「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座に」ようこそ!
ホロスコープを読み解く上で、① 星座、② 天体、③ ハウスの3つは特に重要です。
占星術において、天体は主要なキャラクターです。
今回も太陽系10天体について解説させていただきます!
太陽系に存在する星たちは、必ず自分の役割を持ち、今日も宇宙全体の創造活動に貢献しています。
もちろん宇宙全体の中には、あなたも入っていますし、あなたが関わっている人すべての人も一緒です。
個々の天体が持つ力は、宇宙の働きが成り立つために分配されています。
そしてどの天体がどのような力を発揮するのかは、あなたのホロスコープに詳しく描かれているのです。
それでは、ホロスコープを読み解き、あなたがご自分の魂の計画を知る上で大切な、あなたの冥王星の役割を見ていきましょう。
今回は天体別の解説の第10弾となる、冥王星の解説です。
どうぞ最後までお付き合いくださいね!
冥王星の基本情報
冥王星は、太陽系で最も小さい天体(準惑星)で、太陽系を取りまとめる存在であるとともに、「太陽系外のエネルギー」に接している天体でもあります。
そのため「太陽系の天体」であるとともに、「太陽系外の天体」のどちらの要素も持っている可能性があるかもしれません。
冥王星の研究が進むにつれて、冥王星は太陽系の中で最も不可解な性質を持つことが分かり、1930年の発見から76年後の2006年に、惑星から準惑星に変更されました。
「名前」は私たちの概念ですので、冥王星がそれをいぶかしげに思っているわけではありません。
また占星術においては、冥王星が天体であろうと準惑星であろうと関係がなく、むしろこの惑星の定義の論争は、冥王星の存在感をより強めたといえます。
トランスサタニアンの3天体のトランスサタニアンの1つです。
「トランス」という言葉は、通常の意識状態ではない「変性意識」や「催眠状態」を表しますが、シンプルに表現するなら「コントロール不能」な状態や状況、条件を意味します。
古典占星術では、天体の存在は土星までしか発見されておらず、また「物質文明」の真っただ中にあったため、土星が人間の人生や文明の支配する天体であると考えていました。
ですがその後、科学技術の発達とともに、天王星以降の3天体が発見され、文明と意識が進化し、土星以降の天体は「トランス・サタンニアン」と呼ばれるようになったのです。
つまり「土星を超える天体」や「物質主義を超えた影響力を持つ天体」が、トランスサタニアンの3天体ということになります。
「土星を超える変化」は、私たちの価値観や概念と、現実世界の変化の両方に表れ、それが時代にとなり、歴史となって詰み上がっていくでしょう。
土星によって一旦築かれた制限や歴史を「城」と表現した時、天王星は物質的な変化、海王星は人々の意識の変化に相当し、新しい世界の構築が進んでいきます。
そして冥王星は、物質と精神両面での変化が「もう後戻りできない」ほどに進め、次の宇宙のサイクルに太陽系を導いていくのです。
前置きが長くなりましたが、冥王星の解説をさせていただきます!
下記に、基本情報をまとめました。
- 冥王星は1930年に発見され、、2006年に準惑星に変更になった
- 冥王星は冥王星型天体(太陽系外縁天体)である
➨ 海王星よりも外側の軌道を回る天体 - 冥王星は衛星「カロン」とともに「二重天体」と思われていた
- 冥王星の公転周期は、約248.5年
- 冥王星の自転周期は、約6日と9時間
- 冥王星は約12年~32年で星座を移動する (=イングレス)
- 冥王星はトランスサタニアンの1つであり、太陽系最後の天体である
- 冥王星を表すキーワードには、生と死、変容、再生、根本的な変化、絶対性、究極性、生・性の力、血、腐敗、財、支配などがある
- 冥王星のナチュラルサインは、蠍座
- 冥王星は物質的な年齢領域を超え、死後の世界・黄泉の世界・物質が生まれる前の世界などに対応している
*天体は大きく分けて、① 個人天体、② 社会天体、③ トランスサタニアンに分かれ、冥王星はトランスサタニアンの1つで、「死後の世界」を象徴する天体です。
物事には「始まり(原因)」と「終わり(結果)」があります。
占星術では、始まりは「月」が支配し、終わりは「冥王星」の支配下です。
そして冥王星は、再び月に生命活動を循環させる、というのが太陽系内のシステムということになります。
冥王星の年齢領域
占星術には、「年齢領域」または「年齢域」という考え方があります。
太陽系10天体すべてが、人生のステージ・成長段階に対応しているということです。
冥王星の年齢領域は、「死後」や「死後の世界」に対応しています。
冥王星は「物質世界の時間の経過」を超えていますので、実質的には「時間」と「空間」の制約から解放された「魂」以降の世界といえるでしょう。
太陽系のシステムは不思議なもので、月の世界から生命活動が始まり、意識と活動の範囲を広げ、冥王星に達することで、生命活動を終えます。
この世は果たして、不条理なのでしょうか?
それとも不条理さを含めた上で、宇宙の摂理は成り立っているのでしょうか?
この世の理とあの世の理は、私たちが生きている間はずっと、もしかしたら私たちがこの世を旅立った間も分からないかもしれません。
とはいえ私たちは毎日、「時間」という制約を与えられ過ごしています。
今日1日を生きるということは、当然冥王星の世界に向かっているということです。
私たちは抽象的なことに対してロマンを感じますが、答えの出ないことを延々と考えることで、精神が病んでしまうこともあります。
現代を生きる私たちは、トランスサタニアンの3天体の影響力が強まっている時代に生きていますが、身体や感性を使って生きていくことには変わりがありません。
ですから私たちは、時代の変化とともに新しい価値観を取り入れながら、ある程度の死生観を持つことで、「恐れずに生きていく(死んでいく)こと」が非常に大切です。
冥王星が象徴するもの・キーワード
冥王星の象徴
冥王星の象徴を、以下の3つにまとめました。
- 隠されたもの、秘められているもの、冥界、霊的な力、終わり、終わらせること
- 支配、富、絶大な力・欲求、本能、根源的なエネルギー
- 生と死、性の力、継承、先祖
私たちが身体を持って生まれてきた理由の1つに、「自分を体験すること」があります。
物を手にし、それを使って自分は何を体験することができるのか。
他者を知り、他者から自分を教えてもらいながら、自分はその人とどんな体験ができるのか。
社会に出て、多様で複雑なシステムに触れながら、自分はどのような生き方を体験することができるのか…。
私たちにはそれぞれ、「大切な存在」がありますよね?
