PR

複合アスペクトの解釈・現代占星術編その4

「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!

いつも記事を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。

前回の講座では、マイナー・アスペクトについて解説させていただきました。

マイナー・アスペクトは、現代占星術でのみ採用され、より細かいリーディングに活用されますが、複合アスペクトを構成する要素でもあります。

複合アスペクトは、サインが持つ性質である、二区分・三区分・四区分の親和性や排他性の組み合わせによって、複数の天体の連携や影響力が生まれる角度です。

個人のリーディングをする際、ネイタルチャートをはじめ、プログレス・チャート、ソーラーアーク・チャート、トランジット・チャートなどの1つホロスコープを作成する場合と、複数のホロスコープを組み合わせて、二重円、三重円と、複雑なホロスコープを作成する場合があります。

本講座では、主にネイタルチャートを基準に解説していますが、後の講座で、多重円のホロスコープを紹介する予定ですが、今回は、一重円のホロスコープにおける複合アスペクトの解説です。

複合アスペクトの構成要素

複合アスペクトは、以下の3種類の要素で形成されます。

  1. 複数のメジャー・アスペクトの組み合わせ
  2. メジャー・アスペクトとマイナー・アスペクトが組み合わせ
  3. 複数のマイナー・アスペクトの組み合わせ

3種類の複合アスペクトには、明確な優劣はありませんが、個人天体のうち、月と太陽、社会天体である木星と土星、トランスサタニアンの2天体が複合アスペクトを形成する事で、1と2の複合アスペクトの影響力は強くなります。

3の複数のマイナー・アスペクトによる複合アスペクトが最も影響力が小さいため、補助的に採用することが望ましいでしょう。

ホロスコープ・リーディングは優先順位に沿って行いますが、アスペクトを読む優先順位は、早く(高く)ありません。

ですが、アスペクトが重要ではない、ということではありません。

どのサインに天体が位置するかで、二区分・三区分・四区分要素・性質によって品格 / 品位が変わり、ホロスコープ全体での影響力を見た後に、他の天体との親和性や排他性を見て、アスペクトが形成される要素を1つひとつ拾い上げることが重要です。

また、天体同士のアスペクトは、天体の運行の流れである反時計回り(左回り)に影響されるため、前の天体に対して、後ろ側に位置する天体の方が影響力を持ちます。

車で例えるなら、前方の視界が見えやすいけれど、後方の視界はバックミラーやサイドミラーで確認できるとしても、視界が狭く、後ろの状況を瞬時に、明確に判断することは難しい、という具合です。

複合アスペクトには様々な種類とエネルギーの循環、天体同士の意図の伝わり方があります。

複合アスペクトでは、一方だけにエネルギーが集中するのではなく、複数の場所から、頂点に向けてエネルギーを集める場合や、全体に天体のエネルギーが循環するような作用機序が形成されたりと、天体の繋がり方のバリエーションの豊かさを教えてくれます。

ホロスコープ・リーディングにおいて、アスペクトは、そのホロスコープの象徴や結論となる要素といえます。

そして、複合アスペクトが形成される場合、天空から地上に降り注がれる天体のエネルギーは強くなることを示し、その影響の度合いを測り、状況に合った言動や振る舞い、心構えを予見することができます。

13種類の複合アスペクト

今回の講座では、以下の13種類の複合アスペクトをご紹介します。

  1. Tスクエア(直角二等辺三角形)
  2. グランド・クロス(正四角形)
  3. グランド・トライン(大三角)
  4. ミニトライン(小三角)
  5. 調停(メディエーション)
  6. ヨッド(ヨード)
  7. セミヨード(セミヨッド)
  8. カイト
  9. クレイドル(ゆりかご)
  10. クリスタル
  11. グランド・セクスタイル(六芒星)
  12. ホームベース
  13. ミスティック・レクタングル(神秘的な長方形)

13つの複合アスペクトの画像を示しながら、1つずつ解説していきます。

グランド・コンジャンクションは、コンジャンクション・オーバーロード・ステリウムと同じ意味合いを持ちますので、今回の解説では省略させていただきます。

Tスクエア(直角二等辺三角形)

Tスクエアは、2つの天体がオポジション(180度)を形成し、もう1つの天体がスクエア(90度)を形成することで生じる複合アスペクトです。

Tスクエアが持つ影響力・意味合いは、「変化を生み出す力」です。

もっと詳しく言えば、闘争心や相動性、困難や葛藤を反動にして、動かずにはいられない状況や象意を指し、Tスクエアが形成されるホロスコープでは、「自らを奮い立たせる理由」が生み出され、行動力が増す働きを持ちます。

オポジションを形成する2つの天体の中間地点に、もう1つの天体が位置し、スクエアを形成する場所にいることから、両者間の中継地点とも言えますし、油に火を注ぐ立場、とも言えます。

オポジション自体は、緊張や対立の側面もありますが、相補的・補完的な関係性でもあります。

それは、綱引きのように、互いの要素を必要とし、また、引き出し合う作用を持ちます。

ただ、対立構造に対して、相補的・補完的な関係性に至るまでには、納得や気づき、時間や労力が必要となりますので、緊張感はなかなか抜けません。

そんな中で、2つの天体とスクエア(90度)のアスペクトを持つ天体が登場することで、仲を取り持つ役割をしたり、解決や譲歩、支え合いといった方向にエネルギーが方向転換されることになります。

