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マインドフルネスと音楽について!選び方やおすすめの音楽

マインドフルネスと音楽について!選び方やおすすめの音楽

トレーニングジムの瞑想やヨガのプログラムでは、瞑想の効果を高めるために、音楽を使います。参加者が瞑想の境地に入りやすくするために、プログラムのあいだ、ずっと、心地よい音楽を流すことが多いです。
マインドフルネスと音楽のあいだには、直接の関係があるわけではありませんけれども、音楽を聴きながら瞑想をする場合には、実際に、プラスの効果がある、ということがことがわかっています。
この記事では、音楽をどのようにマインドフルネスに取り入れればよいのか、ということについて述べようと思います。

マインドフルネスと音楽の効果

基本的に、マインドフルネス瞑想には、音楽は必要というわけではありません。
お寺の修行や瞑想会では、音楽など流しません。だから、座って、意識を集中できるような環境ならば、どのような場合にも、瞑想はできます。マインドフルネスの瞑想も、禅の瞑想がもととなっているため、音楽を使うことが必要となるような瞑想法ではありません。
瞑想において、音楽は、ただの補助的な手段です。瞑想じたいが、普段の集中状態を保つための訓練でもあるため、座る時間さえつくることができれば、それだけでも、十分に、雑念をなくすことができます。
ほんとうは、音楽がなくても集中できる、という習慣をつくることが、のぞましいのです。
しかし、実際に、瞑想の効果を高めるような音楽は、あります。そのような、リラクゼーションの効果があるような音楽を聴きながらおこなう瞑想は、呼吸に集中しやすいといわれています。
なぜなら、雑念が湧きにくくなるからです。
特定の音楽が、われわれの脳波に影響を与える、という事実が、生物学者や、医師といった、さまざまな分野の専門家がおこなった研究によって、解明されています。
精神疾患の治療には、音楽療法という分野があります。特定の音楽が、不安を軽くしたり、リラクゼーションを促す効果がある、という研究成果は、たくさんあります。それほど、音楽が心にプラスの効果をもたらすという事実は、深く考察されています。
それでは、瞑想と音楽には、どのような関係があるのでしょうか。
瞑想をしているときの脳波には、アルファ波が出現します。より具体的に言うならば、アルファ波からシータ波にまたがる、6〜10Hzの周波数が、深い瞑想の境地を示す脳波です。
アルファ波は、ゆったりとした感情をあらわす脳波です。脳がリラックスしている状態のときに、この脳波が発生します。
そして、シータ波は、まどろみと、集中力の脳波です。『まどろみ』と『集中力』などと言うと、矛盾しているように思われるかもしれませんけれども、つまり『直感的な判断力が高まっている状態』ということです。一般的に、アルファ波の効果が大きく取り上げられる傾向があるため、おそらく、こちらの脳波がもたらす効果は、あまり知られていないかもしれません。
マインドフルネスとシータ波がかかわってくる要素は、シータ波には、雑念とかかわる神経ネットワークのはたらきを抑制する、という研究結果です。その、雑念の原因となる神経ネットワークは、デフォルトモード・ネットワーク(DMN)とよばれています。マインドフルネスや、その瞑想法を実践することによって、DMNの活動が抑制される、ということがわかっています。シータ波の状態では、脳の神経細胞は、情報のやり取りがしやすくなるのです。
そして、シータ波が出ている状態を多く経験することによって、脳の記憶や情報処理をおこなう部位である、海馬の歯状回に変化が起こります。その変化というのは、新生ニューロンの数が増加する、ということです。マインドフルネス瞑想でも、海馬が増大するということがわかっています。
これらの理由により、マインドフルネス瞑想に音楽を取り入れることは、相乗効果をもたらす、ということができます。『音楽を聴きながら瞑想をすると、高い効果を得ることができる』といわれている事実には、そのような科学的な根拠があります。脳波に、アルファ波とシータ波が同時に存在している状態が、深い瞑想の状態なのです。
『音楽がなければ瞑想に入ることができない』という依存的な思考に陥ってしまうことはよくありませんけれども、初心者の方々は、まずは音楽を楽しみながら瞑想のルーティンをつくるとよいと思われます。
α波やθ波を引き出すための音源は、レコード専門店だけではなく、書店や、インターネットで入手することができます。音楽を活用することによって、心の安定をつくり出すことができます。このような音楽には、専門家による監修のもとで作曲された音源もあります。
ただ呼吸に注意を向けるだけの瞑想ではうまくできない、という方々は、このような音楽を、瞑想への導入として使うこともできます。
瞑想を実践する人に、心の準備ができていなければ、マインドフルな状態をつくることが難しくなります。そのような場合に、安心感をもたらすような音楽を聴くことによって、瞑想に入りやすい状態をつくるのです。

