「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座に」ようこそ!
ホロスコープを読み解く上で、① 星座、② 天体、③ ハウスの3つは特に重要です。
占星術において、主要な天体はこれまで解説してきた10天体ですが、他にもホロスコープに関係がある星たちがあります。
それは「小惑星」です!
太陽系に存在する星たちは、小さな存在であろうと、それぞれの役割を果たすことで、太陽系全体のシステムに貢献しています。
小惑星とは、名前から予想がつく通り、規模や質量が小さな星のことです。
占星術で影響力を持つ考えられている小惑星はいくつかありますが、この講座では、6つの小惑星をピックアップしました!
人生や時代を変えるほどの影響力が無いにしても、小惑星には特定のテーマや分野が割り当てられています。
10天体・星座・ハウスに小惑星を加えると、よりホロスコープを深く読み解くことができますので、10天体の解説の延長で解説させていただきます。
今回の講座は、小惑星の第4弾目となる「ベスタ」です。
どうぞ最後までお付き合いくださいね!
小惑星とは
小惑星とは、惑星と呼ぶには小さい天体を指し、別名、太陽系小天体とも呼ばれます。
小惑星が発見されたのは、天王星の発見後の1800年以降。
また小惑星という言葉が使われ始めたのは、1853年で、海王星が発見された1846年の後です。
天体の種類を大まかに分けると、惑星、準惑星、小惑星の3つ。
天文学では、天体の質量や大きさ、軌道の周期などが確認されてはじめて、正式に登録され、小惑星番号がつけられます。
最初は火星と木星の間に、他の惑星が存在するかどうかの探索が行われていましたが、惑星よりも小さい天体が次々に見つかることで、惑星の定義が細かく決められました。
多くの小惑星は火星と木星の軌道の間に存在し、小惑星が集まる領域は小惑星帯と呼ばれています。
小惑星に登録されている天体の数は、32万を超え、仮登録されている天体を合わせると、約60万近い小惑星の軌道が確認されているようです。
面白いことに、イザナギやイザナミ、アマテラスといった、古事記に登場する神様の名前が登録されている小惑星もあります。
虫を発見すると、発見者が自由に名前をつけることができるそうですが、それは星も同じようで、認知度はさておきとして、世界的に認定されていることは事実です。
宇宙では、大きな天体が小さな天体を捕らえることで、それぞれの軌道が定まります。
小惑星は大きな惑星に捕らえられ、従わされている子分のような存在でしょうか。
占星術における小惑星
占星術では、どんな小惑星も取り入れているわけではありません。
その理由は3つあります。
- 10天体に比べて影響力が小さい
- 現実の体験に反映されにくく、心や精神の中で理解する必要がある
- 歴史が浅く、データが少ない
占星術を活用する人の中でも、小惑星を採用しない人もいます。
ですが占星術は科学と同じく、発展していくものですので、時代の流れとともに、小惑星が発見され、注目されることにも意味はあるはずです。
この講座では、天体と星座、ハウスの3つの主要ポイントを抑えた上で、より広く・深い視点を持っていただけるように、6つの小惑星に絞りました。
6つの小惑星は、①ケレス / セレス 、② パラス、③ ジュノー、④ベスタ 、⑤リリス 、⑥ カイロン / キロンで、発見された順番に解説させていただきます!
ベスタの基本情報
占星術ではベスタは「四大小惑星」の1つです。
火星と木星の間に軌道を持つ小惑星は、「個人天体の世界」と「社会天体の世界」をつなぐ役割があるとされています。
小惑星・ベスタは、「使命」や「義務」、「献身」、「孤独」、「性に関するコンプレックス」、などにまつわるエネルギーを教えてくれる天体です。
また小惑星・ベスタを形容する言葉は、「処女性」。
処女という言葉の定義は、男女の交わりをしていない女性を指すことが一般的ですが、言葉を置き換えると、「純粋性」となります。
真心や志、情熱が自分本来のものである時、それらは純粋であり、外部からの影響を受けていない、と考えることができますよね。
私たちは日々、何を原動力に生きているのでしょうか?
小惑星の解説を進めてきて、きっとピンときていらっしゃるかもしれませんね。
私たちを活かしているものといえば、根源的な生命エネルギーともいえる、男性性と女性性の性のエネルギーです。
私たちの人生の3分の1という長い時間を睡眠に充てられます。
私たちが眠っている間には、身体の回復の他に、霊的な回復も行われ、霊的な回復はいわば性のエネルギーを充填しているといえるでしょう。
四大小惑星の4つは、個人天体と社会天体の間に存在することから、私たちの性エネルギーの育ち方や傾向を示してくれます。
小惑星・ベスタは、四大小惑星の中において、自分からの相手や社会への働き方の際の、「性エネルギーのスタンス」といえるでしょう。
私たちは沢山の思考・感情・言動の「癖」を持っています。
それらの癖は、私たちの深層心理に根っこがあり、おいそれと変えることは難しいものです。
なぜなら私たちは常に、幼少期からの価値観・概念・常識に引っ張られるから。
ですがここで大切な視点があります。
それは、「生まれ育った環境や自我意識の癖は、諸悪の根源なのか?」ということです。
あなたがホロスコープを読み解き始めた時、あなたはご自身の中にあったモヤモヤが、ある時から徐々に晴れていく感覚を感じる時が来るでしょう。
その理由は単純明快で、あなたが「悪」としていたものが、実はただの「条件」や「出来事」、「キッカケ」でしかなかったことに気づくからです。
よく「大人になったら汚れてしまう」という表現がありますよね。
私たちが過去を美化したり、現状を憂いてしまう時、このような表現が出るのかもしれませんが、実際のところは、過去・現在・未来のあなたは汚れることはありません。
もし汚れることがあるとしたら、それは「自然体・純粋無垢な自分」というものを見失っている時でしょう。
小惑星は太陽系10天体のような強い影響力はない、といわれますが、私たちが社会に向けて自分を押し出そうとする時、より根源的な内なる自分との対峙が必要になります。
ベスタは「他者と相対するあなた」がどのような人物像で、あなたにとっての純粋性(処女性)は何かを伝えてくれるでしょう。
前置きが長くなりましたが、の解説をさせていただきます!
下記に、基本情報をまとめました。
- ベスタは、1,807年に発見された小惑星である
- ベスタは、火星と木星の間の軌道の小惑星帯に存在する
- ベスタの内部は、地球と同じように鉄とニッケルの核を持つ天体である
- ベスタの自転周期は、約5.3時間
- ベスタの公転周期は、約3.6年
- ベスタは占星術において、四大小惑星の1つである
- ベスタは、「性的なコンプレックス」や「処女性(純粋性)」を表し、言動はそれらを基に決定(固定)されると考えられる天体である
- ベスタは、個人天体と社会天体をつなぐ天体である
- ベスタは、乙女座と蠍座に関連する
- ベスタは、自我意識の自覚からの人生の好転や、男女間・性的な関係におけるコンプレックスの解放の導きを指し示す天体である
この講座では、「最善のあなた」への意識が明らかになるように言葉や表現を選んでいます。
あなたは誰かに相談したり、悩みを打ち明けた時、否定された気持ちになったり、間違いを正されたりと、冷や水を浴びるような経験はありませんでしたか?