家族やパートナー、友人・知人、趣味や習い事を通して出会った人たち、職場の人たち、1度の出会いだけれど忘れられない人、過去の恋人たち…。
私たち自身がそうであるように、私たちが出会うすべての人に人生があり、魂の計画があります。
私たちはある場所、あるタイミングで誰かに出会い、「一時的な時間の共有」をすることで、記憶や感情が色濃くなっていくものです。
太陽系の天体だけでなく、宇宙銀河に存在している星々は、周期的な動きを延々と続けていますね。
私たちも時代や価値観は変われど、生きる上でやっていることは大昔から変わらないのです。
私たちが生まれる前に計画したことは、残念ながら「掘り起こしていくこと」でしか見出すことができません。
毎日を完全燃焼で生きることは不可能ですし、人生には様々な転換期や不運な時があるでしょう。
ですが私たちは、どうやって生きることが、どのような自分になろうとすることが、「素晴らしい終わり」を迎えることができるのか、という考えから逃げることはできません。
これは冥王星が私たちに人生をかけて与えた、「答えの出ない問いかけ」といえるでしょう。
人生は答えを出すことではなく、生き続けること。
またその生き様を様々な形で他者に、次の世代に「明け渡していくこと」が必要になります。
「閻魔大王」が地獄の門番と恐れられるのは、比喩表現かもしれませんが、それだけ私たちは死ぬ前にやるべきことが沢山あるということですね。
前置きが長くなりましたが、冥王星が持つ役割・象徴を解説させていただきます。
隠されたもの、秘められているもの、冥界、霊的な力、終わり、終わらせること
「終わりの世界」や「黄泉の世界」、「死後の世界」、「魂の世界」という言葉は、あまりにも抽象的ですね。
ですが肉体を持って生きられる時間を考えると、逆に目に見えない世界が無い方がおかしいのではないか、という仮説を無視することができなくなります。
「隠されているもの」や「秘められているもの」というものは、全貌や中身が分からないからこそ、その意義があるというものです。
ですから私たちは生きている間、冥王星の影響を明確にすることはできないかもしれません。
また霊的な世界や魂の世界に「掟」があるとしたら、私たちにあの世のシステムを明かしてはいけない、というものがあるかもしれませんね。
目に見える世界を「現象界」、目に見えない世界を「潜象界」と表現されますが、あちらの世界にしてみたら、この世があの世と言えなくもないのかもしれません。
冥王星は「謎」や「秘密」、「潜在しているもの」にエネルギーを供給する天体です。
「隠されているからこそ」発揮されるものの中で、私たちが最も身近なものは、「恐怖心」ではないでしょうか?
私たちは恐怖心があるからこそ、生きようとしますし、死にたくないのです。
「死」が私たちを生かしますし、現実を夢心地にし、あらゆる体験を楽しませてくれる一面があるといえるでしょう。
「死は必ずやってくるからこそ、生きてやる」。
この思いはたいてい、「絶望」や「挫折」、「人生の転換期」に目覚めることが多いものです。
冥王星はこういった出来事に、あなたの「意志」を呼び起こす働きをするでしょう。
大きな視点で見ると、冥王星は築いたものを更地にするような「破壊力」を持ち、その後の「再生」を見守る天体でもあります。
それは今の時代を生きる私たちが、「山羊座的な価値の崩壊」を体験していることから、納得がいくのではないでしょうか?
支配、富、絶大な力・欲求、本能、根源的なエネルギー
私たちには「本能というプログラム」が備わっています。
「プログラム」というと、なんだか機械的な響きになってしまいますが、表現を変えると「根本的な働き」です。
理性や感情が根本的な働き(プログラム)と考えた時、地球と地球の周りを回っている衛星である月の関係性に似ていることに気づきます。
月は「親しみのある生き方」や「知っている無意識の世界」で、私たちは月の状態をとても心地良く感じるため、その状態を「再現」したり、維持しようとするのです。
このプログラム(働き)が外れないようにしているのが、冥王星。
人によって欲求の出方や強さが違うのは、冥王星のエネルギーがどれくらい供給されているのかによります。
恐怖心が強いことで、自分を守り、他者を攻撃・支配しようとすることもあれば、自滅の道を歩むこともあるでしょう。
私たちに根差している「根本原理」を知ることで、私たちは自分自身を内面的に「被害者」の意識から解放することができます。
実際のところ、支配が根強い物質社会は破壊が進んでいる途中で、人々が物質・精神の両面から解放されるにはまだまだ時間がかかるでしょう。
それは冥王星の公転周期と一致しています。
私たちの世代が交代することと同時に、支配からの解放の際に伴う「痛み」を、時間をかけて体験していかなければならないからです。
根本的な変化とは、瞬間的に達成するものではなく、個人と社会の双方が方向性が一致することが絶対条件になります。
自然の成り行きとは、時代性と個性の両方にアプローチする、絶対的で根本的な働き。
それを司る天体が、冥王星です。
生と死、性の力、継承、先祖
太陽系10天体の中で、霊的な象意を持つ天体の代表は、月と海王星、そして冥王星です。
冥王星は、無意識や潜在意識の更に奥の領域を管轄するため、生命活動の元の世界に通じるといえるでしょう。
海王星も霊的な領域を司りますが、冥王星までの領域に当たるため、「究極の地点」とはいえず、だからこその危険が伴います。
太陽系10天体のシステムは、ただ太陽を中心に回っているだけでなく、太陽系内の生命活動が循環するように、「階層的な働き」をそれぞれの天体に振り分けられているのです。
続いて性的な力に関わる天体は、金星と火星、そして冥王星。
金星には女性性(受け取る意識)、火星には男性性(行動する意識)の役割が与えられています。
対して冥王星は、女性性(内向きのエネルギー)と男性性(外向きのエネルギー)の両方が統合する働きに相当し、「生」と「性」の両面に影響を与える天体です。
先ほど「本能は働きである」という表現をしましたが、生と性の欲求も自然な働きである、とご理解いただいて問題ありません。
ですから私たちの生き方や性への欲求、自己実現のビジョンや理想の家庭像などが多様であることは、至って自然なことなのです。
「私たちの祖先はみな同じ」といわれますが、いきなり他人と仲良くなったり、苦手な人と親しくなるなんてことはできませんね。
冥王星が時間をかけて大変化を起こしていくように、私たちは自分のルーツを知り、「命の連鎖」を知ることが大切になります。
「自分を生きること」は、祖先からの命を引き継ぐことでもあり、また自分自身も命をつないでいく存在であることを自覚するに至るでしょう。
冥王星はマクロとミクロの両面で、生命の根本原理を働かせるのです。
根本原理に性的エネルギーがあるのですから、私たちは性的な活動を否定すべきではありません。
道徳観やモラルを持ち、自分の性の在り方を認めるということは、自分の人生を認めることにつながるのですから。
冥王星に関するキーワード
補足として、冥王星に関するキーワードをまとめました。
- 変容の力
