ハルジオンは、道端にも咲いており春にぴったりな花です。しかし、繁殖力の強さに困る一面ももち合わせています。追想の愛という花言葉や貧乏草という別名をもつハルジオンには、どんな由来があるのでしょうか。
この記事では、ハルジオンの花言葉から仲間の花・伝説・歴史などについてまとめました。誕生花や似ている花についてもふれているので、ぜひ読んでみてくださいね。
ハルジオンとは?どんな花?
ハルジオンは、あぜ道で咲いているのをよく見かけますよね。まずは特徴や歴史から解説していきます。
ハルジオンの特徴
ハルジオン(春紫苑)は、細かい花びらが特徴的で白やピンクの花を咲かせる植物です。花の名前は知らなくても、いつも通る道などで花自体を目にしている人も少なくないでしょう。
花の姿を見たら「あ、この花か」と思うかもしれません。とても強健でどこにでも咲くため、貧乏草という別名までつけられています。
どこにでも咲くというのは、花の手入れをする余裕がないような、貧しい家の庭にも咲くという意味です。ハルジオンは、庭植えや鉢植えで育てることができます。植えっぱなしでもスクスク育っていくので、これから園芸に挑戦してみたい人にイチオシです。
花以外の部分は、実は食べられます。少し苦味があり、春菊のような感じです。食べるときは、アク抜きしてから食べるようにしましょう。ハルジオンを乾燥させてお茶にしたり茹でておひたしにするのもおすすめです。
ハルジオンの歴史
もともと、観賞用として海外から入ってきました。日本にやってきたのは、大正時代のころです。繁殖力が強すぎて、あっという間に日本や世界各地に広がりました。多年草なのでなかなか取り除くのに苦労します。
花の名前は、牧野富太郎という植物学者がつけました。どこにでも咲いてあっという間に勢力を拡大していくので、最近は「要注意外来植物」に指定されていたり、雑草と同じ扱いをされることも少なくありません。
見た目はかわいいですが、増えすぎるのも困りものですね。咲くのが春の季節なので、名前に「春」と入っています。
ハルジオンの伝説
別名の貧乏草は、そのたくましい生命力の高さから来ていると、先ほどお伝えしました。しかしほかにも由来があります。これは地域によって異なるようです。
1つ目は、咲いているハルジオンを摘んでしまうと、摘んだ人は貧乏になるといわれています。もちろんそのようなことはありません。安心してお庭で育ててみてください。
2つ目は、茎の部分を折ってしまうと、貧乏になるといわれています。こちらもそのようなことはなく、貧乏とは無関係です。
ハルジオンの基本情報
科・属名 | キク科、ムカシヨモギ属 |
学名 | Erigeron philadelphicus |
和名 | ハルジオン |
別名 | 貧乏草 |
英名 | Philadelphia daisy・Philadelphia fleabane |
原産地 | アメリカ |
開花時期 | 3~6月 |
花色 | ピンク・白・紫 |
荒れ地や田畑の道でも、ぐんぐん育ちます。春になると、あちこちでその姿を見かけるでしょう。手入れ知らずで育つ生命力のすごさから「貧乏草」という別名があるほどです。
お隣との距離が近い場合は、周囲への育ち過ぎに注意したほうがいいでしょう。ほかの花と一緒に植えた場合も、その花がハルジオンの生命力の強さに負けてしまう可能性があります。
なるべく地植えを避けて、プランターで育てるほうが後々困りません。
ハルジオンの花言葉と由来
ハルジオンの花言葉はさりげない愛と追想の愛です。どんな意味からつけられているのでしょうか。詳しくみていきましょう。
「追想の愛」
追想の愛は、つぼみのハルジオンの様子が元になったようです。つぼみはお辞儀をするように頭を軽く下げています。
このつぼみのときのうつ向いている感じが、昔あったことを思い出し感傷に浸っているような様子を感じさせるため、このような花言葉がつけられたようです。
また似ている花の紫苑に「追憶」という花言葉があり、こちらから来ているという説もあります。
「さりげない愛」
