「親との死別」は、どんな人にとっても辛く悲しいもの。親にはできる限り健康で長生きしてもらいたいですが、病気や不慮の事故などで早くに親を亡くしてしまう人もいます。
この記事では、早くに親を亡くした人によく見られる性格や、早くに親を亡くした人の強み・抱えがちな課題について詳しく解説していきます。
とくに、幼いうちに親を亡くしてしまった場合、人格形成にも少なからず影響があります。
自分が早くに親を亡くしたという方や、近しい人が早くに親を亡くしているという方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
親を亡くす年齢の平均は?
親を亡くす年齢は人によってさまざまですが、若い世代ほど両親が生存している割合が高いと考えるのが一般的です。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた第 8 回世帯動態調査によると、親が生存している人の割合は下記の通りとなります。
両親ともに生存している割合は、20歳代前半では95.9%(第7回94.9%)、40歳代前半では73.6%(第7回69.8%)だが、65歳以上では1.0%(第7回1.0%)と急減する。
一方で、50歳代の7割以上、60-64歳で47.0%(第7回41.5%)は少なくとも1人の親が生存している。65歳以上全体では自分の親の生存割合は8.9%(第7回9.6%)となっている。
第 8 回世帯動態調査
20代前半の9割以上、40代前半の7割以上が、両親をまだ亡くしていないことがわかりますね。つまり、幼少期や10代で親を亡くしてしまう人の割合は全体で見てもかなり低いといえます。
早くに親を亡くした人は、多くの人が経験することのない苦難に立ち向かわなければならないのです。
【年齢別】早くに親を亡くした人の「死」の受け止め方
親の死を受け止めることは、大人でも難しいものです。ショックでなかなか立ち直れない、ふさぎ込んでしまうという人も多いですよね。
とくに、子どもにとって親の存在は何にも代えられないほど大切なもの。幼いうちに親を亡くしてしまった人は、精神面や人格形成においても大きな影響を受けることになります。
ここでは、早くに親を亡くした人の「死」の受け止め方を年齢別で解説していきます。
2~3歳頃
2~3歳の幼児は、まだ死をきちんと理解できません。「死んでいる=眠っている」と認識しがちなのも幼児の特徴で、「死んだらもう元には戻らない」ということは理解できません。
ですから、幼い子供だからといって「パパ(ママ)はずっと寝ているんだよ」といった声掛けをすると、誤解や不安を招いてしまうことがあります。
まだ理解できないとしても、「死んでしまったんだよ」ときちんと教えてあげる必要があります。
また、幼児に「親は死んでしまった」と何度も教えても、「どこにいったの?」とまた何度も聞いてくるものです。
2~3歳児は物事を繰り返すことで理解していくので、質問されるたびにきちんと答えてあげることが大切です。
3~6歳頃
3~6歳頃の子供も、「死んだらもう元には戻らない」ということはきちんと理解していません。親が元の姿でまた戻ってくると信じています。
「天国に行きたい」といった発言をする子供もいるでしょう。
これは、子供が「死にたい」と思っているわけではなく、天国の親のところに出掛けてもまた戻って来られると思っているのです。
また、3~6歳頃の子供は、「自分がイタズラをしたり言うことを聞かなかったりしたから、親が死んでしまったんだ」と考えてしまう場合も多いので、周囲の大人がフォローしてあげる必要があります。
6~10歳頃
6~10歳頃の子供は、「死んだら元に戻らない」ということは理解できるようになってきます。
しかし、「誰にでも死は訪れるもの」ということを理解するのは難しい場合があります。
「死」に興味が湧いてくるのもこの頃で、「死んだら体はどうなるのか」「死んだらどこに行くのか」といったことを知りたがる子供も多いですよ。
親を思い出し、傍に感じることのできるような形見があると、6~10歳頃の子供の心の大きな支えとなります。
10~12歳頃
10~12歳頃の子供は、「死んだら元に戻らないこと」「死は誰にでも訪れるもの」だということを理解できるようになってきます。
「死」の話題はタブーだという認識も持つようになり、積極的に親の死について聞いてこない場合もあるでしょう。
死の話題を出すことで、周りの人を傷つけたくないという気持ちも持ちはじめているのです。
つらい気持ちを心に押し込めてしまう場合もあるので、周りの信頼できる人が、親が死んだことについて積極的に話を聞いてあげる必要があります。
思春期
思春期の子供は死について理解していますが、親の死についての自分の想いをなかなか話そうとはしません。
