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伝統占星術におけるハウスの意味とジョイ・トリプリシティについて

伝統占星術におけるハウスの意味とジョイ・トリプリシティについて

「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!

前回の講座では、伝統占星術における天体の機能とハウスの概念について解説しました。

古代のホロスコープが実は四角であったり、伝統占星術のホロスコープでは、ASC/アセンダントの重要性がこれでもか、と強調され、アヴァージョンとなるハウスがあったりと、初めて耳にする概念に触れることができたのではないでしょうか?

筆者自身、講座を執筆していて思うことは、ホロスコープを星座(サイン)を中心に見ていた、ということでした。

また「星座(サイン)=ハウス」という概念が、知らず知らずのうちに定着していたことにも気づかされたのです。

それら自体に良し悪しはありませんが、逆にハウスを軽視してきたのではないか、ホロスコープの全体像を読み取るという点では、偏った見方ではなかっただろうか、という問いが自分の中に浮かび上がり、今一度ハウスの意味や象意、天体が在住することで読み解かれるべき事柄について深く知るべきなんだ、と思い至りました。

さて、伝統占星術が客観的な事実を提供するためには、様々なルールとシステムがあることは、これまでの講座でも十分に伝わっているかと思います。

そして講座が進むにつれ、占星術では「天体が最も影響力を持つ」という確信が高まっていくはずです。

今回は、伝統占星術の肝といえるハウスの意味と、ジョイとトリプリシティについて解説させていただきます。

現代占星術で培った概念や知識は、実は勘違いや早とちり、お門違いであった、というようなことがあるかもしれません。

そこで今回の講座は、ハウスの本来的な意味を深堀しながら、天体が持つ機能を更に理解できる無いようになっていますので、今回もどうぞ最後までお付き合いください!

12ハウスの意味

伝統占星術における12ハウスの意味(象意)は、現代占星術で示されるハウスの意味と大きく異なるわけではありませんが、全く同じというわけでもないため、ここで今一度、ハウスの意味をお伝えしていきます。

以下の表は、前回の講座でご紹介したものです。

第1ハウス肉体・生命第7ハウス配偶者・争い
第2ハウス財産第8ハウス死・恐れ
第3ハウス兄弟・親類第9ハウス宗教・旅行
第4ハウス両親・不動産第10ハウス仕事・名声
第5ハウス子ども・喜び第11ハウス友だち・希望
第6ハウス奴隷・病気第12ハウス敵・悲しみ

これまでの講座で、ハウスと時間軸(セカンダリー・モーション)は関連が無く、むしろ、実際の天体の運行(特に太陽:プライマリー・モーション)と関連があることをお伝えしました。

そのため、第1ハウスから第12ハウスを物語のようにお伝えすることは、混乱を招いてしまいかねない部分がありますが、ホロスコープにおいて、時間の流れは2つあることを踏まえて、セカンダリー・モーションになぞらえて、以下の人生の流れをご紹介します。

  1. 第1ハウス:生命の誕生
  2. 第2ハウス:両親との出会い
  3. 第3ハウス:兄弟との出会い
  4. 第4ハウス:家庭や土地、プライベート環境に馴染む
  5. 第5ハウス:自分にとっての楽しみを知る(体験する)
  6. 第6ハウス:健康や病気に関する物事を知る(体験する)
  7. 第7ハウス:特別な他者との関係性・結婚
  8. 第8ハウス:実際的な死の体験(間接的・直接的)
  9. 第9ハウス:哲学や宗教、旅などを通して精神世界への探求
  10. 第10ハウス:神の部屋
  11. 第11ハウス:幸福の体験・実現
  12. 第12ハウス:不幸・喪失

文字だけを読むと、ハウスにはそれぞれの領分(テーマ)があることは明白です。

ただセカンダリー・モーションに慣れている私たちにとって、時系列が不自然に感じられます。

その原因は、これまで私たちが現代占星術で慣れ親しんできた時間の流れ(反時計回り)が、要するに、星座(サイン)の運行(セカンダリー・モーション)に傾倒してきたからです。

ハウスは、星座(サイン)と同様に、対向のハウスと対極性の関係にあります。

そのため上記のようなハウスの象意は、なかなか受け入れにくいはずなのです。

例えば、現代占星術における第4ハウスと第10ハウスは、蟹座と山羊座に紐づけられることで、第4ハウスは母親・母性、第10ハウスは父親・父性を象徴する、といわれます。

ですが不思議なことに、理論を抜きに伝統占星術のエッセンスを抽出し、第4ハウスを父親、第10ハウスは母親を象徴する、と提唱する人がいます。

そこで伝統占星術に触れることで、その謎が解けるはずなので、是非参考にしてください。

それぞれのハウスの意味に移る前に、天体が特定の位置に在住することで「ジョイ(Joy)」という状態になることに触れさせていただきます。

ジョイ(Joy)

ジョイとは言葉の通り、天体が特定のハウスに在住・運行することで、その天体が喜ぶことを指します。

これは、天体を擬人化し、実際に天体が喜ぶ、ということではなく、特定のハウスに位置する時に、高揚感を得る、といった方がいいかもしれません。

シンプルに言えば、ジョイは天体がそれぞれ持つ「お気に入りのハウスという家(部屋)」となるでしょうか。

天体が過ごす(機能を発揮する)に良い部屋が、ジョイのハウスなのですが、他の天体と居合わせても(コンジャンクション)、ジョイの影響(高揚的な作用)は消えません。

ただ、ジョイの状態にある天体は、後に説明します、エッセンシャル・ディグニティのエグザルテーション(象徴的な権威性・自尊心)の状態にある天体ほどの影響はありません。

ジョイとは、天体が自分の嗜好(機能)に合うハウスであり、周囲の評価や認知とは無関係である、ということがポイントです。

例えば、日用品や文房具、嗜好品などで、一般的には有名ではなくても、自分としては使い勝手がいい、といった個人的な感覚に似ています。

はじめに、伝統占星術では、7つの天体は対応する(支配する)ハウスを持ちます(以下の表)。

第1ハウス土 星第7ハウス 月
第2ハウス木 星第8ハウス土 星
第3ハウス火 星第9ハウス木 星
第4ハウス太 陽第10ハウス火 星
第5ハウス金 星第11ハウス太 陽
第6ハウス水 星第12ハウス金 星 

天体とハウスの対応性は、ハウスが持つ本来的な意味を付与していることを意味しますが、ジョイは、その意味とイコールとはなるわけではありません。


原則的に、ホロスコープのシステムと、天体の機能がマッチしている時の位置が、ハウスにおけるジョイとなります。

以下が、天体がジョイとなるハウスの分布表です。

第1ハウス水 星第7ハウス ×
第2ハウス ×第8ハウス ×
第3ハウス 月第9ハウス木 星
第4ハウス ×第10ハウス ×
第5ハウス金 星第11ハウス太 陽
第6ハウス火 星第12ハウス土 星 

表を見ていただければわかるように、ジョイとなるハウスは7つだけです。

次に、ジョイとなる条件を以下にまとめましたので、ホロスコープのシステムの理解の参考にしてください。

  • 第1ハウス(水星)以外に、アングルにかかるハウスはジョイとはならない
  • 昼の天体(太陽・木星・土星)のジョイのハウスは、地平線よりも上にある
  • 夜の天体(月・金星・火星)のジョイのハウスは、地平線よりも下にある
  • どっちつかずの水星は、地平線をまたぐ第1ハウスでジョイとなる
  • 地平線よりも上のハウス(南半球)は、精神性を表し、地平線よりも下のハウス(北半球)は、物質性を表す

現代占星術では、北半球にある6つのハウスは、個人の成長の領域、南半球にある6つのハウスは、社会的な自己の成長・発展のハウス、というように表現されていますね。

筆者も、この概念を否定・拒否しませんし、大変馴染みがあります。

対して、伝統占星術はASC/アセンダントを基軸としているため、太陽の光が当たる場所と当たらない場所によって、現象と象徴を振り分けています。

ASC/アセンダントがこれほど重要だったとは、と思い当たる頻度が増えていきますね。

続いて、ハウスに与えられた別の象徴を紹介させていただきたいと思います。

以下は、ヘレニズム期の占星術において、番号を振る代わりに、象徴的な名称が与えられていたハウスです。

*ジョイとなるハウスに対応する天体も付け加えてあります。*

ハウス名称ジョイとなる天体
第1ハウス船の蛇水星
第2ハウス地獄の門 ×
第3ハウス女神
第4ハウス隠れたアングル×
第5ハウス幸運金星
第6ハウス悪運火星
第7ハウス日没のアングル×
第8ハウス怠惰×
第9ハウス太陽
第10ハウス頂点のアングル×
第11ハウス良い精神木星
第12ハウス悪い精神土星

