まないよりも少量飲んだ方が健康に良い、特に心血管疾患は改善するという解釈が一般的でした。しかし、この相関性からそうした因果関係を導くには慎重であるべきです。なぜなら、J字型カーブは、アルコール飲料を飲まないことが死亡率を高めているのではなくて、健康状態の悪い人が飲酒を回避しているという逆の因果関係で説明できるからです。過去に飲酒経験があって断酒している人にはこの傾向が顕著に見られます。そこで、近年の研究は、飲酒経験が全くない人を基準に死亡率のリスク比を算出していますが、それでもまだ十分ではありません。

英国全土から無作為抽出した18-34歳の男性2826名と女性3618名に聞き取り調査し、民族、所得、教育、運動等の要因で調整した研究[2]によると、成人期初期に持病を有する者が非飲酒者である確率は、男性で1.74倍(P<0.01)、女性で1.45倍(P<0.01)であることが判明しました。生涯禁酒者までが、健康上の理由から飲酒を避けている以上、逆の因果関係は、完全には否定できません[3]

この欠点を回避するために別のアプローチをとった研究の成果が、2018年に『ランセット』で発表されました。この研究は、1990年から2016年にかけて195の国や地域が一人当たりで消費するアルコール消費量を推定し、アルコール消費がもたらす障害調整生命年の相対リスク(死亡率に加え疾病率も含めた包括的な健康リスク)を計算しました。その結果、J字型カーブとなる、つまり、少量の飲酒が有意に健康リスクを低下させるのは虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)だけにすぎず、総合的な障害調整生命年の相対リスクは、以下のグラフに示されるとおり、飲酒量の増加に伴って単調に増大することが判明しました。

毎日のアルコール消費量(横軸:1単位は純エチルアルコール10g)と健康リスク(縦軸:交絡要因で調節した障害調整生命年の相対リスク)。Source: Griswold, Max G., Nancy Fullman, Caitlin Hawley, Nicholas Arian, Stephanie R. M. Zimsen, Hayley D. Tymeson, Vidhya Venkateswaran, et al. “Alcohol Use and Burden for 195 Countries and Territories, 1990–2016: A Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2016.” The Lancet 392, no. 10152 (September 22, 2018): 1015–35. Licensed under CC-BY.

『ランセット』は非常に権威のある医学雑誌なので、健康リスクを最小にする飲酒量はゼロというこの発表の結論は大きな反響を呼びました。もちろん異論も出ていますが、「酒は百薬の長」という主張は少数派になっています。35万人以上の健康データを調査した2022年の研究[4]でも、虚血性心疾患経験者を除外して、逆の因果性を排除すると、飲酒は、少量であっても心血管疾患を悪化させるという結論が出ています。

1.3. 牛乳や乳飲料が健康に与える影響

牛乳や乳飲料もポピュラーな飲み物なので、健康に与える影響は詳しく調べられています。2019年に発表されたメタアナリシスのメタアナリシス[5]によると、過去に発表された4本のメタアナリシスは、牛乳摂取が全原因死亡率に有意な影響を与えないという同じ結論を出しています。チーズやヨーグルトなど他の乳製品の摂取も同じです。

ヨーグルト、クリーム、チーズ、バターなど、牛乳を加工して作られる製品は、乳製品と呼ばれます。

欧米で実施される調査では、牛乳や乳製品が健康に与える影響は中立的とするものが多いのですが、日本をはじめとするアジアでは、肯定的な影響を報告する調査があります。調査開始時に40~79歳だった日本人9万4980人を1988年から2009まで追跡した研究[6]によると、牛乳を全く飲まない男性に比べて、月に1~2回牛乳を飲用する男性の全原因死亡率ハザード比は、0.92(95%信頼区間:0.85~0.99)で、有意に1を下回りました。また牛乳を全く飲まない女性に比べて、週に3~4回牛乳を飲用する女性の全原因死亡率ハザード比は、0.91(95%信頼区間:0.85~0.98)で、こちらも有意に1を下回りました。日本では、牛乳の摂取が全原因死亡率を低下させているという結果になりました。

