「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!
前回の講座では、伝統占星術におけるハウスの意味とともに、天体がハウスに入ることで状態が変わる「ジョイ」と、トリプリシティの概念についての解説をしました。
現代占星術では、伝統占星術やインド占星術の知識やシステムを理論や解説抜きに転用している節がありますが、大元の知識を知ることによって、より一層占星術に秘められている智恵に触れることができるのではないでしょうか。
この『深楽しい』西洋占星術講座では、占星術を「より善く自分の存在を知る」ためのツールとして活用するための知識と智恵、法則(システム)をご紹介しています。
「より善い私(あなた)」という表現は、いかようにも捉えられますが、この講座では一貫して、「自己信頼」と「自己肯定」を大前提にしています。
「自分自身を高い視座・視野で自分自身を見つめ続けること」や「向上の道を歩むことを諦めないこと」は、変化を受け入れる自分と出会うということです。
「生き残る生物(存在)は、変化に対応する生き物(存在)である」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
私たちは常に、自分自身と付き合い続けて生きています。
時に一緒に風や波に乗るように、人生を歩むこともあれば、喧嘩をして、背中を向けることもあれば、自分を見失ってしまうこともあります。
私たちは自分自身と、それぞれの時に、それぞれの距離間を持って付き合っていますが、ホロスコープを活用して自分自身を客観的に見るという行為・作業は、まさに、自分自身と真正面で向き合い、それ以上に、本来の自分と一体化していくような、内的で、神聖な主体行動といえるでしょう。
「完全で、完成されたありのままの私(たち)」とは、本質的、且つ、潜在的な自分自身ですが、私たちは常に自分自身を「不完全・未完成な存在」であると定義してきました。
他者との比較や無いものねだり、自己不信などは、ある意味私たちが自分の中にある「完全性」を見つけるための素材です。
ホロスコープでは、「不完全」や「未完成」を、「完全性」に反転させるための種(素材)を気質や特性として表されています。
今回の講座では、天体の機能を決定づける大きな要因である「ディグニティ(品格)」について解説させていただきます。
ディグニティ(品格)は、天体が特定の星座(サイン)にある時に決まる状態です。
ディグニティ(品格)は、伝統占星術ならではのシステムですが、ホロスコープ上で最も強い影響力を持つ天体が、位置によってその力の発揮できるデフォルト状態が変化することで、「私」という存在が唯一無二の存在たらしめる要素を知ることができますので、是非少しずつ理解を進めていってください。
それでは今回も、最後までお付き合いくださいね!
ディグニティ(品格)は天体の力(機能)を決定づける
ディグニティ(品格)とは、「所有権」や「決定権」、「支配権」といった意味を持つ天体の機能(力)が発揮される強さや弱さを意味します。
これまでの講座で、7天体はそれぞれのハウスを支配し、また特定のハウスに位置する時に「ジョイ」の状態を得ることをお伝えしてきました。
今回は星座(サイン)による天体の機能の変化についてです。
ディグニティ(Diginity)は、日本では「品格」や「品位」と訳されます。
*この講座では、「品格」で統一させていただきます。*
まずはじめに、伝統占星術には大枠として、ディグニティがあります。
また、ディグニティが損なわれた状態の「デビリティ(Debility)」という概念があります。
以下、2つの用語の意味です。
- ディグニティ(Dignity):天体が特定の星座(サイン)にあることによって得る能力と継続性
- デヴィリティ(Debility):天体が特定の星座(サイン)にあることによって、組織化されない、曖昧になる、不安定で変わりやすい状態
英語圏では、「ディグニティ(Dignitiy)」は「尊厳」という意味で使用されています。
ディグニティ(Dignitiy)の語源は、ラテン語の「ディニタス(Dignitas)」で、「その存在に価値があること」という言葉に由来します。
「デビリティ(Debility)」は、完全性に対する「衰弱」や「弱さ」、「弱体」という意味です。
デビリティ(Debility)の語源は、ラテン語の「デビリタス(Debilitas)で、「不全な状態にする」や「不全にする」、「弱める」という言葉に由来します。
一見すると、2つの言葉は対義語なのですが、伝統占星術では、両者は相反する用語としては使われません。
デビリティ(Debility)は、ディグニティ(Dignitiy)の状態が損なわれた状態を指し、対立・対極の関係にはないからです。
これは太陽と月の関係性に似ています。
太陽と月は、陰と陽の関係性で例えられますが、太陽は太陽系の中心で、月は地球の衛星ですから、「対極」や「対立」の構造を持っていません。
要するに、ディグニティ(Dignitiy)という価値があることを前提とすると、デビリティ(Debility)は、本来の価値が不安定になる状態・条件を示します。
