「裕実、裕実! ねぇ、裕実ったら。早く!」
激しく体を揺さぶられながら、遠くで私を呼ぶ声がする。
「ねぇ、早く起きてよ! もうお昼だよ!」体を揺さぶっていたのはどうやら加奈子のようだ。
「あれ? 加奈子? どうしたの? あたし何してるんだろう……」
寝ぼけ眼で天井を見上げると、南国リゾートにありがちなシーリングファンが回っているのが見えた。
「朝食食べてから、まだ二日酔いだからって言って部屋に戻ったんじゃない」
通りで頭が痛い気がするのだ。
「あれ? 私、沖縄本島にいたんじゃなかったっけ?」
「はぁ? 何言ってんのよ。ここは石垣島よ。午後にはみんなで川平湾に行くってことになってたの、忘れちゃったの?」美栄子が窓を閉めながらつぶやいた。
「ほら、早く起きて顔洗って、出かける準備して」尚子が私の手を引っ張った。
シャワーを浴びながら今までのバイクでの旅のことを思い出していた。
「啓介が迎えに来てくれて、私たち……その後は……」
頭の中が混乱していたが、みんなが待っているようなので歯磨きを済ませ、メイクもさっと済ませて服を着替え、カメラを肩にかけた。
尚子と加奈子と美栄子に背中を押されながら、ホテルの外に向かった。
萌と啓介が二人でこちらに向かって「早く早く」と手招きをしている。
「そろそろ出発しないと、いい時間帯逃しちゃいますよ!」
二人はもしかして良い仲になってるの? そんな考えが頭の中をよぎった。
「はい」そう言って啓介からレンタカーのカギを手渡された。
「今日は先輩の番ですよ! もうお酒は抜けてますよね?」
受け取ったカギにはハートのキーホルダーが揺れている。「どこかで見覚えのあるようなキーホルダーだなぁ……」
「なになに~、いい感じじゃない~」と尚子が茶化してきた。
「みんなここにいるんだ?」とても不思議な気持ちになった。
「いつから石垣に?」
「どうしたの? まだ寝ぼけてるの? 一昨日から4泊5日の夏休みでしょう! ちょっと早めのね」と言って、加奈子が私の肩をつついた。状況がまだ呑み込めないままだったが、車に乗り込んだで、キーを回した。隣の助手席では啓介が満面の笑みで、「しゅっぱーつ!」と勢いよく言った。
後部座席ではいつものようにガールズトークが繰り広げられている。
長い長い旅は今始まったばかりなのかもしれない。そう確信してアクセルを踏み込んだ。
川平湾に着くと美栄子と尚子は萌を引っ張り、小高い丘の上の展望スペースにまっしぐらに向かった。
加奈子と私は啓介と後からゆっくりと坂道を登っていく。ふと足を止めると、坂道の傍らには小さな白いユリが咲いていた。少しの間そのまっすぐで清らかに咲く姿に心を奪われた。
「うわー! 海の透明度が違うね!」と騒ぐ3人の声が遠くから聞こえてくる。
啓介と加奈子は3人のところに駆け寄り、私を指さして「何してるんですか?」と手招きした。
「せっかくなんで、専属カメラマンに記念写真を撮ってもらいましょうよ~」そう言って、みんなを整列させた。
「後輩の癖に相変わらず人使いが荒いなぁ……」そうため息を漏らしながら、カメラの電源を入れると、モニターに1枚の写真が現れた。
そこには啓介と二人で寄り添って笑い合う私がいた。
「これって夢の中に出てきたニライカナイへ続く橋じゃなかった?」
遠くには見覚えのある長い橋が見える。白い砂浜には真っ白い貝殻でハートのマークが描かれていた。
拡大して確認しようとしたそのとき、カメラは急に撮影モードに切り替わった。
「裕実先輩! まだですか~」萌の声に我に返った。
「あ、準備OK! 加奈子がもっと左に寄って」
一瞬を切り取るようシャッターを切った。
まだ夢の中にいるのだろうか……。現実との境が分からないような不思議な感覚だった。いや、もしかしたら私たちに起こる未来なのかもしれない……。
そんな未来があるならば、もっと素直でいたいと思えた。
これから起こることは変えることもできる。そして未来は自分で創るもの。
長い夢がそのことを教えてくれたのかもしれない。
運命の輪も果てしなく回り続ける。そしてまた新しい世界が生まれる。
島が丸ごとパワースポット!?石垣島のマリヨドゥ先生にインタビュー!【Laniコンテンツ】
どこを切り取っても絶景で島全体がパワースポットといっても過言ではない石垣島。そんな石垣島でご活躍されているマリユドゥ先生に直接インタビュー取材させていただきました。
エピローグのテーマでもある石垣島、どんなところなんだろう?という方もぜひご覧ください!
マリュたんからのメッセージ
おまけのもう一話が追加になりました! 舞台は、そう! 私が住んでいる石垣島! 長い長い愚者の旅はどうやら夢の中の出来事だったようですね。
啓介とはこの先、リアルなこの世界で結ばれるのかもしれませんね? そんな余韻を残しつつエンディングは皆さんの想像の中に……。
川平湾で見つけた白いユリは魔術師のカードにも描かれている、純粋さや高潔さの象徴。何物にも染まらない、純粋な心を示すと言われています。
最終話で愚者と啓介のモチーフである魔術師が一緒になるイメージをタロットの象徴から書かせていただきました。
タロットカードは螺旋を描くように『0』から始まった旅は『21』番で終わりを告げ、また次のステージの『0』へと上昇していくのです。ということはもしかしたら『0番愚者』がすべての札の頂点なのかもしれませんね。
1年間のご愛読ありがとうございました。またいつか会える日まで☆彡
皆様に石垣島でお会いできることも楽しみしています!
公式サイト<天空の旅人~Astral Voyage>
https://astral-voyage.com/
アメブロ
<南の島(沖縄・石垣島)の占い師 マリユドゥ>
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