【現役のフラダンサー・フラダンス教室講師執筆監修記事】
アメリカの州には全てニックネームが付いています。例えばニューヨーク州ならば「The empire state(エンパイアステート/巨大な、富、帝国の州などの意)、フロリダ州は「The sunshine state(光の州の意)」など、その州の特徴を端的に表したニックネームです。
ハワイは車のナンバープレートにも虹が描かれているように「The rainbow state」というニックネームが付いています。(Aloha stateと呼ばれる場合もあり複数のニックネームを持つ州もあります)
そのようなニックネームを持つハワイには「虹」に纏わるエピソードやことわざ、神話やハワイアンソングがたくさんあります。
ハワイと言えば「虹」、虹と言えば「Hawaii」。
ハワイの人々にとっての「虹」がどのような存在なのか?解説していきます。
虹はどうやって生まれるの?
本来、虹は空気中の水滴に太陽光が反射して生まれるものですが、ハワイで虹はメネフネと呼ばれる伝説、神話上のこびと族の仕事によってもたらされたという可愛いらしいお話があります。
メネフネはタヒチからハワイ諸島に移り住み、本来人の目に触れることなく黙々と働く縁の下の力持ち的な存在です。
「The Secret of the Hawaiian Rainbow/ハワイの虹の秘密」という子ども向けの絵本のお話しによると、太古の昔、ハワイの空には雨は降っても虹は現れず、空の色は綺麗ではなかったので、メネフネたちは空にカラフルな虹を作ろうと話し合い、虹の色を探索するためにから旅に出たんだとか。
- ʻUlaʻula(真紅)王室の象徴、鳥の羽根から作られた毛槍(Kahili)から赤を選びました
- ʻAlani(オレンジ)繊細な花弁を持つオアフ島を代表するイリマの花の色
- Melemele(黄色)よく熟れたバナナの色だそう
- Maʻomaʻo(緑色)植物の豊富なハワイにはたくさんの種類の緑萌えるシダの葉が手に入ります
- Uli(濃い青色)海の深いところの水の色が濃くなっているところから
- Poni(神秘的な紫色)紫は神聖で高貴な色とされています。
虹の紫色の部分はプリンセスのドレスの色からだそうです
メネフネたちは集めた6色を混ぜ合わせ、矢の先に浸けて空に向けその夜を放ったそうです。
雨が降り出すと、キラキラと辺り一面が虹色になったそうです。
「雨が降り地が固まり、空には美しい虹が」
人々に美しい自然を敬い愛し大切にして欲しい。という想いが込められている。。
とても可愛いらしく夢のあるお話しですね。また、絵本の中では「虹は6色」となっています。
ハワイの虹の種類
虹の総称はハワイ語で「Ānuenue(アーヌエヌエ)」と言いますが、虹の形や現れ方で呼び名が異なっているので、いくつかご紹介したいと思います。
Uakoko(ウアココ)
地表の低い位置に出る虹のことで、鈍い色の厚い雲に覆われ雨の降り出しに現れることが多い虹です。Ua(ウア)は雨を指します。
Punakea(プナケア)
ぼんやりと霞んだような色の虹
Luahoano(ルアホアノ)
太陽の周囲に出る虹。ハロのこと
Ānuenue kau pō(アーヌエヌエカウポー)
月夜に出る虹のことを言います。
一度、ハワイ島で偶然に見ることが出来ましたが、神秘的でかつ幻想的でさえあるその美しさに感動してしまいました
ハワイのことわざに「No Rain, No Rainbow」(雨が降らなければ虹も出ない)というものがあります。「ʻOle ua ʻole ānuenue」ハワイ語ではこのように言います。
時々、Tシャツなどにこの言葉がプリントされているものを着ている人を見かけることもありますが、「雨」を恵みの雨と捉えるか?身体を濡らす不快なものと捉えるか?で心の在り方は変わってくるよね。という感じでしょうか。
雨降りを人生の中で起きる、辛くて悩ましい時だと例え、その後には必ず笑顔になれる時が来る。虹が出るように心が晴れるはずだから。
という意味のことわざです。
意外とハワイの人たちはこのことわざを口にします。前向きな(Imua)なスピリットを持ち合わせるハワイアンらしい言葉ですね。