この違いは、日本と欧米で牛乳の消費量が違うことから生じると考えられています。アジア人の90%以上は乳糖不耐症で、乳糖をグルコースとガラクトースに分解する酵素のラクターゼが欠乏しています。そのこともあって、日本人は、生涯ラクターゼを産生できる欧米人ほど大量に乳製品を消費しません。それゆえ、日本での調査は、全く飲まない人とたまに飲む人との比較となり、少量を飲む利益が出る一方で、大量に飲む不利益が現れなかったと解釈できます。

では、牛乳を飲むことによる利益と不利益とは何でしょうか。この点で参考になるのが、2020年に発表された中国での調査結果[7]です。50歳以上の1万8214人を平均11.5年間追跡して調べたところ、牛乳を飲まない人と比べた中程度の消費者(週に牛乳を250~750ml飲む人たち)のハザード比は、

  • 全原因死亡率で、0.92(95%信用区間:0.81~1.04)
  • 心血管疾患死亡率で、0.72(95%信用区間:0.57~0.92)
  • 虚血性心疾患死亡率で、0.57(95%信用区間:0.38~0.85)
  • 脳卒中死亡率で、0.77(95%信用区間:0.63~0.94)

となりました。全原因死亡率は有意に1を下回りませんでしたが、循環器系の疾患による死亡率は有意に1を下回りました。他方で、牛乳をたくさん(週に750ml以上)飲む人たちのがんによる死亡率は、1.33(95%信用区間:1.12~1.57)と有意に1を上回りました。

この結果を牛乳の成分で説明しましょう。牛乳がもたらす健康上の利益と言えば、カルシウムです。カルシウムを含む食品は他にもありますが、牛乳に含まれるカゼイン・プロテインが小腸でのカルシウムの吸収を助けるので、牛乳を飲んだ時のカルシウムの吸収率は、他の食品の摂取時よりも高くなります。体内でカルシウムが不足すると、骨から血中にカルシウムが流れ出します。副甲状腺ホルモンの過剰な分泌により、カルシウム不足がかえって血中のカルシウム濃度を高めるこの現象は、カルシウム・パラドックスと呼ばれます。血中のカルシウム濃度が高くなると、血管の中膜にカルシウムが沈着して血管が硬くなる動脈硬化が起きます。牛乳を飲んで、カルシウムを効率的に摂取すれば、血管の石灰化を防げるので、循環器系の疾患による死亡率が低下すると考えられます。

では、牛乳の消費量増大ががんの死亡率を高めるのはなぜでしょうか。牛乳に含まれるホエイン・プロテイン(乳清タンパク質)やカゼイン・プロテイン由来のトリプトファン(Trp)が、成長ホルモン(GH)やGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の分泌増加を介して、肝臓でのIGF-1合成や膵臓でのインスリン分泌を活性化させます。

牛乳の消費が惹き起こす成長促進カスケード。Source: Melnik, Bodo C., Swen Malte John, and Gerd Schmitz. “Milk Is Not Just Food but Most Likely a Genetic Transfection System Activating MTORC1 Signaling for Postnatal Growth.” Nutrition Journal 12, no. 1 (July 25, 2013): 103. Licensed under CC-BY-SA.

すると、この図にも描かれているように、Insulin/IGF-1→IRS→PI3K→PDK1→Akt¬TSC2¬Rheb→mTORC1 というカスケードにより、細胞の増殖と成長が促されます。

牛乳あるいは一般的に言って乳は、哺乳類が子を育てるために出すのですから、牛乳が体の成長を促進するのは当たり前のことです。育ち盛りの子供が牛乳を飲むのは良いとしても、発育期を終えた15歳以上の大人までが牛乳を飲むのは、本来の在り方ではないし、それゆえ利益だけでなく弊害もあるということです。すなわち、成長促進は成人後に老化促進となり、しかもがん細胞の成長まで促進するので、その点では死亡率を高めることになるのです。

16時間断食の弊害の克服法」で、カロリー制限は、一方で抗老化カスケードを活性化し、他方で成長促進カスケードを抑制することを説明しました。牛乳を飲むことで活性化する成長促進カスケードを抑制し、死亡率を低下させようとするなら、カロリー制限もしくはカロリー制限模倣物質の摂取で対抗しなければなりません。後者のために、牛乳に加え何を飲むべきかが次章以下のテーマです。

2. コーヒーが健康に与える影響

カロリー制限模倣物質を含むという点で注目すべき飲み物は、コーヒーです。この章では、コーヒーのカロリー制限模倣効果のエビデンスを確認した上で、そのメカニズムを説明し、具体的な飲み方を提案します。