あなたがご自分のベスタと向き合うことは、そのような「水浴び」のような感覚を抱くかもしれません。
もしあなたが過去やこれまでの道のり、現在のご自身を否定的に捉えていて、あなたのベスタは哀しそうな顔をするからです。
抽象的で回りくどい表現になりましたが、つまるところ、あなたがご自身を「誤解」すればするほど、あなたの性的エネルギーも現実も歪んでしまう、ということ。
ですから「素のあなた」を取り戻すために、少しずつ穿った見方や、慣れ親しんだ批判的な目線を和らげていきましょう。
これまでの講座で何度かお伝えしてきたかもしれませんが、私たちは元々「誰かの役に立ちたいという欲求」を持っています。
赤ちゃんが笑うのも、お母さんが常に家族を気遣うのも、お父さんが寡黙なのも、何らかの本能や欲求が働いているからです。
個人天体と社会天体に集まる小惑星たちは、私たちの欲求の「橋渡し」という風に解釈することもできます。
あなたがあなたでいることで、またあなたが誰かや社会に働きかけることで、世界には波紋が広がるのです。
それを有名な言葉で、「バタフライエフェクト(効果)」と呼び、私たちが今日も生きているという事実が、世界を成り立たせている、といっても過言ではありません。
ですがこういった「美しい表現」を見聞きする時、私たちは少なからず拒否反応を抱いてしまいます。
その原因は様々ですが、過去からの経験や、他者との比較、自分の理想と現実のギャップ、刷り込まれた価値観などが、私たちを純粋な心を曇らせることを促すのです。
ここで再び大切な視点ですが、実際に曇らせることを実行するのは、哀しいことに、私たち自身。
これは「自由意志」という言葉で表現されますが、更に言葉を付け加えますと、「自覚や意識による主体的な選択」といえるでしょう。
私たちが自分自身に無知で、周りの人や社会、世界を批判し続けていれば、それは愚かかもしれません。
ですがどうにもならない自分の問題に光を当て、解こうとする時、私たちは愚かだった自分自身を許してあげられるでしょう。
私たちがそういった事柄を思い出すのは、常に他者からフィードバックがあるからです。
あなたの一言で、誰かが幸せにもなれば、傷つきもするでしょう。
あなたの自己受容の具合によって、ご家族や大切な人の幸福度も変わることでしょう。
私たちは二元性の意識で生き、また生かされています。
だからでしょうか、私たちは常に「白」か「黒」かがハッキリしないと気が済まないのは…。
ベスタは、あなたが人生の始まりから、ご自身に課している「他者に対する働きかけ」や「責任」を表します。
ですからあなたは、人生に起こる様々な出来事はもちろんのこと、ご自身の在り方を解き明かしていくことが重要なのです。
なぜあなたは頑固・楽観なのでしょう?
あなたを頑固・楽観にしたキッカケはなんでしょう?
あなたの言動・思考・感情・意識の根元はどこにあるのしょうか?
太陽系10天体と絡めて、小惑星・ベスタを迎え入れ、あなたの価値観を真っ新にしてみてください。
「善悪なんて本当は無かった…。」
こんな感覚を少しでも浮かび上がったなら、あなたは真にご自身を肯定することができるでしょう。
汚れがなければ磨かれることはない
日常的に使う物は、その物の寿命に加えて、使われることで劣化・消耗していきます。
コレクション品として取り揃えるものは除いたとして、あらゆる物は使われるために生まれたといっても過言ではありませんよね。
ですが「手に馴染む」や「愛着」といった面では、私たちと物との間に、物質的ではない繋がりが生まれ、私たちはその繋がりに「特別性」を見出します。
またそういった特別性は、当事者のみが分かるからこそ、価値があるのでしょう。
あなたも様々な「好み」を持っているのではありませんか?
あなただけの「こだわり」は、幼少期はもちろんのこと、個人的な嗜好によって成り立っていることは確かです。
自分が好きなものに対する想いを話す時、多くの人は楽しそうに話し、時には時間の感覚さえ無くし、饒舌になってしまいます。
「私しか分からないこと」や「分かる人にしか分からないこと」を表現する時、私たちは自分から生まれ出る情熱を表現している、といえるでしょう。
そういう意味では、単に手を付けていない物や価値とは別に、「私だけの純粋性」という物を感じられませんか?
先ほどお伝えしたように、私たちは特定の善悪の基準や価値基準を持っています。
饒舌に話すあなたに対して、アレコレ批判をする人は、あなたを汚す人かもしれません。
ですが周り回って、あなたに付着した汚れが、あなたを強くするかもしれません。
単に「ものは考えようだ」という言葉を伝えるよりも、自分のエピソードを話した上で、相手を励ましたり、時に叱ったりする方が、納得されるはずなのです。
ベスタを解説する前振りとして、このようなお話をした理由は、あなたがご自分の人生のエピソードや要素に、ダメ出しをしていただきたくないから。
占星術は決して、あなたがご自身や世界を、1つの決まり切った答えに導くわけではありません。
むしろ宇宙は「自由」という「混沌」の世界であり、私たちの心も、澄み渡っている時もあれば、マグマが吹き出す時もあっていいのです。
あなたのベスタは、「なるべくしてなった今のあなた」とともに、「性的なエネルギー(創造性)の在りか」を見せてくれるでしょう。
あなたがいくら「汚れてしまった」や「歪んでしまった」と感じていても、悲観的なセルフイメージはいつでも書き換えることができます。
私たちはこれまで何度も転び、人と衝突し、人生に迷うことで、どれだけのエネルギーを費やしてきたことでしょう…。
私たちは過去を振り返ることや、ジャッジすることが当たり前になってしまっているのは、「一種のプログラム」の作用によるものです。
そのプログラムが本能的であれ、宇宙レベルでの計画であれ、私たちは自分に用意されたプログラムを解読することができます。
その解読の際に必要となるものが、「決めつけない視点」や「思い込みを自由にする」といった挑戦です。
挑戦と表現したのは、私たちは一度決めたことを覆すのが苦手で、本当は嫌なのに変えない頑固な心理といえるでしょう。
ベスタはあなたに、「最善の自己受容」を促すでしょう。
過去にあったこと、現在あること、これから起こるであるあらゆる事柄は、あなたが解釈するのですから。
あなたの解釈が、あなた自身はもちろんのこと、周りの人の喜びにもなるでしょう。
先ほど例に出した「バタフライエフェクト」は、言動だけでなく、心の在り方や性的エネルギーの変化にも適用することができます。
あなたがご自身を受け入れることは、宇宙への恩返しでもあり、多くの人への献身・貢献にもなるのですから。
献身と犠牲
人間関係とは難しいもので、良かれと思ってしたことが、返って事態を悪化させてしまったり、誰かの機嫌を損なってしまうこともあります。
一方的な献身は、相手との分かち合いを損ねることもあれば、損な役回りを引き受けることで、誰かの得を増やしてしまうことだってあるでしょう。
「何事も過ぎることは危険」というのは、ただ単に自分を害するからではありません。
耳にタコができるくらいお伝えしていますが、この世は二元性の原理によって成り立っています。
何かが増えれば、何かが減ります。
あなたが得をする時もあれば、損をする時もあるでしょう。
ですが、そのタイミングを計ることはできませんよね。
何事もシンプルに捉えられたらいいのですが、そう思った矢先に、私たちは善悪の基準を振りかざして、自分や誰かをジャッジしてしまうものです。
ベスタの象意に、義務や献身、貢献、責務といったものがあります。
家庭や社会だけでなく、人が存在する場所や時間には、「役割」が存在します。
あなたが活躍する場所や機会が増えれば増えるほど、あなたは誰かに役割を与え、またあなたも役割を与えられる存在です。
人間関係が最も悩ましい理由は、誰もが集団的無意識で繋がっていながら、顕在意識では全く違う思考や感情、言動のパターンを持ち、表現をするからに他なりません。
あなたの優しさは、誰かにとって甘えで、あなたの厳しさは、誰かにとって毒になる…。
では、誰も敵に回さず、損をしないためにはどうすればいいのでしょうか?