第1ハウスを除く、第4・7・10ハウスのアングルは、位置がそのまま名称になっています。

前回の講座で、第3ハウスと第9ハウスは霊性・精神・神秘性と繋がるハウスとされている、ということをお伝えしました。

月が第3ハウスでジョイであることは、普遍的(日常的)な環境において、真理が根付いていることを象徴するのかもしれません。


また木星は「善意」という象徴を持っていますので、第9ハウスが精神性のハウスであることに併せて、木星がジョイとなることは、非常に納得がいきますね。

第5ハウスが「幸運」の名称が付き、金星がジョイとなることと、第6ハウスが「悪運」の名称が付き、火星がジョイとなることで、吉星と凶星がハウスの持つ象意に関連づいていることが示されているように思います。

繰り返しになりますが、吉凶と吉星・凶星というものは、事実としての役割・機能・作用であって、天体が悪さをしようと画策している、というものではありません。

物事には両面性があり、「人生における都合の良し悪し」というものは、総合的に見れば、不可分なく体験されるように人生は仕組まれているように思えてなりません。


ただ、凶星の働き・機能を持つ土星が、第12ハウスでジョイということは、単に土星が扱いにくさや強制力を持っている、ということだけでなく、現実面において、土星は「悪い精神」を戒める働きを改めるように働く、というように深読みしてしまいますね。

最後に、ジョイに関連して、ハウスが四大エレメントのトリプリシティとの関連があることにも言及したいと思います。

トリプリシティと3つずつに括られたハウス

おさらいになりますが、トリプリシティとは、四大エレメントの気質(寒熱乾湿)と星座(サイン)の関係性の他、天体の機能とも関連がある概念です。

Hot&Dry(熱&乾)太陽・火星牡羊座・獅子座・射手座
Cold&Dry(寒&乾)水星・土星牡牛座・乙女座・山羊座
Hot&Moist(熱&湿)木星双子座・天秤座・水瓶座
Cold&Moist(寒&湿)月・金星蟹座・蠍座・魚座

次に、セクトによる天体の昼と夜の分布も併せて見てみましょう。

昼の天体太陽・木星・土星
夜の天体月・金星・火星
どちらにもなり得る/チャート次第水星

トリプリシティの概念は、天体と星座(サイン)だけではなく、実はハウスにも適応されるといいます。

ヘレニズム期の占星術では、アングルと、アングルの左右にある2つのハウスを1つの括りにする、という捉え方があったようです。

この概念によると、以下のような括りができます。

ASC/アセンダントが中心第12・第1・第2ハウス
ICが中心第3・4・5ハウス
DSC/ディセンダントが中心第6・7・8ハウス
MCが中心第9・10。11ハウス


ここで、四大エレメントの機能・作用を当てはめると、以下の表のようにハウスとエレメントが対応します。

第12・第1・第2ハウスHot&Moist(熱&湿)
第3・4・5ハウスCold&Dry(寒&乾)
第6・7・8ハウスCold&Moist(寒&湿)
第9・10・11ハウスHot&Dry(熱&乾)

エレメントの作用は、アリストテレスによって提唱されたもので、熱と乾は上へ昇り、寒湿は下へ落ちる原理をホロスコープの時空間に当てはめると、上記のような表になるのです。

そこで、天体のセクト(昼or夜)とジョイのハウスと併せて考えますと、天体がジョイとなるハウスは、トリプリシティと合致する、ということが分かります。

ハウス支配する天体エレメントジョイとなる天体
第12ハウス金星土星
第1ハウス土星水星
第2ハウス木星×
第3ハウス火星
第4ハウス太陽×
第5ハウス金星金星
第6ハウス水星火星
第7ハウス×
第8ハウス土星×
第9ハウス木星太陽
第10ハウス火星×
第11ハウス太陽木星

ここで再度、ジョイとなる天体は、3つのハウスの括りを併せて考えますと、地平線を基準にしたセクトの区分とも合点がいくことが分かります。

  • 物質性を表す北半球:夜のセクト:月・水星・金星・火星
  • 精神性を表す南半球:昼のセクト:太陽・木星・土星

物質性と精神性の分類について、特に心を象徴とする月に物質性が当てられているのは、少々混乱が生じるかもしれません。

ここでは、物質性を不完全性・普遍性、精神性を完全性・不変性という風に考えますと、コロコロと移り変わる満ち欠けを象徴する月や、思考(水星)、感性(金星)、衝動性(火星)は、変化を伴う不完全性と考えることができます。

対して、太陽・木星・土星の3天体は、抽象性や精神性、秩序などを象徴するため、精神性の括りに合致します。

ジョイの解説だけで長い説明になりましたが、ホロスコープ上におけるハウスの多用的・複合的な考え方を知っていただけましたら幸いです。

それでは次に、12つのハウスのそれぞれの意味(象意)を見ていきましょう。

これは伝統占星術ならではの考え方かもしれませんが、ハウスは1つ前のハウスを守り、逆に、1つ前のハウスによって自らを傷つける・損なう、という見方をします。

また、12つのハウスは、12つの星座(サイン)と同様に、身体部位にも対応しています。

天体と星座(サイン)との関連だけでなく、ハウス単体での意味(象意)と、前後のハウスの関係性にも注目してください。

第1ハウス

そもそもASC/アセンダントは、太陽が昇る起点を意味します。

また、ASC/アセンダントは質問者を表します。

自分自身でホロスコープを読んでいる場合は、自分自身が質問者で、他者に占断をしてもらう場合は、自分自身が質問者となるので、ASC/アセンダントの状態を読むことは非常に重要です。

第1ハウスは「自分自身」を表すことはよく知られていますが、実は、自分を含めたチーム・団体・組織を表すのも第1ハウスとされています。

個人は、他者の人生を歩むことはできませんが、個人という存在が成り立つのは、肉親や家系、パブリックな面では団体的な側面が影響するからです。

そのため第1ハウスは、「私」とともに、「私たち」を意味します。

第1ハウスが示す「自分自身」とは、「他者とは違う」という自己主張を意味する、というところが肝です。

そのため水星の機能とは、自己主張による違いを伝える役割としては、適当な天体であるといえます。

それが「自尊心」という象意が第1ハウスに持たされている理由です。

第1ハウスは、肉体を示すと同時に、自我の芽生えの象徴でもあり、自分の内面に生まれる意図や欲求を表現する、という意味では、水星の発展途上的な機能は第1ハウスに相応しいといえるでしょう。

そして第1ハウスに影響を与える天体は、土星です。

ハウス・ルーラーと呼ぶことが適切かは分かりませんが、ASC/アセンダントのハウスである第1ハウスは、魂の受肉に関連し、土星が地上における魂の出生と機関に関連するといわれています。

伝統占星術には、魂はASC/アセンダントで吹き込まれ、第8ハウスで出ていく、という概念があります。

ハウスと天体の関連を表した表で分かる通り、土星は第8ハウスにも関わっています。

土星には「境界線」という意味がもたされているため、生と死に関連し、魂の誕生と喪失に土星が絡み、第12ハウスでジョイとなるのは、筋道が通っていますね。

水星と土星は、Cold&Dry(寒&乾)の気質を持つ、という共通点もあり、水星にとってASC/アセンダントが心地の良い場所(ハウス)であることは自然なのですね。

第1ハウスが示すものは、「私に属するもの」ではなく、「私自身」です。

だからこそ第1ハウスが持つ意味(象意)は、「肉体」や「自己の存在の表現」となります。

ASC/アセンダント・第1ハウスに天体がある場合ですが、どの天体でも良い、というような短絡的な読み方はできません。

ASC/アセンダント・第1ハウスに関わることで、7つの天体のそれぞれの機能が作用することは間違いありません。

ただ、他の天体との関係性や、次の講座で説明しますディグニティ(品格)などを総合しなければ、ホロスコープの持ち主に対して、第1ハウスに「有利」や「強さ/強み」、「活気」などがあるかを見極めることができない、ということを念頭に置かなければいけません。

以下、第1ハウスのまとめです。

  • 第1ハウス=ASC/アセンダントは、魂の受肉の地点を表す
  • 第1ハウスの主な意味:自分自身・肉体(自分が乗っているもの)・私を含む団体
  • 第1ハウスを支配する天体:土星
  • ジョイとなる天体:水星
  • 第1ハウスは、アンギュラーハウス
  • 第1ハウスは、土星によって魂が引き込まれ、自我意識を育むために、また周囲に自分自身を認識させるために、自己主張・自己表現を行うことを示す
  • 第1ハウスが示す身体部位:頭
  • 第1ハウスと関連がある方角:東

