福寿草は冬から春にかけて黄色やオレンジの花を咲かせる植物です。花言葉には悲しい思い出や幸せを招くといった言葉がつけられています。
しかし、なぜそのような言葉がつけられているのでしょうか?今回は福寿草の花言葉の由来や誕生花、さらに育て方についてまとめました。
福寿草とは?どんな花?
福寿草(ふくじゅそう)は、日本やアジア、シベリアなどに生息している植物です。お正月のシーズンになると、お店でよく見かけますよね。
詳しい特徴は知らなくても、なんとなく縁起のいい植物ということは知っているという人は多いかと思います。そこでまず初めに、福寿草がどんな植物なのか、特徴や別名をご紹介します。
毒がある
福寿草は丸みのあるシルエットで見た目は愛らしいものの、実は毒を持っています。縁起がいい植物として有名ですが、毒がある植物ということを知らない人もいるのではないでしょうか?
福寿草が持っている毒はアドニトキシンやシマリンで、日本では北海道から九州まで、幅広い地域の林内に自生しています。山歩きをしていて、福寿草の群生を見かけたことがある人もいるでしょう。
福寿草が持つ毒は実際に体に取り込んだ際に害を及ぼすため、植物を直接触っても特に問題はありません。
そしてその毒は、根っこから花びらまで全ての部位にあり、呼吸困難や下痢などの症状が発症します。特に根の部分に含まれている毒性が強く、注意が必要です。
過去には、成長途中の姿がヨモギやフキノトウに似ているせいで、食用の山草と間違えて口にしてしまったという事例も残っています。ほかにも、命を落としてしまったケースもありました。
もし山草を採取するのが趣味という人なら、食べられる植物と間違えないよう注意してくださいね。
福寿草の別名
福寿草の別名には元日草(がんじつそう)、元旦草(がんたんそう)、朔日草(ついたちそう)、賀正蘭(がしょうらん)といったものがあります。
また、英名ではspring adonisです。元日草や元旦草という別名は、お正月に飾る花であるところから来ているのでしょう。そして福寿草という名前自体は和名であり、学名ではAdonis ramosaと呼ばれています。
福寿草の花言葉
代表的な花言葉は、悲しき思い出、永久の幸福、幸せを招く、幸福、祝福、回想、思い出といったものがあります。
これら、永久の幸福や幸せを招くなどの花言葉は、大切な人への贈り物としてもぴったりな花言葉ですね。
花の色は数種類ありますが、花色別の花言葉はありません。花の色に縛られず、好みの花色の福寿草を選べるのは、誰かにプレゼントするような場面で選びやすいですよね。
一方、悲しき思い出は何だか怖い雰囲気の花言葉ですね。しかし、この花言葉の由来は怖いものではありません。この花言葉にはどんな意味合いが込められているのでしょうか?
しかし花言葉の由来を説明する前に、福寿草そのものの名前の由来をご紹介します。名前の由来は、新年が明けて一番に咲くため、幸福を招く、福を呼ぶという意味合いでつけられています。これらの内容をふまえて、花言葉の由来についてみていきましょう。
福寿草の花言葉の由来
まず、永久の幸福、幸せを招く、幸福といった良い意味を感じさせる花言葉の由来は、福寿草という名前の理由同様に、幸運を呼ぶ植物、縁起がいい植物と昔からいわれていたからです。
次に、思い出や回想の由来は長寿という言葉からイメージしてつけられています。長寿のお祝いや日頃お世話になっている祖父母へのプレゼントに最適でしょう。ぜひメッセージカードを添えて贈ってみてはいかがでしょうか?
そしてもう1種類の悲しき思い出は、ギリシア神話から来ています。みなさんはギリシア神話はご存知でしょうか?