なぜなら、場面や状況に左右されて発揮される力は、天体が本来持っている天然の力ではない形で発揮されるからです。
7天体の機能は、私たちの「存在の価値」を表現するためにあり、ネイタルチャート(出生図)では、天体と星座(サイン)の関係によって、私の存在の価値の在り様が、多様に表現されるということですが、平たく言えば、「私という存在の価値の色(カラー)」となるでしょう。
天体はホロスコープ上で、ハウスと星座(サイン)の位置によって、その天体が持つ力(機能)を得たり、失ったりと、「発揮される条件」が課されます。
文字面だけを見ると分かりにくいかもしれませんが、10代の男子/女子が学校に行くことは年相応ですが、会社に行くことは不相応ですよね。
もちろん10代で起業に成功する場合はありますが、生き方や成長・発展の仕方はその人が持っている素養や能力、環境によるもので、それすらもホロスコープに表される個人の生き方に含まれます。
前提として天体が本来持っている力(機能)があり、環境によって天体の力(機能)の発揮され具合が変わることが、ディグニティとして表されるのです。
小難しい言い方をしましたが、ディグニティの状態によって、人の個性や行動原理が決まる、ということですね。
現代占星術は、天体と星座(サイン)の関係で、人の性格や雰囲気を分かりやすくカテゴライズすることで、占星術をとっつきやすくしている側面があるといえるでしょう。
ディグニティ(品格)の要素
第一に、ホロスコープ上で天体は、機能を発揮する条件があります。
その条件となるものが、星座(サイン)とトリプリシティです。
ホロスコープは、真ん中に地球を置き、内側の円がハウス、外側の円に12つの星座(サイン)をそれぞれ配置しています。
星座(サイン)には、二区分・三区分・四区分の分類があり、トリプリシティは、天体と星座(サイン)を構成する要素です。
おさらいになりますが、トリプリシティは、①四大エレメント、②セクト(昼・夜・共通/どちらにもなり得る)の2つの要素によって、直接的には天体と星座(サイン)に、間接的にはハウスに影響を与えるシステム・概念です。
さて、天体がディグニティ(品格)を得るとは、星座(サイン)とトリプリシティによって決定されることが大前提となるわけですが、ディグニティには種類があります。
エッセンシャル・ディグニティとアクシデンタル・ディグニティ
またまた用語が増えてしまいますが、ディグニティ(品格)には、エッセンシャル・ディグニティ(Essential)とアクシデンタル・ディグニティ(Accidental)の2種類があります。
ですが、主要なディグニティ(品格)は、エッセンシャル・ディグニティです。
エッセンシャル・ディグニティ
エッセンシャル・ディグニティは、「Essential(本質的な」という形容詞がついている通り、「純粋さ」や「持って生まれたもの」を指します。
シンプルに表現するなら、エッセンシャル・ディグニティは「その人が持って生まれた能力・才能」を表す要素です。
天体の機能や価値は、宇宙が定めたものであって、私たちが善悪の判断を下すことはできません。
ただ、都合に合わない状況に影響を与える、という意味で、私たちは天体を分かりやすく二分(吉星or凶星)して捉えますが、本来的に、この世に存在するすべては善悪で裁かれるものなど無いのです。
エッセンシャル・ディグニティは、天体の機能・価値が正しく機能する状態を指します。
「正しい」という言葉の意味は、「天体らしさが発揮される」という意味です。
この意味において、吉星である木星は豊穣を与える働きが、凶星である土星は、制限や圧力を与える働きが、それぞれの天体が天体らしく機能を発揮できること、を指しています。
繰り返しになりますが、天体がそれぞれの役割・機能を果たすということは、幸運と不運のどちらに関係・影響しようと、本来的には、その人にとって最善の働きである、ということです。
これが客観的な視点であり、私たちが本当に必要な情報(知識)です。
アクシデンタル・ディグニティ
一方で、アクシデンタル・ディグニティは、「行動力」や「活動性」を表します。
エッセンシャル・ディグニティが「ありのままの良さ」を示すとすれば、アクシデンタル・ディグニティは「ある特定の状態で得ることができる強さ」です。
アクシデンタル(Accidental)という形容詞は、「偶発的な」や「非本質的な」という意味があります。
私たちはよくアクシデント(Accident)という言葉を使いますが、、一般的に「予期しない出来事」という意味で使っていますね。
ですが起こった事実の結果は、本人以外の力が作用するものです。
アクシデンタル・ディグニティは、天体の配置によって、天体が本来持っている機能(価値)が環境によって、過剰的・活性的に働き、状況や事態を大きく左右する要素です。
エッセンシャル・ディグニティが、「元々持っている状態(能力・才能)」である一方で、アクシデンタル・ディグニティが、「その時・場面だからこそ発揮される状態(能力・才能)」ということですね。
これではまだ違いがはっきりしないので、解説を続けます。
吉凶や良し悪しは状況で逆転する
