YOKU STUDIO による連載企画、SPIRITUAL REBIRTH PROJECT。
「スターシード 再⽣」シリーズ、第 7 弾です!
前回は、様々な思想的共通点を持つ、グノーシス主義とニューエイジ運動の社会背景を分析しました。
この分析によって⾒えてきたのは、どちらも、⽐較的安定した社会情勢があったからこそ可能になった、内省的なアイデンティティの追求運動であったこと。
物理的な安定によっては満たされない⼼のわだかまりを⾒つめ、深掘っていくなかで、魂のルーツとしての⾼次元の世界へと向かう想像⼒が発展したのだと考えられるのではないでしょうか?
ニューエイジ運動は、あらゆる存在をその⼀部とする「ワンネス」、つまり宇宙全体との⼀元的な融合を重視するのですが、実はそこには、まさにグノーシス主義的な魂 vs ⾁体(あるいは精神 vs 物質、善 vs 悪)の⼆元論の影響も⾊濃く⾒られます。
あらゆるものの調和を⽬指す⼀元論的な世界解釈を打ち出しながらも、そのなかに⼆元論的な思想が⾒え隠れする、という⽭盾を抱えているのがニューエイジ運動の⾔説であり、そしてその最たるものが「スターシード」⾔説なのです。
そこで今回は、ニューエイジ運動から派⽣した「スターシード」⾔説が抱えるこの⽭盾を、具体的なテクストを⾒ながら考察していきます。
その⽭盾を⽣む原因となっている、「私たちは、⾮本来的な存在に⽀配されている」という主張に注⽬します!
・「スターシード」⾔説における地球の成り⽴ち
「スターシード」(または「スターピープル」)という⾔葉がニューエイジ⾔説のなかで⽤いられるようになったのは、1970 年代後半あたりからだとされています。
その後、精神世界に興味を持つ⼈々の間で「宇宙」への関⼼が⾼まり、宇宙存在のチャネリングにより⾼次元のメッセージを得る試みがなされるようにもなりました。
惑星エササニの宇宙船パイロットである「バシャール」をチャネルするダリル・アンカや、プレアデス⼈の⼥性である「サーシャ」をチャネルする、リサ・ロイヤルなどが、特に有名ですね。
彼らチャネラーが受け取ったメッセージのなかには、この宇宙における地球の成り⽴ちや、「スターシード」の役割について、詳細に語っているものが多くあるのです。
今回注⽬したいのは、バーバラ・マーシニアックが 1992 年に発表した『プレアデス+かく語りき』。「ツインレイ 再⽣⑤」において、「ツインフレーム」という概念の起源として紹介した書物です。
80 年代末からプレアデス⼈とのチャネリングを始めたという彼⼥は、この本のなかで、プレアデス⼈が語る地球創造の歴史を語っています。
該当部分を⾒てみましょう。
⼈類は⼀つの実験です。創造の世界に存在するすべてのものがそうであるように、⼈類もまたデザインされたのです。根本創造主は、⾃⼰探求のために、⾃らの喜びのために、そして、⾃⼰表現のために、この宇宙で創造の実験を遙か昔に開始しました。根本創造主は⽣命のエネルギーと本質、それは⾃らの延⻑存在であるのですが、それをこの宇宙にもたらし、この延⻑存在に贈り物を授けました。根本創造主は⾃らのもてる能⼒を喜んで、惜しみなく与えました。この宇宙以外にも数多くの宇宙が存在しますが、この宇宙はすべてが許される⾃由意思の領域としてデザインされました。
(バーバラ・マーシニアック『プレアデス+かく語りき<地球 30 万年の夜明け>』、⼤内博訳、太陽出版、2004 年、42-43 ⾴)
(中略)
