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アスペクト解釈の概要・現代占星術編その1

アスペクト解釈の概要・現代占星術編その1

「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!

いつも記事を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。

前回の講座で、伝統占星術の解説を一応の区切りとしまして、今回から現代占星術(西洋占星術)の講座に戻ります。

伝統占星術はハウス(地上)を重要視し、現代占星術は星座(天空)に意識を向ける度合いが強い、という違いが伝わっていましたら幸いです。

とはいえ、現代占星術は伝統占星術から多くの知識と智恵を引き継いでいますので、現代占星術で一般的に語られない部分に関しては、補足説明を加えていきます。

どのような学びや教えも、時間が経つにつれ、習う人が増えるにつれ、様々な概念や定義が派生し、価値観や正義感にまで発展します。

本講座では、ネイタルチャート(出生図)を読み解くことを前提に、占星術を活用し、「自己理解」・「自己信頼」・「自己肯定」を自分の中で育てる、という内的探求のお手伝いをさせていただくような内容をお届けしています。

今回の講座では、長らく先延ばしにしていたアスペクトの解釈をさせていただきます。

前回の伝統占星術の講座で、コンジャンクションと4種類のメジャー・アスペクトを解説しましたが、今回は現代占星術の観点からの解説です。

星々は日々運行し、大きな節目にはもちろん、私たちが気づかないところで星々は様々な繋がりを持ちます。

その「繋がり」がアスペクトなのですが、天体が様々な地点で様々な繋がりを持つことで、私たちは天空で表現される暗示や象徴を読み解く、それが占星術の醍醐味でもあります。

天体・星座・ハウスの重要な三柱を十二分に理解した先に、アスペクトに触れ、大宇宙の壮大な計画に触れることができますので、今回も是非、最後までお付き合いください!

アスペクトの定義

まずはじめに、アスペクトの定義をしっかりと理解していきたいと思います。

アスペクトとは、「2つ以上の天体が、相互に形成する角距離」です。

「視角度」とも呼ばれます。

角距離と書くと、一見難しそうに聞こえますが、三角定規のように、中心点を起点として、天体Aと天体Bがどのような角度を持つか、ということで、ホロスコープでは、地球を中心点として、複数の天体が意味のある角度を持つことを、アスペクト(角距離)といいます。


更に詳しく説明しますと、ホロスコープは、円周を黄道(太陽の通り道)、中心点を地球とし、それぞれの軌道を運行する天体の地点を地球に向かって垂直に下ろし、複数の天体の角度の距離によって形成されるのが、アスペクト(座相)です。

ジオ・セントリック占星術のホロスコープは、地球を中心点として天空を観測し、天体同士の位置を地球に引っ張ってアスペクトを出します。

アスペクトは、見かけ上の角度なのですが、占星術では天体同士が形成する繋がりに意味を持たせています。

天空で天体たちが特定の位置関係を持った時、そこに地場エネルギーのようなものが生まれ、地上に降り注がれる、というのがアスペクトの象徴です。

アスペクトは和名で、「座相(ざそう)」と書き、「正座を行う姿形」という意味がありますが、10は10であって、9.9ではないように、「意味のある角度」が形成されるためには、天体Aと天体Bは相応の位置にあることが絶対条件である、ということですね。

アスペクトの構成要素

図形には様々な形がありますが、基本は丸(〇)、三角(△)、四角(□)で、天体たちが形成するアスペクトは、これら3つの基本的な形に基づいて、様々な種類のアスペクトを形成します。

丸は、すべてのものを包み込む形であり、最小単位で、3つの最小単位が繋がれば三角形に、4つ繋がれば四角形になります。

ホロスコープは、全天(空の全体)を360度と定め、天体たちがそれぞれの運行をするあるタイミングで、特定の間隔・角度を持つ時にアスペクトが形成されます。

「意味のある角度(アスペクト)」とは、360度を数字で割った時の角度です。

360度は「全方位」を意味しますが、日の出が東の地平線から昇り、対極の西の地平線へと沈むように、意味のある角度(アスペクト)は、法則性を象徴する値になります。

アスペクトは、2つの天体で形成されるアスペクトの他、3つ以上の天体で形成される複合アスペクトに大別されます。

まずは2つの天体で形成されるアスペクトについて解説していきます。

2つの天体で形成されるアスペクトは、メジャー・アスペクト(第一種アスペクト)とマイナー・アスペクト(第二種アスペクト)に分けられます。

また、アスペクトは、吉意を表すソフトアスペクトと、凶意を表すハードアスペクトに分けられますが、現象が名称通りになることもあれば、結果が逆転することもあるので、一喜一憂したり、早とちりしないことが大切です。