ふつうの音楽鑑賞を瞑想として活用する方法

リラクゼーションという目的で作曲された音楽ではなくても、一つひとつの音に注意を向けるならば、集中状態をつくるための訓練をすることができます。つまり『音楽を鑑賞する』という行為そのものを、瞑想として活用する、ということです。
もっとも、ノイズが多い曲や、テンポが早すぎる曲には、この方法は向いていませんけれども、たとえば、歌詞のないジャズやフュージョン系の曲などを聴くときに、それらの曲を『ドラムの音』『サックスの音』というふうに、それぞれの音を意識しながら聴くのです。普段から、音楽鑑賞を趣味としている方々ならば、普段聴くときにも、このような聴き方をしているかもしれません。
それとは反対に、歌詞がある楽曲を使うときには、言葉の意味に注意が向いてしまうため、瞑想に集中することができなくなりがちです。だから、歌詞のない曲を選んだほうがよいのです。
シータ波を発生させるためには、体が高揚するような音楽が効果的です。そうでなくても、リズム感のある音楽ならば、シータ波を引き出してくれます。

自分にあったマインドフルネス音楽の選び方

聴く人の脳に、アルファ波を覚醒させて、瞑想状態に導くような音楽には、ある特徴があります。
その特徴というのは『1/fゆらぎ』です。
アルファ波を引き出す音楽として知られているのが『1/fゆらぎ』を取り入れた音楽です。
「f」というのは、ゆらぎ具合を表す周波数の記号です。
規則的なリズムと不規則なリズムのゆらぎが一つとなった「1/fゆらぎ」は、また、あらゆる自然の中に存在するゆらぎでもあります。それは、人間が、生命の内側から心地よく感じるような、ゆらぎなのです。
つまり、アルファ波によるリラックス状態は、自然の中にあるゆらぎと関係がある、ということです。
旅行などのときに、山や海に出かけた経験がある方々ならば、それらの自然の中に、リラックスに導くような、ゆらぎを感じたことがあると思われます。その、自然のゆらぎというものが、音楽にもあるのです。
また、クラシック音楽では、モーツァルトの音楽や、バッハの音楽などには、1/fゆらぎで進行する楽曲が多い、ということがわかっています。モーツァルトの音楽が脳波によい影響を与える、という事実は、音楽療法の分野では《モーツァルト効果》とよばれて、注目されたことがありました。

楽曲を選ぶときの基準

実際に瞑想の効果を高めるような音楽は、レコード店や、書店でも入手できます。近年では、インターネットで配信されています。ネット配信の音源には、無料で入手できるものもあります。
読者の皆様が選びやすいようにするために、いくつかの基準を挙げていきます。

①『医学博士監修』という表記
通常の、ヒーリング音楽や、α波の音楽には『医学博士○○監修』という表記があります。そのような、作曲に、専門の学者や医師がかかわっている音源は、効果を信頼してもよいです。
なぜなら、そのような音源は、実際に効果があるか、否か、ということを、実験によって確かめているからです。

②自然の環境音が入っている楽曲
すでに説明したように『1/fゆらぎ』は、自然界にある、あらゆる音の中に含まれています。たとえば、海の波が寄せて返すときの音や、森の木々が風に吹かれて揺れる音なども、人間にとって、ここちよい音です。その理由は、波の音や、風の音に、自然な『1/fゆらぎ』があるためです。
だから、可能であれば、自然の音を聴いたほうが、脳は、アルファ波の状態となりやすいのです。