ハワイアンソングから見る虹
『Ke Ānuenue』(ケ アーヌエヌエ)
Merry Kawena PukuiとMaddy Lumのゴールデンコンビによる楽曲でそのタイトルも「ザ レインボー」です。
Ua nani ke ānuenue la, ‘ea la ‘ea
Pi’o mai la ai luna ‘ea la ‘ea「虹はとっても美しい
高く弓なりに空に架かる」
素直に虹の美しさを称えた歌詞で、子どもたちによく歌われている楽曲ですが「空高く弓なりに」という部分があります。ハワイで虹は天界と下界を繋ぐ架け橋だと言われていたりもします。
ハワイ旅行中に虹を見ることが出来たら、ハワイの自然界の神々からの祝福を受けていると捉え、「またハワイに戻って来ることが出来る」とも言われたりしています。
『Kahalaopuna』(カハラオプナ)
カハラオプナというのは人間を超えた自然界の精霊に近い存在の美しいプリンセスの名前です。オアフ島マノアの渓谷に住んでいたと言われているプリンセスの名前の付いた楽曲の歌詞の一節に「ānuenue」という言葉が出て来ます。
Hanohano wale no ‘oe
E ke ānuenue o Mānoa
Kū kamahaʻo o Kahalaopuna
Pua lei a ka ua me ka makani誇り高く輝くあなた
マノアの虹の女神
聖なるカハラオプナ
雨と風で紡いだ花のようなレイ
(注:意訳)
あまりに美しかったプリンセスは、普段人目に触れることは少なかったのですが、ひとたび姿を現すと頭上に虹の光が煌めくほどの神々しさだったと言われています。
ストーリーによると、美しさのあまり嫉妬に狂った婚約者に殺められてしまうのですが、それを嘆き悲しんだ母(カウアトゥアヒネ)が雨の女神に、父(カハウカニ)は風を操る超自然の精霊に姿を変え、虹の女神になったカハラオプナといつも一緒にいられるようになったと言われています。
風が吹き(父)、雨を呼び(母)
雨が上がると空には美しい虹(プリンセス)が架かる。
マノアでは、この風、雨、虹というのが常にセット(共にある)と強く実感出来る体験をしたことがありました。
マノアでハワイ文化を体験出来るファームを運営している友人夫婦がいます。
ちょうど彼らが育てているKalo(タロイモ)ファームの様子を見せてもらったり、マノアの植物でレイメイクのレクチャーを受けている時にこのカハラオプナのエピソードを話してくれたのですが、話し終わった途端に彼方前方からこちらへ向かって来る強い風が見えました。
風が通り過ぎると雨が降り出し、「すぐに止むから」という彼らの言葉通りに雨はすぐに降り止み、空高く美しく綺麗な虹が上がりました。
本当にあっという間の出来ごとでしたが、
「お互いに愛し合うファミリーが常に共にある。私たちはここにいる」という伝説のストーリーが心の中に溶け込んでいくような瞬間でした。
『Hawaiian lullaby』(ハワイアン ララバイ)
ハワイの子守り歌というタイトルの私も大好きな楽曲を最後にご紹介したいと思います。
1974年にHector VenegasとPeter Moonによって作られた楽曲で、歌詞の一節に「虹が架かる」という表現が出てきます。
「 Where I live, there are rainbows
with life and the laghter of morning and starry nights」とあります。“私の住むところには虹が架かり
朝から笑いが絶えず、夜には星がきらめく”
この曲は、作者のHector Venegasが当時闘病生活を送っていた愛娘の為に書いた曲で、シンプルな歌詞から深い愛情と願いが汲み取れます。
まとめ
この美しい世界に生を受け、辛いことがあっても必ず空高く架かる美しい虹を見ることの叶う人生。
ハワイの人々にとって「虹」とは、「希望の象徴」のように感じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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