アスペクトの種類については後述しますが、解説していくアスペクトは以下の通りです。

*1〜5はメジャー・アスペクト、6〜15はマイナー・アスペクトです。また、複合アスペクトは含まれません。*

  1. コンジャンクション / 【0度】
  2. オポジション / 【180度】
  3. トライン / 【120度】
  4. スクエア / 【90度】
  5. セクスタイル / 【60度】
  6. セミスクエア / 【45度】
  7. セミセクスタイル / 【30度】
  8. クインタイル / 【72度】
  9. セミクインタイル / 【36度】
  10. バイクインタイル / 【144度】
  11. インコンジャンクト(クインカンクス)  / 【150度】
  12. ノヴァイル / 【40度】
  13. セプタイル / 【51.42度】
  14. セスキコードレート / 【135度】
  15. クインデチレ / 【165度】 

1〜5までのアスペクトがメジャー・アスペクトで、それ以下はマイナー・アスペクトです。

アスペクトは、天体が位置する星座を基にした角度(角距離)なのですが、深く掘り下げますと、ハウスとの兼ね合いや、天体と星座の関係性(品位)、天体の運行の方向性なども関連しますので、細かい角度や割り切れない角度を採用してしまいますと、占断が困難になります。

上記に挙げた6〜15のマイナー・アスペクトの中でも、数字(角度)がややこしいアスペクトを採用しない占断者は少なくありませんが、逆にホロスコープを詳細に解読したい場合は採用することもありますが、メジャー・アスペクト以外のアスペクトに関して、占断者の意向に委ねられる、としかいえません。

伝統占星術(古典占星術)ではメジャー・アスペクトの5つのみを採用し、現代占星術では、好みや志向によって、アスペクトの採用の是非は分かれます。

本講座では、アスペクトを一通り解説していきますが、すべてのアスペクトを平等に扱うわけではない、ということを念頭に置いていただければ幸いです。


ただアスペクトを書き連ねていくのも面白味が無いので、天体と数字(数秘)、そしてアスペクトが関係があることをお伝えしたいと思います。

以下の表は、天体と数字、アスペクトの関係性です。

 【天体】【数字】        【アスペクト】
 太陽     コンジャンクション/ 0度
     オポジション / 180度
 水星   クインタイル / 72度
 金星   セクスタイル / 60度
 火星   ノヴァイル / 40度
 木星   トライン / 120度
 土星   セミスクエア / 45度
 天王星   スクエア / 90度
 海王星     セプタイル / 51.42度

表を見ていただくと分かりますが、冥王星だけが含まれていません。

数字は1~9で構成され、現代占星術では10つの天体を採用していますので数が合わなくて当然なのですが、冥王星はその名の通り、冥界や黄泉の国を司る天体とされていますので、数字やアスペクトの象徴には含まれないのかもしれません。

また、太陽、月、金星、木星、天王星がメジャー・アスペクトであるのに対して、水星・火星・土星・海王星がマイナー・アスペクトに分かれるのも面白いですね。

特に、火星は数字の9を象徴し、ノヴァイルという40度のアスペクトに相当しますが、このアスペクトはあまり語られることがないようです。

それぞれの星座は、30度ずつの度数を与えられていますので、そもそも割り切れない数・角度(アスペクト)は、採用すべきかどうかは非常に迷ってしまいますが、検討の余地はある、という立場で、影響力が大きいメジャー・アスペクトを主軸において、その他は判断材料として保留にしておくのが健全かもしれません。

理解が深まった時、自分の中で何らかの実感できる出来事に出会った時、マイナー・アスペクトにヒントを見出そうとするのもよいでしょう。

次回の講座では、上記に挙げた15つのアスペクトを1つずつ解説していきますが、マイナー・アスペクトは、メジャー・アスペクトよりも語られる量が少なくなることはご容赦ください。

ちなみに、マイナー・アスペクトは、天文学者のケプラーが考案したとされますが、伝統占星術では、彼が考案したアスペクトによって占星術が曲解された、と主張する人も少なくないようです。

伝統占星術と現代占星術では、同じ土俵に立ってはいるものの、扱う概念が異なったり、逆に新しい概念を作り出し、不明確な部分や難解な部分は削ぎ落されることで、大きく理解が異なる部分が多くあるようです。

アスペクトを形作るもの

アスペクトは、星座同士の関係性から成り立つものです。

占星術では、天体が最も強い影響力を持ちますが、天体は星座を支配し、その星座は天空に貼り付いています。

また、天体はハウス(地上)にも支配力を持っていて、天体は天空を移動しながら、それぞれの天体が支配する星座を、まるで人の家にお邪魔するように通過するため、地上に与える影響・現象は実に様々です。

アスペクトが星座同士の関係性から成り立つということは、天体が星座の影響を受けるということになりますが、正確には、他の天体が支配する領土としての星座からの影響を受ける、という表現が正しいかもしれません。