- 再生する力、生まれ変わる力
- やり直す力
- 終わらせる力
- 持久力、本気、がむしゃらな集中力
- 支配、支配欲、被支配者意識
- 死への恐怖、死への憧れ、死への衝動
- 先祖の意思、先祖からの継承
- 爆発的なエネルギー・影響力・発展
- 無(0)から有を生み出す力・運命
- 最も見たくない部分、隠された部分
- 個人の最も秘められた部分、守るべき部分、最も強い部分
- 霊的な力、霊的な現象に対する感受性
- 危険物、危険への興味、危険を取り扱う能力
- 規模の大きな富
- 性衝動・性的エネルギー
- 死生観・死からエネルギーを引き出す意識
etc
更に深掘りすると、以下のような表現ができます。
- 仕組まれた変容のタイミング
- 表面上の変化に飽き足らない探究心
- 他者を深く洞察する力、興味、好奇心
- 支配に対する飽くなき挑戦
- 培ってきたものが邪魔であると判断する意識
- 破壊の後に残るものの力によって実現する再生
- 絶対的な働きを実現しようとする意識
- 壊れるまでやり続けることによって生まれる価値・変化
- 痛みや破壊によって目覚める本来の意志
- 独占や支配の実現によって現れる自分の本性
- 恐怖心で他者を支配したいという欲求
- 外見上は支配されても、心までは降参しない
- 到達すべき力を得るために用意された試練
- 栄枯盛衰のプロセスを楽しむ客観性
- 冷徹さと真心が共存すること
- 性的エネルギーによって生まれるもの、楽しめるもの、慰められるもの
- 生死に関わる出来事と死生観の発達・深化
- 連綿と受け継がれる命と魂の道筋の中に、自分の人生の価値を知ること
etc
冥王星は、太陽系10天体の中で最も影響力があるため、その変化に抵抗することを許さない天体です。
土星が「試練を与える星」であると恐れられるのは、実生活や人生での苦しみや痛みを与えることで、私たちを成長させるため。
ですが冥王星は、「今生きている存在すべて」に絶対的な力を行使し、逃げられなくさせる天体であるため、もはや「恐怖」そのものといえる天体といえるでしょう。
かといって冥王星は、私たちにとって脅威の存在でしかないのでしょうか?
はたして私たちは「生死」というものを、快か不快か、心地良いか怖いで分けることができるのでしょうか?
「生まれることが苦しみの始まり」や「人生は修行」という言葉がありますし、「死は苦しみからの解放」や「死は物質世界からの解放」ともいわれます。
もちろん死を軽々しく喜びの対象とすることはできませんが、少なくとも私たちには「死に対するレッテル」があることは確かです。
「魂は永遠」という言葉を実証することはできませんが、実証できないからこそ、人生を懸命に生きることで、死後の世界に一縷(いちる)の望みを懸ける生き方も悪くありません。
私たちがどんなに冥王星や死を恐れようと、私たちの肉体の死は、物質世界での大きな意味を持ちますし、それまでの体験は宇宙に還元されます。
恐怖には、喜びや楽しさを掻き消してしまうほどの絶大なエネルギーがありますから、それを原動力とする時、私たちは根本的な働きを活用することにもなるでしょう。
恐怖の正体は、「分からないこと」が元凶です。
分かり得ることは突き止め、絶対的に分からないことは「保留」とし、私たちは前を向き続けるだけです。
時代が大きく動いている中、私たちが「自分の人生から逃げない」と決めた時、冥王星からメッセージが訪れるでしょう。
あなたが恐怖と折り合いをつける意識が、「自分を生きる」ための潤滑剤となるのですから。
宇宙と人生は相似形(似た者同士)?!
これまで太陽系10天体の解説をしてきましたが、天体の働きと宇宙の仕組みの一旦をご理解いただいているかと思います。
冥王星は「死後の世界」を意味するため、「太陽系の長」であり、「太陽系外への入口」でもあります。
そのためあなたが占星術に触れ、理解をより深めるうちに、地球や現実がすべてではないことを大なり小なり感じられるでしょう。
太陽の寿命はあと数十億~百億年といわれています。
惑星は超新星爆発をする時に寿命を迎え、その影響を周りに与えることで新たな宇宙を作る、ということを繰り返しているのです、
私たちの寿命から考えると、宇宙の創成や太陽系の寿命といったものには全く手も足も出ません。
ですがコントロールできないものの中に、私たちが存在していることは確かですから、また私たちが生かされていることにもちゃんと意味があります。
「私たちの脳内の働きが、宇宙の姿と「相似形」となっている」という話を聞いたことはあるでしょうか?
この世が幻想世界であれ、仮想現実であれ、私たちは自分の身体に乗って現実を生きることには変わりありません。
私たちが現実を真剣に生きることは、同時に宇宙に輝きをもたらすことと同じです。
現在の占星術は、太陽系に絞ったものです。
古典占星術がトランスサタニアンを取り入れ、宇宙の原理を拡大させたように、私たちの意識も今後、「銀河系」へと移行していくでしょう。
現在発見されている銀河は、2兆を超えますが、観測されていない銀河も存在しているはず。
また地球においても未開の地はまだ残されていますから、人類の科学技術と意識進化の発展は果てしないといえます。
目に見える世界において、時間が立つことで理解できることは増えていきますが、理解の先には一体なにがあるでしょうか?
抗うことのできない力や働きを発見することに、喜びだけを感じられるでしょうか?
宇宙の生命活動は「調和」のために働き、循環している、と何度も表現してきましたが、それは全体像の話となります。
私たちの人生にはあらゆる出来事があり、色んな感情や雑念が沸き起こるように、「プロセスは混沌(カオス)に満ちている」といえるでしょう。
「私たちは脳の5%未満しか使用していない」といわれるのは、もしかしてそれ以上の能力を必要とする社会や時代が訪れていなかったのかもしれません。
「目に見えるもの」は確かに分かりやすいですが、「目に見えないもの」の領域の方が広く深い分、秘められている能力も莫大であるともいえます。
冥王星が「隠されたもの」や「秘められているもの」を象徴するのは、私たちに「開くプロセス」を体験させるからです。
それは長い時間とプロセスをかけて見えてくる人類史であり、宇宙史との関係性ともいえるでしょう。
私たちには、太陽系10天体のエネルギーを与えられています。
トランスサタニアンの3天体は確かに掴みにくい反面、絶大な影響力があるため、天王星・海王星・冥王星のエネルギーを受け取ることができる「器づくり」が必要になります。
私たちの「器」もまた、1日や数日では完成されることはありませんので、日々の在り方であり、人生の生き方を見つめることが非常に大切です。
私たちの一生は、宇宙全体における砂粒にも満たないかもしれません。
ですがこれまでのあらゆる生命体がそうであったように、私たちの生命活動は必ず宇宙の輝きになるでしょう。
「人は死んだら星になる」という表現がありますが、宇宙と私たちがつながっていることを思うと、それは端的に生命の循環を表現しているのかもしれません。
【12星座別】冥王星の意味
あなたのホロスコープでは、冥王星はどの星座にありますか?