例えば、木星や金星は吉星(ベネフィック)の星ですが、環境に左右され、過剰に働くと、後先考えず大風呂敷を広げ、収集がつかなくなったり、快楽を追求するだけ追求して、後々自分が大変な思いをすることになる、といったことがあります。
反対に、火星や土星が過剰に働けば、目的や計画をどんどん進み、実績を積んだり、望んだ立場に上り詰めることがある一方で、自分本位で動き続け、近親者や周囲に不利益を与え続ける、といったこともあります。
要するに、吉星であろうと、凶星であろうと、状況や場面、他者との関係性において、天体がもつ本来の働きは、裏目に出ることもあれば、逆に吉と出る、ということです。
チャーリー・チャップリンの言葉で、「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」というものがあります。
当事者(ホロスコープの持ち主)からすると、吉星が優位に働く時は都合が良く、凶星が優位に働く時は都合が悪い、という短期的・狭義的な見方を反射的にしてしまいます。
その原因としては、やはり人は「快(心地良さ)」を求め、「不快」を避けたがるからです。
このこと自体にも良い悪いはありませんが、現実(事実)をありのままに見ているか、というとそうではありませんよね。
話をディグニティに戻しますと、天体の機能(価値)というものは、星座(サイン)やトリプリシティの関係(ホロスコープでの配置)によって、その人の人生にどのような影響が出るかで変わります。
それを伝統占星術では、「強さ」と「弱さ」と表現します。
天体の機能が強く出れば吉or凶ではなく、状況や都合に関係なく、その人が持っているホロスコープ上の天体の力が出る時の強さの指標として、エッセンシャル・ディグニティは潜在的な能力を示し、アクシデンタル・ディグニティは、自分の意図に沿わないけれど、状況や環境に左右あれて発揮されてしまう力なのです。
面白い例として、裁判や討論があります。
エッセンシャル・ディグニティを「事実関係」、アクシデンタル・ディグニティを「証拠」や「エビデンス」とすると、後者のアクシデンタル・ディグニティが強ければ強いほど、優位になるでしょう。
日本では、欧米ほど討論や裁判は大衆的に認知・利用されてはいませんが、「歴史は勝者が決める」という言葉があるように、事態を収拾させたり、自分の利益を勝ち取ろうとする時、生まれ持った先天的な能力よりも、後天的に獲得した能力の方が、社会では有利に働くからです。
エッセンシャル・ディグニティには「正しさ」という意味が含まれますが、実際にその正しさを証明するためには材料が必要となります。
個人のホロスコープにおいて、天体がエッセンシャル・ディグニティを発揮すれば、先天的な能力を開花できる素養や可能性があるのに対して、天体がアクシデンタル・ディグニティを発揮できれば、周囲がどう判断していても、条件やタイミング、環境が揃った時に想定以上の力が発揮される、ということです。
先ほどお伝えしましたが、天体のディグニティは、エッセンシャル・ディグニティが主要です。
ただ、私たちの能力や才能といったものは、エッセンシャル・ディグニティが表すような先天的なものだけでなく、アクシデンタル・ディグニティのような不規則的・不安定的な要素でも発揮されますので、ホロスコープ上に示される天体の配置が、どのような働きをする状態(環境)にあるかを知ることは、私たちの視野を広げてくれるでしょう。
続いて、エッセンシャル・ディグニティの種類について解説していきます。
5種類のディグニティ
伝統占星術には、天体の機能の強弱に点数をつける、というシステムがあります。
点数というと、なんだか無機質な感じがしますが、むしろ天体が自分に有利に働いたり、不利に働くに違いない、という発想ほど空回りしてしまうのではないか、という観点を持つことも大切です。
「天体の強さ(強弱)」を数値化することによって、ホロスコープ上でどの天体が優位にあるのかや、どのような状況や環境で力を発揮しやすいのか、ということが分かります。
この講座で説明するディグニティは、以下の7種類ですが、ディグニティ/デビリティに含まれず、点数が与えられないもの追加すると、8種類となります。
- ドミサイル
- エグザルテーション/イグザルテーション
- トリプリシティ
- ターム
- フェース
- デトリメント
- フォール
- ペレグリン
以下、点数(天体の強さ)の高い順に、ディグニティを説明していきます。
ドミサイル/ロード/ルーラー:5点
ドミサイルは、天体の位置が、天体が支配する星座(サイン)に位置する状態(強さ)を意味します。
ドミサイルは、「支配者」を意味する名称である「ロード」や「ルーラー」とも呼ばれます。
天体が自分の領地で自由に振る舞うことができる、それがドミサイルですが、言い方を変えれば、「自分の家で自由に過ごすことができる快適さ」です。
現代占星術では、ドミサイルという言葉は使うことなく、天体が輝ける状態や場所を示す場合に、ドミサイルの概念が使われていますので、なじみ深いと思います。
しつこいようですが、伝統占星術ではトランスサタニアンを扱わないこと、また、星座(サイン)とハウスはイコールではないことが注意点です。