おさらいになりますが、星座には、二区分・三区分・四区分があります。

二区分は、男性宮と女性宮の分類で、

三区分はクオリティの分類で、①活動宮、②不動宮/固着宮/固定宮、③柔軟宮に分けられ、

四区分はエレメントの分類で、①火、②土/地、③風、④水に分けられます。

   星座     二区分      三区分  四区分   
 牡羊座  男性宮     活動宮    
 牡牛座  女性宮 不動宮/固着宮/固定宮   土/地 
 双子座  男性宮     柔軟宮    
 蟹 座  女性宮     活動宮    
 獅子座  男性宮 不動宮/固着宮/固定宮    
 乙女座  女性宮     柔軟宮   土/地 
 天秤座  男性宮     活動宮    
 蠍 座  女性宮 不動宮/固着宮/固定宮    
 射手座  男性宮     柔軟宮    
 山羊座  女性宮     活動宮   土/地 
 水瓶座  男性宮 不動宮/固着宮/固定宮     
 魚 座  女性宮         柔軟宮    

*星座を宮と表現する場合があります。

実際の天文学上の星座は、ひらがな表記で表され、占星術ではサインと呼び、ホロスコープ上では宮で表現される、という区別がありますが、正確な表現/呼称を好まない人もいますので、そういった場合には意味を汲み取り、理解できれば問題無しとしてください。*

ホロスコープを作成する際、ハウスシステムの違いによって、ハウスと星座が一致する場合と、ハウスの幅に偏りが出る場合とに分かれます。

ですが、アングルに重なる星座がサインカスプとなり、ASC/アセンダント – DSC/ディセンダントの軸と、IC – MC軸は、それぞれ同じ三区分となります。

星座は12つありますね。

ホロスコープは南半球と北半球に分かれ、昼と夜、個人の領域と社会の領域に分かれます。

また、東半球と西半球に分けた場合の意識は、個人と他者に分けられます。

更に、隣り合う星座は、二区分によって、互いを否定・反発する関係にあります。

ホロスコープを四分割した際、星座は3つのグループに分けられるのが三区分(クオリティ)で、南半球側と北半球側は対となり、先ほどのお伝えした、縦と横の(鏡合わせの)アングルが同じ三区分となる理由です。

そして、星座は3つのグループに分けられ、①牡羊座~蟹座、②獅子座~蠍座、③射手座~魚座は、牡羊座を起点とすると、第1段階・第2段階・第3段階となり、これが四区分(エレメント)の区分になります。

12星座は時間の流れと関連しているので、このような段階分けがされますが、どれか1つのグループが単独で働いたり、支配力・影響力を持つわけではありません。

ホロスコープはどこを抜き取っても、対称性・対極性が働いていることが分かりますね。

こうした法則性・ルールに基づいて、天体が星座を運行し、他の地点(星座)を運行する天体と特定の角度を持つ時、地上からには、天体同士の関係性による影響が降り注ぐのです。

星座については既に解説済みですが、改めて基本的な知識やルールを振り返ることで、アスペクトの理解が進むと思います。

特に、太陽星座に特化した12星座占いは、前提知識やルールを省いて結果だけを提示するものなので、それも自分の太陽星座、または、月星座などのことしかよく知らない、ということが少なくありません。

ホロスコープリーディングは、全体像を把握することで知りたい情報が炙り出て来るものですので、1つひとつの要素をしっかりと抑えていってくださいね!

アスペクトのルール

アスペクトが形成されるためには、互いの星座同士が共通点を持つ必要があります。

裏を返せば、どれか1つでも一致すれば、アスペクトが成立する、ということでもあります。

その共通点とは、先ほどお伝えした二区分・三区分・四区分の3つの要素です。

ホロスコープリーディングにおいて、星座の度数が重要視される理由は、星座が持つ30度(度数)それぞれに意味があることもそうですが、天体同士の角度が重要となるからです。

ただ、アスペクトの定義によって、捉え方が異なることがあります。

  1. 星座同士がアスペクトとなる共通点を持つ
  2. 天体同士がアスペクトとなる角度を持つ

前者は、既にお伝えしたアスペクトの定義通りなのですが、後者は、天体が星座を超えて、または超えない状態でアスペクトとなる角度を持つことを意味します。

なぜ後者のような捉え方が生まれるのかといいますと、天体は常に運行をし続けていますので、短時間だけアスペクトを形成することもあれば、あともう少しでアスペクトを形成しそうな位置に天体が位置する場合もあるからです。

更に、順行と逆行の関係で、アスペクトを形成する前に天体が星座を後戻りをしたり、天体の運行速度の兼ね合いから、あるアスペクトが形成される前に、別のアスペクトが先に形成されてしまうなど、星座だけに注目をしていると、天体の動きや影響力を軽視してしまうことになりかねない場合もあるのです。