第2ハウス

第2ハウスは、ASC/アセンダントから見えないため、アヴァージョンのハウスです。

また第2ハウスは、サクシデントのハウス(真ん中のハウス)であるため、比較的良い機能を持ちます。

ジョイとなる天体はありません。

現代占星術では、第2ハウスは牡牛座と同一視され、牡牛座の支配星である金星が影響する、と考えられています。

ですが伝統占星術では、木星が第2ハウスを支配するため、第2ハウスの意味(象意)は、木星に属することを念頭に置いてください。

第2ハウスは、所有物を意味し、自分自身を守る・育てるものを示します。

自分を守り育てるものとは、財産やお金(金銭)、食事、信頼できる人物や尊敬する人です。

財産やお金、所有物といった物質や交換可能なもの以外に、第2ハウスが他者を示すというのは驚きですね。

その他に、第2ハウスは「自分を大切に思う気持ち」があるとされ、第2ハウスが、ASC/アセンダントにとって「自尊心」の場所を意味するから、といわれています。

木星は「豊穣の星」である一方、金星は「喜びの星」です。

第2ハウスとの関連性において、木星は成長・発展を約束されるものを示しますが、金星は好き嫌いや自分本位的(個人的)な喜びを表すため、非常に偏りがありますので、第2ハウスと関連付けることには無理があります。

これを「肉体や経済活動の維持」に当てはめてみると、妥当と言えますね。

ちなみに、財産には2種類あります。

第2ハウスのように、自分の稼ぎによる収入と、不労所得や不動産などの自分以外の稼ぎによる収入です。

現代占星術では、第8ハウスがそれに該当するといわれていますが、伝統占星術では第4ハウスが対応しています。

木星が持つ「善意」という象意が第2ハウスにも反映され、信頼や尊敬といった言葉(意味)が与えられていることを考慮に入れますと、第2ハウスに入る天体と、その他の天体とのアスペクトにより、第2ハウスは自分を守ってくれる人や助けてくれる人の有無を示すのですね。

そういった観点から、弁護士や自分を支えてくれる右腕・腹心といった存在は、第2ハウスに示されます。

第2ハウスには、自分が動かせることができる資産と、肉体や状況を維持し、守り、支えるような存在(他者)を示し、木星の機能をよく知る機会にもなるでしょう。

ホロスコープは、当事者が持つ人生の基礎となる資質を忖度することなく示します。

第2ハウスを見る上で重要なことは、第1ハウスから始まった肉体の維持と養育にあり、それを下支えする「自愛」が育つ環境・条件を読み解くことといえるでしょう。

以下、第2ハウスのまとめです。

  • 第2ハウスの主な意味は、自分が自由にできる所有物や自分を守り・育てるものを示す
  • 第2ハウスを支配する天体:木星
  • ジョイとなる天体は無し
  • 第2ハウスは、サクシデントのハウス、アヴァージョンとなる場所
  • 第2ハウスは、信頼する人・尊敬する人の有無を表す
  • 第2ハウスは、自分自身を大切に覆う気持ちを示す
  • 第2ハウスが示す身体部位:口・喉

第3ハウス

第3ハウスは、ASC/アセンダントとは60度(セクスタイル)にあり、カデント/ケーデントのハウスではありますが、陰りが出るような場所ではありません。

第3ハウスが持つ主な意味(象意)は、小旅行、日常的な移動、連絡手段の他、兄弟・姉妹(広義的には、従妹も含む)や近隣の人などを指します。

第3ハウスと聞くと、思わず双子座と水星を連想してしまいますね。

第1ハウスの項でお伝えした通り、水星は「自己表現」の機能を持つ天体です。

驚くべきことに、伝統占星術では、水星は「コミュニケーションの星」とは見なしません。

その代わりに、地球に最も近く、地球の衛星である月が、通信の意味を持ちます。

月の誕生は未だに不明ですが、地球と兄弟であるという説がありますし、現在の地球にとって、また地球に住む私たちにとって、月は他の天体との架け橋となる天体に他なりません。

水星は伝達の役割を持ちますが、自分の意図と発現(表現)に重きがあるため、相互理解という意味でのコミュニケーションは行わないのです。

第3ハウスでジョイとなる月は、自分の考えを挟むことなく、他者に言葉を伝える役割を持ちます。

「受容性」の象徴の天体でもありますので、連絡という観点においては適当な役割を担うことができるのです。

第3ハウスは火星が支配するというのは、少し意外ですね。

火星を一言で例えるなら「諸刃の刃」となるでしょうか。

火星は行動力や活性化などの象意を持ちますが、本来的な機能は「衝動性」です。

衝動に任せて、なりふり構わず特攻してしまうと、他者のみならず自分自身も傷つけることになります。

よく火星を男性性、金星を女性性という風に対比しますが、金星もまた、自分の喜び(動機)に向かって情動や感性を使うことで、自己満足や自由奔放な言動・振る舞いに繋がる可能性があります。

一方で火星と金星は、目的がハッキリしていることから、率直な行動に出ることを躊躇しない素直さも持ち合わせてはいます。

第3ハウスが兄弟・姉妹、更には近所の人々といった近場の人間関係を示すのは、あまり遠い場所に行って、無防備に傷つかないため、という見方ができます。

第3ハウスが近場の移動や日常的な行動を示すのに対して、対向の第9ハウスは、遠方や外国などを示すハウスです。

火星は自分のテリトリーを守ることや、自分自身の利益のために奔走し、他者との競争に立ち向かいますが、無防備に、縁もゆかりもない場所へと特攻することはありません。

第3ハウスを形容するならば「近しいこと」といえます。

日々のルーティンワークや、個人的・習慣的な行事への移動によって、日常が支えられているということは、自分自身を守り、維持することです。

前回の講座で、第3ハウスと第9ハウスは、霊性や神秘性に関係する、ということをお伝えしました。

第9ハウスは遠くにある神秘や真理を、第3ハウスは近くにある普遍性を象徴しているため、第3ハウスの状態や、第3ハウスに在住する天体の状態を見ることは、精神性の向上の観点からすると、非常に重要なハウスです。

日々の行動が、自分の精神衛生を守り、また所有しているものを守ることに繋がりますし、テリトリー内で自由に行動するということは、許容範囲内での実行力を握る、ということになります。

「3」という数字は、占星術に限らず、あらゆる物事の基本数であるばかりでなく、聖なる数字として認知されていますので、第3ハウスが神秘性や真理に通じる場所であることは、「灯台下暗し」といえるのかもしれませんね。

以下、第3ハウスのまとめです。

  • 第3ハウスの主な意味は、小旅行、日常的な移動、連絡・通達、兄弟・姉妹、普遍的な真理
  • 第3ハウスを支配する天体:火星
  • ジョイとなる天体:月
  • 第3ハウスは、カデント/ケーデントのハウス
  • 第3ハウスは、神秘性や真理に通じる学びの場所、日々の行いに注意を向けさせる場所
  • 第3ハウスが示す身体部位:手・腕・肩

第4ハウス

第4ハウスは、ホロスコープ上で最も深い場所に位置し、IC(アングル)にかかるハウスです。

ASC/アセンダントから見て、第4ハウスは90度(スクエア)の場所にあり、ホラリー占星術では、「失し物を探す時」に真っ先に読むべき場所とされています。

これは地平線から最も深い場所である天底が、「土に埋もれた場所」と考えられるからです。

第4ハウスが持つ主な意味(象意)は、先祖や不動産、家や土地などの他、太陽が第4ハウスを支配するため、父親も含まれます。

伝統占星術の講座を始める前に、現代占星術の観点による12ハウスの解説をした際、第4ハウスが父親を象徴することに正統性が見当たらない、といった内容を記しましたが、伝統占星術の観点からいえば、その記述は間違いだったのだと気づかされました。

申し訳ありませんでした。

第4ハウスは対向の第10ハウスとセットですので、第10ハウスは母親を象徴します。

天体とハウスの支配関係は、カルディアン・オーダーによって割り当てられたものですので、法則性が働いています。

ハウスという場所を支配するということは、太陽の機能が作用するのであって、太陽自体の存在が損われることはありません。

第4ハウスが持つ意味(象意)には、家系や先祖との繋がり、家や土地(不動産を含む)が並びます。

男性と女性の違いは、身体的・精神的な違いに留まらず、遺伝子レベルで子孫に影響を与える観点を考えますと、「血筋」や「血統」といった他人が成り代わることができない「流れ」というものがあることを考えさせられます。

これは血や家柄、身分などが絶対的な影響力や権威性、優位性を持つ、という話ではなく、ミクロな規模において、最も作用がスムーズに働く条件という意味で、帰属意識と濃密な関係性、無意識的な連帯性を持たせる作用がある、ということです。

先祖供養や先祖供養という言葉があります。

お墓参りや命日参り、日々の神棚や仏壇のお世話に限らず、家と土地を敬うことは、時間と空間に刻まれた先祖との思い出、すなわち過去の記憶と感情を整える行い・作法なのかもしれません。

ただ、ご先祖の存在は、肉体を失った後でさえ、肉体レベルで私たちと関わり(絆)を持ち続けます。

第4ハウスは、生まれ育った環境や家庭、もっといえば、私たちが存在できることを叶えた家や土地、家族との関係性が、最も深く、そして懐かしい場所として、いくら時が経とうとも、変わらず私たちの今と繋がっていることを教えてくれるハウスといえるでしょう。