すべての星雲の代表者をこの惑星、地球に送り込むために⼤急ぎで作業が進められました。創造神のなかには、遺伝学にきわめて優れている者がおりました。彼らは、序列階級によって分⼦を繋ぎ、分⼦に個体性と、周波数と電荷をコード化して与え、⽣命体を創造しました。数多くの、意識をもった⽂明がこの惑星にそれぞれのコードを実現させるべく、⾃らのDNA を提供しました。それから、遺伝学の権威である創造神が、さまざまな DNA を実験することによって、さまざまな種をデザインし、⼈間や動物が⽣まれました。それらの DNAは、地球を情報交換センター、光のセンター、⽣きた図書館にするために、数多くの意識をもった⽂明体が貢献してくれたものです。地球の計画は実に壮⼤なものでした。
プレアデスを含む様々な宇宙⽂明が、情報共有のための図書館として構想されたのが地球であり、そのような⽬的に沿って創り出された地球⼈類には、それぞれの⽂明に属する存在の DNA が埋め込まれている、というのです。
この考え⽅に⽴てば、そもそも地球⼈類の祖先は、DNA レベルで「スターシード」だった、ということになります。
⼈類はサルから進化したという進化論を当たり前に信じている現代⼈からすれば、なかなかトンデモな話なのですが…(この本に限らず、「スターシード」⾔説にはそういう側⾯が否めません)
実はスピリチュアルの世界では、「宇宙⽂明の DNA をブレンドすることによって地球⼈が⽣まれた」という説は、わりとメジャーなのです。
・約 30 万年にわたって⽀配されてきた⼈類
しかし、この本で語られている地球の歴史には、まだまだ続きがあります。
さまざまな星雲が情報を交換し合う、宇宙規模の図書館としての地球の所有権をめぐって、神々の間で争いが起こるようになり、当初地球を創造した光の存在以外のものたちが、そこを⽀配するようになったのだと⾔うのです。
創造神のなかに、進化をとげていく過程で、⽣命体を創造し、意識体の周波数を調節することにより意識を物に吹き込むことによって、⾃らを利することができることを発⾒した者がいました。そうすれば創造したものをつねに⽀配下に置いておくこともできるのでした。根本創造主も、このようにして⾃らに滋養を与えているのだということに彼らは気付きはじめたのです。根本創造主は他の存在を送り出して意識の電磁気振動数を作らせ、それを⾃らの⾷糧源としているのです。
(同上 45-46 ⾴)
地球の新たな所有者たちの⾷欲と好みは、前の所有者のそれとは異なっていました。彼らは、混乱と恐怖を滋養としました。混乱と恐怖が彼らを太らせ、彼らを刺激し、彼らに安定した⽀配の座を与えてくれたのです。
約三〇万年前にやってきた新たな地球の所有者こそ、聖書のなかで語られている偉⼤な存在たちです。バビロニアやシュメリアの⽂字板、世界中のさまざまな⽂書のなかに語られている存在です。彼らは地球にやってきて、そこに住んでいた⼈間を組み替えたのです。彼らはあなた⽅の DNA を組み替えて、あなた⽅が⼀定のかぎられた周波数のなかにおいてしか⾏動できないようにしました。この周波数は、彼らに滋養をもたらすものであり、彼らの⽀配の継続を可能にするものであったのです。
「約三〇万年前にやってきた新たな地球の所有者」は、たしかに神ではありながらも、根本創造主とは異なる特徴を持つようになった存在。⾃らの⾷糧源としての⼈類の「混乱と恐怖」を⽣み出すために、様々な操作をしたと⾔います。
まず、⼈類の DNA の組み替えによって、そもそも⼈類の DNA に組み込まれていたはずの「光がコード化されているフィラメント」が、機能停⽌にされた。(同上 46 ⾴)
そして、地球の周囲をめぐる「周波数の壁」の構築によって、宇宙からの光の周波数が地球に届きづらくなった。
ここで⾔われている「光」とは、宇宙⽂明からやってくる情報そのものであり、⾼次元のエネルギーを指します。
そのエネルギーが、新たな地球の所有者が好む「混乱と恐怖」と相反するものであることは、⾔わずもがなです。