以下に、天体がドミサイルとなる星座(サイン)の位置をまとめました。
星座(サイン) | ドミサイル |
牡羊座 | 火星 |
牡牛座 | 金星 |
双子座 | 水星 |
蟹 座 | 月 |
獅子座 | 太陽 |
乙女座 | 水星 |
天秤座 | 金星 |
蠍 座 | 火星 |
射手座 | 木星 |
山羊座 | 土星 |
水瓶座 | 土星 |
魚 座 | 木星 |
ドミサイルは「定座」と表現される場合があります。
伝統占星術ではトランスサタニアンは扱いませんので、火星は牡羊座と蠍座、木星は射手座と魚座、土星は山羊座と水瓶座がそれぞれドミサイルとなります。
ドミサイルは、支配星(ルーラーシップ)と同様の考え方です。
ドミサイルは、最も高い5点という点数が与えられるディグニティーです。
エグザルテーション/イグザルテーション:4点
エグザルテーション/イグザルテーションは、天体が強まる配置を意味します。
エグザルテーション/イグザルテーションにある天体は、「尊敬される対象」として見られます。
ドミサイルが実権を行使する立場にあるとすれば、エグザルテーション/イグザルテーションは、権威性や尊厳を持つ立場です。
分かりやすい対比は、ドミサイルが「管理職」、エグザルテーション/イグザルテーションを「社長」や「会長」となります。
エグザルテーション/イグザルテーションになる星座(サイン)は、ドミサイルやジョイとは異なるので、注意が必要です。
以下、天体がエグザルテーション/イグザルテーションとなる星座(サイン)との関係をまとめました。
天体 | エグザルテーション/イグザルテーション |
土星 | 天秤座:20~20.59 |
木星 | 蟹 座:14~14.59 |
火星 | 山羊座:27~27.59 |
太陽 | 牡羊座:18~18.59 |
金星 | 魚 座:26~26.59 |
水星 | 乙女座:14~14.59 |
月 | 牡牛座: 2~ 2.59 |
エグザルテーション/イグザルテーションは、「高揚」や「奮」という言葉で表されることがあります。
エグザルテーション/イグザルテーションの点数は4点で、2番目に高い点数です。
管理職と社長/会長では、社長/会長の方が偉い・凄いイメージがありますが、実際に支配力を行使することができるのは自身が支配する領地ですので、ドミサイルの方が点数が高くなります。
言ってみれば、書面上で矢面に立つ代表者は、名前だけで実力が無かったり、世襲によって就いた地位であったり、他の会社や組織を兼任するような場合も考えられます。
肝心なことは、実際的な土地の所有権を持つ立場と、象徴的な立場という違いです。
ただ、例外として、エグザルテーション/イグザルテーションがドミサイルを凌駕する場合もあります。
これは星座(サイン)の度数に依存し、イグザルテーション/エグザルテーション・ディグリーによる立場の逆転です。
以下に、イグザルテーション/エグザルテーションがドミサイルよりも強くなる(点数が高くなる)特定の星座(サイン)の度数をまとめました。
このような星座(サイン)の度数は、スーパー(超)・イグザルテーション/エグザルテーションと呼ばれることもあるようです。
ただこの度数は、特定の度数に限定されますので、頻繁に使用したり、見聞きする機会はあまり無いかもしれません。
天体 | スーパー・イグザルテーション/エグザルテーション |
土星 | 天秤座 21度 |
木星 | 蟹 座 15度 |
火星 | 山羊座 28度 |
太陽 | 牡羊座 19度 |
金星 | 魚 座 27度 |
水星 | 乙女座 15度 |
月 | 牡牛座 3度 |
インド占星術では「高揚」という言葉が使われます。
太陽が牡羊座で、月が牡牛座でイグザルテーション/エグザルテーションとなることだけは見聞きしたことがあるかもしれません。
マンションを例にすると、入居者は部屋を使用する権利があり(ドミサイル)、オーナーは建物自体を所有しています(イグザルテーション/エグザルテーション)が、普段部屋を自由にできるのは入居者(ドミサイル)ですが、工事や退去のような時には、オーナーが実質的な責任と行使力を持ちます。
このような関係性は、ドミサイルがイグザルテーション/エグザルテーションを歓迎する、と表現されます。
ドミサイルを日本国民、イグザルテーション/エグザルテーションを天皇陛下に例えると、天皇陛下がどこかに出向く時、日本国民は歓迎し、お出迎えやお見送りに外に出たり、会場に出向いたりしますよね。
伝統占星術では、「レシーヴ(Receive)」という概念があり、「歓迎する」という意味で使われ、天体同士の関係性で多用されますが、レシーヴについては別の講座で解説させていただきます。
現代占星術では、「ミューチュアル・レセプション(星座交換)」が代表例ですが、ドミサイルとなっている天体が、星座を介して、イグザルテーション/エグザルテーションとなっている天体と関係性を持つ時、天体同士は連絡を密な連絡を取り合っている、と解釈します。
アスペクトやレシーヴについては、また別の機会に解説させていただきます。