その証拠に、第4ハウスは「隠居後の生活様式」「終(つい)の住処」と解釈される場合があります。

それは単に過去の生活様式を再現・再体験するだけでなく、まるで母胎回帰のような心理状態を表しているのかもしれません。

現代では病院で生まれ、病院で息を引き取る場合が多いといわれていますが、この世を去る時は、家に帰りたいと思うことは、至って自然なことといえます。

人生という長い物語を紡いできた当事者としては、長旅を終えるなら、やはり家路へと足を向けるものだからです。

「4」という数字は、安定やバランスといった意味を持ちます。

柱を4本立てることで骨格が安定するように、法則性が循環して働き続けるためには、蓋を閉じるように、回路を繋ぎ合わせる必要があります。

四大元素(エレメント)や東西南北、春夏秋冬などから考えるに、1つのサイクルを象徴し、また総括する数字が4であり、ルーツループを象徴する着地地点として、第4ハウスがホロスコープの最下部に位置している理由といえるでしょう。

以下、第4ハウスのまとめです。

  • 第4ハウスの主な意味は、ルーツ、先祖、家・土地、不動産、失せ物、土の中に埋もれたもの、裁判の判決、父親
  • 第4ハウスを支配する天体:太陽
  • ジョイとなる天体は無し
  • 第4ハウスは、アンギュラーハウス
  • 第4ハウスは、生まれてきたルーツにおける、物質的・精神的・空間的・時間的な場所と関係性を表す
  • 第4ハウスが示す身体部位:胸・肺
  • 第4ハウスが対応する方角:北

第5ハウス

第5ハウスは、サクシデントのハウスで、第5ハウスを支配する天体とジョイとなる天体がともに金星です。

金星の機能が十分に表現されているハウスが、第5ハウスであるわけですが、金星が吉星(ベネフィック)であるからといって、幸運なことばかりを体験できるとは限りません。

なぜなら、火星に言及した際にお伝えした通り、金星の機能が過剰に働く場合、自分の好み・嗜好を追い求め過ぎて、自分自身も周りも見えなくなるからです。

第5ハウスの主な意味(象意)は、「楽しみ」であり、金星もその象意と親和性を持ちます。

金星は、木星とともに吉星(ベネフィック)の分類に入りますが、木星大吉星であるのに対し、金星小吉星です。

吉星がこのように分けられている理由は、木星が豊穣を象徴し、「与えられること」を意味するのに対し、金星は個人の楽しみの追及を象徴し、「求めること」を意味するからに他なりません。

大げさに言えば、宇宙や自然といった大いなる働きや采配に対して、私たち個人が成し得ることは、それほど大きくない、ということです。

その他の意味(象意)として、第5ハウスは、人生の喜びにまつわる事柄を表します。

例えば、男女の交際・デート、妊娠、子ども、創作活動・創作作品、遊びなどです。

現代占星術では、第8ハウスの象意にセックスが当てられますが、本来的には第5ハウスに関連します。

性交渉は快楽を伴い、それは金星の機能と同義だからなのです。

第5ハウスは、自分自身を楽しませる事柄や体験を表すため、「自分を満たすこと」に重きが置かれる領域であり、自分から楽しみに赴く衝動と実感にこそ意味を持ちます。

そのため「楽しみや喜びを与えてくれる他者」は第5ハウスではなく、パートナーを象徴する第7ハウスに属するものです。

第5ハウスの楽しみや喜びは、どちらかというと、独創的・個人的な活動を指し、どのようにして自分を楽しませるかに時間と労力を割きます。

プライマリー・モーション(時計回りの流れ)でいうと、第5ハウスは、第7ハウスの日没後の「夜の時間(夕方)」に当たり、食事や趣味、快楽を楽しむことが許される時間帯です。

一般的に、夜に向かうほどに、私たちの理性は鳴りを潜め、本能的・衝動的な部分を抑える意識が弱まります。

そういった時間に自分を満たすことで、社会的な自己との均衡を保ち、より自分を好きになる、という人間の営みの在り様があることが分かりますね。

第5ハウスが子どもや妊娠、創作活動・創作作品などを意味するということは、外界からのコントロールやプレッシャーから離れ、「慈しむべきものを愛でる」という体験を象徴するといえるでしょう。

楽しみは人それぞれで、内的な活動であれ、外的な活動であれ、場所と時間は問いません。

それと同時に、楽しみ(目的)を体験できる場所も表します。

スポーツや音楽、映画、ダンス、グルメ、ハンドメイド、異性・同性交遊など、あらゆる手段と方法で、私たちは自分の楽しみを追及することができます。

金星は自分なりの喜び・楽しみ・好きを教える天体であり、第5ハウスが示すものとは、そういった楽しみや喜びの体験の仕方と、言動や態度、振る舞いの傾向なのです。

以下、第5ハウスのまとめです。

  • 第5ハウスの主な意味は、人生の楽しみ、喜び・趣味・快楽の追及、デート、妊娠、創作活動・創作作品
  • 第5ハウスを支配する天体:金星
  • ジョイとなる天体:金星
  • 第5ハウスは、サクシデントのハウス
  • 第5ハウスは、自分を満たす手段を追及する度合いを示す
  • 第5ハウスが示す身体部位:心臓・脇腹・背中

第6ハウス

第6ハウスは、ASC/アセンダントから見てアヴァージョンの場所で、弱いハウスです。

第12ハウスとともに、日陰の体験をする場所ともいえます。

現代占星術では、第6ハウスは勤労や責任、健康や病気などを象意とします。

健康や病気は、伝統占星術でも採用されますが、前提として知るべきことがあります。

それは、第6ハウスは「厄介事」を体験する場所であり、ショッキングではありますが、「奴隷」や「従属的な在り方」を示すためです。

プライマリー・モーションの流れでは、第7ハウスで日没を迎え、第6ハウスは世界(景色)に陰りが出てきます。

自分自身を照らす光(太陽)の姿が消え、その代わりに、見えない何か(強制的な力)が働く夜の時間へと移行する中で、第6ハウスは、働くということや、資本である健康(肉体)に関して、金銭と引き換えに、時間と労力だけでなく、生命エネルギーも明け渡すことを象徴しているのです。

世界には、現代でも文化的な背景によって、身分による生き方や働き方が他者や組織によって決められる国や地域が少なからず存在していますが、大昔と比べると、身分によって人生が運命づけられる人の数は減っていることは事実ではあります。

ただ、ここで指摘していることは、経営者や支配層に君臨したり、働く必要がない程に裕福でない限り、身を削って働くことによって収入を得るということは、今も昔も変わってはいない、ということです。

そういう意味において、第6ハウスは、人生を生きる上で「厄介」となり得る環境や条件などを意味します。

第6ハウスは水星によって支配されますが、水星が厄介事をもってくるのか、それとも解決できずにいるのか、と考えてしまいますが、実際のところは、自分の意志や意図、目的意識を通すためには、多くの工程を経なければいけなかったり、時間をかけなくてはいけなかったり、何より他者への説得や対人関係に苦慮する、といったことが大きな原因です。

第1ハウスの項で、水星は自己主張・自己表現をする機能を持つ、とお伝えしました。

第6ハウスにおける水星は、コミュニケーションというよりも、説得や交渉といった象意(機能)を持ち、それはどこか「戦い」の意味合いを含みます。

第6ハウスでジョイとなる天体が火星であることが、その証拠といえるでしょう。

火星は、競争や争いに対して力を行使することを得意とする天体ですから、水星の機能を働かさなければ生き残れない、自分を守れないという環境や状況下において、やはり自分を守ることに精を出すように働きます。

先ほど説明したように、第6ハウスは身を削ることで対価を得る体験をする場所で、奴隷や使役される身としての労働は、本来的には他者に依存し、または自由を明け渡すことで、自分自身を傷つけることでもあるのです。

そのため第6ハウスは、小動物や家畜といった象意も持ちます。

火星がジョイの状態になる時、不自由さを引き込むことになる厄介事や決まり事、環境などに対して、生き抜くことや生き延びることのために、生命力を使う度合いが強まるはずです。

つまりは、自分が居る環境に厄介事の現況である敵や、争うべき・抗うべき相手、対立する相手が潜在的に存在し、表面的に事を荒立てることはなくても、前提としては、従属させられている状況が、第6ハウスに示されるといえるでしょう。

そのため第6ハウスと対向の第12ハウスは、不吉や不運を表す場所です。

ハウスのシステムとして、第6ハウスはカデント/ケーデントのハウスですから、自由に動く力が抑え込まれるハウスであることが、余計に説得力を増す要因といえます。

ホロスコープに表される個別の人生の資質は、誰かと比べることを前提にはしていませんが、生まれ育った環境や置かれた状況といった、デフォルト設定(モード)は三者三様・十人十色で、且つ、それをどのように転換していくかという観点で、ホロスコープを活用することが健全・生産的な捉え方といえるでしょう。