そもそも⼈類は、そのような「光」を受け取るポテンシャルがあったのに、30 万年もの間、それを封じられたままになっている。
だからこそ、私たち⼀⼈ひとりがその⽀配構造に気付き、⾃分が本来持っているはずの「光」のポテンシャルに⽬覚めていくことが重要なのだ!という主張につながっていくわけです。
・グノーシス主義的な「本当の⾃分探し」構造
この新たな地球の所有者が、「聖書のなかで語られている偉⼤な存在たち」であり、「バビロニアやシュメリアの⽂字板、世界中のさまざまな⽂書のなかに語られている存在」だとされていることも重要です。
つまり、地球に⽣きる私たちが⼀般的に「神」と信じている存在たちが、実は⼈類のポテンシャルを抑圧し、「混乱と恐怖」を⽣み出し続けてきた存在であり、根本創造主ではないのだというのです。
他の多くの「スターシード」⾔説、あるいは「⽬覚め」「アセンション」をめぐる⾔説でも、地球の創造主や⽀配者は⾮本来的な存在であって、⼈類はその⽀配から抜け出して、宇宙との本来的な融合を果たすべきだ!という主張は、しばしば⾒られるものです。
(バーバラはこの本のなかで、利⼰的な⽬的のもとに⼈間を⽀配し、宇宙との交流を阻んできた存在を「⿊い T シャツ」とか「リジー」などと呼んでいますが、他の⾔説では「レプティリアン」とか、「アヌンナキ」と表現されたりもします)
「私たちは、⾮本来的な存在に⽀配されている」…この考え⽅って、やはりすごくグノーシス主義的なのです!
グノーシス主義が、⼈類の創造神を「偽の神」として否定する思想であることは、以前詳しく述べましたよね。
もちろんニューエイジ運動から派⽣した「スターシード」⾔説は、「ホリスティックな調和」を⽬指す思想を引き継いでおり、物質世界を完全に否定するものではありません。
バーバラも『プレアデス+かく語りき』においては、チャクラ開発などのボディワークに取り組むことや、セクシャリティを謳歌すること、つまり⾃分⾃⾝の⾁体と向き合うことを重視していて、⼀⾒するとグノーシス主義的な魂 vs ⾁体(あるいは精神 vs 物質)の⼆元論には当てはまらないように思えます。
しかし⾁体を重視しているといっても、それは、「本当の⾃分になっていく」ために⾁体を活⽤することの重視であり、私たちが⽣まれてからこれまで毎⽇共に⽣きてきた(ままならなさを抱えた)この⾁体や、それをとりまく物質世界⾃体を、そのまま肯定するものではありません。
現代スピリチュアリズムにおける⾁体の重視は、「いまここの、ありのままの⾁体」をある意味で否定し、「本当の⾃分としての理想の⾁体」を⽬指した筋トレを推奨するような思想性だと定義できるのではないでしょうか?
つまり、ニューエイジから派⽣した「スターシード」⾔説の根底にあるのは、「現在の私たちは、本来は宇宙との調和のなかに⽣きていたが、ある種の敵によって、精神・⾁体の両⾯で⾮本来的な状態におとしめられている」という認識、さらに「そこから抜け出して本当の⾃分を⾒つけたい」という欲望であるように思うのです。
情報やモノがあふれ、⽣活が⾶躍的に豊かになりながらも、どこか満たされない気持ちを抱えて「⾃分探し」をする⼈々が増えている現代だからこそ、このような「スターシード」⾔説が数多く⽣まれ、その需要も⾼まっているのかもしれませんね。
次回は、「スターシード 再⽣」の最終回であり、lani での連載の最終回!
現代社会における「スターシード」⾔説の役割を分析し、YOKU STUDIO 的に「スターシード」の再定義をします!
どうぞお楽しみに!
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