親を亡くした喪失感を、非行などに走ることによって癒そうとする場合もあります。
親を失ったことによる自分の中の悲しみや怒り、恐怖などを素直に話せる大人が身近にいることが非常に重要で、きちんと気持ちを表現して受け止めてもらうことで次第に心が癒されていきます。
早くに親を亡くした人の性格7つ
本来なら、幼い子供や思春期の子供は、両親が揃った温かい家庭で安心して育つのが理想的です。
しかし、早くに親を亡くした人はそれが叶わず、多くの子供が経験しないような過酷な状況にさらされて生きていくことになります。
そのため、早くに親を亡くした人は、ごく普通の家庭で育った人とは性格面でも違いが見られます。
ここでは、早くに親を亡くした人によく見られる性格の特徴について解説していきます。
精神的に成熟している
早くに親を亡くした人は、多くの子供が親に頼ったり甘えたりしているような状況でも、自分の力で問題を解決してきました。
片方の親がいればもちろん助けてはくれますが、片親の家庭はとても忙しく余裕がないので、子供が自分で何とかしなければならない場面も必然的に増えるでしょう。
進路や受験の相談のような大きな悩みから学校行事の準備まで、自分でしっかりと考えてきたので、若いうちから精神的に成熟している人が多いです。
周りの友達が後先考えずにはしゃいでいるような状況でも、どこか冷静で落ち着きのある雰囲気を漂わせています。
困難を乗り越える強さがある
早くに親を亡くすということは、人生において最大ともいえるほどの困難です。
人間関係・仕事関係・金銭関係など、生きていればさまざまな困難がありますが、努力や考え方次第で状況を変えられることも多いもの。
しかし、「親の死」は絶対に変えることのできない事実で、もう永遠に親が戻ってくることはないのです。
人生の早い段階で「親の死」という困難を与えられ、それを受け入れてきた人は、普通に生きてきた人には持てない強さがあります。
その後の人生でさまざまな困難に直面しても、逃げ出すことなく立ち向かうことができるでしょう。
自立心・独立心が強い
早くに親を亡くした人は、親に十分に甘えることができませんでした。
それは子供にとっては非常に辛いことですが、その分普通の家庭で育った子供にくらべて「自分の力で生きていこう」という自立心が強く育ちます。
両親に守られながら生きてきた人は、幸せではありますが、何事もどこか他人事のように考えている人も多いものです。
一方、早くに親を亡くした人は、自分の意見をしっかりと持ち、自分で道を切り拓く力を持っている人が多いのです。
謙虚
幼い子供は、将来の心配をすることなく、親に守られながら天真爛漫に育っていくものです。
しかし、早くに親を亡くした場合、子供ながらに未来への不安を感じたり、親がいないことによる恐怖を感じたりと、心の中にさまざまな思いを巡らせることとなります。
幼いうちから思慮深くなるため、大人になれば周りのことをしっかりと考える謙虚な性格になりやすいでしょう。
出しゃばり・わがままな性格ではないので、周囲の人からも慕われやすいですよ。
感受性が強い
幼いうちに「親の死」というショッキングな出来事を経験した人は、人一倍感受性が強くなります。
何不自由ない環境で育っていると、なかなか人の痛みがわからないものですが、早くに親を亡くした人は他人の痛みが自分のことのようにわかるのです。
身近な人が悲しんでいるときはもちろん、映画やドラマなどにも感情移入しやすいでしょう。
親の死があったからこそ、より人間らしく思いやりのある人になれるのですね。
向上心がある
両親が健在で不自由なく暮らしている子供の場合、その幸せな生活を「当たり前」と感じてしまって、ダラダラと過ごしてしまいがちです。
一方、早くに親を亡くした人は、「人生には限りがある」ということを身をもって知っています。
だからこそ、生きているうちに精一杯努力しようという向上心を持つことができます。
親の死に直面したことで、「明日が当たり前に来るとは限らない」という感覚が自然と身に付いているのでしょう。
社会貢献意識が高い
早くに親を亡くした人は、親類や友人などたくさんの人に支えられて生きてきたことを知っています。
周りの人への感謝の気持ちが自然と芽生え、大人になれば社会貢献意識が非常に高くなるでしょう。
自分自身が苦労して逆境を生き抜いてきたので、苦しんでいる人を助けたい気持ちが強く、ボランティアなどに積極的に参加する人もいるでしょう。
早くに親を亡くした人の性格的な強み
早くに親を亡くすというのはとても不幸なことですが、その経験をバネにして大いに飛躍を遂げる人もいます。
苦難や逆境を生き抜いてこそ、より深く充実した人間性が作られるもの。