天体は必ずどこかの星座に位置し、占星術では冥王星星座と呼びます。
ところが冥王星の公転周期は約248年、1つの星座を約12~32年間運行しますから、現時点で生きている人の冥王星星座はそれほど変わりません。
また冥王星が発見される以前は、占星術では土星までの7天体のみを使っていましたので、冥王星についての解釈や研究の歴史は浅いことを予めご了承ください。
冥王星のエネルギーは、「大多数」に同時に流れ込み、「時代を一緒に体験させる」ような影響を与えます。
それが意味することは、冥王星のエネルギーが現実に反映されるためには、多くの人の集団的無意識が必要だから、ということです。
冥王星のエネルギーが各星座に供給されることで、それぞれの星座に大変化がもたらされるとともに、破壊と再生のプロセスも一緒に与えられます。
10天体がどの星座にあり、天体同士の繋がり方を知ることで、ホロスコープはあなたの魂の計画を教えてくれます。
天体と星座の関係は、あなたの顕在意識と潜在意識の両方に影響し、その影響力を自覚できるかどうかは、天体によって異なります。
それでは、冥王星星座の意味を見ていきましょう!
冥王星 × 牡羊座
直近で牡羊座冥王星が巡っていた時代は、約200年前前の1824~1853年頃。
それは産業革命が起こっていた時で、この時は世界的に「物質文明」の高みへと登り始めた頃でした。
冥王星は、人類全体に1つの意識に向かって、「物質的豊かさ」を体験させるべく、革命的な事象を引き起こしたのです。
牡羊座冥王星は、「1つの目的」に向かって一直線に進む気質を持ち、その情熱は集団に飛び火したことでしょう。
戦いの星・火星の支配にある牡羊座は、対立の末に獲得される資源や豊かさのために突き進みました。
それを影で糸を引いていた天体こそが、冥王星。
30年の間という時間を、集団で事を起こそうと思ったら、どれくらいの変化が起こるでしょうか?
私たちは常に先代からの多くの恩恵を受け継いでいます。
人は歴史を作ることができ、その火種は常に私たち自身の中にあり、それは時間をかけて築かれたルールをも変えることができる、と。
今と昔では、あらゆる状況や価値観が異なります。
ですが私たちが生きる上で最も重要なことは、「今存在しないものを作り出そうとする意志」です。
それは現在進行中の「破壊と再生」を体験している私たちにとって、次の時代を築く準備のための励ましになるでしょう。
次の牡羊座冥王星の時代は、2060年以降になります。
冥王星が山羊座を完全に抜け、水瓶座を運行し始めるのは、2025年になり、「人類の次世代の意志の灯」が燃え始めるには約40年以上の月日が必要となるでしょう。
冥王星 × 牡牛座
直近の牡牛座冥王星の時代は、1853~1885年で、物質的豊かさが広がり始めた頃です。
牡牛座は「物質的な豊かさ」を司る星座ですので、冥王星が牡牛座にエネルギーを供給する時、「新しい豊かさを体験する」という恩恵が与えられます。
私たちの人生の楽しみは、なんといっても「身体」を通して感じる楽しみです。
衣・食・住が満たされることで、私たちは安心感と快感を得ますから、この時代の30年余りは刺激的だったことでしょう。
とはいえ、土星座は変化を嫌うため、否応なしに順応する「痛み」や「プレッシャー」も伴ったはずです。
特に「こだわり」や「好き好み」を揺るがされるような出来事は、私たちの神経を刺激します。
日本では時代的に明治維新が既に起こった後ですから、異文化の流入と流出の体験があったでしょう。
「それまであった価値観を守りたい」という欲求と、「新しい価値観を取り込みたい」と欲求がぶつかることで、文化の融合と生活水準の高まりが生まれたはずです。
冥王星は「後戻りができない流れ」を生み出すため、人々は1度変わってしまった、新しくなってしまった生活に、次第に慣れることを余儀なくされます。
日本人は「受け入れること」が得意な国民性を持っていますが、その代償に、自国の文化をいくらか失ってしまうことも経験したはずなのです。
冥王星の圧迫は、「誇示しているもの」にまでメスを入れ、そこから発展させるか、もしくはオリジナルを継承続けるか、という選択を迫ります。
20世紀を目前に、この時代の人々は新たな選択肢に迷いながら、強烈な時代の変化と生活の変貌に喜びと不安を感じていたことでしょう。
冥王星 × 双子座
1つ前の双子座冥王星の時代は、1985~1913年で、情報の伝達や物流が発展した頃です。
今のように世界がネットワークでつながる前は、まず軍隊が最先端の情報と技術を活用していました。
現在も最新鋭の技術は、一般社会に広まる前に機密にされていることでしょう。
電話やラジオ、飛行船が発明されることで、20世紀は飛躍的に物質文明が進化していきます。
情報は抱えているだけでは、何の役にも立ちませんし、伝える術が無ければ成果も上がりません。
冥王星はこの時代の人々に、「つながる」という意識がいかに現実化するかの課題を与えたのでしょう。
とはいえ、双子座冥王星が終わることには第一次世界大戦が始まりますから、この時代は物質文明の発展と、その後の争いのための下火になったことが容易に予想できます。
双子座は本来、純粋な好奇心を満たすことを好みますが、発明者の多くが戦争に発明品を使われるとは予期していなかった、という話は少なくありません。
「使う目的」は作ってみてからでなければ分からず、また作った者の手を離れた後の現実は、誰にもコントロールすることができないもの。
双子座冥王星の時代は、「好奇心」や「探究心」による発展と暴走、どちらをも体験した時代だったといえるでしょう。
冥王星 × 蟹座
1つ前の蟹座冥王星の時代は、1913~1939年は、冥王星が発見された時代です。
蟹座は「身内を守る」星座で、冥王星が蟹座を刺激することで、普段は好戦的ではない蟹座に大きな変化が起こったのでしょう。
それが第一次世界大戦です。
1939年は第一次世界大戦が終わった年、というところが驚くべき事象と星の影響の一致といえます。
得るものがあれば失うものがある。
この事実が究極的な局面を迎えた時、戦争のような「命」までをも矛と盾にしてしまう、そんな危険性が私たちにはあるのです。
冥王星は時代を刷新し、破壊と再生を推し進める星であるため、蟹座の本来の気質が全く正反対の行動に発展したといえるでしょう。
戦争は人災ですが、自然災害と違って、明確な「敵」が相手となります。