トリプリシティ:3点 / レッサー・ディグニティ(Lesser Dignity)①
ドミサイルとイグザルテーション/エグザルテーションは、強いディグニティであるのに対して、トリプリシティ以降の3つのディグニティーは、弱い(小さい)ディグニティーという分類です(レッサー・ディグニティ/Lesser Dignity)。
トリプリシティは、エレメントと深く結びついており、四大エレメントの象徴は、正三角形と逆三角形をベースに描かれます。
多くの文化圏で、3や三角形は、調和と完成を象徴する図形・アスペクト・原理という位置づけをされています。
日本に「天地人」や「太陽・月・地球」、「天照大神・月読命・素戔嗚尊」という言葉と概念、関係性があるように、古代バビロニアでは、神を「天(エア)・大気(エンリル)・水(エア)の3つに分けた、とされています。
両親と子どもの関係性から分かるように、3とは、二元性原理が働く物質世界において、「神の働きによって創造される」という概念を持つ数字です。
これを宗教的・オカルト的であると敬遠しなくても、自然現象として成り立っていることですので、実に合理的・論理的であり、そして神秘的な働きといえます。
占星術の120度(トライン)のアスペクトは、同じエレメント同士の星座(サイン)が大三角形を形成するため、「エネルギーの調和」という意味があるのは、こういった概念が根本にあるためです。
ディグニティは、天体の機能が発揮される強さですが、トリプリシティにある天体は、エネルギーが調和した状態・コンディションにあることを意味します。
トリプリシティを簡単に説明するとすれば、「昼と夜のセクトと、4つのエレメントが合致する天体がディグニティーを得る」ということです。
さて、トリプリシティについて説明したいのですが、1点だけ懸念点があります。
トリプリシティには2種類ありまして、①ウィリアム・リリー氏のものと、②ドロセウス氏のもので、若干考え方が異なることです。
「トリプリシティ」は、三角形(トライアングル/トライン)を指すため、3つの要素が必要になる言葉ではないか、と思われると思います。
1つ目のウィリアム・リリー氏のトリプリシティでは、セクトとエレメントを掛け合わせ、8つの項目に天体が埋まります。
*火星が水のエレメントの昼と夜の両方を担当するため、7天体で8つの項目が埋まります。*
対して、2つ目・ドロセウス氏のトリプリシティは、昼と夜の天体がディグニティーを得て、関与する第3の天体をエレメントによって分類したもの。
ディグニティの点数を計算する上で、ドロセウス氏が提唱する関与星は数には入らず、また水のエレメント × 昼の項目が金星となっている点が、ウィリアム・リリー氏のトリプリシティと異なる点であり、混乱を招く要因です。
*今回の講座では、ウィリアム・リリー氏とドロセウス氏、両者のトリプリシティをご紹介しますが、点数を計算するにあたっては、ドロセウス氏のトリプリシティは採用しないものとします。*
トリプリシティによるディグニティは、「心地良さ」を示します。
そこまで重い責任は無いけれど、多少の権限がある立場で、気ままに動けるような状態が、トリプリシティが天体に与える状態(強さ)です。
天体はそれぞれ、昼と夜、もしくはどちらにも属する性質を持ちます。
ですが、トリプリシティのディグニティが得られるかは、ホロスコープ上の天体が該当のエレメントに位置しているかで決まります。
まず、出生時間の太陽の位置が地平線より上にあるか、下にあるかの違いで、昼生まれか夜生まれかを判断します。
次に、天体とエレメントの関係を見て、その天体がトリプリシティのディグニティを得るかを見ます。
ただ、昼の天体であるか、夜の天体であるかと、トリプリシティとエレメントによるディグニティとは別であることに注意してください。
- 昼の天体:太陽・木星・土星
- 夜の天体:月・金星・火星
- どちらでもない/どちらにでもなれる天体:水星
ややこしい書き方をしましたが、天体が特定のエレメントにあり、昼か夜かによって、トリプリシティの点数が得られる、ということです。
ウィリアム・リリー氏のトリプリシティの場合、ディグニティのトリプリシティを得る天体は、それぞれのエレメント(4つの星座/サイン)につき1つ、あるいは2つです。
*ウィリアム・リリー氏のトリプリシティでは、火星は水のエレメントの昼と夜の両方のトリプリシティを得ます*
対して、ドロセウス氏のトリプリシティでは、関与星を含めると、太陽を除く7天体が、それぞれ2箇所でトリプリシティを得ます。
*ディグニティの計算の場合、関与星はカウントしませんので、関与星を除けば、金星が地と水のエレメントの2箇所でディグニティを得ることになります。*
それぞれの天体がトリプリシティを得るかは、昼か夜かと、エレメントによって決まるため、迷う必要がありません。
以下の表は、トリプリシティと四大エレメントによる天体の内訳で、1つ目はウィリアム・リリー氏のトリプリシティ、2つ目はドロセウス氏のトリプリシティの表です。
リリー氏 | トリプリシティ | |
エレメント | 昼 | 夜 |
火 | 太陽 | 木星 |
土 | 金星 | 月 |
風 | 土星 | 水星 |