繊細な雰囲気もあるので、このような花言葉がついているのでしょうか。ハルジオンだけで、花壇の主役を飾るのは少し難しいかもしれません。
しかし脇役として、さりげなく入っているのがハルジオンの立ち位置なのでしょう。人物でいえば、内気な少女の雰囲気がこの言葉にぴったりです。
その他のハルジオンの花言葉
ハルジオンには、ピンクや紫など花の色が複数存在します。花色がいくつかあると、花言葉もそれぞれについているように思えますが、ハルジオンの場合、実はないのです。
花言葉から贈り物用の花を決めている場合は、花言葉が一つしかないので選ぶのに悩まなくて楽かもしれません。花の名前も「春に咲く紫苑」というのが理由ですから、とてもシンプルですよね。
紫苑というのは、秋に咲くキク科の植物です。見た目がよく似ています。そのため、この2種類は比べられることが多いです。
【海外・西洋】ハルジオンの英語の花言葉
ハルジオンは海外でもたくましくあちこちで咲いていますが、海外の花言葉はありません。花言葉で選ぶよりは、花そのもので選ぶのがいいでしょう。ほかの花と一緒に、花束にしてもいいかもしれません。
日本のハルジオンの花言葉はずっと好きだった人や恋心を伝えられていない人へよさそうな内容です。ぜひいろいろな花と組み合わせて、フラワーギフトやフラワーアレンジメントをしてみてくださいね。
ハルジオンに怖い花言葉はある?
ハルジオンに怖い花言葉は存在しません。怖い花言葉がついていると、相手に贈りにくかったりしますが、その心配をしなくて大丈夫なのは嬉しいですね。
ハルジオンの誕生花
誕生花は4月14日、6月8日、12月12日が指定されています。
ハルジオンの仲間
ハルジオンの仲間であるキク科の植物、矢車菊・マリーゴールド・デイジー・ノースポールについてご紹介します。
矢車菊(ヤグルマギク)
花言葉は、繊細・無邪気・幸運・優美などです。赤やピンクの丸い花を咲かせます。地中海が原産地です。矢車草といわれることもあります。
しかし矢車草という花はもう1種あり、そちらと混同されることがあるため、矢車菊と名前が変わったそうです。花は4~6月ごろに咲きます。ハルジオンと同じく矢車草も丈夫で、雑草扱いされる可哀想な花です。
ハルジオンと比べると、矢車菊のほうが花びらの枚数が多く、華やかな印象があります。切り花や鉢植えなどでも楽しむことが可能です。誕生花は、3月1日、22日、8月2日に指定されています。
マリーゴールド
コンパニオンプランツとしても活躍するマリーゴールドもキク科の植物です。黄色やオレンジの花色が目を引きます。花が咲くのは春~秋にかけてです。花言葉は絶望や嫉妬と、少し怖いものがついています。
花色別では、黄色が予言、オレンジは健康です。花言葉をプレゼントにつける場合は注意しましょう。花色別の花言葉を使うのがおすすめです。6月5日、7月18日などが誕生花になっています。
日本には江戸時代のころにやってきたようです。メキシコが原産地で、小型の品種と大型の品種があります。観賞用だけでなく、害虫や病気の被害を避けるためコンパニオンプランツでほかの植物の横に植えるのもいいでしょう。かわいいのに役に立つため一石二鳥ですね。
デイジー
デイジーは和名で雛菊といいます。開花シーズンは冬~春、新緑の季節のころまでです。かわいらしい花なので好きな人も多いでしょう。
花言葉は、希望・美人・平和などです。光に反応して開花する性質があるので、希望という花言葉がつけられています。英語の花言葉は「secret love」で、誕生花は1月4日、27日、2月15日などです。
デイジーには白以外に赤や紫もあります。原産場所はヨーロッパで、時しらずや延命菊といった別名もついています。花は15日前後もつので、花瓶に挿しても長く楽しめるでしょう。日本には明治時代のころにやってきました。
ノースポール
ノースポールは1月9日と12月24日の誕生花で、冬から翌年の梅雨のころまで花を咲かせます。開花期間が半年ほどあるため、フラワーアレンジメントをしたり活けて飾ったりといろいろ楽しめるでしょう。花びらはハルジオンよりも少し幅が広いので、全体的に丸い雰囲気が強調されています。