2.1. コーヒーの健康効果に対する認識の変化

1980年代前半頃まで、コーヒーは健康に悪い飲み物と思われていました。私も、子供の頃、カフェインを含むコーヒーは、ニコチンを含むタバコやアルコールを含む酒と同様、子供が口にしてはいけない嗜好品と教わった記憶があります。そうしたコーヒー有害説は、必ずしも偏見だけから生まれたのではありません。カフェイン中毒で死亡する人は実際にいますし、コーヒーが脂質異常症を悪化させるという報告もかつてはありました。

コーヒー豆に含まれるカフェストールとカウェオールというジテルペン類は、肝臓のコレステロール分解酵素の働きを阻害することで、LDLコレステロールの値を上昇させます。コーヒー豆を煮出して、濾過せずに、しかも大量に飲む習慣がある北欧で、コーヒーの消費が脂質異常症を悪化させていたのは事実です。この他、イタリアなど南欧では、極細挽きの豆から高圧の湯で瞬時に抽出したエスプレッソが好んで飲まれ、フランスなどでは、金属のフィルターで濾すだけのフレンチプレスが使われることがあります。

エスプレッソ(左)とフレンチプレス(右)。写真に見られるとおり、エスプレッソでは「クレマ」「ボディ」「ハート」の三層が分かれる。フレンチプレスでは、メッシュ・ピストンで濾過した抽出液がビーカーから注がれる構造になっているのだが、メッシュの目が粗いので、ジテルペン類を取り除けない。Source (Right): KoeppiK. “French press 2020.” Licensed under CC-BY-SA.

こうしたジテルペン類の排除が不十分な飲み方は、健康に有害と言えるでしょうが、幸い、日本では主流ではありません。日本で主流となっているのは、抽出液をペーパー・フィルターで濾過するドリップ・コーヒーやインスタント・コーヒーで、これらは、ジテルペン類が除去されているので、コレステロール値を上昇させることはありません[8]

ドリップ・コーヒー

カフェイン中毒の方はどうでしょうか。コーヒーには、100ml当り約60mgのカフェインが含まれています。一般的な緑茶や紅茶の倍以上の含有量とはいえ、100ml当り160mg含まれている玉露やそれ以上もありうるエナジードリンクほどではありません。短時間にコーヒーを8~10杯飲んで、1g(1000mg)以上のカフェインを摂取すると急性カフェイン中毒になることがありますが、普通の人はこれほど大量のコーヒーを飲みません。

コーヒーの愛好家には愛煙家が多く、肺がん死亡率の上昇など喫煙による健康被害がコーヒーによる影響と混同されることもありました。しかし、そうした交絡要因を調整した最近の疫学調査では、コーヒーの消費による死亡率低下が報告されるようになっています。ここでは、アジア地域の男性24万8050人と女性28万0454人を対象にした12の前向きコホート研究の結果をまとめた最新(2022年)の報告[9]を紹介しましょう。

コーヒーを1日3~4杯飲む男性のほとんど飲まない男性と比較したハザード比は、

  • 全原因死亡率で、0.76(95%信用区間:0.67~0.85)
  • 心血管疾患死亡率で、0.67(95%信用区間:0.55~0.81)
  • がん死亡率で、0.88(95%信用区間:0.79~0.97)

というように有意に1を下回りました。また用量依存的な逆相関も有意でした。

男性におけるコーヒーの摂取頻度と原因別の死亡率。Data from Shin et al.[9]

このグラフを見てもわかるとおり、1日4杯ぐらいまでは、飲めば飲むほど死亡率が下がるということです。女性の方のコーヒーを1日3~4杯飲むハザード比は、

  • 全原因死亡率で、0.65(95%信用区間:0.54~0.78)
  • 心血管疾患死亡率で、0.61(95%信用区間:0.48~0.79)
  • がん死亡率で、0.75(95%信用区間:0.57~0.98)

というように有意に1を下回りました。またがん死亡率以外は用量依存的な逆相関が有意でした。

女性におけるコーヒーの摂取頻度と原因別の死亡率。Data from Shin et al.[9]

