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卒乳できない子の特徴とその対処法

卒乳できない子の特徴とその対処法

卒乳の時期には個人差があり、いつまでにしなければならないという明確な時期はありません。

しかし、一般的に1歳6カ月ごろが目安だといわれていたり、WHO(世界保健機関)は、生後6カ月の間は完全母乳、2歳以上になるまでは母乳を続けることを推奨したりしています。

このような目安があるため、なかなか卒乳ができないと焦ってしまうかもしれません。しかし、卒乳は赤ちゃんの体や気持ちの準備が整った上で成し遂げられるものです。

こちらの記事では、卒乳できない子の特徴や対処法・対応策をご紹介します。

監修者
庄司 奈南
庄司 奈南
保育園栄養士10年目

専門学校を卒業してから、保育園栄養士として勤務しています。自身の妊娠を機に、食生活に関しても意識するようになり、プレママやお子さんのいるママさんの食に関するお悩みはもちろん、それ以外の方の食に関するお悩みを解決できるようにお役立ちできたらうれしいです。

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卒乳できない子の特徴 8つ

卒乳できない子の特徴を8つご紹介します。

1. ミルクが大好きで安心感を探している

1. ミルクが大好きで安心感を探している

母乳やミルクは、赤ちゃんにとって大切な栄養源です。

特に、1歳を過ぎると母乳は赤ちゃんの心を安定させる精神安定剤のような存在となります。また、お母さんの懐が赤ちゃんにとっての「心の安全基地」になるのもこの頃からといわれています。赤ちゃんが寂しいときや不快なとき、不安なときなどに、心を落ち着かせて安心させるのが母乳やミルクです1

そのため、母乳やミルクが精神安定の材料となっている可能性が高いと考えられます。

2. ご飯よりミルク。食事に対する興味や食欲が低い

2. ご飯よりミルク。食事に対する興味や食欲が低い

赤ちゃんの中には、離乳食や食事に関心をあまり示さず、あまり食べないという子もいます。

「卒乳をしたら食べるようになる」というアドバイスをもらい、卒乳を試みるも失敗に終わった、というケースも多いようです。

食事の量が少ないと、体重や身長などの栄養面・成長面でも心配になりますよね。

3. 母乳やミルク以外の飲み物に慣れていない

3. 母乳やミルク以外の飲み物に慣れていない

そもそも、母乳やミルク以外の飲み物に慣れていない、ということも原因の1つとして考えられます。

また、哺乳瓶で飲み続けてきた赤ちゃんにとって、形状がかなり異なるコップやマグでの水分補給さえも不慣れなものなのです。

4. 母乳やミルクを飲むときのスキンシップが落ち着く

4. 母乳やミルクを飲むときのスキンシップが落ち着く

上述したように、お母さんの懐が赤ちゃんにとっての「心の安全基地」になっている場合、母乳やミルクそのものというより、母乳やミルクを飲むときのスキンシップが安心材料になっていると考えられます。

お母さんだけでなく、お父さんにミルクを飲ませてもらう場合でも同じです。
スキンシップから安心感や愛情、親子の絆を感じているのです。

また、授乳期間が長いほど、お母さんと赤ちゃんの体内の愛情ホルモン「オキシトシン」のレベルが上昇し、愛着の安定性が高くなるともいわれています2

5. 母乳やミルクを飲むときの音や匂いに癒やされている

5. 母乳やミルクを飲むときの音や匂いに癒やされている

赤ちゃんが、母乳やミルクを飲むときの音や匂いに癒やされていることも考えられます。
授乳時に五感が刺激され、五感から愛情や安心を感じているということです。

例えば、このような感覚です。

  • 味覚:母乳やミルクの味
  • 聴覚:授乳時にお母さんが優しく語りかけてくれる声
  • 嗅覚:母乳やミルクのにおい、お母さんの香り
  • 視覚:お母さんの顔がよく見える
  • 触覚:お母さんに抱かれているときの温かさ