等身大のあなたを肯定するならば、あなた以外の人も肯定するのが道理ですよね。
となると、あなたが「善い」と思ったことを貫き、実際的な害が無ければ、他人の行いはすべて認めてしまうのが、答えといえるでしょう。
「それができたら何の苦労はない」という意見はもっともですが、ここで再び大切な視点があります。
私たちは「自分自身に不満や欠点を抱き、認められていないほどに、自分以外の人にも同じようにあって欲しいと願っていること」にお気づきでしょうか?
これもまた「プログラム」といえるでしょう。
私たちの人生は、1つの見方をすれば、「自分を認める物語」かもしれません。
あなたの人生というステージに、入れ替わり立ち代わり登場人物が現れ、物語の展開を手伝ってくれます。
脚本は宇宙と魂のあなたで、ストーリーは二転三転どころではなく、何度も同じ道を戻っては、道草をし、回り道をするシナリオかもしれません。
主人公のあなたには、あなたらしさという「主人公補正」が設けてあります。
それが太陽系10天体や四大惑星と星座に示されるわけですね。
あなたに関わるベスタの補正は、「あなたの純粋性の貫き方」や「あなたの貢献の仕方」となるでしょうか。
実際にところ、私たちは自分自身を幸せにしようと頑張っているうちは、最高の「宇宙貢献」をしています。
少し変わった意見かもしれませんが、私たちが自分自身を卑下したり、否定している時はもちろん、他人を陥れたり、傷つける時さえも、大いなる貢献をしています。
私たちと他者との間で起こるすべての行いには、本来善悪がありません。
ただ単に「因果」が行って戻って来る、というだけなのです。
あなたが主体的に誰かに貢献したい、誰かの役に立ちたい、という気持ちがあり、実際に行動に移した時、批判や非難を受けるなら、それを受け入れてください。
あなたが能動的に誰かの犠牲になったり、被害妄想になったり、利用されたりしたら、その事実も認めてください。
受け止めることや受け入れること、認めることは、痛みが伴うかもしれませんし、あなたを傷つけるかもしれません。
ですがあなたが事実を認めない方が、実はあなたを苦しめることになります。
私たちは誰のために生きているのでしょうか?
自分だけのためでしょうか?
家族や親しい人のためだけでしょうか?
私たちのために悪役を買って出てくれるあらゆる人や、一言も言葉を交わさない人、テレビの向こう側の人とは無関係なのでしょうか?
社会や世界に臨む時、私たちはこれまでの知識や経験を総動員し、それがパターンや癖となって表れます。
あなたがご自身を認めることができた次に、もしくは同時並行で、他人を認めることで、あなたの人生は華やかさを増していくでしょう。
こういった壮大で、不可思議な働きが、あなたがご自身に使命や義務を課すように促すのかもしれません。
あなたがご自分に責務を課したからには、成果や収穫を受け取る時が訪れます。
その時に現れ、あなたを成長させる存在が、異性や特別な同性で、あなたとの性的なコンプレックスの「認め合い」の物語を展開するのです。
コンプレックスは継承かオリジナルか?
結論をお伝えしますと、コンプレックスはオリジナル (自分自身の創造) であると提案します。
この意見に賛否両論があることを予め自覚しつつ、その理由を述べさせていただきますね。
どのような環境に生まれても、卑屈な人は卑屈ですし、屈強な人は屈強です。
極端な例を出しますが、チベット僧がラスベガスでカジノで遊び回った後、再びチベットに帰った後、その方々は修行にすんなり戻り、カジノに対する執着は残らなかったとか。
私たちの誰もが出家ができるわけではありませんし、世捨て人になったり、持ち物すべてを処分するわけではありません。
ですが「私たちの日常が修行そのものである」という面は、多分にあるといえるでしょう。
チベット僧の例を出したのは、本来的に持っている強い意志や価値観は、相当な時間をかけなければ変わらない、ということをお伝えするためです。
確かにコンプレックスになり得る要素は沢山存在します。
今回の講座の冒頭でお話した通り、物事には本来善悪の価値基準は存在していません。
その証拠に、優しくされることが苦手(コンプレックス)に感じる人もいますし、愛されることが怖い人もいます。
占星術やホロスコープだけでなく、人生の出来事を肯定的に捉えるということは、「損得勘定」を一端脇に置く必要があるのですね。
私たちは「意味づけ」をする思考に慣れ、また感情の区別を「快か不快か」に分けて感じます。
実際にところ、感情はグラデーションのようになっていて、捉える側の価値観によって、意味づけと区別をするものなのです。
かといって、苦しみや試練、挑戦や苦手意識が称えられるべきである、というわけではありません。
この占星術講座でお伝えしている「二元性の原理」の根本は、「異なるベクトル」や「異なる性質の性的エネルギー」を指しています。
あなたがある出来事を「快」と「不快」のどちらを選ぼうと、それは事実や選択、原因と結果があるだけなのです。
そういう意味で、コンプレックスを平たく考えますと、私たちが要素を取り入れて、自身に課した「使命」ということもできます。
私たちが事実を受け入れるだけに、多くの時間と労力を要することもまた、事実であるだけなのですね。
コンプレックスと性的エネルギーへの反応
再び大切な視点ですが、コンプレックスは果たして害なのでしょうか?
コンプレックスが存在している事実があるを認めた上で、あなたが持っているコンプレックスを害だと判断すると、コンプレックスを生んだ環境も悪になってしまうのでしょうか?
