<風の時代を旅する~フールズジャーニー>
風の時代を自由に旅する愚者。
愚者の旅になぞらえ、主人公である<愚者>と共に、日本縦断の旅に出ましょう。
風の時代を生き抜くすべをタロットカード22枚の物語で読み解く旅へ。
第Ⅷ話・力~歴史を感じる街で
ギャラリーで彼の描いた絵を見てから、伊藤啓介……その名前が頭から離れない。
SNSで彼らしきアカウントは見つけたが、フォローする勇気もいまだにない。
「本当にあのときの彼なんだろうか……」
投稿やプロフィールからすると、彼である確立は80%くらいだろうと淡い期待を胸に抱いてしまう。
「はぁ…ダメ、ダメ……」
SNSなどで簡単に見知らぬ人とつながることができる時代になったけど、一長一短あると感じ、ため息がこぼれた。「勇気をもってメッセージできたら……」「手を伸ばせば届くかもしれないのに歯がゆい……」そんなモヤモヤした気分で傘をくるくると回した。
ネットのタロット占いで「月」のカードが出るとこんなことが書いてあったが、まさにそのカードの気分になっているようだった。
東京を離れ早くも季節は夏本番へ。歴史ある街並みを撮影したいと思い立って、かつて「北陸の小京都」と呼ばれた金沢に足を運んだ。もちろん相棒のLeoと一緒だ。
その伝統文化や街並みを称して以前は「小京都」と呼ばれていたようだが、近年では地域ブランディングの方向性を明確にし、「京都らしさ」という売りを捨てることで、さらなる金沢らしさを目指していると実際にこの地を訪れてから知った。
「小京都」と名乗るためには『全国京都会議』という団体に参加する必要があり、金沢は2008年に退会しているらしい。
あいにくの雨模様だが、ひがし茶屋街(ひがしちゃやがい)を散歩してみるのもまた風情がある。
ひがし茶屋街は金沢文化を代表する茶屋街のひとつ。着物姿でフォトジェニックな写真を撮影する観光客も多い。あちこちで英語やフランス語らしき会話も聞こえてくる。
「故きを温ねて新しきを知る」そんな言葉がしっくりくる歴史を感じさせてくれる和の空間。それは小京都ではなく、まさに「金沢」だった。
待ちゆく国籍や年齢も全く違う人々にファインダーを向け、撮影をしながら街並みを散策して廻る。
通り沿いにはオシャレな和カフェや割烹を振舞う料亭なども多く立ち並んでいる。ランチには金沢を愛したアメリカ人版画家が晩年の住まいとした建物を改装したという、風情のある小料理屋を予約した。この日は予約が少なかったため運よく2階の個室を使わせてもらった。女一人旅には嬉しい心使いだ。
注文したランチは、大きめの籠にてんぷらや刺身などとても上品に盛り付けられていて、少しずついろいろ食べられるのはとても嬉しい。SNS映えもするちょっと贅沢なランチとなった。
SNS投稿用の写真を撮影し、ランチに舌鼓を打ちながら、彼のアカウントを覗いてみる。
「そんなに気になるなら、いっそフォロー申請してしまおうか……」そんな気分になってきた。
「フォローしたらどうなるか占ってみようかな……」
メディアで話題の人気の占い師さんが監修するサイトのタロット占いを開くと、カードのシャッフルがはじまった。集中しながらストップボタンを押してみる。「力」のカードが正位置を示した。タロットのお告げによると「不可能を可能にする力。勇気をもって行動を」と書いてある。
「よし、占いを信じてみよう」
次の瞬間、フォローボタンを押している自分がいた。
一か八かやってみるほうがきっといいに決まってる。タロットカードがそっと肩を押してくれた気がした。
ランチを食べた後は、美術館巡りに行ってみようかな。ここ金沢は芸術も盛んなようだ。
彼のSNSをフォローしたことが、今となって急にソワソワしてきた。
力のカードの意味
正位置 | 力強さ、忍耐、意志、自信、コントロール、決断してジャンプする |
逆位置 | 力を乱用する、無気力、短気、誘惑に負ける、スタミナ不足 |
このカードには人間の中にある本能や野獣性を示すライオンを、女性が素手で手懐けている様が描かれています。人々の内なる力である精神力や勇気を示す札になります。苦しいときにこそ、根気強く頑張る強さ、勇気や決意を強化してくれるカードです。古来は11番にあてられたカードですが、ライダーウエイト版で8番へと変更されています。
タロット解釈のための数秘術
数秘術「8」は、力、富、野心、お金、物質主義などを示す数字。この数字を誕生数に持つ人は、高い目標をクリアし、富と繁栄を得られる人だと言われています。影響力のとても強い人になる場合もあります。ライフサイクルを占った場合などに8番が出現すると、完成はもう目の前にあるとなります。
パワースポットのご紹介
珠洲市にある日本三大パワースポット珠洲岬の「青の洞窟」
能登半島最先端にある珠洲岬(聖域の岬)は出雲の国の神話にも出てきた、日本三大パワースポットの1つと言われています。そして、その中にあるのが青の洞窟です。
青の洞窟には縁結び・恋愛成就・良縁や金運などのご利益があると言われています。美しい場所でありながら、パワーを感じる場所なので石川県へ旅行に行く方はぜひ訪れてみてください。
洞窟へ行く場合は空中展望台(スカイバード)にも入れる入場料1,500円が必要です。
マリュたんからのメッセージ
今回の舞台は加賀百万石の城下町と呼ばれる金沢。日本三名園である兼六園でも有名ですね。2015年には高崎-金沢間の北陸新幹線が開業したことで、東京からのアクセスも良くなり話題となった地域。冬の金沢には訪れたことはありますが、小説を書きながら夏の街並みも是非見てみたいなぁと感じました。「百万石まつり」や「加賀友禅灯籠流し」に「浅野川の川床」など風情あるイベントも多い北陸の観光スポット。コロナウィルスが早く終息へと向かい、イベントや旅行を楽しめる日が来るのも祈りたいですね。
次回配信予定日:2021/8/15(毎月1日15日配信)
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