健康に良いといわれている、高麗人参。
そんな高麗人参は寝る前に飲んでもいいのか? いつ飲むと効果的なのか?
こちらの記事では、高麗人参の効果や副作用、飲むタイミングについて解説します。
高麗人参とは?
高麗人参(コウライニンジン)とは、オタネニンジン(御種人蔘)の一種で薬用や食用に用いられています。朝鮮人参(チョウセンニンジン)と呼ばれることもあります。
オタネニンジンの原産地は、中国の遼東半島から朝鮮半島にかけての地域だといわれています。また、中国東北部やロシア沿海州にかけても自生しています。
高麗人参の効果
高麗人参には、特有のサポニンであるギンセノシド(ジンセノサイド)が豊富に含まれています。ギンセノシドには、中枢神経抑制作用があるジオール系と、中枢神経興奮作用があるトリオール系などがあり、ストレス刺激に対する抵抗力や新陳代謝を高める作用があるといわれています。
一般的に高麗人参は、疲労回復や食欲不振、冷え性、血行不良の改善などのために用いられています12。
ストレスを緩和する
高麗人参に含まれるギンセノシドという成分が、自律神経を整え、イライラや心身症、倦怠感などの症状に働きかけます。
外部からの強いストレスを受けると、不眠や過呼吸、うつ病などを引き起こすことがあります。ストレスを感じており、体調や睡眠に影響を及ぼしている方におすすめといえます。
冷え性を改善する
高麗人参には冷え性を改善する効果も期待できます。冷え性は食生活やホルモンバランスの乱れなどがにより引き起こされます。また、男性に比べ筋肉量が少ないことから特に女性に多いといわれています。冷え性は血流が悪くなり、血液が抹消血管まで行き渡らず、血行不良を起こしていることが原因だと考えられています。
高麗人参には、血管を広げ、血流を良くすることで全身に血液を循環させる作用があります。それにより、冷え性の改善が期待できます。
1年中、手足が冷えるなど冷え性で悩んでいる方にはおすすめといえます。
低血圧の予防
低血圧を予防する効果もあるといわれています。低血圧は、動脈の中を血液が流れるときに血液が血管壁を押す圧力が低いことから、血液の循環が滞ってしまい、立ちくらみやめまい、朝起き不良、頭痛、倦怠感、肩こり、動悸、胸痛・胸部圧迫感、失神発作、悪心などを引き起こします5。
また、副交感神経の緊張も低血圧の原因の1つだといわれています。高麗人参に含まれるサポニンには、副交感神経の緊張を和らげ、低血圧を予防する効果があるといわれています。
低血圧にはさまざまな種類があるため、症状が重い場合は医療機関を受診することをおすすめします。
貧血の予防
高麗人参には貧血を予防する効果もあるといわれています。貧血は鉄不足などにより、全身に酸素を運ぶヘモグロビンなどの赤血球が不足することで、めまいや立ちくらみなどを引き起こすものです。
高麗人参には、ヘモグロビンを含む赤血球を生成する細胞の分裂を促進する作用があるため、貧血を予防する効果があるといわれています。
それゆえに高麗人参は、貧血によるめまいや立ちくらみに悩んでいる方におすすめといえます。
動脈硬化の予防
動脈硬化を予防する効果も期待されています。動脈硬化とは、血管が硬くなり柔軟性が失われることです。硬く柔軟性がない血管は、血液が送り出されるときの圧力によるダメージを受けやすくなります。
動脈硬化は中高年になってから起こる病気だと認識されていることが多いですが、実際は10歳前後から少しずつ進行し、30歳ごろになると完成された動脈硬化が見られることが多いのです。
動脈硬化は自覚症状がないまま進行するため、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こしてしまう可能性が高いです。動脈硬化は、高血圧や脂質異常、糖尿病などの生活習慣病によって進行します6。
高麗人参には、中性脂肪の数値を下げ、コレステロールの分解や排出を促進する作用があるとされています。そのため動脈硬化の予防が期待できるのです。
美肌効果
高麗人参には、美肌効果もあるといわれています。