女性でも、1日4杯ぐらいまでは、飲めば飲むほど死亡率が下がる傾向を観て取れます。

もとより、男女双方に言えることは、がん死亡率は、心血管疾患死亡率ほど低下しないということです。実は、コーヒーの消費でがん死亡率まで低下するのか否かは、調査によって結論が一貫していません。2017年のアンブレラ・レビュー(メタアナリシスのメタアナリシス)[10]によると、コーヒー高摂取者の低摂取者と比べたがんのリスクは、0.82(95%信用区間:0.74~0.89)ですが、日本人を対象にした2015年発表の調査[11]では、コーヒーの高摂取によるがん死亡率の有意な低下は確認されませんでした。

調査によって結論が異なるのは、コーヒーのがん予防効果が部位によって異なるからと考えられます。コーヒーがとりわけ著しい予防効果を発揮するのは、肝臓がんに対してです[12]。コーヒーには、動物実験の結果から発がん性が疑われているアクリルアミドが含まれていますが、コーヒーなど食品からアクリルアミドを7.6μg/日以上摂取すると、低摂取(4.8μg/日以下)と比べた肝臓がんのリスクは0.79(95%信用区間:0.65~0.95)というように有意に1を下回りました。しかし、コーヒーの影響を取り除くと、肝臓がんのリスクは1.08(95%信用区間:0.87~1.34)となり、有意な相関性を失いました[13]。ここから、食事で摂取する程度のアクリルアミドの発がん性は心配するほどではないことおよびコーヒーには肝臓がんリスクを低減する効果があることを結論として導けます。

2.2. コーヒーがカロリー制限を模倣する機序

コーヒーが生活習慣病を予防し、死亡率を低下させるのは、以下の調査結果から、コーヒーに含まれるカフェインとクロロゲン酸のおかげと考えられています。

  • 清涼飲料水からのカフェイン摂取が慢性腎臓病患者の死亡率に与える影響を調べた研究[14]によると、摂取しない群と比較したハザード比は、中央値未満の群で0.77(95%信用区間:0.60~1.00)、中央値以上の群で0.69(95%信用区間:0.49~0.98)で、用量依存的な低下が確認されました(p trend = 0.04)。
  • 既に引用したコーヒーの健康効果を調べたアンブレラ・レビュー(2018年の訂正版)[15]によると、デカフェ(カフェインを取り除いたコーヒー)を毎日3杯飲むことによる全原因死亡率のリスク比は、飲まない対照群を基準とすると、0.89(95%信用区間:0.85~0.93)で、有意に1を下回りました。

以上の結果から、カフェイン単独にも、カフェイン以外のコーヒーの成分、すなわちクロロゲン酸にも死亡率を低下させる効果があると言えそうです。

では、カフェインとクロロゲン酸はなぜ死亡率を低下させるのでしょうか。動物実験の結果わかってきたことは、カフェインとクロロゲン酸は、カロリー制限の時と同様に、一方で抗老化カスケードを活性化させ、他方で成長促進カスケードを抑制するからと考えられています。すなわち、カフェインは、一方でERK1/2経路を活性化しつつ、他方で PI3K → Akt → mTOR → p70S6 経路を阻害することで、オートファジーを促進します[16]。カフェインによるオートファジー促進のおかげで、肝臓内の脂肪量が減少し、脂肪肝を防げることがマウスを用いた実験[17]から判明しています。

クロロゲン酸は、末梢血単核細胞による腫瘍壊死因子(TNF-α)およびインターロイキン(IL-1β, IL-6)の産生を、それゆえ成長促進カスケードの亢進を抑制することで、抗炎症作用を発揮します[18]。ただし、クロロゲン酸は、カフェインとは異なり、熱に弱いので、浅煎りには多く含まれますが、深煎りにはほとんど含まれていません。では、深煎りにはカロリー制限模倣効果が期待できないかと言えばそうではありません。焙煎で逆に量が増える物質もあるからです。その中で注目すべきは、ニコチン酸です。

ニコチン酸(Na)は、「16時間断食の弊害の克服法」で既に説明したとおり、体内で NAD+になります。

脊椎動物体内における NAD+の生成と利用の経路[19]

