YOKU STUDIO による連載企画、SPIRITUAL REBIRTH PROJECT。
今回からは、「カルマ 再生」シリーズをお届けします!
みなさんは、「カルマ」という言葉から、どんな印象を受けますか?
「カルマ」とは、ごく簡単に言うと、今を生きる私たちが直面する何らかの現象には、私たちの過去世での行いが影響しているという考え方です。
「コップの水がこぼれる」という結果には、その原因となる「コップを倒す」という行為が作用している、というように、ある結果には必ずその原因があると捉え、それによって私たちの人生に生じる出来事を説明しようとするものなのですが…
近年では、この「カルマ」という言葉に、かなりマイナスのイメージが付いているように思います。
たとえば、霊感商法の手口として、「カルマ」が持ち出されることはよくあります。相談者に対して、怖い霊能者が、「あなたの人生が苦難に満ちているのは、前世で罪を犯したカルマのせいです!そのカルマを解消するためには、絶対にこういう施術や商品が必要!!」と言ってくるとか…。
この世界を生きる自分が抱えた、生まれながらの宿命的ストーリーのようなものとして、「カルマ」が捉えられることは多く、だからこそスピリチュアルの世界において、「カルマ」の存在とその解消のプロセスが、これまでとても重視されてきたのです。
けれど。
YOKU STUDIO では、「目覚め」「アセンション」へと向かっていくこの時代において、「カルマ」というものは、もう私たちの人生を縛るものではないと考えています。
特定の「カルマ」、つまりたった一つの原因-結果のストーリーを背負い続けながら、人生を送る必要はないのです。
「カルマ」は、逃れられない宿命ではなく、私たちが自由に変更できるもの。
むしろ逆転の発想で、「カルマ」的な想像力をうまく活用し、私たちの人生をより楽しく明るくしてくれるような「カルマ」――いわば「ポジティブカルマ」――を、新たに作り出すことさえできるんです!
「カルマ」という考え方を成立させ、ここまで大きな影響力を持つ概念へと成⻑させてきたのは、物事を原因-結果の因果律で把握しようとする人間の想像力そのものだと言えます。
その想像力を解体し、私たちの生活を豊かにするための手段へと再生していくために。
まずは、「カルマ」をめぐる思想の歴史を整理していくことからはじめようと思います!
「カルマ」=物理法則
そもそも「カルマ」とはサンスクリット語で、日本語では「業(ごう)」と訳されます。
仏教をはじめとするインド発祥の宗教思想において使われていた言葉です。
『岩波仏教辞典』において、「業」は、以下のように説明されています。
業 ごう[s :karman, p :kamma]原語の基本的意味は、〈なすこと〉〈なすもの〉〈なす力〉などで、〈作用〉〈行為〉〈行為対象〉〈祭祀〉などを表す語としてインド思想一般で広く用いられた。
(中村元ほか編『岩波仏教辞典 第二版』、岩波書店、2002 年、299 頁)
【業と輪廻】とくに紀元前 6-7 世紀にウパニシャッドが登場し、輪廻説が展開されるようになると、業の思想は輪廻転生説と深く関わることになる。徳のある人は、(前世)の徳のある行為(業)によって生じ、悪人は悪しき行為によって生じる、というウパニシャッドの著名な哲人ヤージニャヴァルキヤの言葉は、業と輪廻のかかわりを典型的に表明する。このように業は単なる行為にとどまらず、死後にも潜勢的な力となって残存し、人の来世の善悪のあり方を規定するとの考えは広く浸透することになった。(後略)
つまり、「カルマ」とは元々、広く「作用」「行為」などのように、何かに対して働きかける運動性そのものを指す言葉でした。
それが、インド哲学における「輪廻転生」という考え方、つまり人間は死んで再び生まれかわることを繰り返すのだという死生観と結びつくことで、死後にも残存する「潜勢的な力」、つまり、ひそかに私たちに働きかけてくる力を意味するようになったとされています。