睡眠不足や生活習慣の乱れ、ストレス、加齢などは、肌荒れやニキビ、小ジワなどの肌トラブルを引き起こしてしまいます。
高麗人参には、健康的で美しい肌を作るためにも必要なタンパク質の合成を促進させる作用があります。また、高麗人参に含まれるサポニンには皮膚を守る効果もあります。紫外線や菌などの刺激から皮膚を守り、さらに小ジワにも働きかけます。このことから、高麗人参には美肌を保つためのアンチエイジング効果もあるといわれています。
顔色が悪くメイクが映えない、肌荒れや加齢による肌トラブルが気になる、という方は高麗人参を取り入れるのも1つの方法だといえます。
脳機能の改善
高麗人参には、脳機能の改善にも効果があると期待されています。脳機能とは、記憶、行動、気分などに関する機能です78。
動物を対象とした研究によると、ギンセノシドや化合物Kなどの高麗人参に含まれる成分は、フリーラジカルによる損傷から脳を保護する可能性があるそうです910。
また、6,422人の高齢者を対象とした研究によると、高麗人参を少なくとも5年間、定期的に摂取した結果、その後の認知機能の改善と関連していることが明らかになったそうです11。
高麗人参にはストレスを緩和する作用があるため、うつ病や不安症にも効果がある可能性があるといわれています。さらに、他の研究ではアルツハイマー病患者の脳機能に良い効果があることが分かったそうです1213。
免疫力を高める
ある研究によると、高麗人参には強力な抗菌・抗ウイルス特性があり、免疫系の機能を強化する可能性があるそうです14。
動物を対象とした研究によると、黒紅参抽出物が免疫細胞の数を増加させ、肝臓の抗酸化物質レベルを高めることが明らかになったそうです。また、100人を対象とした別の研究では、8週間、1日2gの高麗人参を摂取すると、プラセボと比較して免疫細胞のレベルが大幅に増加したことが分かりました1516。
とはいえ、高麗人参が免疫機能に与える影響をより強固なものにするには、今後、人間を対象とした研究を重ねる必要があります。
血糖値を下げる
高麗人参は、糖尿病の有無にかかわらず、血糖値の抑制に効果があるといわれています17。
アメリカ人参とアジア人参には、膵臓細胞の機能を改善、インスリンの生成を促進、血糖の取り込みを高める作用があることが分かっています18。
また研究によると、高麗人参抽出物が、糖尿病患者の細胞内のフリーラジカルを減少させるのに役立つ抗酸化保護を提供する働きがあることも明らかになりました19。
他の研究でも、高麗人参を摂取することで2型糖尿病患者の空腹時の血糖値が低下し、インスリン感受性が改善される可能性があることが分かっています20。
高麗人参はこんな人におすすめ
高麗人参は、このような悩みを持っている人に特におすすめといえます21。
- しっかり休んでも疲れが取れない
- 仕事や家事の負担が大きく、元気が出ない
- 病み上がりの体力を回復させたい
- 1年中、手足が冷える
- 朝なかなか起きられない
- 食欲が湧かず、元気が出ない
- 顔色が悪い
- いつまでも健康的でいたい
高麗人参を寝る前に飲むのはいい?
高麗人参を寝る前に飲むのは良いのでしょうか?
高麗人参は基本的にはいつ飲んでも良いといわれています。そのため、寝る前に飲んでも問題はないでしょう。
高麗人参は飲むタイミングより、継続して飲むことが大切です。そのため、ご自身のライフスタイルに合ったタイミングで飲むのが良いといえます。
しかし、商品によっては、熟睡することを考えると寝る前2〜3時間前までに摂取した方が良いというものもあります。寝る前に飲んでも問題はないといえますが、実際に飲んでみてあまり熟睡できないなどの問題があれば、寝る前に飲むのは避けた方が良いでしょう。
また、空腹時に飲むと胃に負担を感じてしまう場合があるという商品もあるため、その場合は食後に飲むことをおすすめします。
基本的にはいつ飲んでも良いとされていますが、ご自身の体調や商品の説明書きに従うのが良いでしょう。
高麗人参は不眠にも効果がある?