これはたくさんの神様が登場する古代ギリシアから伝わる神話です。そのなかの一つ、アドニス伝説と呼ばれているものが、この花言葉の由来となっています。物語の登場人物は、女神アフロディーテ、キューピッド、そしてアドニスという少年です。
お話の流れは、キューピッドとアフロディーテが仲良く遊んでいましたが、このときキューピッドの放った矢がアフロディーテに刺さってしまいます。
そして怪我が完治する前にアドニスを見たことで、アフロディーテはアドニスに恋をします。恋のキューピッドというのは、ここあたりから来ているのでしょうか。
一方、アドニスは趣味の狩りを楽しんでいましたが、運悪くイノシシの一撃を食らい亡くなってしまいます。
それを悲しんだアフロディーテは涙を流し、アドニスの血を使い、赤いお花、アネモネを咲かせたというのがアドニス伝説です。
このお話を知ると、花言葉が悲しい内容になっているのも頷けますね。また、アドニスという名前は、福寿草の学名にも使われています。
福寿草の英語の花言葉
福寿草の英語版の花言葉は、上記でご紹介した悲しき思い出でスペルはsorrowful remembranceです。
ギリシア神話が海外のものなので、この花言葉がそのまま英語版として使われているのでしょう。
福寿草の種類
福寿草はいくつかの種類があります。日本には4種類の品種が自生しており、それは福寿草、北見福寿草(きたみふくじゅそう)、陸奥福寿草(みちのくふくじゅそう)、四国福寿草(しこくふくじゅそう)です。
北見福寿草
北見福寿草は北海道が自生地で、一般的な福寿草の自生エリアとは異なり、海岸や川の近くなどに咲いています。自生エリアが限定的なので、現地で見つけられた人はラッキーかもしれませんね。
陸奥福寿草
次に陸奥福寿草は、東北から九州にかけて自生しています。花が咲く時期は3月下旬~4月中旬頃で、萼(がく)が花弁より短いのが特徴です。加えて、花弁の裏側の色が赤っぽくなる点も福寿草とは異なります。
四国福寿草
そして四国福寿草は名前のとおり、四国に自生する種類です。しかし、四国ならどこにでも咲いているのかというと、そうではありません。徳島と高知の2県のみと限られています。
福寿草の仲間
続いて、福寿草の仲間をいくつかご紹介します。海外には、アドニスブレビスティラやアドニスベルナリス、日本では、秩父紅や福寿海、白寿といったものが有名です。
アドニスブレビスティラ
アドニスブレビスティラは中国白花福寿草という名前もあり、高山植物に分類されています。暑さが苦手で、白い花をつける清楚な雰囲気が特徴です。
アドニスベルナリスはヨーロッパアルプス地方、草地の植物で、花びらには切れ込みが入っています。
秩父紅は鮮やかなオレンジ色の花色が特徴で、秩父地方に生息する植物です。花が咲くのは2~3月で、幻の福寿草ともいわれ人気があります。
福寿海はくるんと丸みのある花びらをしており、丈夫で増えやすい植物です。白寿は細長い花びらで色も白っぽい見た目をしています。上品な雰囲気を感じさせるお花なので、白寿のお祝いにも最適です。
福寿草に似た花
似た花には、撫子が挙げられます。撫子は赤やピンク、白と花色も品種も豊富で世界各地に自生しており、撫子科ダイアンサス属、多年草の植物です。実際に育てている人も多いかと思います。
日本には浜撫子(はまなでしこ)や河原撫子(かわらなでしこ)などが咲いています。浜撫子は紅撫子や藤撫子などの別名を持ち、細かいギザギザが花びらの先に入っているのが特徴です。花は夏~秋に開花します。
もう1種の河原撫子は秋の七草の1種でも知られていますよね。別名では大和撫子(やまとなでしこ)と呼ばれています。植物自体は暑さ寒さに強く、花の開花時期は春~夏にかけてです。
福寿草と比べると、撫子は全体的に可憐で控えめな見た目をしています。花の大きさ自体もかなり小さめです。実はカーネーションも撫子と同じダイアンサス属に該当します。
撫子は花壇や鉢植えなどで育てられ、育て方も難しくありません。そのため、園芸初心者さんにもおすすめの植物です。
福寿草の誕生花
誕生花は、1月は1日、3日、4日、10日、12日、23日、26日、2月は26日、4月は6日、11日、26日に指定されています。1年の初め、1月に多く指定されているのが特徴的ですね。
4月生まれの人へ贈る場合も、入学や進級、引っ越しのシーズンですから、新しい船出への贈り物としてもぴったりかと思います。