「自国や家族を守る」という気持ちは、何にも代えられないほど強かったのでしょう。
勝者は「守ることができた」達成感を味わい、敗者は「守ることができなかった」という敗北感を味わいます。
後者の心は打ち砕かれ、想像を絶するトラウマと絶望を味わうことになったのは言うまでもありません。
冥王星の働きは、その先の第二次世界大戦へと更に火種を大きくしていき、その絶大な力を振るったのでした。
冥王星 × 獅子座
1つ前の獅子座冥王星の時代は、1939~1958年で、蟹座冥王星の時代に引き続き、戦争による破壊の時代でした。
第二次世界大戦の終わりは1945年ですが、条約の締結や戦後の統率、被害の収拾など多くの時間と労力が費やされたことでしょう。
獅子座は言動に「意志」をかける星座です。
蟹座によって「守る」という選択をした集団(国民)の意識は、「戦争に勝つ」という意志に変わったことでしょう。
戦争はどのような場合においても、必ず利益と不利益の両方が出ますが、この時代の世界はまだまとまりがなく、自己主張をし合っている時代。
特に獅子座冥王星の時代は、「自分の意志が正しいこと」を証明する意識が強く出たことで、不利益を被ってまで、他国を打ち負かすことに相当のエネルギーを費やしたのです。
冥王星は「結果」を体験させることで、時代を前進させます。
どの時代も、前の時代の犠牲によって築かれていることは、単なる机上の歴史ではなく、実際に起こった現実です。
戦争によって生まれた喪失は埋められることはありませんし、これからも鎮魂し続けなければいけません。
鎮魂し続けていく意志は、獅子座冥王星が次の世代に与えた、もう1つの意志といえるでしょう。
冥王星 × 乙女座
1つ前の乙女座冥王星の時代は、1958~1971年で、戦争の傷跡を埋めつつ、物質的豊かさを本格的に実現していった時代といえます。
乙女座は「勤勉の星」ですから、ルールや体制の見直し、効率化を徹底することで、利益が高まるように世界が動いていたことでしょう。
日本はというと、高度経済成長が始まり、「働くこと=社会貢献」という構図ができあがり、人々は働くことに汗を流すことに美徳を感じていたのかもしれません。
土星座である乙女座は、問題解決にエネルギーを注ぎます。
「物質的な発展が全体のためである」という公式は、真面目さを誇る乙女座を最大限に動かしたはずです。
更に復興と再生のために、冥王星は乙女座に莫大なエネルギーを与えたのでしょう。
なぜなら冥王星は、私たちに「不屈の精神」と「0からやり直す力」を与えます。
その後日本が先進国の仲間入りを果たしたのは、日本人の精神性と、乙女座冥王星の力がマッチしたからでしょう。
また日本の技術が世界的に高く評価され、世界で活用されていることを喜ぶ精神性も、日本人ならではといえるのかもしれません。
昨今の日本では、技術の流出が国内の企業の倒産につながっている、という指摘もあります。
そういった損失が、世界貢献という事実を上回ったとしても、日本人から勤勉さが失われることはないでしょう。
これからの時代は、「本物の価値」が残り、上辺だけの価値は淘汰されていきます。
時間はかかりますが、冥王星は確実に人類全体の意識を変えていくのですから。
冥王星 × 天秤座
1つ前の天秤座冥王星の時代は、1971~1984年で、自分を満たせるようになったことによって、より良い関係性に意識が向いた時代です。
天秤座は社会性や客観性を重んじるため、人々は流行や社会的評価を特に注目したでしょう。
物質的豊かさが個人の暮らしを潤すことで、「体裁」や「見た目」を整えることができるようになります。
その反面人々には、集団的無意識から外れないようにする意識も芽生えました。
新しい社会の流れは、常に私たちの意識と同調しています。
天秤座は自己主観を抑えることに意識を注ぐため、どうしても同調圧力や協調性の意識に囚われてしまうのです。
それは「嫌われたくない」という欲求となり、物質的豊かさへの執着を強める結果になります。
冥王星は「他者から見た自分」について考えさせるとともに、物に満たされていく中で「主体性」を見出させたかったのかもしれません。
社会に出たり、集団の中にいると、どうしても自分の意思や願望、夢や目標を見失いがちです。
また損得勘定や見栄で築かれた人間関係は、長くは続きません。
天秤座冥王星音時代は、物質社会が栄えていく中で、「自分を満たす」というはどういうことなのかを、他者を通して学ぶ時代でもあったのです。
冥王星 × 蠍座
1つ前の蠍座冥王星の時代は、1984~1996年で、冥王星の影響力がストレートに出た時代です。
ストレートな影響力とは、「破壊と再生」の一言に尽きます。
日本ではバブルが崩壊し、「栄枯盛衰」をまざまざと見せつけられました。
冥王星と蠍座には、「隠されたもの」という象意がありますが、富を蓄える銀行が崩壊したことは、蠍座冥王星の本領が発揮された、といえるでしょう。
「大多数に支持されるもの」や「信頼を裏切るはずがないもの」が崩れ去る時、私たちの価値観も崩壊します。
また世の中にある商品やサービスは、「無から有を作り出すこと」で生まれ、それは冥王星の働きです。
その大元の働きである冥王星が動いたことで、この時代の経済は陥落してしまったといえます。
蠍座には「他者と同化したい」という欲求がありますが、冥王星のエネルギーがなだれ込むことによって、「一緒に破壊と再生の道を歩む」という道が敷かれました。
孤立無援・八方塞がりの状態を大多数で切り抜けることで、時代が大きく動き、人々の「豊かさ」に対する意識も一変したことでしょう。
冥王星は12星座を通して、大きなスパンで変化を実現させていきます。
蠍座に天体が入ることで、私たちは内面に意識を向けざるを得なくなり、誰もが同じような恐怖心や不安を抱くことで、破壊と再生のプロセスは加速して進んだといえるでしょう。
その一端が垣間見えたのは、地下鉄サリン事件でしょう。
私たちは他者に「感情移入」をし過ぎると、自分自身の感情に揺らぎが生じてしまいます。
あらゆる宣伝・広告が繰り返し、至るところで流されるのは、「慣れてもらうため」です。
私たちの潜在意識は本来、1度見聞きしたものは忘れないといわれていますが、顕在意識ですぐに反応するほどに情報に慣れることで、「親しみ」を覚えてしまいます。
ですがそれが、「自分から望んだ人の声」に対する意識だったらどうでしょうか?