コンプレックスさえも「個性」や「主人公補正」と受け捉える時、私たちはやっと、本当の願望を見つけることができます。
性的なコンプレックスを想起させる事柄をすべて排除・回避することも、コンプレックスを書き換える体験をすることも、すべて経験です。
ベスタは私たちが持つ、「異なる性的エネルギーを持つ人」に対する反応や癖を表します。
コンプレックスは決して「有害な要素」だけを意味しません。
コンプレックスは抵抗や反抗、恐怖や不安を意味することが多いかもしれませんが、執着や愛着に含まれることがあります。
要するに、「あなたがこだわる理由」があれば、何でもコンプレックスになるのです。
家族にべったりの人は、ファミリーコンプレックスで、好意的な捉え方をすれば、家族思いですが、他者との関わりを避ける傾向が強ければ、臆病ともいえますよね。
私たちにとって、両親は絶大なる影響力を持つ存在ですが、人生の展開によっては徐々に影響力を失っていきます。
ですが内在的に残った両親からの影響力は、私たち自身が強めることも、薄めることもできるでしょう。
両親だけでなく、身内の中でよく似た性格や人生観を持つ人がいる場合も、影響力があるといっていいかもしれません。
コンプレックスは「苦手意識」や「過剰反応を引き起こす要素」の他に、「私が私であるための理由」という面ものを持ち併せています。
コンプレックスという単語の別の意味は、「複雑」であるように、心理的・性的なコンプレックスは一筋縄ではいかないものです。
占星術的に考えると、ベスタは個人天体から社会天体に移ろうとする、「自我意識の拡大」に関わりますから、「他者との繋がり」に焦点を当てます。
ベスタは、私たちが根源的に持っている「性的エネルギーの統合・調和」、つまり「与える経験」と「受け取る経験」を補い合う際の障壁や障害を教えてくれるのです。
私たちは物事を1つずつ見聞きし、知識として多くの経験を蓄えた後、それらを判断材料とします。
ですから私たちは既に持っている概念や価値観に誘導されている、ともいえるでしょう。
性的エネルギー(働き)へのコンプレックスは、多くの場合「足かせ」となりますが、その足かせによって、性的エネルギーの調和に必要な要素を見出すこともできます。
ベスタは「処女性(純粋性)」を意味する小惑星であるとともに、「自分の潔白や純潔を守るために、コンプレックスを貫く働き」が備わっていることを教えてくれるのです。
となると、性的エネルギーへの反応さえも、事実として捉えることができれば、私たちはまた1つ自分自身を認めることができます。
大切なことは、あなたの人生に設定された「主人公補正」を受け入れた後に、あなたが本来の生き方を内面から見出すこと、この1点です。
私たちは無意識に他者と触れ合っているようで、実は誰もが性的エネルギーの観点から、他者との相性や相克を判断しています。
ですから私たちは外見だけでは、他者と望ましい関係性を期待することも成就することもできないのでしょう。
ベスタの基本情報でお伝えしたように、ベスタは乙女座と蠍座に関連があるといわれています。
乙女座は責務や使命に対して強い意識を、蠍座は献身的で、自己犠牲をはらむ性質を象徴する星座です。
往々にしてベスタは、あなたが他者と社会と向き合う時に、あなたが大切に、または障害とする要素であり、それは昇華することができることを教えてくれます。
DNAの螺旋のように、人と人は異なるエネルギーの働きをしながらも、自身と相手に対して必要不可欠な役割を提供し合う存在です。
あなたはこの一文をどのように捉えているでしょうか?
交際相手や結婚相手、運命の人やご縁のある人だけにこだわらず、私たちは数えきれない人にエネルギーを提供することができます。
あなたにとって苦手な人は、誰かにとって特別な人であることは不思議なことではありません。
あなたがご自分の中の性的なコンプレックスを見つめ、受け止め、そして認められる時、あなたにはその作業を手伝ってくれる人や、導いてくれる人が訪れることでしょう。
ホロスコープに映し出される要素はどれも、あなたの人生を決めつけたり、誘導するものではありません。
むしろあなたに選択の余地を与え、何度でも挑戦の機会があること、そしてなによりあなたには、「個性を経験する」というギフトが与えられているのです。
ベスタはあなたがあなたであるために必要であるもの、また他者のためにあなたが守ってきたものがあることを伝えています。
あなたは性的エネルギーを与えることも、受け取ることもでき、その際コンプレックスは、あなたの性的エネルギーの滞りだけでなく、「自愛」と「他愛」の目印でもあるのです。
【12星座別】ベスタの意味
あなたのホロスコープでは、ベスタはどの星座にありますか?
天体と同じように、小惑星も必ずどこかの星座に位置し、小惑星のエネルギーや象意が星座を通して現れます。
先ほどもお伝えしたように、小惑星の影響力は、10天体よりも小さいと考えられていますが、ホロスコープの条件によっては、小惑星が強調されることもあるでしょう。
小惑星がどの星座にあり、10天体とのつながり方を知ることで、あなたはホロスコープをより深く読み解くことができます。
小惑星と星座の関係は、あなたの人生を通してどこかに必ず見つけることができるでしょう。
私たちは「なぜだか分からないこと」を明かしていくことで、自分を知り、自分像をより明確にすることができます。
それでは、ベスタの星座の意味を見ていきましょう!
ベスタ × 牡羊座
牡羊座は、自分の内面から動機を生み出す星座です。
プライベートであれ社会的な場であれ、「個」としての意識が牡羊座を成長させ、他者への貢献へと導きます。
ですから牡羊座にとっては、「主体性」が「純粋性(処女性)」となり、自分自身の動機に正直であるほどに、他者や社会への貢献・献身ができると捉えることができるでしょう。
星座によって、「自意識」や「アイデンティティ」の在り方や保ち方が異なり、牡羊座は誰にも支配されないことが重要となります。
牡羊座の性的エネルギーは、自身が内面から生まれる意志が情熱を認めることによって、膨大なエネルギーを生み、自信と自尊心、他者への働きかける余裕と優しさを生むでしょう。
男性性である牡羊座は、自分自身を認めることを最もストレートに表現し、ベスタは牡羊座に「自分自身を頼ること」を教えます。
個人主義で生きる喜びと、「内的欲求や自己実現が誰かのためになる」という意志は、決して独りよがりの願望ではありません。
自己中心的になり、他者の意見や感情を蔑ろにする時、牡羊座のベスタは遠慮や弁えることを覚えますが、それでも尚、内なる情熱を絶やすことはないでしょう。
どの星座であれ、「自分は1人では生きていない」ことを深く実感した時、自分自身を生きることに誇りを抱くことができます。
ベスタ × 牡牛座
牡牛座は「安定」や「豊かさの実感」に強い関心を抱く星座です。
牡牛座は物質的な成果だけでなく、日々を安心して暮らすことが心の安定につながり、「私を支える時間・空間」が、性的エネルギーを安定的に生み出すことを可能にします。
牡牛座のベスタとっての純粋性は、「自分自身を満足させること」です。
「私が!私が!」という自己主張ではなく、粛々と自分を満たすものを探し、蓄えるのが牡牛座の欲求であり、エネルギーの補給方法。