ホロスコープは円環・循環を表し、360度の方位を表しますが、画像を見てもらえば分かるように、半分の180度の方位までの視野しかありません。

つまり、別の半球(180度)が見えないことで、完全な調和や安定は得られない、ということです。

特に、Tスクエアの頂点に位置する天体は、2つの天体と対立的・葛藤的な立場を取るため、この天体のハウスとサインは重要です。

Tスクエアが形成される場合の特徴は、以下の通りです。

  • 二区分(男性星座 / 女性星座)は異なる
  • 三区分(活動宮 / 不動(固定)宮 / 柔軟宮)の組み合わせは同じ
  • 四区分は異なる

Tスクエアは、三区分が共通するため、二区分と四区分の違いがあっても、物事に対する態度やスタンスが共通することで、方向性が一致しやすいといえます。

そのため、Tスクエアを解釈する際は、三区分を中心に行います。

  • 活動宮のサインで形成されるTスクエアは、活発なエネルギーが混じり合い、一時期は摩擦や葛藤が生じるものの、共通認識を持ったり、共通の目的が明確になることで、勢いと生産性が生じる
  • 不動(固定)宮のサインで形成されるTスクエアは、融通の利かなさや頑固さという表面的な印象や評価だけでなく、信念や価値観を共有することで、力強さと粘り強さが発揮される
  • 柔軟宮のサインで形成されるTスクエアは、注意や関心が散漫となったり、複数の目標やマルチタスクなどから、連携や協調性が取れない側面があるものの、点と点が繋がることで、多角的で、柔軟な発想と生産性のある判断と実行力が発揮される

Tスクエアは、現代占星術だけでなく、伝統占星術の観点からも重要とされるアスペクトです。

同じ三区分のサインで形成される複合アスペクトではあるものの、頂点となる天体の立場・役割をいかに解釈するかが重要となります。

ちなみに、ホロスコープの南半球側でTスクエアが形成される場合、アッパー・Tスクエアと呼ばれ、社会的・表面的にその影響が表れやすいと見なされます。

また、ホロスコープの北半球側でTスクエアが形成される場合、ローワー・Tスクエアと呼ばれ、個人的・心理的な作用が表れやすいと見なされます。

スクエア(直角三角形)は、の数字や働きに相当し、困難を突破するための時期を経て、新しいエネルギーを生み出す働きを象徴しています。

そして、Tスクエアが2つ重なることで、より困難や受難、苦悩と対峙することになるグランド・クロスが形成されます。

グランド・クロス(正四角形)

続いて、グランド・クロスについてですが、Tスクエアと同様に、メジャー・アスペクトであるオポジションとスクエアが組み合わさることで形成される複合アスペクトです。

4つの天体がホロスコープを十字に切るように、4つの直角二等辺三角形(ピラミッド)ができ、4つのスクエア(90度)と2つのオポジション(180度)によって形成される複合アスペクトが、グランド・クロスです。

名前からして、影響力が強そうな響きを持っているグランド・クロスですが、スクエアとオポジションの影響・作用から「葛藤」「波乱」「受難」といったキーワードが挙げられます。

ネイタルチャートにグランド・クロスが形成される場合、長期的な苦難が組み込まれた人生を歩むことが暗示されますが、それと同時に、強靭な精神力が備わっていることも表します。

波乱」や「重圧」は、私たちに「不自由さの自覚」を与えるとともに、「自由への渇望」を与えます。

原則的には私たちは自分だけの世界(人生)を生きていますし、誰もが同じタイミングで同じ経験をするわけではありませんから、単純な比較でもって、自分自身と他者をジャッジすることはできません。

ですが、異なるタイミングで、異なる経験をしている人生の流れにおいて、確実に「質の違う体験」をしていることは確かです。

グランド・クロスは、縦軸と横軸が交差し、簡単には動かない頑丈さを象徴します。

また、十字は、数字や作用を象徴し、安定や頑固さを象徴し、その枠の中で、メリットとデメリットの両側面が内包されていることを表します。

グランド・クロスはTスクエアと同様に、天体が位置するサインの三区分が共通します。

グランド・クロスの形成は、異なる四区分(エレメント)によって構成されるため、異なるエレメント同士が組み合わることで、化学反応が起こります。

活動宮牡羊座蟹 座天秤座山羊座
不動(固定)宮牡牛座獅子座蠍 座水瓶座
柔軟宮双子座乙女座射手座魚 座
  • 活動宮
    :初動のエネルギーや勢いが強く、瞬発力が高い反面、
     目的意識や方向性が定めることや、客観視が必要となり、
     我欲や衝動性によって、機会損失を避けることが重要    
  • 不動(固定)宮
    :物事の維持や安定に長けている反面、柔軟性を必要とし、
     時間をかけて軌道修正をしたり、損失を認めることが重要となり、
     物事のタイミングを上手く計る上で、折れることも必要となる
  • 柔軟宮
    :臨機応変に対応する柔軟性に長けている反面、
     物事の調整をする意識に欠け、目的と手段を履き違える恐れがあり、
     方針や信念、当事者意識を確認することが重要となる

グランド・トライン(大三角形)

グランド・トラインは、3つの天体が、同じ四区分(エレメント)のサインに位置し、3つのトライン(120度)が組み合わさることで、大調和のエネルギーが生まれる複合アスペクトです。

そのため、グランド・トラインは「幸運の三角形(大三角形)」とも呼ばれます。

また、グランド・トラインを形成するサインは、二区分も共通するため、外向性 or 内向性、発信 or 受信、男性性 or 女性性といったように、エネルギーの方向性も定まりやすく、エネルギーが循環しやすく、天体同士の意図が反映されやすいアスペクトです。

グランド・トラインは、同じ性質のエネルギーの循環の中に天体が位置するため、円滑に物事が運んでいる際には、充実感を感じやすいのですが、物事が停滞する場合には、抜本的な解決策を生み出せなかったり、忍耐力や長期的な視野の欠如によって、調和が不調和となる可能性も秘めています。

そして、日向に意識が向いている間、水面下で起きている変化に気づけない、という側面もありますので、幸運や恩恵、調子の良い時は、やはり注意が必要です。

とはいえ、自ら不幸を呼び込む必要はなく、与えられたチャンスを活かしながら、いずれ巡ってくるかもしれない停滞や行き詰まりのために、成果を出すために精を出し、創造性を発揮して、視野を広げ、依存先(頼りになる人・物・所属)を増やすことが賢明といえます。

グランド・トラインが持つエネルギーは、二区分と四区分の違いによって、その違いが明確になります。

  • 火 / 男性星座:活発・活性・行動的・積極的・外向的
  • 土 / 女性星座:固定的・安定的・習慣的・現実的・堅実的
  • 風 / 男性星座:発想力・柔軟性・繋がり・マルチ・機動力
  • 水 / 女性星座:感情・情緒・共振・感応・精神・受容性