6. 寝る前のミルクが習慣化されている

6. 寝る前のミルクが習慣化されている

寝る前に母乳やミルクをあげることが習慣になっている場合もあります。まるでミルクという名のブランケットのように、就寝時にないと落ち着かないのです。

眠いのになかなか寝られず、機嫌が悪くなり泣いてしまう際に、ミルクを飲んでおなかがいっぱいになると眠る赤ちゃんも多いため、習慣化されてしまうケースも多いです。

7. 新しいことに慎重

7. 新しいことに慎重

赤ちゃんや子どもに限らず、人間は本能的に変化に抵抗します。
未知なるものへの不安や恐怖、そして慣れ親しんだ習慣に従う習性からです。

そのため、突然の卒乳に抵抗を示しているとも考えられます。

8. まるで味覚のプロ。ミルクソムリエになっている

8. まるで味覚のプロ。ミルクソムリエになっている

味覚が繊細で、自分好みのミルクの味を見つけてしまった子は、卒乳が少し難しくなるかもしれません。
卒乳をするとなると、自分が愛した味を手放さなければならないためです。

ミルクの味を好んでいる場合は、他に好きな味のものを見つけるなど、味覚を満たさなければ難しいでしょう。

卒乳できない子に対する対処法・対応策

ここまで卒乳できない子の特徴を挙げてきました。
では、なかなか卒乳できない場合、どのように対処・対応するのが良いのでしょうか?

卒乳のタイミングを子どもに任せる(自然卒乳)

卒乳のタイミングを子どもに任せる(自然卒乳)

卒乳とは本来、赤ちゃんが成長するにつれて自然に母乳・ミルクを必要としなくなることです。

母乳育児に十分な時間をかけた上で、時期にかかわらず親と子どもの双方が満足し、自然に回数が減る。そして、気づいたら飲まなくなったというのが理想的な卒乳だといわれています。
しかし、急に飲まなくなったというケースも見受けられるため、なかなか卒乳をしないと思っていても、卒乳の瞬間が突然訪れる可能性もあります3

そのため、早く卒乳をさせようと焦らず、卒乳のタイミングを子どもに任せるというのも1つの方法です。

卒乳のメリットを子どもに教える

卒乳のメリットを子どもに教える

卒乳をすることのメリットを子どもに教えることも大切です。

卒乳をすることで、子どもにとっての精神的・肉体的負担が少なくなることがメリットといえます。授乳期間が長く続くと、夜に何度も起きたり、拘束時間が長くなったりと、子どもだけでなく、お母さんの体の負担にもなります。

また、卒乳が遅れるとむし歯リスクが高くなることがあります。

一般的には、授乳のみでむし歯リスクが高まることはないと考えられています。しかし、夜間授乳の際には唾液の量が減少するため、虫歯の原因菌が増殖しやすくなります。このため、授乳のみで虫歯のリスクが高まらないと一概に言うのは、少し違うと言えるかもしれません。

一般的に授乳のみではむし歯発生に対して大きなリスクはありませんが、離乳食が始まり、むし歯の原因となる砂糖を含む食品や果糖を含むフルーツジュースなどを取り始めると、授乳によるむし歯発生のリスクが高まります。4

そのため、体への負担やむし歯リスクが高まるといった説得力のある理由を伝えながら、卒乳のメリットを教えることも大切だといえます。

卒乳の代わりに別のご褒美を用意する

卒乳がなかなかできない子どもにとって、母乳やミルクをやめることは簡単なことではありません。
そのため、卒乳できたときに「よく頑張ったね」と、子どもが好きな食べ物など、別のご褒美を用意することも大切です。

卒乳のサポート役をお父さんや祖父母にお願いする

卒乳のサポート役をお父さんや祖父母にお願いする

卒乳時、お母さん以外にもできることがあります。
お父さんや祖父母にサポートをお願いするのも1つの方法です。

例えば、お父さんや祖父母が寝かしつけをできるようにすることや、お母さん以外の家族と過ごす時間を増やし興味関心・好奇心の幅を広げること、麦茶や白湯などミルク以外の水分補給を促すことなどです5