そして、アスペクトがどれほど正確な角度を形成しているか、ということも大切です。

天体はそれぞれの運行スピードを持っていま

すから、アスペクトを形成する前に、星座から離れてしてしまうこともあります。

そのため、特定のアスペクトに近い角度を形成しているように見えても、星座の度数があまりにも離れていると、正確なアスペクトと見なすことはできません。

これは、天体が星座を通して、しっかりと繋がりを持てていない、連絡状態が悪い、と判断せざるを得ないということです。

天体同士の関係性は、星座によって繋げられ、アスペクトが形成される時に、天体同士の力が助長されたり、ある天体の力が強調されたり、あるいは、抑え込まれたり(半減されたり)して、最終的に地上へとエネルギー(影響)が及んでいきます。

天体同士のアスペクトは、原則的に星座の3つの区分による親和性の高さ(角度の正確さ)によって決まります。

以下に、星座の3つの区分による共通点の例として、メジャー・アスペクトをまとめました。

*コンジャンクションは厳密にはアスペクトではなく、アスペクトよりも強い影響力を持ちますが、ここではアスペクトに含めることとします。*

      アスペクト 二区分 三区分 四区分
  コンジャンクション【0度】        
  オポジション【180度】    〇
  トライン【120度】    
  スクエア【90度】  
  セクスタイル【60度】  

表を見ていただくと分かるように、区分の共通点が最も多いコンジャンクションが影響力が最も強いことが分かります。

スクエアはオポジションの半分の角度なので、オポジションよりも星座の区分が少なく、セクスタイルはトラインの半分の角度なので、トラインよりも星座の区分が少ないです。

二区分は性別、三区分は性質、四区分は気質をそれぞれ表し、アスペクトから見た星座の共通項は、その天体に位置する状態を左右します。

天体を主役、星座を背景、ハウス(地上)を舞台という風に表現するとしたら、実質、天体と星座は地球の外に存在・運行していますので、天体と星座の親和性はハウスよりも高いです。

そのためアスペクトを考える上で、星座の区分の共通点の多さによって、星座を通してカラー(影響力・振る舞い)が変わる天体同士の繋がりは強固なものとなり、それこそが、アスペクトを成す角度がより正確であることが必要、という理由になります。

オーブ

アスペクトは、正確な角度であることが重要です。

この世に絶対的に状態が続くことはありませんので、正確な角度に近ければ近いほど影響力が強い、言い換えることもできます。

それぞれの天体の軌道の形(楕円形)の形が異なりますし、運行スピードも異なりますので、いつもいつも正確な角度を取るということは大変稀であるため、占星術では、アスペクトが形成されるための角度には「許容範囲」が与えられています。

それが、オーブです。

伝統占星術の講座で既に解説させていただいていますが、現代占星術の場合、アスペクト自体にオーブが与えられています。

  • 伝統占星術:オーブは天体に付与される
  • 現代占星術:オーブはアスペクト自体に付与される

伝統占星術も現代占星術も、アスペクトは星座同士の関係性(共通項)を基本としていますが、伝統占星術では天体にオーブが与えられていることで、アスペクトが天体主導で形成される、と考えます。

対して、現代占星術ではアスペクトにオーブが与えられていることで、星座主導でアスペクトが決まり、天体がアスペクトのゾーンに入る、というニュアンスが感じられます。

どちらの立場も、それぞれの主張があるのですが、オーブとは一体何か?を考えると、天体がオーブを持つことの方が整合性が取れます。

なぜなら、占星術では「光」が非常に重要だからです。

光は、恒星が発するものであり、太陽を除いた9つの天体は、太陽からの光を受け取っている、ということが1つ。

もう1つは、太陽に限らず、すべての天体が個々の影響力・機能・働きを持っていて、他の天体と関係性を結ぶ時、互いに光を与え合ったり、時に押し付けたり、逆の受け取るだけになったり、という概念的な捉え方です。

伝統占星術では、天体にオーブが与えられていることは、天体が力を持っていることの証明である、という立場を取っています。

【伝統占星術】

  1. オーブは、天体が発するオーラ・エネルギーフィールドを意味する
  2. オーブは、天体のオーラ・エネルギーフィールドの範囲を意味する
  3. オーブは、天体によって力が発揮される

【現代占星術】

  1. オーブは、星座の位置関係を示し、天体が持つ力(影響力)の違いによって、オーブの範囲が変わる
  2. マイナー・アスペクトは、星座同士の関係性ではなく、360度を整数で割ったものを、ある角度の両側にできる角度となり、天体のオーブを持たせるのではなく、アスペクト自体にオーブを持たせることによって、マイナー・アスペクトの影響・象意を担保する
  3. オーブをアスペクトに持たせることは、天体の影響力・勢力の範囲を段階的に決める(変える)ことである

