同族嫌悪に陥った経験がある人は多いのではないでしょうか?
同族嫌悪しがちな人の性格的特徴や、同族嫌悪が起こる原因やメカニズム、さらに同族嫌悪を克服する方法などについてもご説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
同族嫌悪とは?同族嫌悪の意味
「同族嫌悪」とは、自分と似た特性・特徴を持つ人や、自分と似たような人に嫌悪感を持つことを指します。
似た者同士で仲良くなることもありますが、逆に似ているからこそお互いに反発し合ってうまく関係を築けないこともあります。また自分と相手を重ね合わせて、一方的に相手に不快感を抱く人もいます。
同族嫌悪しがちな人の性格的特徴6つ
性格的特徴①:自己嫌悪が強い
自己嫌悪が強く、すぐに自分で自分のことが嫌になってしまう人は同族嫌悪に陥りやすいです。自分のことを嫌だ嫌だと考えているので、自分と似たような特徴を持つ他者に対しても嫌だという感情が湧き、嫌悪感を持ってしまいます。
「自分に対して嫌悪感がある」=「自分と似た人に対しても嫌悪感を持つ」と言えます。
性格的特徴②:自分のことが好きじゃない
自分のことが好きじゃない人は、同族嫌悪になりやすい傾向があります。自分自身のことを好きになれない人は、自分と似た人のことも好きになれません。
「自分のことを好きになれない」=「自分と似た人のことも好きになれない」と言えます。
性格的特徴③:自分に自信がない
自分に自信がない人も同族嫌悪の感情を持ちやすいです。自分に自信が持てないと、なかなか自分のことを好きになれません。また自分に自信がないと、なにか物事に失敗したときに「どうせ自分は何をやってもだめな人間なんだ」と自己嫌悪に陥りやすくなります。
自分に自信がないと自分のことを好きになれず、同時に自己嫌悪に陥りやすいことから、他者に対しても同族嫌悪になりやすくなります。
性格的特徴④:コンプレックスが強い
コンプレックスが強く、妬み・僻みの感情が強い人も同族嫌悪に陥りやすいです。コンプレックスが強いということは、裏を返せば自分に自信がないということになります。人よりも秀でている能力や特技が自分自身にあるわけではなく、人より優れた能力がない自分を惨めに思ってしまう人は、自分と似たようなレベルの人に対して同族嫌悪になりやすいです。
性格的特徴⑤:自分に対して否定的
「どうせ自分にはできっこない」「自分は結局何をしても失敗する人間なんだ」と、何をするにしても物事を悲観的に考え、自分に対して否定的な人も同族嫌悪になりやすいと言えます。何をしたってどうせ能力のない自分は失敗するだろうと、挑戦する前から諦めて行動に移さない人は、自己否定感情が強い傾向にあります。そのため自分と似た人に対しても否定的な感情を抱きやすいのです。
「自分に対して否定的」=「自分と似ている人に対しても否定的」と言えます。
性格的特徴⑥:自尊心が低い
自尊心が低い、つまり自分自身に誇りが持てない人も同族嫌悪に陥りやすいです。自尊感情は自己肯定感とも言うことができます。自分をありのまま受け入れる、「自分は自分でいいのだ」と自分を肯定してあげられる人は自尊心が高いと言えます。
一方自尊心が低い人は「ありのままの自分」を受け入れることができませんし、自分に対して否定的な感情を抱いてしまいがち。先に述べたように、自分に対して否定的だと、自分と似た他者に対しても否定的になってしまいます。
【心理学】同族嫌悪はなぜ起こる?原因とメカニズム
原因とメカニズム①:自分と他者との区別がついていない
自分と他者はまったく別の人間であると、きちんと認識できている人がいる一方で、大人になっても自分と他人との区別がついていない人もいます。区別がつかないとはどういうことかを簡単にご説明すると、「人の気持ちを汲み取ることができない」「人の持ち物を勝手に使う」など、他人との距離感が分からない人のこと指します。「自分と他者との境界線が曖昧である」という言い方をすることもあります。
自分と他者はそれぞれ異なる性格を持ち、まったく別の人生を歩んできた赤の他人です。本来なら他者が何をしようと、どんな人生を送ろうと自分にはなんの関係もないはずです。しかし自己と他者との区別がついていない人は、周囲の人が何をして、どのように過ごしているのかが非常に気になります。自分と似ている人がいるからといって、その人が自分に対して迷惑をかけたわけでもないのに腹が立つというのは、まさに自分と他者との区別がついていない証拠です。
原因とメカニズム②:自分の嫌な部分を見ているように感じる
【同族嫌悪しがちな人の性格的特徴】でご説明した通り、同族嫌悪に陥りやすい人はコンプレックスが強く、自分に対して否定的な人が多いです。
そのため相手が何かに失敗したり、自信が無くておどおどしている姿を見ると、まるで自分の嫌な部分を見ているような気になって、自分と相手を重ねてしまい、相手に対して嫌悪感を抱いてしまうのです。
原因とメカニズム③:嫉妬心が強く自分と他者を比べてしまう
このパターンは「相手は自分と同じくらいの能力のはずなのに、なぜあいつは自分よりも評価されているんだ」という、何かと人と自分とを比べては嫉妬心を持つ人に多い特徴です。
能力が同程度だからと言っても、その人には+αの魅力があったのかもしれません。また能力や実力がまったく同じという人はいませんし、同じように見えたとしても、その人は影でコツコツ努力し続けてきて、それが評価されたのかもしれません。
嫉妬深く他人と比べやすい人は、すぐに相手と自分を重ね合わせてライバルかのように競い合おうとします。
オタクは同族嫌悪が強い?