定期的な密室での対話が繰り返されることにより、私たちの心理は相手側に取り込まれてしまいますし、外部からの干渉が入ることはありません。
「主体性」が揺らぎ、知らず知らずに選択肢が減り、正常な判断力が無くなった時、私たちは本当の意味で、他者と同化してしまうのです。
蟹座冥王星と獅子座冥王星の時代は、「敵」や「相手」との争いによって体験する「変容」でしたが、蠍座冥王星の時代はあくまで、「自己変容」。
誰にも責任転嫁ができず、どこにも逃げることができない時、私たちは内に秘められた能力を発揮します。
「誰もが同じ状況」は、時に励ましにもなりますから、蠍座冥王星の時代は「痛み」と「孤独」を共有することができた時代といえるでしょう。
それが救いになることもあれば、手段と目的など崩れ去り、自滅の道を歩む結果になることもあるのです。
冥王星 × 射手座
1つ前の射手座冥王星の時代は、1996~2006年は、精神性に大きな変化が訪れる時代でした。
先の蠍座冥王星の時代に、人々の意識が大きく揺らぎ、他者との密接な関係を望みました。
ですがそれゆえに、「傷つけられる」という体験をしたり、見聞きすることで、関係性を築くことに強い抵抗感が生まれてしまったのです。
また私たちは潜在的に、自分で決断することが怖い、責任を取りたくない、1人では実行できない、といった心理を持っています。
そういった心理に基づいて行動し、選択が裏目に出ると、私たちは利用されたり、誘導されたり、また騙されてしまうのです。
射手座には、高度な知識や専門知識、宗教や哲学といった象意があります。
冥王星は射手座にエネルギーを投じ、人々の宗教観や倫理観、道徳観に衝撃を与えました。
この衝撃が最も顕著に表れた出来事が、2001年3月11日のアメリカでのテロです。
真相やプロセスの真偽はさておきとして、実際にテロが起こったという事実は、世界的・歴史的な変化の象徴といえます。
人は多く集まれば集まるほど、先導することは難しくなりますが、状況や心理状態が似通った者同士が集まることで、信頼関係は固く結ばれます。
こういった人々の意識は、「植え付けられる精神性」ではなく、「自分で育む精神性」に意識が向かいました。
これは射手座が持つ情熱であり、希望的観測の働きで、冥王星は人々にそれぞれの理想を追い求めるように働きかけたのでしょう。
射手座冥王星の時代は、内なる理想が、世界への真理につながることを信じることで生きる時代だったのかもしれません。
冥王星 × 山羊座
山羊座冥王星は、現在進行形で進んでいる「破壊と再生の時代」です。
この流れは2023年まで続きますが、冥王星は水瓶座に移った後も、再び山羊座に戻ります(逆行)ので、実質的な山羊座冥王星の時代は、2025年まで続きます。
冥王星のイングレス(星座間移動)には、12~32年の幅があるのは、「根本的な変化」を浸透させるためです。
山羊座冥王星が私たちに与えている影響は、「物質世界の再構築」に集約されるでしょう。
2020年末のグレート・ミューテーションによって、太陽系文明は土の時代から風の時代へと切り替わりました。
宇宙(目に見えない世界)と物質世界の大きな違いは、時間と空間にあります。
現象が生まれ、波及し、結果が出るまでにはそれ相応の時間と変化が必要になりますし、それに対する私たち人類の価値観の変化も同じ。
山羊座冥王星を生きる現代人は、山羊座によって完成された世界が崩れ落ちていくことを「自分事」として体験しているのです。
山羊座は土星座における最終段階ですから、その規模の対象は全世界。
冥王星は物事に終わりを与えるとともに、始まりへの準備を与えます。
山羊座冥王星の時代は、「困難」と「混乱」の時代ではありますが、表現を変えるなら、「脱皮」や「膿出し」の時期ともいえるでしょう。
物質的にも精神的にも豊かになった人類は、「覇道的(支配的)な社会」から解放されるには、誰もがその支配の原因の一部であったことを自覚する必要があります。
本来私たちにとって重要なものは、「命」であり「時間」、「人生」です。
私たちが本当に風の時代を迎えるためには、もう少し時間がかかるようですね。
冥王星 × 水瓶座
次の水瓶座冥王星の時代は、2025年~2043年に訪れ、少しだけ先の未来の時代です。
冥王星はゆっくりと大変革を進めていきますから、2020年末~2024年の間は、風(水瓶座)の時代の「予兆」や「準備」のような期間となるでしょう。
山羊座冥王星の時代で起こる崩壊は、土の時代からの解放につながり、それは「自立」や「個性」の尊重の時代に至ります。
「時代」は何層にもなっていて、社会天体の時代性から、トランスサタニアンの時代性、そして銀河文明の時代と、「見えない枠」や「境界線」があるのです。
大宇宙の視点からすると、風の時代は1つの通過点でしかありませんが、私たちにとっては体験したことがないほどの大変化。
とはいえ、私たちの人類の体験は大宇宙につながっていますから、優劣はありません。
水瓶座冥王星の時代は、山羊座や土の時代の文明に残った「負債」を返しながら、新たな時代を作っていくことになるでしょう。
テクノロジーやAI化が進むことで、多くの恩恵が得られるとともに、その反動で私たちは不安になるかもしれません。
水瓶座冥王星の時代は、「自由になる時代」ではなく、あくまで「自分の理想」を見つけ出し、「自立した者同士でつながる時代」です。
自分ができないことを強要されることがなくなったとして、今度は自分にできることを見出す必要が出てくるのですから。
「誰でもできること」が選択肢から抜け、「自分だからこそできること」や「自分がしたいこと」というものに焦点が当てられるのが、水瓶座冥王星の時代です。
依存的な自分を自覚した時、私たちは自分の理想を追い求めることができるようになります。
また私たちの理想は、必ず誰かの理想と引き合い、ネットワークを作っていき、「誰も支配せず、誰にも支配されない」社会を少しずつ作っていけるでしょう。
この「厳しくも輝かしい時代の到来」は、山羊座冥王星の時代を生き抜いた人への新たな課題であり、祝福といえるのかもしれません。
冥王星 × 魚座
次の魚座冥王星の時代は、2044年以降に訪れます。
昔と今では、時間の感覚や、時間によってもたらされる変化が異なるため、山羊座冥王星の時代後の約20年の変貌ぶりは予想もつきません。
物質的な価値観が崩壊し、そこから再生を果たした後、私たちが行き着く先は、魂や精神といった「大元の世界」への意識です。
私たちは毎日睡眠を取りますし、細胞は毎日生まれ変わっています。
それは「生まれ変わり」を小さなレベルで行っている証拠。
また私たちの脳に備わっている能力は、ある意味制限されているか、開かれていない状態といえます。
その理由は「必要無い」場合や、「時代に追いついていない」場合など様々考えられますが、「脳」は宇宙とつながる部位であることには変わりありません。
これまでの時代は、生存欲求を満たすことが必須でした。
言い換えれば、富める者が幸せを享受できた、弱肉強食の時代です。
しかも公平性は無かったため、「出来レース」が横行していた時代ともいえるでしょう。
物質文明は、身体性の豊かさを感じる社会ですが、その対極にある「飢え」や「貧しさ」といった恐怖を体験する社会でもあります。
どちらかを選ばなければならない時代が終わるとしたら、「調和」や「共存」、「共栄」といった言葉が「綺麗事」ではなくなるでしょう。
時間も時代も逆行することはありませんから、旧石器時代や縄文時代のような生活が再現されることはないですが、「精神性」を実現することはできます。