お母さん以外の家族との信頼関係や絆を強化することが、卒乳への一歩となるでしょう。

一緒に遊んだり絵本の読み聞かせをしたりする

一緒に遊んだり絵本の読み聞かせをしたりする

絵本を読んだり、外で体を動かしたり、一緒におもちゃで遊んだり……。
子どもが好きなことや楽しいと感じている遊びで、エネルギーを発散させる時間を作りましょう。

遊ぶことでエネルギーを発散すると、母乳・ミルクが飲めない寂しさが和らぎ、母乳・ミルクのない生活に入りやすくなることもあります。

また、遊ぶときにはスキンシップを大切にすることがポイントです。そうすることで、母乳・ミルクを飲むとき以外にも安心感を得られることを肌で感じてもらえるでしょう。

固形物に興味を持たせる

固形物に興味を持たせる

断乳をしても大丈夫な基準として、3食離乳食が食べられ、固形物も食べられるようになることが挙げられます。
そのため、固形物に興味を持ってもらうことも大切です。

例えば、おやつを食べるときに「おっぱいにさようならしたから、このおやつが食べられるね」など、ポジティブな言葉をかけるようにしましょう。
卒乳にネガティブな印象を与えず、肯定感が上がるように接することがポイントです。

ミルクバイバイ作戦:段階的な卒乳計画

ミルクバイバイ作戦:段階的な卒乳計画

子どもが卒乳をしたがらない場合、計画的に卒乳をするのが良いでしょう。

離乳食の進みが良いかどうかを確認した上で、進めることが大切です。

  • 1歳以上:ある程度、順調に進んでいれば、計画的な卒乳をしても大丈夫といえる
  • 1歳未満:栄養不足になることがあるため、母乳の代わりにミルクが必要になる可能性がある

具体的な方法としては、少しずつ授乳回数を減らすことです。

  1. 2〜3日に1回を目安に授乳回数を減らしていく
  2. 減らしていく中で、乳房の張りや痛みが強くなったり、子どもがより欲しがったりするなどの問題がなければ、また2〜3日かけて授乳回数を1回ずつ減らす
  3. 徐々に回数を減らし、最後の1回になれば卒乳

母乳に関係するホルモンの分泌量がだんだんと減り、母乳量も減っていきます。
子どもの離乳食の進み具合と、お母さんの体調を考慮しながら、段階的に卒乳をしていくのがポイントです。

乳房の痛みや張りが強く、卒乳が難しい場合は医療機関に相談することをおすすめします。

レインボーディナー:色とりどりの食事で興味を引きつける

レインボーディナー:色とりどりの食事で興味を引きつける

離乳食や食事をなかなか食べてくれない子どもには、視覚的効果を用いて食事に興味を持ってもらう方法もあります。

  • 色とりどりの野菜を使う
  • 野菜をハートや星の形にする
  • ごはんは小さなおにぎりにして、サケなどでカラフルにする
  • 子どもが好きなキャラクターのお皿やコップを使う
  • 子どもが好きな色のお皿やコップを使う

大人が食べる物よりも、少しやわらかくしたり、小さくしたりして、子どもが食べやすいように工夫することもポイントです。
主食・主菜・副菜をそろえて、栄養が偏らないメニューを心がけましょう。
量の目安として、1歳6カ月頃の量の目安は、大人の半分の量といわれています。

また、嫌いではなくても形状や食感から、子どもが食べづらいと感じやすい食材もあります。

  • パサパサする:パン類、ゆで卵、さつまいもなど
  • 弾力がある:こんにゃく、かまぼこ、ゼリー類など
  • 固い:お肉など
  • 口の中でバラバラになる:ブロッコリー、ひき肉など
  • ペラペラしていて噛みにくい:わかめ、レタス、油あげなど
  • 皮が口の中に張り付く:豆類、トマトなど

このような食材は調理法や形を変え、食べやすい状態にするのがおすすめです。
なかなか食べてくれなくても、試行錯誤して諦めないことが重要です6

まとめ

卒乳は子どもの成長と親子関係の変化を意味する大きなステップです。
なかなか卒乳ができない子には、無理して卒乳させようとするのではなく、その特徴を理解し、優しくサポートしてあげることが大切です。

子どもの状況とお母さんの体調を考慮しながら、焦らず、段階的に進めていきましょう。

  1. しのはら小児クリニック「断乳(だんにゅう)・卒乳(そつにゅう)」
  2. National Library of Medicine「Breastfeeding and its relation to maternal sensitivity and infant attachment」
  3. Presented by 三宅医院 ハピサポ「自然卒乳と断乳について」
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「卒乳時期とむし歯の関係」
  5. 母乳育児情報サイト ぼにゅ育「おっぱいの卒業。パパができるサポートは?【保育の専門家が解説】」
  6. 宮前区役所地域みまもり支援センター 管理栄養士「幼児食について1歳6か月~2歳頃の食事」

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