誕生日は1年に1回しか来ない特別な日ですから、それに合わせて誕生花を選んで貰えたら、色々考えて選んでくれたんだなと受け取った側はとても嬉しいですよね。
誕生花であれば、相手の年齢や性別、状況など問わずにチョイスできるので、気軽に贈りやすいという利点もあります。
ぜひ、上記の誕生日の人があなたの周りにいたら、福寿草をプレゼントとして選んでみてくださいね。貰った相手は、きっと喜んでくれるのではないでしょうか。
福寿草の季節・開花時期
お店にはお正月の頃も出ていますが、実際の花の開花時期は2~3月頃です。季節でいえば、冬から早春の間が福寿草のシーズンにあたります。そのため、春を告げる花ともいわれています。
お正月に登場するものは、そのタイミングに販売できるよう時期を合わせて育てられているものです。
だいたい1~2週間程度の間、花を咲かせてくれます。自宅で栽培するような場合でも、すぐに散ってしまうわけではないので、充分に花の美しさを堪能できるでしょう。
福寿草の育て方・ポイント
福寿草は咲く花が減る冬の季節を彩ってくれる貴重な植物の一つです。庭に地植えしたり、鉢植えで育てたりもできるので、育てる人の環境に合わせた栽培方法を選べます。
草丈は30cm程度で、そこまで大きくなりません。育てる際の置き場は明るい日陰が適しており、夏が来る頃に葉が落ちて休眠の準備が始まります。
土選び・用土
用土は市販の園芸用の土で構いません。水はけがよく、有機質を多少含んだ用土がいいでしょう。
鉢植え選び
根が大きくなる植物なので、鉢植えで育てる場合、鉢の大きさは大きめを選び、深さもある商品が適しています。鉢植えが小さかったりすると、すぐに株が育ってしまい、植え替えが短期間で必要になるからです。
植え替え
植え替えで根を触るのは、植物にとってストレスになりますから、なるべく必要以上の植え替えはしなくて済むように、鉢選びをするといいでしょう。
水やり・湿度管理
水やりは、芽が出た頃から葉がある頃まではしっかり与えましょう。花が咲き終わってからは1日1回に回数を減らします。
栽培するときの注意点は、寒い時期は凍結させないよう花に水をかけないようにしてくださいね。凍結してしまうと、きれいな花が傷んでしまいます。
さらに、葉っぱが落ちてからは特に多湿にならないようにも気を配ってください。かといって、乾燥させすぎもよくないので極端な環境にならないように管理することがポイントです。
庭植えで育てるポイント
お庭で地植えで育てる場合の水やりは、ある程度自然に任せますが、あまりにも雨が降らないような場合は水やりしてあげるといいでしょう。
気をつける病気・外注
病気は炭そ病、ウイルス病、灰色かび病などに注意してください。害虫はアブラムシやナメクジ、ヨトウムシに注意が必要です。
定期的に薬剤噴射をして、健康的な株を維持してあげることが、美しい福寿草を咲かせることに繋がります。
特にナメクジは、地植えすると地面が近いせいで食害に合いやすいです。放っておくと、どんどん酷くなるので注意しなければいけません。
ナメクジがついていないかこまめにチェックして、もしナメクジがついているのを見かけたら取り除いてあげるといいでしょう。
ほかにも、根腐れや寒風の被害も栽培環境によっては起こることがあるので、一年を通して気をつけてくださいね。
種まき
種を蒔いて育てる場合は4~5月、植え替えは9~11月が適しています。肥料は植えるときに元肥を加えて、芽が出てからは置き肥や液体肥料を与えましょう。
暑さ寒さにも強い
福寿草は暑さ寒さどちらにも強い性質を持っています。また、日本に自生していることから日本の環境にも慣れているので、育てやすいのが特徴です。
とはいえ、凍ってしまうと植物がダメージを負ったり、湿度高めな環境だと根が腐りやすくなったりします。株が丈夫とはいっても、適した環境作りを心がけましょう。そのほうが植物の世話や手入れが楽になってきます。
植えっぱなしで育てられる
地面に直接植える場合、基本的には植えっぱなしでも問題ありません。環境が適していれば、多年草なので、自然と増えて毎年花をつけてくれるでしょう。
もし日光に当たりすぎる場所や寒風が直撃するような場所で気になるときは、落ち葉を軽くかけたり少しだけ風除けを用意してあげるといいでしょう。
また、地植えでも肥料を与えると花つきがよくなるので、時期が来たら適量をぜひ与えてみてくださいね。
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