ミニトライン(小三角)

ミニトラインは、トライン(120度)を形成する2つの天体に対して、中間地点の位置する天体がセクスタイル(60度)のアスペクトを持つことによって形成される、複合アスペクトです。

ミニトラインという名前から察するに、グランド・トラインのミニチュア版だという思われると思いますが、その通りです。

アスペクトは、星座の関係性、つまり、相性が基盤となっています。

メジャー・アスペクトの中で、セクスタイルは最も影響力が小さいのですが、吉意を持つトラインと掛け合わさることで、調和さから生まれる単調さを解消し、発展や生産性をもたらします。

トラインを形成する2つの天体に、創意工夫のエネルギーを与えることで、違った角度で現実を見ることを促します。

トラインと同様に、ミニトラインがもたらす調和や心地良さは、マンネリ化や目的意識に対して、緊張感が緩くなる側面もありますが、ミニトラインの場合は、補助的な影響力といえます。

ミニトラインは、後述します「カイト」の一部となる複合アスペクトでもあります。

ミニトラインは、トラインとセクスタイルの組み合わせですが、その組み合わせは、以下の2つしかありません。

  • 男性星座

    牡羊座獅子座射手座  –  双子座天秤座水瓶座
  • 女性星座

    牡牛座乙女座山羊座  –  蟹 座蠍 座魚 座

複合アスペクトの場合、複数の天体の間に位置する天体の役割や立場に注目することで、どのような作用・影響をもたらすのかを読み解くことが重要です。

ミニトラインの場合は、グランド・トラインとは異なり、セクスタイルを投げかける天体が位置するハウスによって、現実的なアプローチなのか、精神的(心理的)なアプローチによって努力や工夫、思考錯誤のためのアイディアや発想、架け橋が出されるのかを読み解きます。

調停(メディエーション)

調停(メディエーション)はオポジション(180度)を形成する2つの天体に対し、もう1つの天体が、一方にトライン(120度)、もう一方にセクスタイル(60度)のアスペクトを投げかける複合アスペクトです。

調停のアスペクトは、その名の通り、「調停する」作用があり、一方には、分かりやすい支援・同調(トライン)を示し、もう一方に対しては、さり気ない気配り・助言を示す、という具合に、「仲を取り持つ」役割を持ちます。

調停のアスペクトを形成することになる天体が、どのハウス・サインに位置するかで、オポジションが強調する対極性・二元性への取り組み方が変わります。

ホロスコープ上でのオポジションは、以下の通りです。

牡羊座⇐ 180度 ⇒天秤座
牡牛座⇐ 180度 ⇒蠍 座
双子座⇐ 180度 ⇒射手座
蟹 座⇐ 180度 ⇒山羊座
獅子座⇐ 180度 ⇒水瓶座
乙女座⇐ 180度 ⇒魚 座

続いて、2つの天体に対して、調停のアスペクトを形成する天体のサインを加えます。

牡羊座⇐ 120度 ⇒⇐  60度  ⇒獅子座射手座
双子座水瓶座
⇐   60度 ⇒⇐ 120度 ⇒天秤座
牡牛座⇐ 120度 ⇒⇐  60度  ⇒乙女座山羊座蟹 座魚 座⇐   60度 ⇒⇐ 120度 ⇒蠍 座
双子座⇐ 120度 ⇒⇐  60度  ⇒天秤座水瓶座牡羊座獅子座⇐   60度 ⇒⇐ 120度 ⇒射手座
蟹 座⇐ 120度 ⇒⇐  60度  ⇒蠍 座魚 座牡牛座乙女座⇐   60度 ⇒⇐ 120度 ⇒山羊座
獅子座⇐ 120度 ⇒⇐  60度  ⇒牡羊座射手座双子座天秤座⇐   60度 ⇒⇐ 120度 ⇒水瓶座
乙女座⇐ 120度 ⇒⇐  60度  ⇒牡牛座山羊座蟹 座蠍 座⇐   60度 ⇒⇐ 120度 ⇒魚 座

オポジションによって、12サイン(・ハウス)は二分されます。

また、トラインは同じ4区分(エレメント)で形成され、オポジションを形成する2つの天体とトラインを形成するということは、同時にセクスタイルを形成する、ということでもあります。

「180度 – 120度 = 60度」となりますので、調停のアスペクトを形成するサインの組み合わせは、上記の表のようになるのです。

ホロスコープでアスペクトは表示されるため、サインの組み合わせを暗記する必要はないのですが、サインの関係性を十分に理解する必要がありますので、念のために詳しく解説させていただきました。

ちなみに、2つの調停が組み合わさった場合、最後に解説します複合アスペクト・ミスティック・レクタングルに発展します。

ヨッド(ヨード)

ヨッド(ヨード)は、2つの天体が1つの天体に対してインコンジャンクト/クインカンクス(150度)のアスペクトを投げ、両者間がセクスタイル(60度)のアスペクトを結ぶことで形成される複合アスペクトです。

現代占星術では、インコンジャンクト/クインカンクスが重要視されるため、自然と、複合アスペクトであるヨッド(ヨード)も重要視される傾向があります。

伝統占星術では、150度は30度(セミセクスタイル)とともに、不名誉さや不明瞭さを表す角度としています。

ただ、これら2つの角度は、アヴァージョンのハウスである2・6・8・12ハウスのハウスに適用されるもので、アスペクトに対するものではありません。

アヴァージョンのハウスは、水面下で起こる事象や精神的・靈的・カルマ的な働きや強制力によって受け入れるべき分野や事象を示します。

この解釈を発展させ、アスペクトに取り入れることで、ヨッド(ヨード)の解釈とその影響力の理解が進みます。

話をヨッド(ヨード)に戻しますが、この複合アスペクトは「神の手」「神の指」とも呼ばれています。

インコンジャンクト/クインカンクス(150度)のアスペクトは、天体が位置するサインの性質のすべてが異なります。

ヨッド(ヨード)は、2つの150度のアスペクトによって形成されるため、異質な要素を受け入れることが簡単ではないことは明白で、だからこそ、困難や苦難をどのように成果や恩恵へと転換できるか、が重要となります。

