PR

インスタントコーヒーが体に悪いといわれる理由を解説!飲んではだめ?【管理栄養士監修】

コーヒー豆の抽出液を乾燥させ、粉末状に加工したインスタントコーヒー。
お湯を注ぐだけで簡単にコーヒーを作れることから、一度は飲んだことがあるという方も多いのではないでしょうか?

そんな手軽でおいしいインスタントコーヒーですが、「体に悪い」といった声もあるようです。

こちらの記事では、インスタントコーヒーが体に悪いといわれる理由や飲む際の注意点などについて解説します。

インスタントコーヒーが体に悪いといわれる理由

まずは、インスタントコーヒーが体に悪いといわれている理由から見ていきましょう。

アクリルアミドが含まれているから

インスタントコーヒーが体に悪いといわれている代表的な理由は、アクリルアミドにあります。

インスタントコーヒーに含まれる、アクリルアミドは発がん性がある恐れがあるといわれています。アクリルアミドは、アスパラギンとよばれるアミノ酸と、果糖やブドウ糖を120℃以上で加熱することで化学反応を起こし発生します。1

そのため、120℃以上の高温で焙煎されたインスタントコーヒーは、アクリルアミド濃度が高い食品であると言われています。

世界保健機関(WHO)の専門研究機関である国際がん研究機関(IARC)はアクリルアミドについて、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」としてグループ2Bに分類しています2

しかし、動物実験の結果によるものであり、現時点ではヒトにおける発がんは確認されていないようです。また2016年、国際がん研究機関は、さまざまな研究結果をもとに「ヒトに対する発がん性について分類できない」ことを発表しており、子宮内膜や肝臓の発がんリスクを低下させるとしています。

アクリルアミドは、日本に限らずほとんどの国で基準値が設定されていないため、過度に怖がる必要はないと言えます。

むしろ、加熱することでの食品の加工や安全性の向上などメリットも多いため気にしすぎる必要はありません。3

残留農薬に対する不安があるから

コーヒー豆を作るために使用される農薬も体に悪いといわれている理由の1つです。

過去には、コロンビア産の生鮮コーヒー豆から基準値を超える有機リン系農薬・殺虫剤「クロルピリホス」を検出したというニュースもありました。

クロルピリホスについて、厚生労働省は許容一日摂取量を、体重1kg当たり0.001 mg/日としています。許容1日摂取量とは、毎日摂取し続けても健康に影響を与えないとされる1日当たりの摂取量のことです。
この件について、厚生労働省は「食品衛生法第26条第3項に基づく検査命令」を実施しました4

コーヒーの栽培は農薬がないと難しいといわれていますが、残留農薬の基準値は食品衛生法で定められています。その基準値を超えて残留する食品の輸入や販売は食品衛生法によって禁止されています5

残留農薬の基準や許容一日摂取量が定められていることから、毎日インスタントコーヒーを飲んだとしても、すぐに健康被害が生じるということは考えにくいといえるでしょう。

カビ毒が検出されるから

インスタントコーヒーだけでなく、穀物やココア、ビール、ワインなどさまざまな食品からオクラトキシンAというかび毒が検出されているようです。

オクラトキシンAは、非遺伝毒性発がん物質であり、腎毒性もあるとされています6

また、国際がん研究機関は、オクラトキシンAを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」としてグループ2Bに分類しています7

農林水産省は「優先的にリスク管理を進めているかび毒(令和3年3月現在)」として、オクラトキシンAのリスク管理を進めています8

低価格だから

インスタントコーヒーは商品によっては低価格で購入できます。しかし、低価格であるがゆえに、品質に不安を抱く場合もあるようです。

とはいえ、インスタントコーヒーは低価格のものばかりではありません。オーガニックコーヒーや有機JASマークのついたコーヒーもあります。

有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料、畜産物及び藻類に付けられています。

引用:農林水産省「有機食品の検査認証制度

有機JASマークは、登録認証機関が有機食品のJASに適合した生産が行われていることを検査し、認証された事業者のみが貼ることができます。

有機JASマークがない農産物や畜産物、加工食品に「有機」「オーガニック」などの表示や、このような紛らわしい表示をすることは法律で禁止されています9

低価格であるがゆえに品質に対して不安があるという方は、有機JASマークのついたインスタントコーヒーを選ぶのも良いといえます。

インスタントコーヒーは飲まない方がいい?

ここまで、インスタントコーヒーが体に悪いといわれる理由を見てきました。

アクリルアミドや残留農薬など、体に悪いといわれる要素はさまざまですが、「飲んではだめ」とまでは言い切れないでしょう。

また、上述した通り、許容一日摂取量や基準が定められていることや食品衛生法によって管理されていることから、毎日飲み続けたとしても健康被害がすぐに生じるというわけではないと考えられます。

インスタントコーヒーに限らず、飲み過ぎには注意が必要ですが、適量を楽しむ程度であれば問題ないといえるでしょう。

インスタントコーヒーを飲むメリット

インスタントコーヒーは体に悪いといわれる一方で、メリットもあります。
その一部をご紹介します。

カフェインの効果

インスタントコーヒーに含まれるカフェインは利尿作用があることや寝つきが悪くなるイメージが強いですが、脳を活性化させたり、集中力を高めたりする効果もあります。

そのため、仕事や勉強をする際に適量を楽しむのは効果的だといえます。
カフェインの危険性や摂取量の目安については後述します。 

ポリフェノールの効果

インスタントコーヒーにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸も含まれています。クロロゲン酸には、糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑制する効果があるといわれています。また、抗酸化作用や脂肪の蓄積を抑制する効果も示唆されています10

