おとなしい人は真面目に黙々と働いてくれます。不平不満を言う事も無く、上司の意見をよく聞き、誠実に仕事に取り組んでくれます。
会社に対して何の不満もなく順調にいっているのかと思いきや、突然退職したいと言い出して困り果てた経験はありませんか?
おとなしい人は普段から自分の意見を言わない人が多いので、辞めたいと思うに至った経緯が分からないまま退職してしまった・・・という人も多いかと思います。
おとなしい人ほどなぜ突然辞めてしまうのでしょうか?
今回はおとなしい人が突然辞めてしまう特徴・心理について解説します。また、突然辞める人に対して周囲の人が抱く感情についてもご紹介していきます。
おとなしい人は突然辞める?
会社側からすると、おとなしい人はどうして突然辞めると言い出すのだろう、辞めるならせめてもっと前に相談してほしかった・・・と頭を抱えますよね。
突然辞められては業務に支障をきたし、職場が混乱する恐れがあります。人員を補うために、新たに採用し教育していくにはコストもかかります。
会社としては突然辞められることは大きなマイナスとなってしまうため、なんとか防ぎたいところですよね。
しかしおとなしい人にとっては「突然」辞めようと思い立ったわけではありません。実はずっと前から退職を考えてはいたものの、言い出すきっかけが無かったり伝える勇気が持てなかった可能性が高いのです。
ではなぜおとなしい人は退職を考えていながらも誰にも相談しなかったのでしょう。
仕事内容や人間関係などで悩んでいたのであれば、誰かに相談すれば改善されていたかもしれないのに、誰にも理由を告げないである日突然退職すると言われても、会社としてはただただ困惑するばかり。
しかし、おとなしい人は感情を表に出さないだけで、心の中では辞めるに至るまでの深い葛藤があったのです。
突然辞める人の特徴・心理3つ
突然辞める人の特徴・心理①:真面目で完璧主義
突然辞める人は真面目で完璧主義な傾向にあります。0か100か、白か黒かといった極端な考え方しか出来ません。臨機応変に柔軟に対応するという事が苦手でもあります。
仕事に求められることに対して100%の結果が出せないと分かると、自分はこの職場には必要のない人間なのだと思い、迷惑を掛けてしまうくらいなら辞めてしまおうと思うまでに自分を追い詰めます。
突然辞める人の特徴・心理②:ストレスを溜め込む・吐き出せない
おとなしい人は自分の意見を伝えることが苦手な人が多いです。
そのため職場に不満があっても、それを誰かに相談して一緒に解決してもらう、という事が出来ません。一人ですべてを抱え込んでしまいます。
またおとなしい人にとって自分の感情を素直に表現することは難しいので、「怒る」という事が出来ません。
嫌な仕事を押し付けられても嫌と言えずに引き受けてしまいます。そして内心腹が立っているのに、相手に怒りをぶつけることも出来ません。
そういった怒りやストレスをどこにも発散することなく自分の中にどんどん溜め込んでいき、怒りが頂点に達した時、職場での問題解決に取り組もうと努力するのではなく、職場を辞めるという方法でストレスから逃れようとします。
突然辞める人の特徴・心理③:我慢強い
我慢強いことは良いことです。我慢強い人はちょっとやそっとの嫌な事では諦めず、無理な仕事を任されても中途半端に投げ出すことも決してなく、責任を持って最後までやり抜こうとします。
しかしいくら我慢強いといってもいつかは限界が来ます。我慢強い人ほど我慢の限界が来た時、突然辞めてしまいます。
周りのために自分を犠牲にして頑張るのは良いことだという風潮がありますが、無理な我慢は禁物。無理がたたって体を壊してしまう前に、出来ないことは出来ないと断る勇気も大切です。
優秀な人ほど突然辞める?
仕事をバリバリこなして成果を上げていく優秀な社員がいても、会社が年功序列制度であれば、優秀な人は自分の仕事を正しく評価してもらうことが出来ず、不満を感じるようです。
仕事が出来る優秀な人は、実力や実績が無いのにただ長く勤務しているという理由だけでその人の方が自分よりも待遇が良いことに納得がいきません。
そういった人は自分のスキルをもっと生かすことが出来て、それを正しく評価してくれる真っ当な会社に移ろうと考えます。
まともな人ほど突然辞める?
