保有効果、この言葉がどういう意味があるかを辞書で調べたことはありますか。
意外と知られてなく、辞書で調べてみたことがない人もいるのではないでしょうか。
自分が所有する物に高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理現象のことを意味します。
ところで皆様はお金を使うことに罪悪感を感じますか。
お金を使うことが損だと思う人は手放すことに苦痛を感じている証拠で、保有効果の影響です。
本来、お金は単なる数字、硬貨、紙切れであり、使ってこそ意味がある物なのです。
但し、交換目的の物、お金などには保有効果は働かないのも事実です。
損した感覚が少ないトレーダーとかも保有効果が機能しにくいのです。
いずれにせよ、保有効果をきちんと理解することが第一条件です。
保有効果の影響を把握することで手放すことが怖くなくなります。
現状維持に囚われず、現状打破を目指していきましょう。
保有効果とは
保有効果の提唱者は「リチャード・H・セイラー」
保有効果の提唱者は誰でしょうか。
皆様は誰が提唱したか、分かりますか。
正解はリチャード・H・セイラーです。
1970年代に経済学者のリチャード・H・セイラーによって提唱されました。
英語では、Endowment Effectと呼びます。
それと保有効果の意味、別名は何と呼ぶか、説明ができますか。
別名は授かり効果と言います。
新しい物を得られるメリットよりも現在持っている物を失うことや環境が変化することによるデメリットを強く感じることを意味しています。
愛着を持つ、それも自分が持っている物に対しての愛着です。
人は得したいと思い、損を恐れる性質があります。
損すると恐ろしいとか、損は嫌だとか、怖いとか思います。
人には所有欲があります。
自分が保有している物には高い価値があると感じるのはごく普通のことで、断捨離はしたくないと感じるものなのです。
それが本来の人間の姿でもあり、物が溜まっていくのもありふれた光景なのです。
保有効果が強く働くと物を捨てられなくなります。
物が欲しいと思うのは当たり前であり、ごく自然のことです。
保有効果の実験・論文
最も有名な保有効果の実験は行動経済学でノーベル賞経済学賞の受賞者であるダニエル・カーネマンが行ったマグカップの実験です。
被験者を3つのグループに分けます。
各グループの条件でマグカップに値段を付けてもらいます。
被験者グループの条件として、売り手グループを用意し、一度プレゼントされたマグカップを売るとしたらいくらで売りたいかを設定します。
次に買い手のグループを決めます。
売り手からこのマグカップを買うとしたらいくらで買うかを取り決めます。
3つ目に選び手のグループを設定しておきます。
このグループでは、このマグカップを貰うか、マグカップを貰う代わりに同じ満足感を得られるだけのお金を貰うことが可能かを選択します。
お金を貰うならば、その金額はいくらなのかを決めておくのです。
このマグカップ実験は有名です。
保有効果を分かりやすくカンタンに解説すると
何かが自分の物になった時、手に入れる前よりも高い価値を感じる心理効果を言います。
心理学的に難しい言葉で解説すると、現在、自分自身で保有している物や環境の価値が所有していない時よりも高く感じることで、その物体を失うことに強い抵抗感が感じる心理効果を指します。
行動経済学の心理傾向の一つです。
要するに捨てる、手放すことに後ろめたい気持ちが生じ、もったいない気がするということです。
保有効果はお金を払っていない状態でも試着や無料お試しなどで一度手にした状態になれば作用しやすくなります。
お試し商品は買いたくなりますし、買ってしまう可能性が高くなります。
自分が所有した物に対して価値が上がると、手放すのが恐ろしくなります。
私達は普段、多くの物に囲まれ、物を買い、消費して生活しています。
無意識のうちに保有効果の影響を受けています。
保有効果はなぜ起こるのか?心理学的に解説
保有効果はなぜ起こるのかということを説明します。
保有効果が生じることに強い関係性がある現状維持バイアスが作用しています。
自分が保有した物の価値が上がると手放したくないですよね。
このような心理現象を行動経済学では、保有効果と呼びます。
自分が所有している物には高い価値があると感じるのは、物を大事にしている証拠でもあります。
自分が持っている物に愛着を感じるから、保有効果が起こるのです。
自分が感じる価値は他人も同じように感じます。
手に入れるよりも失うかも知れないということを恐れるのは、損が怖いからです。
保有が起こるのは、愛着が生じるからなのです。
人は自分が所有している同じ物に何度も接することで好感を持ち、手放せなくなるのです。
この心理作用をザイオンス効果と言います。
他人も同じ感覚を持っていると自覚があるので、保有効果が起こりやすく、感じやすいのです。
無意識のうちに他人も自分も同じように考えるはずだと思い込んでいるので、このような心理作用をフォールス・コンセンサス効果と呼称します。
自分が感じる高い価値が他人に伝わると思ってしまうのは、背景にこうした心理作用が働いているためなのです。
人は損を恐れ、得したいと考えやすい生き物ですので、失うことが重大なことだと認識してしまうのです。
これがなぜ起こるかの理由です。
現状を維持したいと感じる心理傾向は、現状維持バイアスと呼ばれています。
保有効果の例
保有効果の例を紹介します。
中古書店やリサイクルショップで買取依頼をしたことがありますか。
ブックオフなどでも売る時と買う時では、値段が全然違いますよね。
想像以上の買取金額の安さにショックを受けますし、ガッカリしますよね。
売りたくないという心理が働き、査定金額を見てから売るのをやめる人もいるのではないでしょうか。