「対立」や「支配」は私たちの意識を分離してきましたが、冥王星が物質的にも精神的にも変革をもたらした後、私たちは「自然体」で生きる社会を目指したくなるはずです。
魚座冥王星の時代における人類の意識は、他者比較や損得勘定、支配関係などをする必要が無い時代であることを祈るばかりですね。
冥王星の影響力
冥王星は太陽系10天体の中で、小さいながら最も影響力の強い天体とされています。
実は冥王星は、地球の衛星である月よりも直径が小さいのです。
また冥王星には衛星「カロン」があり、カロンは冥王星の半分以上の大きさを持っています。
元は惑星であったものが互いに衝突し、二重天体と思われるような不思議な関係性になったといわれています。
冥王星の影響力は、① 星座を移動する時、② 他の天体とアスペクトを取る時に、最も大きくなるでしょう。
海王星によって、意識が物質から離れ、見えない世界につながれた後、冥王星が完全に意識を飲み込む、というようなイメージです。
冥王星の影響の出方は、まるで「地ならし(すべてを更地にする)」ように、全体に大きな圧力をかける形で出ます。
物質世界において最も顕著な影響が出るのは、軍事と経済です。
軍事に関しては、国によって保有する武器とその量はことなりますし、経済は富が循環している地域と貧困の地域では大きな差があります。
現代に最も近い時期に、物質世界の完成を意味する山羊座での運行を始めたのは、2009年です。
あれから十数年が経ち、冥王星の影響は目に見える形で出てきたといえるでしょう。
冥王星は長い時間をかけ、また順行と逆行を繰り返して、1つの星座に大きな影響をじわりじわりと与えるのです。
風の時代・水瓶座の時代が本格的にスタートするのは、実は、冥王星が山羊座を出る時。
地球から最も遠い天体である冥王星は、星座を抜け出る時に、爪跡を残します。
次に冥王星が山羊座から水瓶座に移るのは、2023年。
冥王星は、山羊座へ逆行と水瓶座への順行を度々繰り返すため、本格的に冥王星の変革が水瓶座に注がれるのは、2024年の11月末からになりそうです。
「風・水瓶座の時代」は、手放しで喜んでいられるほど、冥王星は甘くありません。
冥王星はマクロ・ミクロの相当に圧力をかけるため、私たちには逃げ場が無くなるのですから。
これは単なる脅しではなく、風・水瓶座の時代は、理由や状況はどうであれ「物質社会に頼っていた自分」から卒業する必要が出てきます。
水瓶座が象徴するのものは、「自立したもの同士の調和の社会や在り方」。
少し変な例になりますが、刑務所を出所した人が、また入所するために犯罪を犯す、ということが少なくないようなのです。
これはタバコやアルコール、恋人関係、家庭環境も同じで、目的や強い意志があったとしても、「元の環境」を強く求める欲求に打ち克つことは簡単ではありません。
そういう意味では、「月の時代」が2000年に終わって以来、私たちはまだ「自分を信じる」ということに確信を持っていない、という証拠かもしれませんね。
冥王星のような大きな影響や変化は、地震のように完全に収まるまで、かなりの労力と覚悟、そして地道さが必要とされることは間違いないです。
ですが冥王星は混乱と破壊を目的としているわけではありません。
支配と被害者や、対立や奪い合いの時代を終えたければ、他者に依存することなく、それぞれが自立心・独立心を持つように、と私たちをけしかけているのです。
逃げ場や後ずさりをする道を閉ざされた時、私たちに残されている選択肢は、「怖くても進むこと」、その1点のみ。
ピラミッド社会が崩壊していく中、私たちは「互いを信頼できる人」と集まり、距離を問わず支え合っていくでしょう。
余計な、もしくは過度の気遣いや緊張、心配を省き、信頼によって得られる安心感は、私たちを内面に向き合う勇気を与えてくれます。
今後数年間は冥王星からの大きな変化とともに、私たちは自分の内面への理解と、他者との理解を学んでいくでしょう。
それは痛みだけではく、「痛み分け」にも「喜びの分け合い」にもなりますから、今できることに取り組みつつ、希望を持つことを絶対に忘れないでください。
公転周期が長いトランスサタニアンの3天体は、その影響が出る時期を比較的に絞りやすいのですが、詳しくはアスペクトの講座で解説させていただきますね!
冥王星が支配する星座に、他の天体はある?
少しテクニカルなことになりますが、今のうちにと他の天体の絡みを覚えておくと、後でホロスコープを読む解きにラクになります。
冥王星のナチュラルサインは蠍座でしたね。
あなたのホロスコープでは、蠍座に天体は入っているでしょうか?
古典占星術では、火星が蠍座のルーラーでした。
ですが火星単体では、蠍座の深遠さや二面性をカバーすることができないため、冥王星の存在によって、蠍座が持つ「内省への欲求」が理解されるようになりました。
その「内省への欲求」とは、冥王星が持つ「死」への衝動や興味、好奇心です。
蠍座のエネルギー冥王星によって供給され、火星によって日常的に発散され、冥王星は世界全体に時代の変革をもたらす、という風に理解していただければと思います。
冥王星のキーワードには、「財」や「秘められたもの」がありましたね。
蠍座という星座は、「見通す力」によって豊かさを得たり、「他者の中にある価値」を発掘する力を与えられています。
蠍座に天体があることによって、その天体は蠍座を通して力を発揮することになり、その力は「他者を通して豊かさを循環させる(する)」、ということになるでしょう。
占星術では、星座に天体があることで、その天体の働きが顕著に表れることから、その星座に着目します。
天体のエネルギーはあくまで、「星座を通して発揮される」ことを覚えておいてくださいね!
チャートルーラーとしての冥王星
まずホロスコープで重要視されるのは、① 星座、② 天体、③ ハウスです。
ハウスについては天体別の解説後に解説していきますが、今回は冥王星の解説ですので、チャートルーラーとしての冥王星について少し触れておきますね。
チャートルーラーとは、アセンダントの星座の支配星のことを指します。
アセンダントとは、「東の地平線」で、星が上昇していく地点です。
ホロスコープでは、アセンダントが生まれ持った性格や性質を表すため、重要視されます。
そのアセンダントに位置する星座の支配星が、チャートルーラーとなり、ホロスコープで影響力の強い天体と考えられるのです。
以下に、チャートルーラーの一覧を挙げておきますね。
- アセンダントが牡羊座:チャートルーラーは、火星
- アセンダントが牡牛座:チャートルーラーは、金星
- アセンダントが双子座:チャートルーラーは、水星
- アセンダントが蟹座:チャートルーラーは、月
- アセンダントが獅子座:チャートルーラーは、太陽
- アセンダントが乙女座:チャートルーラーは、水星
- アセンダントが天秤座:チャートルーラーは、金星
- アセンダントが蠍座:チャートルーラーは、冥王星と火星
- アセンダントが射手座:チャートルーラーは、木星
- アセンダントが山羊座:チャートルーラーは、土星
- アセンダントが水瓶座:チャートルーラーは、天王星
- アセンダントが魚座:チャートルーラーは、海王星 (と木星)
冥王星が支配する蠍座にアセンダントがある場合、あなたのチャートルーラーは冥王星になります。
火星も蠍座のサブルーラーですから、火星に注目することもお忘れなく。
意外と意識をしていない!ということもありますので、是非チェックしておいてくださいね!