「自分はジャニーズファンだけれど、彼氏が女性アイドルを応援していたら嫌だ」という女性は多いですよね。またその一方で「自分はアイドルや二次元が好きだけど、彼女が男性アイドルにハマっているのは嫌だ」という男性も多いです。
このように男性・女性問わず、自分はオタク活動が趣味だけれど、オタクの人は許せない・関わりたくないと思う人は一定数います。自分はよくても、ほかの人がオタク活動にハマっているのを不快に思うのはなぜでしょうか?いくつかの理由が考えられます。
①オタクであることを隠している
二次元のキャラクターや、三次元のアイドル、はたまた美少年アスリートなど、誰にも言わずに密かにオタク活動を楽しんでいる人は、実は意外といらっしゃいます。こういった隠れてオタク活動に勤しむ人は、自分がオタクであることを恥ずかしいと感じていたり、オタクであることが周囲にバレたら馬鹿にされるのではないかという心配から、自分がオタクであることを隠したがります。
その一方でオタクであることを隠すことなくオープンにしている人も多いですよね。人目もはばからず大声でアニメやキャラクターの話で盛り上がったり、握手会などで推しメンバーに自分を覚えてもらうために過激な行動に出たりと、オタク活動に熱中するあまり周囲に迷惑を掛ける人も中にはいます。
ひっそりと自分一人でオタク趣味を楽しんでいる人にとって、こういった周囲とトラブルを起こすようなオタクの人たちとは、一緒にされたくないと考えています。
②嫉妬深い
自分はオタク活動が趣味だけれど、オタクの人を彼氏・彼女にはしたくないと考えている人に多いパターンです。こういった人たちは自分のことを棚に上げて、オタク趣味の異性を批判します。もし付き合ったとしても、相手が自分以外の異性に熱中している姿に嫉妬して、もやもやしてしまうため同じオタク趣味の人を避けようとします。
③推しを独り占めしたい
オタクの中には「ガチ恋」と呼ばれる、アイドルや二次元のキャラクターに本気で恋をしている人もいます。そういった人たちは自分の推しメンバーや推しキャラクターを、まるで自分の恋人であるかのように考えています。ですので、同じ推しのオタクのことを、自分の恋人に想いを寄せる恋敵のように感じてしまうのです。
同族嫌悪をやめたい!やめる方法
①相手を変えようとしない
人間関係の中でも特に「上司と部下」「先輩と後輩」など、上下関係がある相手に同族嫌悪になった場合、上の立場の人が下の者に対して何かと言いがかりをつけて攻撃したり、相手の言動を変えさせようとするケースが目立ちます。しかしいくら相手にあれこれ文句をつけたところで人を変えることはできません。また他者に対して高圧的な態度をとったり、他者の人格を否定する人と仲良くしたいと思う者はいません。それどころか他人に対して攻撃的になればなるほど、どんどん人が離れていってしまいます。
自分と似ている人を見ると無性にイライラしてしまう人が本当に腹を立てているのは、相手ではなくて自分自身なんです。
自分に似ていて気に入らないからと相手を攻撃し、その人を職場や部活などから追い出したとしても、自分自身が変わらない限り、結局どこへ行っても自分と似た人を見つけては腹を立てて攻撃するということを延々繰り返すことになります。人を攻撃したところで現状は何も変わりません。むしろ周囲からの印象がどんどん悪くなっていき、自分で自分の首を絞めることになります。
②自分自身を見つめなおす
先ほど、同族嫌悪に陥る人が本当に腹を立てているのは相手ではなく自分だと述べました。同族嫌悪になる根本的な原因は実は自分自身にあるのです。人を変えようとするのではなく自分自身を変えることが、同族嫌悪を克服する一番の近道です。
人を変えることはできませんから、今の自分に何か変えられることはないかを考えてみて下さい。どんな些細なことでも結構です。