現代占星術は、伝統占星術と比べ、ハウスよりも星座に重きが置かれている節があります。

その代表例として、「12星座占い(太陽星座占い)」があります。

すべての人が12種類の太陽星座で分類できるわけがない、バカバカしい、という印象を持たれるのは、占星術やホロスコープが、単なる天体が星座を運行する、という理解に留まっているからです。

とはいえ、関心の無い人にアングルやハウス、アスペクトなどの話をする必要も無ければ、聞く耳も持たれないので仕方がありません。

ただ、時代の流れとともに、占星術が大衆的に認知される傾向もありますので、あらゆる物事は少しずつ変化し、いつの日か、ホロスコープを見ることがそれほど珍しいこと、難しいことではない時代が来るのかもしれません。

さて、伝統占星術では、コンジャンクションと4つのメジャー・アスペクトのみを扱うため、ややこしい説明が無く、シンプルな論理・規則性によってオーブを定義しています。

対して、現代占星術では、5つのメジャー・アスペクト以外に、意味のある角度を見出し、メジャー・アスペクトほどではないけれど、影響力が感じられる・及ぶアスペクトに対しても比較的小さいオーブを与えることで、整合性を取っています。

特に、現代占星術のオーブの説明の2は大変重要です。

マイナー・アスペクトが星座同士の関係ではないとは、人為的にアスペクトを作った、ということです。

人為的にアスペクトを作るのですから、それも、元々は無かったアスペクトですから、アスペクト自体にオーブを与えることで、違和感を解消しています。

また、メジャー・アスペクトは、ハウスによって全天(空の全体)を切り分けることで割り出されている側面もあります。

天体が同じ星座(場所)に位置するコンジャンクションはそのままに、オポジションは反対側の位置に、セクスタイルは4つ隣の星座の位置に、スクエアは3つ隣の星座の位置に、セクスタイルは2つ隣の星座の位置に、それぞれ天体が位置することで、アスペクトが形成されるからです。

*ホールサイン・ハウスシステムの場合、星座とハウスの幅が一致するため*

そのため、天空で結ばれる天体同士の繋がりを地上に反映する時、違和感の無いアスペクトの構成が必要となり、アスペクトにオーブを持たせる意味が無い、というのが伝統占星術の立場です。

伝統占星術の解釈ですが、ホロスコープは東に地平線を起点として他のハウスを見渡した時、30度(第2ハウス・第12ハウス)と150度(第6ハウス・第8ハウス)は、東の地平線から隠された・見えない場所となるため、マイナー・アスペクトとしての30度と150度のアスペクトの意味が無くなる、という論理も筋が通ります。

自然現象的、といいますか、「目に見える形」で整合性を求める場合、伝統占星術の論理は納得がいくものです。

「人為的にいじくりまわさない」ということは、「自然法則を受け入れること」という意味にも取れますからね。

これがマイナー・アスペクトの影響力が、メジャー・アスペクトの影響力より劣る根拠だと考えられます。

さて、「人為的なアスペクト」の代表例は、135度(セスキコードレート)と150度(インコンジャンクト/クインカンクス)の2つですが、以下に、マイナー・アスペクトも一緒に表にまとめました。

30度 / セミセクスタイル    360° ÷ 12        60° ÷ 2
36度 / セミクインタイル      —–     72° ÷ 2
40度 / ノヴァイル    360° ÷ 9          —–
45度 / セミスクエア    360° ÷ 8      90° ÷ 2
51.42度 / セプタイル    360° ÷ 7          —–
72度 / クインタイル    360° ÷ 5          —–
135度 / セスキコードレート      —–      90° + 45°
144度 / バイクインタイル  360° ÷ 5 × 2            —–
150度 / インコンジャンクト
    (クインカンクス)
      —–      90° + 60°
165度 / クインデチレ      —– 180° - 15° / 15° × 11

オーブに話を戻しますが、アスペクトにオーブを持たせ、様々な天体の組み合わせによってアスペクトの意味が変わります。

また、アスペクト自体に天体(の数)が関わり、メジャー・アスペクトは表面的に分かる法則による天体の星座同士の位置関係を意味し、マイナー・アスペクトは、全天360度を整数で割ることで、潜在的な天体の星座同士の関係性を見出すという人為的な観点によって導き出されることをご理解いただけたら幸いです。