以下、第6ハウスのまとめです。

  • 第6ハウスの主な意味は、従事して対価を得る、病気・健康、病院、小動物、家畜、叔父、奴隷
  • 第6ハウスを支配する天体:水星
  • ジョイとなる天体:火星
  • 第6ハウスは、カデント/ケーデントのハウス、アヴァージョンとなる場所
  • 第6ハウスは、厄介事や敵を表し、自分自身を守るための手段を講じている日常性を象徴する
  • 第6ハウスが示す身体部位:下腹部・内臓・腸腸

第7ハウス

第7ハウスはDSC/ディセンダントにかかるハウス(アンギュラーハウス)です。

太陽が沈む地点に第7ハウスが位置していることから、ASC/アセンダントと対極的な位置と象意を持ちます。

それは「他者」ですが、単なる他人ではなく、関係性が強い「特別な人」です。

「パートナー」という言葉は、様々な人を対象とします。

対人関係においては、恋愛や結婚のパートナー、仕事においては、取引先やビジネスパートナーという具合に、自分1人ではできない作業(共同作業)を行う対象とその関係性が、第7ハウスに示されます

第1ハウス・ASC/アセンダントの対極の位置にあるということは、自分の意図から最も遠い地点と捉えることができますが、言葉通りに受け取ってしまうと、単に相手を「鏡の存在」としてしまうでしょう。

ハウスや星座(サイン)が示す対称性や対極性とは、「違い」という分離的な感覚というよりも、同じ地上に生きている者同士で、特に縁が深い場合に、互いの意識を投影し合うことにより、互いを高め合い、補い合い、守り合い、育て合うための作用と反作用の関係性です。

第1ハウスが自分自身や肉体を象徴するということは、「自分自身を変えることができる存在」が自分自身であることを示しています。

対して、第7ハウスは他者とその者との関係性を象徴しますので、他者をコントロールしたり、取り込もうとする欲求を叶えようとするも、失敗に終わるという体験を互いに提供し合うことを示します。

人はどこまでいっても、「私」という存在を辞めることができません。

それは真理であって、哀しみや虚しさという感情で捉える必要が無いものです。

ですが、孤独や虚しさを感じる体験があってこそ、私たちは真理の一端に触れることができます。

それは他者との関係性も同じです。

人それぞれのホロスコープによって、他者からの影響の強弱は異なりますが、原則的には、私たちは生まれてからずっと、生きていくために、自分のためと相手のための両方向において、他者(と自己)の存在が必要不可欠です。

第7ハウスを支配する月は、地球のパートナーともいえますし、陰陽の関係性においては、太陽のパートナーであるとともに、太陽の光を吸収し、冷まし、夜や冷たさを司っていることで、陰・闇といった反作用の役割を持っています。

そのため第7ハウスは、自分の味方としてのパートナーだけでなく、「敵」や「ライバル(好敵手)」を象徴します。

一見すると、敵は闇と思われますが、相手側からすれば、こちらが闇ですし、敵が自分自身を光だと思っていても、こちら側からすると闇だと捉えるものです。

陰陽太極図をイメージすると分かりやすいのですが、光と闇は表裏一体であり、「私」と「あなた」は光と闇の存在であるとともに、相手の光も闇も引き出す存在として、「私」の闇と光が存在しています。

第7ハウスは、具体的・明確な対象を示しますので、社会的な認知や契約に関わる対人関係を表す場所です。

第7ハウスをじっくりと読み解くことで、「私」という存在に関係する様々な立場と役割の人が明らかになるでしょう。

私たちの人生に登場してくれる配役は、互いに役割を果たし合い、影響し合っているキャストです。

第7ハウス・DSC/ディセンダントという場所(地点)は、自分自身(自我)から最も遠い地点にあり、最も近い距離・関係にある人と関係性を築くことに労力と引き換えに、喜びを得られることを教えてくれる場所。

他者と「相対すること」は、常に近しい距離にあることではなく、信頼と信用を築くための共同作業といえるでしょう。

第7ハウスはどちらかというと、「信用」の意味合いが強いですが、時間を経るほどに、信頼に繋がっていくことは間違いありません。

太陽と月が地球を挟んでオポジション(180度)となる時は、満月が起こり、太陽と月がコンジャンクション(0度)となる時には新月が起こります。

特別な他者との関係性は、まるで円卓で向かい合うような立ち位置です。

あなたの存在は、他者を満月のように輝かせる存在であると同時に、その逆も然り。

それを有益な関係性と呼んでもいいですし、幸せな間柄と呼んでもいいでしょう。

第7ハウスは、相手をどうにかしようとすることよりも、相手との間に築かれる関係性と成果物を示します。

繰り返しになりますが、ホロスコープは表示者(ホロスコープの持ち主)側の立場しか映しません。

実際にどのように行動すべきかは、行動した後にしか分かりませんが、ホロスコープに表される資質を拾い(採用し)、自分とどのように付き合っていくかによって、他者との関係性の築き方も変わっていきます。

ですから人生は私たち次第ですし、他者の存在を含めて、どのような現実(人生)を創造していくかは、私たちが自分自身を信頼し続けることにかかっています。

私たちが自分自身を信頼できるのは、自分以外の人々の存在と役割、働きかけがあるお陰であることを念頭に起きつつ、常に自分自身に素直であることが、最も自分を大切にする在り方ではないでしょうか。

以下、第7ハウスのまとめです。

  • 第7ハウスの主な意味は、恋人・配偶者(結婚相手)・パートナー、取引相手(契約相手)、見えている敵、医者
  • 第7ハウスを支配する天体:月
  • ジョイとなる天体は無し
  • 第7ハウスは、アンギュラーハウス
  • 第7ハウスは、パートナーシップ(関係性)を表し、限定的な対人関係や対立関係を表す
  • 第7ハウスが示す身体部位:生殖器・骨盤(おへそ~お尻周り)
  • 第7ハウスが対応する方角:西

第8ハウス

第8ハウスは、第1ハウスと同様に土星が支配します。

第1ハウス・ASC/アセンダントが太陽の昇る起点である一方、第8ハウスは「死」を象徴するハウスです。

伝統占星術では、土星が肉体の誕生と喪失を司る、という解釈があるのですが、第8ハウスという場所は、土星によって「魂が引き抜かれる」ような体験を表します。

「死」とは、喪失はもとより、そのままの状態を維持できないことを意味し、大切な人を失うことや、会社の倒産などを暗示するのですが、こういった物事は、「自分ではどうしようもないこと」です。

土星という天体が敬遠される理由は、権力や立場によって強制力を行使する側面があるからですが、第8ハウスは、損益や喪失を被る体験を表します。

第6・8・12ハウスの3つのハウスは、上下関係のある場合や、見えない敵を表すとされ、第8ハウスの場合は、「見えない敵」を表します。

また、ホラリー占星術では、第8ハウスはパートナーにとっての第2ハウスですから(相手の第1ハウスが第7ハウス・DSC/ディセンダントとなるため)、パートナーのお金、取引先・契約先のお金、敵対者のお金という見方がされます。

そして、第8ハウスが持つ象意には、「パートナーの尊敬心」というものがあります。

第2ハウスが自分自身の自尊心を表すことと鏡合わせになっていますね。

パートナー自身がどう考え、感じ、行動するかは相手次第ですが、期待をしてしまうことは自然なことです。

そういった相手がどのように自分のことを思っているのか、ということを見る際に、第8ハウスは役に立つ時があるのかもしれません。

第8ハウスについて語られる際は、よく「遺産」や「相続」といった言葉が挙げられるのですが、第8ハウスは原則的にパートナーにまつわる金銭や資産を表します。

パートナーが居る場合には、第8ハウスを見ることで、パートナーから譲り受ける財産について検討することができますが、生きている内は共有財産として管理することが多いでしょうから、幻想的にパートナーの死を抜きに検討することはできないように思われます。

パートナーの収入をどのように運用するかは、家庭によって、パートナー同士の了解があるかどうかに委ねられますが、財産や資産について検討する際は、第2ハウスに表される内容を吟味することが欠かせません。

第2ハウスは自らの力で稼ぐ能力や才能を示すとともに、「恩恵を受け取る」という意味において、経済力や財力がもたらされることは、木星の機能によって表されるからです。

更には、継承や相続といった事柄は、第4ハウスの管轄ですし、父親からの相続は第5ハウスに、母親からの相続は第11ハウスを見る、という風になります。

ですから第8ハウスの「死」と経済力や金銭、不動産などは基本的に結び付かず、そういったものを第8ハウスに期待することはできません。

第8ハウスは総じて、逆らえない状況にある自分自身を見る場合に、特に不利益な事柄や不運を示すハウスといえます。

以下、第8ハウスのまとめです。

  • 第8ハウスの主な意味は、死、自分を支配する人(力)、パートナー・取引先・敵対者のお金、パートナーの尊敬心、遺産(場合と状況による)
  • 第8ハウスを支配する天体:土星
  • ジョイとなる天体は無し
  • 第8ハウスは、サクデントのハウス、アヴァージョンとなる場所
  • 第8ハウスは、恐れや悩みに関する事柄を示す
  • 第8ハウスが示す身体部位:排泄器官・陰部