NAD+が増えれば、NAD+依存のサーチュインが活性化されます。話題のニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)もNAD+前駆体ですが、高額なNMNのサプリメントを買わなくても、ピーナッツや干ししいたけやヒラタケといった安い食材からニコチン酸というNAD+前駆体を摂取できます。コーヒー豆でも、焙煎すればトリゴネリンがニコチン酸になります。焙煎度が深くて、ニコチン酸を特に含むのは、アイスコーヒーです。アイスコーヒーの場合、一杯(200ml)に約3.2mgのニコチン酸が入っているので、4~5杯も飲めば、それだけで一日に必要なニコチン酸を摂取できる計算になります。もちろん、コーヒーだけからニコチン酸を摂取するのはバランスを欠くので、他の食材からもバランスよく取り入れる方が賢明です。

2.3. コーヒーを健康的に飲むための提案

2014年にデイヴ・アスプリーが出版した『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』(原題:The Bulletproof Diet 完全無欠ダイエット)が、全米ベストセラーとなったのをきっかけに、アスプリーが提案するバター・コーヒーが日本でもブームとなりました。「完全無欠コーヒー」と喧伝されるバター・コーヒーとは、コーヒーにグラス・フェッド(牧草飼育)牛の無塩バターとココナッツ由来の中鎖脂肪酸(MCT)オイルを入れてミキサーで攪拌した飲み物で、アスプリーは朝食の代わりに飲むことを推奨しています。

完全無欠コーヒー[20]

アスプリーが「完全無欠ダイエット」と呼んでいるダイエット法は、時間制限食(16時間断食)の一種で、もう少し細かい分類で言うなら、朝食を抜く遅延時間制限食です。しかし「16時間断食の弊害の克服法」で述べたように、時間栄養学的には、夕食を抜く早期時間制限食の方が好ましいので、私は、バター・コーヒーを絶食模倣食として薦めません。夕食の代わりとなる絶食模倣食としては、コーヒーだけでなく、バターも不要で、中鎖脂肪酸(特にC8のオクタン酸)オイルだけで十分です。カフェインの効果は4時間ほど持続し、半減するのに8時間ほどかかるので、カフェインの摂取は日中に限定し、夕方以降は水しか飲まない方が賢明です。

日本で一般的なコーヒーの飲み方は、砂糖とミルクを入れて飲むという方法ですが、しばしばミルクの代わりに、以下のような「コーヒー・フレッシュ」が入れられることがあります。

コーヒー・フレッシュ。ポーション・クリームとかコーヒー・ミルクとも呼ばれるが、どれも和製英語で、英語では、”(non-dairy) creamer”とか”coffee whitener”と呼ばれている。

牛乳は腐りやすいので、喫茶店などでは、コーヒー・フレッシュが使われます。コーヒー・ミルクと言われることもありますが、主原料は植物油脂で、乳製品は、入っていたとしてもわずかです。トランス脂肪酸が含まれていることもあり、健康という観点からはあまりお勧めできません。ブラックが嫌いな人は、コーヒー・フレッシュの代わりに牛乳を入れると良いでしょう。既に述べたとおり、牛乳は健康には中立的であるからです。発育期を終えた大人が牛乳を大量に飲むことは好ましくありませんが、コーヒーに入れる程度の牛乳なら、利益よりも不利益の方が大きいということはないでしょう。

また、砂糖や人工甘味料を入れることも好ましくありません。「健康に良い甘味料は何か」で提案したように、ステビア、もしくは、アイス・コーヒーならプシコースを甘味料として使うことをお薦めします。ステビアは苦いという人もいますが、コーヒーはもともと苦みがあるので、コーヒーの甘味料として違和感なく使えます。

3. 茶とココアが健康に与える影響

茶とココアを同じ章で扱うのには理由があります。両者ともポリフェノールの一種であるカテキン類を含み、カテキン類がカロリー制限模倣物質として機能します。カテキン類が生活習慣病の予防に資することはよく知られていて、消費者庁も、茶カテキンを関与成分として豊富に含む特定保健用食品に「エネルギーとして脂肪を消費しやすくするので、体脂肪が気になる方に適しています」という宣伝文句の表示許可を出しています[21]。この章では、カテキン類がカロリー制限を模倣するメカニズムを説明した上で、茶とココアがどのような健康効果を出しているかを確認します。