水 | 火星 | 火星 |
ウィリアム・リリー氏のトリプリシティの場合、水のエレメント(星座/サイン)のみ、火星が昼と夜の両方のトリプリシティを得ます。
ドロセウス氏 | トリプリシティ | ||
エレメント | 昼 | 夜 | 関与星 |
火 | 太陽 | 木星 | 土星 |
土 | 金星 | 月 | 火星 |
風 | 土星 | 水星 | 木星 |
水 | 金星 | 火星 | 月 |
ドロセウス氏のトリプリシティの場合、金星が火と水のエレメント(昼)でトリプリシティを得ます。
*関与星を使用する場合は、①ホラリーでの占いや、②予測法の際に使ったり、③天体同士の協力関係・連絡関係(レセプション)を見る際に使うとされています。*
*ディグニティの計算をする場合や、シンプルにディグニティ(トリプリシティ)を考えたい場合は、ウィリアム・リリー氏のトリプリシティを採用すると混乱が生じません。*
「心地良さ」や「調和」は、裏を返すと、「刺激の無さ」や「退屈」といった意味になり、発展性や成長が見込めません。
現代占星術における相性占いでは、星座(サイン)に入っている天体同士を見るわけですが、伝統占星術では、ディグニティの点数は3点となっていますので、決定的・運命的な相性を知るという意味では、星座(サイン)やエレメントだけの判断は甘いといえるでしょう。
別の機会に説明させていただきますが、昼と夜のトリプリシティの違い(ディグニティの順番)は、ラディカリティーやリセプションの判断に欠かせない要素となりますので、セクトと四大エレメント、寒熱乾湿の知識には慣れていってくださいね。
ターム:2点 / レッサー・ディグニティ(Lesser Dignity)②
ターム(Term)は、ラテン語「terminus(限界・期限)」を語源に持ち、「壁」や「境界」という意味です。
タームは、「バウンド」とも呼ばれますが、この講座ではタームで統一させていただきます。
タームは、星座(サイン)を5つの不均等な分類に分け、5つの天体がそれぞれのタームでディグニティを得る、と考えます。
タームのディグニティでは、太陽と月を扱わないことが注意点です。
タームの点数は2点で、大きな権限・肩書は無いけれど、多少の力がある天体の状態で、無いよりもあった方が良い、という具合のディグニティです。
タームには、①エジプシャン・ターム、②トラミック・ターム、③カルディアン・タームの3種類があるといわれています。
3つのタームの共通点は以下の通りです。
- 太陽と月は含まれない
- タームの始まりは、それぞれの星座(サイン)のドミサイルになりやすい
- タームの最後は、火星か土星(凶星)で終わる傾向がある
タームの根拠や記述は少なく、どのタームを採用するかは占断者に委ねられますが、傾向として、トレミック・タームが支持されているようです。
以下が、タームの表です。
星座/サイン | ターム | ||||
牡羊座 | 木星0~5.59 | 金星6~13.59 | 水星14~20.59 | 火星21~25.59 | 土星26~29.59 |
牡牛座 | 金星0~7.59 | 水星8~14.59 | 木星15~21.59 | 土星22~25.59 | 火星26~29.59 |
双子座 | 水星0~6.59 | 木星7~13.59 | 金星14~20.59 | 土星21~24.59 | 火星25~29.59 |
蟹 座 | 火星0~5.59 | 木星6~12.59 | 水星13~19.59 | 金星20~26.59 | 土星27~29.59 |
獅子座 | 土星0~5.59 | 水星6~12.59 | 金星13~18.59 | 木星19~24.59 | 火星25~29.59 |
乙女座 | 水星0~6.59 | 金星7~12.59 | 木星13~17.59 | 土星18~23.59 | 火星24~29.59 |
天秤座 | 土星0~5.59 | 金星6~10.59 | 木星11~18.59 | 水星19~23.59 | 火星24~29.59 |
蠍 座 | 火星0~5.59 | 木星6~13.59 | 金星14~20.59 | 水星21~26.59 | 火星27~29.59 |
射手座 | 木星0~7.59 | 金星8~13.59 | 水星14~18.59 | 土星19~24.59 | 火星25~29.59 |
山羊座 | 金星0~5.59 | 水星6~11.59 | 木星12~18.59 | 火星19~24.59 | 土星25~29.59 |
水瓶座 | 土星0~5.59 | 金星6~11.59 | 水星12~19.59 | 木星20~24.59 | 火星25~29.59 |
魚 座 | 金星0~7.59 | 木星8~13.59 | 水星14~19.59 | 火星20~25.59 | 土星26~29.59 |
*天体の下にある数字は、星座(サイン)の度数です。*
フェース:1点 / レッサー・ディグニティ(Lesser Dignity)③
フェース(Face)は、最も影響力が小さいディグニティで、点数は1点です。
0点と1点の差は、僅か1点ですが、有か無かで言えば、影響力はあります。