そのため、努力や工夫をしても、天体同士の連携には時間がかかるため、逃げようが避けようが、「試練」や「受難」に受けて立つ必要があり、それを宿命的な流れと解釈されるのです。

そして、150度のアスペクトを投げかける2つの天体に、その理由や大義を求めることで、セクスタイル(60度)のアスペクトがもたらす作用や働きを知り、宿命的な流れに対しての理解を多角的に見出すことが必要です。

私たちは、困難や受難の渦中に居る間は、「問題」や「苦しみ」に向けて意識・エネルギーを集中させ、その出来事を過大評価する傾向があります。

そのため、私たちの解釈次第で、事実は歪み、その解釈によって、恐怖心や不安が大きくなり、人生や宿命、運命を呪い、自己不信や自己卑下といった意識レベルを体験します。

こういった流れや体験は、決して害悪ではないのですが、その構造を作用機序を知らず、また、知ろうとせず、同じパターンを繰り返し、同じ体験を再現し続けることで、成長を遂げることができないことが問題です。

出来事という事実をいかに捉えるか、という視点が、ヨッド(ヨード)によって試され、特に、セクスタイルのアスペクトを投げかける天体のハウスとサインによって、その視点を獲得することが重要といえます。

以下の表に、インコンジャンクト/クインカンクスを形成するサインの関係性をまとめました。

重複する部分もありますが、中央のサインに対しての関係性を優先してあります。

蠍 座⇐ 150度 ⇒【牡羊座】⇐ 150度 ⇒乙女座
射手座⇐ 150度 ⇒【牡牛座】⇐ 150度 ⇒天秤座
山羊座⇐ 150度 ⇒【双子座】⇐ 150度 ⇒蠍 座
水瓶座⇐ 150度 ⇒【蟹 座】⇐ 150度 ⇒射手座
魚 座⇐ 150度 ⇒【獅子座】⇐ 150度 ⇒山羊座
牡羊座⇐ 150度 ⇒【乙女座】⇐ 150度 ⇒水瓶座
牡牛座⇐ 150度 ⇒【天秤座】⇐ 150度 ⇒魚 座
双子座⇐ 150度 ⇒【蠍 座】⇐ 150度 ⇒牡羊座
蟹 座⇐ 150度 ⇒【射手座】⇐ 150度 ⇒牡牛座
獅子座⇐ 150度 ⇒【山羊座】⇐ 150度 ⇒双子座
乙女座⇐ 150度 ⇒【水瓶座】⇐ 150度 ⇒蟹 座
天秤座⇐ 150度 ⇒【魚 座】⇐ 150度 ⇒獅子座

上記の表から分かる通り、150度の角度を持つサインは、オポジションの両隣のサインです。

アスペクトの作用は、メジャー・アスペクトが影響力が強いのですが、複数のマイナー・アスペクトが組み合わさり、頂点となる天体に重要な働きを持たせる場合、その頂点となる天体が位置するハウスとサインは、困難や苦難の要因を宿している場所であり、その象意を受け入れるために、2つの天体のハウスとサインを読むことで、長期的な忍耐力や柔軟な発想力、一時的な回避場所や依存先を準備し、精神的な安心を自分自身に与えることが重要となります。

更に、直接的な解決や抜本的な気づきとはなりませんが、150度の位置関係にあるサインと対象のサインとハウス、つまり、オポジションのサインとハウスは、宿命を知る鍵が眠っています

2つの天体の中間地点に位置するそのサイン・ハウスは、30度(ミニセクスタイル)の角度にあります。

30度は150度と同様に、「分かりにくさ」を示しますが、潜在性に意識を向けることで、ある程度の手がかりを得ることができます。

これは、反転的にサインの働きを見て、より身近な事象や出来事から、気づきを得る方法なのですが、長期的な視野と洞察力が必要となります。

オポジションを形成する表は、既にご紹介しましたので、そちらを参考にしてください。

セミヨード(セミヨッド / 変則ヨッド)

セミヨッド(セミヨード)は、ヨッド(ヨード)の縮小版のような名前ですが、先ほどヨッド(ヨード)の項の文末にお伝えした、150度の角度のオポジションのサインとの関係性に当たる複合アスペクトです。

つまり、セミヨッド(セミヨード)は、ヨッド(ヨード)を反転させた構図を持つのです。

メジャー・アスペクトの中でも最も影響力が小さいセクスタイル(60度)と、マイナーアスペクトの30度(セミセクスタイル)が組み合わさることで、「異質さ」を取り込む作用を持ちます

30度は1つのサインの度数に値しますので、60度の角度にあるサイン同士は隣り合います。

隣り合うサイン同士は、反発・反作用の関係性にあるため、二区分・三区分・四区分が異なります。

異なるものから気づきを得ることは簡単ではありませんが、逆に、身近に存在する異質性は分かりやすい側面を持ちます。

隣り合うサイン同士の関係性は、ホロスコープを見れば明らかですが、念のために表にまとめますので、参考にしてください。

牡牛座⇐  30度  ⇒【牡羊座】⇐  30度  ⇒双子座
双子座⇐  30度  ⇒【牡牛座】⇐  30度  ⇒蟹 座
蟹 座⇐  30度  ⇒【双子座】⇐  30度  ⇒獅子座
獅子座⇐  30度  ⇒【蟹 座】⇐  30度  ⇒乙女座
乙女座⇐  30度  ⇒【獅子座】⇐  30度  ⇒天秤座
天秤座⇐  30度  ⇒【乙女座】⇐  30度  ⇒蠍 座
蠍 座⇐  30度  ⇒【天秤座】⇐  30度  ⇒射手座
射手座⇐  30度  ⇒【蠍 座】⇐  30度  ⇒山羊座
山羊座⇐  30度  ⇒【射手座】⇐  30度  ⇒水瓶座
水瓶座⇐  30度  ⇒【山羊座】⇐  30度  ⇒魚 座
魚 座⇐  30度  ⇒【水瓶座】⇐  30度  ⇒牡羊座
牡羊座⇐  30度  ⇒【魚 座】⇐  30度  ⇒牡牛座