また牡牛座のベスタの性的エネルギーは、自分自身を満たしてからでしか、他者や社会に貢献することがない、とさえいえるでしょう。
牡牛座のベスタは当人だけでなく、人生で関わるすべての人に、「自分自身を満たす喜び」とともに、「自分以外の存在のために自分自身を喜ばせる」重要性を教えます。
肯定的に生きる人は他者に寛容ですが、自分自身を満たすことができていない人は、他者に対して厳しく、また偏った目線を送るものです。
心が安定していない、性的エネルギーが歪んでいる、他者との関係が上手くいかないなどは、すべて自分自身を満たすことが不足している証拠といえるでしょう。
牡牛座のベスタが安定や物質的豊かさを求め過ぎる時、「自己保身」や「煩悩」に意識が止まっている時です。
自分を満たすことを自分の中で止めることなく、周りへ伝播させることで、わがままや不公平といった印象や評価を回避することができるでしょう。
ベスタ × 双子座
双子座はコミュニケーションの星座であり、他者との交流に喜びを感じる星座です。
言葉とは、表現や対話の手段だけでなく、私たちの思考や感情をはじめ、あらゆる概念や価値観を決定する絶大な力を持ちます。
双子座のベスタは、言葉を用いてコミュニケーションを楽しみ、言葉がもたらす喜びを絶えず試めしたがるでしょう。
風星座である双子座は、自身の思考を鍛え、自然と他者に刺激を与えることで、性的エネルギーが循環します。
双子座のベスタは、言葉によって、自分が人を楽しませることも、人をからかったり、騙すことができることを学ぶのです。
どのような場合であれ、私たちの性的エネルギーは、他者から好ましいフィードバックを得ることで、新しいエネルギーが生まれます。
双子座のベスタは、言葉を操ることに楽しみを見出す一方で、言葉をどのように扱うべきかを自身で体験し、また周りに見せるお手本になることもできるでしょう。
そして思考や言葉を上手く操ることが、人生のハンドルを握ることであると、双子座のベスタは教えます。
「自分の言葉が誰かを満たす」という意志がある時、双子座のベスタは自分自身の生き方や振る舞いに満足し、また他者への貢献をしている実感が得られるでしょう。
大切なことは、意志を立てるだけでなく、実際に行動に移してフィードバックを得ることなのです。
ベスタ × 蟹座
蟹座は貢献や献身といった意識が強い星座で、他者との繋がりに重きを置く星座です。
誰にでも承認欲求や自己顕示欲はありますし、プログラムとして設定されている欲求から目を逸らすことは、性的エネルギーに歪みを与えます。
蟹座のベスタは「必要とされたい」という願望ともに、「他者に必要とする欲求を提供する」という与える側の役目も果たすでしょう。
人は「与えられていること」を自覚する時、「恵まれている」という実感を得ますが、「当たり前なこと」や「他者の本心」を絶えず意識しないかもしれません。
蟹座のベスタは、「他者の性的エネルギーが自分に向いていること」に満足を得ます。
水星座である蟹座は、他者との感情のやり取りによって満たされることで、性的エネルギーが循環するのです。
誰でも自分自身を最優先に生きていますし、自分自身を無下に扱うことは、自分を大切にしてくれる人に背を向けることでもあります。
蟹座のベスタは、「他者を求める喜び・他者に求められる喜び」とともに、他者への献身によって自分が傷つき、それによって他者も傷つける可能性を教える存在です。
私たちの人生は日々の積み重ねであり、どれだけ自分自身と他者を大切にするかで、幸福度が変わっていくでしょう。
自分自身の感情を育てるだけでなく、他者への思いやりを経験する蟹座のベスタは、「1人では生きていない」という事実を世界に表現しているのです。
ベスタ × 獅子座
獅子座は「自分自身を生きる喜び」を体現する星座で、あらゆる経験に楽しみを見出す星座です。
獅子座が持つ情熱は、自分自身を光らせるだけでなく、他者の内面にある喜びの種を照らします。
人の好みはそれぞれですし、価値観やコンプレックスも様々ですが、現実をどのように捉えるかは私たちの自由。
獅子座のベスタは「自分自身に喜びを与えること」によって、自分自身を満たし、他者や社会に貢献します。
どの星座であれリーダーシップを発揮することはできますが、リーダーであることに喜びを感じたり、性的エネルギーが活性化されるかは、その人の意志によって異なるでしょう。
その点獅子座のベスタは、自分の人生に輝きをもたらすことにエネルギーを注ぐことが、自然と多くの人を引き込みます。
太陽を支配星に持つ獅子座は、「自己信頼=人生を楽しむ」という意識によって、肯定的な人生を歩むことができるのです。
性的エネルギーが生まれる時は、自分自身に素直であることや、他者とのギブアンドテイクが上手くいっている時。
それらを「創造」と呼ぶことができます。
自分を他者や社会から切り離し、日常や人生を孤独や孤立なものと思い込んだり、決めつけることで、私たちは創造性を失っていくのです。
獅子座のベスタは「人生を楽しむこと」を通して、他者と繋がる喜びとともに、「与える影響力」が人を成長させることを教えます。
それは人によって「希望の光」にもなれば、「憧れ」や「羨望」にもなるでしょう。
主体的に生きるだけでなく、「誰かのために自分が存在している」という意識があることで、私たちの自己信頼は高まるのです。
ベスタ × 乙女座
乙女座は責務やルールを全うし、周囲の環境や関係性を整えることを得意とする星座です。
私たちは環境によって立ち振る舞いを変えるのは、環境から求められるからですね。
ですから人によっては、カメレオンのように場面によっては多重人格のように見えてしまうこともあっても不思議ではありません。
その点乙女座は、現実主義であるだけでなく、自分自身と環境を持続的に繋げ、「律儀であること」を道徳とする面があります。
自分に素直であることが大切であるならば、私たちが持つあらゆる欲求や衝動は表現するべきです。
ですから乙女座のベスタは、環境を整えたり、仕事の責務や任務を全うすること、ルールに従うことなどはこなして当然と考えますし、そうすることで自分自身を保っています。
自分自身を保つことは、結局誰かのためになりますから、安定的に同じ態度や印象を見せることは信頼につながりやすいのが事実です。
乙女座のベスタは、過度の「集中力」や「完璧主義」が身を滅ぼすことを教えます。
それは自分自身を保つことはもちろん、仕事や他者との関わりを継続していくために気を付けなければいけません。
私たちの言動の端々には、内在している意識や欲求が見え隠れし、目の前のことに集中し、他の事柄には一切目もくれないとなると、性的エネルギーが滞ってしまいます。
乙女座のベスタは、「自己犠牲と献身」のどちらを選ぶことが、あなた自身のためになるかを問いかけるでしょう。
乙女座は、個人の物語を締め括る6番目の星座。
乙女座は「相手のためを思っての言動」が、自己満足や自己保身、独りよがりで終えないための大切なメッセージを伝えています。
生産的・効率的・持続的に創造性(性的エネルギー)を生み出すためには、私たちは自分自身を満たしたと同時に、他者との喜びの与え合いが必要なのです。
ベスタ × 天秤座
天秤座は星座の物語に当てはめると、「社会的な私を生きること」を自分に見出し、「他者とともに生きること」に焦点を当てる星座といえます。
