ありのままの自分を愛することができず、自身を誇大な存在だと思い込むパーソナリティ障害のひとつ──自己愛性パーソナリティ障害。
通常、成人期早期までに始まるといわれています(※1)。
自己愛性パーソナリティ障害になる原因は、まだ断定されていないですが、遺伝的要因と環境的要因があるのではないかと考えられています(※2)。
(※1)出典:BRAIN CLINIC「自己愛性パーソナリティ障害の特徴やタイプ、診断、治療」
(※2)出典:心理オフィスK「自己愛性パーソナリティ障害のカウンセリングと治療」
自己愛性パーソナリティ障害は自滅を待つのがいいのか
パーソナリティ障害は、アメリカ精神医学会が出版している「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」、通称「DSM-5」に基づいて診断されます。
自己愛性パーソナリティ障害には、以下の症状が見られます。
・自分の重要性や才能について、誇大な、根拠のない感覚を抱いている(誇大性)。
※引用:MSD マニュアル 家庭版「自己愛性パーソナリティ障害」
・途方もない業績、影響力、権力、知能、美しさ、または素晴らしい恋という空想にとらわれている。
・自分が特別かつ独特であり、最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている。
・無条件に賞賛されたいという欲求をもっている。
・特権意識をもっている。
・目標を達成するために他者を利用する。
・共感性に欠けている。
・他者を嫉妬しており、また他者が自分を嫉妬していると信じている。
・傲慢かつ横柄である。
自己愛性人格障害の診断では、誇大性、賞賛の要求、および共感の欠如の持続的なパターンが認められる必要があります。
また、上記の症状のうち、5つ以上が認められる必要があります(※3)。
自己愛性パーソナリティ障害の人はこのような症状により、他人を見下したり、自分の目標を達成するために他人を利用したりします。
その結果、信用を失ったり、あきれられたりして周囲から人が去っていき、孤立し、自滅してしまうのです。
(※3)出典:MSD マニュアル 家庭版「自己愛性パーソナリティ障害」
自己愛性パーソナリティ障害の人の自滅を待つメリット
自己愛性パーソナリティ障害の人は、他人を見下したり、利用したりするため、関わると嫌な思いをすることもあるかもしれません。
その場合、自滅するのを待つのが良いのでしょうか?
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分を特別な存在だと思い込んでいますが、その根底には自尊心の低さや、ゆがんだ自己愛が存在します。
そのため、自分をよく見せようと、すぐに見栄を張ったり、嘘(うそ)をついたりする傾向があります(※4)。
そのようなことを繰り返していると、収拾がつかなくなり、嘘に嘘を重ねることになります。
また、次第に周囲の人からの信用も失い、周りから人が去っていくでしょう。
例えば、自己愛性パーソナリティ障害と関わるとトラブルに巻き込まれやすかったり、さらに親しくなるとモラハラ(モラルハラスメント)を受けたりする場合もあります(※4)。
そのような状況になると、精神的なダメージを受け、精神疾患に陥ってしまうことも……。
そのため、適度な距離を保ち、深く関わらず、自滅を待つ方がいいといえるでしょう。
(※4)出典:メンタルの強化書「自己愛性人格障害の人が自滅してしまう理由・背景」
(※5)出典:LEGAL MALL「配偶者のモラハラは自己愛性パーソナリティ障害が原因?判断基準や対処法」
自己愛性パーソナリティ障害の人の自滅を待つデメリット
一方で、自己愛性パーソナリティ障害の人の自滅を待つデメリットはあるのでしょうか?
自己愛人格障害の人は、自分の行動によって信用を失ったり、評価が下がったり、人が離れていったりしても、その状況を認めようとしないことがあります。
追い込まれれば追い込まれるほど、さらに嘘をついたり、責任から逃れようとしたりするでしょう。
自尊心が傷つくことを恐れるがゆえに、自分の過ちを素直に認めたり、謝罪をしたりすることができないのです(※4)。
それどころか、なんとかその状況から逃れようし、泥沼化することも……。
自滅を待っていても、自滅しそうなタイミングで、より面倒な状況に巻き込まれてしまう可能性があることがデメリットだといえるでしょう。
自己愛性パーソナリティ障害の人が自滅するパターン
自己愛性パーソナリティ障害の人が自滅するパターンには、どのようなものがあるのでしょうか?