3.1. 緑茶が健康に与える影響

茶は、水に次いで、世界で二番目に最もよく飲まれている飲み物です。西洋では紅茶が飲まれていますが、東アジアでは、伝統的に緑茶が飲まれています。

緑茶とは、茶葉を発酵させずに乾燥させ、湯を注ぎ、カテキン類などの成分を抽出した飲料のこと。

カテキンは、様々な物質と化合するので、一口にカテキン類と言ってもいろいろな種類があります。緑茶に含まれているカテキン類は、

  • カテキン(C=Catechin)
  • カテキンガレート(CG=Catechin Gallate)
  • エピカテキン(EC=EpiCatechin )
  • エピカテキンガレート(ECG=EpiCatechin Gallate)
  • エピガロカテキン(EGC=EpiGalloCatechin)
  • エピガロカテキンガレート(EGCG=EpiGalloCatechin Gallate)
  • ガロカテキン(GC=GalloCatechin)
  • ガロカテキンガレート(GCG=GalloCatechin Gallate)

というようにたくさんありますが、最も多く含まれるカテキン類はエピガロカテキンガレートで、全カテキン類の50~80%を占めています[22]。エピガロカテキンガレートは、より正確には、(–)-epigallocatechin-3-gallate と記されるのですが、ここでは慣例に従って、EGCGという略称を用いることにします。

他のカロリー制限模倣物質と同様、カテキン類は、オートファジーを促進します。緑茶の代表的なカテキン類であるEGCGは、AMPKシグナル経路を介してULKのリン酸化を促進し、オートファジーを誘導します[23]。また、EGCGは、PI3K → AKT → mTORシグナル伝達経路を阻害することによってもオートファジーを誘導します[24]

オートファジーを誘導するシグナル伝達。Source: Ferrari, Elena, Saverio Bettuzzi, and Valeria Naponelli. “The Potential of Epigallocatechin Gallate (EGCG) in Targeting Autophagy for Cancer Treatment: A Narrative Review.” International Journal of Molecular Sciences 23, no. 11 (January 2022): 6075. Licensed under CC-BY.

この図にあるように、オートファジーにおいては、隔離膜と呼ばれる扁平な小胞が伸長して、機能不全に陥った対象を取り囲み、オートファゴソーム(autophagosome)を形成しつつ、リソソーム(lysosome)と融合して対象を分解します。オートファジーは、ごみを掃除すると同時に、栄養素を作り出すという点で一石二鳥の効果をもたらします。

EGCGは、一方で抗老化カスケードを活性化し、他方で成長促進カスケードを抑制することで、がんの成長を遅らせると考えられます。以下の図は、EGCGが、PI3K → AKT → mTOR → eIF4E あるいは AKT → IKK → NF-κB といった腫瘍化を誘導するシグナル伝達経路を抑制することを示しています。

EGCGががん関連シグナル伝達に与える影響。Source: Ferrari, Elena, Saverio Bettuzzi, and Valeria Naponelli. “The Potential of Epigallocatechin Gallate (EGCG) in Targeting Autophagy for Cancer Treatment: A Narrative Review.” International Journal of Molecular Sciences 23, no. 11 (January 2022): 6075. Licensed under CC-BY.

もとより、これらは試験管内実験や動物実験で確認された事実にすぎません。カテキンに理論通りの効果があるかどうかをランダム化比較試験で確認しなければなりません。アジア地域の男性24万8050人と女性28万0454人を対象にした既出の調査[9]は、コーヒーだけでなく、緑茶の健康効果も調べています。そこで、まずはこの2022年発表の研究成果を紹介しましょう。

緑茶を1日1~2杯飲む男性のほとんど飲まない男性と比較したハザード比は、

  • 全原因死亡率で、0.91(95%信用区間:0.86~0.96)
  • 心血管疾患死亡率で、0.85(95%信用区間:0.80~0.91)
  • がん死亡率で、0.99(95%信用区間:0.90~1.08)

というようにがん死亡率以外は有意に1を下回りました。心血管疾患死亡率は、用量依存的な逆相関も有意でした。

男性における緑茶の摂取頻度と原因別の死亡率。Data from Shin et al.[9]

女性の方の緑茶を1日1~2杯飲むハザード比は、

  • 全原因死亡率で、0.91(95%信用区間:0.86~0.95)
  • 心血管疾患死亡率で、0.88(95%信用区間:0.80~0.96)
  • がん死亡率で、0.99(95%信用区間:0.90~1.09)

というようにがん死亡率以外は有意に1を下回りました。

女性における緑茶の摂取頻度と原因別の死亡率。Data from Shin et al.[9]