現世の生に影響を与える、過去世での行為の余波として、「カルマ」が捉えられるようになったわけです。
それは必ずしも、「善い行為」「悪い行為」に限定されるものではありません。
はじめにお話しした「コップ」の例を再び挙げるとすれば。コップを倒すだけの何らかの力が働いたなら、コップを満たしていた水は必ずこぼれますよね。
このような単純な原因-結果のつながりを、…〜前々世〜前世〜現世〜来世〜…という、生まれ変わりを前提とした⻑い時間軸のなかで捉えたのが、「カルマ」です。
過去世において何らかの行為に及んだ時の力は、現世においても必ず何らかの結果に結びつく。つまり、現世での出来事は、過去世での行為に起因している。
このように、まさに物理法則のような非常にシンプルな考え方が、「カルマ」の元々の意味だと言えるのです。
「カルマ」=「霊的ゆがみ」
物理法則的な、原義に近い「カルマ」の捉え方は、後年にも受け継がれています。
紹介したいのは、バーバラ・アン・ブレナンの思想です。
バーバラは、アメリカのヒーラーで、元々は NASA に勤務する物理研究者でもありました。1982 年に、ヒーリング・サイエンスの専門教育機関である BBSH(Barbara Brennan School of Healing)を創設し、独自にヒーリング・サイエンスの技法を確立した人物です。
彼女によれば、人間は、三次元の生身の肉体だけではなく、もっと高次の霊的な身体性を、レイヤー状に複数持っています。
各々のレベルの身体性が共鳴し合い、そのエネルギーのバランスが綺麗に整っている状態が「健康」な状態であり、そこに「ゆがみ」が生じてしまうと、「病気」などの不具合が発生するのだと言います。
そして、この霊的身体性における「ゆがみ」こそ、「カルマ」なのだと。
これらの「霊的ゆがみ」はいつもこの生涯(現世〉の中で、あるいは別の生涯(過去生〉の中で身についた信念体系と関連しており、そのためそれらは因果応報的(カルマ的)となる。私はカルマとは、それがより大きな現実に清算されて連合されるまで、一つの生涯から次の生涯へと持ち越されてゆく、その人の信念体系から作り出された人生経験であると考えている。
(バーバラ・アン・ブレナン『光の手―自己変革への旅(下)』、三村寛子・加納眞士訳、河出書房新社、26 頁)
バーバラの考え方によれば、人間の「信念体系」、つまり、こりかたまった規範や信条などが、霊的身体性に「ゆがみ」を生じさせ、それが次の生涯へと持ち越されていったものが、「カルマ」です。
現世において私たちが直面する様々な不具合の原因を、過去世において生じた「霊的ゆがみ」、つまり霊的身体性に刻まれた傷のようなものに還元するこの考え方は、かなり物理法則的だと言えると思います。
不可解な発作などの身体症状の原因を、潜在意識に抑圧された「トラウマ」(心の傷)に求める、精神分析の手法とも、ある意味で似通っていますね。
「カルマ」=「贖罪」?
本来「カルマ」というのは、物理法則的な原因-結果の関係性を指す言葉であり、現代におけるヒーリングの分野においてもそのようなシンプルな解釈が採用されていることが、お分かりいただけたかなと思います。
しかし、スピリチュアルの世界における「カルマ」は、おどろおどろしいストーリー、あるいは情に訴えかけるようなストーリーとして、語られることが多いのも事実です。
「前世で多くの人を傷つけたから、現世では人との縁にめぐまれない」とか、「前世で女性に非常にモテて遊びすぎたから、今世では結婚できない」とか。
つまり、前世で犯した罪を今世で償う、といった「贖罪」的なストーリーが、「カルマ」の解釈として広がっているわけです。
これは一体なぜなのでしょうか?
次回は、この「贖罪」としての「カルマ」論の歴史を辿り、その背景を探っていきたいと思います!
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