これらの関係性を以下の表にまとめました。

  【度数】  【アスペクト】    【天体】   【オーブ】
       0度     コンジャンクション   太陽【1】    ~ ±8度
      30度  セミセクスタイル     —–    ~ ±3度
      36度  セミクインタイル     —–  ~ ±3度
      40度  ノヴァイル    火星【9】  ~ ±3度 
      45度  セミスクエア   土星【8】  ~ ±3度
 51.42度  セプタイル  海王星【7】  ~ ±2度
      60度  セクスタイル   金星【6】  ~ ±6度
      72度  クインタイル   水星【5】  ~ ±3度
      90度  スクエア 天王星【4】  ~ ±8度
    120度  トライン   木星【3】  ~ ±8度
    135度  セスキコードレート     —–  ~ ±3度
    144度  バイクインタイル     —–  ~ ±3度  
    150度  インコンジャンクトクインカンクス)     —–  ~ ±3度
    165度  クインデチレ     —–  ~ ±3度
    180度  オポジション    月【2】  ~ ±8度

メジャーアスペクトは、コンジャンクションとオポジション、トライン、スクエアのオーブは広く取って8度以内、セクスタイルに関しては6度以内となっています。

マイナーアスペクトに関しては、オーブを3度以内とするのが一般的です。

繰り返しになりますが、アスペクトは正確な角度であるほど望ましいので、メジャーアスペクトであっても、3度以内、マイナー・アスペクトであるならば、1度以内のオーブでリーディングをすることをお勧めします。

人生や世の中、割り切れるものばかりではないですし、目に見えない部分にも気を配ることで見えて来るものもあります。

伝統占星術はルールにうるさく、現代占星術はルールに寛容的、のような印象を持たれるかもしれませんが、どちらの立場も必要だからこそ存在していますから、基礎・ルールを理解した上で、マイナー・アスペクトも活用していってくださいね!

アスペクトと運命

本講座は主にネイタルチャートを読み解く際の解釈をお伝えしています。

ネイタルチャートに示されるアスペクトは、ホロスコープの持ち主に対して、「象徴的な形」を与えます。

それを「運命」や「傾向」、「性格」と呼びますが、私たちがネイタルチャートを見て思いつくものといえば、「運命」や「定め」です。

また運命の話になってしまいますが、マイナー・アスペクトを採用するとなると、この命題を避けることはできません。

メジャー・アスペクトのみを採用するということは、ある意味、積極的ではなくても、運命に対して受容的な在り方を選択する、ということでもあります。

なぜなら、人それぞれの人生の運び(運命)の大半は、生まれる前から決まっていた、と主張するのが運命論であり、伝統占星術ではその立場を取っているからです。

とはいっても、伝統占星術では、運命が7割、残りの3割は意思決定による行動という配分という風に運命と自由意志について語られています。

対して、マイナー・アスペクトは、向かってくる運命に対して、どこか懐疑的で、創造性によって与えられた場所から花を咲かせていくような、発展的な視点を持たせるような着眼点を与えます。

運命の捉え方の違いは、物事の解釈の違いとなり、現在の生き方と在り方の違いに影響を与えます。

「肉体を持って生まれた」という起点から、運命をそのまま受け入れながら、自我を育てつつ、自力ではどうにもならない状況を体験することで、これまでのあらゆる体験が生きる糧となります。

アスペクトを単なる象徴と捉えると、現実主義や利己主義に傾きますが、あるタイミングで運命というものは、人生からの挑戦であり、ギフトであることを悟る時もあるでしょう。

逆に、アスペクトを運命的、且つ、強制的な計画と捉えると、精神主義や非我の精神に傾き、予定調和で物事を判断したり、自分自身や他者を扱うことで、冷めた目で世界と自分自身の内面を眺めることになるかもしれません。

さて、どの時代も激動の時代といえますが、個人によって、人生で出くわす喜びや辛さの度合いは異なります。

本来、私たちは自分の人生にだけ責任を持ち、身内や新しい家族・パートナーというごくごく親しい自分以外の他者に対して、キャパシティを広げながら責任を負う、という体験をします。

そのため、物事には優先順位が自動的につきます。

この優先順位は、自分の意志で始めたものと、そうではないものの両方を含みます。

生まれや家庭環境、遺伝子や能力、人との出会い、などは宿命的です。

自分で決められないことが良い・悪いということではなく、「選べない」ということであり、「与えられた」という立ち位置があるのですから。

自分の意志を働かせることができるのは、「行動」や「努力」、「工夫」の部分です。

これを、「それだけ」という限定的・不足的に受け捉えるかは人それぞれですが、私たちに与えられた選択とは、事実そういうものなのです。

天体の星座の位置によって形成されるアスペクトは、運命と自由意志のどちらに対しても影響力を持ちます。

もちろん、その影響力を受け入れることと、支配されることは違います。

概念的な天体やホロスコープが示す象徴は、常に私たちの内面に影響を与え、その投影として外面の現実が創造されます。

つまり、内面と外面は表裏一体であり、運命と自由意志も表裏一体である、ということです。

メジャー・アスペクトは、外面的な事実を映し出し、マイナー・アスペクトは、内面的な価値観を引き出す、という関係性にあります。

もちろんこの解釈が絶対的に正しいわけではありませんが、「自然」と「人工」という対比において、私たちは自我・マインドを駆使して、自然と調和しようと努めながら、それでも自然界の強大な力の働きと緻密な仕組みに対して、常に劣勢です。