突然辞める人は非常識・・・と思われがちですか、就職した会社がブラック企業だった場合、この限りではありません。
サービス残業や休日出勤を無理矢理任されたり、自腹で自社の商品を購入するよう命じられたりと不正のオンパレードなブラック企業では、上司に辞めたいですと伝えたとしても取り合ってくれない事もあります。
労働環境があまりにも悪く、かつ改善される見込みも無いことが分かると、まともな人は見切りをつけてすぐに転職していきます。
辞めそうな人が見せる前兆4つ
あの人は仕事を辞めそうな気配なんて全くなかったのに突然辞めてしまった・・・と思っていても、あなたが気付かなかっただけで、その人の言動には必ず辞める前兆が表れています。
前兆①:早退や休みが増えた
体の不調というのはある日突然現われるもの。昨日まで元気だった人が何気なく受けた健康診断で重い病気が発覚することも決して珍しいことではありません。
そして真面目な人ほど会社に迷惑を掛けてはいけないと隠したがります。しかし体は嘘をつけません。
体の不調から徐々に休みが増え、ついに出勤出来なくなるくらいに悪化して初めて会社を辞める決心をするという人もいます。
もしくは会社に隠れて転職活動に勤しんでいるケースもあります。転職に向け資格取得のために勉強をしているのかもしれません。
会社を早退したり休んだりして時間を捻出し、いくつか候補の転職先をピックアップし、それらの企業の説明会や面接に行っている可能性もあります。
前兆②:仕事でのミスが多くなった
これにはふたつのパターンが考えられます。
ひとつめのパターンは、
- 会社を辞めようと考えていて仕事の合間を縫って転職活動に励んでいる人
- 転職先がすでに決定済みで、いつ会社に報告しようか悩んでいる人
このどちらかです。このような人は仕事中、心ここにあらずの状態でミスが増えてしまいます。
意識が今の会社にではなく、転職先での新たな出会いや新しく挑戦する事業などに向いていて、新たな世界が始まることにワクワクして今の仕事に集中出来ていないのかもしれません。
ふたつめは、ミスをしてばかりで怒られることが増えて、叱られることに嫌気がさして退職したいと考えているパターンです。
悲観的な人は、なぜ自分ばかりが集中的に責められるのだという被害意識が強く、自分はこの職場の人たちから嫌われているのではないか、これからも攻撃され続けるくらいなら辞めてしまおうと退職を決意する人もいます。
こういった人は少しのトラブルで転職を繰り返す傾向にあり、どこの職場へ行っても長続きしないでしょう。
前兆③:笑顔が少なくなった
こちらは「突然辞める人の特徴・心理」で説明した、ストレスを溜め込む人、我慢強い人にこの傾向が見られます。
我慢強く、不満や悩みがあっても人に相談することが出来ず、ストレスを溜め込んでしまう人は、傍から見ると何の変化もないように感じられます。
しかし人間は限界までストレスが溜まると必ず何らかの異変が起きるもの。言葉で弱音を吐き出せない人は、ストレスが表情に表れます。
おとなしい人は普段から表情の変化が乏しい人が多いですが、あまりにも暗い表情をしていたら要注意です。
また目の下に隈が出ていたり、顔色が著しく悪い場合は心だけでなく体にも異変が起き始めています。そういった変化が見え始めたら早急に手を打った方が良いでしょう。
前兆④:デスクを整理し始めた
最近、あの人のデスクの上にあった私物が減ってきているなと思ったら、それはすでに他の会社への転職が決定していて、次の職場へ移るために身辺整理を行っている最中なのかもしれません。
真面目で完璧主義な人は何事も計画通りに進めたいと考えています。
こういった人の場合、もうすでに何月何日に退職するか決めていて、あとは上司や会社に報告するだけ、というところまで来ている可能性が高いです。
退職日が迫ってきてから慌てて退職の準備をする、という無計画なことはしません。退職する日から逆算して、スムーズに退職できるよう前もって少しづつ片付けているのです。
このような人は意志が固く、一度退職すると決心したら周りは覆すことが出来ないでしょう。残念ながら引き留めることは出来そうにありません。
せめて引継ぎだけはきちんと終了させてから辞めるようにしてもらうのが最善の方法かもしれませんね。
突然辞める人はどう思われている?