そのため天秤座は「客観性」を強く意識し、自意識や自己中心性を過度に表現することを控える意識が強いのです。
客観性とは、比較対象を求めることだけによって得られるものではありませんし、自分と他者を比較することが常に正しいわけではありません。
自己信頼とともに他者貢献を実現するためには、「全体の中でどのように生きるか」ということを意識し、自らの思考や感情、言動の癖を内観することが重要になります。
ですから天秤座は、自分自身が他者と公平であるために、感性や感覚、視野や意識を広げます。
天秤座のベスタの創造性(性的エネルギー)は、自分の中に閉じこもったり、自分を満たすだけでは生まれにくいといえるでしょう。
天秤座のベスタは、他者との関わりの中で認められることに美徳を置き、その実感が創造性(性的エネルギー)を生み出すのです。
天秤座は客観性に富んでいますが、主体性が無いところが盲点になりやすいといわれるのは、「社会的な私」の中に自己の欲求が飲み込まれてしまうからでしょう。
とはいえ、天秤座は自分自身を満たすために他者が必要であるだけで、自分自身の存在を蔑ろにしているわけではありません。
「他者があって自分を捉えることができる」という事実は、私たちを孤独から救ってくれますし、他者との繋がりに充実感を感じさせてくれるのですから。
ただ大切なことは、客観性や他者の意見を取り込んでも、内在する願望や夢を無かったことにしないこと。
天秤座のベスタは、客観性によってもたらされる喜びとバランス感覚が、自分自身と他者を活かす社会性を教えてくれるのです。
ベスタ × 蠍座
蠍座は「強い執着」と「深い忍耐」という相対する要素を抱える星座です。
蠍座が抱く願望は、「自分が求める他者との一体感」であり、「他者にも同じように求められたい」という願望でもあります。
蠍座は男性性を表す火星を副支配星に持ち、生死や死後の世界を司る冥王星を支配星に持つため、「内的な葛藤」を抱えやすい星座です。
蠍座にとっての性的エネルギーは、他者との密接な関わりにより、肉体と精神が充足されることを意味します。
これは根源的な生命エネルギーである性のエネルギーが、「生きること(生)」に直結していることを蠍座は体現しているのです。
蠍座のベスタは、他者のために自分の才能や能力を使い、自分のために他者を活かそうとします。
それは一重に、「自分のため=相手のため」という方程式が、創造性(性的エネルギー)を生み出すからです。
ですが特別な相手との関係性に、「不一致」や「成就しない現実」が起こる時、蠍座は喪失感を味わいます。
その喪失感は蠍座を深い内省と自己嫌悪に導き、ある種「生まれ変わり」を体験させるでしょう。
蠍座はすべての願望が叶うわけではないことと同時に、願望や執着が満たされなくても、人は蘇ることができることを教えてくれます。
蠍座は生と性を見据え、いかに他者とともに願望を叶えられるかを模索し、性的エネルギーの創出を願います。
蠍座のベスタは、「隠された願望」や「真の願望」を解き明かすだけでなく、他者との関わりから生まれる性的エネルギーが、爆発的な力を持つことを世界に示す星座なのです。
その爆発的な力は、「より善い願望と他者」のために向けるべきですし、暴走させると自身と他者を追い詰めてしまいます。
それくらいに性的エネルギーの扱いと、自分自身を満たすことが重要なのですね。
ベスタ × 射手座
射手座は内面だけでなく、外側の世界に「信念」や「理想」の判断基準を求め、「自分自身と他者・外的な世界の理解」のためにエネルギーを使う星座です。
また射手座は、内側と外側の両方に意識のベクトルを向け、「内的に燃える情熱」と「外側の世界で輝く生命エネルギー」を結び付けようとします。
それは射手座が自分自身を鍛錬するだけでは満たされず、「他者や世界に貢献したい」という欲求が強いからです。
その欲求の表現方法は、自分自身であること、あらゆる物事を探究すること、他者との交流を精力的に行うことなど多岐に渡ります。
射手座は木星を支配星に持ち、意識の拡大と成長が常に促され、「自分自身の成長が他者への貢献になる」という意志を芽生えさせるでしょう。
こういった意志が無自覚の場合でも、よく人に注目されたり、評価されたりすることで、「自分と他者の違い」にフォーカスを当てることになります。
射手座のベスタは、他者と調和的な関係性を築くことを好むととも、自身に対しても他者に対しても、放任主義な態度を取るでしょう。
それは誰の意志も縛られることがなく、縛られることは、創造性(性的エネルギー)の創出を阻害することを理解してるからです。
射手座のベスタは、「理解すること」を内的・外的の両面で試し、動き続けることで生命エネルギーが循環していきます。
ただ射手座の動き方が、闇雲に、盲目的である時、手段と目的が逆になることで、日常や性的エネルギーが空回りしないように気をつける必要があるでしょう。
ベスタ × 山羊座
山羊座は「組織」や「構造」といった繋がりの中に身を置き、社会的な成果や功績にエネルギーを使う星座です。
私たちは世界の一部で、その事実を「駒」や「歯車」という表現をする人は、合理的に物事を考える人で、山羊座的な人といえるでしょう。
山羊座の意識は、物質的な豊かさや統制を成し遂げる以上に、仕組みや導線によって人々が居場所を与えられ、人との交流を得られることに集中しています。
山羊座のベスタは、個人的な野心や成功を社会で叶えることを願い、そのために必要なルールや順序を甘んじて辿り、実力と評価を得ることが得意です。
権力や利権、社会的ステータスは、持続されることがなければ次第に信用を失ってしまいます。
そのためベスタは、組織や構造という環境を自分に与え、その中で成果を出すことによって、逃げ道を失くすのではなく、その環境そのものを活躍の場とするのです。
山羊座のベスタは、自分自身が構造や枠組みの中で活躍することが、他者と社会、敷いては人間の文明社会のためになると思える時、創造性(性的エネルギー)が生まれます。
山羊座のベスタは自身に責任を課すだけでなく、「公の私」という立ち位置を見出すことで、損得勘定や目先の利益に目もくれず、長期的な計画を進めていくのです。
山羊座のベスタは、「社会的・対外的な面での私」がすべてであると捉えている時、自身の感情をも見失い、他者への思いやりが薄れてしまうでしょう。
人をまとめたり、管理したり、導く存在であっても、自分自身を満たし、感情を尊ぶことを決して忘れてはいけないのですね。
ベスタ × 水瓶座
水瓶座は「理想」と「独創性」の星座で、よく天才性という表現が当てられる星座でもあります。
水瓶座は、既存の規範や常識を精査し、自分自身と親しい人々にとっての喜びを見出すことに意識を当て、実際的に行動によって意志を示す星座です。
星座の物語は、常に「自己」と「他者」を行ったり来たりすることで、成長や発展が表現されるのですが、水瓶座は「自己の理解」や「自己の理想」がピークに達する段階。
水瓶座のベスタは、「個人」と「全体」の意識の距離が近いために、普段の行動が社会的であったり、人を感化させる側面を持ちます。
「自分自身を満たすこと」は、自分の欲求を満たすだけではなく、他者に「問題意識」を与えることにも表されるでしょう。