本講座ではそのような立場を、「受容的」という風に表現しています。

天体が他の天体と意味のある角度を持つ時、天体は星座を通して、他の天体に対して自分の性質を与え(押し付け)、他の天体からその天体の性質を受け取り(押し付けられ)ます。

「押し付ける」という表現は、強引な響きを持ちますが、実際、天体は交渉や相談をすることなく、淡々と自分の役割(機能)を果たしますので、客観的な立場を表す言葉といえます。

それは天体の上下関係といいますか、影響力の序列(強弱)と、全体的に見た時の個々の役割の価値であり、天体に支配される星座は、3つの区分を持つことで、意味のある角度(アスペクト)に多様な天体の組み合わせと影響力を持たせるのです。

長々と語ってしまいましたが、アスペクトは、星座の親和性によって天体が地上に与える影響力です。

現代占星術は「心理」に関して、多彩な解釈を与えてくれますので、これまでも何度もお伝えしてきた運命に対する解釈が、読み手であるあなたの中で、何かしらの気づきへと繋がることがあれば幸いです。

アスペクトと天体の運行

アスペクトという概念には、次の3つの要素が含まれます。

  1. アスペクトは、星座同士の親和性・共通性によって形成される
  2. アスペクトは、メジャー・マイナーの強弱に分けられ、オーブにより許容範囲が設けられる
  3. アスペクトは、完全な角度を形成することを指し、天体の動きによって、完成に向かうのか、完成が崩れていくのか、という天体の動きと他の天体との位置関係がアスペクトの影響力を左右する

上記の3つの要素のうち、1と2は既にお伝えしました。

2の「アスペクトの完成状態」というところがミソです。

アスペクトの角度が完成形である時というのは、言葉を変えると、「調和の取れた状態」となります。

瓶の蓋を閉める時や、鍵穴に鍵を差し込む時、コンセントにプラグを差し込む時など、凸と凹(デコとボコ)が合わなければ機能を果たしませんよね。

物事が達成される状態とは、そこに至るまでの歩みが成就することです。

天体の運行に照らし合わせると、1つの天体が星座を通過するだけでは、あらゆる星座の度数は通過点でしかありませんが、他の天体と星座同士の関係性を結ぶことで、その通過点が意味のある地点となります。

アスペクトが完成・調和の状態に至る時、そこには、私たちが日々ルーティンとしてスケジュールを決めているような間隔(時間割・計画)ではなく、天体が自分の性質の強弱をつけながら、全体のバランスを取っている、もっと広大な宇宙意志の計画の基に、1つひとつの物事を成就させているのです。

さて、アスペクトは、常に運行する天体によって、星座の関係性によって形成される角度ですが、天体の方向性に着目してみましょう。

  • 天体は、ホロスコープ上を反時計回り(右回り)に回っている
  • 天体は、それぞれの運行スピードでホロスコープ上を回っている
  • 天体は、それぞれの周期で順行と逆行を繰り返す
  • 天体が形成するアスペクトは、順行の時と逆行の時にどちらの場合にも形成される
  • 天体は、追いかけられている方が劣勢で、追いかけている方が優勢である
  • 天体の影響力は、太陽から遠い天体ほど強いとともに、アスペクトの重要性に関しては、太陽と月が重要視されるため、太陽と月の星座・ハウスの位置が重要である
    *太陽と月は逆行しないため、指標となるとともに、ドラゴンヘッドとドラゴンテイル(ノード軸)とアスペクトが絡む時に、太陽と月の位置は非常に重要です。*

アスペクトが星座を基本にしていることは、十分ご理解いただけたと思います。

ここで、もう1点だけ補足があります。

「星座を超えて」アスペクトが形成されている場合、正確なアスペクトとは見なされません。

これは伝統占星術では遵守すべきルールとなっていますが、現代占星術では、アスペクトが正確な角度による完成状態・調和状態でなくても、影響力がある、としています。

これは「天体によるアスペクトの形成」という観点での話ですが、頭の隅に置いておいてください。

話がこんがらがってしまいそうですが、つまりは、星座の関係性においてアスペクトが形成されないけれども、天体が他の天体と意味のある角度を持っていると、それは時を経て、正確なアスペクトの角度が形成される(星座の関係性でアスペクトが形成される)時へと、その影響が引き継がれる、ということです。