花言葉は、冬の足音・誠実・高潔などです。別名には雪のデイジーや小型のマーガレットなどがあります。地中海やアフリカが原産地です。もともとノースポールは商品名でしたが、現在は花の名前として広まっています。
ハルジオンに似た花
ハルジオンに似た花、姫女苑・紫苑・マーガレットをご紹介します。
姫女苑(ヒメジョオン)
白い花を咲かせる5~8月ごろが開花時期です。花言葉は、素朴で清楚、とても可憐な雰囲気があります。ハルジオン同様、生命力が高いです。姫女苑のほうがハルジオンよりも全体的に小さく、鉢植えで育てるのも適しています。
日本には明治時代のころにやってきました。見た目がよく似ています。まっすぐ伸びる太い茎から細い茎が枝分かれして咲いていきます。控えめな雰囲気がすてきですよね。
昔は柳葉姫菊や鉄道草と呼ばれていました。鉄道草は鉄道の近くに咲いていたことからつけられたようです。
紫苑(シオン)
キク科の植物で、花言葉は、追憶・君を忘れずです。ハルジオンと違い、秋に開花します。花色は青や紫です。草丈は2m近くまで大きくなります。星の花や鬼の醜草といった別名をもち、日本や朝鮮が原産地です。
最近では、自生しているのもかなり少なくなりました。そのため絶滅危惧種に入っています。誕生花は、秋の9月と10月です。友禅菊や孔雀アスターなど種類がいくつかあるので、気になる人は調べてみてくださいね。
マーガレット
カナリア諸島原産のマーガレットも、デイジーと並んで人気の高い植物です。開花シーズンは春で、花びらで好き嫌いを占う恋占いにも使われています。
別名は、木春菊や木立ちカミツレです。春菊に似た葉をしているところから、この木春菊という別名がつきました。恋占い・真実の愛などの花言葉がつけられています。赤・ピンク・白など、花色が豊富です。寒さや暑さに弱い性質をもちます。1月17日や2月1日などの誕生花がつけられています。
ハルジオンの育て方・ポイント
ハルジオンはとても簡単に育てることができます。ここでは栽培方法についてまとめました。
ハルジオンの用土・肥料
一般的な草花用の園芸用土で問題ありません。庭植えにするなら、肥料分は少なめの土がおすすめです。肥料がなくても、雑草といわれてしまうくらいよく育つからです。肥料が多いと、それだけ勢いよく成長してしまいます。
しかし、鉢植えで育てる場合は適度に肥料を与えても大丈夫です。肥料を与える場合は、成長期に液体肥料や固形肥料を与えましょう。
日当たりや置き場所について
日差しが強すぎる場所は避けたほうがいいでしょう。日陰でも育ちます。とはいえ、そこまで環境を選ばずとも育つ植物です。難しく考える必要はありません。夏の直射日光にだけ注意すると覚えておくといいでしょう。
水やりについて
土の表面が乾いてから水やりするくらいでちょうどいいです。劣悪な環境下でもおかまいなしに育つ植物なので、あまり手をかけないほうが適しています。庭植えなら雨にお任せしましょう。
鉢植えなら、土の様子をたまにチェックして水やりするといいでしょう。水をやるときは、鉢底から流れ出るくらい与えてください。
植えっぱなしで育てられる
植えっぱなしでも栽培可能です。しかし植えていない場所から芽を出したりきちんと刈ったつもりなのに翌年咲いたりすることがあります。その生命力のすごさには注意しましょう。
現在は、生態系を乱す危険な植物と認識されているほどなのです。また除草剤に耐性をもっているものもいます。ある程度管理して育てたい人は、庭植えではなく鉢やプランター栽培を選択しましょう。
増やし方
とくにこちらが増やそうとしなくても、勝手に増えるのがハルジオンです。多年草なので一度植えれば翌年も咲いてくれます。
まとめ
ハルジオンは春紫苑と書くように、春に咲いて冬から春の訪れを知らせる植物です。一般的な花よりも丈夫で繁殖力が高いため、たくさん増えすぎて困ることもあります。
花言葉は少ないですが、なんだか懐かしい雰囲気もあるかわいい花です。花壇やフラワーギフトの1花に加えてみてはいかがでしょうか。
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