カイト

カイトは、グランド・トライン(120度×3)にオポジション(180度)が加わることで形成される複合アスペクトです。

グランド・トラインに中心線(オポジション)を引くことで、2つの天体がセクスタイル(60度)のアスペクトを持ちます。

見方によれば、グランド・トラインとミニトラインがくっつき、そこにオポジションが加わるようにも見えますが、本来的には、60度のアスペクトを2つの天体は大きな役割を持つとは考えられていません。

*上記の画像には、分かりやすいように60度のアスペクトを表記してあります。*

カイトは、グランド・トラインが持つ調和と循環を持ち、そのエネルギーを具体的な目標へと活用することを促す複合アスペクトです。

そのため、オポジションを形成する、グランド・トラインの頂点の天体は、目標や目的、方向性を象徴する天体と考えます。

またその天体が位置するハウスとサインを理想やゴール地点とし、オポジションを形成する真正面の天体(ハウスとサイン)を足場とすることで、現在着手すべき事柄や活用できるエネルギーが分かります。

調和に水が差されることで、具体性と実現性の意識が生まれ、現状に甘んじることを止め、挑戦する機会や勇気を出して踏み出す機会を求める作用があるカイトは、現状を変える際に、自分の能力と才能に気づき、また、磨くことを促します。

ハード・アスペクトであるオポジションが絡むことで、抵抗感や違和感が生まれますが、その「異質さ」こそが、変化を生み出す原動力になります。

グランド・トラインは、二区分と四区分が共通し、三区分のみが異なります。

その異なる三区分と共通する性質が、オポジションとなるサインの性質と共通します。

グランド・トラインには、3つの頂点があり、その中間に位置するサインとは60度の関係性にあります。

つまり、2つ先のサインということです。

以下の表は、オポジションとなるサインの三区分を強調したものです。

今回も、重複しますが、中央のサインを中心に見ていただきたくために、すべての組み合わせを表記してあります。

双子座⇐  60度  ⇒【牡羊座】⇐  60度  ⇒水瓶座
蟹 座⇐  60度  ⇒【牡牛座】⇐  60度  ⇒魚 座
獅子座⇐  60度  ⇒【双子座】⇐  60度  ⇒牡羊座
乙女座⇐  60度  ⇒【蟹 座】⇐  60度  ⇒牡牛座
天秤座⇐  60度  ⇒【獅子座】⇐  60度  ⇒双子座
蠍 座⇐  60度  ⇒【乙女座】⇐  60度  ⇒蟹 座
射手座⇐  60度  ⇒【天秤座】⇐  60度  ⇒獅子座
山羊座⇐  60度  ⇒【蠍 座】⇐  60度  ⇒乙女座
水瓶座⇐  60度  ⇒【射手座】⇐  60度  ⇒天秤座
魚 座⇐  60度  ⇒【山羊座】⇐  60度  ⇒蠍 座
牡羊座⇐  60度  ⇒【水瓶座】⇐  60度  ⇒射手座
牡牛座⇐  60度  ⇒【魚 座】⇐  60度  ⇒山羊座

既に説明しました通り、両側のサイン同士は、180度の関係にあります。

クレイドル(ゆりかご)

クレイドルは、1つのオポジション(180度)と2つのトライン(120度)、3つのセクスタイル(60度)が組み合わさることで形成される複合アスペクトです。

クレイドルを構成する天体は、基本的に4つですが、コンジャンクションする天体がある場合や、太陽によってコンバストされる個人天体などを含めると、関わる天体は更に増える場合があります。

クレイドルの中には、2つの調停のアスペクトを見つけることができ、葛藤や対立、緊張といった、苦難や困難がある中で、必ず突破口が見つけるために努力や工夫をするとともに、周囲からの助けや配慮を受け入れることで、状況が進展する潜在性があることを示しています

複数の天体が関わるため、様々なエネルギーや意識、立場や見方、価値観や信念に触れることが大きな特徴といえます。

この特徴は、セクスタイルを形成する4つの天体が、オポジションを形成する点と、トラインを形成する点にあります。

セクスタイルは才能、可能性、成長といった意味を持ち、調和を生み出すための和やかさや風通しの良い性質を象徴します。

セクスタイルは、火と風、土と水のエレメント / サイン間で結ばれるアスペクトで、火と風は上昇のエネルギーと方向性土と水は下降のエネルギーと方向性を持つため、一方の性質を強化・助長する働きを持つアスペクトといえます。

そのため、火は風によって過剰に働き、土は水によって雪崩を起こしたりと、調和が崩れる要因もはらんでいますので、セクスタイルは、常に、吉意を示すというわけではありません。

セクスタイルにあるサイン同士は、1つのサインを挟んでいます。

対立や衝突を抜きにした居心地の良さは、角度を変えれば、取っつきやすい部分で繋がっているような、表面的な結び付き、という見方もできます。

そうした結び付きを重ねるうちに、粗が出て来たり、裏を読むようになったりと、成長のために刺激を求めるのが、私たちの性分といえます。

それは天体も同じで、ぬるま湯に浸かった状態では成長は望めませんので、調和が退屈や怠惰となり、私たちに試練を乗り越えるように、努力や工夫が必要な出来事を運んできます。

セクスタイルがオポジションを呼び込む、と表現すると少し妙ですが、トラインやグランド・トライン以上に、どこか物足りなさを感じることで、自分自身に必要な要素を多少的な立場から得ようとすることで、クレイドルが成立する、という仮説を立てることができます。

私たちは変化を嫌いますが、それと同時に、退屈さも嫌います。

かといって、自分からは事を起こしたくないため、私たちの魂は、無意識を使って世界と協同で現実創造を行い、私たちは現象化した際に、その摂理に触れ、物事や事象に託された意味を探ろうとします。