結論として、男女とも、1日2杯程度飲めば、死亡率が低下すると言えそうです。

過去には、緑茶摂取とがん死亡率の逆相関を報告した中国でのコホート研究[25]もありますが、このメタアナリシスでは、そうしたカテキンの抗腫瘍作用を確認できませんでした。それどころか、緑茶を毎日5杯以上飲む女性ががんで死亡するリスクは、1.12(95%信用区間:1.01–1.24)と有意に1を越える結果となりました。この論文の著者たちは、理由は不明としつつも、温度の高いお茶を飲むことによる粘膜の熱傷や炎症が考えられると言っています。たしかに、緑茶はコーヒーよりも高い温度で飲まれることが多いので、その可能性もあるでしょう。しかし、緑茶は食道がんのリスクを高めないことが知られていて[26]、口腔がんにいたっては、お茶が最もリスクを低減するガンとされている[27]ので、別の可能性を考える必要があります。

カテキンが心血管疾患死亡率を低下させるのは、オートファジーを誘導するからですが、オートファジーは、がん細胞に対して肯定的な影響と否定的な影響を及ぼします。オートファジーは、機能不全に陥ったオルガネラを分解することで、がん細胞の発生を未然に防ぎます。これは肯定的な影響です。オートファジーというリサイクル活動のおかげで、私たちは長生きできるのですが、他方で、がん細胞がある程度大きくなると、がん細胞が自分の長生きのためにオートファジーを活用するようになります[28]。また、オートファジーは、がんの転移をも手助けします[29]。これは否定的な影響です。緑茶摂取でがん死亡率が必ずしも低下しないのは、オートファジーのこの二面性によるのではないかと私は推測します。

がんがない健康な人なら、カロリー制限やカロリー制限模倣物質の摂取によるオートファジーの活性化で寿命が延びることでしょう。コーヒーや緑茶を飲むことに何の問題もありません。しかし、がん患者は、オートファジーの活性化に慎重でなければなりません。オートファジーを抑制するがん治療方法すらあるぐらいなので、がん患者の方は、コーヒーや緑茶の摂取に関しても、担当の医師と相談した方が良いでしょう。

3.2. 紅茶が健康に与える影響

茶を発酵させて紅茶を作るプロセスで、カテキン類は酸化・重合して、テアフラビン類となり、さらに酸化・重合が進むと、テアルビジン類となります。どちらもポリフェノール類であることには変わりなく、カロリー制限模倣効果が期待できます。

紅茶の葉(左)は、英語で”black tea”と呼ばれるだけあって、黒いのですが、抽出液(右)は赤色です。これは、テアフラビン類やテアルビジン類など酸化されたポリフェノールの色です。茶が酵素によって赤くなるのは、リンゴを切って空気に晒すと赤っぽくなるのと同じです。

もとより、テアルビジン類とポリフェノール類は、カテキン類よりも構造が複雑で、カテキン類ほどその働きが解明されていません。また、紅茶が健康に与える影響を調べたランダム化比較試験も、緑茶ほどないのですが、緑茶と紅茶の効果を比べたメタアナリシス[30]があるので、その結果を紹介しましょう。

18本の前向きコホート研究をまとめると、緑茶を最も飲まないカテゴリーと比べた最も飲むカテゴリーの相対リスクは、

  • 全原因死亡率で、0.80(95%信用区間:0.68~0.93)
  • 心血管疾患死亡率で、0.67(95%信用区間:0.46~0.96)
  • がん死亡率で、1.06(95%信用区間:0.98~1.15)

となりました。紅茶を最も飲まないカテゴリーと比べた最も飲むカテゴリーの相対リスクは、

  • 全原因死亡率で、0.90(95%信用区間:0.83~0.98)
  • 心血管疾患死亡率で、0.88(95%信用区間:0.77~1.01)
  • がん死亡率で、0.79(95%信用区間:0.65~0.97)

となりました。どちらも全原因死亡率を有意に低下させますが、緑茶が心血管疾患死亡率を有意に低下させるのに対して、紅茶はがん死亡率を有意に低下させるという違いがありました。但し、この違いは、緑茶のサンプルが東アジアに偏っていることによります。東アジアに限定すると、緑茶だけでなく、紅茶もがん死亡率を有意に低下させません。

以下のグラフは、緑茶(上のグラフ)と紅茶(下のグラフ)の消費量に対する全原因死亡率の用量反応を解析した結果です。

緑茶(上)と紅茶(下)の消費量(横軸)と全原因死亡率(縦軸)。点線は、95%信用区間の上限と下限。Source: Tang, Jun, Ju-Sheng Zheng, Ling Fang, Yongxin Jin, Wenwen Cai, and Duo Li. “Tea Consumption and Mortality of All Cancers, CVD and All Causes: A Meta-Analysis of Eighteen Prospective Cohort Studies.” British Journal of Nutrition 114, no. 5 (September 2015): 673–83.

