百日紅(サルスベリ)は赤やピンクの小さな花を、枝の先にたくさん咲かせる落葉低木です。雄弁やあなたを信じるといった花言葉が存在します。風水効果もあり、とても魅力的な植物です。
今回は特徴から花言葉まで詳しく解説していきます。育て方にも触れているので、百日紅が気になっている人はぜひ最後までご覧ください。
百日紅(サルスベリ)とは?どんな花?
まずは特徴や歴史からチェックしていきましょう。
百日紅(サルスベリ)の特徴
落葉低木でシンボルツリーとして利用されることもあります。つぼみはボールのように丸くツヤがあり、花びらにはフリルが入っていてスカートを履いているようです。小学校や中学校の体育祭で作る、紙の花みたいですね。
雄しべは黄色で花びら1枚がそれぞれ独立しています。枝の先にこんもりと、小さな花たちが集まり塊のようになって咲いています。原産地は中国です。ほかの樹にはあまりない、樹皮がツルンと剥ける特徴を持っており、剥けると表面はツルツルしています。
百日紅(サルスベリ)の歴史
江戸時代のころにやってきた植物です。最近では病気に強い品種が改良によって生み出されています。日本やアメリカなどで品種改良されました。約30種類あります。
日本では製鉄に使う道具や木炭の材料に百日紅が使用されてきました。お正月の餅をつく杵にも百日紅が使われていたようです。そんな百日紅の名前は、植物学者リンネの友の名前からきています。
百日紅(サルスベリ)の基本情報
科・属名 | ミソハギ科・サルスベリ属 |
学名 | Lagerstroemia indica |
和名 | サルスベリ |
別名 | ヒャクジツコウ・怕痒樹(ハクヨウジュ)・擽木(クスグリノキ)・猿滑 |
英名 | Crape myrtle |
原産地 | 中国 |
開花時期 | 6~9月 |
花色 | ピンク・白・赤・紫 |
サルスベリと縁起・言い伝え
百日紅には縁起にまつわるものや言い伝えが存在します。
百日紅は植えてはいけない?
百日紅の樹皮が剥けてツルッとした感じが肌のようにも思えます。これが人間の生気を吸ってこうなっていると考えられ、植えてはいけないといわれていたようです。もちろん生気を吸っているということはありません。
しかしこんな風に樹皮が剥ける樹木を見たことがない人たちからすると、少しびっくりする光景ですよね。見た目をよく思わない人によって、そのような噂が広まったのでしょう。実際は安心して育てられる植物です。気にせず育ててくださいね。
百日紅(サルスベリ)の伝説
百日紅には王子とその恋人の伝説が存在します。花言葉や花名の由来に繋がっており、物語の流れはこうです。
ある国の王子は旅に出ることになりました。しかし王子には愛する恋人がいたため、出立前に「100日後にまた会おう」と、恋人に必ず帰ってくることを約束します。そして王子は旅に出ます。無事旅から帰ってきた王子は、恋人の元へ会いにいきます。
ところが恋人は、王子が帰ってくる前に亡くなっていました。そして恋人のお墓には百日紅が咲いていたというお話です。これが花の名前と花言葉の由来になっています。
百日紅は縁起が悪い植物
庭に植えたり鉢植えで育てるのは、縁起が悪いといわれているようです。これらの理由は、樹皮が剥けた様子のイメージからきています。ほかにも花名の「すべり(滑り)」が縁起が悪いと思われているようです。
受験の前に「落ちる」という単語を聞くのはよくない、と同じ感じでしょう。とはいえ、百日紅は縁起が悪い植物ではありません。
百日紅(サルスベリ)の別名
百日紅(サルスベリ)の花言葉
花言葉と由来についてまとめました。
「あなたを信じる・潔白」
王子の切ない恋伝説からついています。旅に出てしまった王子が必ず帰ってくると、あなたを信じるとずっと待っていたのでしょう。
離れている間は心の弱さによって浮気してしまうことも人によってはありますよね。しかし王子もその恋人もそのようなことはなく、お互いを思い続けていたので、ほかの人に気持ちが移っていない潔白という言葉があるのでしょう。
「愛嬌・不用意」
百日紅の樹がとてもツルツルしているためつけられた花言葉です。樹皮がついているうちは、ほかの樹木と同じ手触りでザラッとひっかかります。しかし樹皮が取れてしまうと、その表面は真っ白でとてもツルツルになるのです。木登り名人の猿ですら、滑ってうまく登れないことを例えて、花名が「猿滑り」となったともいわれています。
「雄弁」
枝を揺らすと花びら全体も揺れるその様子が、お話をしているように見えるところからきています。ふわっとした独特の形をしている百日紅ならではの情景ですね。
その他の花言葉
愛敬・活動・世話好き
ほかには上記の花言葉があります。花色別の花言葉はありません。
百日紅(サルスベリ)に怖い花言葉はある?
