自動販売機やコンビニ、スーパーなどで手軽に購入できるペットボトルの水。
一度は飲んだことがあるという方が多いのではないでしょうか?
ミネラルウォーターというと安全で体にも良さそうなイメージがありますが、ペットボトルの水を飲まないほうがいいという声もあるようです。
こちらの記事では、ペットボトルの水を飲むのをやめたほうがいいといわれる理由や水道水との比較、安全な飲み方、注意点などについて解説します。
ペットボトルの水を飲むのをやめたほうがいいといわれる理由とは?
ペットボトルの水を飲むのをやめたほうがいいといわれるのは、なぜなのでしょうか?
その理由について解説します。
化合物の溶出への懸念
ペットボトルを製造する際に使用される化合物が溶出する可能性があるため、健康に良くないといわれているようです。
具体的には、アンチモン、ゲルマニウム、その他金属類、モノマー類、原料中の不純物、副生成物の環状オリゴマーや未知物質、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどです。
この中でも、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドは国内で流通する国産のミネラルウォーターからも溶出が報告されており、水道水中よりも濃度が高いといわれています。その他の化合物については、検出データが少ないものや国内で報告がないものとされています。
これらの化合物の溶出は微量のため、健康に害を及ぼすというエビデンスはまだないようですが、人の健康に害を及ぼすことがないよう、今後もペットボトルのリスク評価が必要だと考えられています1。
ペットボトルごみの増加
ペットボトルの水を飲まないほうがいいといわれる理由の1つとして、環境問題によるものがあるようです。
SDGsの目標14にもあるように、年間900万〜1,400万トンのペットボトルをはじめとするプラスチックごみが海に流れています(2016年時点)。
大量のプラスチックごみは海の生態系に影響を与えており、このような問題を「海洋プラスチック問題」といいます。実際に、アザラシやウミガメなどの海の生物に絡まり、傷つけられたり死んだりするということが起こっています。
ダボス会議で有名な世界経済フォーラムは、2050年にはプラスチック生産量がさらに増加し、海洋へのプラスチック流出も拡大。「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」という予測をしているそうです23。
日本のペットボトルのリサイクル率は8割以上で、世界的にはかなり高い水準を達成しています4。
しかし、海に行くとペットボトルのごみが流されているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか?
ペットボトルの水を飲むこと自体が海洋プラスチック問題に直接かかわるわけではありませんが、残念ながら飲んだ後に街や海にポイ捨てをしてしまう人もいます。ペットボトル飲料を購入した人が、今後も進んでリサイクルをすることが重要です。
菌が繁殖する可能性
開封後のペットボトルの水は菌が繁殖しやすく、傷みやすいといわれています。直接、口をつけて飲む場合はさらに菌が繁殖しやすくなるでしょう。
開封後はできるだけ早めに飲み切るようにしましょう。
安全面での懸念
ペットボトルの水や水道水には安全基準というものが存在します。
ペットボトルの水(ミネラルウォーター)の水質検査は、法律によって以下のように定められています。
- 約15項目:ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)
- 約44項目:ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)
これに対して、水道法によって定められている水道水の検査項目は51項目あります5。そのため、検査項目数を比較すると、水道水のほうが厳しく検査されているといえます。
日本の安全基準は世界的に見てトップクラスのため、ペットボトルの水が危険であるというわけではありません。
また、水道水は塩素処理をすることが義務付けられています。塩素は家庭の水道管から蛇口までの雑菌繁殖を防ぐ役割をもっています。一方でペットボトルの水は塩素処理がされていないため、一度開封すると雑菌が繁殖しやすくなります。
水道水の塩素は体に害はありません。しかし、臭いが気になる方は多いのではないでしょうか?
その場合は、コップに入れて少し置いておく、浄水器や浄水ポットを使用する、冷蔵庫で冷やす、沸騰させるなどの方法で塩素を抜き、臭いを抑えることができます6。
価格が高い
水道水と比較して、ペットボトルの水は価格が高いです。
そのため、コストパフォーマンスを考えて飲まないほうがいいという声もあるようです。
外出時の持ち運びに便利なペットボトルですが、家で飲むのであれば水道水でもいいのではないか? といった意見もあります。
ミネラルウォーターは危険?