ここでは、早くに親を亡くした人の性格的な強みについて解説していきます。
目標を叶えるエネルギーに溢れている
早くに親を亡くした人は、人生の儚さを知っています。
いつ自分の人生が終わりを迎えるか分からないからこそ、時間を無駄にせず目標に向かって走り出すことができるのです。
また、心から頼っていた親に先立たれてしまったことで、「自分の力で生きていかなければ」という意識を人一倍強く持っているのも特徴です。
甘えられる親がいないぶん、しっかりと目標を持って一生懸命勉強や仕事に励むことができるのですね。
人の痛みがわかる
他人の辛い気持ちは、同じような経験をした人でないとなかなか理解できないものですよね。
早くに親を亡くした人は、幼いうちに「親の死」という心の傷を負っています。この痛みがあるからこそ、他人の心の痛みも同じように理解できるのです。
人をむやみに傷つけたりせず、思いやりがあるので、多くの人望を集めることができるでしょう。
命の尊さを知っている
「命を大切にしましょう」とはよく言われますが、本当の命の尊さを知っている人がどれだけいるでしょうか?早くに親を亡くした人は、命がとても重く、また儚いものだということをしっかりと理解しています。
「死んでしまったらもう会えない」ということを、身をもって体験しているのです。
だからこそ、周りの人に優しくできるし、時間を無駄にせず一生懸命生きることができます。
小さな幸せにも感謝をすることができる、素晴らしい人格の持ち主なのです。
早くに親を亡くした人が性格的に抱えがちな課題
早くに親を亡くすことによって、精神面へのダメージは避けられません。親の死を受け入れるといっても、すぐにできるものではなく相当な時間を要することもあります。
ここでは、早くに親を亡くした人が抱えがちな課題について解説していきます。
孤独を感じやすい
親を亡くすことは、大人であってもとてもショックな出来事です。
親との関わりを多く必要とする子供時代に親を亡くしてしまった場合、その後の人生では相当な孤独感に苦しめられるでしょう。
その孤独は、年月とともに少しずつ薄れていきますが、完全に消えることはないかもしれません。
ただ、そういった孤独感や不安、怒りなどを感じるのは自然なことで、無理に忘れようとしたり押し殺す必要はありませんよ。そばに寄り添って、話を聞いてくれる人の存在が大切になります。
対人関係に苦手意識を持ちやすい
早くに親を亡くした人の場合、必然的に親との関わりが減ってしまいます。その結果、人との距離感や接し方がわからず、対人関係が苦手と感じてしまう人も少なくありません。
また、親を亡くしたことで気持ちが暗くなってしまい、周囲の人間関係に関心が持てなくなってしまう子供もいるでしょう。
もう一人の親や親戚など、身近な人が積極的にコミュニケーションを取ってあげることが大切ですよ。
責任感が強すぎる
早くに親を亡くした人は、親がいない分「自分がしっかりしなくちゃ!」と常に自分を奮い立たせながら生きてきました。そのため、自立心が強く自己管理もしっかりとできる人が多いのですが、責任感が強すぎるあまりに周囲に助けを求めることができず、自分を苦しめてしまうこともあります。
「弱音を吐くことは許されない」「他人に迷惑をかけてはいけない」と感じる必要はありません。
辛いときには周りの人に頼っていいのです。子供の場合は特に、甘えることができるような環境を周囲の大人が作ってあげる必要がありますよ。
情緒不安定になりやすい
早くに親を亡くした場合、長きにわたってネガティブな感情に苦しめられることも多々あります。
寂しい・悲しいといった感情はもちろん、「なぜ親は自分を置いて行ってしまったのか?」と怒りにも似た感情を抱え、そんな自分を責めてしまうこともあります。
命日の近くになると、情緒不安定になってしまうという人もいるでしょう。
そんなときは、無理に辛い気持ちを忘れようとせず、信頼できる人に話を聞いてもらうことが大切です。
親はもう絶対に戻って来ないけれど、毎日は続いていきます。
親のいない世界をどう生きていくのか、喪失感とともにどう生きていくのかが、早くに親を亡くした人の課題となります。
まとめ
今回は、早くに親を亡くした人の性格や強み、課題などについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
早くに親を亡くした人は、普通の家庭で育った人たちよりも波乱万丈の人生を歩むことになります。非常に辛く悲しい経験ではありますが、そんな経験をした人だからこそ得られる強みもあるのです。
辛いときは周囲の人に頼りながら、ぜひ充実した未来を作っていってくださいね。
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