花言葉の不用意が当てはまります。しかし怖いというよりは、プレゼントに添えるメッセージとしては贈りにくいネガティブワードというだけです。由来自体も木登り上手の猿ですら木から落ちることを表しているので、注意を促すメッセージと考えるのが正解でしょう。
百日紅(サルスベリ)の誕生花
誕生花は7月18日、24日、31日、8月27日、29日です。
百日紅(サルスベリ)と風水
百日紅は縁起が悪いといわれていますが、そのようなことはなく、風水で運気を高めることも可能です。植える場所は東や南東がいいでしょう。百日紅の成長速度は早いので、大きく育った百日紅で、ほかの花木が日陰にならないよう注意してください。
花を採ってきて花瓶で楽しむのおすすめです。室内で飾るならリビング・寝室・玄関などに飾るといいでしょう。植物そのものにいいエネルギーがあるので、ぜひ庭で栽培したり部屋に飾ったりしてみてください。
百日紅(サルスベリ)の仲間
百日紅の仲間、ミソハギ科の植物をご紹介します。
ザクロ
実のほうが有名ですが、赤色の花もかわいいですよね。旧約聖書に登場するアダムとイブが食べる、禁断の果実・ザクロでも知られています。花言葉は、成熟した美しさ・互いを思う・子孫の守護などです。膨らんだ実から割れ落ちるように花を咲かせます。
葉はツヤがあり細身です。実が割れ始めた姿は、なかなか個性的ですね。誕生花は6月26日、28日、7月18日などです。あまり大きくならないヒメザクロや白い花や実をつける三白ザクロなどもあります。
ミソハギ
科名にもなっているミソハギは、ミゾハギや盆花とも呼ばれる植物です。仏壇、お墓などに供える花としても有名ですよね。紫や濃いピンクの花で、葉と葉の間に次々と花をつけます。花一つの大きさは1cm程度ととても小さいです。水生植物や山野草に分類されています。
花のシーズンは7~9月です。草丈が2m近くまで大きくなる植物で、暑さ寒さに強い性質を持っています。花言葉は純真な愛情・愛の悲しみ・悲哀・切ないほどの愛などです。水辺の近くに咲いています。誕生花は8月13日、9月6日、10月11日などです。
クフェア
細く伸びたつぼみにひらひらした小さな花をつけます。オレンジやピンクなどの花色があり、寒さに弱いです。開花期間は5~10月と長いのが特徴です。熱帯地方原産の植物で、1mほどの低木に分類されています。ナチュラルガーデンにおすすめです。
ヒッソピフォリア、イグネア、ミクロペタラなどの種類があります。花言葉は自由気まま・立派・切ない思い・家庭愛などで、誕生花は7月11日、8月12日などです。また、花柳ともいわれています。英名はCigar plantで、学名はCupheaです。
百日紅(サルスベリ)の品種
百日紅の品種をご紹介します。フラワーギフトを選ぶ際に参考にしてみてくださいね。
ペパーミントレース
名前からすでにかわいらしさが伝わってくる品種ですね。夏祭りともいわれています。ピンクの花びらに白で縁取りされているのが特徴です。さらに、花びらにはフリルも入っています。
一般的な百日紅は高木ですが、こちらは低木です。それに伴い、葉も小さめで丸みがあり、かわいくなっています。あまり大きくならないので、家庭でも育てやすいでしょう。鉢植えのペパーミントレースを贈ってみてもいいかと思います。
ブラックパールレッド
葉が黒紫に赤い花を咲かせる品種です。ほかの百日紅よりひときわ目立ちますね。深みのある赤色で、落ち着いた雰囲気があります。寒さに強いので寒冷地でも問題なく育つのが強みです。
百日紅がかかりやすいうどんこ病にも耐性を持っています。今までうどんこ病を発生させてしまって、百日紅をうまく育てられなかった人はブラックパールレッドがおすすめです。