嘘に嘘を重ねて信用を失う
上述した通り、自尊心の低さから見栄を張るために、嘘を重ね、周囲の人からの信用を失ってしまうパターンがあります(※4)。
嘘に嘘を重ねていると、次第に矛盾が生じてくるため、周囲の人も嘘だと気づいてしまいます。
また、経歴詐称や、病気でないのに病気だと主張するなど、度を過ぎた嘘をつくこともあります。
その嘘がばれた際には、社会的にも信用を失うことになります。
他人を見下すような言動を繰り返し、距離を置かれる
自己愛性パーソナリティ障害の人は、ナチュラルに人を見下すため、その心理が言動にも現れやすいです。
例えば、自分の目標を達成するために、平気で他人を利用したり、見下していることが分かるような発言をしたりします。
そのような、他人を尊重しない言動を繰り返していると、次第に周囲の人は離れていくでしょう。
夫婦の場合、離婚に発展する場合も
配偶者が自己愛性パーソナリティ障害である場合、モラルハラスメントを受ける危険性もあります。
例えば、専業主婦の妻に「お金を稼いでいないから無能だ」「働いていないから価値がない」などの発言をしたり、家事の粗探しをしては執拗に批判をしたりします。
日常的にモラハラを受け続けると、精神疾患に陥る可能性もあるため、離婚を切り出されてしまう場合もあるでしょう。
しかし、自己愛性パーソナリティ障害の人との離婚は、モラハラの認定や慰謝料の請求が難しいなど、何かと困難なこともあります。
また、離婚を切り出したタイミングで、逆上されないよう気をつける必要もあります(※5)。
うつ病などの精神疾患に陥ることも
自己愛性パーソナリティ障害の人に関わって、精神的ダメージを負った人だけでなく、自己愛性パーソナリティ障害の本人がうつ病などの精神疾患にかかることもあります。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分を否定されると過剰に落ち込んで、引きこもりやうつ病になることもあるのです(※1)。
境界性パーソナリティ障害には、「弁証法的行動療法(DBT)」(認知行動療法のひとつ)が有効であるといわれていますが、自己愛性パーソナリティ障害には確立した治療法がないといわれています。
このようなパーソナリティ障害は、うつ病やパニック障害などの障害を合併することもあるため、場合によっては薬物療法を試みる必要があります(※6)。
(※6)出典:杉浦こころのクリニック「パーソナリティ障害(境界性/自己愛性)について」
自己愛性パーソナリティ障害の人を自滅させる方法
自己愛人格障害の人を自滅させる方法はあるのでしょうか?
上述したように、自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分の行いにより信用を失ったり、人が離れていったりしても、さらに嘘をついて、その状況から逃れようとします。
より面倒な状況に巻き込まれて泥沼化することもあるため、自滅させるのは難しいといえるでしょう。
自己愛性パーソナリティ障害の人が自滅するまでにできること
自己愛性パーソナリティ障害の人を自滅させるのは難しいと考えられますが、対処法はあります。
身近に自己愛性パーソナリティ障害の人がいて困っている場合は、ぜひ活用してみてください。
発言を記録する
自己愛性パーソナリティ障害の人は、嘘に嘘を重ねる傾向があるため、発言に一貫性がないことが多いです。
そのため、発言を記録しておくのが良いでしょう。
あからさまに録音すると、トラブルになる可能性があるため、メモをとるなどの方法で記録を残しておきましょう(※7)。
(※7)出典:Kiraku Labo.「自己愛性人格障害を逆に追い込む方法」
関係を一気に悪化させないようにする
自己愛性パーソナリティ障害の人とけんかをしたり、仲をこじらせたりすると、面倒なトラブルに発展する可能性が高いです(※7)。
自分勝手な言動に、言い返したくなることはあると思いますが、感情的にさせてしまうとまともな話し合いができないことがあります。
指摘したいことは小出しにして、関係を一気に悪化させないようにしましょう。
相手のプライドを傷つけない
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自尊心の低さや、ゆがんだ自己愛から傷つきやすい一面もあります。
そのため、相手のプライドを傷つけるような発言は控えましょう。
自己愛性パーソナリティ障害の人を敵に回すと、パワハラやモラハラ、陰湿ないじめに発展してしまうこともあります。
自己愛性パーソナリティ障害の人の言動で、嫌な思いをしたり、腹が立ったりすることもあると思います。しかし、ここは冷静になって、適度な距離を保ち、感情的になって言い返さないようにしましょう。
自分を守るための防御策として、刺激を与えないようにすることが大切です(※8)。
(※8)出典:障害者.com「自己愛性パーソナリティ障害の特徴・克服方法・付き合い方について」
味方をつくっておく
自己愛性パーソナリティ障害の人に1人で立ち向かおうとすると、嘘に嘘を重ねて言い逃れられたり、そもそも聞く耳を持ってくれなかったりすることもあります。
そのため、どうしても議論しなければならない場合は、自分と同じ意見の人も交えて話すのが良いでしょう。
この場合も、逆上されたり、トラブルに発展したりする可能性があるため、気をつける必要があります。
相談する
自己愛性パーソナリティ障害の人の言動に困っていたり、トラブルに発展したりしている場合は、周囲の人や専門家に相談するのが良いでしょう。
ひとりで抱え込まず、周りの人を頼りましょう。
また、周りの人に相談しづらいときには占い師に相談するのもひとつの方法です。
電話占いでは、匿名で相談できます。
相談しにくい家族やパートナー、会社の上司のことなど、24時間365日鑑定を受け付けています。
人間関係に悩み、「現実から逃げたい」「幸せになりたい」と感じている方は、人間関係や仕事関係の占いを得意とするカリスマ占い師に相談してみましょう。
まとめ
自己愛性パーソナリティ障害の人の自滅や、対処法についてご紹介しました。
自己愛性パーソナリティ障害の人は自滅したり、自滅しそうになったりすることはあるものの、自分を守るために嘘に嘘を重ねて泥沼化することも多いことが分かりました。
危険性を感じたら、適度な距離を保ち、深く関わらないようにすることが大切です。
また、トラブルに発展しないよう、記録を残したり、刺激を与えたいようにしたりして自分を守ることも重要です。
どうにもならない場合は周りの人や専門家に相談するのもひとつの方法です。
悩みをひとりで抱え込まないようにしましょう。
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