ペットボトルの水やミネラルウォーターを飲むことが体に悪いわけではありません。
もちろん、上述したような懸念はありますが、正しく飲めば健康に大きな影響を及ぼすことはないでしょう。
ペットボトルの水の安全な飲み方
ここまで、ペットボトルの水を飲むのをやめたほうがいいといわれている理由を解説しました。
安全面や健康面の懸念から飲まないほうがいいという声もありますが、間違った飲み方をしなければ安全に飲めるでしょう。ペットボトルの水を安全に飲む方法について解説します。
できるだけ早く飲み切る
上述した通り、開封後のペットボトルの水は、菌や外気の熱などによって少しずつ汚染されます。特に、口をつけて飲む場合は菌も繁殖しやすくなると考えられます。
そのため、開封したペットボトルの水はできるだけ早く飲み切るようにしましょう。1日持ち歩いたペットボトルの水が余ったからといって、翌日以降にも飲み続けると健康へのリスクが高まります。開封した日に飲み切るよう、心がけましょう。
高温多湿の場所を避けて保存する
ペットボトルの水は、水道水のように塩素消毒をされていません。そのため、外気や直射日光などの熱によって、菌が繁殖しやすくなります。
ペットボトルの水を保存する場合、高温多湿の場所は避けてください。また、耐熱ではないペットボトルに熱を加えることも避けましょう。
自分で再利用しない
ペットボトルの水は開封後に菌が繁殖しやすいだけでなく、空気中の小さな菌やごみも入り込みやすいと考えられます。
一度使ったペットボトルを自分で洗い、まだきれいで使えそうだからといって再利用するのは危険です。雑菌の種類によっては体調を崩す可能性もあります。
ペットボトルはリサイクルに出し、自分で再利用をするのは避けたほうが良いといえます。繰り返し使用するのであれば、マイボトルを購入するのが良いでしょう。
ミネラルウォーターの飲み過ぎによるリスク
ミネラルウォーターの飲み過ぎには注意する必要があります。ここでは、ミネラルウォーターの飲み過ぎによって生じるリスクをご紹介します。
一般的に、水をしっかりと飲むことは健康に良いことだといわれていますが、飲み過ぎにはくれぐれも注意しましょう。
下痢や軟便になる場合がある
ミネラルウォーターを飲み過ぎると、下痢や軟便などの症状を引き起こす可能性があります。
ミネラルウォーターに含まれるマグネシウムには胃腸の働きや排せつを促進し、便秘を改善する効果が期待できますが、飲み過ぎると下痢や軟便になってしまうことがあるのです。
また、普段から胃腸が弱い方はミネラルをたくさん摂取すると、症状が出やすい場合があります。体調や体質に合わせて、飲み過ぎには注意しましょう。
赤ちゃんや腎臓に疾患のある人は負担になる
ミネラルウォーターを赤ちゃんに飲ませるのは避けましょう。赤ちゃんは内臓が発達していないため、ミネラルが負担になってしまいます。特に、硬度の高いミネラルウォーターは飲ませないようにしましょう。
粉ミルクを作る際にミネラルウォーターを使用することも避けたほうが良いです。
また、ミネラルウォーターは腎臓に疾患がある方も注意する必要があります。ミネラルウォーターに含まれているカリウムには血流を改善する効果があります。腎臓の機能が低下しているときに、ろ過する血液量が増加すると負担になってしまいます。
腎臓に疾患のある方は、かかりつけ医に相談の上、ミネラルウォーターの摂取を検討しましょう。
水中毒になる可能性がある
短時間で大量に水分を摂取すると、水中毒になる可能性があります。これはミネラルウォーターに限ったことではありません。
水分を取りすぎることによって、血中のナトリウム濃度が急激に低下し、低ナトリウム血症を引き起こします。低ナトリウム血症を発症すると、めまいや頭痛、多尿、下痢などの症状が現れます。重症化すると、嘔吐や錯乱、意識障害、呼吸困難などの症状も見られます。さらにひどい場合には、昏睡状態になったり、死亡したりする例もあります7。
特に、熱中症対策で水をたくさん飲む時期には注意が必要です。こまめな水分補給が推奨されていますが、一度に飲む量には気をつけましょう。
ペットボトル以外で安全に水を飲む方法
ペットボトル以外でも水を安全に飲む方法はあります。
ペットボトルの水を避けたい方は参考にしてみてください。
ウォーターサーバー
オフィスや医療機関などでは設置されていることが多い、ウォーターサーバー。
設置するのに費用がかかりますが、いつでも冷水・温水を飲むことができます。
浄水器・浄水ポット
浄水器や浄水ポットは、水道水をろ過して飲みやすい水にするものです。水道水を利用するため、費用を抑えられる点がメリットといえます。
水道水のカルキ臭を取り除けるため水道水をそのまま飲むより、口当たりが良く、飲みやすくなります。
白湯
水を一度沸騰させたものを白湯といいます。お湯との違いは沸騰させたかどうかにあります。
白湯には、デトックス効果、ダイエット効果、冷え性の改善などが期待できます。しかし、飲み過ぎると内臓に負担をかけたり、むくんだりする原因となることがあります。飲み過ぎには注意しましょう。
おわりに
ペットボトルの水を飲むのをやめたほうがいいといわれる理由や水道水との比較、安全な飲み方、注意点などについて解説しました。
安全面や健康面、海洋プラスチック問題などの環境問題の観点から、ペットボトルの水を飲まないほうがいいという声があることが分かりました。
ペットボトルの水は雑菌が繁殖しやすいというデメリットはあるものの、高温多湿の場所で保管することを避け、できるだけ早めに飲み切れば、健康被害が生じる可能性は低いといえるでしょう。安全に正しく飲むことを心がけましょう。
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