クレイドルが「ゆりかご」と呼ばれる理由は、ゆりかごが赤ん坊に安らぎを与えることから、「恩恵を受け取ること」を象徴とし、クレイドルが形成される時は、外部から助けが入ることを暗示しているからだと言われています。

2つの調停のアスペクトがあるため、オポジションの影響力を和らげながら、落ち着いて状況を判断することができる、これがクレイドルの意味であり、苦しいや時や大変な時は、SOSを出し、人の手と温もりを受け取ることの重要性を伝えているアスペクトでもあります。

ちなみに、2つのクレイドルが組み合わさると、後述しますグランド・セクスタイルが形成されます。

厳密には、グランド・セクスタイルには、クレイドルと同じような要素がある、という表現になりますが、象徴・シンボルや見かけの印象として、付け加えさせていただきました。

クリスタル

クリスタルは、クレイドルにTスクエア加わった複合アスペクトです。

セクスタイル(60度)をTスクエアが二分することで、1つのセクスタイルが2つの30度(セミセクスタイル)となり、隣り合うサインの性質を活用し、主体的・発展的な意識が生まれます。

Tスクエアの項目で説明しましたが、オポジションは、対称性・対極性を象徴するため、解決や和解に時間と労力が必要となるため、仲介役が仲を取り持ってくれると、物事は進展します。

先ほどクレイドルについて解説しましたが、クレイドルが周囲からの助けが入る吉意を表している一方で、クリスタルは、主体的に現状を打破するためのアイディアや気づきが得られ、主体性と受容性が組み合わさることで、より人生にやり甲斐が感じられることを示します。

クリスタルは「結晶」という意味ですが、ギリシャ語の「透き通る水」が語源とされています。

水が透き通っている状態は、自然体や美しさ、純粋性を連想させますが、自然界は常に変化し続け、その働きに呼応する生命体が、全体で自然の摂理を成り立たせていることから、「流動性」という「流れに身を委ねる意識」が、複合アスペクトであるクリスタルの、困難や苦難を、主体性と調和の意識で成就させる意味・象徴と重なります。

クレイドル以上に、クリスタルは、主体性が働きますが、順序としては、オポジションからの刺激によって、恐怖心や不安、不安定さが与えられることによって、変化を望むことで、周囲に働きかける、という流れがあります。

そして、セクスタイルの中間地点にTスクエアの頂点とする天体によって、クレイドルを貫く形でセクスタイルを二分し、30度のアスペクトを2つ生み出すことで、多角的・発展的な意識が芽生えることで、自信と勇気が内面から湧き上がる実感を与え、自主自立の体験によって、困難や苦難を経験値に変える力とするのです。

グランド・セクスタイル(六芒星)

グランド・セクスタイルは、6つの天体・感受点により、6つのセクスタイル(60度)と、6つのトライン(120度)、そして3つのオポジション(180度)が形成されることで生み出される複合アスペクトです。

主要10天体のみのホロスコープで、(特にネイタルチャートで)グランド・セクスタイルを持つ人は稀ですが、アングルやノード軸、小惑星カイロン/キロンや四大小惑星(セレス/ケレス・ベスタ・ジュノー・パラス)、リリスなどを含めますと、このアスペクトが出来上がる確率は上がりますが、それでも、グランド・セクスタイルが形成される場合は、非常に珍しく、また、その影響力も大変強いといえます。

グランド・セクスタイルの特徴は、3つあります。

グランド・セクスタイルは、セクスタイルと同様に、火と風、もしくは、土と水の四区分の組み合わせが1つの特徴です。

2つ目の特徴は、セクスタイルが6つ揃い、ホロスコープ全体で複合アスペクトを形成するため、三区分のすべてが揃います

そして、3つのセクスタイルが組み合わさるとオポジションとトラインが生じ、調停のアスペクトが生まれることは既にお伝えしましたが、グランド・セクスタイルの場合、クレイドルが2つ重なるようなアスペクトですので、オポジションとトラインの数は3倍となり、あらゆる刺激を受け入れる器も、あらゆる能力・才能を発揮する可能性も秘めている、と考えられます。

オポジションは決して、「勝ち負け」のための対立ではなく、未知の要素に対する反作用のような、自然発生的に生まれる働きや関係性を意味します。

トラインもまた、「何1つ心配・不安要素が無い幸福」を意味するわけではなく、エネルギーの循環が良く、心地良さが広範囲に渡って広がる状況を表すとともに、不得意な分野や苦手な分野は見ない、という安直さや怠惰さが助長される側面があることを示します。

グランド・セクスタイルは、天体の位置関係がグランド・トラインを2つ内包しているようにも見え、火と風、もしくは、土と水という親和性の高い(与えやすい・受け取りやすい)関係性の中でエネルギーが循環するため、「自己完結型」「自己都合型」のような考え方・スタンスが実現されやすいといえます。

なぜなら、困難も幸福も、未来(向こう側)から訪ねて来て、その都度手元にある手札で対応していれば、自ずと物事は進展してしまうからです。

火と風が上昇のエネルギー・ベクトルを持ち、土と水が下降のエネルギー・ベクトルを持ちます。

火と風のグランド・セクスタイルの場合は、上昇志向で、外向的な振る舞いが強くなり、自分と周囲の変化に敏感で、流れに身を任せながら前進する傾向が強くなるでしょう。

また、土と水のグランド・セクスタイルの場合は、安定思考で、内向的ではあるものの、発展的な意識によって、育成や維持とともに、献身や貢献の意識も高い傾向があるといえるでしょう。

幸運と呼ぶべきか、不運と呼ぶべきかは、人によって異なりますが、外野が何と言おうと、私たちは生まれ持った星回りに善悪や優劣をつけることで、自分を慰めたり、他者を攻撃することには、何の価値もありません。