③気分に合わせて選ぶ
音楽は、聴く人の気分を変えてくれます。どのような気分に変えたいのか、という目的があるならば、なりたいと思う気分に合った音源を選ぶこともできます。
たとえば、1/fゆらぎの音楽でも、ただ瞑想のために作られたものだけではなく『元気が出る』や『リラクゼーション』などといった、特定の目的が表記されているものもあります。そのような表記があるような音源は、選びやすいだろうと思われます。
また、作曲者が使用した楽器で選ぶ、ということも、有効です。先ほど、クラシックの例を挙げましたけれども、それとは反対に、東洋の民族楽器にも、東洋的な音色のよさがあります。

④自然の環境音が含まれている
鳥のさえずりの音や、波の音など、環境音をサンプリングして、音楽と融合させているような音源があります。
環境音は、瞑想状態に入りやすい音です。もともと、1/fゆらぎの音は、自然の中に存在する音であるため、自然の音だけでも、アルファ波を引き出す効果はあります。

⑤試聴する
どの要素よりも、まず、どのような楽曲がよいか、一度、聴いてみることをおすすめします。この基準は、③の『気分に合わせて選ぶ』という項目とも、かかわってくるポイントです。
大型の書店では、ヒーリング音楽を扱っている棚に、試聴用のオーディオを置いている場合もあります。筆者は、池袋のジュンク堂書店に行ったとき、試聴コーナーがあるところを見たことがあります。

マインドフルネス音楽と睡眠

リラックス状態の脳波である、アルファ波は、それと同時に、人間が熟睡しているときに出す脳波でもあります。
だから、眠りにつく前の時間に、アルファ波の音楽を聴くことによって、安眠をもたらす効果もあります。『睡眠導入』などといった表記がある音源でも、1/fゆらぎの音が採用されています。
もしも、瞑想中に眠くなることがあるならば、それは、アルファ波が出ているということの証拠でもあります。
もちろん、瞑想をしている時間のあいだは、目覚めていたほうがよいです。
しかし、どうしても眠くなってしまうようなときには、疲労から回復するために、瞑想を中断して、仮眠をとったほうがよいと思います。
布団の中で本格的に眠るときなどのように、より深い睡眠がほしいならば、アルファ波よりも、デルタ波を引き出すようにしたほうが、効果的です。デルタ波は、熟睡しているときに発生する脳波です。
また、0.5〜4Hzを描く、デルタ波の波形は、ほかの脳波とくらべて、もっともゆるやかな形となっています。睡眠状態の極致が、デルタ波となってあらわれます。不規則な睡眠で悩んでいる方々には、アルファ波やシータ波だけではなく、デルタ波も聴くことによって、安眠を促すことができます。

まとめ

先ほども述べたように、瞑想は、正しい姿勢で座ることができるような場所があれば、音楽を使わなくても、できます。
むしろ、どのような状況でも、マインドフルな集中状態に入ることができるようになることが、瞑想の目的です。それは、日常生活のあらゆる動作において、瞑想のような集中力を保って、そのための訓練をする、ということです。
だから、マインドフルネスで音楽を使用する場合は、音楽は補助的な手段である、ということを念頭に置くことが重要です。もしも、音楽を使用したことによって、かえって『音楽がなければ瞑想に集中することができない』という状態となってしまったならば、本末転倒となってしまいます。
たとえ、音楽を聞くことができないような場所でも、自然の音を聴くことができるような場所ならば『1/fゆらぎ』を感じることができます。
マインドフルネスに使うことができるような音楽は、また、普段の生活の中で聴くだけでも、脳波によい影響をもたらしてくれます。瞑想のほかにも、何かに集中したいときには、作業用BGMとして、聞き流すくらいの気分で聴くこともできます。
近年は、インターネットで、無料のヒーリング音楽が、たくさん聴くことができます。『瞑想のために聴く』という目的にとらわれずに、気軽に活用してみると、おのずから、よい影響があらわれてきます。

kunitada
執筆者

『文化的なことを記事にする』という目的をもって、ライターをしています。2021年に、マインドフルネススペシャリスト資格を取得。その時期のご縁から、マインドフルネスや心理学について執筆する機会をいただくこととなりました。ふだんは、美術や文学についての文章も書いています。

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