フェースには「無いよりは有った方がいい」というニュアンスが含まれますが、その理由は、ドミサイルやイグザルテーション/エグザルテーションなどの影響力が遥かに大きいからです。
フェースは「玄関を出る直前の人」に例えられるようで、外で雨が降っていたら、家の中に居れば雨に当たらない、という状態を意味しています。
ハウスや星座(サイン)の概念を知っていれば、「境界線」を「カスプ」と呼ぶことは理解されているでしょう。
こういった境界線は、他と他を分ける壁や扉として機能するわけですが、星座(サイン)の場合、「玄関」とも考えられますね。
現代占星術では、「デカン/デーカン」という概念がありますが、伝統占星術では、フェースのことを指します。
デカン/デーカンは、1つの星座(サイン)を10度ずつに3分割し、そこに3つの星座、もしくは天体を割り当てるものです。
伝統占星術のフェースは、カルディアン・オーダーに則って、天体を割り当てていきます。
カルディアン・オーダーの順番は、【 土星 ⇒ 木星 ⇒ 火星 ⇒ 太陽 ⇒ 金星 ⇒ 水星 ⇒ 月 】でしたね。
フェースの場合、3つずつに区切って天体が割り当てられます。
以下が、フェースをまとめた表です。
星座(サイン) | フェース | ||
牡羊座 | 火星0~9.59 | 太陽10~19.59 | 金星20~29.59 |
牡牛座 | 水星0~9.59 | 月10~19.59 | 土星20~29.59 |
双子座 | 木星0~9.59 | 火星10~19.59 | 太陽20~29.59 |
蟹 座 | 金星0~9.59 | 水星10~19.59 | 月20~29.59 |
獅子座 | 土星0~9.59 | 木星10~19.59 | 火星20~29.59 |
乙女座 | 太陽0~9.59 | 金星10~19.59 | 水星20~29.59 |
天秤座 | 金星0~9.59 | 土星10~19.59 | 木星20~29.59 |
蠍 座 | 火星0~9.59 | 太陽10~19.59 | 金星20~29.59 |
射手座 | 水星0~9.59 | 月10~19.59 | 土星20~29.59 |
山羊座 | 木星0~9.59 | 火星10~19.59 | 太陽20~29.59 |
水瓶座 | 金星0~9.59 | 水星10~19.59 | 月20~29.59 |
魚 座 | 土星0~9.59 | 木星10~19.59 | 火星20~29.59 |
獅子座をチェックしてみると、土星からフェースが始まっています。
伝統占星術はカルディアン・オーダーを重視していますので、太陽を中心にし、土星の働きから太陽系システムが構成されていることがフェースからも分かりますね。
ここまでが、点数が加算できるディグニティの説明でした。
加算できる、ということは、減点されるディグニティもあるということです。
それでは次は、2種類の減点されるディグニティを解説していきます。
デビリティ(衰弱・弱体)
デビリティは、デトリメントとフォールの2種類があり、加点ではなく減点の点数が付きます。
これら2つのディグニティは、本講座の最初の方で説明していた「デビリティ(debility)」です。
デビリティは、天体が衰弱する状態を指すわけですが、「天体が傷ついている」という風に表現することもできます。
占星術の中でも、月を最も重要視する場合に、月がどのくらい傷ついているか、が大きな指標となる場合があります。
デトリメント:-5点
デトリメント(detoriment)は、天体がドミサイルの反対の星座(サイン)に位置する時の状態に衰弱・弱体化することを指します。
デトリメントは、ドミサイルとはオポジションに当たる位置ですので、ドミサイルが本領発揮できる状態の真逆の状態です。
これは「敵の陣地」や「敵の懐」に居る状態を意味します。
敵の懐に居る天体は、悪い面が出てしまう、それがデトリメントですが、天体の機能が反転して出る、というニュアンスが相応しいかもしれません。
以下に、天体がドミサイルとなる星座(サイン)と、ドミサイルのオポジションであるデトリメントを表にまとめました。
星座(サイン) | ドミサイル | オポジション | デトリメント |
牡羊座 | 火星 | ⇔ | 天秤座 |
牡牛座 | 金星 | ⇔ | 蠍 座 |
双子座 | 水星 | ⇔ | 射手座 |
蟹 座 | 月 | ⇔ | 山羊座 |
獅子座 | 太陽 | ⇔ | 水瓶座 |
乙女座 | 水星 | ⇔ | 魚 座 |
天秤座 | 金星 | ⇔ | 牡羊座 |
蠍 座 | 火星 | ⇔ | 牡牛座 |
射手座 | 木星 | ⇔ | 双子座 |
山羊座 | 土星 | ⇔ | 蟹 座 |
水瓶座 | 土星 | ⇔ | 獅子座 |
魚 座 | 木星 | ⇔ | 乙女座 |
例えば、太陽は獅子座でドミサイルとなり、オポジションである水瓶座でデトリメントになります。
言い換えれば、太陽は、土星が統治(支配)する水瓶座で弱体化する、ということです。
12星座(サイン)は対称的・対極的に配置されていますので、ドミサイルを覚えられたら、デトリメントもすぐに覚えられると思います。