「早寝早起き・適度な運動・栄養バランスの良い食事」を毎日行うことで、メンタルに非常によい影響を及ぼすことは科学的にも証明されています。さらにこれを続けると「自分は、自分の健康を管理することができる人間なんだ」と自信を持てるようになります。
また空いた時間があれば資格の勉強をしたり、何か特技を磨いたりスポーツに励んだりと自分にできることに集中して取り組んでいると、不思議と他人のことが気にならなくなってきます。資格試験に合格したり、スポーツで試合に勝ったりといった成功体験を積み重ねていくことで、自分に自信がつき、次第に同族嫌悪になることも少なくなってくるでしょう。
同族嫌悪の類義語・類語・似てる言葉は?
①「同属嫌悪」
「同族嫌悪」と「同属嫌悪」は何が違うの?と疑問に思った方も多いと思います。
「同族嫌悪」は相手の性格や気質といった内面が、自分と似ている場合に嫌悪感を持つときに使います。「同属嫌悪」は同じところに属している人、同じ属性を持つ人に嫌悪感を持つ場合に使います。
どちらが適切かは諸説ありますが、基本的にはどちらも同じ意味です。しかし現在は「同族嫌悪」を使う人の方が多いので、こちらを使用した方が伝わりやすいかもしれませんね。
②「同担拒否」
「同担拒否」はネット上で生まれたオタク用語で、もともとはジャニーズファンの間で使われていた言葉だそうです。ジャニーズファンの方たちは自分の応援している推しメンバーを「担当」と呼んでおり、「同担」は「同じ担当」のことを指します。つまり「同担拒否」とは、同じメンバーを応援している人との交流を拒否しますという意味です。
また「同担拒否」はジャニーズだけでなく、アニメや漫画のキャラクターに対しても使用することがあるそうです。
③「骨肉の争い」
「骨肉」とは骨と肉のように切っても切れない結びつきのことを意味し、親子や兄弟など血の繋がりがある者のことを指します。血族同士で争うことを「骨肉の争い」と言います。
同族嫌悪の対義語・反対の意味の言葉は?
①「同気相求」
こちらの四字熟語は「どうきそうきゅう」と読み、「同気」は「同じ気質・同類・気の合った仲間」を指します。同気相求は「似た性質を持っている人同士がお互いに求め合い、自然に集まること」という意味の言葉です。
また似たような言葉で「同類相求」があります。「同じ性質の人はたがいに求め合うものだ」という意味です。
②「同担歓迎」
先ほどご説明した「同担拒否」の対語です。
「同担拒否」が同じメンバーを応援している人との交流を拒否するのに対し、「同担歓迎」は、むしろ積極的に推しが同じファンの方たちと交流したいというスタンスを表しています。推しメンバーの魅力を分かち合いたい、一緒に推しを応援したいという人が使用する言葉です。
③「類は友を呼ぶ」
「類は友を呼ぶ」は「気の合う者や似通った傾向がある者同士は、自然に寄り集まって仲間を作るものである」という意味のことわざです。
学校では毎年クラス替えがありますが、クラスメイトが入れ替わっても、自分と似たような人と仲良くなることが多いですよね。また学校だけでなく習い事や職場など、どんな環境であろうと似た者同士の方が仲良くなりやすい傾向にあります。
まとめ
同族嫌悪しがちな人の性格的特徴や心理について解説してきましたが、同族嫌悪になる可能性は誰しもありますし、それは決して悪いことではありません。
しかし、自分と似た人に対してイライラしたり攻撃的になったりしては、人との良好な関係を築くことはできません。
同族嫌悪に陥ったときは自分自身を見つめなおすチャンスと思って、じっくり自分と向き合ってみるといいでしょう。
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