高麗人参は不眠にも効果があるといわれています。
高麗人参に含まれるギンセノシドが自律神経の副交感神経を刺激するため、良質な睡眠へと導いてくれるのだと考えられています。
ストレスへの抵抗力を高めることで、悩みや不安感、イライラなどで寝つきが悪いときも気持ちを落ち着かせてくれます。
自律神経は睡眠と深い関わりがあります。そんな自律神経を改善することで、不眠の原因を根本的に解決できるのではないかといわれているのです22。
寝つきが悪い日があり、困っている方は高麗人参を取り入れてみるのも良いかもしれません。
高麗人参に副作用はある?
健康に良いといわれている高麗人参ですが、副作用はあるのでしょうか?
一般的に、高麗人参の副作用は少ないといわれています。
しかし、過剰摂取をした場合や体質によって、食欲不振、動悸、めまい、発熱、ほてり、睡眠障害などの症状が出ることがあるようです。
また、高麗人参には血糖値を下げる効果もあるため、糖尿病の治療をしている方や低血糖の方は使用を避けた方が良いといえます。その他にも、高血圧の方や妊娠・授乳中の方も使用を避けた方が良いでしょう。病気の治療中や、薬を服用中の方は医師に相談した上で使用するかどうかを決めることをおすすめします。
おわりに
高麗人参の効果や副作用、飲むタイミングについて解説しました。
高麗人参には、ストレスや美肌、免疫力、疲労、血糖値、脳機能など、さまざまな効果が期待されていることが分かりました。
寝る前に飲んでも問題ないといえますが、体調や商品の説明書きに従って飲むのが良いといえるでしょう。また飲むタイミングより、継続して飲むことが大切です。
副作用は基本的に少ないですが、妊娠・授乳中の方や治療中の方、薬を服用している方は注意が必要です。医師に相談した上で飲むようにしましょう。
- クラシエの漢方「高麗人参とは」
- MST 一般財団法人 材料科学技術振興財団「ジンセノサイド(Ginsenoside)の分析(C0681)」
- Healthline「7 Proven Health Benefits of Ginseng」
- わかさの秘密 Powered by わかさ生活「高麗人参」
- 一般社団法人 愛知県薬剤師会「4.低血圧」
- まるこハート内科クリニック「動脈硬化とは」
- National Library of Medicine「Active ginseng components in cognitive impairment: Therapeutic potential and prospects for delivery and clinical study」
- National Library of Medicine「Effects of ginseng on stress-related depression, anxiety, and the hypothalamic–pituitary–adrenal axis」
- National Library of Medicine「Ginsenosides: A Potential Neuroprotective Agent」
- National Library of Medicine「Compound K derived from ginseng: neuroprotection and cognitive improvement」
- National Library of Medicine「Effects of lifetime cumulative ginseng intake on cognitive function in late life」
- National Library of Medicine「Effects of ginseng on stress-related depression, anxiety, and the hypothalamic–pituitary–adrenal axis」
- National Library of Medicine「Panax ginseng as an adjuvant treatment for Alzheimer’s disease」
- National Library of Medicine「Adaptogenic effects of Panax ginseng on modulation of immune functions」
- National Library of Medicine「A comparative study on immune-stimulatory and antioxidant activities of various types of ginseng extracts in murine and rodent models」
- National Library of Medicine「Immuno-enhancement effects of Korean Red Ginseng in healthy adults: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial
- National Library of Medicine「Review of Ginseng Anti-Diabetic Studies」
- National Library of Medicine「Review of Ginseng Anti-Diabetic Studies」
- National Library of Medicine「The antioxidant activities of Korean Red Ginseng ( Panax ginseng) and ginsenosides: A systemic review through in vivo and clinical trials」
- National Library of Medicine「The Efficacy of Ginseng-Related Therapies in Type 2 Diabetes Mellitus」
- クラシエの漢方「高麗人参とは」
- 金氏高麗人参(株)研究開発室「高麗人参の効果 様々な症状に効果を発揮する高麗人参」
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