第9ハウス

伝統占星術において、第3ハウスと第9ハウスは真理や神秘性に関わるハウスとして位置づけられており、特に第9ハウスは、「神のハウス」と呼ばれています。

第9ハウスは木星が支配し、ジョイとなる天体は太陽です。

第11ハウスについては後に後述しますが、第11ハウスは太陽が支配し、ジョイとなる天体は木星となるため、第9ハウスと第11ハウスは、太陽と木星の機能によってもたらされる恩恵が顕著に表されると考えられます。

占星術に限らず、太陽は生命を持つ存在にとって、かけがえのない唯一の存在(光)です。

信仰的な立場であれば、太陽は「神」と呼び、占星術における太陽は、「中心点」と捉えられます。

プライマリー・モーションでホロスコープ上の第9ハウスの位置は、太陽が南中を過ぎたところで、最も気温が上がる場所です。

第9ハウスとは、物理世界において、最も体感的に太陽が感じられる場所といえるわけですね。

第9ハウスは、第3ハウスと対比的に考えた時、長期の旅行や外国などを表しますが、それ以上に、高度な専門知識や専門家、哲学や研究の他、夢や予言、天啓などの神秘的な思想に関する象意が与えられています。

木星は「善意の星」で、太陽は「太陽系の支配者(王)」ですので、この世の仕組み(真理)に触れようと行為や意図は、第9ハウスに示されることになり、特に「魂」や「精神性」を重んじる占星術において、ホロスコープ上の木星と太陽の位置は非常に重要です。

日本人はよく「無神論者」の部類に入るといわれていますが、日本人自身が、古神道やアニミズムといった在り方が習慣や文化、生活に根ざしていることを自覚していません。

対して、宗教や信仰を目に見える形で表現されている国々や地域において、宗教や信仰は「神との関係性」を文字に起こし、書物とすることで、神という存在に近づこうという意識があるように見えます。

どちらの立場にも良い悪いはありません。

ホロスコープに表される天体やハウスの状態(強弱)のように、個人の価値観や哲学、心の在り方は決して裁くことができないからです。

ただ「道徳」や「倫理」といったものによって、人類が社会の構造を成立させてきたことは事実であることは無視することはできません。

また、木星は「教え」や「教えること(教師)」を表す天体でもあります。

現実(人生)は、他者や団体との繋がりを抜きに考えることはできませんし、難しいことや専門知識に携わることのない生活を送っていたとしても、必ず情報は他者からもたらされます。

私たちは日々、最新技術の発達や外国で起こった出来事を、様々なメディアで見聞きしたりしますが、身近で起こっていない事柄のほとんどは、私たちのテリトリーの外側で発達・開発され、そこに携わる人は専門家です。

物事の上達には「教えること」がカギとなりますが、伝統占星術における第9ハウスの「教え」とは、道徳的・倫理的な側面が大いに含まれています。

どのような道具(ツール)が開発されても、扱う側の意識やマナー、モラル、リテラシーが必要不可欠になります。

そういう意味では、専門家が高度な技術や学問を扱うことは当たり前ですし、単なる作業だけでなく、その道・分野に携わっているからこその「意識」の扱い方が重要といえるでしょう。

義務教育は第3ハウスが対応し、第9ハウスは高等教育や専門技術、研究に対応しています。

第9ハウスは社会性に紐づき、「他者の意識や視線を受ける的」という側面を持ちますので、弁護士や医師、神父や僧侶といった、法律や律法に関係する職業に関連する場所です。

エンターテイメントの範疇に留まらない限り、実は、占星術は第9ハウスの管轄に含まれます。

それは一重に、占星術が人々の意識進化や真理探求に貢献しているからです。

第9ハウスが宗教や信仰と結び付いていることは明白ですが、目立った行動や習慣を抜きにしても、「在り方・生き方を整える」ということは誰にとっても非常に大切です。

私たちは日々、食事ができる有難さも、屋根の下で過ごすことができる心地良さも、人とご縁を持てる喜びなどのすべてが、恩恵を与(あずか)ることであることを知っています。

その事実を腑に落とし、すべての命はあらゆる様々な繋がりによって繋がっていることが分かると、昔の日本人が「お陰様」という言葉や、「お天道様に顔向けできるように生きる」という姿勢が、受容的に生きる自分自身(人類)の立場を分かりやすく、端的に、そして謙虚に表現されているといえますね。

第9ハウスは距離的には遠方を象徴しますが、真理や神秘性、普遍的な恩恵に関する行いや移動については、距離を問いません。

例えば、日曜礼拝や巡礼の旅などの旅や楽しみが目的ではない移動は、第9ハウスの象意に含まれます。

第9ハウスは、特別な日を表します。

春分の日は牡羊座に太陽が入り、秋分の日は天秤座に太陽が入る季節です。

宗教的な文化や慣習が根付いている国々や地域では、宗教にちなんだ休日もあります。

宗教や信仰において、休日は、神が休日を取ることをなぞらえた日であり、神が創造した世界を静かに感じる日なのです。

第9ハウスという場所は、プライマリー・モーションの流れでは、天頂から下った、最も太陽(神)が感じられる場所であるとともに、セカンダリー・モーションにの流れでは、天頂に届こうとする場所ですので、「個である私」「全体性(神)に近づく私」という別々の側面が際立つ場所といえるでしょう。

その象徴を際立たせる存在が、太陽と木星です。

以下、第9ハウスのまとめです。

  • 第9ハウスの主な意味は、長期の旅行、休日・祝日、外国、高度な専門知識・専門家、宗教・信仰、哲学、占星術、天啓、予言・予言者
  • 第9ハウスを支配する天体:木星
  • ジョイとなる天体:太陽
  • 第9ハウスは、カデント/ケーデントのハウス
  • 第9ハウスは、真理や神を感じる行為を通して、自分の中に神性を見出すあらゆる物事を指し、人間として生まれ、生きる上で、道徳心や倫理観を育てる意識を表す
  • 第9ハウスが示す身体部位:臀部(臀部)=お尻周り

第10ハウス

第10ハウスは、ホロスコープ上で最上部(天頂)に位置し、最も目立つ場所で、伝統占星術における主要な意味(象意)は、仕事や成功です。

第10ハウスがどうして目立つ場所なのかは、太陽が最も高い位置で輝いて見えるからですが、この「どこから見ても高い位置」ということが重要で、太陽が持つ「生命力」や「支配力」の象徴ともいえる場所だからですね。

第6ハウスの項で、被雇用的な働き方・稼ぎ方は他者や団体・組織に依存し、使われることから、本来的な仕事ではなく、奴隷的な収入を得ることである、という内容をお伝えしました。

事実として、そういう仕組みが整っているからこそ、現在までの社会システムや資本主義経済が循環していますが、一部の人々は、それを管理・運営・維持する役割を担っています。

現代に限らず、金銭に関することは、人の恐怖心や虚栄心を刺激するため、特に日本では「清貧」が美徳であるという意識が強い傾向にありますが、実際のところ、心が綺麗な人もそうでない人も、生まれや身分、生き方や働き方によって、莫大な財産や材料を持つことが可能です。

ですが「可能であること」と、実際に「経済的に豊かになる器であること」には若干の違いがあります。

第6ハウスが示す仕事とは、習慣的・規則的なシステムの歯車の一部になることで、評価されるものは働き方ではなく、ノルマや実績です。

対して、第10ハウスが示す仕事は、個人の働きぶりや人柄、実績などを総合して、他者や社会から評価を得るに相応しい仕事全般を指します。

これは決して、第6ハウス的な仕事や働き方がすべて奴隷的である、ということではありません。

起業家や経営者といった立場だけの人だけが10ハウスの象意に当てはまるわけではなく、あらゆる職業や職種の仕事はすべて第10ハウスの管轄です。

少しややこしいのですが、豊かさや経済力を持つ素養は第2ハウス、働く環境や条件、使役されることで仕事が回ることが第6ハウス、実際の自分の仕事や評価が第10ハウスという風に、仕事や豊かさを見る観点がそれぞれ異なります。

最も目立つ場所である第10ハウスの観点から見れば、仕事とは、精神性を高めつつ、社会性を身に付け、社会の一員として活躍する人間性(顔)の最も顕著な要素です。

そのため他者との会話では、必ずといっていいほどに職業を問われるのは、人の生き方や在り方の結果として、仕事が重要視されているからですね。

第10ハウスを支配する天体は火星で、第10ハウスの他の意味(象意)には「成功」や「名誉」などがあります。

火星は「自分自身を表現する(生きる)」ために燃料を燃やす天体です。

社会の一員として働く、もしくは社会に貢献する仕事をするということは、世に自分を晒(さら)すということですから、自分自身を活かし、守り、成果を得ようと奔走し、争いや競争を象徴とする火星は、第10ハウスという頂点に相応しい天体といえます。