これが保有効果の例です。
今持っている物にプレミア価格がついたら、売るのを辞めるのではないでしょうか。
これが保有効果の魔力です。
今ある物の価値が高くついたら、売りたくなくなります。
一旦所有した物の価値が市場での価値より高くなるとどう感じるでしょうか。
保有効果の例は、私達の身近にあることが理解できたでしょうか。
保有効果の活用例
ゲームづくりに活用する
ゲームづくりに活用されています。
プレイヤーのゲーム内資産が直結して保有効果となります。
特にソシャゲにはレアカード、プレイヤーデータ、ギルド、フレンドなどの多種多様なゲーム資産があるため、ゲームプレイヤーは保有効果を感じやすいのです。
プレイ時間や積み上げた資産があると、やる気が出ますし、価値があると感じます。
プレイヤー資産を可視化することで目で見えると資産があるなとか価値があると感じやすく、モチベーションが上がります。
ゲームは楽しいので、非常に上手くできていますよね。
保有効果を活かしている「返金保証」
保有効果を活かしている返金保証があります。
全額返金保証というワードを見るとどうなりますか。
儲かるのかと疑いたくなりますよね。
それが保有効果を知っていれば問題なしなのです。
返金保証と謳い、購入者側のリスクを可能な限り減らし、結果的に大きなリターンが見込めますので、返金保証を付けた方が儲かると思って良いでしょう。
保有効果には一度自分の所有物になると、手放しにくくなるというのがあります。
ビジネスで保有効果を活用するには、取り敢えず商品を保有してもらうことが大事です。
その商品を一度手元に置いてもらうことでその商品を手放すことに抵抗感を感じてもらうのです。
そうすれば、商品の返品のリスクも減らすことができます。
返品作業は保有効果がどうこうとかと言うより手間がかかる訳です。
当選したという言葉に弱い
当選したと言われると無視できません。
何だか得をするのでないかという気分になります。
集客効果もありますし、保有効果は非常に優れています。
当選したという言葉には魔力が含まれていて、当たったことは自分の所有物になるということです。
当選連絡を無視するとは所有できることを放棄することであり、チャンスを逃すことになります。
なので、無視できず、連絡あるいは来店してしまうのです。
所有に価値を感じ、持っておきたいと思う心理を上手く使っている結果なのです。
保有効果を知っていると得すること
株・投資などで損をしなくなる
知識を知っておくだけでかなり違ってきますし、知っているか知らないかで左右されるのです。
株などに関しても所有株に対して愛着が湧きます。
株を売却する判断を決定する時も自己評価が高くなり、判断に迷いが生じます。
売却は大きな決断ですので、判断に迷いが生じると決断できなくなります。
投資でも同じようなことが起きます。
損切りができなくなるというのは、背景に保有効果の現象が根強くあるからです。
保有効果を恋愛に活かすことはできる?
恋愛に保有効果を活かすことはできますし、恋人を手放すことが難しくなり、惜しいと感じるような心理も保有効果が働いているからです。
恋人を失いたくないという気持ちが恋愛にも使えますし、相手を大事にする気持ちが働きます。
例えば、恋人との倦怠期になってもズルズルと恋愛を続けるのは、保有効果が作用している証拠です。
異性が最近、自分に対して冷たいなど、恋愛においては色々な悩みがあります。
愛情が希薄になることはよくありがちなことです。
恋愛対象の相手を失いたくないという保有効果の意識が芽生えたならば、失うことは損失だと認識し、失いたくないと思えるはずです。
これが恋愛における保有効果の現れであり、相手が横にいるのを当たり前だと思わないことが重要なのです。
相手が常にいることを当たり前だと思わないことが大事です。
まとめ
保有効果とはサービスを受けることでも当てはまり、物を買うだけでなく、サービスを受けることも保有効果と言えるのです。
物を所有することにより、保有意識を高めていくことができます。
所有への愛着は誰しも少なからずあり、物を持っておきたいという心持ちは大事なのです。
損はしたくないと思うのは普通だが、損を恐れていては楽しく生きてはいけないのです。
言い換えれば、損を恐れるから失敗するのです。
返金保証というのは売るための秘策です。
それ背景に保有効果が潜んでいるからです。
無料お試しというのも同じようなものです。
販売者側が不利なように見せる作戦なのです。
保有することで価値が高まり、物を所有することで優越感を味わえるのです。
手放す、捨てるのには勇気が必要です。
しかし、断捨離など、思い切った行動を取るには勇気が要るのです。
いい商品なのに買いたくないというのは、保有効果が影響しています。
皆様は損することを極度に恐れていませんか。
思考停止状態で手放したくないと強く思っている人はケチであり、経済を回すなど、起業する、ビジネスを動かすという思い切った行動が向いていないのかも知れないです。
人というものは不思議なもので現状維持の方が楽なので、基本そのままにしようとします。
現状維持ではなく、進化を目標にしていく方が良いでしょう。
留まるのではなく、進化を目指し、常の次のレベルへ行けるように努力しましょう。
保有効果を知ることで、損することへの恐れがなくなります。
損を恐れるから、行動できずに失敗するのです。
これらの記事が皆様のお役に立てばと思い、自分の言葉で執筆いたしました。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
心より感謝を申し上げます。
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