その手段は様々で、社会活動や道徳的な活動であったり、自己啓発や芸術といった分野で発揮されます。
水瓶座のベスタが持つ「全体性」は、まだ自分自身の意識の範囲に留まっていますが、それは水瓶座が「自らの意志を立てる人が増えること」を願望に持つからに過ぎません。
ワンネスやホールネス、全体性は、「すべてが一色」であると理解されることが多いですが、「それぞれの意志が繋がる」という解釈の方が健全といえるでしょう。
なぜなら水瓶座が示す独創性は、自身と他者の性的エネルギーを肯定し、従属意識で生きることを選ばないからです。
私は誰かに支配される時、自身の意思決定だけでなく、創造性(性的エネルギー)を奪われています。
そのことを強く訴えるのが水瓶座であり、他者への貢献と献身は、自己犠牲や被害者意識では成立しない、ということを誰もが自覚する必要があるのです。
「すべての事柄に善悪は無い」という道理を振り返ると、支配することも支配されることも善悪は無いのかもしれません。
ですが私たちは自身を満たし、他者を活かすということに関しては、「成就しないという選択」をしている、ということになります。
水瓶座のベスタは公平性を重んじますが、ただ単に自由を謳歌するのではなく、誰もが自立して、自身の意志によって繋がることがより善い世界を創ることを教えてくれるのです。
ベスタ × 魚座
魚座は「感受性」や「寛容性」といった広く深い意識を持った星座です。
星座の物語の最終局面である魚座は、私たちの人生が感情や精神性によって充実することを教える星座でもあります。
魚座は海王星を支配星に持ち、「物質世界を生み出す潜象世界」への意識に向け、性的エネルギーの源から気づきを得る星座なのです。
あらゆるエネルギーは、物質性と精神性の両側面に働きかけ、私たちを刺激して行動させることもあれば、癒しや安らぎも与えもします。
魚座のベスタは、性的エネルギーは自己と他者とを活かすためにあることを理解し、大宇宙や大自然から導きを得ることで、自身と他者を満たすことを学ぶのです。
「言葉さえも要らない」や「物質的な満足は必要無い」ということが崇高である、ということではありません。
物質世界に生きる私たちにとって、目に見えるもの・物質が判断基準になりやすいのですが、実際に意思決定や感情の充足は、目に見えない感覚や感情によって行われます。
魚座のベスタは、目に見える要素と目に見えない要素のどちらをも肯定し、少なくとも注目されづらい目に見えない領域に比重を置いている、と捉えると健全かもしれません。
私たちは何も持たずに生まれ、あらゆる物に囲まれて、何も持たずに肉体を去るように定められています。
「あの世に物は持っていくことができない」ということは、なにも宗教的な教えや妄想ではなく、現実です。
私たちは物質の豊かさを体験しながら、精神的な経験を他者と分け合っているのが人生といえるでしょう。
魚座のベスタは、いかに他者に癒しや気づき、温もりを与えられるかを考え、「与えることができる自分」を自覚している時に、性的エネルギーが生まれます。
蠍座のベスタの項目でもお伝えした通り、生と性は直結していて、私たちは自分自身の生と生の在り方や質を自覚することによって、自身と他者との関わり方を覚えていくのです。
目に見えない世界を妄信するのではなく、ちゃんと目に見えない世界に支えられ、生かされていることを信頼することで、安心して物質世界を生きていけるのですから。
ベスタの影響力
四大小惑星は、太陽系10天体に比べて影響力が少ないといわれています。
ここで一旦立ち止まり、その理由を振り返ってみましょう。
惑星や準惑星、小惑星の定義は、天体の質量や大きさによって区分けされることは、何度もお伝えしましたね。
占星術的には、太陽から遠い天体ほど強い影響力を持つ、というが暗黙のルールです。
また個人天体・社会天体・小惑星・トランスサタニアンの4つは、私たちに異なる影響力を持つとともに、私たちの時間の感覚にまで影響を及ぼします。
セレス / ケレス・パラス・ジュノー・ベスタの四大小惑星の公転周期は、土星の2年半の公転周期に次いで、すべて4年半以内です。
4年半の間に、私たちの人生は大きく変わりますよね。
分かりやすい例がオリンピックかもしれません。
一般的に私たちが成人した後、「社会的な私」という側面は途切れることがなくなり、むしろ社会的な影響力や貢献をより一層必要とされていく、とさえいえます。
ベスタをはじめ、これまで解説してきました四大小惑星は、「個人の領域で留めていた私」が社会で発揮されることを暗示しているようです。
太陽・月・水星・金星・火星の5つの個人天体は、日常的であるとともに、表面に表れやすい要素を持っています。
一方で木星と土星は、私たち個人を「押し流していく」勢いと働きを持ち、トランスサタニアンはもはや潜在的な作用が強く、コントロールがききません。
個人天体とそれ以降の天体は、「意識」と「コントロール」が内面でできるか、不可抗力の力が働くか、という大きな違いがあるといえるでしょう。
その点小惑星は、内面にある要素を自覚するだけでなく、外の世界からやって来る「他者が持つ要素」と出会うことから、エネルギーの転換や変化が始まります。
性的エネルギーといえば、火星 (男性性・行動力) と金星 (女性性・受容性) は、本質的に持っている性的エネルギーや言動の傾向をストレートに表す「欲求」のようなものです。
微妙な違いになりますが、四大小惑星が示す性的エネルギーは、自分だけのエネルギーの発散ではなく、相手がいて体験できる「エネルギー転換」が重要になります。
実家での暮らししか知らない人と、転勤や出張、引っ越しや1人暮らし、海外生活を経験している人では、日常に関する価値観は異なるでしょう。
あくまで例ですが、恋愛をせずに結婚した人と、恋愛や同棲を経て結婚した人では、恋と愛の価値観、また自愛や自己受容の感覚や価値観も異なるはずです。
火星と金星は、内在する欲求を叶えるべく対象を教えてくれ、四大小惑星は、自分と相手が持ち、惹かれ合う根源的な性のエネルギーの質を教えてくれます。
四大小惑星に限らずあらゆる天体は、アセンダント・MC・ディセンダント・ICの4つのポイントとの関係性や、他の天体とのアスペクトにより、その影響力を示すものです。
4つのポイントとアスペクトについては、後の講座で詳しく説明させていただきますね!
ベスタの影響力は、あなたに内省を促す出来事が起こった時、異性との関わりで大きな決断や迷いが生じる時、プライベートと社会生活が連動する時などに強く出るでしょう。
ベスタの影響を自覚する時のポイントとしては、恋愛感情や性的欲求だけでなく、トラウマやコンプレックス、人格や自我意識を揺さぶり、変化を望む時といえます。
なぜならあなたは、「人生にセットされた性的エネルギーの統合・調和」を、お相手と経験したいと望むからです。
それこそ善悪の基準や常識では、到底説明がつかないような出会いや事の運びが起こるかもしれませんし、あなた自身も勇気と恐怖心を抱くかもしれません。
そしてベスタがあなたに教える他の暗示として、「罪悪感」があります。
先ほど「幸せや優しさが怖い人もいる」というようなことをお話しましたよね。
なぜ幸せになってはいけないのでしょう?
なぜ優しくされる資格がないと感じてしまうのでしょう?