自己顕示欲や承認欲求といった内側から湧いてくる欲求は自然なもので、抑え込んだり、消そうと躍起になる必要はありません。

火星が自己顕示欲や承認欲求を表すことは事実ですが、逆に、自分自身の可能性を実現させたいという意志を持たない(持ってはいけない)としたら、太陽が天頂に昇ろうと、天底に沈もうと、暖かさや明るさが変わらないのと同じくらいに不自然です。

火星が「諸刃の刃」という風に形容されるように、火星には、その時々の様々な要因によってできるコンディションによって、言動や態度がブレ、自分自身を制御できないことや、結果を見誤ったり、自分自身と他者、周りを傷つけるような言動を取ることで問題視される性質を持っている側面があります。

火星は「運動」や「変化」、「実行」といった、現実世界を生きる上で避けては通れない事柄に関連します。

恐れも希望も実は表裏一体で、実際に体験するまでは、あらゆることが恐怖となり、逆に、体験した後は、自己信頼や自信、成果や評価を得ることができます。

第10ハウスにおける仕事とは、「自分自身を世間に披露する」という意味で、経済活動や社会活動、純粋な欲求に根ざした創造性を発揮することといえるでしょう。

ですから火星は、土星と同様に、凶星(マレフィック)としての機能だからということではなく、仕事で得る経済力や財力は、他者からの搾取ではなく、報酬・対価を得るために働く天体の機能がある、と考えるべきです。

その他、第10ハウスは、国王や首相、大統領、裁判長などの権力者を示しますし、成功や名誉に関しては、オリンピックの金メダルや、世界的に認知・評価される賞などを示します。

また、父親は第4ハウスに象徴され、母親は第10ハウスに象徴されることは既にお伝えしました。

第4ハウスの7番目のハウスが、対向の第10ハウスであるため、父親のパートナーである母親の象意が与えられているからです。

そして、第7ハウスがパートナーやパートナーとの関係性を示すのに対して、第10ハウスは「結婚」自体を示すとされています。

第10ハウスは、太陽が最も高い位置にある場所であるため、太陽からの祝福と許しを受けるという意味で、結婚という契約・繋がりが含まれているようです。

MCにかかるアンギュラーハウスである第10ハウスは、Hot&Dry(熱と湿)の気質によって成立する場所で、火星の機能とマッチしていると同時に、太陽によってその機能が世に明かされることを示すハウスといえるでしょう。

ただ、憂慮すべき点があるとすれば、頂きに登れば後は下るのみ、ということです。

太陽が西の地平線へと沈んでいくように、成功や名誉というものは、時間とともに、自分自身の肉体の老化のように、最も輝かしい自分が失われ始めるという予感を秘めています。

ですから物質的・現実的な成功や自己実現の頂点としては、第10ハウスは適当ではあるものの、精神性や霊性の面では、実体が伴わない物事に関して、絶対的な安心感というものは、第10ハウスには表されないのです。

以下、第10ハウスのまとめです。

  • 第10ハウスの主な意味は、仕事、栄光・成功・名誉、権力者、結婚、母
  • 第10ハウスを支配する天体:火星
  • ジョイとなる天体は無し
  • 第10ハウスは、アンギュラーハウス
  • 第10ハウスは、太陽が最も高い場所に位置し、自分自身を露呈・披露する場所であるため、仕事を通して、火星の機能の働きによって、仕事という社会性と、本来の自分の生き方・在り方が表現される場所
  • 第10ハウスが示す身体部位:太もも~ふくらはぎ
  • 第10ハウスが対応する方角:南

第11ハウス

第11ハウスは、太陽によって支配され、木星がジョイとなる場所です。

第9ハウスでお伝えした通り、第9ハウスと第10ハウスは、太陽と木星が互いの機能を2つのハウスに影響を与えています。

第10ハウスにおいて、私たちは物質的・現世的な成功を実現させますが、精神的な成熟の実現が表される場所は、第11ハウスです。

第10ハウスの手前の第9ハウスが「神のハウス」であるならば、物質的な成功を実現した後の第11ハウスは、「神の精神のハウス」と見なされます。

火星と土星は、限りなく地に根付いた生き方を表す天体で、太陽と木星は、現実を動かす行動をした結果として得る経験則によって高められる精神性に関連する天体です。

食事を取った直後は、肉体的・精神的な満足感が得られますが、数時間ほどすれば、また空腹が襲ってきます。

プライマリー・モーションの流れでは、第11ハウスは第10ハウスの直前の場所です。

人生は山登りのように例えられますが、まさに、私たちは欲望や欲求を満たしても、また別の山頂へ足を向けることを繰り返しているのです。

科学的にも「喜び」や「期待感」というものは、実際に手に入れる直前にピークを迎えることが分かっています。

そういった諸行無常の世界を生きる私たちは、恐怖心や飢えと付き合いながら、それでも希望や願望を捨てずに生きて、日々生まれ変わりを経験している存在といえるでしょう。

セカンダリー・モーションの流れでは、第11ハウスは、最後のハウス(第12ハウス)に向かっていますが、第12ハウスが象徴するものは喜ばしいものではありません。

そのため、第11ハウスが最も喜びや幸福を感じられる場所といえるでしょう。

また、第11ハウスは「友人のハウス」とも呼ばれます。

木星がジョイとなる第11ハウスの場所に漂う空気感や世界観は、「相手を存在として認める」という慈悲深さといえるかもしれません。

「トラブルを起こそうと、失敗があろうと、あなたは何度でも立ち上がり、立て直しができることを私は信頼します」という境地が、木星が指す善意と慈悲の精神です。

そのため、ここでいう「友人」とは、深い信頼で繋がっている者同士を指します。

地上に生きとし生けるすべての存在だけでなく、太陽系全土に光を届ける存在である太陽と同じように、木星もまた、拡大・発展という働きを平等に与える天体であることを忘れてはいけません。

「豊穣」や「幸福」を司る木星の眼差しは、実は第9ハウスによって探求し、第11ハウスによって実現することに向けられているのかもしれませんね。

ハウスは、前のハウスの象意を継承する側面を持ちます。

第11ハウスは、第10ハウスの成功で得た財源を表すとされますが、第10ハウスは社会的な立場ですので、第11ハウスが関連するお金は、法人に関わるものであったり、補助金や税金とされています。

そして「神の精神のハウス」を冠する第11ハウスは、表舞台で活躍する者を支える存在を表します。

国王や会社、代表者、経営者を補助する存在は、実績と信頼を兼ね備えた者が適任であり、それを可能にし、周囲に認められる要素は、第11ハウスが示すのです。

以下、第11ハウスのまとめです。

  • 第11ハウスの主な意味は、精神的な喜び、頂きに至る前の幸福、国や会社に関わる公的なお金、絆が強い友人、補佐の役割
  • 第11ハウスを支配する天体:太陽
  • ジョイとなる天体:木星
  • 第11ハウスは、サクシデントのハウス
  • 第11ハウスは、「神の精神のハウス」と呼ばれ、道徳や倫理といった精神性の高さに関連し、他者や周囲、社会に対して慈悲を持って接する在り方を示す
  • 第11ハウスが示す身体部位:ふくらはぎ~踝(くるぶし)

第12ハウス

第12ハウスは、第1ハウスと地平線を共有している位置にあるけれど、第1ハウス・ASC/アセンダントとは全く違う意味(象意)を持つ場所です。

太陽が地平線を昇る時、時間と空間の中に生きる私たちは、「昨日」と「今日」が切り替わり、「昨日の私」が死んで、「今日の私」に生まれ変わる体験を毎日しています。

私たちは時間を中心に生活していますが、毎秒・毎分毎に、地上では、あらゆる生命活動が行われていることを、私たちは実際に認識するまで気にかけることがありません。

私たちが一歩外に足を踏み出せば、数えきれない数の虫や微生物を踏みつけている、とも言われるほど、世界は緻密に、また繊細に、そして重厚な構造で成り立っています。

第12ハウスは金星によって支配され、土星がジョイとなる場所です。

金星は、第12ハウスの他に、第5ハウスを支配し、ジョイとなる天体で、他の6天体の中で異色の存在かもしれません。

金星は吉星(ベネフィック)であるにも関わらず、自制が利かなければ、自分自身や他者を傷つけることがあります。

そういった金星の奔放さは、第12ハウスでは「自堕落さ」として表されます。

奴隷や病気といった象意を持つ第6ハウスと対極にある第12ハウスですが、心地良さや幸福感が感じられる場所ではありません。

第12ハウスの象意には、自堕落の他、見えない敵、隔離、雄平、厄介事などがあります。

第12ハウスを支配する天体が土星であることで、これらの象意は妥当ではあるのですが、土星が第12ハウスを支配する真意は、「自分自身が作った厄介事」を体験することです。