カントリーレッド
カントリーレッドも赤い花を咲かせます。立性のため少ないスペースで栽培可能です。大きく育つ植物は、育ちすぎるとシルエットのバランスが崩れやすいですよね。カントリーレッドはそうなりにくいのが特徴です。枝もあまり広がりません。夏の青空によく似合うのでぜひ育ててみてください。
百日紅(サルスベリ)に似た植物
似た植物を2種類ご紹介します。
リョウブ
リョウブも百日紅のように樹の皮が取れる性質を持っています。枝の先に細かい花を複数つけ、昔は食べ物に困ったときの食料として活躍していました。花色は白です。はたつもりという別名がつけられています。夏~秋にかけてが開花時期です。そしてリョウブには甘い香りがあります。
地域によっては、猿滑りと呼ばれることもあるようです。高山地帯に生息する鳥の1種・ウソは、花が終わったあとにつくリョウブの実が好物といわれています。花言葉は溢れる想い・くつろぎです。農具や洋傘の材木によく利用されています。
ライラック
春に花咲く植物で愛らしい姿が魅力的です。甘い香りも持っています。百日紅よりも花は隙間なくこんもり咲くのが特徴です。学名はSyringa vulgarisで、ムラサキハシドイとも呼ばれています。
愛の芽生えや青春の喜びといった花言葉がつけられており、ヨーロッパ原産の植物です。ラベンダーよりも明るい色がライラックで、花名はこの色名からきています。誕生花は5月12日、30日、6月12日などです。薄紫のほか、白いライラックもあります。
百日紅(サルスベリ)の育て方・ポイント
百日紅は和風・洋風どちらのガーデンスタイルにもあう植物です。ここでは育て方をご紹介します。
百日紅(サルスベリ)の用土
水はけのいい土がおすすめです。鉢植え・庭植えどちらでも水はけがよければ問題ありません。お店で売られている園芸用土でいいでしょう。自分でブレンドするのなら赤玉土に腐葉土を加えてください。
日当たりや置き場所について
日当たりがいい場所を好みます。また風通しのよさも確認してください。寒さにも強いため、冬もそのままで大丈夫です。
水やりについて
水切れに注意してください。鉢で育てている場合はとくに水切れさせやすいです。土の表面が乾いたら水を与えましょう。庭植えならよほど日照りにならない限り、毎日の水やりはいりません。
肥料について
2月に元肥を与えます。与えるときは株のまわりに肥料を埋めれば大丈夫です。肥料はゆっくり効果がでる緩効性固形肥料を使いましょう。
増やし方
挿し木で増やせます。時期は6~8月です。根がでるまでは直射日光を当てないように管理してください。
花が終わったら
花が咲き終わったら早めにその花を取り除くと、新しい花が咲くようになります。枝が混んできた場合は、剪定して風通しをよくしましょう。風通しをよくすることは病害虫予防になります。
病気や害虫について
うどんこ病にかかることがあるので注意が必要です。うどんこ病は葉の表面に白い粉がつく病気で、光合成ができなくなるため植物の成長が阻害されます。
害虫はサルスベリフクロカイガラムシに気をつけましょう。サルスベリフクロカイガラムシはカイガラムシの仲間です。ほかのカイガラムシと同じく、すす病になることがあります。
まとめ
百日紅は小さくてかわいい花を咲かせる植物で、樹皮が剥けるという変わった特徴を持っています。花言葉は雄弁・あなたを信じる・愛嬌などです。花が咲く期間が100日近くあることから、この花の名前がついています。初心者でも育てやすくおすすめです。フラワーギフトに選んでみてもいいでしょう。
コメント