ただ、グランド・セクスタイルのような星回りを持つ人は、汎用性や機能性に優れる一方で、「不足」や「渇望」といった境地から、自らの闇を光に転じる経験や転機、キッカケを持たない、という見方もできるため、やはり、1つの状態や条件には「完全無欠」はあり得ない、といえます。

グランド・セクスタイルは、主にトランジット・チャートでリーディングの対象となる複合アスペクトです。

複合アスペクトが形成される時は、大きな流れから変化を促されていると同時に、誰もがその変化の波の中にいるため、協調的な関係性が築きやすいタイミングが訪れている、という見方ができます。

ホームベース

ホームベースは、野球で用いられる用語で、野球場に設置され本塁を意味する言葉です。

ホームベースの形は五角形をしていて、判定がしやすい形状だと言われています。

ホームベースは、先ほど解説したグランド・セクスタイルから頂点を1つ取り去った形をしています。

取り上げられたその頂点は、不完全さを持つことで、創造性を生み出す素質を持つと言われています。

ホームベースのアスペクトが与える印象は、「あと1つ何かが足りない」という感覚でしょう。

それが隠し味なのか、タイミングなのか、努力なのか、困難や喪失体験なのかは、その人次第です。

ホームベースをネイタルチャートに持つ人は稀ですが、トランジットやプログレス、ソーラーアークなどのチャート(ホロスコープ)で、欠けた頂点に天体が巡ってくるタイミングで、その「欠けた何か」を発見し、その埋め合わせをする天体の働きと、その天体が位置するハウスとサインの分野やエネルギー、意識によって、安心感と臨場感を得ることができる、と言われています。

完成間際のパズルが目の前にあったとして、あと1つのピースを失くしてしまった場合、そのピースを探し回るものの、なかなか見つからない。

運命のいたずらか、何かの弾みで、家族の誰かの荷物にピースが紛れ込み、長い間見つからず、ひょんなことから、そのピースが手元に返ってくる。

すると、あとはピースを嵌めるだけ。

そして、長い間お預けされてきた「完成」の瞬間を味わう時、それはどこにでもあるパズルの完成ではなく、「運命の巡り合わせ」という時刻合わせの瞬間を味わうようなものかもしれません。

もちろん、これは単なる思いつきの例えですが、私たちの人生には不可思議なことが絶えず起こっています。

何気ない誰かの言葉が安心や刺激、慰めとなることもあれば、偶然が重なることで、必然的な出来事や転機、出会いを経験することもあります。

ホームベースは、欠けていることに意味があり、またその意味を探し出そうとし、不完全な状態を満たそうとする欲求を生み出す力があり、その意味を人生に問い続けることで、然るべき時に開く扉のように、才能や能力、無意識の力が発揮される時のために、日々を丁寧に生き、長年の謎を解き明かすために、様々なことに興味を持つことが重要といえるでしょう。

ミスティック・レクタングル(神秘の長方形)

ミスティック・レクタングルは、2つのオポジションと、トライン、セクスタイルによって形成される複合アスペクトです。

ホロスコープでは一見して分からない場合があると思いますが、画像を見ていただくと、4つの調停のアスペクトが重なっているのが分かると思います。

ミスティック・レクタングルは、長方形の形をして、オポジションが変則的な十字を切っています。

ミスティック・レクタングルは、4つの天体が位置するサインの四区分が、火と風、土と水の組み合わせによって形成されます。

セクスタイルに関係する複合アスペクトは、この融通の利いたバランス感覚をもたらすことが分かりますね。

グランド・セクスタイルと異なる点は、自己完結型ではなく、外的な働きかけや影響を得て、対応・応用する意識が高く、創造性や芸術性を発揮する素養がある点にあります。

オポジションが2つもあり、気になって仕方がないけれど、受け入れられない要素が日々の生活や人生に絶えず表れて来るとしたら、防衛反応が出ることもあれば、先回りしたり、前情報を調べたりと、「敵を知る」ためにあれこれ探っていきたことが、回り回って「己を知る」という本質的な成長に繋がっていることに気づく、そのような例えが相応しいのが、ミスティック・レクタングルです。

ミスティックは「神秘的な」という意味の形容詞で、レクタングルは「四角形」や「長方形」を意味します。

アスペクトの意味や働きから、「相反する要素」が四角形・長方形という「空間」や「形」が成り立ち、その形には神秘的な力が宿り、その神秘的な力の働きは、自然に行っていることや当たり前に出来ていることに反映・投影されている、という解釈ができます。

アングルやノード軸を含めれば、ネイタルチャートでミスティック・レクタングルが形成されるケースは珍しくなく、トランジットやプログレス、ソーラーアークのホロスコープとの多重円の際に、比較的表れやすい複合アスペクトです。

私たちには、それぞれ固有の能力や才能が備わっていて、且つ、潜在能力や無意識の働きが、突如としてそれらを開花させるタイミングに、ミスティック・レクタングルが関わっていることといえます。

人生は短絡的に見るべきではなく、長期的な視野で見ながらも、目の前に起こってくる出来事とその背景に向き合い、やるべきこととやりたいことを積み重ねていくことで、「不足」や「欠損」、「欠乏」といった「無いものねだり」に意識を当て、時間を破滅衝動に費やさずに済みます。

そうは言っても、「どうしようもない力」が働き、どうしても受難や葛藤から抜け出せず、痛みや苦しみによって、自らの非力さや運命の残酷さ、孤独感や虚無感で自分と現実(人生)を受け入れることができない時があります。

だからこそ、私たちは、その感情とエネルギーを、単に自らを不健康にするために体験している、と錯覚すべきではありません。

ハード・アスペクトや複合アスペクトの強い影響力が働く時は、そのような心境となり、衝動的になってしまうことで、より状況を悪化させることもあるかもしれませんが、私たちの誰もが、自分だけの人生を生きていて、そのために用意された数々のシナリオがあり、そのシナリオには必ず攻略(経験)の導きが潜んでいることを忘れてはいけないはずです。

ミスティック・レクタングルに限らず、私たちは、自らの意志で、自分自身を幸せにする権利を行使する必要があり、その権利は、創造性という内面から生まれるエネルギーによって影響力を持ちます。

是非、ご自身には何かしらの創造的な能力・才能があるのではないか、と疑ってみてください。

その疑いの意識で世界(現実)を眺め、更に、喜びに繋がる機会や場所、出会いが無いかを探し続けてください。

すぐに達成し、飽きてしまうようなものは、便利なだけで、手応えも達成感も得られないのですから。

複合アスペクトはタイミングと捉え方を教えるシンボル?!