引継ぎをきちんと済ますことなく突然辞めていく人に対し会社の人は良い気がしないでしょう。
普通であれば1~2か月前に辞める旨を上司に告げ、退職届を提出。その後引継ぎを済ませ、仕事関係者に挨拶して回ってから辞めるというのが一般的な会社の辞め方の手順です。
これらの手順をすっ飛ばしてある日突然辞められたら、やはり会社の人たちは辞めた人に良い感情を持てません。
ただし、明日仕事に行くのが憂鬱で食事も出来ない、明日のことを考えると夜も眠ることが出来ない、朝になって出勤しようとしたらお腹が痛くなるなど、心身共に限界を迎えてしまっているのなら話は別。
あなたの心と体の声を聴いてあげて下さい。あなたの心と体を優先しましょう。
あなたはもう十分頑張ってきました。会社の人があなたを責めたとしても、その会社を辞めてしまえばもうその人たちと会うことはありません。
会社に行くのがどうしても限界、というのであれば突然辞めたっていいんです。
ただし、いきなり無断で欠勤し音信不通にすると、会社の方たちもあなたが事故に巻き込まれたのではないかと心配し、より大きなトラブルに発展する可能性もあります。
最低でも辞める旨を伝える電話一本かけるか、もしくは退職代行という手もありますので、辞めるという意思表示だけはきちんと会社に伝えるようにしましょう。
一方、上記のようなどうしてもやむを得ない事情からではなく、ちょっとした仕事のミスや上司からの些細な叱責で、何もかもが嫌になってすぐ辞めてしまうのは良くありません。
逃げ癖がついてしまい、どこの職場へ行っても少しトラブルが起きると嫌になれば辞めればいいと考えるようになります。その結果、頻繁に退職を繰り返すようになります。
頻繁に仕事を変えている人はどの企業の面接に行っても、どうせうちの会社でも長続きしないだろうと採用を見送られる可能性が高くなります。
また、あまりに短期間での退社を繰り返していると、この人は何をやらせても途中で投げ出す責任感の無い人なんだろうなと思われ、誰からも信用されなくなってしまいます。
突然辞められるのを防ぐには
突然辞める人はぎりぎりまで我慢する傾向にあります。こちらが「大丈夫?」と声を掛けてもおそらく弱音を吐くことはないでしょう。
突然辞める人は自分の気持ちを吐き出すことが出来ず、感情を溜め込んでしまう傾向にあります。
ぎりぎりまで我慢してある日突然プツンと糸が切れたように、衝動的に「もう会社を辞める!」と、突然会社に来なくなります。
突然辞めるのを防ぐには、辞めそうな人がいないか監視を厳しくするのではなく、日頃から従業員や同僚と良好な関係を築くようにしておくことが一番です。
奥手な人と距離を縮めるにはプライベートな話題で話すのが有効です。
とくに人は自分の興味関心のあることを話したり質問されることが大好き。休日に打ち込んでいる趣味だったり、好きな芸能人のことなど、何でもかまいません。
まずはプライベートな話を気軽に出来る関係を築くことで、「最近仕事がつらくて・・・」と、だんだん悩み事も打ち明けてくれるようになります。
もし、辞めそうな人がいて話を聞きたいのであれば、立ち話で済ませるのではなく、ゆっくり落ち着ける場所で座って話すのが良いでしょう。
人は立っている時よりも座っている時の方が警戒心が緩みます。
さらにもうひとつポイントがあります。椅子は柔らかく座り心地が良い物を選びましょう。
人は心地よい状態でいたり、肌触りが柔らかく優しいものに触れていると安心感を得られ、警戒心が緩みます。
心を閉ざして本音を打ち明けてくれない人には、無理矢理本心を聞き出そうとするより、居心地のいい環境でリラックスして過ごしてもらう方が、心の鎧を脱がせることが出来ます。
まとめ
【おとなしい人が突然辞める心理】いかがだったでしょうか?
おとなしい人は「突然」辞めるわけではありません。周囲が気付かなかっただけで、実際は退職するずっと前から何か異変を生じていたことがほとんどです。
日頃から従業員に気を配り、ミスをすればフォローし、悩みやトラブルを打ち明けやすい環境をつくることで離職率の低い、居心地の良い職場となるでしょう。
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