第6ハウスが象徴する病気は、体の中に起こる厄介事であるのに対して、第12ハウスが象徴するものは、自分自身の行いや振る舞い、習慣などの結果として起こる厄介事です。

人生における自らの行いの結果は、自分以外に誰も尻ぬぐいはしてくれません。

土星は「カルマ」に関係する天体ともいわれていますから、「自分で蒔いた種から生まれたもの」が何であれ、自分自身で刈り取らなければいけないということが、第12ハウスに反映されています。

ですから第12ハウスが示すものは、自分自身が過去に行ってきた事の結果であり、その結果によって不自由さを味わうという体験です。

暴飲暴食や不摂生、金銭トラブルやギャンブル、アルコールや薬物、対人関係(特に性愛に関する関係性)などは、すべて金星の暴走・自堕落さによって引き起り、その結果を受け止めることを土星は強要します。

強要というよりも、自らの過ちを悔い改めることを認めさせること、といった方が正しいかもしれません。

プライマリー・モーションの流れでは、第12ハウスは1日の始まりを意味し、セカンダリー・モーションの流れでは、第12ハウスは肉体の死を意味するため、「生と死」や「始まりと終わり」が重なっていることになります。

よく「時間は概念であり、実体のない幻想である」という言葉がありますが、人類が時間という概念を作り、信じ込むことで、時間という概念と同化して、私たちは時間に支配されて生きていますので、事実上、時間は概念以上の力を持っているといえるでしょう。

また「時間と空間は同一のものである」という理解が難しい概念もありますが、要するに、肉体を持ってこの世(地球上)で生きるということは、苦痛や恐怖から逃げられない環境の中で活動している、ということです。

それを残酷であると感じる時や場面がある一方で、時間というタイムリミットや、空間という枠があるからこそ、自分の実現力を試すことができるし、人生をゲームと考えたら、色んなハプニングを楽しむに越したことはない、という見方もあります。

ただ、どんなに楽観的に物事を考えようと、悲観的に人生を捉えようと、私たちの誰もが「死」に向かっていることは否定しようがない事実であり、ゴールです。

ゴールとはといっても、肉体としてのゴールなのですが、死後の世界・魂の世界は、立証するという意味で、この物質世界で表現することはできません。

この世は常に具体性と再現性の世界であり、あの世は不確定性と抽象的な世界です。

その間の曖昧だけれど、苦痛を1人味わう世界が、第12ハウスという場所といえます。

第12ハウスを「魂の救済」という意味で、「修行の場」と考えることもできますし、信仰生活として、祈りや奉仕の体験と捉えることもできますが、「自分で自分を縛っている」という因果の在り様は変わりません。

状況や外からの影響はどうであれ、何を信じたとしても、信じた主体は自分自身であり、「自分の命」という意味では、誰もが肉体を持った自分の責任者です。

第12ハウスは、ASC/アセンダントからは見えないアヴァージョンの場所であるとともに、後の講座で解説する「アクシデンタル・ディヴィリティ」の場所で、周囲や世界から切り離された場所と感覚を示します。

それが見えない敵や密告者、自分を罰しに来る者、はたまた、魔術といった隠れて行われる儀式などの象意に反映されています。

ある人は、「この世の出来事は自分の責任だ」と言い、またある人は、「私はあなた、あなたは私であるから、私たち全員に責任がある」と言い、そして我関せずと言わんばかりに、「この世は幻想・幻」や「人生はすべて決まっている」といった声もあり、まさにこの世は混沌としている世界です。

ですが、そういった心境になるのは、ある1つの概念を信念として採用しているからに他なりません。

実際のところは誰にも分からず、地球上に住む全員の人が満場一致で同意すべきことでもありません。

そして「私は自分の人生の創造主である」という言葉は、自分に向けては使えますが、他者とその人の人生には適応できないところも、物事や状況を難しくしている原因といえるかもしれません。

これまでの歴史で、あらゆる哲学者や宗教家、神秘家の人々が言葉を残してきましたが、直接本人に聞くことが叶わないばかりか、その人が語る通りの体験を再現する方法を見つけることもできません。

これまで書き綴ってきたことは、第12ハウスの象意と土星の機能を合わせて紡ぎ出された言葉です。

あなたがあなた自身の人生を生きている中で、あなたの中で生まれる思考や感情は、個人的な体験であるからこそ、何を選び、採用し、決めるのかは、あなた自身である、ということです。

概念や思考に縛られ、観念や感情に振り回され、自分自身の精神性を整え、高めるための材料は、この世に数えきれないほど用意されています。

ですが何を最善とし、ある時にその最善をアップデートするかは、自由です。

その自由を見つけられるかどうかは、与えられるものではなく、自分の内面の中で影響力を持つ概念や観念、信念、確信に縛られ、捕らわれる中で、自分が自分自身を解こうと決意する時に現れてきます。

それが内面と向き合い続けた結果現れて来る「直観」であり、内省の末に至ることができる「一時的な」個人の真実です。

あらゆる物事は変化し続けていて、法則の中で転がり続けます。

第12ハウスはタロットカードでいうところの、「吊るされた男/吊るし人」です。

私たちは世界から望まれて生まれ、また生かされていますが、そのようなことを舞瞬に感じられるほど、私たちには余裕がありません。

だからこそ、第12ハウス、また、土星は、過去に投げた自らの行いが跳ね返ってくることを受け止める体験をさせ、私たちは自分自身を救う方法を試しながら、時折行き止まりに際して、苦痛や苦悩を糧として、最終的に自分自身と世界に感謝し、労り、尊重する道を選ばせるのでしょう。

第12ハウスは、暗い場所であり、外部からの影響を引き受け続ける体験の場所であると同時に、自分を救う存在が自分自身であることを見出す場所です。

それがプライマリー・モーションの流れでいうところの、太陽の上昇であり、セカンダリー・モーションの流れでいうところの、今日という日の終わり(死)ということですね。

私たちは案外、不快感や不自由さを「心地良い」と認識している節があります。

「裏腹」という言葉があるように、言っていることや思っていることと、実際の行動が一致しないならば、それは現状維持という名の閉じこもり・引きこもりを選択しているに過ぎません。

この表現は大変苦々しく、反発や反抗心を抱かせることは重々承知していますが、実際には、他者に向けて突きつけることで傷つけるためではなく、「納得するまで悩み、葛藤を体験してもいい」という静かな独り言のような、励ましとも慰めとも取れる、普遍的で、人間のあり様を物語るものです。

以下、第12ハウスのまとめです。

  • 第12ハウスの主な意味は、呪縛、隔離、孤独、自堕落、見えない敵、悪評、刑務所、修道院、隔離病棟、魔女、魔術、救済を見出すための苦痛・苦悩
  • 第12ハウスを支配する天体:金星
  • ジョイとなる天体:土星
  • 第12ハウスは、カデント/ケーデントのハウス、アヴァージョンとなる場所
  • 第12ハウスは、自分で蒔いた種が芽吹き、(大抵の場合は、不運なものだけれど)成果物がどのようなものだろうと、自分自身で刈り取らなければならない体験を示す
  • 第12ハウスが示す身体部位:足

ハウスは自然の摂理が組み込まれた実際的な体験の場

今回の講座は、ハウスの意味(象意)を解説すると同時に、トリプリシティやジョイの概念を合わせて取り上げ、ホロスコープの仕組みについて深堀する内容となりました。

それぞれのハウスの意味(象意)は、筋が通った論理と自然の摂理、そして真理に至ることと、人間としての成長過程や社会活動などを総合して組み立てられていることをご理解いただけたのではないでしょうか?

伝統占星術が提供するホロスコープの仕組みは、一歩引いて見てみれば、何も不自然なことは言っていないことが分かります。

むしろ占星術を単なる概念的な解釈に留まらせることなく、実際の現実世界と実体験と乖離することなく、私たちをより深い理解へと促してくれる実感が得られる場面が多くあるはずです。

今回の講座は、久しぶりの大ボリュームでお届けしました。

伝統占星術と現代占星術を比較したり、どちらかを批判・拒絶するのではなく、体系的な学びに沿ってホロスコープに向き合うことは、何の損失もなることはないでしょう。

古いもの/新しいのものが正しい、悪いといった立場から降りて、どのような概念や捉え方がより客観性をもたせるだろう、という立ち位置で物事を見る時、私たちは自我が執着している概念や観念、信念から離れることができるはずです。

今回の講座でやっと伝統占星術の肝となるハウスを解説させていただきましたので、次の講座では、ディグニティ(品格)について解説させていただきます!

次回も深い内容になり、覚えるべき用語や初めて知るルール・システムが出て来るとは思いますが、ゆっくりと、じっくりと伝統占星術のエッセンスに触れていってください。

今回はとても長くなりましたが、最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます!

それでは次回の講座「伝統占星術の醍醐味・ディグニティ(品格)とは?」でお会いしましょう!

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