デトリメントは「敗」という風に表現されることがあります。
自らの力を発揮できずに失敗している、天体の傷ついた状態を表しているかのようですね。
フォール:-4点
フォール(Fall)は、天体がイグザルテーション/エグザルテーションの反対の星座(サイン)に位置する時の状態に衰弱・弱体化することを指します。
フォールは、イグザルテーション/エグザルテーションとはオポジションに当たる位置ですので、イグザルテーション/エグザルテーションが天体が強まる状態とは真逆の状態です。
フォールは「不当な評価」や「不名誉」といった意味合いを持ちます。
天体がフォールとなる星座(サイン)にある時、自分の思ったような状態ではなくなり、やる気が無い、無気力さにも似た状態に陥ります。
天体 | イグザルテーション/エグザルテーション | フォール |
土星 | 天秤座:20~20.59 | 牡羊座 |
木星 | 蟹 座:14~14.59 | 山羊座 |
火星 | 山羊座:27~27.59 | 蟹 座 |
太陽 | 牡羊座:18~18.59 | 天秤座 |
金星 | 魚 座:26~26.59 | 乙女座 |
水星 | 乙女座:14~14.59 | 魚 座 |
月 | 牡牛座: 2~ 2.59 | 蠍 座 |
フォールは、インフォールや「哀」などでも表現されます。
イグザルテーション/エグザルテーションが「強化」を意味するならば、オポジションであるフォールは「弱体化」であり、天体が「不名誉な状態に陥る」ことを指します。
それでは最後に、これまでに挙げた7つのディグニティ/デビリティすら得られない天体の状態を説明させていただきます。
ペレグリン:0点
ペレグリン(Peregrine)は、何のディグニティも持たない「放浪者」という意味です。
ペレグリンは、家を持たない渡り鳥のはやぶさを由来としています。
*ペレグリン・ファルコンは、家を持たずに放浪するハタブサ科の渡り鳥*
何のディグニティも持たないことは、天体にとって「悪い状態」です。
なぜなら、ペレグリンの状態にある天体は、悪い方に流されやすい状態にあり、他の天体からの影響を受けやすかったり、傷つきやすい状態にあるからです。
ペレグリンは、最近の言葉でいうところの「日和見状態」といいますか、自発的に良い方向に向かうことができない、自堕落さや優柔不断さで、根無し草な性格や性根を持つという性質が相応しいかもしれません。
人によっては、天体がその他のディグニティやデビリティを持たない場合、ペレグリンに「-5点」を与えることがあります。
ホロスコープは全体で読み解く必要がありますので、天体がペレグリンの状態であったとしても、全体の能力を一気に引き下げる必要性は無いため、本講座ではペレグリンの点数を「0点」としています。
天体のディグニティの点数の付け方については、また別の講座で解説させていただきます。
天体同士の繋がりやアスペクトなどを踏まえた上で説明する方が、より理解が深まるからです。
天体の力は時と場合によって栄誉と不名誉を得る
今回の講座では、ディグニティについて解説しました。
ホロスコープは全体を見る必要がありますが、優先順位からすると、天体が置かれている状態や環境は優先的に確認すべき項目です。
占星術に「点数」が出てくるとは思わなかった!という方もいらっしゃるかもしれません。
少し前に「見える化」という言葉・フレーズが流行りましたが、曖昧な状態を明確にすることは、ビジネスや心理カウンセリング、ダイエット、スポーツ、音楽など、あらゆる分野で当たり前にされていることです。
これまでの講座で、現代占星術は心理に焦点を置き、伝統占星術は客観性や事実に重きを置く、という対比をお伝えしてきましたが、ディグニティ/デビリティによる数値化は、ホロスコープ上の天体の活躍度を計る上で大変役に立つテクニックですので、是非少しずつ慣れ親しんでいってください。
吉凶や吉星・凶星と同様に、ディグニティ/デビリティは、絶対的な善悪や損得だけを決めつけるものではありません。
あくまでも、「私(あなた)」が持っているホロスコープ(天体)の資質がディグニティ/デビリティに表れ、天体と星座(サイン)、そしてハウスと繋がっていることを読み解いていくためのヒントとして捉えてください。
ホロスコープリーディングは、まず天体を知ることから始まり、天体の機能や天体らしさが発揮できる状態にあるかに着目することで、これまで漠然と捉えていた天体の働きが明確になっていくはずです。
「天体の力とはどんな風に表されているだろう?」という疑問が湧いた時、伝統占星術のテクニックであるディグニティを活用してみてください。
今回も濃い内容になりましたが、何度も読み返し、天体の機能について深く知っていただく機会を提供できていましたら幸いです。
今回も最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございます!
まだまだ伝統占星術についての講座は続きます。
それでは次の講座「伝統占星術における天体同士の繋がりとは?」でお会いしましょう!
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