手軽に飲める

カフェインやポリフェノールの効果も得られるインスタントコーヒー。
お湯を注ぐだけで作れるため、レギュラーコーヒーなどと比べ、手軽な点もメリットといえます。朝や仕事の合間など、忙しいときにもおすすめです。

インスタントコーヒーを飲む際の注意点

次に、インスタントコーヒーを飲む際の注意点について解説します。

長期間放置しない

インスタントコーヒーは、長期間置いておくとカビが生えたり、酸化により味が落ちたりすることがあります。
開封後は密閉して冷暗所に保存し、できるだけ早めに使うのが良いでしょう。また、コーヒーを取り出すときには、清潔なスプーンを使用することも大切です。

保存する際は低温状態を保つ

インスタントコーヒーを保存する際は、常温ではなく冷蔵・冷凍保存をするのが良いでしょう。特に、高温多湿の場所で保管すると味や状態が劣化しやすいため注意が必要です。

飲みすぎない

インスタントコーヒーにはカフェインが含まれています。そのため、飲みすぎには注意が必要です。

カフェインを過剰摂取してしまうと、中枢神経系が刺激されることにより、めまいや心拍数の増加、震え、不眠症、下痢、吐き気、不安、興奮などの症状が出る場合があります。

カフェインの摂取については、世界保健機関(WHO)や各国の機関において、さまざまな注意喚起が行われています。

世界保健機関では、妊娠中の女性に対してコーヒーを1日3〜4杯までにすることを呼びかけています。また、英国食品基準庁(FSA)では、妊娠中の女性に対して1日当たりのカフェイン摂取量を200mg(コーヒーを1日2杯程度)にするよう呼びかけているそうです。

また、カナダ保健省(HC)では、1日のカフェイン摂取量を健康な成人は400mg(コーヒーを約3杯まで)、妊娠中・授乳中または妊娠を予定している女性は300mg(コーヒーを約2杯まで)としています。

このような注意喚起は行われているものの、カフェインの一日当たりの摂取許容量は個人差が大きいことなどにより、日本だけでなく国際的にも定められていません11

しかし、カフェインは摂取しすぎるとめまいなどの健康被害が出ることがあるため、さまざまな機関の目安量を参考に、飲みすぎには注意しましょう。

水での水分補給も欠かさない

インスタントコーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があります。そのため、脱水症状の原因となる可能性もあると言えます。コーヒーだけを飲むのではなく、水で水分補給をすることも心がけましょう。

寝る前に飲まない

カフェインの作用で脳が覚醒し、寝つきが悪くなることがあります。翌朝の寝覚めが悪くなったり、体内時計に影響を及ぼしたりする場合もあります。個人差はありますが、できるだけ寝る前のコーヒーは避けるのが良いでしょう。

空腹時に飲まない

空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸の量が増加し、むくみや過敏性腸症候群の原因になる可能性があるといわれています。コーヒーは、食後など胃の中が空っぽでないときに飲むのが安心でしょう。

朝起きてすぐに飲まない

朝起きてすぐにコーヒーを飲むと、コルチゾールの分泌量を減少させてしまい、カフェインを欲するようになるため注意が必要です。最悪の場合、カフェイン中毒になる可能性もあります。
コルチゾールは朝に分泌され、脳を覚醒させたり、ストレスに敏感に反応したりする作用があります。

朝起きたらまずは水を飲みましょう。コーヒーは起床後1時間以上たって飲むのが良いといわれています。

糖分の過剰摂取に注意する

コーヒーを飲む際に砂糖やシロップ、クリームなどを入れる方も多いのではないでしょうか?

砂糖などを入れると飲みやすくなりますが、1日に何杯も飲む場合、糖分の過剰摂取になる可能性があります。甘くしたい方は天然の蜂蜜やシナモンなどを入れるのがおすすめです。

おわりに

インスタントコーヒーが体に悪いといわれる理由や飲む際の注意点などについて解説しました。

インスタントコーヒーは、アクリルアミドや農薬、カビ毒の影響で体に悪いといわれていることが分かりました。

また、コーヒーは保存方法や飲み過ぎにも注意が必要です。適切に保存し、適量を楽しみましょう。

  1. 食品に含まれているアクリルアミド:農林水産省, https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/syokuhin.html
  2. 農林水産省「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について」
  3. 一般社団法人全日本コーヒー協会「2018年5月2日 コーヒーに含まれるアクリルアミドについて」
  4. 厚生労働省「輸入食品に対する検査命令の実施 (コロンビア産コーヒー豆、その加工品)」
  5. 厚生労働省「食品中の残留農薬等」
  6. 厚生労働省「食品中のオクラトキシンAの規格基準の設定について(案)」
  7. 農林水産省「食品安全に関するリスクプロファイルシート」
  8. 農林水産省「いろいろなかび毒」
  9. 農林水産省「有機食品の検査認証制度」
  10. 板谷内科「コーヒーと糖尿病の関係、予防効果や摂取量について」
  11. 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう」

コメント