今回は、アスペクト解釈の最後の講座として、複合アスペクトについて解説させていただきました。

13種類の複合アスペクトをご紹介しましたが、詳しい解説を読んでいただいて、度自分のネイタルチャートや、親しい方のネイタルチャートなどに複合アスペクトを見出したり、知りたかった意味や象徴など、少しでも気づきがあったでしょうか?

複合アスペクトをリーディングする際は、以下の5点を参考にしてください。

  1. 天体が位置するサインの関係性(二区分・三区分・四区分)の基準に沿ってアスペクトを理解する
  2. メジャー・アスペクトはマイナー・アスペクトよりも影響力が強いが、複合アスペクトは、マイナー・アスペクトによって成立し、マイナー・アスペクトの役割は複合アスペクトによって強調される
  3. 複合アスペクトは、頂点となる天体が持つ役割や意識、また、その天体が位置するハウスとサインに、そのアスペクトの現象化とその意味、影響力を見出すことができる
  4. ネイタルチャートに複合アスペクトが形成されている場合は、長期的な影響力があり、時間をかけてその意味を見出すことが必要である
  5. トランジットやプログレス、ソーラーアークのホロスコープで複合アスペクトが形成される場合は、転機やトリガーとなるエネルギーや意識が生まれるタイミング(時間)として捉えることが重要である

複合アスペクトは、複数のアスペクトが然るべき場所に居合わせて、複合的なエネルギーが噛み合うことでその影響力を持ちます。

ネイタルチャートに複合アスペクトが無い場合は、逆に、「複合アスペクトを作るには?」という発想が必要となります。

この「アスペクトを作り出す発想」については、また別の機会に解説させていただいきますが、ホロスコープ・リーディングは、「見えているもの」よりも、「見えていないもの」を発掘することの方が楽しかったりします

そのため、現代占星術は今も発展途上で、色んな角度から研究がされています。

アスペクトは、ホロスコープの見栄えやシンボルとして、すぐに飛びつきたくなりますが、順序的には、一番最後に解釈すべき項目ではあります。

ただ、ホロスコープを見て、直感的に浮かんだ言葉や五感に関わる感覚、情景は大切にしてください!

そして、ホロスコープ・リーディングをする際は、必ず、その時の占断と、その時の気持ちや心境を言葉にして記録してください!

私たちは、反復学習をすることなく、やったらやりっぱなしでは、すぐに物事を忘れる生き物ですが、意識の下に、目と手を使って言葉を紡いだ際は、単に脳内で言葉を読んでいるよりも、記憶の定着率が何倍にも跳ね上がります。

皮膚を含めた、身体は、私たちの動きや働きをちゃんと覚えていますし、私たちの意識は、無意識へと記憶を保存しています。

そして、記録した事実と記憶は、記録していない場合よりも、思い出すスピードも速くなります。

占星術を占いと見るか、学問と見るかの違いはありますが、要するに、知らない知識を取り入れる際は、初等学習と変わらず、「記憶」と「習慣」、そして「積み重ね」が重要です。

特に、積み重ねることで、面倒なことも当たり前になり、その積み重ねが、独自の感性を育て、表現することで、能力開発と才能開花につながります。

実は、占星術に限らず、あらゆる学問は、知識や概念体系は誰でも学ぶことができますが、最も重要なことは、学問を学ぶことによって、いかに「智慧」に触れ、活用するか、ということです。

そのため、占星術の本当の価値は、養われた経験と携わった年月によって培われる「センス」といえます

センスは「感覚」と言えますが、更に詳しく言えば、「五感を超えた感覚性」です。

それを「第六感」と呼ぶ人もいれば、「超越的な感覚」と呼ぶ人もいるでしょう。

最近では、第六感以上の感覚がある、という声もありますし、5次元以上の話や情報空間という目に見えないけれど、スピリチュアルだけではない、量子力学や脳科学、仏教や密教といった、あらゆる学問や教えを繋ぎ合わせた、新しい神秘体系や学問体系が育ってきています。

物事は常に変化し、私たちの意識も拡大・拡張し、人類の集合意識は、集合的無意識に誘導されながら、大宇宙の創造意志とともに、生命活動を発展させています。

占星術は、私たちに自然の摂理とともに、非物質次元の理を受け入れる精神の在り方を教えてくれます。

今回解説しました複合アスペクトは、言うなれば、摂理や原理に沿って、意味のある場所に居合わせる天体があちこちに存在することで、同時的に、または、共時的に、エネルギーが共鳴・共振し、全体に影響を与える、という「場所」と「時間(タイミング)」から生まれるエネルギーや意識の発生・成立の条件の重要性を訴えています

「後にも先にも」、もしくは、「先にも後にも」という言葉は、「今という瞬間は二度と巡って来ない」ということを意味しています。

確かに、特定の天体の配置は、特定の周期で巡ってきますが、歳差運動やグランドミューテーション、トランスサタニアンの運行、そして、私たちの年齢などを総合すれば、どのような瞬間も、すべてが「唯一無二の瞬間」であることは明白です。

その唯一無二の瞬間を楽しむために、占星術で広い視野を持ち、深い洞察力をもって、あなた自身と世界の繋がりを深めていっていただければと思います。

その際に、この西洋占星術講座が少しでもお役に立てましたら幸いです。

アスペクトの解説の講座は、ひとまずこれにて完結させていただきます。

次の講座からは、言葉や文脈の中では触れてきましたが、解説してこなかった占星術的な要素や用語などを解説していきたいと考えています。

今回も最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうございました!

次回の「天体の逆行」の講座でお会いしましょう!

コメント