冥王星とハウス
ハウスについての解説は、ハウス別の講座で行いますが、軽く冥王星が入るハウスについても触れておきます。
10天体すべては、あなたの心・魂・意識の要素です。
ハウスは、あなたの人生や時間の流れ、成長段階のテーマを表します。
冥王星が入るハウスに着目することで「無から有を生む力」や「霊的な力」、「再生力」などを知ることができるでしょう。
実のところ、冥王星のエネルギーは、積極的に・意図的に活用することは難しいといわれています。
「結果的にそうなった」、という場面や、「自分だけの力ではない働き」が後押ししてくれた、という状況もあります。
なぜなら冥王星が入るハウスは、人生に止まらず、家系や血族を通して流れ込むエネルギーを使い、自分自身も大きな流れの中に身を投じる必要があるからです。
とはいえ、冥王星は「逃げること」を許しません。
裏を返せば、冥王星のエネルギーが流れ込むハウスとは、一生付き合っていく必要があり、その結果、豊かさや縁が運ばれてくる、という風に理解してください。
特定の天体が位置するハウスは、天体のエネルギーが供給され、人生を通して特に意識されるでしょう。
それに伴って起こる出来事や、乗り越えるべき癖やパターン、困難があるかもしれません。
土星までの天体と違って、トランスサタニアンの3天体は、私たちの人生の晩年から死後の年齢領域に対応しています。
土星までの6天体によって作られたシステムは、トランスサタニアンによって「改革」・「改変」されることで、時代は移り変わっていくのでしょう。
星座は「生き方」を表し、ハウスは「人生のテーマ」を意味します。
冥王星とハウスの関係を掘り下げることで、冥王星が位置するハウスを中心に、あなたの人生に大変化が起こす要素が用意されている、という風に捉えてください。
ハウスに関する詳細は、後の講座で詳しく解説しますので、楽しみにしていてくださいね!
冥王星が位置する星座の度数
ホロスコープは12分割して、12つの星座とハウスが配分されているということは、これまでの講座でお伝えしましたね。
また360度の円を12分割し、それぞれの星座には更に30度の部屋があり、あなたの冥王星が位置する度数によって、「あなたの冥王星」の特徴が分かります。
ちなみに1つの星座の度数は、0度~29.99度の間で、30度は次の星座の0度となります。
また1つの星座は、1~9度、10~19度、20~29度の3つの区分けで考えられます。
違う考え方として、5度毎にグループ分けをして、更に細分化する解説もあります。
物事は細分化することで、より深く、また明確に特徴を掴むことができますが、最初のうちは3グループに分けるところから始めてみましょう!
サビアンシンボル
サビアンシンボルとは、星座の度数の1つひとつに、意味やメッセージがあるというものです。
サビアンシンボルについては、また後の講座で解説していきますが、あなたの冥王星が位置する星座の度数をまずチェックしてください。
そして、冥王星の度数に+1度足したサビアンシンボルのメッセージを読んだり、その度数のサビアンシンボルの解説の中からビビッと来た言葉や表現を選びましょう。
サビアンシンボルに限らず、天体が位置する度数の前後1度、合計3度を合わせて見ると「流れ」が掴みやすくなります。
サビアンシンボルは、度数自体に関するメッセージですから、あなたの冥王星と、冥王星が位置する星座とハウスと絡めると、より多くの情報や閃きが沸いて来るはずです。
とはいえ、現代占星術ではホロスコープリーディングの際に活用されますから、10天体のサビアンシンボルだけでもチェックしておいてくださいね!
冥王星は片道切符の道へ導く星!
今回は10天体・トランスサタニアン天体の最後の天体である、冥王星について解説させていただきました。
冥王星への理解は、占星術的にも、科学的にもまだまだ発展途上です。
ですから私たちが占星術に触れ、時代の流れを見守り、自分たちの人生に向き合うことで、冥王星への理解は深まっていくことに違いありません。
冥王星は「抵抗できない力」を象徴する反面、「命のつながりを約束する星」でもあります。
この約束は、私たちが1人ぼっちではないことや、命や魂は本質的に失われることがない、という風に解釈することができるのです。
この世には数えきれない恐怖があり、私たちの心の中にも、トラウマや恐怖が沢山あります。
冥王星はすべての循環は、「破壊と再生」にあることを教えるだけでなく、身を持って体験させる星です。
それは「試練の教師」と呼ばれる土星の比ではありません。
冥王星が監督する「生死の領域」は、この世とあの世の掟や理のようなもので、私たちの意識が介入できるものではないからですね。
私たちは太陽系の中の地球に住む人間です。
これは私たち人類の勝手な願望や妄想かもしれませんが、太陽系や天の川銀河においては、地球ほど恵まれた星はありません。
何を持って恵まれているのか、といいますと、「身体を持って生きることができる環境」が成立していることです。
他の天体を見てみると、全体中に日夜嵐が吹き荒れていたり、氷に覆われ生命が存続できなかったり、太陽の光が届かない真っ暗な環境だってあります。
地球をどのような星であるかは、私たちの捉え方次第ですが、「美しさ」や「豊かさ」が整っている星で、地球以上の天体は見当たりません。
太陽系の天体たちは、それぞれの軌道を持ち、距離感を保つことで、地球を守っているのかもしれませんね。
太陽が太陽系の中心でいてくれること、冥王星が外縁天体として太陽系を包み込んでいてくれるからこそ、今の地球が存在できているのですから。
占星術を活用することは、あなたの内面の宇宙と、外の大宇宙の両方に意識を合わせることができます。
冥王星はこの世とあの世をつなぎながら、確実に私たちに進化を促しています。
時間をかけ自己分析と自己理解が進んでいく中で、あなたは冥王星からメッセージを受け取る日が来るかもしれません。
その可能性を高めるのは、あなた次第です。
今回で太陽系10天体の解説は終わりになりますが、次回からは占星術において重要視される、「小惑星」について解説させていただきます。
それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次は小惑星別「ケレス / セレス」の講座でお会いしましょう!
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