もしその解釈があなたが求める望みと真逆であることを知ったら、あなたは拒否し続けるでしょうか?
ベスタはあなたが内面に罪悪感があることを自覚し、あなたが拒否しても尚、その罪悪感を解消する役目を買って出てくれる人に出会った時、あなたの性的エネルギーは変化します。
願望実現や自己実現は、ただ待っているだけでは何も始まりません。
痛くても怖くても、何か1つの変化を実現・体験する時、「私にもできた!という自己信頼」が、思い込みを剥がします。
人とのつながりも同じで、傷つくことは確かに辛いですが、辛いことが悪であると決め、逃げる腰では真の愛を体験することはできないでしょう。
ベスタは10天体よりも影響力が強くないかもしれません。
ですが小惑星の影響力は、あなたが他者との繋がりによって立ち止まり、内省をする時、隙間を縫って、あなたに気づきを与えるでしょう。
そういった時のあなたは、欲望や欲求と、トラウマやコンプレックスのどちらかを選ぶのではなく、どちらも少しずつ昇華していこうと思えるはずです。
そういう意味では、ベスタの影響力は小さく、また頻度は少なくとも、あなたの性的エネルギーの変化・転換を引き起こす起爆剤となる天体といえるでしょう。
ベスタとハウス
ハウスについての解説は、ハウス別の講座で行いますが、軽くベスタが入るハウスについても触れておきます。
10天体すべては、あなたの心・魂・意識の要素です。
ハウスは、あなたの人生や時間の流れ、成長段階のテーマを表します。
ベスタが入るハウスに着目することで①「使命」や「献身」を発揮する場所、② 性的コンプレックスを抱きやすい場面や要素などを知ることができるでしょう。
12つのハウスは、私たちの人生の段階を示し、人生の流れを指し示しています。
人生の流れとは、成長段階や力が発揮される場所・場面・タイミングなどを意味し、天体が位置することで、その天体が持つ要素や働き、作用が強く・濃く反映されるでしょう。
星座とハウスとでは、影響力の解釈が異なります。
四大小惑星が位置するハウスによって、それぞれの天体が持つ根源的な役割や働きを読み解くことができるでしょう。
もし同じハウスに他の天体があれば、そのハウスにおいて重要な意味を持つと考えられますし、そのハウスが持つ象意に注目せざるを得なくなる、とも考えられます。
四大小惑星を読み解く時、星座から表される性質と、ハウスによる役割とを分け、総合的に判断するとよいでしょう。
ハウスに関する詳細は、後の講座で詳しく解説しますので、楽しみにしていてくださいね!
ベスタが位置する星座の度数
ホロスコープは12分割して、12つの星座とハウスが配分されているということは、これまでの講座でお伝えしましたね。
また360度の円を12分割し、それぞれの星座には更に30度の部屋があり、あなたのベスタが位置する度数によって、「あなたのベスタ」の特徴が分かります。
ちなみに1つの星座の度数は、0度~29.99度の間で、30度は次の星座の0度となります。
また1つの星座は、1~9度、10~19度、20~29度の3つの区分けで考えられます。
違う考え方として、5度毎にグループ分けをして、更に細分化する解説もあります。
物事は細分化することで、より深く、また明確に特徴を掴むことができますが、最初のうちは3グループに分けるところから始めてみましょう!
サビアンシンボル
サビアンシンボルとは、星座の度数の1つひとつに、意味やメッセージがあるというものです。
サビアンシンボルについては、また後の講座で解説していきますが、あなたのベスタが位置する星座の度数をまずチェックしてください。
そして、ベスタの度数に+1度足したサビアンシンボルのメッセージを読んだり、その度数のサビアンシンボルの解説の中からビビッと来た言葉や表現を選びましょう。
サビアンシンボルに限らず、天体が位置する度数の前後1度、合計3度を合わせて見ると「流れ」が掴みやすくなります。
サビアンシンボルは、度数自体に関するメッセージですから、あなたのベスタと、ベスタが位置する星座とハウスと絡めると、より多くの情報や閃きが沸いて来るはずです。
とはいえ、現代占星術ではホロスコープリーディングの際に活用されますから、10天体とともに、小惑星のサビアンシンボルもチェックしておいてくださいね!
ベスタは性的エネルギーの創出の在りかを教える!
今回は四大小惑星の最後・四番目として、ベスタの解説をさせていただきました。
小惑星の存在は、認めなければその影響は存在しない、とは言い切れないのではないでしょうか?
天体の発見は、人間の文明と意識進化と比例していますし、占星術の発展も広く深くなっていく一方です。
ベスタは、性的エネルギーの統合や調和のために働くとともに、日常的・社会的責務や使命に対する意識も意味します。
ベスタをこれまでと違う表現で言い表すなら、「集中力」や「集約」となるでしょうか。
例えば乙女座はルーティンやルールを重んじ、長期的に任務を全うすることで有名ですし、蠍座は他者との交わりと執着、また深い洞察力を発揮します。
これら2つの星座に集中することは、「1つのことに対する働きかけ」です。
ホロスコープも大宇宙も、360度あり、意識もエネルギーもどこへでも向けることができます。
ただ物質化や現実化、目的の実現となりますと、1つの方向にエネルギーを使うことが最も効率的で、また成果が出やすいです。
ベスタはあなたに、「内なるこだわり」や「あなたを縛る要素」を認める手伝いをしてくれます。
こだわりや縛りは、内側やエネルギーを溜め込むことで、外側からの影響力を無効化しますが、中身は本人でさえ開けてからしか見ることはできません。
この占星術講座では、何度も「自分に素直になることが大切」ということを繰り返していますが、「どうやって大切にするのか」ということを毎回違う角度からお話しています。
私たちの人生は、「個としての生命力」と、「全体としての生命力」の呼応によって成り立ち、私たちは誰も1人では生きていません。
あなたのコンプレックスも罪悪感も、その種となるものは、必ず誰かが実際に用意したから存在します。
またあなたがどのようにその種を育てるかで、ご自身の性的エネルギー(生命力) や、他者との関わり方が決定されてきたことでしょう。
あなたはどのようなご自身と出会っても、すべてご自分の「一部」と捉えるだけで十分です。
すべてがあなたであって、どのようなあなたであっても、あなたは決して損なわれることはありませんし、誰も傷つけることはありません。
また1つご自分の要素を見つけ、あなたはご自分を認めることができるようになりましたね。
ベスタがあなたに内在する要素を伝え、ご自身を大切にする力を与えてくれますように!
それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次の小惑星別「リリス」の講座でお会いしましょう!
コメント
こんにちは。
いつもとても新鮮な発見があり、本当に深くて楽しいなと感じています。
ありがとうございます。
先日【リリスの世界】を開いたら【ベスタの世界】の記事になっていてリリスについて書かれた記事が見当たらなかったのですが今後アップしていただけますか?
参考にさせていただいています。ありがとうございます。
ところで、リリスを読もうとするとベスタに飛ぶのですが、もしかしたらリンクの張り間違いではないでしょうか。
12ハウス、ものすごく楽しみにしていますので、よろしくお願いいたします。