95%信用区間が広いことからもわかるとおり、紅茶のデータは不確定性が高いのですが、毎日2~3杯程度飲むと健康に良いようです。

3.3. ココアが健康に与える影響

ココアとはカカオが訛ったもので、カカオ豆から作られたチョコレートと成分はほぼ同じ飲み物です。

ココアとチョコレート

ココアには、カテキン、エピガロカテキンおよびそれらの重合体(重合度が2~10のオリゴマー)のプロシアニジンが含まれています。これらカカオ・ポリフェノールは、緑茶のカテキン類と同様に、AMPKを活性化させる[31]ので、生活習慣病予防になります。この健康効果に与ろうと高カカオ・チョコレートを食べる人が増えています。しかし、カカオ分が高くて、砂糖が少ないほど苦くなってしまいます。好きで食べているのなら、それでかまわないのですが、もしもまずいと感じるなら、ステビア入りチョコレートを食べるかあるいは純ココアにステビアかプシコースを入れて飲んだ方が良いでしょう。

カカオ・ポリフェノールは、心血管疾患の発症リスク低減と関連することが示唆されています。2019年のメタアナリシス[32]によると、カカオ・ポリフェノールの摂取は、動脈硬化のリスクの指標である血流依存性血管拡張反応を1.17%(95%信用区間:0.76%~1.57%)改善します。最も大きな改善効果をもたらしたのは、95mg/日のエピカテキンまたは25mg/日のカテキンとのことです。

カカオ・ポリフェノールが血管をしなやかにしてくれるのなら、血圧も下げてくれるはずです。2020年のメタアナリシス[33]によると、ココアの摂取後、

  • 収縮期血圧で 2.77 mm Hg(95%信用区間:5.28~0.27 mm Hg, P = 0.03, I2 = 89%)
  • 拡張期血圧で 1.47 mm Hg(95%信用区間:2.40~0.55 mm Hg, P = 0.001, I2 = 45%)

の有意な低下が観察されました。

この他、糖尿病の改善にも役立ちます。2020年の別のメタアナリシス[34]によると、2型糖尿病患者にココアやダーク・チョコレートを摂取させたところ、対照群と比べた加重平均差は、

  • LDLコレステロールで -15.49 mg/dl(95%信用区間:-24.56~-6.42 mg/dl, P = 0.001)
  • 空腹時血糖濃度で -6.88 mg/dl(95%信用区間:-13.28~-0.48 mg/dl, P = 0.03)

の有意な低下が観察されました。

以上から、ココアや高カカオ・チョコレートには、心血管疾患の発症リスクを低減する効果があると言えます。しかし、関与成分が緑茶と重なっているので、緑茶を毎日2杯程度飲んでいる人が、健康目的でココアや高カカオ・チョコレートをことさら摂取する必要はないと思います。

最後に結論をまとめましょう。避けるべき飲み物は、砂糖入り清涼飲料水(人工甘味料入りも含める)とアルコール飲料です。飲むべき飲み物は、コーヒー、緑茶、紅茶、ココアです。牛乳は、中立的なので、好みにより、コーヒー、紅茶、ココアに入れてください。日本人には飲み物を高温で飲む習慣がありますが、国際がん研究機関(IARC)は、65度を超える温度の飲み物に発がん性があるとしているので、温度を下げるためにも、冷たい牛乳を注ぐことは有益です。緑茶の場合は、飲む直前に水や氷を加えるなどして、65度以下にすると良いでしょう。

免責事項:このコンテンツは一般的な情報の提供を目的としています。一般に健康に良いとされる方法が個別にも最適とは限らないので、個別での実践に際しては、個別事情に詳しいかかりつけ医等に相談してください。

4. 動画による要点のまとめ

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