そのため、アスペクトが形成されることに関して、以下の3点が参考になります。

  1. アスペクトが星座の関係性で完成しているかどうか

 ⇒ アスペクトが星座を超えて形成されているかどうか

  1. アスペクトの状態が、これから完成に向かっている状態かどうか
  2. アスペクトの状態が、未完成のまま天体・星座の関係性が崩れてしまうかどうか

アスペクトは多くの場合、天体が順行している状態に形成されます。

言い換えれば、天体が他の天体に対して、同じ方向に運行することで、意味のある角度が形成される星座の度数に近づいている(アプローチしている)状態です。

運行スピードが遅い天体(重い天体)ほど、逆行の期間は長くなり、逆に、運行スピードが速い天体(軽い天体)は、逆行をする回数が多く、また逆行の期間は短くなります。

トランスサタニアンの3天体を含めた10天体がホロスコープ上を回り、特定のアスペクトを形成する際、2つ以上の天体がすべて順行の場合と、1つの天体でも逆行している場合とでは、アスペクトが地上に影響を与える質が変わります。

更に、天体が自分の支配する星座に位置する時は、その天体の影響力が強くなり、また天体が自分と敵対(対極)の星座に位置する時は、影響力が弱くなる(抑え込まれる)ため、「アスペクトの完成状態」をよく見ることが、いかに重要かということに気づけると、アスペクトの解釈がより深まります。

アスペクトを深く解釈することは、天体が宇宙意志に従って、どのような教えや学び、メッセージを地上に降ろし、人類に働きかけているのか、という直観的な気づきを得ることに繋がるのです。

アスペクトは宇宙意志が表現された完成と調和のエネルギー

今回は、アスペクト解釈の第1弾目として、アスペクトに関する条件やルール、メジャー・アスペクトとマイナー・アスペクトについての解説をさせていただきました。

何事も段階的に学びを深めていくことが大切ですので、今回はアスペクトに関わる重要な要素をピックアップし、アスペクト毎の解説に備えるような内容となりました。

アスペクトは、①外見・容貌、②局面・様相。③方位・向きなどの意味がある言葉です。

天体同士は、星座を支配し、またいつも自分が支配する星座を気にかけています。

それは天体の働き(機能)と相反する天体、要するに、敵対関係にある天体を見張るだけでなく、アスペクトの観点でいえば、いつアスペクトが形成されるのか、宇宙意志が成就する時はいつになるのか、という観点があることをお伝えしたいと思います。

地上に人類が居るからこそ、天体の動きに意味や価値が生まれるわけですが、この人類の観測もまた、大宇宙の規模での運命といえるでしょう。

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」や「当たらずも遠からず」という言葉があります。

それは占いだけに限らず、私たちの価値観や価値基準に対しても同じで、共通認識が持てる、再現性があることにだけ価値がある、という主張や意見は、半分正解・半分保留であるべきかもしれません。

占星術は数千年の歴史を持ち、今も尚研究がされ続けていますが、古代人でさえ、未来予測を講じても、「思い通り」の現実創造を実現したり、世界を手中に収めるようなことができた人はいないでしょう。

なぜなら、どのような人も、地上に生れ落ちた瞬間から、全体性(宇宙意志)から分離し、個人という自我(エゴ)によって世界を眺め、時に、運命を否定し、時に運命に降伏し、そして運命に沿うことで、必修課題を修了した暁に、内面にあった(魂が真に望んでいた)純粋欲求を叶えるべく、創造性を発揮するように、私たちの人生は設計されています。

この人生設計は、あたかも私たちが思いついたかのように思えますが、本当にそうだろうか、ということを占星術は私たちに問いかけます。

全体性(宇宙意志)の一部が私たちなのですから、私たちの中に潜在していた願望や欲求が、玉ねぎの皮を剥くように、私たちが自我(エゴ)を満たし、宥(なだ)め、そして飼い慣らすことで、純粋な願い(魂の願い・計画)であることに気づき、その内的・個人的真実に出会うことが、全体性(宇宙意志)の計画である、といえるのです。

天体たちの運行や形成されるアスペクトは、壮大な大宇宙のシナリオの一コマででしかないのですが、私たちがホロスコープを通じて、天空の舞台を観測する(ホロスコープリーディングをする)ことで、宇宙意志を人生や日常生活の単位・尺度にまで引き下げることで、私たちは「運命」や「生きる価値」などを、自分自身に教えてあげられるのではないでしょうか。

今回は、アスペクトの解釈だけに留まらず、大宇宙の流れや天体の働きを感じること、対極性やタイミングなどに対する価値観にまで触れることで、広い視野と深みのある感性を育てるキッカケとして、多くの言葉を紡ぎました。

「自分という小宇宙」を生きるあなたに、何か1つでも、気づきとなる言葉や表現が見つかったなら幸いです。

次回はメジャー・アスペクトの解説をさせていただきます!

今回も最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございます!

それでは、次の講座「メジャー・アスペクト解釈・現代占星術編その2」でお会いしましょう!

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